JP2006500349A - 半順序薬剤およびポリマーの医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は半順序薬剤およびポリマーの医薬組成物を提供することを目的とする。
難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーの固体組成物は薬剤の一部が半順序状態である。
【化1】

Description

本発明は使用環境で薬剤の安定性を改善し、薬剤の濃度を高める半順序状態の薬剤およびポリマーの医薬組成物に関する。
難溶解性薬剤は、劣った生体利用性または不規則な吸収を示すことが多く、この不規則性の程度は投与量、患者の栄養状態および薬剤形態のような要因により影響される。難溶解性薬剤の生体利用性を増加させることは多くの研究の課題となっている。生体利用性の増加は溶液に溶解する薬剤の濃度を改善して吸収を改善することに依存する。
結晶性または非晶質形態の何れかで存在することができる難溶解性薬剤の非晶質形態は、使用環境で結晶性薬剤形態の溶解により得られる平衡濃度と比べて高い濃度の薬剤水溶液を一時的に与えることはよく知られている。このような非晶質形態は非晶質薬剤それ自体、マトリックス材料中における薬剤の分散体、または支持体に吸着された薬剤からなる。このような非晶質形態の薬剤は結晶性形態よりも急速に溶解し、薬剤が溶液から沈殿または結晶化するより速く溶解することが多いと考えられる。結果として、非晶質形態は平衡濃度より高い濃度の薬剤を一時的に与える。
このような非晶質形態は使用環境で一時的に高い薬剤濃度を示すことがあるが、やはり改善された濃度は大抵寿命が短い。典型的には、最初に高められた薬剤濃度は一時的なものにすぎず、すぐに低い平衡濃度に戻る。
難溶解性薬剤の生体利用性を増加させるアプローチの1つは薬剤とポリマーの非晶質分散体を形成することを含む。薬剤とポリマーの分散体を形成することにより薬剤濃度を増加させる試みの例にはNakamichiらの米国特許第5,456,923号およびCuratoloらのEP0901786A2がある。
非晶質形態の薬剤の使用に伴う1つの問題は固体薬剤が非晶質形態では物理的に安定しないということである。結晶性形態の薬剤は低い自由エネルギーを有することが多いので、時間とともに非晶質薬剤は結晶化する傾向がある。結晶化の割合は保存条件、例えば温度および湿度、並びに組成物の成分によって影響を受けることがある。
同様に、ポリマーおよび薬剤の非晶質固体分散体は場合により分散体または薬剤それ自体の不安定性のため不安定である。例えば、分散体は物理的に不安定であり、分散体からの非晶質薬剤の分離を引き起こす。薬剤が分散体から分離すると、それは結晶化しやすくなる。別法として、非晶質分散体中の薬剤は化学的に不安定である。薬剤は時間とともに適度な温度および湿度で分解し、または薬剤は分散体の他の成分と反応し、結果として効力が減少し、薬剤に関連する不純物が増加する。
したがって、典型的な保存条件下で物理的および/または化学的に安定であり、実用的な加工条件により形成し、そして溶解しにくい薬剤の溶解性および/または生体利用性を高めることのできる形態の薬剤を含有する組成物がまだ望まれている。当業者に明白なこれらの必要性などは下記に要約して詳細に説明する本発明により満たされる。
一態様において、本発明は(a)難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーからなる固体を含有する組成物であって;(b)前記濃度を高めるポリマーは前記組成物が使用環境において本質的に同量の結晶形態の前記薬剤および同量の前記濃度を高めるポリマーの混合物
からなる第1対照組成物と比べて高い濃度の前記難溶解性薬剤を与えるように十分な量で前記組成物中に存在し;そして(c)前記薬剤の少なくとも一部は薬剤の多い領域に存在し、前記薬剤の多い領域は薬剤が薄く、ポリマーの多い領域全体に散在し、そして前記難溶解性薬剤の少なくとも20重量%は半順序状態である前記組成物に関する。
好ましい態様において、本組成物は本質的に同量の前記薬剤および同量の前記濃度を高めるポリマーの非晶質固体分散体からなる第2対照組成物と比べて改善された安定性を与え、前記第2対照組成物中の前記薬剤は少なくとも90重量%の非晶質である。
好ましい一態様において、前記組成物中の薬剤は、
(a) 前記第1対照組成物の粉末X線回折パターンとは異なる粉末X線回折パターンであり、前記第1対照組成物の前記回折パターンに存在する少なくとも1個のピークは前記組成物中の前記薬剤の前記回折パターンに存在しない;
(b) 半値幅が前記第1対照組成物中の前記薬剤により示される相当するピークの少なくとも1.1倍である少なくとも1個のピークを有する粉末X線回折パターン;
(c) 前記第2対照組成物のガラス転移温度とは異なるガラス転移温度;および
(d) 前記第1対照組成物中の前記薬剤の溶解吸熱の開始または最大温度より低い温度である溶解吸熱の開始または最大温度
の少なくとも1つを示す。
他の好ましい態様において、本組成物は約20重量%〜約70重量%の薬剤を含有する。
他の好ましい態様において、前記組成物中の前記薬剤の少なくとも40重量%は前記半順序状態である。
他の好ましい態様において、前記薬剤は多数の粒子からなり、好ましくは前記粒子は約100nm未満の特性サイズを有する前記薬剤の多い領域からなる。
さらに他の好ましい態様において、前記粒子の少なくとも50重量%はそれぞれ直径が約100μm未満である。
さらに他の好ましい態様において、前記高い濃度は、
(a)前記第1対照組成物により与えられるものの少なくとも1.25倍である前記使用環境における前記薬剤の最大溶解濃度;
(b)前記第1対照組成物により与えられるものの少なくとも1.25倍である少なくとも90分間の濃度対時間の曲線に基づく溶解領域;および
(c)前記第1対照組成物の少なくとも1.25倍の相対的生体利用性
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
他の好ましい態様において、濃度を高めるポリマーは50%の相対湿度を有する湿った空気と平衡になると少なくとも70℃のガラス転移温度を有する。
他の好ましい態様において、前記改善された安定性は、
(a)前記第2対照組成物中の前記薬剤の結晶化率の90%未満である結晶化率;
(b)前記第2対照組成物の少なくとも1.25倍である化学安定性の相対的改善度;および
(c)前記第2対照組成物の少なくとも1.25倍である溶解安定性の相対的改善度
の少なくとも1つを有することを特徴とする。
他の好ましい態様において、薬剤は少なくとも70℃のTm−Tg値を有する。他の好ましい態様において、薬剤は少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.4、さらに好ましくは少なくとも1.5のTm/Tg(K/K)値を有する。
他の好ましい態様において、薬剤はCCR1阻害剤を含有する。好ましくは、薬剤はキノ
キサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−3−フルオロベンジル]−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]アミド;またはキノキサリン−2−カルボン酸[1−ベンジル−4−(4,4−ジフルオロ−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシカルバモイル−ブチル]アミドを含有する。
他の態様において、本発明は
(a)難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーを含む非晶質分散体を形成し;
(b)(1)前記分散体を加熱する工程および(2)前記分散体を流動性向上剤に暴露する工程の少なくとも一方により前記非晶質分散体中の前記薬剤の流動性を増加させるために前記非晶質分散体を処理し;そして
(c)前記難溶解性薬剤の少なくとも20重量%を半順序状態に変換することからなる医薬組成物の製造法に関する。
好ましい態様において、前記分散体を処理する工程は前記分散体を加熱する工程および前記分散体を前記流動性向上剤に暴露する工程の両方からなる。
他の好ましい態様において、流動性向上剤は蒸気、好ましくは水、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、トルエン、1,1,1−トリクロロエタンまたはそれらの混合物である。
他の好ましい態様において、分散体はTg/Tが約1.0以下であるような温度Tに加熱され、前記Tgは前記流動性向上剤が存在する前記非晶質固体分散体のガラス転移温度であり、そして前記Tおよび前記Tgはケルビンで表される。
他の好ましい態様において、前記薬剤の非晶質から半順序状態に変換する最大量は1時間あたり少なくとも約0.25重量%、好ましくは少なくとも約1.7重量%である。
他の好ましい態様において、前記薬剤の少なくとも40重量%が48時間以内に前記半順序状態に変換される。
本発明の別の態様は本明細書で開示された方法の何れかにより製造される組成物に関する。
本発明の組成物は幾つかの利点を有する。幾つかの態様では、本発明の組成物は非晶質固体分散体に対して改善された安定性の薬剤を与える。上記したように、従来の非晶質固体分散体中の非晶質薬剤は時間とともに周囲の保存条件下でゆっくりと結晶化する傾向があり、結果として薬剤形態の大きい結晶のために使用環境で溶解した薬剤濃度を高める能力が減少する。あるいは、従来の非晶質固体分散体中の非晶質薬剤は分解または反応することがある。対照的に、本発明の組成物は周囲の、または加速された保存条件下で物理的または化学的に、またはその両方で改善された安定性を与える。
本発明の組成物は一般に薬剤が無秩序状態から半順序状態に変換される割合を制御することにより製造される。一般に、無秩序状態の薬剤の流動性は薬剤が比較的迅速に半順序状態に変換するように熱または流動性向上剤またはその両方を加えることにより一時的に増加される。このような薬剤の分散した状態から薬剤の多い領域への迅速な変換により薬剤が少なく、ポリマーの多い相中に分散した小さな半順序薬剤部分が生じる。一般に、ポリマーの多い相中の薬剤の流動性は大きく減少し、それにより小さな薬剤の多い部分を安定化し、大きな薬剤部分または結晶への成長を防止する。このような半順序状態の薬剤は一般に薬剤を分散体からゆっくりと結晶させることにより生成する大きな結晶性薬剤部分とは対照的である。薬剤を本発明の望ましい半順序状態に変換することにより従来の非晶質固体分散体と比べて改善された安定性を有し、それにも関わらず良好な溶解性を示す組成物が得られる。非晶質固体分散体中での遅い結晶生成は通常、溶解性の減少を伴なうため、このことは驚くべき結果である。改善された安定性の結果として、組成物の高められた溶解性は従来の非晶質固体分散体のように時間とともに典型的な周囲の保存条件下で急速に減少することはない。
特定の理論により拘束されることを望まないが、本発明者らは本発明の組成物の改善された安定性は薬剤が少なくポリマーの多い領域内に分布する半順序薬剤を含む小さな薬剤の多い領域の生成により生じると考えている。薬剤は小さな半順序領域に存在するため、大きなまたは秩序ある結晶としての薬剤の投与と比べて使用環境に投与されると溶解した薬剤の水性濃度を高めることができる。これらの小さな半順序薬剤の多い領域が非晶質ポリマー内に分布することはこれらの小さな半順序領域を安定化し、低い自由エネルギー、したがって低い溶解度を有する大きな薬剤結晶の生成を防止する。
本発明の組成物はまた、使用環境で難溶解性薬剤の溶解した薬剤濃度を高めることができる。すなわち、生体外試験で本組成物は薬剤の最大水性濃度の改善、水性濃度対時間曲線下の溶解範囲の改善、またはその両方をもたらす。あるいは、本組成物は生体内で改善された薬剤濃度をもたらし、そして/または薬剤の相対的生体利用性を改善する。組成物中の薬剤は半順序であり、結晶性状態の薬剤と同じ性質を幾つか有するため、改善された薬剤濃度をもたらす能力は予想外のことである。にも関わらず、本組成物は結晶性薬剤と比べて使用環境で溶解した薬剤濃度を改善する。
本発明の幾つかの態様の他の利点は良好な安定性を維持しながら従来の非晶質固体分散体と比べて高い薬剤負荷が達成されることである。すなわち、半順序状態の薬剤を含む組成物は良好な物理的安定性を維持しながら従来の非晶質固体分散体より高い割合の薬剤を含有する。従来の非晶質固体分散体は薬剤の量がポリマーの量に比べて増加するので物理的に不安定になる傾向がある。薬剤が周囲の保存条件下で結晶化する程度は薬剤対ポリマーの比率が増加するにつれて増加する傾向がある。半順序状態の薬剤を含む組成物はそれらの改善された物理的安定性のため従来の非晶質固体分散体より高い薬剤負荷(高い薬剤対ポリマーの比率)を有する。
本発明の前記および他の目的、特徴、並びに利点は次の本発明の詳細な説明を検討することにより容易に理解されよう。
好ましい態様の詳細な説明
一態様において、本発明は薬剤の少なくとも一部が半順序状態である難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーからなる固体を含有する組成物を提供する。本発明の組成物は薬剤の少なくとも一部が半順序状態であるという点が独特である。半順序状態の薬剤はその非晶質形態またはバルク結晶性形態の薬剤とは異なる。一般に、バルク結晶性形態の薬剤は非常に秩序がある。このようなバルク結晶性の薬剤は幾つかの欠点を有するが、その高い秩序度は鋭く比較的高い融点、再現性のある鋭いX線回折反射または“ピーク”および比較的低い溶解度を特徴とする。一般に、単独の、またはポリマーのようなマトリックス中に分散した非晶質形態の薬剤は非常に無秩序である。この高い無秩序度は鋭い融点がないこと、熱分析に付した時にガラス転移が存在すること、多数の異なる回折角で鋭いX線回折反射がないこと、および比較的高い溶解度を特徴とする。これらの2つの良く特徴付けられた状態と対照的に、半順序状態の薬剤はバルク結晶性の薬剤と分散したまたは分散していない非晶質薬剤の中間である秩序度、結果として相当する物理的性質を有する。半順序状態で存在する薬剤と濃度を高めるポリマーの組合せはバルク結晶性の薬剤と比べて水性の使用環境で溶解した薬剤濃度の改善をもたらす。同時に、薬剤の半順序状態は非晶質固体分散体として存在する薬剤およびポリマーと比べて組成物中の薬剤の改善された安定性をもたらす。組成物の性質、好適な薬剤およびポリマー、並びに組成物の製造法を下記でより詳細に説明する。
固体薬剤を含有する組成物
本発明の組成物は難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーを含む固体を含有する。薬剤の少なくとも一部は「半順序」である。「半順序」とは(1)薬剤が単独のバルク結晶性
形態の薬剤よりも秩序がなく、さらに(2)薬剤が非晶質薬剤よりも秩序があることを意味する。半順序状態の薬剤は極めて小さい結晶の形態、結晶中にポリマーが組込まれた結晶性薬剤、多数の結晶の欠陥を含有する結晶、あるいはシート、チューブの形態をとる半結晶性構造、または薬剤は秩序があるが最低の溶解性ではない他の構造、単独のバルク結晶性形態である。半順序の薬剤が小さい結晶からなる場合、その結晶は少なくとも1つの次元で小さければ十分であるが、2つまたは3つすべての次元で小さくてもよい。小さい結晶は一般に少なくとも1つの次元で約100より少ない結晶の繰り返し単位を有する。結晶の繰り返し単位は大きさがかなり異なるが、それらは一般に約2nm未満の大きさであり、すなわち小さい結晶は一般に少なくとも1つの次元で約200nm未満である。対照的に、「単独のバルク結晶性形態」とは結晶が例えば最小次元で少なくとも約100の繰り返し単位を有する長距離秩序を示し、ポリマーが存在しない結晶性薬剤を意味する。
半順序の薬剤は単独のバルク結晶性形態の薬剤および非晶質形態の薬剤の両方と異なる物理的特性を示す。薬剤が半順序であるということは物質が結晶性または非晶質であるかどうかを明らかにするために使用される従来の方法により証明することができる。
薬剤が半順序であるかどうかを評価するための1つの方法は粉末X線回折である。半順序状態の薬剤は、粉末X線回折を使用して特性決定されると、単独のバルク結晶性薬剤と異なるX線回折パターンを示す。図2は半順序状態の薬剤について典型的な回折パターン20を示す。対照的に、図2は単独のバルク結晶性形態の同じ薬剤について典型的な回折パターン40を示す。半順序の薬剤は単独のバルク結晶性形態の薬剤の回折パターンに存在する反射、散乱線またはピークと比較して幅広い、明確でない、小さい、そして/または欠けている反射、散乱線またはピークを有する回折パターンを示す。本明細書の残り全体を通して、「ピーク」なる用語は散乱したX線強度対散乱角のプロットにおける最大値を意味する。主ピークに関して、半順序の薬剤は単独のバルク結晶性形態の薬剤の相当する主ピークの半値幅の少なくとも1.1倍の半値全幅を有する。例えば、結晶性薬剤の主ピークの半値全幅が0.5°である場合、半順序薬剤の相当する主ピークの半値全幅は少なくとも0.55°である。「主ピーク」とはベースラインおよび/または他のピークと区別される散乱したX線強度対散乱角のプロットにおけるピークを意味する。主ピークの例は図2で約18.80°の2θ値に示される。半値全幅は単独のバルク結晶性形態の薬剤の相当する主ピークよりもさらに幅広く、その少なくとも1.25倍、2倍、3倍またはそれ以上である。
慣用の粉末X線回折(PXRD)装置から得られるディフラクトグラムについてピーク幅を比較することができる。ディフラクトグラムを集めるための方法の1つはX線を収束させて平行ビームを作るGobelミラー、試料に衝突する前のビームの軸発散を減少させるソーラースリット、および特定の収束角で適正に回折したX線だけを集める薄膜アタッチメントを備えたBruker AXS D8 Advance回折装置を使用することである。このようにして使用されるPXRD装置は主ピーク幅の1.1倍変化が同じ試料の繰り返し測定で観察される無作為変異と容易に区別できるようなデータを収集することができるものでなければならない。
同様に、半順序状態の薬剤は純粋な非晶質薬剤と異なる回折パターンを有する。図2は非晶質固体分散体中の薬剤について典型的な回折パターン10を示す。半順序状態の薬剤の回折パターンは薬剤が幾らか結晶化していることを示す幾つかのピークを有する。対照的に、非晶質形態の薬剤は明確なピークを示さない。非晶質薬剤は図2のパターン10で約16°〜22°の2θ範囲に見られるような、大抵は「非晶質ハロ」と呼ばれる1または2個の極めて幅広いピークを示す。半順序状態の薬剤は狭く、非晶質ハロの上方に伸びる1個またはそれ以上のピークを示す。
薬剤の状態を特性決定するために熱分析を使用することもできる。一般に、薬剤およびポリマーの組成物のガラス転移温度(Tg)は非晶質形態の薬剤の量と関係がある。非晶質形態および半順序状態の薬剤を含む組成物の場合、非晶質である薬剤だけがTgを示す。典型
的には、ポリマーのガラス転移温度は薬剤のものより大きい。このような場合、薬剤およびポリマーの組成物のTgは最大であり、薬剤のすべてが半順序である場合にはポリマーのものに近い。すなわち、薬剤は非晶質薬剤としてポリマー中に分子分散していない。対照的に、組成物中の薬剤が殆んどまたは全く半順序状態ではなく、非晶質状態でポリマー全体に分散している場合、薬剤およびポリマーの組成物のTgは最小である。このような場合、その物質のTgは本質的に薬剤およびポリマーからなる均質な非晶質固体分散体のTgに近づく。したがって、薬剤およびポリマーの組成物のTgを測定することにより、半順序状態である薬剤の百分率および非晶質状態で分散した薬剤の百分率を定量することができる。このような組成物のガラス転移温度を測定するために示差走査熱量測定法(DSC)を使用することができる。
発熱現象の測定法を使用して非晶質薬剤と半順序状態の薬剤を区別することもできる。ポリマーマトリックス中に分散した非晶質薬剤は加熱すると結晶化熱による非晶質薬剤の結晶性薬剤への変換の結果として発熱現象を示す。半順序の薬剤もまた発熱現象を示すことがあり、その現象は典型的に高温で起こり、そして/または非晶質薬剤の結晶性薬剤への変換で観察される程度より小さい。DSCのような加熱−熱量試験により測定される発熱現象の程度の減少は組成物の秩序化を示し、そのため組成物中の半順序状態である薬剤の量を測定するために使用することができる。
さらに、幾つかの組成物は半順序領域の溶解に関連して吸熱現象を示す。この吸熱現象はバルク結晶性薬剤の吸熱現象と比べて多数の相違を示す。バルク結晶性薬剤と比較すると、半順序薬剤の吸熱現象発生はより低い温度にシフトし、吸熱現象のピークまたは最大温度はより低い温度にシフトし、そして吸熱現象はより広い幅を示す。これらの相違はすべてバルク結晶性薬剤の状態よりも無秩序な状態で存在する薬剤と合致する。場合により、この吸熱現象を伴なう領域もまた組成物中の半順序状態である薬剤の量を測定するために使用することができる。したがって、半順序状態の薬剤の溶解吸熱の発生または最大温度は典型的にバルク結晶性薬剤の溶解吸熱の発生または最大温度より低い。
薬剤が半順序であるかどうかを評価するための別の方法は分光分析である。半順序状態の薬剤の赤外スペクトルは結晶性形態の薬剤と異なることが多く、シフトおよび/または拡幅したバンドを示す。
半順序状態の薬剤は結晶性薬剤より高い自由エネルギーを有すると考えられる。したがって、半順序状態の薬剤は少なくとも一時的に使用環境で薬剤の平衡濃度より大きい溶解した薬剤濃度を与えることができる。平衡濃度とはポリマーの不在下で最低の溶解性の結晶性形態の薬剤により与えられる薬剤の平衡濃度を意味する。これは最低の溶解性の結晶性形態の薬剤の溶解度とみなされる。
組成物中の半順序状態である薬剤の量は変動するが、一般に少なくとも組成物中に存在する薬剤の約20重量%より大きい。半順序ではない薬剤は非晶質であるか、または結晶性である。半順序状態である薬剤の量は使用環境での薬剤安定性および薬剤溶解と関係があるため、組成物中の薬剤安定性または組成物の溶解性を改善することが望ましい場合には半順序状態である薬剤の量を増加することが好ましい。すなわち、半順序状態である薬剤の量は組成物中の薬剤の全量の少なくとも40重量%、少なくとも60重量%、少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%である。
好ましくは、本発明の組成物は複数の粒子からなり、これらの粒子はそれぞれ半順序状態の薬剤およびポリマーからなる。各粒子の平均直径は1mm未満、500μm未満、または100μm未満である。好ましくは、少なくとも50重量%の粒子はそれぞれ直径100μm未満の粒子からなる。薬剤は各粒子に存在する薬剤部分が組成物全体の薬剤部分と近いもの、またはほぼ同じであるように粒子中に均一に分布する。その後の処理工程はこのような粒子の大きさに影響を与え、場合によりそれらを排除することに留意する。例えば、標準法を使用して粒子を圧縮し、錠剤投与形態にすることができる。別法として、粒子を粒状にして大きな粒子を形成することができる。いずれにせよ、このような物質中の半順序薬剤は好ましくは物質全体に均一に分布する。
薬剤は組成物においてポリマー内に分布した薬剤の多い領域に存在する。薬剤の多い領域は組成物全体の薬剤の平均濃度より大きい薬剤濃度を有する半順序状態の薬剤からなる。 このような薬剤の多い領域は薬剤およびポリマーからなり、または本質的に殆んど純粋な半順序状態の薬剤からなる。このような薬剤の多い領域は小さく、それはこのような領域の特性サイズが最小寸法で約100nmより小さいことを意味する。領域の特性サイズはScherrer式を使用してX線回折パターンのピーク幅に基づいて、または適当な顕微鏡検査法により計算することができる。
