JP6030978B2 - インバータ装置及びインバータ装置のティーチング方法 - Google Patents

インバータ装置及びインバータ装置のティーチング方法 Download PDF

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本発明の実施形態は、インバータ回路によりモータを可変速制御するインバータ装置と、前記モータの回転を停止させる機械式ブレーキとを備えるモータ駆動システムに使用される前記インバータ装置,及びインバータ装置のティーチング方法に関する。
モータの回転を停止させるための機械式ブレーキを備えてなるモータ駆動システムは、例えば電気ホイストやクレーンなど様々な用途に適用されている。斯様なモータ駆動システムでは、従来よりブレーキの作動タイミングをどのように決定するかが問題となっている。インバータ回路を介してモータを駆動する場合、通常、インバータ装置が有する速度や電流を検出する機能を利用して、インバータ装置の出力周波数が例えば2〜3Hz程度に上昇し、且つインバータ装置の出力電流が所定電流以上となった場合にブレーキを開にする。また、ブレーキを閉にする場合は、インバータ装置に低速度指令が与えられ、出力周波数が十分に低下するまで減速した時点でブレーキを閉にする。
この時、機械式ブレーキには、開閉用の制御指令が与えられた時点から実際にブレーキが作用するまでに数十m〜百ms程度の遅れ時間が存在する。そのため、制御シーケンスの調整を、機械式ブレーキの遅れ時間も考慮した上で行う必要がある。加えて、使用するモータの種類や負荷の種類等により駆動システムの前提条件は相違するため、これらの調整は個別に行わなければならない。
そこで、特許文献1では、ブレーキ開時の遅れ時間やブレーキ閉時の遅れ時間を実際のシステム毎にティーチングするためのシーケンスを実行し、その結果得られたデータを以降のブレーキ制御に利用する技術が開示されている。図8は、一般的なインバータの機械式ブレーキシーケンスを示す。
t1:運転指令が入力される(f)。
t1−t2:運転指令の入力と共に、予備励磁動作が開始される(b)。
t2:予備励磁が終了すると、インバータシステムから機械式ブレーキにブレーキ開放信号が出力される(d)。
t2−t3:機械遅れ時間Tr。機械式ブレーキが、インバータシステムからのブレーキ開信号を受けてから実際に開放するまでの時間である。この間、インバータシステムは機械式ブレーキが閉じていると判断し、機械式ブレーキ開放後に必要となるトルクを立ち上げる(c)。尚、上記の時間Trとインバータシステムに設定されているブレーキ開放時間は多少ずれる場合があるが、ここでは略一致しているものとする。
t3:機械式ブレーキ開放タイミング(e)。運転信号が入力されてからブレーキ開放までの時間Tdは(t3−t1)となる。
t3−t4:インバータシステムは機械式ブレーキ開放と判断し、目標速度指令に向けて加速する(a)。
t4−t5:等速運転。t5で運転停止指令が入力される(f)。
t5−t6:減速運転。t6でクリープ周波数に到達する(f)。この時に、インバータシステムから機械式ブレーキにブレーキ閉信号が出力される。
t6−t7:機械遅れ時間Tmc。機械式ブレーキが、インバータシステムからのブレーキ閉信号を受けてから閉じるまでの時間である。t7で機械式ブレーキが閉じる(e)。
t7−t8:機械式ブレーキは閉じているが、インバータシステムは、設定されている機械式ブレーキ閉遅れ時間に相当するクリープ時間(t6−t8)で、クリープ周波数で運転を継続する。t8でインバータシステムの運転が停止される(a)。
図9は、特許文献1におけるブレーキ開遅れ時間のティーチング動作部分を示す。
T1:運転開始指令が入力される(a)。
T1−T2:起動後、予備励磁動作が開始され、磁束が立ち上がる(d)。
T2:予備励磁動作を終了するとトルクバイアスモードが開始され、モータを拘束した状態でトルクを目標値に向けて立ち上げる(e)。同時に、インバータシステムから機械式ブレーキにブレーキ開放信号を出力し、ブレーキ開放遅れ時間の計測を開始する(f)。
T2−T3:機械式ブレーキが、インバータシステムからのブレーキ開放信号を受けてから開放するまでの機械遅れ時間であり、T3は機械式ブレーキ開放タイミングである。
T3−T4:機械式ブレーキの開放により、インバータシステムは、機械式ブレーキ開放後の情報変化を捉えて、機械式ブレーキ開放状態と判断する。
そして、時間(T4−T2)を機械式ブレーキの開放遅れ時間として記憶し、ブレーキ開放遅れ時間のティーチング動作を終了する。
