JP2006347653A - ディスプレー用ガラス基板吸着装置 - Google Patents

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Tomoyuki Ogura
知之 小倉
Mamoru Ishii
守 石井
Tatsuya Shiogai
達也 塩貝
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Abstract


【課題】 静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台との熱膨張係数の差異に起因する変形を解消し、高温プロセス時においてもガラス基板の均熱性を確保することが可能な大型のディスプレー用ガラス基板吸着装置を提供する。
【解決手段】 複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台とを接合したディスプレー用ガラス基板吸着装置であって、前記基台は、非加圧浸透法により形成されるセラミックス分散アルミニウム複合材であり、かつ、前記複合材中のセラミックの含有率が、50〜70体積%であることを特徴とするディスプレー用ガラス基板吸着装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ディスプレー用ガラス基板を吸着保持するのに用いられる吸着装置に関するもので、さらに詳しくは、複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部と、非加圧浸透法により形成されるセラミックス分散アルミニウム複合材からなる基台とを接合し、この静電チャック部に大型ディスプレー用ガラス基板を載置して、静電力によりガラス基板を吸着保持する吸着装置に関するものである。
従来、半導体製造工程等に用いられる吸着装置としては、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムなどのセラミック板を静電チャック部として用いた吸着装置が広く用いられていた。(たとえば、特許文献1参照。)
ところが近年、産業界において大型かつ薄型のディスプレー装置の供給が進むにつれて、このようなディスプレー装置に用いるガラス基板を高精度に吸着保持する要請が高まってきている。このため、例えば、100×100cm程度の大型のガラス基板を精度良く吸着保持できるように、吸着装置の大型化がますます求められるようになってきた。
そこで、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムなどのセラミック板を複数枚作成して、これをAl等の金属プレートに接合することによって、大型の静電吸着装置を得ることが行われていた。
しかし、近年、ディスプレー製造工程の多様化に伴い、そのプロセスもより過酷な条件となってきており、高温が必要なプロセスも必要となってきている。そのため、ディスプレーの製造工程における高温プロセス時の、被吸着物たるガラス基板温度の均熱性が非常に重要な問題になりつつある。
しかし、従来のAl等の金属プレートにセラミックス板を接合した静電吸着装置では、静電チャック部と基台の金属プレートとの熱膨張係数のミスマッチに起因する変形により被吸着物であるガラス基板と静電チャック部表面の間に隙間が発生し、このためガラス基板への熱の伝達が不均一となり、基板の均熱性確保は困難であるという課題があった。
また、鋳込み成形法で作製したセラミックス分散アルミニウム複合材プレートをセラミック焼結体と接合した静電チャックステージも提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。
特開昭53−96762号公報 特許第3622353号公報
しかし、上記した静電チャックステージでは、基台の複合材プレートを鋳込み成形法により製造しているため、複合材プレート中のセラミックスの含有量を高々40vol%までしか高めることができないことから、セラミックス焼結体と静電チャックプレートとの熱膨張係数の差異に起因する変形を解消できないという課題があった。
本発明は、これら前記した課題を解決するために鋭意検討して完成されたものであり、その目的は、静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台との熱膨張係数の差異に起因する変形を解消し、高温プロセス時においてもガラス基板の均熱性を確保することが可能な大型のディスプレー用ガラス基板吸着装置を提供することを目的とするものである。
上記した、本発明の課題は、下記した手段によって解決される。
(1)複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台とを接合したディスプレー用ガラス基板吸着装置であって、前記基台は、非加圧浸透法により形成されるセラミックス分散アルミニウム複合材であり、かつ、前記複合材中のセラミックの含有率が、50〜70体積%であることを特徴とするディスプレー用ガラス基板吸着装置。
(2)前記複合材の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値と、前記セラミックス焼結板の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値との差の絶対値が、2×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレー用ガラス基板吸着装置。