組成物中の半順序状態である薬剤は組成物内に散らばった、薬剤が少なくポリマーの多い領域から互いに分離して、薬剤の多い領域に存在する。薬剤の少ない領域は薬剤が組成物全体の薬剤の平均濃度より低い濃度で存在する領域である。これらの薬剤の少ない領域は薬剤と混合したポリマーからなり、あるいは本質的にポリマーおよび/または他の賦形剤だけからなる。間に薬剤の少ない領域が入って組成物内に散らばった薬剤の多い領域は例えば外面に薬剤結晶がある形態のような組成物の外面に存在する薬剤と対照をなす。すなわち、一態様において、本組成物は複数の小粒子からなり、これらの粒子はそれぞれポリマーおよび半順序状態の薬剤からなり、薬剤の少なくとも一部は薬剤が少なくポリマーの多い領域全体に散らばった薬剤の多い領域の各粒子中に存在する。
組成物中の薬剤の量は濃度を高めるポリマーと相対して変動する。組成物は0.01〜約9の薬剤対ポリマー比(例えば他の賦形剤が存在しない組成物の1重量%〜90重量%の薬剤)を有する。しかしながら、殆んどの場合、薬剤対ポリマー比は約0.05(4.8重量%の薬剤)より大きく、約4(80重量%の薬剤)より小さいことが好ましい。好ましい一態様において、薬剤は組成物の20重量%〜70重量%で組成物中に存在する。薬剤対ポリマー比は約2.3(70重量%の薬剤)より小さく、さらに約1.5(60重量%の薬剤)より小さい。半順序状態の薬剤を含有する利点の1つは良好な物理的または化学的安定性を維持しながら非晶質固体分散体と比べて高い薬剤負荷を使用することができるということである。すなわち、幾つかの態様において、本組成物は少なくとも0.25(20重量%の薬剤)、少なくとも0.43(30重量%の薬剤)、少なくとも0.67(少なくとも40重量%の薬剤)、さらに少なくとも1(50重量%の薬剤)の薬剤対ポリマー比を有する。
濃度増加
本発明の組成物は使用環境で対照組成物と比べて改善された濃度の溶解した薬剤を与える。濃度の改善は薬剤が半順序状態であり、また濃度を高めるポリマーが使用環境の薬剤濃度を対照組成物と比べて改善するのに十分な量で存在するために生じる。最小限で、本発明の組成物は本質的に結晶性薬剤だけからなる対照組成物と比べて濃度増加をもたらす。
すなわち、濃度を高めるポリマーは組成物が使用環境に投与されると本質的に同等量の結晶性薬剤からなり、濃度を高めるポリマーが存在しない対照組成物と比べて(下記でより詳細に説明されるように)改善された薬剤濃度を与えるのに十分な量で存在する。好ましくは、本組成物は本質的に同等量の濃度を高めるポリマーと混合した同等量の最低の溶解性の結晶性形態の薬剤からなる対照組成物と比べて改善をもたらす。
本明細書で使用される「使用環境」は動物、例えば哺乳動物、特にヒトのGI管、皮下、鼻内、舌下、鞘内、眼内、耳内、皮下腔、膣管、動脈および静脈血管、肺管または筋肉組織のような生体内環境、あるいは試験溶液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)または絶食十二指腸モデル(MFD)溶液のような試験管内環境の何れかである。濃度増加は試験管内溶解試験または生体内試験の何れかにより定量することができる。絶食十二指腸モデル(MFD)溶液またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)による試験管内溶解試験で増加した薬剤濃度は生体内での機能および生体利用性の良好な指標であることが確認された。適当なPBS溶液は20mMのリン酸ナトリウム(Na2HPO4)、47mMのリン酸カリウム(KH2PO4)、87mMのNaClおよび0.2mMのKClを含有し、NaOHでpH6.5に調整した水溶液である。適当なMFD溶液はさらに7.3mMのタウロコール酸ナトリウムおよび1.4mMの1−パルミトイル−2−オレイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリンが存在する同じPBS溶液である。特に、濃度を高めるポリマーを含有する組成物はそれをMFDまたはPBS溶液に加え、撹拌して溶解を促進することにより溶解を試験することができる。
一態様において、本発明の濃度を高めるポリマーを含有する組成物は少なくとも1つの対照組成物の最大薬剤濃度(MDC)の少なくとも1.25倍であるMDCを与える。言い換えれば、対照組成物により得られるMDCが100μg/mLである場合、本発明の組成物は少なくとも125μg/mLのMDCを与える。より好ましくは、本発明の組成物で達成される薬剤のMDCは少なくとも1つの対照組成物の少なくとも2倍、さらにより好ましくは少なくとも3倍である。試験を容易にするために、最大薬剤濃度は薬剤を含有する組成物を使用環境に導入した後90〜180分以内に達成される最大濃度とみなす。
別法として、本発明の濃度を高めるポリマーを含有する組成物は水性の使用環境で、使用環境への導入時と使用環境への導入後約270分間の間の少なくとも90分間のどの期間に於いても少なくとも1つの対照組成物の少なくとも1.25倍である、水性濃度対時間曲線下面積(AUC)を与える。より好ましくは、本発明の組成物で達成されるAUCは少なくとも1つの対照組成物の少なくとも2倍、さらにより好ましくは少なくとも3倍である。
別法として、濃度を高めるポリマーを含有する本発明の組成物はヒトまたは他の動物に経口投与される場合、血漿または血清中の薬剤濃度に関して対照組成物の1つが投与された時に観察されるものの少なくとも1.25倍である、投与時から開始して少なくとも12時間にわたって計算されたAUCを与える。より好ましくは、血漿または血清のAUCは対照組成物の1つが投与された時に観察されるものの少なくとも2倍、さらにより好ましくは少なくとも3倍である。このように本発明の組成物は試験管内または生体内試験、あるいはその両方で評価することができる。
増加した薬剤濃度を評価する典型的な試験は(1)全薬剤が溶解すると薬剤の理論濃度が試験液中の薬剤の平衡濃度を少なくとも2倍超えるように十分な量の試験組成物(例えば本発明の組成物)を試験液(例えばPBSまたはMFD溶液)に加え;(2)適当な量の対照組成物(例えば結晶性薬剤またはポリマーと混合した結晶性薬剤)を同等量の試験液に加え;(3)約0.4〜1.0μmより大きい懸濁粒子を取り除いた試験液の上澄みから試料を定期的に採取し、その試験液の薬剤濃度を測定し;そして(4)試験液中の試験組成物の測定したMDCおよび/またはAUCが対照組成物により得られるMDCおよび/またはAUCの少なくとも1.25倍であるかどうかを確認することにより行なうことができる。このような溶解試験を行なう場合、試験組成物の使用量は全薬剤が溶解すると薬剤濃度が薬剤の平衡濃度の少なくとも2倍〜100倍またはそれ以上であるような量である。溶解した薬剤の濃度は典型的に試験液の試料を採取し、試験液中の薬剤濃度対時間をプロットすることにより時間の関数として測定され、MDCおよび/またはAUCを確定することができる。
試験する溶液に誤った測定をもたらす約0.4〜1.0μmより大きい薬剤粒子が存在することを回避するために、試験溶液をろ過または遠心分離する。「溶解した薬剤」は典型的に0.45μmのシリンジフィルターを通過する物質、または遠心分離後の上澄みに残存する物質とみなされる。ろ過はScientific Resources社によりTITAN(登録商標)という商標で販売されている13mm、0.45μmのポリビニリデンジフルオリドシリンジフィルターを使用して行なうことができる。遠心分離は典型的にポリプロピレン微小遠心分離管において13,0
00Gで60秒間遠心分離することにより行なわれる。他の同様のろ過法または遠心分離法を使用することができ、有用な結果が得られる。例えば、他のタイプのマイクロフィルターを使用すると上記のフィルターで得られるものより幾らか(約10〜40%)高いまたは低い値を与えるが、さらに好ましい組成物の識別を可能にする。この「溶解した薬剤」の定義はモノマー溶媒和物の薬剤分子だけでなくサブミクロンの寸法を有するポリマー/薬剤の集合体のような広範囲の種、例えば薬剤の凝集体、ポリマーと薬剤の混合物の凝集体、ミセル、ポリマーミセル、コロイド粒子またはナノ結晶化物、ポリマー/薬剤の複合体、および特定の溶解試験におけるろ液または上澄みに存在する他のこのような薬剤を含有する種もまた包含することが認められる。
別の態様では、本発明の組成物は改善された相対的生体利用性を与える。本発明の組成物中の薬剤の相対的生体利用性はこのような評価をするための慣用の方法を使用して動物またはヒトに対して生体内で試験することができる。クロスオーバー試験のような生体内試験を使用して試験組成物が対照組成物と比較して高められた相対的生体利用性を与えるかどうかを確認することができる。生体内クロスオーバー試験において、「試験組成物」は被験者グループの半分に投与され、適当なウオッシュアウト期間(例えば1週間)後、同じ被験者に対照組成物が投与される。「対照組成物」は先で説明した対照組成物の何れかである。被験者グループの他の半分には最初に対照組成物、次に試験組成物が投与される。相対的生体利用性は試験グループに投与した試験組成物により与えられる血中濃度(血清または血漿)対時間曲線下面積(AUC)を同じ試験グループに投与した対照組成物により与えられる血液中のAUCで割ったものとして定量される。好ましくは、この試験/対照比はそれぞれの被験者について測定され、その比は試験のすべての被験者について平均される。AUCの生体内での定量は横座標(x軸)の時間に対して縦座標(y軸)に薬剤の血清または血漿濃度をプロットすることにより行なうことができる。典型的には、AUCは薬剤を含有する組成物を被験者に投与した時から開始して少なくとも12時間にわたって計算される。
好ましい態様は試験組成物の相対的生体利用性が少なくとも1つの対照組成物と比べて少なくとも1.25であるものである(すなわち、試験組成物により与えられる血液中のAUCは対照組成物により与えられるAUCの少なくとも1.25倍である)。さらにより好ましい態様は試験組成物の相対的生体利用性が少なくとも1つの対照組成物と比べて少なくとも2.0であるものである。AUCの定量はよく知られている方法であり、例えばWellingの“Pharmacokinetics Processes and Mathematics”, ACS モノグラフ185(1986年)に記載されている。
観察される薬剤濃度または相対的生体利用性は薬剤:濃度を高めるポリマー比が約9の値から約0.01の値まで減少するにつれて増加することが多い。最適な結果をもたらす薬剤:ポリマー比は薬剤によって異なり、試験管内溶解試験および/または生体内での生体利用性試験で最も良く定量される。しかしながら、投与形態で使用することができる濃度を高めるポリマーの量はしばしば投与形態の必要な全質量により制限される。
改善された安定性
本発明の他の態様において、本組成物は本質的に薬剤およびポリマーの非晶質固体分散体からなる対照組成物に比べて改善された安定性を有する。改善された安定性は(1)薬剤の結晶化率の減少を意味する物理的安定性;(2)薬剤の分解または反応速度の減少を意味する化学的安定性;あるいは(3)薬剤の溶解性の変化率の減少を意味する溶解性関連である。安定性を評価するために使用される対照組成物は本質的に同等量の濃度を高めるポリマー中における同等量の薬剤の非晶質固体分散体からなり、薬剤の少なくとも90重量%が非晶質である。この態様の組成物は上記の改善された安定性の何れかまたは3つすべてを示す。
物理的安定性の改善は半順序状態の薬剤およびポリマーを含有する「試験組成物」中の
薬剤の結晶化率を対照組成物中の薬剤の結晶化率と比較することにより定量することができる。結晶化率は典型的な保存環境下で時間とともに試験組成物または対照組成物中における結晶性状態の薬剤部分を定量することにより測定することができる。これはX線回折、DSC、固体NMRまたは走査電子顕微鏡(SEM)分析のような標準物理的測定法により測定することができる。物理的に安定な試験組成物中の薬剤は対照組成物中の薬剤より遅い速度で結晶化する。好ましくは、試験組成物中の薬剤の結晶化率は対照組成物中の薬剤の結晶化率の90%未満、より好ましくは80%未満である。したがって、例えば対照組成物中の薬剤が1%/週の速度で結晶化する場合、試験組成物中の薬剤は0.9%/週未満の速度で結晶化する。しばしば、対照組成物中の薬剤の結晶化率の約10%未満(または与えられた例では約0.1%/週未満)のような非常に劇的な改善が観察される。
本発明の他の態様において、試験組成物中の薬剤は対照組成物中の薬剤と比べて改善された化学的安定性を有する。試験および対照組成物は物理的安定性については上記で説明した通りである。本明細書で使用される「化学的安定性」は典型的な保存環境下での薬剤の化学分解の速度を意味する。起こりうる分解反応のタイプには加水分解、ラクトン化、エステル化、酸化、還元、環化およびエステル交換があるが、これらに限定されない。化学的に安定な試験組成物中の薬剤は対照組成物中の薬剤に比べて減少した分解速度を有する。この態様は特に薬剤が濃度を高めるポリマーに対して感受性である場合、例えば薬剤が酸感受性であり、濃度を高めるポリマーが酸性である場合に有用である。
一般に、薬剤の分解は医薬組成物中の薬剤の純度または効力を測定するための慣用の方法を使用して測定することができる。例えば、組成物中に存在する活性薬剤の量は最初に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または当該技術分野でよく知られている他の分析法を使用して測定することができる。別法として、最初に存在する薬剤の量は組成物の配合時に存在する薬剤の量から計算することができる。組成物の効力は制御された温度および湿度条件下で適当な期間保存した後に測定される。効力の低下は組成物中に存在する活性薬剤の量の減少をもたらす化学反応が起こったことを示し、さらに劣る化学的安定性の指標である。
化学的安定性を評価するために使用される別法は組成物中の薬剤分解物(複数可)量の増加率を分析することであり、これは薬剤の反応を示す。HPLCまたは他の分析法を使用して組成物中の薬剤分解物(複数可)の濃度を定量することができる。分解物(複数可)の量は制御された保存条件下で保存する前後に測定される。薬剤分解物(複数可)の増加量を使用して「薬剤の純度」の減少量を%で定量することができる。「薬剤の純度(%)」は存在する薬剤の全量を最初に存在する薬剤の全量で割って100倍したものとして定義される。したがって、薬剤の純度が存在する活性薬剤の量から計算される場合、薬剤の純度(%)は式
薬剤の純度(重量%)=(存在する薬剤の全量/最初に存在する薬剤の全量)×100
により計算することができる。
薬剤の純度が不純物の全量から計算される場合、「薬剤の純度(%)」は重量%で与えられる最初に存在する薬剤の全量が100重量%から最初の全不純物の重量%を引いたものに等しく、さらに「存在する薬剤の全量」が100重量%から保存した後、すなわち少し経ってからの全不純物の重量%を引いたものに等しいと仮定して計算することができる。この方法は式
薬剤の純度(重量%)=[1−(不純物の全量/最初に存在する薬剤の全量)]×100
による「薬剤の純度(%)」の計算と同等である。
薬剤の分解が起こる割合は一般に保存条件に依存する。薬剤は本発明の組成物として製剤化される場合、周囲温度および湿度条件(例えば約20%〜60%の相対湿度)で長期間、例えば数ヶ月から数年にわたって安定である必要がある。しかしながら、試験を促進するた
めに、保存条件に高められた温度および/または湿度を採用して周囲条件での長期間保存をシミュレートすることができる。保存期間は薬剤の反応性および保存条件に応じて数日から数週間または数ヶ月に変動する。
保存後の薬剤の「分解度」は初期純度百分率から最終薬剤純度百分率(存在する薬剤の量の減少または存在する薬剤分解物の量の増加を測定することにより定量される)を引くことにより定量することができる。例えば、最初に100mgの薬剤を含有し、測定可能な不純物を含まない組成物は100重量%の初期純度百分率を有する。保存後に組成物中の薬剤量が95mgに減少すると、その最終純度百分率は95重量%であり、「分解度」は5重量%(100重量%−95重量%)である。あるいは、100mgの薬剤物質が最初に1mgの不純物を有することがわかっている場合、それは99重量%の初期純度百分率を有するとみなされる。保存後に存在する全不純物が6重量%に増加すると、その最終純度百分率は94重量%であり、「分解度」は5重量%(99重量%−94重量%)である。
別法として、「分解度」は保存後に存在する特定の分解物の量から最初に存在する1種またはそれ以上の特定の薬剤分解物の量を引くことにより定量することができる。このような測定は幾つかの薬剤分解物が存在し、そのうちの1種(または数種)だけが懸念される場合に有用である。分解度は分解物のすべてではなく懸念される分解物だけに基づいて計算することができる。例えば、薬剤が最初に特定の分解物を1重量%の濃度で含有し、保存後にその分解物の濃度が6重量%である場合、その分解度は5重量%(6重量%−1重量%)である。
化学的安定性の「相対的改善度」は同じ保存条件下、同じ保存期間で対照組成物中の薬剤の分解度と試験組成物中の薬剤の分解度との比を取ることにより定量することができる。例えば、試験組成物中の薬剤の分解度が1重量%であり、そして対照組成物の分解度が50重量%である場合、その相対的改善度は50重量%/1重量%、すなわち50である。本発明のこの態様の組成物の場合、その相対的改善度は少なくとも1.25である。薬剤が特に不安定である時は組成物の化学的安定性が薬学的に許容されるためにより高い相対的改善度が必要である。このような場合、相対的改善度が少なくとも約2、好ましくは少なくとも約5、さらにより好ましくは少なくとも10である時に本発明はより大きな化学的安定性を与える。実際に、幾つかの組成物は100を超える相対的改善度を達成することができる。
試験するための特定の保存条件および保存期間は薬剤の安定性、特定の濃度を高めるポリマーおよび薬剤と濃度を高めるポリマーの比に応じて適宜に選択することができる。薬剤が特に不安定である場合、または組成物が低い薬剤対ポリマー比を有する場合、より短い保存期間を使用することができる。薬剤の分解速度が線形である場合、相対的改善度は保存期間とは無関係である。しかしながら、薬剤の分解速度が制御された保存条件下で非線形である場合には、試験組成物を対照組成物と比較するために使用される安定性試験は好ましくは分解度が十分に大きいため正確に測定できるように選択される。典型的には、その期間は少なくとも0.1重量%〜0.2重量%の分解度が観察されるように選択される。しかしながら、期間は薬剤とポリマーの比が実質的に変化するほど長くはない。典型的には、期間は試験組成物について観察される分解度が50重量%未満、好ましくは20重量%未満であるような期間である。対照組成物中の薬剤の分解速度が比較的遅い場合、試験は好ましくは制御された保存条件下で試験組成物の安定性を対照組成物と有意に比較するのに十分な長い時間行なわれる。
試験組成物中の薬剤は40℃および75%RHで6ヶ月間保存した場合に約2重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、そして最も好ましくは約0.1重量%未満、あるいは30℃および60%RHで1年間保存した場合に約2重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、さらにより好ましくは約0.1重量%未満、あるいは周囲温度条件で2年間または25℃およ
び60%RHで2年間保存した場合に約2重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、さらにより好ましくは約0.1重量%未満の分解度を有する。にも関わらず、本発明の組成物は上記のように試験組成物が対照組成物と比べて改善された分解度を達成する限り、好ましい値よりずっと大きい分解度を有する。
他の態様において、本発明の組成物は溶解性について改善された安定性を有する。これは試験組成物中の薬剤の溶解性の変化率を対照組成物中の薬剤の溶解性の変化率と比較することにより定量することができる。最初に、試験組成物および対照組成物の溶解性は都合の良い期間を決めるために少なくとも2つの時点で定量される。その時点は対照組成物の溶解性の変化を観察できるほど十分に間隔をあけられる。溶解性は最大薬剤濃度または特定期間のAUCと同等であるとみなされる。溶解性変化の百分率は2つの時点の溶解性に基づいて計算される。例えば、試験組成物が最初に0時で100μg/mlのCmax、1年後に80μg/mlのCmaxを与える場合、溶解性の変化率は20%(((100μg/ml−80μg/ml)/100μg/ml)*100)である。同様に、試験組成物が0時で10,000分・μg/mlのAUC90(90分間のAUC)、1年後に8,000分・μg/mlのAUC90を有する場合、溶解性の変化率は20%である。
溶解安定性の相対的改善度は同じ保存条件下、同じ保存期間で対照組成物の溶解性の変化率と試験組成物の溶解性の変化率との比を取ることにより定量することができる。例えば、対照組成物の溶解性の変化率が20%であり、そして試験組成物の溶解性の変化率が10%である場合、溶解安定性の相対的改善度は20%/10%、すなわち2である。本発明のこの態様の組成物の場合、溶解安定性の相対的改善度は少なくとも1.25である。溶解安定性の相対的改善度は2より大きくてもよく、さらに4より大きくてもよい。
物理的、化学的または溶解安定性を評価するための特定の保存条件および保存期間は適宜に選択することができる。組成物が上記の安定性基準を満たすかどうかを試験するために使用することができる安定性試験は試験組成物および対照組成物を40℃および75%RHで6ヶ月間保存することである。相対的改善度は短期間、例えば3〜5日間で明らかになり、幾つかの薬剤ではもっと短い保存期間を使用することができる。周囲条件に近い保存条件、例えば25℃および60%RHで組成物を比較する場合、数ヶ月から2年の保存期間が必要である。
組成物の製造
本発明の組成物は半順序状態の薬剤および濃度を高めるポリマーを有する固体を与える何れかの方法に従って製造することができる。1つの方法において、薬剤およびポリマーの非晶質固体分散体を最初に形成する。初期非晶質固体分散体を処理して分散体中の薬剤の流動性を増加させる。流動性とは分散体中の薬剤の移動または拡散を意味する。初期非晶質固体分散体は分散体の温度を上げることにより、分散体を流動性向上剤で処理することにより、またはその両方により処理することができる。あるいは、分散体が形成すると薬剤が半順序状態に変換される組成物を製造するための他の方法が選択される。
一般に、本組成物は薬剤を迅速に非晶質から半順序状態に変換する条件下で製造される。特定の理論により拘束されることを望まないが、本発明者らは薬剤の非晶質から半順序状態への迅速な変換が改善された安定性をもたらすと考えている。処理中の迅速な変換により薬剤は薬剤の少ない領域で互いに分離した小さな薬剤の多い領域に半順序状態で「捕捉」される。対照的に、特に低温でゆっくりと結晶化する薬剤は最低のエネルギー状態、すなわち最低の溶解性状態で大きな結晶を形成する傾向がある。薬剤の大部分が半順序状態に変換し、薬剤が少なくポリマーの多い領域内に組み込まれたまたは散らばった薬剤の多い領域を形成すると、薬剤の流動性は(1)ポリマーの多い領域中の薬剤濃度の減少および(2)ポリマー中の薬剤の拡散係数の減少により大きく減少する。
この薬剤の拡散係数の減少は特に非晶質薬剤のガラス転移温度がポリマーのガラス転移