T4:ブレーキ開放遅れ時間を記憶し、トルクバイアスモードから速度制御モードに移行する。以上の手順により、ブレーキ開放遅れ時間をティーチングしている。
尚、図9における(g);T3のブレーキ開放タイミングと、(b);T4のモータ回転周波数の上昇開始タイミングとのずれは、T3のブレーキ開放タイミングが制御情報に基づく推定であることから、多少のずれが生じることがあるためである。
特開2006−345602号公報
しかしながら、特許文献1のようなインバータシステムによる機械式ブレーキの操作では、運転信号の入力から機械式ブレーキ開放までの時間は、図9に示す(T3−T1)となっているが、実際の機械式ブレーキ開放遅れ時間は(T3−T2)であるため、操作応答性が遅いという問題がある。この開放遅れ時間は個別の機械式ブレーキに特有ものであり、また、機械式ブレーキを開放した後のトルクを確保するため予備励磁が必要である。
予備励磁時間(T2−T1)は、予備励磁前の磁束レベルに応じて変化するが、通常運転では予備励磁前の磁束レベルが略なく、上記時間は略変化しない。したがって、操作性を向上させるには、インバータシステムがブレーキ開放信号を出力するタイミングを制御するしかない。
そこで、機械式ブレーキを備えるモータ駆動システムについてブレーキ開遅れ時間を得るためのティーチング動作に基づいて、より速い操作性を得ることができるインバータ装置,及びインバータ装置のティーチング方法を提供することにある。
実施形態のインバータ装置によれば、制御部がモータの起動に伴ってブレーキの開制御を実行する際に、タイミング決定手段は、インバータ回路を介して検出される相電流から演算により推定したモータの磁束の変化に基づいて、機械式ブレーキを開放するための開指令の出力タイミングを決定する。具体的には、モータが停止しており機械式ブレーキが閉じている状態から、モータの磁束を上昇させるように制御部に指令を与えて予備励磁を開始させると共に、予備励磁時間Tfluxの計測を開始する。
モータに発生する磁束が励磁目標磁束Φtargetに達すると、予備励磁の完了と共に時間Tfluxの計測を完了して、モータの出力トルクを上昇させるよう制御部に指令を与えると共に、機械式ブレーキを開放するための開指令を出力して、目標トルク到達時間Ttroqの計測及びブレーキ開遅れ時間Tbrakeの計測を開始する。
モータの出力トルクが目標トルクに達すると時間Ttroqの計測を完了し、機械式ブレーキが開放されると時間Tbrakeの計測を完了する。そして、開指令の出力タイミングを判断するための磁束レベルΦbrakeを、予備励磁におけるモータの磁束の上昇変化に応じて、各時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに励磁目標磁束Φtargetをパラメータとする演算により決定する。
電気ホイストに適用した場合の一実施形態であり、ブレーキ開遅れ時間についてのティーチング処理を示すフローチャート 図1のティーチング処理に対応するタイミングチャート ティーチング結果に基づくブレーキ開制御内容を示すフローチャート 図3の制御内容に対応するタイミングチャート 予備励磁電流を最適化した場合のブレーキ開制御タイミングチャート ホイスト本体に内蔵されるインバータ装置の構成を中心として示す機能ブロック図 (a)は電気ホイストの概略構造を説明する正面図、(b)は同側面図 従来技術を説明するもので、機械式ブレーキを備えるインバータ装置の通常のモータ駆動(起動→運転→停止)動作図 ブレーキ開遅れ時間のティーチングを説明する図
以下、電気ホイストに適用した場合の一実施形態について図1から図7を参照して説明する。図6(a)は、電気ホイストの概略構造を説明する正面図、(b)は側面図である。電気ホイスト1は、2台の走行用モータ2,3により走行レール4を挟む駆動輪5,6が駆動されると走行レール4に沿って走行する。そして、ユーザが図示しない昇降用スイッチを操作すると巻上用モータ7が駆動され、ワイヤロープ8の巻込み又は繰出しが行われてフック9に吊り下げた荷物(図示せず)を昇降させるようになっている。
図6は、ホイスト本体10に内蔵されるインバータ装置11の構成を中心として示す機能ブロック図である。インバータ装置11には交流電源12が供給されており、当該インバータ装置11に内蔵されるインバータ制御部13は、3相誘導モータで構成される巻上用モータ7を、インバータ回路14を介してベクトル制御して駆動するように構成されている。
