JP2006345602A - インバータ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 インバータ回路14によりモータ7を可変速制御すると共に、ブレーキ18の開閉を制御するインバータ制御部13と、インバータ制御部13がモータ7の始動又は停止に伴って実行する18ブレーキの開閉制御を、モータ7の可変速制御と連携して行なうために使用されるブレーキ制御データを自動的に設定する自動設定機能部17とを備えてインバータ装置11を構成する。
【選択図】 図1
Description
そして、モータを運転している状態からブレーキを閉にする場合も同様に、出力トルクが負荷トルクに抗し得る低い出力周波数を維持している状態でブレーキを作用させる必要がある。従って、これらの調整が非常にわずらわしいという問題があった。
前記モータを可変速制御すると共に、前記ブレーキの開閉を制御する制御部と、
この制御部が前記モータの始動又は停止に伴って実行する前記ブレーキの開閉制御を、前記モータの可変速制御と連携して行ない、前記モータの始動又は停止に伴って実行する前記ブレーキの開閉制御を前記モータの可変速制御と連携して行なう際の前記制御部の内部情報に基づいて、前記ブレーキの開閉制御に使用されるブレーキ制御データを設定するようにした設定手段とを備え、
前記制御部は、前記ブレーキ制御データに基づいて前記ブレーキの開閉制御を行うことを特徴とする。
以下、本発明を電気ホイストに適用した場合の第1実施例について図1乃至図10を参照して説明する。図2(a)は、電気ホイストの概略構造を説明する正面図、(b)は側面図である。電気ホイスト1は、2台の走行用モータ2,3により走行レール4を挟む駆動輪5,6が駆動されると走行レール4に沿って走行する。そして、ユーザが図示しない昇降用スイッチを操作すると巻上用モータ7が駆動され、ワイヤロープ8の巻込み又は繰出しが行われてフック9に吊り下げた荷物(図示せず)を昇降させるようになっている。
インバータ制御部13は、マイクロコンピュータにより構成され、ベクトル制御部15,ブレーキ制御部16,自動設定機能部(設定手段)17などを備えている。尚、これらのブロックは主にソフトウエアによって実現されるものである。インバータ装置11に対しては、外部より運転指令や周波数指令,ティーチング指令などが与えられるようになっており、インバータ制御部13は、これらの指令に基づきベクトル制御部15によりベクトル制御演算を行い、PWM信号を生成してインバータ回路14に出力する。
また、図9,図10は、モータ7によりフック9を下降させる巻下げの場合(Reverse down)の図7,図8相当図である。夫々の図中における(a)は、0点より下側にも周波数変化を図示しているが、モータ7の逆転方向を負の周波数として示している。
続いて、自動設定機能部17は、ベクトル制御部15にトルク電流指令Iqcを与えてモータ7にトルクバイアスTrqを付与すると(ステップS4)、ブレーキ開遅れ時間Trを計測するためのカウンタTimを0クリアしてから(ステップS5)ブレーキ制御部16にブレーキ開指令を出力させる(ステップS6,シーケンス2)。すると、ブレーキ18の機構は閉状態から開状態への移行を開始する。
尚、図4は、図3のティーチング処理において観測される各信号波形の一例を示すものである。(a)はモータ7の回転速度(実線,破線は指令)、(b)は励磁電流Id(実線,破線は指令)、(c)はトルク、(d)は励磁磁束、(e)はブレーキ18の開指令出力タイミング(Brake Open Command)と、ブレーキ18が実際に開状態になったタイミング(Actual Brake Open)を示す。
そして、モータ7の回転周波数が定格すべり周波数以下になったことを確認すると(ステップS13,「YES」)、ブレーキ閉遅れ時間Tcを計測するためカウンタTimを0クリアして(ステップS14)、ブレーキ制御部16にブレーキ閉指令を出力させる(シーケンス4,ステップS15)。すると、ブレーキ18の機構は閉状態から開状態への移行を開始する。