温度より低い場合にそうである。この減少した薬剤の流動性は結晶化してより大きな、より低いエネルギーの結晶性領域を形成する薬剤のより大きな領域になる薬剤の凝集を防止する。結果として、薬剤は高いエネルギーで、かつ半順序状態で捕捉され、それらは共に薬剤を安定化し、改善された溶解性を与える。
組成物が非晶質固体分散体を処理することにより製造される場合、最初の薬剤および濃度を高めるポリマーの非晶質固体分散体は薬剤の少なくとも主要部分(少なくとも60%)が非晶質状態であるように何れかの知られている方法に従って形成することができる。典型的な機械的方法にはミル粉砕および押出があり;溶融法には高温溶融、溶剤変性溶融および溶融−凝固法があり;そして溶剤法には非溶剤沈殿、スプレーコーティングおよびスプレー乾燥がある。例えば押出法による分散体の形成を開示している米国特許第5,456,923号、米国特許第5,939,099号および米国特許第4,801,460号;ミル粉砕法による分散体の形成を開示している米国特許第5,340,591号および米国特許第4,673,564号;溶融/凝固法による分散体の形成を開示している米国特許第5,684,040号、米国特許第4,894,235号および米国特許第5,707,646号;並びにスプレー乾燥法を開示している同一出願人による1998年8月7日に出願された米国特許出願番号09/131,019、2002年2月1日に出願された米国仮特許出願60/354,080および2002年2月1日に出願された米国仮特許出願60/353,986(これらの関連する開示は参照により本明細書に加入される)を参照。
初期固体分散体中の薬剤の少なくとも主要部分は非晶質であると同時に、初期非晶質固体分散体はずっと多い量の非晶質薬剤を含有する。薬剤は「実質的に非晶質」であり、これは結晶性形態の薬剤の量が約25重量%を超えないことを意味する。あるいは、分散体中の薬剤は「ほぼ完全に非晶質」であり、これは結晶性形態の薬剤の量が約10重量%を超えないことを意味する。
初期非晶質固体分散体中の非晶質薬剤は純粋な相、ポリマー全体に均一に分布した薬剤の固体溶液、またはこれらの状態若しくはそれらの中間の状態の組合せとして存在する。分散体は非晶質薬剤がポリマー全体にできるだけ均一に分散するように「実質的に均一」である。本明細書で使用される「実質的に均一」は固体分散体の比較的純粋な非晶質領域に存在する薬剤が比較的少なく、薬剤の全量の約20%未満、好ましくは10%未満であることを意味する。
一態様において、薬剤および濃度を高めるポリマーの非晶質固体分散体は溶融−凝固または溶融−押出法により製造することができる。このような方法は特に薬剤が比較的低い融点、典型的には約200℃未満、好ましくは約150℃未満の融点を有する場合に適している。このような方法において、薬剤および濃度を高めるポリマーからなる溶融混合物は十分に速く冷却され、それにより溶融混合物が固化して非晶質固体分散体を形成する。「溶融混合物」とは薬剤および濃度を高めるポリマーを含む混合物が十分に加熱され、薬剤が実質的に1種またはそれ以上の濃度を高めるポリマーおよび他の賦形剤に分散するほど十分に流動性になることを意味する。一般に、混合物は組成物中の最低の融点の成分の融点と薬剤の融点の低い方を約10℃以上超えて加熱される必要がある。薬剤は溶融混合物中で純粋な相、溶融混合物全体に均一に分布した薬剤の溶液、またはこれらの状態若しくはそれらの中間の状態の組合せとして存在することができる。溶融混合物は薬剤が溶融混合物全体にできるだけ均一に分散するように実質的に均一である。溶融混合物の温度が薬剤および濃度を高めるポリマーの両方の融点より低い場合、溶融した賦形剤、濃度を高めるポリマーおよび薬剤は好ましくは薬剤の大部分が濃度を高めるポリマーまたは賦形剤に分散するように十分に互いに溶解する。大抵は混合物が濃度を高めるポリマーと薬剤の低い方の融点を超えて加熱されるのが好ましい。
一般に、加工温度は薬剤およびポリマーの融点に応じて50℃〜約200℃またはそれ以上
に変動し、それは選択されるポリマーグレードと関係がある。しかしながら、加工温度は薬剤またはポリマーの許容されない高いレベルの分解が起こるほど高くはない。場合により、溶融混合物は加工温度での薬剤および/またはポリマーの分解を防止するように不活性雰囲気下で製造する必要がある。比較的高い温度が使用される場合、大抵は分解を最小限にするために混合物を高温にする時間を最小限にすることが好ましい。
溶融混合物はさらに組成物(薬剤および/またはポリマー)の溶融温度を下げる賦形剤を含有してもよく、それにより低い温度での加工が可能になる。このような賦形剤が低い揮発性を有し、固化すると実質的に混合物中に残る場合、それらは一般に溶融混合物の最大30重量%を占める。例えば、可塑剤はポリマーの溶融温度を下げるために組成物に加えることができる。可塑剤の例は水、クエン酸トリエチル、トリアセチンおよびセバシン酸ジブチルである。アセトン、水、メタノールおよび酢酸エチルのようなポリマーを溶解または膨潤させる揮発性物質を少ない量で加えて組成物の融点を下げることもできる。このような揮発性賦形剤が加えられる場合、このような賦形剤の少なくとも一部、本質的に全部までを溶融混合物から固体混合物に変換する工程、またはその後で蒸発させることができる。このような場合、その加工は溶剤法および溶融−凝固法または溶融−押出法の組合せであると考えられる。溶融混合物からこのような揮発性賦形剤を除去することは溶融混合物を分解または噴霧化して小滴にし、その小滴を流動体と接触させて小滴が揮発性賦形剤の全部または一部を冷却して失うようにすることにより達成することができる。加工温度を下げるために組成物に加えることができる他の賦形剤の例は低分子量のポリマーまたはオリゴマー、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンおよびポロキサマー;脂肪および油、例えばモノ−、ジ−およびトリグリセリド;天然および合成ワックス、例えばカルナバワックス、ビーズワックス(蜜ろう)、微結晶性ワックス、カスターワックスおよびパラフィンワックス;長鎖アルコール、例えばセチルアルコールおよびステアリルアルコール;並びに長鎖脂肪酸、例えばステアリン酸である。上記のように、加えられる賦形剤が揮発性である場合、それはさらに溶融している間に、または固化して非晶質固体分散体を形成した後に混合物から除去することができる。
実際上、何れかの方法を使用して溶融混合物を生成することができる。1つの方法は濃度を高めるポリマーを容器中で溶融し、次に薬剤をその溶融したポリマーに加えることからなる。他の方法は薬剤を容器中で溶融し、次に濃度を高めるポリマーを加えることからなる。さらに他の方法において、薬剤および濃度を高めるポリマーの固体ブレンドを容器に加え、そのブレンドを加熱して溶融混合物を生成することができる。
溶融混合物が生成した時点で、確実に薬剤が溶融混合物全体に均一に分布するようにそれを混合することができる。このような混合はオーバーヘッドミキサー、磁気駆動ミキサーと撹拌棒、遊星型ミキサー、およびホモジナイザーのような機械的手段を使用して行なうことができる。場合により、溶融混合物が容器中で生成した時に容器の内容物をポンプで容器から取り出し、インラインまたは静的ミキサーに通して容器に戻すことができる。溶融混合物を混合するために使用される剪断量は溶融混合物中における薬剤の均一な分布を確実にするほど十分に高い必要がある。溶融混合物は数分〜数時間混合することができ、その混合時間は混合物の粘度や薬剤および濃度を高めるポリマー中の任意の賦形剤の溶解度に依存する。
溶融混合物を製造するための別法は2個の容器を使用し、薬剤を第1容器中で、また濃度を高めるポリマーを第2容器中で溶融することからなる。2つの溶融物をポンプでインラインの静的ミキサーまたは押出機に通して溶融混合物を生成し、それを急速に固化する。
別法として、溶融混合物は共に当該技術分野でよく知られている単軸または二軸押出機
のような押出機を使用して生成することができる。このような装置では、組成物の供給固体が押出機に送られ、熱および剪断力の組合せにより均一に混合した溶融混合物が生成し、それを十分に急速固化して非晶質固体分散体を形成することができる。供給固体は高い含量均一性を有する固体混合物を得るための当該技術分野でよく知られている方法を使用して製造することができる。別法として、押出機は2個の供給口を備えてもよく、それにより薬剤は一方の供給口を通して押出機に、またポリマーは他方の供給口を通して供給することができる。上記のような加工温度を下げる他の賦形剤を供給固体に加えることができ、また水のような液体賦形剤の場合は当該技術分野でよく知られている方法を使用して押出機に注入することができる。
押出機は薬剤が組成物全体に均一に分布した溶融混合物を生成するように設計する必要がある。押出機の様々なゾーンは所望の押出温度および所望の混合度または剪断度にするために当該技術分野でよく知られている方法を使用して適当な温度に加熱する必要がある。
薬剤が濃度を高めるポリマーに対して高い溶解度を有する場合、分散体を形成するのに必要な機械的エネルギーの量はより低い。このような場合、分散していない薬剤の融点が分散していない濃度を高めるポリマーの融点より高いと薬剤は溶融したポリマー中に溶解するため、その加工温度は分散していない薬剤の融点より低いがポリマーの融点より高い。分散していない薬剤の融点が分散していない濃度を高めるポリマーの融点より低いと溶融した薬剤はポリマー中に溶解する、またはポリマー中に吸収されるため、その加工温度は分散していない薬剤の融点より高いが分散していない濃度を高めるポリマーの融点より低い。
薬剤がポリマーに対して低い溶解度を有する場合、より高い量の機械的エネルギーが分散体を形成するのに必要である。ここで、その加工温度は薬剤およびポリマーの両方の融点より高い必要がある。上記のように、別法として、濃度を高めるポリマーおよび薬剤の溶融または相互溶解を促進する液体または低融点の賦形剤を加えることができる。薬剤およびポリマーを混合して分散体を形成するのに高い量の機械的エネルギーもまた必要である。典型的には、薬剤を厳しい条件にさらすことを最小限にするために、最低の加工温度と、満足のいく分散体(実質的に非晶質であり、実質的に均一である)を形成する最低量の機械的エネルギー(剪断)を与える押出機の設計が選択される。
薬剤および濃度を高めるポリマーの溶融混合物が生成した時点で、非晶質固体分散体を形成するように混合物を十分に急速固化する必要がある。薬剤がポリマーまたは他の賦形剤に非常に溶けやすい場合、冷却が比較的遅くてもまだ好適な分散体を形成する。ポリマーおよび他の賦形剤に対する薬剤の溶解度が小さい場合、溶融混合物を急速に固化するのが好ましい。「急速に固化する」とは溶融混合物を薬剤およびポリマーの実質的な相分離が起こらないように十分に速く固化することを意味する。典型的には、薬剤の濃度が周囲温度温度でのその溶解度よりずっと大きい場合、これは混合物を約10分以内、好ましくは約5分以内、より好ましくは約1分以内で固化する必要があることを意味する。混合物が急速に固化されないと相分離が起こり、結果として薬剤の多い相およびポリマーの多い相が形成する。大抵は主として溶融混合物をその融点より少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約30℃低い温度まで冷却することにより固化が起こる。上記のように、固化は1種またはそれ以上の揮発性賦形剤または溶媒の全部または一部を蒸発させることによりさらに促進することができる。急速冷却および揮発性賦形剤の蒸発を促進するために、溶融混合物はしばしば棒または繊維または小滴のような高い表面積の形状に形成される。例えば、溶融混合物を1個またはそれ以上の小さな穴を通して押出して長く細い繊維または棒を形成することができ、あるいは溶融混合物を分解して直径が1μm〜1cmの小滴にする装置、例えば回転円板のような噴霧器に送り込むことができる。次に小滴を空気または窒素のような比較的冷たい流体と接触させて冷却および蒸発を促進する。
分散体を形成するための他の方法は薬剤および1種またはそれ以上のポリマーを一般溶剤に溶解することからなる「溶剤法」である。ここで「一般溶剤」とは薬剤およびポリマー(複数可)の両方を溶解する溶剤を意味し、それは化合物の混合物であってよい。薬剤およびポリマーの両方が溶解した後、溶剤は蒸発により、または非溶剤と混合することにより急速に除去される。典型的な方法はスプレー乾燥、スプレーコーティング(パンコーティング、流動層コーティングなど)、並びにポリマーおよび薬剤の溶液をCO2、水または他の非溶剤と急速に混合することによる沈殿である。溶剤を除去して実質的に均一な固体分散体を形成することができる。前記のように、このような実質的に均一な分散体において、薬剤はポリマー全体にできるだけ均一に分散しており、ポリマー(複数可)中に分散した薬剤の固体溶液と考えられる。
溶剤はスプレー乾燥法により除去することができる。「スプレー乾燥」なる用語は慣用的に使用され、概して液体混合物を分解して小滴にし(噴霧化)、溶剤を小滴から蒸発させるための強い駆動力が存在する容器(スプレー乾燥器)で混合物から溶剤を急速に除去することからなる方法を意味する。溶剤を蒸発させるための強い駆動力は一般に小滴を乾燥する温度で溶剤の蒸気圧よりはるかに低いスプレー乾燥器中の溶剤の分圧を維持することにより与えられる。これは(1)スプレー乾燥器中の圧力を不完全真空(例えば0.01〜0.50気圧)に維持する;(2)液滴を温かい乾燥ガスと混合する;または(3)その両方を行なうことにより達成される。さらに、溶剤の蒸発に必要な熱の少なくとも一部はスプレー溶液を加熱することにより得られる。
スプレー乾燥に適した溶剤は薬剤およびポリマーが相互に溶解する如何なる化合物でもよい。好ましくは、溶剤は揮発性でもあり、150℃以下の沸点を有する。さらに、溶剤は比較的低い毒性を有し、医薬品規制調和国際会議(ICH)のガイドラインに従って許容されるレベルまで分散体から除去する必要がある。このレベルまで溶剤を除去するにはスプレー乾燥またはスプレーコーティング工程の後でトレー乾燥のような処理工程が必要である。好ましい溶剤にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールおよびブタノールのようなアルコール;アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンのようなケトン;酢酸エチルおよび酢酸プロピルのようなエステル;並びにアセトニトリル、塩化メチレン、トルエンおよび1,1,1−トリクロロエタンのような種々の他の溶剤がある。ジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシドのような低い揮発性の溶剤もまた使用することができる。薬剤およびポリマーがスプレー乾燥法を実施できるほど十分に可溶性である限りは水との混合物のように、50%のメタノールおよび50%のアセトンのような溶剤の混合物もまた使用することができる。
一般に、乾燥ガスの温度および流量はポリマー/薬剤溶液の小滴が本質的に固体である装置の壁に達するまでには十分に乾燥するように、さらにそれらが微粉を形成して装置の壁に粘着しないように選択される。このレベルの乾燥度を達成するのに必要な実際の時間は小滴の大きさに依存する。小滴の大きさは一般に直径が1μm〜1000μmの範囲であり、5μm〜200μmがより典型的である。小滴の大きい表面積対体積比および溶剤を蒸発させるための大きい駆動力は数秒以内、より典型的には0.1秒未満の固化時間をもたらし、それは小滴の少なくとも表面が固体になるように溶媒を十分に除去するのに必要な時間である。固化時間は100秒未満、好ましくは数秒未満、より好ましくは1秒未満である必要がある。一般に、この薬剤/ポリマー溶液の急速固化を達成するために、スプレー乾燥工程中に形成する小滴の平均サイズは約200μm未満の直径であるのが好ましい。このように形成して得られる固体粒子は一般に約200μm未満の平均直径を有する。
スプレー乾燥法およびスプレー乾燥装置は一般にPerry's Chemical Engineers' Handbook, 第6版(R. H. Perry, D. W. Green, J.O.Maloney編), McGraw−Hill Book社, 第20−54〜20−57頁(1984年)に記載されている。スプレー乾燥法および装置に関する詳細はMarshallの「噴霧化およびスプレー乾燥」50 Chem. Eng. Prog. Monogr. Series 2(1954年)を参照。
薬剤を半順序状態に変換するために、最小濃度の薬剤が初期非晶質固体分散体に存在する必要がある。薬剤はそれが処理条件において初期非晶質固体分散体中で過飽和であるように十分な量で存在する必要がある。初期非晶質固体分散体中の薬剤濃度は処理条件における分散体中の薬剤の溶解度の少なくとも1.25倍でなければならない。これは処理により半順序状態に変換される薬剤の量が一般に処理条件における初期非晶質固体分散体中の薬剤の溶解度を超えた薬剤の量に限定されるためである。したがって、例えば処理条件で初期非晶質固体分散体に対する薬剤の溶解度が5重量%である場合、初期非晶質固体分散体は同じ条件で溶解度の少なくとも1.25倍、すなわち6.25重量%の薬剤濃度を有する必要がある。この例では、全薬剤の20%((6.25重量%−5.0重量%)/6.25重量%)が半順序状態に変換される。一般に薬剤の大部分を半順序状態に変換するのが好ましいため、より好ましくは初期非晶質固体分散体中の薬剤濃度は処理条件における初期非晶質固体分散体中の薬剤の溶解度の少なくとも2倍、さらにより好ましくは少なくとも4倍である。
初期非晶質固体分散体を加熱処理して薬剤の少なくとも一部を半順序状態に変換し、分散体中の薬剤の流動性を増加させることができる。初期非晶質固体分散体の温度は処理条件下で分散体のガラス転移温度に近いまたはそれより高い温度まで上昇させることができる。一般に、Tg/Tは約1.0以下であるのが望ましく、ここでTgはケルビンで表される処理条件における初期非晶質固体分散体のガラス転移温度であり、そしてTはケルビンで表される処理条件の温度である。例えば、処理条件が75%の相対湿度であり、さらに75%の相対湿度での初期非晶質固体分散体のガラス転移温度が380Kである場合、処理条件の温度は約380Kより高くなければならない。
場合により、薬剤の非晶質から半順序状態への十分な急速変換を達成するために高い温度を使用する必要がある。一般に、処理条件の温度は通常、処理条件における初期非晶質固体分散体のガラス転移温度より約10K、20Kまたは最大40K高くなるように選択される。温度TはTg/Tが0.98未満、0.95未満、さらには0.90未満になるように選択される。しかしながら、処理条件の温度は薬剤またはポリマーが許容されない程度まで化学的に分解するほど高いものであってはならない。
分散体は医薬組成物を加熱するための慣用の装置を使用して加熱することができる。したがって、温風、温かい不活性ガス(例えば窒素)、加熱した容器、赤外線ランプ、マイクロ波加熱装置、乾燥オーブン、流動層などを使用して加熱することができる。
初期非晶質固体分散体は流動性向上剤への暴露により処理することもできる。流動性向上剤は初期非晶質固体分散体中の薬剤の流動性を増加させて薬剤を分散体中で比較的急速に拡散させることができる。流動性向上剤は液体または蒸気である。流動性向上剤はポリマーを可塑化することができ、または分散体のガラス転移温度を下げることができるものでなければならない。しかしながら、流動性向上剤は薬剤が分散体中に溶解しすぎて分散体中の薬剤濃度を上記の最小濃度より低く下げることができないものであってはならない。流動性向上剤は分散体のガラス転移温度を下げ、分散体中の薬剤の流動性を増加させる。好適な流動性向上剤には水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、二酸化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、塩化メチレン、トルエンおよび1,1,1−トリクロロエタン、並びにこのような物質の混合物がある。
1つの好ましい流動性向上剤は水である。特定の理論により拘束されることを望まないが、初期非晶質固体分散体の水(液体または蒸気)への暴露は薬剤の半順序領域の生成を容易にすると考えられる。これは特に比較的疎水性である、すなわち約2〜3より大きいClog Pを有する薬剤について言えることである。Clog Pとはオクタノールに対する薬剤の溶
解度と水に対する薬剤の溶解度の比の10を底とする対数を意味する。
この薬剤の半順序状態への変換の容易さは(1)分散体のポリマーまたは他の賦形剤に対する薬剤の溶解度の減少;(2)分散体のTgの減少および関連した薬剤の流動性の増加;あるいは(3)(1)および(2)の両方によるものである。
大抵は初期非晶質固体分散体を流動性向上剤に暴露し、高温に加熱することにより処理するのが望ましい。このような場合、温度は一般に分散体のTgを低下させる流動性向上剤のような流動性向上剤の不在下で必要なものより低い。
本工程の処理条件は薬剤が半順序状態に「比較的急速に変換する」ように選択される。「比較的急速に変換する」とは一般に変換は少なくとも1週間以内、より好ましくは1日以内で行なわれることが好ましいことを意味する。したがって、薬剤の非晶質から半順序状態への最大変換速度は少なくとも約0.25重量%/時、好ましくは少なくとも約1.7重量%/時、より好ましくは少なくとも約4重量%/時、さらにより好ましくは少なくとも約6重量%/時の値を有する必要がある。変換速度は時間とともに変化し、普段は、特に処理工程の終わり頃は最大速度よりも低いことは理解されよう。一態様において、薬剤の少なくとも40重量%が48時間以内、より好ましくは24時間以内で非晶質から半順序状態に変換する。他の態様において、薬剤の少なくとも50重量%が48時間以内、より好ましくは24時間以内で半順序状態に変換する。
薬剤が半順序状態になる速度は多数の要因に依存する。恐らく濃度増加は薬剤が拡散して半順序状態に変換する駆動力となるため、処理条件における分散体中の薬剤の溶解度と比べて比較的高い薬剤濃度を有する初期固体分散体の使用は一般により早い変換速度をもたらす。例えば、ポリマー賦形剤マトリックス中の5重量%の溶解度を有する25重量%の薬剤からなる分散体は一般に同じ処理条件で処理した10重量%の薬剤からなる分散体より早い速度で半順序状態に変換する。これは特に薬剤がポリマーより低いTgを有する場合にそうである。さらに、25重量%の薬剤からなり、分散体マトリックスに対する薬剤溶解度が5重量%である分散体は一般に25重量%の同じ薬剤からなるが、分散体マトリックスに対する溶解度が15重量%である分散体より早い速度で半順序状態に変換する。選択される処理条件もまた薬剤の多い領域の半順序状態への変換速度に強く影響を与え、Tg/T値が小さいと秩序化の速度が早くなる。例えば、物質のTgは一般に水分含有量が増加すると減少し、物質の水分含有量は相対湿度が増加すると増加するため、組成物を50℃および70%の相対湿度で処理することは同じ組成物を50℃および相対湿度50%で処理するより一般に半順序状態への変換速度を早くする。変換速度が遅すぎる場合、薬剤は大きな結晶を形成し、最低の溶解度の薬剤の特性としてバルク結晶性形態を有する。
処理条件は好適な工程の間に、あるいは初期分散体を高温または流動性向上剤またはその両方に十分な時間暴露する環境で付与される。1つの方法は分散体を同時に流動性向上剤の蒸気および高温に暴露する制御された環境に初期非晶質固体分散体を置くことである。例えば、非晶質固体分散体は50%の初期相対湿度および上記のように選択される高温に相当する水分含有量である密閉室に置くことができる。非晶質固体分散体は密閉室で薬剤の少なくとも一部を半順序状態に変換するのに十分な時間保存される。好ましくは、分散体は半順序状態の薬剤部分が実質的に増加しなくなるまで密閉室に置かれる。温度は処理工程の間中ずっと一定に保持され、または処理工程の間変動する。