インバータ制御部13は、マイクロコンピュータにより構成され、ベクトル制御部15,ブレーキ制御部16,自動設定機能部(タイミング決定手段)17などを備えている。尚、これらのブロックは主にソフトウエアによって実現されるものである。インバータ装置11に対しては、外部より運転指令や周波数指令,ティーチング指令などが与えられるようになっており、インバータ制御部13は、これらの指令に基づきベクトル制御部15によりベクトル制御演算を行い、PWM信号を生成してインバータ回路14に出力する。
また、インバータ制御部13は、巻上げ用モータ(以下、単にモータと称す)7を始動又は停止させる場合に、モータ7のシャフトを拘束するための機械式ブレーキ(BR,以下、単にブレーキと称す)18の開閉を、ブレーキ制御部16によりブレーキ励磁部19を介して制御する。ブレーキ制御部16は、ブレーキ18の開閉制御を行う際にはブレーキ制御データ20に基づいて行う。このブレーキ制御データ20は、後述するように外部よりティーチング指令を与えて自動設定機能部17を機能させるとその作用により自動設定される。また、自動設定機能部17を機能させない場合には、予めメモリ(記憶手段)21に記憶されている設定データが読み出されて使用される。
ベクトル制御部15は、インバータ回路14を介して少なくとも2相(例えばu,w)の電流を検出し、それらの検出電流に基づいてベクトル制御演算を行なう(センサレスベクトル制御)。尚、検出する電流が2相だけの場合、残りの1相(v)については演算により求める。そして、モータ7の回転角周波数ω(以降では、速度推定値ωと称す),回転位相角θ,励磁電流Id,トルク電流Iqなどを演算する。自動設定機能部17は、ベクトル制御部15に対して励磁電流指令Idc,トルク電流指令Iqc,周波数指令fcを与え、ブレーキ制御データ20の自動設定を行う場合には、ベクトル制御部15より回転角周波数ω及びトルク電流Iqを得るようになっている。
次に、本実施形態の作用について図1から図5を参照して説明する。本実施形態では、モータを停止させている状態からブレーキ開制御を行う際に、ブレーキ開信号(開放指令,開指令)の出力タイミングを決定する磁束Φbrakeを計算するためのティーチングの手順について説明する。図1は、外部よりティーチング指令が与えられた場合に、インバータ制御部13の自動設定機能部17が上記ティーチングを行う場合の処理を示すフローチャートである。
モータ7が停止しており、ブレーキ18が閉じている初期状態から運転開始指令が与えられると(図2(a):T1)、自動設定機能部17は、ベクトル制御部15に励磁電流指令Idcを出力する。すると、モータ7が励磁されて磁束が立ち上り予備励磁モードとなり、予備励磁時間Tfluxの計測を開始する(S1,図2(c,d))。
自動設定機能部17は、予備励磁(励磁フォーシング)モード中のモータ7の磁束推定レベルΦeを、停止状態にあるモータの簡易磁束モデルに基づいて次式により推定する。
Figure 0006030978
τr −1=Rr/Lr:モータ二次時定数の逆数
Φe:予備励磁中の磁束推定レベル
L=Ls−Lf:モータ一次側のインダクタンスと漏れインダクタンスとの差分
Id_flux:予備励磁中の励磁電流
そして、ステップS2では、(1)式より求めた磁束Φeと目標磁束Φtargetとを比較する。目標磁束Φtargetはモータ7のノミナル磁束であり(2)式となる。但し、Idnはノミナル励磁電流である。
Φtarget=L×Idn …(2)
(Φe>Φtarget)になると(YES)予備励磁時間Tfluxの計測を終了し、メモリ21に記憶する。また、目標磁束Φtargetをメモリ21に記憶し、予備励磁を終了する(S3,図2(c):T2)。
続いて、トルク電流指令Iqcを出力することで、モータ7をブレーキ18により拘束した状態で出力トルクを所定の目標値まで立ち上げるトルクバイアスモードを開始する。同時に、ブレーキ開信号を出力して、ブレーキ開放遅れ時間Tbrakeと、出力トルクが目標トルクに達するまでの時間Ttorqの計測を開始する(S4,図2(c),(e):T2)。出力トルクが目標トルクに達すると(S5:YES)時間Ttorqの計測を終了し、メモリ21に記憶する(S6,図2(e):T5)。
それから、モータ7の速度推定値ωを参照することで、ブレーキ18が実際に開放状態になったか否かを判断し(S7)、開放状態になったと判断すると(変化情報を取得,YES)、ブレーキ開放遅れ時間Tbrakeの計測を終了し、メモリ21に記憶する。そして、ブレーキ開放遅れ時間のティーチングを終了する(T4)。制御モードは、トルクバイアスモードから速度制御モードに移行する。それから、ブレーキ開信号の出力タイミングを判断するための磁束レベルΦbrakeを次式により計算する(S8)。