状態になるとモータ7は回転を停止するが、駆動制御は継続されているため、モータ7の出力トルクは上昇する。そして、出力トルクが定格トルク以上になると(ステップS16,「YES」)、自動設定機能部17は、その時点のカウンタTimのカウント値をブレーキ閉遅れ時間Tcとしてセットし(ステップS19)、ステップS10でセットしたブレーキ開遅れ時間Trと共にデータの保存を行う(ステップS20)。
それから、自動設定機能部17は、ベクトル制御部15及びインバータ回路14によるモータ7の駆動を停止させ(シーケンス6,ステップS21)。ティーチング処理を終了する。また、図6は、図4相当図である。
従って、ユーザが自らモータ駆動システムを実際に動作させて必要な計測等を行い、その計測結果を分析してブレーキ制御に使用する諸条件を決定する必要がなくなり、従来はユーザが行う必要があった、ブレーキ開閉制御を行うための煩わしい調整作業を不要にすることができる。
そして、自動設定機能部17は、ブレーキ開遅れ時間Tr、ブレーキ閉遅れ時間Tcのティーチングを行う際に、シーケンス1〜6を順次実行するようにした。従って、自動設定機能部17は、インバータ制御部13によるモータ7の始動シーケンス,停止シーケンスの手順に応じて、ブレーキ制御データのティーチングを適切に行うことができる。
更に、自動設定機能部17は、ブレーキ閉指令が出力された時点からモータ7の出力トルクが定格トルクに到達するまでの時間を計測し、その計測された時間に基づいてブレーキ閉遅れ時間Tcを設定するので、ブレーキ18が実際に閉状態になったことを確実に判定できる。
そして、インバータ制御部13によるモータ7の始動制御、及び自動設定機能部17によるティーチングにおいては、モータ7の始動をブレーキ制御データのトルク指令値に基づくトルク制御によって行い、モータ7の停止をブレーキ制御データの周波数指令値に基づく速度制御によって行うので、夫々適切な制御形態を適用することができる。
加えて、自動設定機能部17は、ブレーキ制御データのティーチングを行う際におけるインバータ回路14の制御状態に基づいて、ティーチングを行う際における計測時間が予め定めた上限時間を超えることでティーチングが不能であると判断すると、その旨の異常情報を出力するので、ユーザは、ティーチングを行った時点で、始動制御又は停止制御を正常に行うことができない何らかの原因があることを認識できる。
図11及び図12は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例の構成は基本的に第1実施例と同様であり、自動設定機能部17によるティーチング処理の手順が若干異なっている。図11は、第1実施例の図3相当図であり、ステップS9において「YES」と判断すると、一旦ブレーキ18を閉にし(ステップS22)、トルクバイアスTrqを所定値Tαだけ増加させる(ステップS23)。そして、トルクバイアスTrqが限界値を超えていなければ(ステップS24,「NO」)、ステップS5に移行してブレーキ開遅れ時間Trを取得するためのティーチングを再試行する。
従って、トルクバイアスTrq,周波数指令値fcが低すぎるためブレーキ閉遅れ時間Tc,又はブレーキ閉遅れ時間Tcが取得できない場合には、それらの指令値を増加させてブレーキ制御データの取得を再試行できる。
図13及び図14は本発明の第3実施例を示すものであり、第2実施例と異なる部分についてのみ説明する。第3実施例も第2実施例と同様に、自動設定機能部17によるティーチング処理の手順が若干異なっている。図13は、第2実施例の図11相当図であり、ステップS23を実行すると、その時点でステップS7と同様に、回転周波数がモータ7の定格すべり周波数以上になったか否かを判断し(ステップS28)、回転周波数が定格すべり周波数未満であれば(「NO」)ステップS24の判断を行う。そして、ステップS24で「NO」と判断するとステップS23に戻り、「YES」と判断すると異常対応処理を行なう。
即ち、ステップS4で与えたトルクバイアスTrqの設定値が低過ぎたことが原因でブレーキ開遅れ時間Trが取得できない場合は、トルクバイアスTrqを順次増加させて行けば、モータ7の回転周波数はやがて定格すべり周波数に達するはずである。従って、ステップS28で「YES」と判断した場合はステップS4に戻り、ティーチングを再試行する。