別法として、分散体は慣用の処理装置を使用して、または幾つかの慣用の処理工程の何れか1つの間に制御された環境に暴露して処理することができる。例えば、処理はトレー乾燥の間にトレー乾燥器で行なわれる。さらに他の方法として、高温ガスが層内を流れる流動層を使用することができる。ガスは空気、窒素または他の気体である。ガスは乾燥し
ているか、または湿っている。ガスが乾燥している場合、層に水のような流動性向上剤を吹き付ける。さらに他の例として、ドラムの中にまたはその上に流動性向上剤を吹き付け、加熱した回転式ドラムを使用することができる。さらに他の方法として、高剪断造粒機を使用することができる。
分散体を処理する別法は初期非晶質固体分散体を液体または蒸気形態の流動性向上剤で処理し、次に加熱する2段階法である。例えば、非晶質固体分散体を密閉した環境に置き、その中に例えば液体の水滴を吹き付けることにより水を加え、吹き付け、次に加熱することができる。このような方法の例は固体分散体を含有する高剪断造粒機での処理であり、液体の水を最初に造粒機の中に吹き付け、次にマイクロ波を使用して分散体を加熱する。
さらに分散体を処理する他の方法は押出工程の間に行なわれる。薬剤の非晶質固体分散体を押出機に送り込むことができる。一般に分散体の形成後に、水のような流動性向上剤もまた押出機に注入することができる。押出機は分散体が押出機を通過する時にその温度を制御する加熱ゾーンを有する。一般に、薬剤、分散体ポリマー、または添加剤の混合物を押出機に送り込み、その中で加熱、混合および剪断により混合物を分散体に変換する。この時点で流動性向上剤を場合により押出機に供給し、次に分散体を加熱ゾーンを通過させ、そこで薬剤を半順序状態に変換し、流動性向上剤を蒸発させ、得られる混合物を冷却する。
別法として、薬剤およびポリマーを原料として押出機に送り込むことができる。押出機の最初のゾーンは薬剤、さらに恐らくはポリマーの溶融温度より高い温度を有し、薬剤およびポリマーの溶融物を形成する。押出機の次のゾーンは薬剤の溶融温度と分散体のガラス転移温度の間の温度を有し、薬剤を半順序状態に変換する。押出機の最後のゾーンは混合物を冷却するのに十分な低い温度を有し、半順序状態の薬剤およびポリマーの多い物質からなる組成物を形成する。
さらに分散体を処理する他の方法は薬剤を半順序状態に変換する条件下で溶剤法により初期非晶質固体分散体を形成することを含む。例えば、溶剤中における薬剤およびポリマーの溶液を噴霧乾燥器中で噴霧乾燥して最初に非晶質分散体を形成する。典型的に溶剤の一部を保持する分散体を噴霧乾燥器中で加熱ゾーンを通過させ、薬剤を半順序状態に変換する。噴霧乾燥中に使用される溶剤および噴霧乾燥条件に応じて、追加の溶剤を加熱ゾーンで噴霧することができる。得られる粒子を集め、乾燥する。各粒子は半順序状態の薬剤およびポリマーからなる。
別法として、溶剤中における薬剤、ポリマー、場合により添加剤の溶液を生成し、その溶液を薬剤の濃度がその溶解度を超えるような条件に付して固体薬剤粒子の核形成を開始する。次に、この溶液を上記のように噴霧乾燥することができる。
難溶解性薬剤
薬剤は「難溶解性薬剤」であり、それは薬剤が生理学的に関連するpH(例えばpH1〜8)で0.01mg/mLより小さい最小の水溶解度を有することを意味する「実質的に水に不溶性である」、約1〜2mg/mLまでの水溶解度である「わずかに水溶性である」、さらには場合により約1mg/mLから約20〜40mg/mLまでの水溶解度である低い程度から中程度の水溶解度を有することを意味する。一般に、薬剤溶解度(mg/mL)が胃および腸の緩衝液をシミュレートしたUSPを含む生理学的に関連する水溶液(1〜8のpH値を有するもの)で観察される最小値であり、用量がmgで示される場合、薬剤は10mL、より典型的には100mLより大きい用量対水溶解度比を有すると言われる。用量対水溶解度比は単に用量(mg)を水溶解度(mg/mL)で割ることにより得られる。
本発明は特に結晶化する傾向が強い薬剤に対して有用である。結晶化する傾向の尺度は結晶状態の融点Tmおよび非晶質状態の薬剤のガラス転移温度Tgの差である。したがって、好ましい薬剤は約70℃、好ましくは約80℃、より好ましくは約90℃より大きいTm−Tg値を有する。薬剤の結晶化する傾向の他の尺度はTm/Tg値であり、ここでTmおよびTgは共にケルビンで表される。好ましい薬剤は少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.4、さらにより好ましくは少なくとも1.5のTm/Tg値を有する。
好ましい薬剤の群には降圧剤、抗不安剤、抗凝血剤、抗痙攣剤、血糖低下剤、充血除去剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗腫瘍剤、ベータ遮断剤、抗炎症剤、抗精神病剤、向知性薬、抗アテローム性動脈硬化症剤、コレステロール減少剤、抗肥満剤、自己免疫疾患剤、性的不能治療薬、抗菌剤、抗真菌剤、催眠剤、抗パーキンソン病剤、抗アルツハイマー病薬、抗生物質、抗鬱剤、抗ウイルス剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤およびコレステロールエステル転送タンパク阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
名前を挙げた薬剤はそれぞれ中性形態の薬剤およびその薬学的に許容しうる形態を包含すると理解される。「薬学的に許容しうる形態」とは立体異性体、立体異性体混合物、エナンチオマー、溶媒和物、水和物、同形体、多形体、互変異性体、塩形態およびプロドラックを含むすべての薬学的に許容しうる誘導体または変形体を意味する。降圧剤の具体例はプラゾシン、ニフェジピン、アムロジピンベシレート、トリマゾシン(trimazosin)およびドキサゾシンであり;血糖低下剤の具体例はグリピジドおよびクロルプロパミドであり;性的不能治療薬の具体例はシルデナフィルおよびクエン酸シルデナフィルであり;抗腫瘍剤の具体例はクロラムブシル、ロムスチンおよびエキノマイシンであり;イミダゾール型抗腫瘍剤の具体例はツブラゾール(tubulazole)であり;高コレステロール血症治療剤の具体例はアトルバスタチンおよびアトルバスタチンカルシウムであり;抗不安剤の具体例はヒドロキシジン塩酸塩およびドキセピン塩酸塩であり;抗炎症剤の具体例はベタメタゾン、プレドニゾロン、アスピリン、ピロキシカム、バルデコキシブ、カルプロフェン、セレコキシブ、フルルビプロフェンおよび(+)−N−{4−[3−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−シクロペンテン−1−イル}−N−ヒドロキシ尿素であり;バルビツール酸誘導体催眠剤の具体例はフェノバルビタールであり;抗ウイルス剤の具体例はアシクロビル、ネルフィナビルおよびビラゾールであり;ビタミン/栄養剤の具体例はレチノールおよびビタミンEであり;ベータ遮断剤の具体例はチモロールおよびナドロールであり;催吐剤の具体例はアポモルフィネであり;利尿剤の具体例はクロルタリドンおよびスピロノラクトンであり;抗凝血剤の具体例はジクマロールであり;強心剤の具体例はジゴキシンおよびジギトキシンであり;アンドロゲンの具体例は17−メチルテストステロンおよびテストステロンであり;鉱質コルチコイドの具体例はデスオキシコルチコステロンであり;ステロイド系催眠剤/麻酔剤の具体例はアルファキサロンであり;同化剤の具体例はフルオキシメステロンおよびメタンステノロン(methanstenolone)であり;抗鬱剤の具体例はスルピリド、[3,6−ジメチル−2−(2,4,6−トリメチル−フェノキシ)−ピリジン−4−イル]−(1−エチルプロピル)−アミン、3,5−ジメチル−4−(3'−ペントキシ)−2−(2',4',6'−トリメチルフェノキシ)ピリジン、ピロキシジン、フルオキセチン、パロキセチン、ベンラファキシンおよびセルトラリンであり;抗生物質の具体例はカルベニシリンインダニルナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、トロレアンドマイシン、ドキシサイクリン(doxycyline hyclate)、アンピシリンおよびペニシリンGであり;抗感染症剤の具体例は塩化ベンザルコニウムおよびクロルヘキシジンであり;冠血管拡張剤の具体例はニトログリセリンおよびミオフラジン(mioflazine)であり;催眠剤の具体例はエトミデートであり;炭酸脱水酵素阻害剤の具体例はアセタゾラミドおよびクロルゾラミド(chlorzolamide)であり;抗真菌剤の具体例はエコナゾール、テルコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾールおよびグリセオフルビンであり;抗原虫剤の具体例はメトロニダゾールであり;駆虫剤の具体例はチアベンダゾール、オキシフェンダゾールおよびモランテルであり;抗ヒスタミン剤の具体例はアステミゾール、レボカバスチン、セチリジン、デカーボエトキシロラタジンおよびシンナリジンであり;抗精神病薬の具体例はジプラシドン、オランザピン、チオチキセン塩酸塩、フルスピリレン、リスペリドンおよびペンフルリドール(penfluridole)であり;胃腸薬の具体例はロペラミドおよびシサプリドであり;セロトニン拮抗剤の具体例はケタンセリンおよびミアンセリンであり;麻酔剤の具体例はリドカインであり;血糖降下剤の具体例はアセトヘキサミドであり;制吐剤の具体例はジメンヒドリナートであり;抗菌剤の具体例はコトリモキサゾールであり;ドーパミン作動剤の具体例はL−DOPAであり;抗アルツハイマー病薬の具体例はTHAおよびドネペジルであり;抗潰瘍剤/H2拮抗剤の具体例はファモチジンであり;鎮静剤/催眠剤の具体例はクロルジアゼポキシドおよびトリアゾラムであり;血管拡張剤の具体例はアルプロスタジルであり;血小板阻害剤の具体例はプロスタサイクリンであり;ACE阻害剤/降圧剤の具体例はエナラプリル酸、キナプリルおよびリシノプリルであり;テトラサイクリン系抗生物質の具体例はオキシテトラサイクリンおよびミノサイクリンであり;マクロライド系抗生物質の具体例はエリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびスピラマイシンであり;アザライド系抗生物質の具体例はアジスロマイシンであり;グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤の具体例は[R−(R*S*)]−5−クロロ−N−[2−ヒドロキシ−3−[メトキシメチルアミノ]−3−オキソ−1−(フェニルメチル)プロピル−1H−インドール−2−カルボキシアミドおよび5−クロロ−1H−インドール−2−カルボン酸[(1S)−ベンジル−(2R)−ヒドロキシ−3−((3R,4S)−ジヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−3−オキシプロピル]アミドであり;そしてコレステロールエステル転送タンパク(CETP)阻害剤の具体例は[2R,4S]4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル、[2R,4S]4−[アセチル−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステル、[2R,4S]4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−メトキシカルボニル−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボン酸イソプロピルエステルである。
本発明は酸感受性および難溶解性の両方である薬剤に対して特に有利である。典型的な酸感受性であり、難溶解性である薬剤には(+)−N−{3−[3−(4−フルオロフェノキシ)フェニル]−2−シクロペンテン−1−イル}−N−ヒドロキシ尿素;オメプラゾール;エトポシド;ファモチジン;エリスロマイシン;キナプリル;ランソプラゾール;およびプロガビド;並びにCCR1阻害剤、例えばキノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−3−フルオロベンジル−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]アミドおよびキノキサリン−2−カルボン酸[1−ベンジル−4−(4,4−ジフルオロ−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシカルバモイル−ブチル]−アミドがある。
本発明は下記から選択される化合物の固有溶解度を改善するのに有用である。固有溶解度は表面積、かき混ぜる−攪拌速度、pHおよび溶媒のイオン強度のような条件を一定にした時の純粋な薬用活性成分の溶解率として定義される。さらに、固有溶解度は50rpmの攪拌速度でWood's装置(Wood, JH;Syarto, JEおよびLetterman, HのJ. Pharm. Sci. 54,1068(1965年))を備えたUSP II溶解装置を使用して37℃において水中で測定されると定義される。固有溶解度は単位表面積あたり1分につき溶解する薬剤のmg数として定義され、したがって固有溶解度はmg/分−cm2の単位で表される。
本発明の組成物および方法は好ましくは0.1mg/分−cm2未満、より好ましくは0.05mg/分−cm2未満の固有溶解度を有する化合物に対して特に有用である。
本発明の組成物は特に炎症および免疫調整細胞(好ましくは白血球およびリンパ球)に存在するその受容体CCR1と結合するMIP−1の選択的阻害剤として有用である。本発明の有用性を見出せるCCR1阻害剤グループの1つは式CCR1−I
Figure 2006500349
[式中、R1は場合により独立して水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される1、2または3個の置換基で置換される(C2−C9)ヘテロアリールであり;
R2はフェニル−(CH2)m−、ナフチル−(CH2)m−、(C3−C10)シクロアルキル−(CH2)m−、(C1−C6)アルキルまたは(C2−C9)ヘテロアリール−(CH2)m−であり、ここで前記フェニル−(CH2)m−、ナフチル−(CH2)m−、(C3−C10)シクロアルキル−(CH2)m−または(C2−C9)ヘテロアリール−(CH2)m−基の前記フェニル、ナフチル、(C3−C10)シクロアルキルまたは(C2−C9)ヘテロアリール部分はそれぞれ場合により独立して水素、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される1、2または3個の置換基で置換され;
R3は水素、(C1−C10)アルキル、(C3−C10)シクロアルキル−(CH2)n−、(C2−C9)ヘテロシクロアルキル−(CH2)n−、(C2−C9)ヘテロアリール−(CH2)n−またはアリール−(CH2)n−であり;
前記R3(C1−C10)アルキル基は場合により独立して水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)
アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールから選択される1個またはそれ以上の置換基で置換され;前記(C1−C10)アルキルの炭素−炭素単結合の何れかは場合により炭素−炭素二重結合に置き換えられ;
前記R3(C3−C10)シクロアルキル−(CH2)n−基の(C3−C10)シクロアルキル部分は場合により独立して水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換され;
前記R3(C2−C9)ヘテロシクロアルキル−(CH2)n−基の(C2−C9)ヘテロシクロアルキル部分は独立して窒素、硫黄、酸素、>S(=O)、>SO2または>NR6から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、前記(C2−C9)ヘテロシクロアルキル−(CH2)n−基の前記(C2−C9)ヘテロシクロアルキル部分は場合により追加の結合を形成することができる環炭素原子上の何れかにおいて独立して水素、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1
−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される置換基(好ましくは環1個あたり1〜3個の置換基)により置換され;
前記R3(C2−C9)ヘテロアリール−(CH2)n−基の(C2−C9)ヘテロアリール部分は独立して窒素、硫黄または酸素から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有し、前記(C2−C9)ヘテロアリール−(CH2)n−基の前記(C2−C9)ヘテロアリール部分は場合により追加の結合を形成することができる環炭素原子上の何れかにおいて独立して水素、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される置換基(好ましくは環1個あたり1〜3個の置換基)により置換され;そして
前記R3アリール−(CH2)n−基の前記アリール部分は場合により置換されたフェニルまたはナフチルであり、ここで前記フェニルおよびナフチルは場合により独立して水素、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される1〜3個の置換基で置換され;あるいは
R3およびそれが結合している炭素は5〜7員の炭素環を形成し、ここで前記5員の炭素環の炭素原子の何れかは場合により水素、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される置換基で置換され;ここで前記5〜7員の炭素環の炭素−炭素結合の1個は場合により置換されたフェニル環と場合により縮合することができ、また前記置換基は独立して水素、ハロゲン、CN、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールから選択され;
R4は水素、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ(C=O)−、(C3−C10)シクロアルキル−(CH2)q−、(C2−C9)ヘテロシクロアルキル−(CH2)q−、(C2−C9)ヘテロアリール−(CH2)q−、フェニル−(CH2)q−またはナフチル−(CH2)q−であり;ここで前記(C2−C9)ヘテロシクロアルキル、(C2−C9)ヘテロアリール、フェニルおよびナフチル基は場合により水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1
−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される1または2個の置換基で置換され;
R5は水素、(C1−C6)アルキルまたはアミノであり;あるいは
R4およびR5はそれらが結合している窒素原子と一緒になって場合により水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、HO−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−、HO−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−O−(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−、(C1−C6)アルキル−(C=O)−O−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−、H(O=C)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(O=C)−、(C1−C6)アルキル(O=C)−(C1−C6)アルキル、NO2、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、[(C1−C6)アルキル]2アミノ、アミノ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルアミノ(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2アミノ(C1−C6)アルキル、H2N−(C=O)−、(C1−C6)アルキル−NH−(C=O)−、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−、H2N(C=O)−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−HN(C=O)−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−(C=O)−(C1−C6)アルキル、H(O=C)−NH−、(C1−C6)アルキル(C=O)−NH、(C1−C6)アルキル(C=O)−[NH](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル(C=O)−[N(C1−C6)アルキル](C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキル−S−、(C1−C6)アルキル−(S=O)−、(C1−C6)アルキル−SO2−、(C1−C6)アルキル−SO2−NH−、H2N−SO2−、H2N−SO2−(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルキルHN−SO2−(C1−C6)アルキル、[(C1−C6)アルキル]2N−SO2−(C1−C6)アルキル、CF3SO3−、(C1−C6)アルキル−SO3−、フェニル、(C3−C10)シクロアルキル、(C2−C9)ヘテロシクロアルキルおよび(C2−C9)ヘテロアリールからなる群より選択される1または2個の置換基で置換された(C2−C9)ヘテロシクロアルキル基を形成し;
gは0〜4の整数であり;
mは0、1、2、3または4であり;
nは0〜6の整数であり;そして
qは0、1、2、3または4であるが;但し
R4またはR5の一方が水素であり、R4またはR5の他方が(C1−C6)アルキルであり、R2が(C3−C10)シクロアルキルまたはイソプロピルであり、そしてR3が(C3−C5)アルキル、フェニル、メチルビニル、ジメチルビニル、ハロビニル、ヒドロキシ(C1−C3)アルキルまたはアミノ(C1−C4)アルキルである場合、R1はインドール−5−イル、6−アザインドール−2−イル、2,3−ジクロロ−ピロール−5−イル、4−ヒドロキシキノリン−3−イル、2−ヒドロキシキノキサリン−3−イル、6−アザインドリン−3−イル、または場合により置換されたインドール−2または3−イル以外でなければならない]を有するジヒドロキシヘキサン酸誘導体およびこのような化合物の薬学的に許容しうる塩からなる。
特に断りがなければ、本明細書に記載のアルキルおよびアルケニル基は本明細書に記載
の他の基(例えばアルコキシ)のアルキル部分と同様に直鎖状または分枝状であり、またこれらは環状(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル)であってもよく、または直鎖状若しくは分枝状であって、環状部分を含有してもよい。このようなアルキルおよびアルコキシ基は1、2または3個のハロゲンおよび/またはヒドロキシ原子、好ましくはフッ素原子で置換することができる。