Φbrake={Tflux−(Tbrake−Ttroq)}/Tflux×Φtarget …(3)
尚、{Tflux≦(Tbrake−Ttroq)}となる場合は、Φbrake=0とする。
ここで、磁束Φbrakeを(3)式で計算しているのは、予備励磁を開始した際の磁束の上昇軌跡を直線近似したことに基づいている。そして、目標磁束Φtargetに達した時点を起点として、予備励磁時間Tflux内にブレーキ開信号を出力するタイミングを、ブレーキ開放遅れ時間Tbrakeを要した分だけ前倒しするための磁束レベルがΦbrakeとなる。
次に、上記のティーチング結果に基づき実際にブレーキ制御を行う場合について、図3及び図4を参照して説明する。図3に示すフローチャートにおいて、先ず、ブレーキ開放遅れ時間を最短化するか否かを判断し(S11)、最短化しない場合は(NO)予備励磁を開始する(S12,図4(d),T1)。上記の最短化については後述する。また、励磁電流Iflux_Oldは、ティーチング時の予備励磁電流である。
そして、磁束推定値がΦbrake以上になると(S13:YES)ブレーキ開放信号を出力し、記憶したブレーキ開放遅れ時間と比較するためブレーキ開放遅れ時間の計測を開始する(S14,図4(f),T4)。磁束推定値がΦtarget以上になると(S15:YES)予備励磁を終了し、トルクバイアスモードに移行して出力トルクが目標トルクに達するまでの時間Ttorqの計測を開始する(S16,図4(c),(d),T2)。
続いて、計測しているブレーキ開放遅れ時間がティーチング時に計測して記憶した値以上になり(S18:YES)、且つ計測している時間Ttorqがティーチング時に計測して記憶した値以上になると(S19:YES,T3)、トルクバイアスモードを終了して速度制御モードに移行する(S20)。尚、ステップS19において、計測している時間Ttorqがティーチング時に記憶した値以上にならなければ(S19:NO)異常処理を行う(S21)。すなわち、運転指令が入力されてからブレーキ18が開放されるまでの時間は略(T1−T3)となり、ティーチング前に要した時間より約(T2−T4)分短縮されている。
次に、ステップS11において、ブレーキ開放遅れ時間を最短化する場合は(YES)、ティーチング時の予備励磁電流Iflux_Oldを用いて、最適化時の予備励磁電流Iflux_Newを(4)式により計算する(S22)。
Iflux_New=Tflux/(Tbrake−Ttorq)×Iflux_Old …(4)
ここで求める予備励磁電流Iflux_Newは、ティーチング時の予備励磁電流Iflux_Oldに基づいて、ブレーキ開放遅れ時間を最短化するために付与する予備励磁電流である。
また、一般にインバータシステムにおいては、励磁電流に制限が設けられている場合が多い。その制限値をILim_Maxとすると、予備励磁電流Iflux_Newを制限値ILim_Maxと比較して(S23)、(Iflux_New)≦(ILim_Max)であれば(YES)、すなわち予備励磁電流Iflux_Newが制限値によって制限されなければ、励磁電流Iflux_Newに対応した予備励磁時間Tflux_Newを次式により求める。
Tflux_New=Iflux_Old/Iflux_New×Tflux …(5)
(=Tbrake−Ttorq)
このTflux_Newは、最短化した場合の予備励磁時間である。
この時、最適化した前記開指令の出力タイミングを判断するための励磁目標磁束Φbrake_Newは次式のようになる(S24)。
Φbrake_New={(Tflux_New−(Tbrake−Ttroq)}
/Tflux_New×Φtarget
={1−(Tbrake−Ttroq)/Tflux_New}×Φtarget
=0 …(6)
つまり、励磁目標磁束Φbrake_Newはゼロになる(S24)。それから、励磁電流をIflux_OldをIflux_Newに置き換え、励磁目標磁束Φbrakeをゼロにして(S25)ステップS12に移行する。
この場合、図5(a)に示すように、運転指令の入力と同時にブレーキ開信号(f)を出力することになるので(T1,T4が一致する)、ブレーキ開放までの時間がブレーキ開放遅れ時間にほぼ等しくなり、最短となる。また、図5(h)に示すように励磁電流がIflux_OldからIflux_Newに増加した分だけ、図5(d)に示すように予備励磁における磁束が破線から実線に増加する。