従って、トルクバイアスTrq,周波数指令値fcが低すぎるためブレーキ閉遅れ時間Tc,又はブレーキ閉遅れ時間Tcが取得できない場合には、それらの指令値を順次増加させて、実際にモータ7の回転数周波数が定格すべり周波数に達したこと、又は出力トルクが定格トルクに達したことを確認した上で、ブレーキ制御データの取得を再試行できる。
例えば、ブレーキ開遅れ時間Tr,ブレーキ閉遅れ時間Tcのティーチングは、必ずしも一連の処理として行う必要はなく、何れか一方のティーチングを独立して行っても良い。
ブレーキ制御データの設定値を記憶させるための記憶手段は、必要に応じて設ければ良い。
異常対応処理は、必要に応じて行えば良い。
電気ホイストに限ることなく、クレーンや昇降機などのように機械式ブレーキを使用し、インバータ出力を利用してブレーキの開閉を制御するシステムに広く適用できる。
モータは誘導モータに限ることなく、ブラシレスDCモータなどの永久磁石型モータであっても良い。
Claims (19)
- インバータ回路によりモータを可変速制御するインバータ装置と、前記モータの回転を停止させる機械式ブレーキとを備えるモータ駆動システムに使用される前記インバータ装置において、
前記モータを可変速制御すると共に、前記ブレーキの開閉を制御する制御部と、
この制御部が前記モータの始動又は停止に伴って実行する前記ブレーキの開閉制御を、前記モータの可変速制御と連携して行ない、前記モータの始動又は停止に伴って実行する前記ブレーキの開閉制御を前記モータの可変速制御と連携して行なう際の前記制御部の内部情報に基づいて、前記ブレーキの開閉制御に使用されるブレーキ制御データを設定するようにした設定手段とを備え、
前記制御部は、前記ブレーキ制御データに基づいて前記ブレーキの開閉制御を行うことを特徴とするインバータ装置。 - 前記設定手段によって設定されるデータとは別個のブレーキ制御データが、予め設定されている記憶手段を備え、
前記制御部は、前記設定手段の機能が有効化されていない場合には、前記記憶手段の設定データに基づいて前記ブレーキの開閉制御を行うことを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。 - 前記ブレーキ制御データには、ブレーキ開遅れ時間、ブレーキ閉遅れ時間、ブレーキ閉制御用の周波数指令値を含み、
前記制御部は、
運転開始指令が与えられると、前記ブレーキを閉にした状態から前記モータの始動を開始し、
前記ブレーキの開指令の出力タイミングから、前記ブレーキ開遅れ時間が経過した後に前記モータの通常運転制御を行い、
運転停止指令が与えられると、前記モータの回転周波数を前記周波数指令値まで低下させ、
前記ブレーキの閉指令の出力タイミングから、前記ブレーキ閉遅れ時間が経過した後に前記モータの運転を停止させることを特徴とする請求項1又は2記載のインバータ装置。 - 前記設定手段は、前記ブレーキ制御データの設定を行う際に、以下のシーケンス1〜6を順次実行し、
シーケンス1:ブレーキ閉の状態でモータの運転開始
シーケンス2:ブレーキ開指令を出力
シーケンス3:ブレーキ開の状態でモータを運転
シーケンス4:ブレーキ閉指令を出力
シーケンス5:ブレーキ閉の状態でモータを運転
シーケンス6:モータの運転停止
少なくとも前記ブレーキ開遅れ時間、前記ブレーキ閉遅れ時間を設定することを特徴とする請求項3記載のインバータ装置。 - 前記設定手段は、前記ブレーキの開指令が出力された時点から前記モータの運転状態に応じて変化する所定のパラメータが所定値に到達するまでの時間を計測し、その計測された時間に基づいて前記ブレーキ開遅れ時間を設定することを特徴とする請求項4記載のインバータ装置。
- 前記所定のパラメータを、前記モータの運転時における推定周波数とすることを特徴とする請求項5記載のインバータ装置。
- 前記所定値を、前記モータの定格すべり周波数に基づく値とすることを特徴とする請求項6記載のインバータ装置。
- 前記設定手段は、前記ブレーキの閉指令が出力された時点から前記モータの運転状態に応じて変化する所定のパラメータが所定値に到達するまでの時間を計測し、その計測された時間に基づいて前記ブレーキ閉遅れ時間を設定することを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載のインバータ装置。
- 前記所定のパラメータを、前記モータの運転時における推定トルクとすることを特徴とする請求項8記載のインバータ装置。