特に断りがなければ、「ハロゲン」および「ハロゲン化物」はフッ素、塩素、臭素および沃素を包含する。
本明細書で使用される「(C3−C10)シクロアルキル」は0〜2個レベルの不飽和基を含有するシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエン、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ノルボルナニルなどを意味する。
本明細書で使用される「(C2−C9)ヘテロシクロアルキル」はピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チオピラニル、アジリジニル、オキシラニル、メチレンジオキシル、クロメニル、イソキサゾリジニル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、イソチアゾリジニル、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,3−ピラゾリジン−1−イル、ピペリジニル、チオモルホリニル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロチアジン−3−イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、テトラヒドロアゼピニル、ピペラジニル、クロマニルなどを意味する。当業者ならば、前記(C2−C9)ヘテロシクロアルキル環の結合が炭素またはsp3混成軌道の窒素ヘテロ原子を通してであることは理解されよう。
本明細書で使用される「(C2−C9)ヘテロアリール」はフリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、1,3,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,5−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、シンノリニル、プテリジニル、プリニル、6,7−ジヒドロ−5H−[1]ピリニジニル、ベンゾ[b]チオフェニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キノリン−3−イル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、チアナフテニル、イソチアナフテニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、インドリル、インドリジニル、インダゾリル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾキサジニルなどを意味する。当業者ならば、前記(C2−C9)ヘテロシクロアルキル環の結合が炭素原子またはsp3混成軌道の窒素ヘテロ原子を通してであることは理解されよう。
本明細書で使用される「アリール」はフェニルまたはナフチルを意味する。
「保護アミン」および「保護アミノ」は水素原子の1個が保護基(P)で置換されたアミン基を意味する。好適な保護基をアミン保護に使用することができる。好適な保護基にはカルボベンジルオキシ、t−ブトキシカルボニル(BOC)または9−フルオレニル−メチレンオキシカルボニルがある。
「薬学的に許容しうる」とは生物学的にまたは他の意味で望ましい物質を意味し、すなわち物質は望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、またはそれが含まれる医薬組成物の他の成分の何れかと有害に相互作用することなく選択された化合物と一緒に個体に投与することができる。
「患者」なる用語は個体を意味する。好ましくは、患者は哺乳動物、例えば霊長類、よ
り好ましくはヒトである。したがって、「患者」は家庭用ペット、家畜および実験動物を包含することができる。
一般に、「有効量」または「有効投与量」は所望の結果を達成するのに(症状を治療または予防するのに)必要な量を意味する。当業者ならば、効力、したがって「有効量」は本発明で使用される種々の化合物に応じて変動することは理解されよう。当業者は本化合物の効能を容易に評価することができる。
式CCR1−Iの化合物およびそれらの製造法は同一出願人による1998年2月5日に出願された米国特許出願番号No.09/380,269、1999年1月18日に出願された米国特許出願番号No.09/403,218、PCT公報No.WO98/38167およびPCT公報No.WO99/40061に開示されており、それらはすべて全体として参照により本明細書に加入される。
好ましい態様において、CCR1阻害剤は式CCR1−Iの下記化合物から選択される:
キノキサリン−2−カルボン酸4(R)−カルバモイル−1(S)−(3−クロロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
7,8−ジフルオロ−キノリン−3−カルボン酸(1S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル)−アミド;
6,7,8−トリフルオロ−キノリン−3−カルボン酸(1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−(3−フルオロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸(1(S)−ベンジル−2(S),7−ジヒドロキシ−4(R)−ヒドロキシカルバモイル−7−メチル−オクチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−(2−クロロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[1(S)−(2−フルオロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−4(R)−ヒドロキシカルバモイル−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−(2−フルオロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[1(S)−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−4(R)−ヒドロキシカルバモイル−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸(4(R)−カルバモイル−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−1(S)−ナフタレン−1−イルメチル−オクチル)−アミド;
7,8−ジフルオロ−キノリン−3−カルボン酸1(S)−ベンジル−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−4(R)−メチルカルバモイル−オクチル)−アミド;
8−フルオロ−キノリン−3−カルボン酸1(S)−ベンジル−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−4(R)−メチルカルバモイル−オクチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−7−フルオロ−1−(3(S)−フルオロ−ベンジル)−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1−(2(S)−フルオロ−ベンジル)−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[1(S)−ベンジル−4(S)−カルバモイル−4(S)−(2,6−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−2(S)−ヒドロキシ−ブチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−7−フルオロ−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−オクチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸1(S)−ベンジル−5−シクロヘキシル−2(S)−ヒドロキシ−4(R)−メチルカルバモイル−ペンチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸1(S)−シクロヘキシルメチル−2(S)−ヒドロキシ−7−メ
チル−4(R)−メチルカルバモイル−オクチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[1(S)−ベンジル−2(S)−ヒドロキシ−4(S)−ヒドロキシカルバモイル−4−(1−ヒドロキシ−4−メチル−シクロヘキシル)−ブチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[1(S)−ベンジル−4(S)−(4,4−ジフルオロ−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−2(S)−ヒドロキシ−4−ヒドロキシカルバモイル−ブチル]−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸[1(S)−ベンジル−4(S)−カルバモイル−4(S)−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキシル)−2(S)−ヒドロキシ−ブチル]−アミド;
キノリン−3−カルボン酸(1(S)−ベンジル−4(S)−カルバモイル−4−シクロヘキシル−2(S)−ヒドロキシ−ブチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸(4(R)−カルバモイル−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−1(S)−チオフェン−2−イルメチル−オクチル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−7−クロロ−2(S)−ヒドロキシ−オクタ−6−エニル)−アミド;
キノキサリン−2−カルボン酸1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−2(S)−ヒドロキシ−5−フェニル−ペンチル)−アミド;
N−1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−7−フルオロ−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−オクチル)−5,6−ジクロロ−ニコチンアミド;
キノキサリン−2−カルボン酸(4(R)−カルバモイル−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−1(S)−チアゾール−4(R)−イルメチル−オクチル)−アミド;
ベンゾチアゾール−2−カルボン酸1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−7−フルオロ−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−オクチル)−アミド;および
ベンゾフラン−2−カルボン酸1(S)−ベンジル−4(R)−カルバモイル−7−フルオロ−2(S)−ヒドロキシ−7−メチル−オクチル)−アミド。
他の態様において、式Ia−1の化合物はキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミドであり、少なくとも6個の結晶性形態A、B、C、D、EおよびFを有することがわかった。
結晶性形態A〜Fは何れかの好適な方法を使用して製造することができる。形態Aは半水和物であり、約1.5重量%の水分を有する。形態B、C、D、EおよびFはすべて実質的に無水である。溶媒系からの遊離塩基の結晶化は約20℃〜溶媒の還流温度付近の温度で行なわれる。
形態Bは溶媒、例えば塩化メチレン、メタノール、またはこれらの混合物中でキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド遊離塩基を結晶させることにより生成することができる。メタノールのような溶媒を蒸留により実質的に除去し、生成物をそれから結晶させる。好ましくは、結晶化は室温付近〜約45℃で行なわれる。結晶化した生成物はろ過および遠心分離を含む何れかの好適な方法を使用して集めることができる。次に、集められた結晶化生成物は好ましくは室温付近〜約45℃の温度で真空乾燥される。
形態Aは室温付近〜約45℃でイソプロピルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、エタノール、アセトン、メタノール、メチルエチルケトン、水、またはこれらの混合物から形態B、C、DまたはFを再結晶することにより生成することができる。結晶化溶媒中に水が存在すると無水形態B、C、DまたはFから形態Aへの変換が容易になる。
形態CおよびDは室温付近においてアセトニトリル中で、また室温より高い温度、好ましくは約45℃において酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびメチルt−ブチルエーテルの混合物中でキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド遊離塩基を結晶させることにより形成することができる。
形態EおよびFは室温付近〜約45℃において酢酸エチル中で結晶性キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミドの再結晶/再スラリー化により製造することができる。
形態A〜Fは典型的にそれらの単結晶X線回折パターン、粉末X線回折ピーク、DSC値および固体核磁気共鳴(ss−NMR)化学シフトにより同定される。
形態Eは形態A〜Eのうち室温で熱力学的に最も安定な結晶形態である。この結晶形態は表1に示される単結晶X線構造を有する。単結晶X線結晶学における測定単位の議論はInternational Tables for X−ray Crystallography, 第IV巻, 第55頁, 第99頁, 第149頁Birmingham:Kynoch出版社(1974年)に記載されている。X線回折データは銅放射線およびグラファイトモノクロメーターを備えたBruker X線回折装置を使用して室温で収集した。
Figure 2006500349
単結晶X線解析の結果はその名称が暗に示しているようにX線ビームに対して配置された1個の結晶に限定される。大きな結晶群についての結晶学的データは粉末X線回折パターンを与える。形態A〜Fは特徴的な粉末X線回折パターンを有する。形態A〜Fの粉末X線回折パターンはそれぞれ図7、9、11、13、15および17に表示されている。粉末X線回折を行なった実験条件は次の通りである:Cu陽極;波長1:1.54056;波長2:1.54439(相対強度:0.500);範囲#1−結合:3.000〜40.000;ステップサイズ:0.040;ステップ時間:1.00;平滑化幅:0.300;および閾値:1.0。
粉末X線回折パターンは高い強度のピークを示し、それは特定の結晶形態を同定するのに有用である。しかしながら、相対強度は結晶の大きさや形態を含むがこれらに限定されない幾つかの要因に依存する。したがって、相対強度の値は試料によって変動する。粉末X線回折値は一般に計測器および試験条件の僅かな変化による精度が±0.2以内の2θ°である。各結晶形態についての粉末X線回折パターンまたは回折ピークの集団は特徴が明らかにされていない結晶を比較するための定性試験を提供する。5%より大きい相対強度で検出された回折ピークを表2〜7に示す。
Figure 2006500349
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Figure 2006500349
Figure 2006500349
Figure 2006500349
Figure 2006500349
さらに、各形態は2θで高い強度のピークを有する:
形態A:10.1, 13.3, 17.5, 18.2および22.0
形態B:7.4, 11.0, 17.8, 23.1および26.1
形態C:16.4, 17.8, 18.1, 18.7および19.7
形態D:6.0, 16.8, 18.2, 18.8および20.0
形態E:15.2, 16.6, 18.5, 20.6および21.2
形態F:5.4, 15.6, 15.9, 18.1および22.3
単結晶構造データは結晶形態の細胞寸法および空間群を与える。これらのパラメーターはその結晶形態の理想的な粉末パターンをシミュレートするための基準として使用される。計算はSHELXTL Plusコンピュータープログラムを使用して行なうことができる;Siemens社のX線分析装置の参照マニュアル, 第10章, 第179〜181頁(1990年)。計算された粉末X線回折パターンおよび実験で得られた典型的な粉末X線回折パターンを比較して粉末試料が割り当てられた単結晶構造に相当するかどうかを確認する。この操作は結晶形態Eについて行なわれ、計算されたものと実験で得られた典型的な粉末X線回折パターンの適合は粉末試料と相当する単結晶構造の一致を示す(図19と表1、6および8を参照)。表8は単結晶データに基づく形態Eの計算された回折ピークを示す。
Figure 2006500349
示差走査熱量(DSC)分析はインジウムで較正されたTAインスツルメントDSC2920またはメトラーDSC821によって行なった。DSC試料はピンホールのあるアルミニウムパンに2〜4mgの物質を量り入れることにより作成した。試料を窒素下、5℃/分の速度で約30℃から約300℃まで加熱した。溶解吸熱の開始温度を溶融温度として記載した。形態A〜Fの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムはそれぞれ図8、10、12、14、16および18に示される。溶解吸熱の開始温度は他にも要因はあるが加熱速度、試料の純度、結晶および試料の大きさに依存する。典型的には、DSCの結果は精度が約±2℃以内、好ましくは約±1.5℃以内である。サーモグラムは下記のように解釈される。
図8に関して、形態Aは約139℃の開始温度である1個の主要な吸熱を示す。
図10に関して、形態Bは約160℃の開始温度である吸熱を示す。
図12に関して、形態Cは約154℃の開始温度である吸熱を示す。
図14に関して、形態Dは約156℃の開始温度である1個の主要な吸熱を示す。
図16に関して、形態Eは約163℃の開始温度である吸熱を示す。
図18に関して、形態Fは約188℃の開始温度である主要な吸熱を示す。
13C固体核磁気共鳴(ss−NMR)は各結晶形態について特徴的な13C化学シフトスペクトルを与える。形態A、BおよびEはss−NMRで分析され、それぞれ図20、21および22に表示されている。ss−NMRを測定した実験条件は次の通りである:125MHzの13C周波数に相当する11.75T分光計(Bruker Biospin社製, Billerica, MA)において周囲温度および圧力で操作する交差分極マジック角回転(CPMAS)プローブを使用して測定した。15kHzの最大速度で75mgの試料を収容する4mmのBL Brukerプローブを使用した。データを5.0Hzの指数関数的幅広化で処理した。100kHzのプロトンデカップリングを使用した。すべてのピークについて妥当な信号対ノイズ比を得るために十分な数のデータを取得して平均化した。典型的には、1500回のスキャンを行なったが、1サイクル実行で4.5秒遅延し、これは約2時間の全取得時間に相当する。マジック角は標準NMRメーカーの方法に従ってKBr粉末を使用して調整した。スペクトルは29.5ppmでのアダマンタン(ADMNT)の高磁場共鳴を基準にした。スペクトルウインドウは最小限度に220〜−10ppmのスペクトル領域を含む。約0〜50ppmおよび約110〜180ppmの13C化学シフトは結晶形態を同定するのに有用である。化学シフトデータは他にも要因はあるが試験条件(すなわち回転速度および試料ホルダー)、基準物質およびデータを処理するパラメーターに依存する。典型的には、ss−NMRの結果は精度が約±0.2ppm以内である。
形態A、BおよびEの13C化学シフトを図9に示す。
Figure 2006500349
結晶性形態A〜Fは適当な方法を使用して製造することができる。形態Aは半水和物であり、約1.5重量%の水分を有する。形態B、C、D、EおよびFはすべて実質的に無水である。溶媒系からの遊離塩基の結晶化は各形態について約20℃〜溶媒の還流温度、好ましくは約40℃〜約60℃の温度で行なわれる。典型的には、形態Bは非晶質固体から結晶化され、そして形態A、C、D、EおよびFは形態Bから結晶化される。
形態Bは溶媒、例えば塩化メチレン、メタノール、またはこれらの混合物中でキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド遊離塩基を結晶させることにより生成することができる。メタノールのような溶媒を蒸留により実質的に除去し、生成物をそれから結晶させる。好ましくは、結晶化は室温付近〜約45℃で行なわれる。結晶化した生成物はろ過および遠心分離を含む何れかの好適な方法を使用して集めることができる。次に、集められた結晶化生成物は好ましくは室温付近〜約45℃の温度で真空乾燥される。
形態Aは室温付近でイソプロピルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、エタノール、アセトン、メタノール、水、またはこれらの混合物中で形態Bを再結晶することにより生成することができる。さらに、ヘキサン、イソプロピルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセトン、水、またはそれらの混合物は室温より高い温度、好ましくは約45℃で使用することができる。
形態Cは室温付近においてアセトニトリル中で、また室温より高い温度、好ましくは約45℃においてテトラヒドロフランおよびメチルt−ブチルエーテルの混合物中で形態Bを再結晶することにより生成することができる。形態Dは室温より高い温度、好ましくは約45℃においてアセトニトリル中で形態Bを再結晶することにより生成することができる。
形態EおよびFは室温より高い温度、好ましくは約45℃において酢酸エチル中で形態Bを再結晶することにより生成することができる。この工程において、酢酸エチルを形態Bに加え、混合物を加熱還流する。場合によりヘキサンを加えて造粒および分離を容易にすることができる。別法として、塩化メチレンを使用してキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド遊離塩基を直接、形態Eに結晶化することができる。このような工程において、遊離塩基を適当な比率でヘキサンのような他の溶媒と組合せた塩化メチレン、好ましくは塩化メチレン(5容量)/ヘキサン(2容量)中で結晶させることができる。このような結晶化は室温付近〜約45℃で行なわれる。結晶化した生成物は塩化メチレンおよびメタノールに溶解し、次に共沸蒸留することにより再結晶することができる。場合により、ヘキサンのような他の溶媒を使用して結晶性生成物を集めることができる。
