JP6753795B2 - ウインチ制御装置及びクレーン - Google Patents

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Description

本発明は、電動機で駆動されるウインチ制御装置及び当該ウインチ制御装置を備えるクレーンに関するものである。
クレーンのウインチ制御装置は、一般的に、ウインチドラムを駆動させるための回転運動を行うアクチュエータと、ウインチドラムの回転を制動するブレーキとを備えている。ウインチドラムの停止時は、アクチュエータは停止し、且つブレーキが有効となり、ウインチドラムの回転方向の運動はブレーキの制動力により拘束される。巻上動作を開始する際には、ブレーキの制動が解除され、解除と同時にアクチュエータが巻上方向に回転運動を行う。
吊荷を空中で停止させた状態から、巻上動作を開始する場合、ブレーキが解除された直後に、吊荷の荷重に相当するトルクが瞬時にアクチュエータに加わることとなるが、特に吊荷の荷重が大きいと、瞬時に加わるトルクにアクチュエータが抗うことができず、一時的に、ワイヤロープの繰り出し方向(巻下方向)にアクチュエータが逆転してしまう逆転現象が発生する。
このような、アクチュエータの逆転現象による吊荷の一時的な落下を回避する技術として、特許技術1がある。特許文献1は、巻方向切替弁を巻上操作した際に、ウインチドラムを駆動する駆動モータの駆動圧力が昇圧して駆動モータが巻上方向に回転し始めるまで、駆動モータの巻下方向の回転を静止する逆転防止手段を備える油圧駆動ウインチの制御装置を開示する。ここで、逆転防止手段は、駆動モータの回転軸を固定する爪車と、爪車の爪間に差し込まれるパウルと、パウルを進退させるをシリンダと、シリンダに制御圧を導入するパイロット切替弁とを含む装置で構成されている。
また、電動ウインチ装置を対象に、吊荷の一時的な落下を防止する技術として、特許文献2がある。特許文献2は、トルク電流と吊荷速度とから吊荷重量を推定し、推定した吊荷重量に基づいて吊荷保持用トルクを算出する吊荷保持用トルク算出部と、モータが出力し得る最大トルクを算出する最大トルク算出部と、最大トルクから吊荷保持用トルクを引くことで吊荷の加速トルクを算出し、算出した加速トルクに基づいて、モータの加速制御を行う制御部とを備えるクレーンを開示する。
特開2001−165111号公報 特開2002−46985号公報
しかし、上記の特許文献1の技術は、上述したような逆転防止手段を別途をクレーンに追加する必要があり、部品点数の増加に伴う、コストアップ、信頼性低下、及びシステムの大型化を招来するといった課題がある。
特許文献2の技術は、推定した吊荷重量の推定誤差により、推定した吊荷保持用トルクが実際の吊荷保持用トルクよりも小さく推定されることがある。この場合、特許文献2の技術は、不足するトルクを補うトルクを別途算出することが行われていないので、吊荷が落下する可能性がある。
本発明は、吊荷の落下を防止するための専用の装置を別途設けなくても、巻上操作の入力直後における吊荷の落下を防止することを目的とする。
本開示の一態様に係るウインチ制御装置は、クレーンのウインチ制御装置であって、
吊荷を吊り下げるワイヤーロープが巻回されたウインチドラムと、
前記ウインチドラムを巻下又は巻上駆動する電動機と、
前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記ウインチドラムに対する巻上操作が入力される操作部と、
前記吊荷の荷重値を検出する荷重検出部と、
前記電動機の回転方向への運動を拘束するブレーキと、
前記巻上操作が入力された場合、前記ブレーキによる前記拘束を解除するブレーキ制御部と、
前記巻上操作が入力された場合、前記検出された回転速度と前記巻上操作の操作量に応じた目標速度との差分速度に基づいて、前記差分速度に相当する前記巻上方向のトルクである逆転防止トルクを前記電動機に発生させるための第1補償トルク値を算出する第1補償トルク値算出部と、
前記巻上操作が入力された場合、前記検出された荷重値に基づいて、前記荷重値を支持する前記巻上方向のトルクである荷重支持トルクを前記電動機に発生させるための第2補償トルク値を算出する第2補償トルク値算出部と、
前記検出された回転速度と前記目標速度との偏差を零にするための第1指令値を算出し、前記第1指令値に前記第1及び第2補償トルク値を加算することで、第2指令値を算出する指令値算出部と、
前記第2指令値に応じた電力を前記電動機に供給する電力変換部とを備える。