以下に具体的に説明するように、本発明によれば、静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台との熱膨張係数の差異に起因する変形を解消でき、高温プロセス時においてもガラス基板の均熱性を確保することが可能な大型のディスプレー用ガラス基板吸着装置が得られる。
したがって、大型のディスプレー用ガラス基板の製造工程での製品歩留まりと信頼性の向上が可能となる効果がある。
本発明では、複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台とを接合したディスプレー用ガラス基板吸着装置であって、前記基台は、非加圧浸透法により形成されるセラミックス分散アルミニウム複合材であり、かつ、前記複合材中のセラミックの含有率が、50〜70体積%であることを特徴とするディスプレー用ガラス基板吸着装置を提案している。(請求項1)
ここで、本発明において、複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部とした理由は、上記したように、例えば、100×100cm程度の大型のガラス基板を精度良く吸着保持できるように、吸着装置の大型化を可能とするためである。すなわち、このような大型のセラミックス焼結板は製造が困難であるからである。
ここで、本発明に係るディスプレー用ガラス基板吸着装置の模式的な縦断面図である図1を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
1は、上記した複数(図面では断面方向に4個。)のセラミックス焼結板からなる静電チャック部である。ここで、セラミックス焼結板としては公知のアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムなどが用いられる。また、3と5は、それぞれセラミックス焼結板の内部に公知の方法で設けられた電極と発熱体である。(なお、図中では電気的な接続回路等は省略してある。)
これら複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部を、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台に接合すれば、本発明のディスプレー用ガラス基板吸着装置が得られる。(図中の4は、静電チャック部と基台との接合部である。)
図中の2は、複合材からなる基台であって、非加圧浸透法により形成されるセラミックス分散アルミニウム複合材からなり、かつ、前記複合材中のセラミックの含有率は50〜70体積%である。
ここで、本発明における、セラミックスとアルミニウムからなる複合材中のセラミックスとしては、アルミナ、炭化珪素、窒化アルミニウム等が挙げられる。更に、これらのセラミックスの複合材料中の含有率は50〜70体積%であることが好ましい。その理由は、セラミックスの複合材料中の含有率が50体積%未満では、セラミックスからなる静電チャック部と基台との熱膨張係数の値の差が5×10-6/℃を超えて大きくなり熱膨張係数の差異に起因する変形を解消できなくなるからである。また、セラミックスの複合材料中の含有率を70体積%以内とする理由は、セラミックスの複合材料中の含有率を70体積%より大きくすることは非加圧浸透法によっても金属の含浸が困難となり製造できなくなるからである。
本発明で提案している非加圧浸透法とは、例えば、米国ランクサイド社の特許(特開平1−52040)によれば、「特定量の窒素を含有する非酸化性雰囲気において,セラミックス充填材材料の透過性の塊に特定量のMgを含有する溶融Al合金を接触させ,Al合金を自然浸透させることにより,セラミックス含有量の高い標記複合物を製造する」方法である。本発明において、非加圧浸透法を用いる理由は、加圧しなくてもセラミックスの含有率の大きい複合材が高い歩留まりで得られるという工業的に優れた方法であるからである。
また、本発明では、前記複合材の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値と、前記セラミックス焼結板の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値との差の絶対値が、2×10-6/℃以下であることを特徴とするディスプレー用ガラス基板吸着装置を提案している。(請求項2)
20〜400℃における平均の熱膨張係数の値との差の絶対値が、2×10-6/℃以下とすることで、例えば、約350℃という高温で使用した場合でも熱膨張差による変形を防ぐことができ、大型のディスプレー用ガラス基板の高温処理時の均熱性を確保することが可能となるからである。
したがって、本発明における、セラミックスからなる静電チャック部のセラミック焼結板としては、前記したアルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムのうちから、基台となる複合材の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値との差の絶対値が、2×10-6/℃以下となるように適宜選択されることが好ましい。