式(Ia−3)のキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミドは同時係属の1998年2月5日に出願された米国特許出願番号09/380,269および1999年1月18日に出願された米国特許出願番号09/403,218に記載のようにして製造される。さらに、式(Ia−3)のキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミドはスキーム1または2に従って製造することができる。
Figure 2006500349
スキーム1の工程5に示されるように、キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド(Ia−3)はラクトン基を開環し、トリフルオロ酢酸3−(5−[2−(3−フルオロ−フェニル)−1−[(キノキサリン−2−カルボニル)−アミノ]−エチル]−2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)−1,1−ジメチル−プロピルエステル(IIa2−3)のトリフルオロアセテート基を加水分解することにより生成する。これは化合物IIa2−3を約−10℃〜約35℃、好ましくは約30℃において有機溶媒中で無水のアンモニアと、または極性溶媒に加えた水酸化アンモニウムの水溶液としてのアンモニアと反応させることにより行なうことができる。好適な溶媒はアルコール、例えばメタノール、エタノールまたはブタノール;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、グライムまたはジオキサン;あるいは水性混合物を含むこれらの混合物である。好ましくは、溶媒はメタノールである。一態様において、化合物IIa2−3をアンモニア気体で飽和させたメタノールに溶解する。別の態様において、メタノール中の化合物IIa2−3を室温においてテトラヒドロフラン中の水酸化アンモニウムで処理する。
化合物IIa2−3はスキーム1の工程4でキノキサリン−2−カルボン酸{2−(3−フルオロフェニル)−1−[4−(3−メチル−ブタ−2−エニル)−5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル]−エチル}−アミド(IIIa2−3)のアルキレン基を水和させることにより製造される。この水和は何れかの好適な方法により行なうことができる。一態様において、化合物IIIa2−3を室温で塩化メチレン溶液中のトリフルオロ酢酸と反応させて化合物IIa2−3を生成する。室温で水和を完了させるのに数時間かかる。触媒量の硫酸を反応溶液に加えて反応速度を増加させることができる。
スキーム1の工程3に示されるように、化合物IIIa2−3は5−[1−アミノ−2−(3−フルオロフェニル)−エチル]−3−(3−メチル−ブタ−2−エニル)−ジヒドロフラン−2−オン、トシレート塩(IVa2−2)およびキノキサリン−2−カルボン酸またはキノキサリン−2−カルボニルクロライドをカップリングさせることにより生成する。このカップリング反応は一般に約−30℃〜約80℃、好ましくは約0℃〜約25℃で行なわれる。カップリング反応は酸官能基を活性化するカップリング試薬を使用して行なうことができる。典型的なカップリング試薬にはジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HBT)、N−3−ジメチルアミノプロピル−N'−エチルカルボジイミド(EDC/HBT)、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)/ジメチルアミノピリジン(DMAP)、およびジエチルホスホリルシアニドがある。カップリングは不活性溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルムまたはN,N−ジメチルホルムアミド中で行なわれる。1つの好ましい溶媒は塩化メチレンである。一態様において、キノキサリン酸を塩化メチレン、塩化オキサリルおよび触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドと化合させて酸塩化物複合体を生成する。約0℃〜約25℃の温度で酸塩化物複合体に化合物IVa2−2、次にトリエチルアミンを加えて化合物IIIa2−3を生成する。
化合物IVa2−2はスキーム1の工程2で{2−(3−フルオロフェニル)−1−[4−(3−メチル−ブタ−2−エニル)−5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル]−エチル}−t−ブトキシカルボニル−保護アミン(IVa1−2)を脱保護することにより生成する。何れかの好適な酸性脱保護反応を行なうことができる。例えば、酢酸エチル中における過剰のp−トルエンスルホン酸水和物を室温で化合物IVa1−2に加える。好適な溶媒は酢酸エチル、アルコール、テトラヒドロフラン、およびこれらの混合物である。反応は周囲温度または高温で進行する。典型的には、反応は実質的に2〜12時間以内で完了する。得られた化合物IVa2−2を結晶化し、反応混合物から分離することができ、さらに温酢酸エチルから再結晶することにより精製して不純物を除去することができる。
スキーム1の工程1に示されるように、化合物IVa1−2は4−ハロ−2−メチル−2−ブテン(ハロはヨード、ブロモまたはクロロである)を好適な塩基の存在下で[2−(3−フルオロフェニル)−1−(5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル)−エチル]−保護アミン(V−2)と反応させることにより製造される。
典型的な塩基はリチウムジアルキルアミド、例えばリチウムN−イソプロピル−N−シクロヘキシルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジイソプロピルアミドおよび水素化カリウムである。好適な溶媒は非プロトン性極性溶媒、例えばエーテル(例えばテトラヒドロフラン、グライムまたはジオキサン)、ベンゼンまたはトルエン、好ましくはテトラヒドロフランである。前記反応は約−78℃〜約0℃の温度、好ましくは約−78℃で行なわれる。一態様において、ラクトン(V−2)のアルキル化は約−78℃〜約−50℃の温度でラクトン(V−2)をテトラヒドロフラン中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドおよび臭化ジメチルアリルと反応させることにより行なわれる。反応時間は数時間であり、またはジメチルイミダゾリジノンのような添加物が存在する場合、反応は数分で完了する。
スキーム2はキノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド(Ia−3)を製造するための別の反応工程を示す。
Figure 2006500349
スキーム2において、キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]−アミド(Ia−3)はキノキサリン−2−カルボン酸{2−(3−フルオロフェニル)−1−[4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブチル)−5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−エチル}−アミド(IIa1−3)のラクトン基を開環することにより生成する。これは化合物IIa1−3を約−10℃〜約35℃、好ましくは約30℃において有機溶媒中で無水のアンモニア、または極性溶媒に加えた水酸化アンモニウムの水溶液としてのアンモニアと反応させることにより行なうことができる。好適な溶媒はアルコール、例えばメタノール、エタノールまたはブタノール;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、グライムまたはジオキサン、水;およびこのような溶媒の混合物である。好ましくは、溶媒はメタノールである。一態様において、化合物IIa1−3をアンモニア気体で飽和させたメタノールに溶解する。別の態様において、メタノール中の化合物IIa1−3を室温においてテトラヒドロフラン中の水酸化アンモニウムで処理する。
化合物IIa1−3はスキーム2の工程3で5−[1−アミノ−2−(3−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブチル)−ジヒドロ−フラン−2−オン(IIIa1−2)およびキノキサリン−2−カルボン酸キノキサリン−2−カルボニルクロライドをカップリングさせることにより製造される。このカップリング反応は一般に約−30℃〜約80℃、好ましくは約0℃〜約25℃の温度で行なわれる。カップリング反応は酸官能基を活性化するカップリング試薬を使用して行なうことができる。典型的なカップリング試薬にはジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HBT)、N−3−ジメチルアミノプロピル−N'−エチルカルボジイミド(EDC/HBT)、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)およびジエチルホスホリルシアニドがある。カップリングは不活性溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルムまたはN,N−ジメチルホルムアミド中で行なわれる。1つの好ましい溶媒はテトラヒドロフランである。一態様において、キノキサリン酸を無水テトラヒドロフラン中でCDIと化合させ、加熱してアシルイミダゾールを得る。化合物IIIa1−2を室温でアシルイミダゾールに加えて化合物IIa1−3を生成する。
化合物IIIa1−2はアルキレン二重結合を水和させ、{2−(3−フルオロフェニル)−1−[4−(3−メチル−ブタ−2−エニル)−5−オキソ−テトラヒドロフラン−2−イル]−エチル}−t−ブトキシカルボニル−保護アミン(IVa1−2)を脱保護することにより生成する。典型的には、この工程はリン酸を化合物IVa1−2と反応させることにより行なわれる。好ましくは、この反応は好適な溶媒、例えば非アルコール性溶媒中で行なわれる。2つの好ましい溶媒はテトラヒドロフランおよびジクロロメタンである。反応は好適な温度、好ましくは約−25℃〜約120℃、より好ましくは約15℃〜約40℃で行なわれる。反応時間は他にも要因はあるが温度およびバッチサイズに依存し、典型的に反応時間は約2時間〜約14時間である。
スキーム2の工程1に示される化合物IVa1−2の製造はスキーム1の工程1に示される化合物V−2を使用する化学反応と同じである。
特に断りがなければ、上記反応の各圧力は決定的ではない。一般に、反応は約1〜約3気圧、好ましくは周囲圧力(約1気圧)の圧力で行なわれる。
濃度を高めるポリマー
本組成物はまた、濃度を高めるポリマーを含有する。「濃度を高める」とは本組成物が最小限で同等量の結晶性薬剤からなり、濃度を高めるポリマーを含まない対照と比べて改善されたAUC、最大薬剤濃度または相対的生体利用性を与えるのに十分な量で存在するポリマーの種類を意味する。濃度を高めるポリマーは薬学的に許容しうるものであり、生理学的に関連するpH(例えばpH1〜8)の水溶液に対して少なくとも幾らかの溶解度を有する必要がある。1〜8のpH範囲の少なくとも一部で少なくとも0.1mg/mLの水溶解度を有する殆んどの中性またはイオン性ポリマーが好適である。
濃度を高めるポリマーは本質的に「両親媒性」であることが好ましく、それはポリマーが疎水性および親水性部分を有することを意味する。このようなポリマーは薬剤と比較的強い相互作用を有する傾向があり、溶液中で様々なタイプのポリマー/薬剤集合体の形成を促進すると考えられるため、両親媒性ポリマーが好ましい。
特に好ましい類の両親媒性ポリマーはイオン性ポリマーであり、このようなポリマーのイオン性部分はイオン化されるとポリマーの親水性部分の少なくとも一部を構成する。例えば、特定の理論により拘束されることを望まないが、このようなポリマー/薬剤集合体はポリマーの疎水性領域が内側の薬剤に向かい、ポリマーの親水性領域が外側の水性環境に向かう濃度を高めるポリマーにより囲まれた疎水性薬剤の集団からなる。あるいは、ポリマーは薬剤がポリマーコロイドの表面、特に表面の疎水性部分に吸着したコロイド構造を形成することができる。あるいは、薬剤の特定の化学的性質に応じて、ポリマーのイオン化された官能基は例えばイオン対または水素結合を通して薬剤のイオン性または極性基と結合することができる。イオン性ポリマーの場合、ポリマーの親水性領域はイオン化された官能基を含有する。
さらに、このようなポリマー(ここでポリマーはイオン性である)のイオン化された基の同じ電荷の反発はポリマー/薬剤の集合体またはコロイドの大きさをナノメートルまたはサブミクロンのスケールに制限するのに役立つ。溶液中のこのような薬剤/濃度を高めるポリマーの集合体は帯電したポリマーのミセル様構造またはコロイドとよく似ている。何れにせよ、作用機構に関わらず、本発明者らはこのような両親媒性ポリマー、特に下記で挙げたようなイオン性セルロース系ポリマーが薬剤と相互作用して水性使用環境で薬剤の高い濃度を維持することを見い出した。
ある種の濃度を高めるポリマーは非イオン性(中性)の非セルロース系ポリマーからなる。典型的なポリマーはヒドロキシル、アルキルアシルオキシおよび環状アミドからなる群より選択される少なくとも1個の置換基を有するビニルポリマーおよびコポリマー;その繰り返し単位の少なくとも一部が非加水分解(ビニルアセテート)形態であるポリビニルアルコール;ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー;ポリビニルピロリドン;ポロキサマーとしても知られているポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー;並びにポリエチレンポリビニルアルコールコポリマーである。
好ましい中性非セルロース系ポリマー類は少なくとも1個の親水性ヒドロキシル−含有繰り返し単位および少なくとも1個の疎水性アルキル−またはアリール−含有繰り返し単位を有するビニルコポリマーからなる。このような中性ビニルコポリマーは「両親媒性のヒドロキシル−官能性ビニルコポリマー」と呼ばれる。両親媒性のヒドロキシル−官能性ビニルコポリマーは良好な溶解のために疎水性の難溶解性薬剤と相互作用する十分な疎水性基と、さらに十分な水溶性を示す十分な親水性基の両方を有するこれらのコポリマーの両親媒性により高い濃度増加をもたらすと考えられる。両親媒性のヒドロキシル−官能性ビニルコポリマーのコポリマー性構造はそれらの親水性および疎水性を調整して特定の難溶解性薬剤の溶解性を最大にすることもできる。
好ましいコポリマーは一般構造式
Figure 2006500349
[式中、AおよびBはそれぞれ「親水性ヒドロキシル−含有」置換基および「疎水性」置換基を示し、そしてnおよびmはそれぞれポリマー分子1個あたりの親水性ビニル繰り返し単位の平均数および疎水性ビニル繰り返し単位の平均数を示す]を有する。コポリマーはブロックコポリマー、ランダムコポリマーであるか、これらの2つの極端の間の何れかの構造を有する。nおよびmの合計は一般に約50〜約20,000であり、したがってポリマーは約2,500〜約1,000,000ダルトンの分子量を有する。
親水性のヒドロキシル−含有繰り返し単位「A」は単にヒドロキシル(−OH)であるか、1個またはそれ以上のヒドロキシルが結合した1〜6個の炭素の短鎖アルキルである。ヒドロキシル−置換アルキルは炭素−炭素またはエーテル結合を通してビニル骨格に結合することができる。すなわち、典型的な「A」構造はヒドロキシルそれ自体の他に、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシおよびヒドロキシプロポキシを包含する。
疎水性置換基「B」は単に水素(−H)であり、その場合の疎水性繰り返し単位はエチレンであり;炭素−炭素結合を通して結合する12個までの炭素のアルキルまたはアリール置換基、例えばメチル、エチルまたはフェニル;エーテル結合を通して結合する12個までの炭素のアルキルまたはアリール置換基、例えばメトキシ、エトキシまたはフェノキシ;エステル結合を通して結合する12個までの炭素のアルキルまたはアリール置換基、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレートまたはベンゾエートである。本発明の両親媒性ヒドロキシル−官能性ビニルコポリマーは置換ビニルコポリマーを製造するために使用される慣用の方法により合成することができる。ポリビニルアルコール/ポリビニルアセテートのような幾つかの置換ビニルコポリマーがよく知られており、商業的に入手可能である。
合成するのに特に好都合なサブクラスの両親媒性ヒドロキシル−官能性ビニルコポリマーは疎水性置換基「B」がAの1個またはそれ以上のヒドロキシルとのエステル結合を通してアルキレートまたはアリーレート基が結合した親水性置換基「A」を含むものである。このようなコポリマーは最初に置換基Bを有する疎水性ビニル繰り返し単位のホモポリマーを生成し、次にエステル基の一部を加水分解して疎水性繰り返し単位の一部を置換基Aを有する親水性のヒドロキシル−含有繰り返し単位に変換することにより合成することができる。例えば、ホモポリマーのポリビニルブチレートを部分的に加水分解するとコポリマー、すなわちAがヒドロキシル(−OH)であり、Bがブチレート(−OOC−CH2−CH2−CH3)であるビニルアルコール/ビニルブチレートコポリマーが得られる。
すべてのタイプのコポリマーにおいて、得られるコポリマーが少なくとも部分的に水溶性であるにはmの値と比べてnの値は十分に大きくなければならない。n/m比の値はAおよびBの特性に応じて変化するが、一般には少なくとも約1であり、より一般的には約2またはそれ以上である。n/m比は200までなりうる。コポリマーが疎水性ホモポリマーの加水分解により生成する場合、nおよびmの相対値は典型的に「加水分解率」で記載され、それは加水分解したまたはヒドロキシル形態であるコポリマーの全繰り返し単位の割合(百分率で表される)である。加水分解率Hは H=100×n/(n+m) として与えられる。したがって、75%の加水分解率を有するビニルブチレート/ビニルアルコールコポリマー(ブチレート基の一部の加水分解により生成する)は3のn/m比を有する。
特に好ましい両親媒性のヒドロキシル−官能性ビニルコポリマー群はAがヒドロキシルであり、Bがアセテートであるコポリマーである。このようなコポリマーはビニルアセテート/ビニルアルコールコポリマーと呼ばれる。幾つかの商用銘柄は単にポリビニルアルコールと呼ばれることもある。しかしながら、真のホモポリマーであるポリビニルアルコールは両親媒性ではなく、ほぼ完全に水不溶性である。好ましいビニルアセテート/ビニルアルコールコポリマーはHが約67%〜99.5%である、またはn/mが約2〜200の値を有するものである。好ましい平均分子量は約2500〜1,000,000ダルトンであり、より好ましくは約3000〜約100,000ダルトンである。
本発明で使用するのに適した他のポリマー類はイオン性非セルロース系ポリマーからなる。典型的なポリマーはカルボン酸官能化ビニルポリマー、例えばカルボン酸官能化ポリメタクリレートおよびカルボン酸官能化ポリアクリレート、例えばRohm Tech社(マサチューセッツ州モールデン)により製造されたEUDRAGITS;アミン−官能化ポリアクリレートおよびポリメタクリレート;タンパク質、例えばゼラチンおよびアルブミン;並びにカルボン酸官能化スターチ、例えばスターチグリコレートである。両親媒性である非セルロース系ポリマーは比較的親水性であり、比較的疎水性であるモノマーのコポリマーである。例えばアクリレートおよびメタクリレートコポリマーがある。このようなコポリマーの典型的な商用銘柄にはメタクリレートおよびアクリレートのコポリマーであるEUDRAGITSがある。
好ましいポリマー類はポリマーが各置換基について少なくとも0.05の置換度を示す少なくとも1個のエステル−および/またはエーテル−結合置換基を有するイオン性および中性(または非イオン性)セルロース系ポリマーからなる。本明細書で使用されるポリマーの命名において、エーテル−結合置換基はエーテル基に結合した部分として「セルロース」の前に置かれ、例えば「エチル安息香酸セルロース」はエトキシ安息香酸置換基を有することに注目すべきである。同様に、エステル−結合置換基はカルボキシレートとして「セルロース」の後に置かれ、例えば「セルロースフタレート」は各フタレート部分の一方のカルボン酸がポリマーにエステル結合し、他方のカルボン酸が未反応である。
「セルロースアセテートフタレート」(CAP)のようなポリマー名はエステル結合を通してセルロース系ポリマーのヒドロキシル基と有意な割合で結合したアセテートおよびフタレート基を有するセルロース系ポリマー群の何れかを意味する。一般に、ポリマーの他の基準を満たす限り各置換基の置換度は0.05〜2.9の範囲である。「置換度」はセルロース鎖の糖繰り返し単位1個につき3個のヒドロキシルのうち置換された平均数を意味する。例えば、セルロース鎖上のすべてのヒドロキシルがフタレート置換された場合、そのフタレートの置換度は3である。ポリマーの性質を実質的に変えない比較的少量の置換基がさらに加えられたセルロース系ポリマーもまた各種のポリマー類に含まれる。
両親媒性セルロースは親のセルロース系ポリマーがそれぞれの糖繰り返し単位に存在す
る3個のヒドロキシル基の何れかまたはすべてで少なくとも1個の比較的疎水性の置換基と置換されたポリマーからなる。本質的に、疎水性置換基は十分に高いレベルまたは置換度まで置換された場合、セルロース系ポリマーを本質的に水不溶性にすることができる置換基である。疎水性置換基の例はエーテル−結合アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなど;またはエステル−結合アルキル基、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレートなど;並びにエーテル−および/またはエステル−結合アリール基、例えばフェニル、ベンゾエートまたはフェニレートである。ポリマーの親水性領域は未置換ヒドロキシルそれ自体が比較的親水性であるため比較的未置換の部分であるか、または親水性置換基で置換された領域である。親水性置換基にはエーテル−またはエステル−結合する非イオン性基、例えばヒドロキシアルキル置換基、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびアルキルエーテル基、例えばエトキシエトキシまたはメトキシエトキシがある。特に好ましい親水性置換基はカルボン酸、チオカルボン酸、置換フェノキシ基、アミン、ホスフェートまたはスルホネートのようなエーテル−またはエステル−結合するイオン性基である。
あるセルロース系ポリマー類は中性ポリマーからなり、それはポリマーが水溶液中で実質的に非イオン性であることを意味する。このようなポリマーはエーテル−結合またはエステル−結合する非イオン性置換基を含有する。典型的なエーテル−結合する非イオン性置換基はアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなど;ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなど;およびアリール基、例えばフェニルである。典型的なエステル−結合する非イオン性置換基はアルキル基、例えばアセテート、プロピオネート、ブチレートなど;およびアリール基、例えばフェニレートである。しかしながら、アリール基が含まれる場合、ポリマーが生理学的に関連するpH1〜8で少なくとも幾らかの水溶解度を有するようにポリマーは十分な量の親水性置換基を含有する必要がある。