一方、ステップS23において、(Iflux_New)>(ILim_Max)であれば(NO)、励磁電流Iflux_Oldを制限値ILim_Maxで制限して、励磁目標磁束Φbrake_Newを以下のように求める(S26)。
Tflux_New=Iflux_Old/Iflux_New×Tflux
=Iflux_Old/ILim_Max×Tflux …(7)
Φbrake_New={(Tflux_New−(Tbrake−Ttroq)}
/Tflux_New×Φtarget
={1−(Tbrake−Ttroq)/Tflux_New}×Φtarget
={1−(Tbrake−Ttroq)
/Tflux×ILim_Max/Iflux_Old}×Φtarget …(8)
この場合でも、(ILim_Max>Iflux_Old)であるから(Φbrake_New<Φbrake)となり、運転指令の入力からブレーキ18の開放までの時間はより短縮されることになる。そして、磁束推定値がΦbrakeを、ステップS26で求めた励磁目標磁束Φbrake_Newに設定し(S27)、ステップS12に移行する。
以上のように本実施形態によれば、ブレーキ制御部16がモータ7の起動に伴ってブレーキ18の開制御を実行する際に、自動設定機能部17は、インバータ回路14を介して検出される相電流から演算により推定したモータ7の磁束の変化に基づいて、ブレーキ開信号の出力タイミングを決定する。具体的には、モータ7が停止しておりブレーキ18が閉じている状態から、モータ7の磁束を上昇させるようにブレーキ制御部16に指令を与えて予備励磁を開始させると共に、予備励磁時間Tfluxの計測を開始する。
モータ7に発生する磁束が励磁目標磁束Φtargetに達すると、時間Tfluxの計測を完了して、モータ7の出力トルクを上昇させるようブレーキ制御部16に指令を与えると共に、ブレーキ18を開放するためのブレーキ開信号を出力して、目標トルク到達時間Ttroq及びブレーキ開遅れ時間Tbrakeの計測を開始する。目標トルクに達すると時間Ttroqの計測を完了し、ブレーキ18が開放されると時間Tbrakeの計測を完了する。
そして、磁束レベルΦbrakeを、予備励磁におけるモータ7の磁束の上昇変化に応じて、各時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに励磁目標磁束Φtargetをパラメータとする演算により決定する。具体的には、磁束レベルΦbrakeを(3)式により求めるようにした。これにより、ブレーキ開信号を予備励磁中に出力して、ブレーキ開放遅れ時間によってモータ7の拘束が開放されるまでの遅延を短縮できる。
また、自動設定機能部17は、ティーチング時の予備励磁における励磁電流をIflux_Oldとすると、最適化した励磁電流Iflux_Newを、予備励磁におけるモータ7の磁束の上昇変化に応じて、時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに励磁電流Iflux_Oldをパラメータとする演算により決定する。
そして、励磁電流Iflux_Newに対応した予備励磁時間Tflux_Newを、励磁電流Iflux_New及びIflux_Oldと予備励磁時間Tfluxとから求め、励磁目標磁束Φbrake_Newを、予備励磁時間Tfluxを予備励磁時間Tflux_Newに置き換えて求める。具体的には、最適化した励磁電流Iflux_Newを(4)式により求め、予備励磁時間Tflux_Newを(5)式で求める。更に、ブレーキ開信号の出力タイミングを判断するための励磁目標磁束Φbrake_Newを(6)又は(8)式で求めるようにした。したがって、ティーチング結果に応じて励磁電流Iflux_Newを再設定することで、モータ7の拘束が開放されるまでの遅延を更に短縮できる。
加えて、励磁電流Iflux_Newが、仕様上設定されている制限値Ilim_Maxを超える場合は、励磁目標磁束Φbrake_Newを(8)式で求め、励磁電流Iflux_Newが前記制限値以下である場合は、励磁目標磁束Φbrake_Newをゼロに設定する。したがって、励磁電流Iflux_Newが制限値Ilim_Maxで制限されなければ、運転指令の入力と同時にブレーキ開信号を出力することになり、ブレーキ開放までの時間をブレーキ開放遅れ時間にほぼ等しくして最短にできる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