以下、本発明の実施例と比較例とをあげて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
(1)セラミックスとアルミニウムからなる複合材の作製
セラミックス強化材として#180(平均粒径66μm)の市販のSiC粉末70重量部と#500(平均粒径25μm)の市販のSiC粉末30重量部を用い、それにバインダーとしてコロイダルシリカ液を、そのシリカ固形分が2重量部となる量を添加し、それに消泡剤を0.2重量部、イオン交換水を24重量部加え、ポットミルで12時間混合した。こうして得られたスラリーをサイズ1200×1200mm、厚さ40mmの成形体が得られるメッシュ付金型に流し込んでフィルタープレスし、それを脱型した後、1000℃で焼成してプリフォームを形成した。
得られたプリフォームとAl−12Si−3Mg−2Cu−3Ti組成のアルミニウム合金とを組み合わせ、その合金をプリフォーム中に窒素気流中で825℃の温度で60時間非加圧浸透させた後、冷却してSiCセラミックスの含有率が70体積%のセラミックス分散アルミニウム複合材を作製した(サイズ1200×1200mm、厚み40mm)。この複合材を基台として使用した。
(2)セラミックス板からなる静電チャック部の接合
得られた基台に、内部に電極と発熱体とを設けたAlN質セラミックス焼結板(サイズ300×300mm、厚み30mm)を、基台の上部に縦4枚×横4枚の合計16枚載置し、基台と焼結板の接触面を接合して静電チャック部を具備する吸着装置を作製した。なお、基台と焼結板の接合部の接合材としては、公知のIn系の低融点合金を用いた。
(比較例1)
基台としてセラミックス分散アルミニウム複合材の代わりに同形状のアルミニウム(5052)製の板を用いた他は、実施例と同様の方法で吸着装置を作製した。
(比較例2)
鋳造法で作製した複合材中のSiCセラミックの含有率が、30体積%であるセラミックス分散アルミニウム複合材を基台として用いた以外は、実施例と同様の方法で吸着装置を作製した。
(評価)
AlN質セラミックス焼結板および基台として使用した各部材の20〜400℃における平均の熱膨張係数は、同様にして得られた試験評価用部材から3×4×40mmの試験片を切り出し、その試験片を用いて、JIS R 1618に規定された方法に従い測定した。その結果を表1に示した。
また、均熱性の評価は、静電吸着装置上面に大型のディスプレー用ガラス基板(サイズ1200×1200mm、厚さ3mm)を設置し、印加電圧±3000Vで吸着し、更に、AlN質セラミックス焼結板内部に設けた発熱体に電圧を印加して加熱したときの、ディスプレー用ガラス基板表面の温度分布をサーモグラフィーにより測定することによって行った。
ここで、ディスプレー用ガラス基板表面の温度を150℃に設定したときの表面温度の最高値と最低値の温度差が10℃以内を合格(表中では、○と表示した。)と判定し、温度差が10℃を超えるものは不合格(表中では、×として表示した。)と判定して表1にまとめて示した。
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例は設定温度との温度差は10℃以内と小さく、ガラス基板の均熱性を確保することが可能な大型のディスプレー用ガラス基板吸着装置が得られることが分かった。したがって、本発明によれば、大型のディスプレー用ガラス基板の高温プロセス時の均熱性に関する課題が解決できるために製品歩留まりと信頼性の向上が可能となる効果がある。
一方、比較例によるものは、ガラス基板の表面内の温度分布が設定温度との乖離が10℃を超えて大きく、ガラス基板の均熱性を確保することができなかった。
本発明に係るディスプレー用ガラス基板吸着装置の模式的な縦断面図である。
符号の説明
1;静電チャック部
2;複合材からなる基台
3;電極
4;接合部
5;発熱体

Claims (2)

  1. 複数のセラミックス焼結板からなる静電チャック部と、セラミックスとアルミニウムとの複合材からなる基台とを接合したディスプレー用ガラス基板吸着装置であって、前記基台は、非加圧浸透法により形成されるセラミックス分散アルミニウム複合材であり、かつ、前記複合材中のセラミックの含有率が、50〜70体積%であることを特徴とするディスプレー用ガラス基板吸着装置。
  2. 前記複合材の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値と、前記セラミックス焼結板の20〜400℃における平均の熱膨張係数の値との差の絶対値が、2×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレー用ガラス基板吸着装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009154181A (ja) * 2007-12-26 2009-07-16 Nihon Ceratec Co Ltd 複合部材およびその製造方法
JP7438070B2 (ja) 2020-09-11 2024-02-26 新光電気工業株式会社 静電チャック、基板固定装置及び基板固定装置の製造方法

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