ポリマーとして使用することができる典型的な非イオン性(中性)セルロース系ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテートおよびヒドロキシエチルエチルセルロースである。
好ましい中性セルロース系ポリマー類は両親媒性であるポリマーである。典型的なポリマーは未置換ヒドロキシルまたはヒドロキシプロピル置換基と比べて比較的高い数のメチルまたはアセテート置換基を有するセルロース繰り返し単位がポリマーの他の繰り返し単位と比べて疎水性領域を構成するヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースアセテートである。
好ましいセルロース系ポリマー類は生理学的に関連するpHで少なくとも部分的にイオン性であり、エーテル−結合またはエステル−結合する少なくとも1個のイオン性置換基を含有するポリマーである。典型的なエーテル−結合するイオン性置換基はカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、サリチル酸;アルコキシ安息香酸、例えばエトキシ安息香酸またはプロポキシ安息香酸;アルコキシフタル酸の種々の異性体、例えばエトキシフタル酸およびエトキシイソフタル酸;アルコキシニコチン酸の種々の異性体、例えばエトキシニコチン酸;ピコリン酸の種々の異性体、例えばエトキシピコリン酸など;チオカルボン酸、例えばチオ酢酸;置換フェノキシ基、例えばヒドロキシフェノキシなど;アミン、例えばアミノエトキシ、ジエチルアミノエトキシ、トリメチルアミノエトキシなど;ホスフェート、例えばホスフェートエトキシ;並びにスルホネート、例えばスルホネートエトキシである。典型的なエステル結合するイオン性置換基はカルボン酸、例えばスクシネート、シトレート、フタレート、テレフタレート、イソフタレート、トリメリテート、およびピリジンジカルボン酸の種々の異性体など;チオカルボン酸、例えばチオスクシネート;置換フェノキシ基、例えばアミノサリチル酸;アミン、例えば天然または合成アミノ酸、例えばアラニンまたはフェニルアラニン;ホスフェート、例えばアセチルホスフェート;並びにスルホネート、例えばアセチルスルホネートである。必要な水溶解度を有する芳香族−置換ポリマーの場合、少なくともイオン性基がイオン化されるpH値でポリマーを水溶性にするのに十分な親水性基、例えばヒドロキシプロピルまたはカルボン酸官能基をポリマーと結合させることも望ましい。場合により、芳香族置換基はそれ自体がイオン性であってもよく、例えばフタレートまたはトリメリテート置換基である。
生理学的に関連するpHで少なくとも部分的にイオン化される典型的なセルロース系ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルローススクシネート、ヒドロキシエチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートスクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート、およびエチルピコリン酸セルロースアセテートである。
親水性および疎水性領域を有し、両親媒性の定義を満たす典型的なセルロース系ポリマーは1個またはそれ以上のアセテート置換基を有するセルロース繰り返し単位がアセテート置換基を持たない、あるいは1個またはそれ以上のイオン化フタレート若しくはトリメリテート置換基を有するものと比べて疎水性であるセルロースアセテートフタレートおよびセルロースアセテートトリメリテートのようなポリマーである。
特に望ましいイオン性セルロース系ポリマー類はカルボン酸官能性芳香族置換基およびアルキレート置換基の両方を有する、すなわち両親媒性であるポリマーである。典型的なポリマーはセルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートスクシネート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリ
メリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートスクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート、およびエチルピコリン酸セルロースアセテートである。
他の特に望ましいイオン性セルロース系ポリマーは非芳香族カルボキシレート置換基を有するものである。典型的なポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルローススクシネート、およびヒドロキシエチルセルロースアセテートスクシネートである。生理学的に関連するpHで少なくとも部分的にイオン化されるこれらのセルロース系ポリマーのうち、本発明者らは次のポリマー:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテートおよびカルボキシメチルエチルセルロースが最も好ましいことを見い出した。最も好ましいのはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートである。
他の好ましいポリマー類は中和された酸性ポリマーからなる。「中和された酸性ポリマー」とはその「酸性部分」または「酸性置換基」が有意な割合で「中和された」;すなわち脱プロトン化形態で存在する酸性ポリマーを意味する。「中和された酸性セルロース系ポリマー」とはその「酸性部分」または「酸性置換基」が有意な割合で「中和された」セルロース系「酸性ポリマー」を意味する。「酸性ポリマー」とは有意な数の酸性部分を有するポリマーを意味する。一般に、有意な数の酸性部分はポリマー1gあたり約0.1ミリ当量以上の酸性部分である。「酸性部分」は水と接触すると、または水に溶解すると少なくとも部分的に水素カチオンを水に放出して水素−イオン濃度を増加させることができるほど十分に酸性である官能基を含む。この定義は官能基がポリマーに共有結合している時にポリマーが約10未満のpKaを有するような官能基または「置換基」を包含する。上記の説明に含まれる典型的な官能基はカルボン酸、チオカルボン酸、ホスフェート、フェノール基およびスルホネートである。このような官能基はポリアクリル酸のようなポリマーの一次構造を構成するが、より一般には親ポリマーの骨格に共有結合しており、そのため「置換基」と呼ばれる。中和された酸性ポリマーは2001年6月22日に出願された「薬剤および中和された酸性ポリマーの医薬組成物」と称する同一出願人による同時係属仮特許米国出願番号No.60/300,256に詳細に記載されており、その関連した開示は参照により本明細書に加入される。
本組成物のガラス転移温度は本組成物を構成する物質のガラス転移温度に依存する。組成物を生成するのに使用される主要な物質の1つは濃度を高めるポリマーであり、薬剤のガラス転移温度は比較的低いことが多いため、濃度を高めるポリマーは比較的高いガラス転移温度を有するように選択される。したがって、ポリマーは少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも85℃、さらにより好ましくは100℃以上で約50%の相対湿度を有する湿った空気で平衡させた時のガラス転移温度を有する。高いTgを有するポリマーの例はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートトリメリテートおよびカルボキシメチルエチルセルロースである。
特定のポリマーは本発明の組成物で使用するのに好適であることを述べたが、このようなポリマーのブレンドもまた好適である。したがって、「濃度を高めるポリマー」なる用語は単独種のポリマーの他にポリマーのブレンドを包含する。
賦形剤および投与形態
本組成物中に存在する重要な成分は単に半順序状態の薬剤および濃度を高めるポリマーであるが、組成物中に他の賦形剤を含有することは有用である。これらの賦形剤は組成物を錠剤、カプセル剤、座剤、懸濁剤、懸濁用粉末、クリーム剤、経皮パッチ剤、デポー剤などに製剤化するために本組成物で使用することができる。
組成物は本質的に薬剤を実質的に変えない何れかの方法で他の投与形態の成分に加えることができる。賦形剤は組成物から分離しているか、または組成物中に含ませることができる。
1つの非常に有用な賦形剤は界面活性剤である。好適な界面活性剤には脂肪酸およびアルキルスルホネート;工業用界面活性剤、例えば塩化ベンズアルコニウム(HYAMINE(登録商標)1622(Lonza社(ニュージャージー州フェアローン)から入手できる);ジオクチルナトリウムスルホスクシネート,DOCUSATE SODIUM(登録商標)(Mallinckrodt Spec. Chem.(ミズーリ州セントルイス)から入手できる);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(TWEEN(登録商標):ICIアメリカ社(デラウェア州ウィルミントン)から入手できる;Lipochem社(ニュージャージー州パターソン)から入手できるLIPOSORB(登録商標) P−20;Abitec社(ウィスコンシン州ジェーンズビル)から入手できるCAPMUL(登録商標)POE−0、並びに天然界面活性剤、例えばナトリウムタウロコール酸、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、レシチンおよび他のリン脂質、モノ−およびジグリセリドがある。このような物質は湿潤を促進して最大溶解濃度を増加させることにより溶解速度を増加させ、さらに錯体化、包接複合体の生成、ミセルの生成のような機構により溶解した薬剤と相互作用することにより、あるいは結晶性若しくは非晶質の固体薬剤の表面に吸着することにより薬剤の結晶化または沈澱を阻害するのに有利に使用することができる。これらの界面活性剤は組成物の最大5重量%を占める。
酸、塩基または緩衝剤のようなpH調節剤の添加もまた有利であり、それは組成物の溶解を遅らせ(例えば濃度を高めるポリマーがアニオン性である場合、クエン酸またはコハク酸のような酸)、または組成物の溶解速度を促進する(例えばポリマーがカチオン性である場合、酢酸ナトリウムまたはアミンのような塩基)。
慣用のマトリックス物質、錯化剤、可溶化剤、充填剤、崩壊剤または結合剤もまた組成物それ自体の一部として加えることができ、あるいは湿式造粒、機械的または他の手段により加えることができる。これらの物質は組成物の最大90重量%を占める。
マトリックス物質、充填剤または希釈剤の例はラクトース、マンニトール、キシリトール、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸ジカルシウムおよびスターチである。
崩壊剤の例はナトリウムスターチグリコレート、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースおよびクロスカルメロースナトリウム、並びにCROSPOVIDONE(BASF社から入手できる)の商品名で販売されているもののような架橋形態のポリビニルピロリドンである。
結合剤の例はメチルセルロース、微結晶性セルロース、スターチ、およびグアールガムまたはトラガカントのようなゴムである。
潤滑剤の例はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸である。
保存剤の例は亜硫酸塩(酸化防止剤)、塩化ベンズアルコニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコールおよび安息香酸ナトリウムである。
懸濁化剤または増粘剤の例はキサンタンゴム、スターチ、グアールガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよび二酸化チタンである。
固化防止剤または充填剤の例は酸化ケイ素およびラクトースである。
可溶化剤の例はエタノール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである。
当該技術分野でよく知られている賦形剤を含む他の慣用の賦形剤は本発明の組成物で使用することができる。一般に、顔料、潤滑剤、芳香剤などのような賦形剤は通常の目的のために組成物の特性に悪影響を与えない典型的な量で使用することができる。これらの賦形剤は組成物を錠剤、カプセル剤、懸濁剤、懸濁用粉末、クリーム剤、経皮パッチ剤などに製剤化するために使用することができる。
本発明の組成物は経口、鼻、直腸、膣、皮下、静脈内および肺を含む広範囲の経路により送達することができるが、これらに限定されない。一般に、経口投与が好ましい。
本発明の組成物はまた、薬剤を投与するために多種多様の投与形態で使用することができる。典型的な投与形態は経口的に摂取することができる乾燥した、あるいは水または他の液体の添加により再構成してペースト、スラリー、懸濁液または溶液を生成する粉末または顆粒剤;錠剤;カプセル剤;微粒剤;および丸剤である。種々の添加剤を本発明の組成物と混合、粉砕または粒状化して上記投与形態に適した物質を形成することができる。
本発明の組成物は薬剤投与による治療を受ける如何なる症状を治療するために使用することができる。
本発明の他の特徴および態様は次の実施例から明らかにされるが、それらは本発明の例示であり、その対象とする範囲を制限するものではない。
〔実施例1Aおよび1B〕
(+)−N−{3−[3−(4−フルオロフェノキシ)フェニル]−2−シクロペンテン−1−イル}−N−ヒドロキシ尿素(薬剤1)およびポリマーヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の初期非晶質固体分散体は最初に薬剤1を溶媒中でHPMC(E3 Prem LVグレード、Dow Chemical社製)と混合して溶液を生成することにより製造した。Cole Parmer 74900 シリーズの流量制御シリンジポンプを使用して溶液を1.3mL/分の速度で小型スプレー乾燥装置に注ぎ込むことにより0.25重量%の薬剤1、0.25重量%のHPMC、49.75重量%のアセトンおよび49.75重量%のメタノールを含有する溶液をスプレー乾燥した。スプレー乾燥装置はSpraying Systems社の二流体ノズル、型番SU1Aを備え、噴霧ガスとして窒素を使用した。窒素を加圧し、100℃の温度まで加熱した。溶液を直径11cmのステンレス室の上部からスプレーした。得られるスプレー乾燥した非晶質固体分散体をワットマン(登録商標) 1ろ紙上に集め、真空下で乾燥し、デシケーターで保存した。非晶質固体分散体は幅広い粒度分布を有する平均直径が約1.5μmの小粒子形態であった。乾燥した後、非晶質固体分散体は50重量%の薬剤1を含有していた。
相対湿度の関数としてのガラス転移温度(Tg)をこのスプレー乾燥した分散体について測定した。その結果はTgを相対湿度の関数としてプロットする図1に示す。(特定のRHで)1.0以下のTg/T値を与えた処理条件は薬剤が分解することなく薬剤の好適な半順序状態を達成するように選択した。高い温度(約40℃(313K)より高い)で非晶質状態の薬剤1が化学分解するために、40℃/88%RHを処理条件として選択した。これは0.942のTg/T値を与えた。スプレー乾燥した分散体を40℃/88%RHの制御された温度/湿度室で12時間処理して実施例1Aを形成した。
薬剤1およびHPMCの第2の非晶質固体分散体を上記実施例1Aに記載のようにして最初に溶液を生成することにより製造した。溶液を噴霧スプレーから80g/分の供給速度で71バールで圧力噴霧ノズルSK−76−16型を使用して入り口が130℃の温度に維持されたNiro PSD−1スプレー乾燥器のステンレス室に向け、乾燥ガスとして窒素を使用してスプレー乾燥し、乾燥ガスおよび蒸発させた溶剤を60℃で乾燥器から排出した。
得られた非晶質固体分散体をサイクロンにより集め、Gruenberg溶媒トレー乾燥器においてスプレー乾燥した粒子をポリエチレンで裏打ちしたトレー上に1cm以下の深さまで広げ、それらを40℃で少なくとも8時間乾燥することにより乾燥した。非晶質固体分散体は広い粒度分布を有する平均直径が約15μmの小粒子形態であった。乾燥した後、非晶質固体分散体は50重量%の薬剤1を含有していた。この第2の初期非晶質固体分散体を40℃/88%RHの制御された温度/湿度室で12時間処理して実施例1Bを形成した。
〔対照1A〕対照1Aは高い温度および湿度で後処理されていない実施例1Aを形成するために使用される初期非晶質固体分散体からなる。
〔対照1B〕対照1Bは高い温度および湿度で後処理されていない実施例1Bを形成するために使用される第2の初期非晶質固体分散体からなる。
〔対照1C〕対照1Cは結晶性薬剤1からなる。走査電子顕微鏡(SEM)による結晶性薬剤の分析は幾つかの1μm×5μmの針状結晶および多数の100μm×20μm結晶ブロックを示した。
〔対照1D〕対照1Dはジェットミルで粉砕した結晶性薬剤1からなり、得られた結晶はSEM分析により測定して200nmの球形結晶〜10μmの板状結晶と様々な大きさであった。
〔対照1E〕対照1Eは同量のジェットミルで粉砕した薬剤1およびHPMCの混合物からなる。
実施例1B並びに対照1B、1Cおよび1Dの粉末X線回折分析
Bruker AXS D8 Advance回折計を使用して実施例1B並びに対照1B、1Cおよび1Dの粉末X線回折を測定した。試料(約100mg)をバックグラウンド信号が出ないようにカップの底部としてSi(511)プレートを取付けたLucite試料カップに詰めた。試料を30rpmの速度においてφ平面で回転させて結晶の配向効果を最小限にした。X線源(KCuα, λ=1.54Å)を45kVの電圧および40mAの電流で動作させた。各試料のデータを連続検出器の走査モードにおいて1.8秒/ステップの走査速度および0.04°/ステップのステップサイズで27分間にわたって集めた。ディフラクトグラムを4°〜30°の2θ範囲で集めた。
その結果を図2に示す。各パターン10〜40のベースラインを互いにシフトさせてパターンを同じ図で別々に見ることができるようにした。対照1Bは非晶質ハロゲンだけを示す回折パターン10を与え、対照1Cは鋭いピークを示すパターン30を与え、そして対照1Dは対照1Cのものより幾らか幅広いピークを示すパターン40を与えた。実施例1Bは結晶性薬剤1(対照1C)のピークと同じ2θ値で回折ピークを示した。しかしながら、対照1Cに存在するピークのすべてが実施例1Bのパターンに存在したわけでなく、その存在したピークは結晶性薬剤のものより幅広かった。実施例1Bは18.8°の2θでの主要ピークについて対照1Cの結晶性薬剤の約2.0倍である半値幅を与えた。
実施例1Bのディフラクトグラムパターン20に存在するピーク幅を使用し、Scherrer式:
Figure 2006500349
に従って実施例1Bの半順序領域の特性サイズを概算した。ここでDは半順序領域の特性サイズであり、Kは領域の形状係数(0.9と想定)であり、λは使用したX線の波長(1.54Å)であり、Bτはラジアンで表された試料(実施例1B)および結晶性標準(対照1C)のピークの半値幅の差であり、そして2θはピークの回折角である(この式は立方結晶格子について単位細胞長の特性サイズを計算する。半順序領域は立方結晶格子ではないと考えられるが、それでも計算された特性サイズは半順序領域の大きさを概算すると思われる)。
対照1Cにおいて、18.8°の2θでのピークの半値幅は0.0028ラジアンである。実施例1Bにおいて、同じ回折角でのピークの半値幅は0.0057ラジアンである。したがって、実施例
1Bを対照1Cと比較した場合、Bτは(0.0057−0.0028)、すなわち0.0029ラジアンである。半順序領域の特性サイズは次式の通りである:
Figure 2006500349
同じ式を使用して、対照1Dのジェットミルで粉砕した結晶の結晶性領域の特性サイズを計算すると約400nmであり、SEM観察と一致している。
実施例1Bの結晶性ピーク下の面積を50重量%の対照1Dおよび50重量%のHPMCの物理的混合物の面積と比較して薬剤の半順序である割合を概算した。16〜19.5°の2θ領域のピークを使用して、実施例1Bの薬剤の55%が半順序であると概算した。
濃度増加
対照1C、1Dおよび1Eよりも多い実施例1Bの濃度増加を溶解試験で証明した。これらの試験において、実施例1B 0.72mg、対照1C若しくは1D 0.36mg、または対照1E 0.72mgを含有する試料を別々に微小遠心管に加えた。これらの管を37℃の温度に制御された室内に入れ、MFDS溶液(pH6.5) 1.8mLを加えた。ボルテックスミキサーを使用して管の内容物を約60秒間素早く混合した。次に、管を37℃、13,000Gで1分間遠心分離した。上澄みを採取し、メタノールで1:6(容量)に希釈し、次に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。Waters Symmetry C18カラムを使用するHPLCにより薬剤1を分析した。移動相は容量比が50/50のHPLC水/アセトニトリル中における0.3容量%の氷酢酸、0.2容量%のトリエチルアミンからなる。260nmのUV吸光度を標準の薬剤1の吸光度と比較することにより薬剤濃度を計算した。
次に、管の内容物をボルテックスミキサーで再び混合し、次の試料を採取するまで37℃で平静に放置した。管の試料を4、10、20、40、90および1200分時に集めた。その結果を表1に示す。
Figure 2006500349
これらの試料で得られた薬剤の濃度を使用してCmax90およびAUC90の値を求めた。その結果を表2に示す。データを見てわかるように、実施例1Bは結晶性薬剤単独(対照1C)の3.0倍の最大薬剤濃度および結晶性対照の3.8倍のAUC90を与えた。データはまた、実施例1Bがジェットミルで粉砕した結晶性薬剤(対照1D)の1.4倍の最大薬剤濃度およびジェットミルで粉砕した結晶性対照の1.5倍のAUC90を与えたことを示している。さらに、実施例1Bはポリマーを含む結晶性薬剤(対照1E)の1.6倍の最大薬剤濃度および対照1Eの1.7倍のAUC90を与えた。
Figure 2006500349
実施例1Aおよび1B並びに対照1Aの安定性
実施例1Aおよび1B並びに対照1Aを試料の熟成を促進する様々な高められた温度および湿度条件下で保存した。HPLC分析を使用して試料の化学的変化を調べた。溶解性の変化を観察することにより試料の物理的変化を調べた。
実施例1Aおよび対照1Aを40℃/0%RHで12週間保存した後にHPLCを使用して純度について分析した。その結果を表3にまとめる。これらのデータから本発明の組成物が6.6/1.2または5.5の化学的安定性の相対的改善度を示したことがわかる。
Figure 2006500349
実施例1Aおよび対照1Aの溶解性は試料を40℃/25%RHで6週間保存した後に上記の方法を使用して測定した。その結果を表4にまとめる。実施例1Aの溶解安定性の相対的改善度
はCmax90については5.8であり、またAUC90については3.3であった。
Figure 2006500349
実施例1Bの溶解安定性は40℃/75%RHで最大8週間保存した後に上記の方法を使用して実施例1Bの試料の溶解試験により測定した。そのデータを表5にまとめる。
Figure 2006500349
これらのデータは実施例1Bの溶解性が高い温度/湿度で保存され、時間が経過しても実質的に安定であったことを示している。
実施例1B並びに対照1B、1Cおよび1Dの生体内試験