異常対応処理は、必要に応じて行えば良い。
磁束レベルΦbrakeの計算式は(3)式に限らない。磁束の上昇軌跡をどのように近似するかに応じて、適切な計算式を用いれば良い。
電気ホイストに限ることなく、クレーンや昇降機などのように機械式ブレーキを使用し、インバータ出力を利用してブレーキの開閉を制御するシステムに広く適用できる。
図面中、7は誘導モータ、11はインバータ装置、13はインバータ制御部、14はインバータ回路、17は自動設定機能部(タイミング決定手段)、18は機械式ブレーキ、21はメモリ(記憶手段)を示す。

Claims (10)

  1. インバータ回路によりモータを可変速制御するインバータ装置と、前記モータの回転を停止させる機械式ブレーキとを備えるモータ駆動システムに使用される前記インバータ装置において、
    前記モータを可変速制御すると共に、前記機械式ブレーキの開閉を制御する制御部と、
    この制御部が前記モータの起動に伴って前記ブレーキの開制御を実行する際に、前記インバータ回路を介して検出される相電流から演算により推定した前記モータの磁束の変化に基づいて、前記機械式ブレーキを開放するための開指令の出力タイミングを決定するタイミング決定手段とを備え、
    前記タイミング決定手段は、前記モータが停止しており前記機械式ブレーキが閉じている状態から、前記モータの磁束を上昇させるように前記制御部に指令を与えて予備励磁を開始させると共に、予備励磁時間Tfluxの計測を開始し、
    前記モータに発生する磁束が励磁目標磁束Φtargetに達すると、前記時間Tfluxの計測を完了して、前記モータの出力トルクを上昇させるよう前記制御部に指令を与えると共に、前記機械式ブレーキを開放するための開指令を出力して、目標トルク到達時間Ttroqの計測及びブレーキ開遅れ時間Tbrakeの計測を開始し、
    前記モータの出力トルクが目標トルクに達すると、前記時間Ttroqの計測を完了し、
    前記機械式ブレーキが開放されると、時間Tbrakeの計測を完了し、
    前記開指令の出力タイミングを判断するための磁束レベルΦbrakeを、前記予備励磁における前記モータの磁束の上昇変化に応じて、前記時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに前記励磁目標磁束Φtargetをパラメータとする演算により決定することを特徴とするインバータ装置。
  2. 前記タイミング決定手段は、前記予備励磁における励磁電流をIflux_Oldとすると、最適化した励磁電流Iflux_Newを、前記予備励磁における前記モータの磁束の上昇変化に応じて、前記時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに前記励磁電流Iflux_Oldをパラメータとする演算により決定し、
    前記励磁電流Iflux_Newに対応した予備励磁時間Tflux_Newを、前記励磁電流Iflux_New及びIflux_Oldと、前記予備励磁時間Tfluxとから求め、
    最適化した前記開指令の出力タイミングを判断するための励磁目標磁束Φbrake_Newを、演算パラメータとしての前記予備励磁時間Tfluxを前記予備励磁時間Tflux_Newに置き換えて求めることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  3. 前記タイミング決定手段は、前記磁束レベルΦbrakeを、次式
    Φbrake={Tflux−(Tbrake−Ttroq)}/Tflux×Φtarget
    により求めることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
  4. 前記タイミング決定手段は、最適化した励磁電流Iflux_Newを次式により求め、
    Iflux_New=Tflux/(Tbrake−Ttorq)×Iflux_Old
    前記励磁電流Iflux_Newに対応した予備励磁時間Tflux_Newを次式により求め、
    Tflux_New=Iflux_Old/Iflux_New×Tflux
    最適化した前記開指令の出力タイミングを判断するための励磁目標磁束Φbrake_Newを、次式
    Φbrake_New={1−(Tbrake−Ttroq)/Tflux_New}×Φtarget
    で求めることを特徴とする請求項2記載のインバータ装置。