- 前記所定値を、前記モータの定格トルクに基づく値とすることを特徴とする請求項9記載のインバータ装置。
- 前記制御部及び前記設定手段は、前記モータの回転を開始させるまでに、当該モータに対する励磁を予め確立させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載のインバータ装置。
- 前記ブレーキ制御データには、ブレーキ開制御用のトルク指令値を含み、
前記制御部及び前記設定手段は、前記モータの始動を、前記トルク指令値に基づくトルク制御によって行うことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載のインバータ装置。 - 前記ブレーキ制御データには、ブレーキ閉制御用の周波数指令値を含み、
前記制御部及び前記設定手段は、前記モータの停止を、前記周波数指令値に基づく速度制御によって行うことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載のインバータ装置。 - 前記設定手段は、前記ブレーキ制御データの設定を行う際における前記インバータ回路の制御状態に基づいて、前記ブレーキ制御データの設定が不能であると判断すると、その旨の異常情報を出力することを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載のインバータ装置。
- 前記設定手段は、前記ブレーキ制御データの設定を行う際において、前記ブレーキ制御データに設定すべき時間が予め定めた上限時間を超えている場合、前記ブレーキ制御データの設定が不能であると判断し、その旨の異常情報を出力することを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載のインバータ装置。
- 前記ブレーキ制御データには、ブレーキ開制御用のトルク指令値を含み、
前記設定手段は、
前記シーケンス1,2におけるモータの始動を、前記トルク指令値に基づくトルク制御によって行い、
前記ブレーキ制御データに設定すべき時間が予め定めた上限時間を超えている場合、設定シーケンスを停止し、
前記トルク指令値を所定値だけ増加させると、再度シーケンス1から実行することを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載のインバータ装置。 - 前記ブレーキ制御データには、ブレーキ開制御用のトルク指令値を含み、
前記設定手段は、
前記シーケンス1,2におけるモータの始動を、前記トルク指令値に基づくトルク制御によって行い、
前記ブレーキ制御データに設定すべき時間が予め定めた上限時間を超えている場合に、
前記所定のパラメータが所定値に到達するまで前記トルク指令値を順次増加させ、
前記所定値に到達した時点で設定シーケンスを停止すると、その時点のトルク指令値を用いて再度シーケンス1から実行することを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載のインバータ装置。 - 前記設定手段は、
前記シーケンス4〜6におけるモータの停止を、前記周波数指令値に基づく速度制御によって行い、
前記ブレーキ制御データに設定すべき時間が予め定めた上限時間を超えている場合に設定シーケンスを停止し、
前記周波数指令値を所定値だけ増加させると、再度シーケンス4から実行することを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載のインバータ装置。 - 前記設定手段は、
前記シーケンス4〜6におけるモータの停止を、前記周波数指令値に基づく速度制御によって行い、
前記ブレーキ制御データに設定すべき時間が予め定めた上限時間を超えている場合に、前記所定のパラメータが所定値に到達するまで前記周波数指令値を順次増加させ、
前記所定値に到達した時点で設定シーケンスを停止すると、その時点の周波数指令値を用いて再度シーケンス4から実行することを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載のインバータ装置。
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