雄ビーグル犬を使用する生体内試験で本組成物の効力を評価するために実施例1Bの組成物を構成用経口粉末(OPC)として使用した。OPCは0.5重量%のメトセル(登録商標)(Dow Chemical社)を含有する溶液中における懸濁液として投与し、次のように調製した。最初に、メトセル(登録商標) 5.0130gのを計量し、60℃で約200mlの水にゆっくりと加えてメトセル(登録商標)懸濁液を生成した。すべてのメトセル(登録商標)を加えた後、その懸濁液を氷水のビーカーに入れた。次に、冷水800mlを撹拌しながら加えた。実施例1Bの試料702.7mgを計量して乳鉢に入れた。1滴のメトセル(登録商標)懸濁液を乳鉢に加え、薬剤混合物を乳棒ですりつぶした。さらにメトセル(登録商標)懸濁液をすりつぶしながら徐々に加えて注入可能な懸濁液を得た。次に懸濁液をバイアルに移した。乳鉢および乳棒を残りのメトセル(登録商標)懸濁液で洗浄した。全部で350mlのメトセル(登録商標)懸濁液を実施例1Bの試料に加えた。
6匹の雄ビーグル犬に実施例1Bの試料を投与した。それぞれの犬が10mgA/kgの薬剤1(ここで“A”は活性薬剤を意味する)を摂取するように十分な量のOPCを投与した。試験の前日に1缶の流動食を犬に与えた。試験当日、強制栄養チューブおよびシリンジを使用してOPCを犬に投与した。投与後0、1/2、1、2、3、4、6、8および24時間にヘパリンナトリウムを含有する血漿バキュテイナーを使用して20ゲージの針で6mlの全血試料を頚静脈から採取した。試料を冷凍(5℃)遠心分離器において3000rpmで5分間回転させた。得られた血漿試料を2mlの低温プラスチックチューブに注ぎ込み、試料採取後1/2時間以内に冷凍庫(−20℃)で保存した。次に、HPLC法を使用して試料を薬剤1について分析した。
同様の方法を使用して対照1B、対照1Cおよび対照1Dの試料を犬に投与した。種々の組成物の投与の間に少なくとも1週間のウオッシュアウト期間をおいた。
表6にこれらの試験の結果をまとめる。実施例1Bは対照1Cの3.0倍であり、対照1Dの1.4倍であるCmaxを与えた。実施例1Bはまた、対照1Cと比べて2.7であり、対照1Dと比べて1.4である相対的生体利用性(AUC(0-inf)の比)を与えた。データから、実施例1Bが未処理分散体と本質的に同じである相対的生体利用性を与えたこともわかるが、これは処理条件が非晶質固体分散体により与えられる濃度増加に影響を与えなかったことを示している。
Figure 2006500349
〔実施例2〕
5−(2−(4−(3−ベンズイソチアゾリル)−ピペラジニル)エチル−6−クロロオキシインドール(ジプラシドン)(薬剤2)およびHFグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)(HFグレード;信越化学, 東京, 日本)の初期非晶質固体分散体は薬剤2を溶媒中でHPMCASと混合して溶液を生成することにより形成した。0.3重量%の薬剤2、2.7重量%のポリマーおよび97.0重量%のメタノールを含有する溶液を噴霧スプレーから29g/分の供給速度で110psiの二流体外部混合噴霧ノズルを使用して入り口が120℃の温度に維持されたNiro PSD−1スプレー乾燥器のステンレス室に向け、乾燥ガスとして窒素を使用してスプレー乾燥し、乾燥ガスおよび蒸発させた溶剤を75℃で乾燥器から排出した。
得られた非晶質固体分散体をサイクロンにより集め、Gruenberg溶媒トレー乾燥器においてスプレー乾燥した粒子をポリエチレンで裏打ちしたトレー上に1cm以下の深さまで拡げ、それらを40℃で少なくとも8時間乾燥することにより乾燥した。非晶質固体分散体は広い粒度分布を有する平均直径が約1.0μmの小粒子形態であった。乾燥した後、非晶質固体分散体は10重量%の薬剤2を含有していた。
相対湿度の関数としてのガラス転移温度(Tg)をこの分散体について測定した。その結果を図3に示す。分散体の試料を計量し、ボトルの中に入れ、10重量%の水をボトルに加えた。ボトルに栓をし、密封したボトルを80℃のオーブンに43時間入れて実施例2を形成した。この一連の処理条件により0.876のTg/T値が得られた。
〔対照2A〕 対照2Aは実施例2を形成するために使用される初期非晶質固体分散体の未処理物からなる。
〔対照2B〕 対照2Bは結晶性薬剤2だけからなる。
〔対照2C〕 対照2Cは10重量%の結晶性薬剤2および90重量%のHPMCAS−HFの物理的混合物からなる。
実施例2並びに対照2Aおよび2Bの粉末X線回折および熱分析
実施例1に記載の手順に従って実施例2並びに対照2Aおよび2Bの粉末X線回折を測定した。この分析の結果を図4にまとめた。対照2Aは非晶質ハロゲンだけを示すパターン110を与え、実施例2は幾つかの回折ピークを示すパターン120を与えた。対照2Bの結晶性薬剤は鋭いピークを示すパターン130を与えた。実施例2の回折パターン120は結晶性薬剤2(対照2B)のピークと同じ2θ値でピークを示した。しかしながら、対照2Bに存在するピークのすべてが実施例2に存在したわけでなく、その存在したピークは対照2Bのものより幅広かった。実施例2は10.8°の2θでの主要ピークについて実施例2Bの結晶性薬剤の2.9倍である半値幅を与えた。実施例1に記載のScherrer式を使用して実施例2の半順序領域の特性サイズを概算すると約30nmであった。
示差走査熱量計(DSC)を使用して実施例2の試料を分析した。乾燥条件下で実施例2のTgは118℃であることがわかった。それはHPMCAS−HF単独のTgと同じである。さらに、実施例2のDSC走査は結晶化ピークの証拠(発熱現象)を示さなかった。対照2A(未処理分散体)のTgを測定すると111℃であり、192℃(発熱現象)で結晶化ピークを示した。したがって、実施例2の薬剤2はすべて本質的に半順序状態であった。
濃度増加
実施例2、対照2Bおよび対照2Cによる濃度増加を次のような試験管内溶解試験を使用して測定した。実施例2 3.91mg、対照2B 0.36mgまたは対照2C 3.9mgを含有する試料を別々に微小遠心分離管に加えた。これらの管を37℃の温度に制御された室内に入れ、MFDS溶液1.8mLを加えた。ボルテックスミキサーを使用して管の内容物を約60秒間素早く混合した。次に、管を37℃、13,000Gで1分間遠心した。上澄みを採取し、メタノールで1:6(容量)に希釈し、次に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。Phenomenex ODS 20カラム(250mm×4.6mm)を使用するHPLCにより薬剤2を分析した。移動相は容量比が60/40の0.02M KH2PO4(pH3)/アセトニトリルからなる。254nmのUV吸光度を標準の薬剤2の吸光度と比較することにより薬剤濃度を計算した。次に、管の内容物をボルテックスミキサーで再び混合し、次の試料を採取するまで37℃で平静に放置した。管の試料を4、10、20、40、90および1200分時に集めた。その結果を表7に示す。
Figure 2006500349
これらの試料で得られた薬剤の濃度を使用してCmax90およびAUC90の値を求めた。その結果を表8に示す。これらのデータを見てわかるように、実施例2は結晶性対照(対照2B)の3.1倍のCmax90および結晶性対照の2.6倍のAUC90を与えた。データはまた、実施例2がポリマーを含む結晶性薬剤(対照2C)の4.2倍の最大薬剤濃度および対照2Cの3.5倍のAUC90を与えたことを示している。
Figure 2006500349
実施例2並びに対照2Aおよび2Bの生体内試験
実施例2の組成物をカプセルが40mgの薬剤2を含有するようにゼラチンカプセルに入れた。5匹の絶食させた雄ビーグル犬に1個のカプセルを投与し、投与後0、1/2、1、1 1/2、2、3、4、6、8、12および24時間にヘパリンナトリウムを含有する血漿バキュテイナーを使用して20ゲージの針で6mlの全血試料を頚静脈から採取した。試料を冷却(5℃)遠心分離器において3000rpmで5分間回転させた。得られた血漿試料を2mlの低温プラスチックチューブに注ぎ込み、試料採取後1/2時間以内に冷凍庫(−20℃)で保存した。同様の試験を結晶性薬剤2(対照2B)40mgを含有するゼラチンカプセルについて行なった。
表9にこれらの試験の結果をまとめる。実施例2は結晶性対照(対照2B)の1.9倍のCmaxおよび結晶性対照の2.1倍のAUC(0-inf)を与えた。
Figure 2006500349
〔実施例3〕
キノキサリン−2−カルボン酸[4(R)−カルバモイル−1(S)−3−フルオロベンジル)−2(S),7−ジヒドロキシ−7−メチル−オクチル]アミド(薬剤3)およびビニル−アセテート−ビニルアルコールコポリマー(98%がビニルアルコールに加水分解された)(PVA)の初期非晶質固体分散体は最初に薬剤3を溶媒中でPVA(Aldrich社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)により供給される)と混合して溶液を生成することにより製造した。Cole Parmer 74900 シリーズの流量制御シリンジポンプを使用して溶液を1.3mL/分の速度で小型スプレー乾燥装置に注ぎ込むことにより1.35重量%の薬剤3、0.45重量%のPVA、49.1重量%の水および49.1重量%のメタノールを含有する溶液をスプレー乾燥した。スプレー乾燥装置はSpraying Systems社の二流体ノズル、型番SU1Aを備え、噴霧ガスとして窒素を使用した。窒素を加圧し、100℃の温度まで加熱した。溶液を直径11cmのステンレス室の上部からスプレーした。得られるスプレー乾燥した非晶質固体分散体をワットマン(登録商標) 1ろ紙上に集め、真空下で乾燥し、デシケーター中で保存した。非晶質固体分散体は小粒子形態であった。乾燥した後、非晶質固体分散体は75重量%の薬剤3を含有していた。
相対湿度の関数としてのガラス転移温度(Tg)をこのスプレー乾燥した分散体について測定した。その結果を図5に示す。(特定のRHで)1.0以下のTg/T値を与えた処理条件は薬剤が分解することなく半順序薬剤の性能を最適にするように選択した。高い温度(約40℃(313K)より高い)で非晶質状態の薬剤3が化学分解するために、40℃/75%RHを処理条件として選択した。これは0.958のTg/T値を与えた。スプレー乾燥した分散体を40℃/75%RHの制御された温度/湿度室で48時間処理して実施例3を形成した。
〔対照3A〕 対照3Aは高い温度および湿度で後処理されていない実施例3を形成するために使用される初期非晶質固体分散体からなる。
〔対照3B〕 対照3Bは結晶性薬剤3だけからなる。
実施例3並びに対照3Aおよび3Bの粉末X線回折および熱分析
実施例1に記載の手順に従って実施例3並びに対照3Aおよび3Bの粉末X線回折を測定した。その結果を図6に示す。これらのデータから、対照3A(未処理非晶質固体分散体)は非晶質ハロゲンだけを示す回折パターン210を与え、実施例3は幾つかのピークを有するパターン220を与えたことがわかる。対照2Cの結晶性薬剤は回折パターン230を与えた。実施例3は結晶性薬剤3(対照3B)のピークと同じ2θ値で幾つかの回折ピークを有するパターンを示した。しかしながら、対照3Bに存在するピークのすべてが実施例3に存在したわけでなく、その存在したピークは結晶性薬剤のものより幅広かった。実施例3は8.5°の2θでのピークについて対照3Bの結晶性薬剤の2.5倍である半値幅、9.9°の2θでのピークについて対照3Bの2.0倍である半値幅、そして13.2°の2θでのピークについて対照3Bの2.0倍である半値幅を与えた。
実施例1に記載のようにして、実施例3のディフラクトグラムに存在するピークの幅を使用して半順序領域の特性サイズを概算した。8.6°および9.9°の2θでのピークを使用し、対照3Bの結晶は主に10μmより大きいと想定して、実施例3の半順序領域は約35nmの特性サイズを有すると概算した。
実施例3並びに対照3Aおよび3BのDSC分析により実施例3の薬剤3の半順序である割合を概算した。対照3A(未処理分散体)のDSC分析は秩序化または溶融現象に伴なう熱流を示さず、これは実施例3で観察される熱現象が処理条件の使用によって生じることを示唆している。実施例3は半順序領域の溶融に起因する有意な熱流(吸熱現象)を示した。105°で開始し、137°でピークが現れ、145°で終了した。この溶融は135°の開始温度、144°のピークおよび149°の終了を示した純粋な結晶性薬剤(対照3B)の溶融(吸熱現象)よりも幅広く、低温にシフトしていた。これらのDSC走査の変化は実施例3の溶融種が対照3Bの溶融種よりも無秩序であることと一致した。実施例3の吸熱現象を対照3BのDSC走査と比較すると実施例3の薬剤が約58%の半順序状態であることがわかった(半順序薬剤の量は半順序領域がバルク結晶性薬剤と同じ溶融熱を示さないため本法により低く見積もられた)。
濃度増加
対照3Bよりも多い実施例3の濃度増加を溶解試験で証明した。これらの試験において、実施例3 4.8mgおよび対照3B 3.6mgを含有する試料を別々に微小遠心分離管に加えた。これらの管を37℃の温度に制御された室内に入れ、PBS(pH6.5) 1.8mLおよび290 mOsm/kgを加えた。ボルテックスミキサーを使用して管の内容物を約60秒間素早く混合した。次に、管を37℃、13,000Gで1分間遠心分離し、上澄みを採取し、メタノールで1:6(容量)に希釈し、そして高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。Kromasil C4カラム(250mm×4.6mm)を使用するHPLCにより薬剤3を分析した。移動相は容量比が45/55の0.2容量%H3PO4/アセトニトリルからなる。245nmのUV吸光度を標準の薬剤3の吸光度と比較することにより薬剤濃度を計算した。
次に、管の内容物をボルテックスミキサーで再び混合し、次の試料を採取するまで37℃で平静に放置した。管の試料を4、10、20、40、90および1200分時に集めた。その結果を表10に示す。
Figure 2006500349
これらの試料で得られた薬剤の濃度を使用してCmax90およびAUC90の値を求めた。その結果を表11に示す。データを見てわかるように、実施例3は結晶性薬剤(対照3B)の1.5倍のCmax90および結晶性薬剤の1.6倍のAUC90を与えた。
Figure 2006500349
前記記載で使用された用語および表現は説明用語として使用され、制限するものではなく、このような用語および表現の使用において、表示および説明した特徴またはその一部と同等のものを除外する意図はなく、本発明の範囲は次の特許請求の範囲によってのみ定義および限定されると認識される。
本明細書全体を通して、様々な刊行物が引用されている。これらの刊行物の開示は全体として全目的のために参照により本明細書に加入される。
実施例1を製造するために使用される初期非晶質固体分散体についての相対湿度の関数としてのガラス転移温度のプロットを示す。 実施例1Bおよび幾つかの対照の組成物についてのX線回折パターンを示す。 実施例2を製造するために使用される初期非晶質固体分散体についての相対湿度の関数としてのガラス転移温度のプロットを示す。 実施例2および幾つかの対照の組成物についてのX線回折パターンを示す。 実施例3を製造するために使用される初期非晶質固体分散体についての相対湿度の関数としてのガラス転移温度のプロットを示す。 実施例3および幾つかの対照の組成物についてのX線回折パターンを示す。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Aの典型的な粉末X線回折パターンである(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]−アミド、形態Aの典型的な示差走査熱量測定サーモグラムである(走査速度:5℃/分;縦軸:熱流量(mW);横軸:温度(℃))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Bの典型的な粉末X線回折パターンである(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Bの典型的な示差走査熱量測定サーモグラムである(走査速度:5℃/分;縦軸:熱流量(mW);横軸:温度(℃))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Cの典型的な粉末X線回折パターンである(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Cの典型的な示差走査熱量測定サーモグラムである(走査速度:5℃/分;縦軸:熱流量(mW);横軸:温度(℃))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Dの典型的な粉末X線回折パターンである(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Dの典型的な示差走査熱量測定サーモグラムである(走査速度:5℃/分;縦軸:熱流量(mW);横軸:温度(℃))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Eの典型的な粉末X線回折パターンである(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Eの典型的な示差走査熱量測定サーモグラムである(走査速度:5℃/分;縦軸:熱流量(mW);横軸:温度(℃))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Fの典型的な粉末X線回折パターンである(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]−アミド、形態Fの典型的な示差走査熱量測定サーモグラムである(走査速度:5℃/分;縦軸:熱流量(mW);横軸:温度(℃))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7メチルオクチル]アミド、形態Eの計算された典型的な粉末X線回折パターンを示す(縦軸:強度(カウント);横軸:2θ(度))。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Aの典型的な13C固体核磁気共鳴スペクトルである(縦軸:強度(カウント);横軸:化学シフト(δ−スケール)、ppm)。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Bの典型的な13C固体核磁気共鳴スペクトルである(縦軸:強度(カウント);横軸:化学シフト(δ−スケール)、ppm)。 キノキサリン−2−カルボン酸[4−カルバモイル−1−(3−フルオロベンジル)−2,7−ジヒドロキシ−7−メチルオクチル]アミド、形態Eの典型的な13C固体核磁気共鳴スペクトルである(縦軸:強度(カウント);横軸:化学シフト(δ−スケール)、ppm)。

Claims (15)

  1. (a)難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーからなる固体を含有する組成物であって;(b)前記濃度を高めるポリマーは前記組成物が使用環境において本質的に同量の結晶形態の前記薬剤および同量の前記濃度を高めるポリマーの混合物からなる第1対照組成物と比べて前記難溶解性薬剤の高い濃度を与えるように十分な量で前記組成物中に存在し;そして(c)前記薬剤の少なくとも一部は薬剤の多い領域に存在し、前記薬剤の多い領域は、薬剤が薄くポリマーの多い領域全体に散在し、そして前記難溶解性薬剤の少なくとも20重量%は半順序状態である、前記組成物。
  2. 前記組成物は本質的に同量の前記薬剤および同量の前記濃度を高めるポリマーの非晶質固体分散体からなる第2対照組成物と比べて改善された安定性を与え、前記第2対照組成物中の前記薬剤は少なくとも90重量%の非晶質である請求項1記載の組成物。
  3. 半順序状態の前記薬剤は、
    (a)前記第1対照組成物の粉末X線回折パターンとは異なる粉末X線回折パターンであり、前記第1対照組成物の前記回折パターンに存在する少なくとも1個のピークは前記組成物中の前記薬剤の前記回折パターンに存在しない;
    (b)半値全幅が前記第1対照組成物中の前記薬剤により示される相当するピークの少なくとも1.1倍である少なくとも1個のピークを有する粉末X線回折パターン;
    (c)第2対照組成物のガラス転移温度とは異なるガラス転移温度であり、前記第2対照組成物は本質的に同量の前記薬剤および同量の前記濃度を高めるポリマーの非晶質固体分散体からなり、前記第2対照組成物中の前記薬剤は少なくとも90重量%の非晶質である;および
    (d)前記第1対照組成物中の前記薬剤の溶解吸熱の開始または最大温度より低い温度である溶解吸熱の開始または最大温度
    の少なくとも1つを示す請求項1記載の組成物。
  4. 前記薬剤はケルビンで表される溶解温度Tmおよびケルビンで表されるガラス転移温度Tgを有し、そしてTm/Tgは少なくとも1.3である請求項1記載の組成物。
  5. 前記薬剤の少なくとも40重量%は半順序状態である請求項1記載の組成物。
  6. 前記薬剤の多い領域は最小寸法が約100nm未満の特性サイズを有する請求項1記載の組成物。
  7. 前記高い濃度は、
    (a)前記第1対照組成物により与えられるものの少なくとも1.25倍である前記使用環境における前記薬剤の最大溶解濃度;
    (b)前記第1対照組成物により与えられるものの少なくとも1.25倍である少なくとも90分間の濃度対時間の曲線に基づく溶解領域;および
    (c)前記第1対照組成物の少なくとも1.25倍の相対的生体利用性
    の少なくとも1つを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の組成物。
  8. 前記改善された安定性は、
    (a)前記第2対照組成物中の前記薬剤の結晶化速度の90%未満である結晶化速度;
    (b)前記第2対照組成物の少なくとも1.25倍である化学安定性の相対的改善度;および
    (c)前記第2対照組成物の少なくとも1.25倍である溶解実行安定性の相対的改善度
    の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項2記載の組成物。
  9. (a)難溶解性薬剤および濃度を高めるポリマーを含有する非晶質分散体を形成し;
    (b)(1)前記分散体を加熱する工程および(2)前記分散体を流動性向上剤に暴露する工程の少なくとも一方により前記非晶質分散体中の前記薬剤の流動性を増加させるために前記非晶質分散体を処理し;そして
    (c)前記難溶解性薬剤の少なくとも20重量%を半順序状態に変換する
    ことを含む医薬組成物の製造法。
  10. 前記分散体を処理する前記工程は前記分散体を加熱する工程および前記分散体を前記流動性向上剤に暴露する工程の両方の工程を含む請求項9記載の方法。
  11. 前記流動性向上剤は蒸気である請求項9記載の方法。
  12. 前記分散体はTg/Tが約1.0以下であるような温度Tに加熱され、前記Tgは前記流動性向上剤が存在する前記非晶質固体分散体のガラス転移温度であり、そして前記Tおよび前記Tgはケルビンで表される請求項9記載の方法。
  13. 前記薬剤の非晶質から半順序状態に変換する最大速度は1時間あたり少なくとも約0.25重量%である請求項9記載の方法。
  14. 前記薬剤の少なくとも40重量%が48時間以内に前記半順序状態に変換される請求項9記載の方法。
  15. 請求項9〜14の何れかの項記載の方法により製造される組成物。
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