  5. 前記タイミング決定手段は、前記励磁電流Iflux_Newが、仕様上設定されている制限値Ilim_Maxを超える場合は、前記励磁目標磁束Φbrake_Newを、次式
    Φbrake_New={1−(Tbrake−Ttroq)/Tflux
    ×(Ilim_Max/Iflux_Old)}×Φtarget
    より求め、
    前記Iflux_Newが前記制限値以下である場合は、前記励磁目標磁束Φbrake_Newをゼロに設定することを特徴とする請求項4記載のインバータ装置。
  6. インバータ回路によりモータを可変速制御するインバータ装置と、前記モータの回転を停止させる機械式ブレーキとを備えるモータ駆動システムに使用される前記インバータ装置において、前記機械式ブレーキを開放する開指令の出力タイミングをティーチングする方法であって、
    前記モータが停止しており前記機械式ブレーキが閉じている状態から、前記モータの磁束を上昇させて予備励磁を開始させると共に、予備励磁時間Tfluxの計測を開始し、
    前記モータに発生する磁束が励磁目標磁束Φtargetに達すると、前記時間Tfluxの計測を完了して、前記モータの出力トルクを上昇させると共に、前記機械式ブレーキを開放するための開指令を出力して、目標トルク到達時間Ttroqの計測及びブレーキ開遅れ時間Tbrakeの計測を開始し、
    前記モータの出力トルクが目標トルクに達すると、前記時間Ttroqの計測を完了し、
    前記機械式ブレーキが開放されると、時間Tbrakeの計測を完了し、
    前記開指令の出力タイミングを判断するための磁束レベルΦbrakeを、前記予備励磁における前記モータの磁束の上昇変化に応じて、前記時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに前記励磁目標磁束Φtargetをパラメータとする演算により決定することを特徴とするインバータ装置のティーチング方法。
  7. 前記モータの磁束が前記磁束レベルΦbrakeに達した際に出力されている励磁電流をIflux_Oldとすると、最適化した励磁電流Iflux_Newを、前記予備励磁における前記モータの磁束の上昇変化に応じて、前記時間Tflux,Ttroq及びTbrake並びに前記励磁電流Iflux_Oldをパラメータとする演算により決定し、
    前記励磁電流Iflux_Newに対応した予備励磁時間Tflux_Newを、前記励磁電流Iflux_New及びIflux_Oldと、前記予備励磁時間Tfluxとから求め、
    最適化したブレーキ開信号の出力タイミングを判断するための励磁目標磁束Φbrake_Newを、演算パラメータとしての前記予備励磁時間Tfluxを前記予備励磁時間Tflux_Newに置き換えて求めることを特徴とする請求項6記載のインバータ装置のティーチング方法。
  8. 前記磁束レベルΦbrakeを、次式
    Φbrake={Tflux−(Tbrake−Ttroq)}/Tflux×Φtarget
    により求めることを特徴とする請求項6記載のインバータ装置のティーチング方法。
  9. 最適化した励磁電流Iflux_Newを次式により求め、
    Iflux_New=Tflux/(Tbrake−Ttorq)×Iflux_Old
    前記励磁電流Iflux_Newに対応した予備励磁時間Tflux_Newを次式により求め、
    Tflux_New=Iflux_Old/Iflux_New×Tflux
    最適化したブレーキ開信号の出力タイミングを判断するための励磁目標磁束Φbrake_Newを、次式
    Φbrake_New={1−(Tbrake−Ttroq)/Tflux_New}×Φtarget
    で求めることを特徴とする請求項7記載のインバータ装置のティーチング方法。
  10. 仕様上、前記励磁電流Iflux_Newが、仕様上設定されている制限値Ilim_Maxを超える場合は、前記励磁目標磁束Φbrake_Newを、次式
    Φbrake_New={1−(Tbrake−Ttroq)/Tflux
    ×(Ilim_Max/Iflux_Old)}×Φtarget
    より求め、
    前記Iflux_Newが前記制限値以下である場合は、前記励磁目標磁束Φbrake_Newをゼロに設定することを特徴とする請求項9記載のインバータ装置のティーチング方法。
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