本態様は、巻上操作が入力された場合、電動機の回転速度と目標速度との差分速度に基づいて、差分速度に相当する巻上方向のトルクである逆転防止トルクを電動機に発生させるための第1補償トルク値を算出し、第1指令値に加算する。これにより、巻上動作の開始時において、電動機には巻上方向に逆転防止トルクが発生し、負荷トルクを支えるために必要となる速度制御によるトルクの不足分が補償される。
但し、第1補償トルク値は、電動機の回転速度の検出後に算出されているので、逆転防止トルクは、巻上操作の入力直後における吊荷の落下を十分に防止できない。
そこで、本態様は、巻上操作が入力された場合、吊荷の荷重値に基づいて、荷重値を支持する巻上方向のトルクである荷重支持トルクを電動機に発生させるための第2補償トルク値を算出し、第1指令値に加算する。ここで、第2補償トルク値は巻上操作が入力された直後に算出されているので、荷重支持トルクは巻上動作が開始された直後に電動機に発生し、逆転防止トルクの不足分を補償することができ、吊荷の落下を防止できる。
また、荷重検出部が実際の吊荷の荷重値よりも小さな荷重値を検出した場合、第2補償トルク値だけでは、吊荷による負荷トルクを支持するために必要なトルクが不足し、吊荷が落下する可能性がある。本態様では、第2補償トルク値による荷重支持トルクに加えて、第1補償トルク値による逆転防止トルクが電動機に加えられている。そのため、負荷トルクを支持するために必要な荷重支持トルクの不足分を補うことができ、吊荷の落下を防止できる。
また、本態様は、回転速度検出部及び荷重検出部を用いて第1及び第2補償トルク値が算出されているので、特許文献1に示す逆転防止手段のような専用の装置を別途設ける必要はない。したがって、本態様は、このような専用の装置を別途設けなくても、巻上操作の入力直後における吊荷の落下を防止できる。
更に、本態様は、巻上操作が入力されるとブレーキが解除されているので、ブレーキの摩耗を防止できる。
上記態様において、前記第1補償トルク値算出部は、前記巻上操作が入力された場合、前記目標速度に前記検出された回転速度が到達するまで、前記差分速度と、前記差分速度を微分した差分加速度との少なくとも一方を用いて前記第1補償トルク値を算出することが好ましい。
本態様によれば、差分速度と、差分速度を微分した差分加速度との少なくとも一方を用いて第1補償トルク値が算出されている。そのため、第1補償トルク値は、差分速度に相当する巻上方向のトルクを正確に表すことができる。また、本態様は、電動機の回転速度が目標速度に到達すると逆転防止トルクの発生を停止するので、回転速度が目標速度に追従した状態において、不要なトルクが吊荷に加えられることを防止できる。
上記態様において、前記荷重検出部は、前記吊荷の荷重値を計測する荷重計で構成されていることが好ましい。
本態様によれば、吊荷の荷重値が荷重計で計測されているので、吊荷の荷重値を直接的に得ることができる。
上記態様において、前記荷重検出部は、
前記電動機に入力される電流値を計測する電流計と、
前記計測された電流値から前記吊荷の荷重値を算出する荷重算出部とを備えることが好ましい。
本態様によれば、電動機に供給される電流値を用いて吊荷の荷重値が算出されているので、ワイヤーロープに直接取り付けることが困難な荷重計を用いて荷重値を計測した場合に比べてより正確に吊荷の荷重値を算出できる。
上記態様において、前記第2補償トルク値算出部は、前記荷重検出部により検出された荷重値に相当するトルクよりも、所定値だけ小さい値を前記第2補償トルク値として算出することが好ましい。
巻上開始直後に発生する吊荷の過渡的な揺れや荷重検出部の計測精度の影響により、荷重検出部が検出した吊荷の荷重値が実際の吊荷の荷重値よりも大きな値になることがある。この場合、第2補償トルク値が吊荷を支える以上の値となり、巻上開始直後に、吊荷が一時的に巻上方向に動き出す、いわゆる、吊荷の飛び出し現象が発生することがある。そこで、本態様は、荷重検出部により検出された荷重値に相当するトルクよりも、所定値だけ小さい値を第2補償トルク値として算出する。そのため、荷重検出部が実際の吊荷の荷重値よりも大きな荷重値を検出した場合であっても、吊荷の飛び出し現象を回避できる。
上記態様において、前記指令値算出部は、
前記検出された回転速度と前記目標速度との偏差を零にするためのd軸の目標電流値とq軸の目標電流値とを算出する速度制御器と、
前記電動機に供給される電流のd軸の電流値と前記d軸の目標電流値との偏差をd軸の電流指令値として算出する第1減算器と、
前記d軸の電流指令値を零にするためのd軸の電圧指令値を算出する第1電流制御器と、
前記電動機に供給される電流のq軸の電流値と前記q軸の目標電流値との偏差をq軸の電流指令値として算出する第2減算器と、
前記第2補償トルク値を前記q軸の電流指令値に加算する第1加算器と、
前記第1加算器による加算値を零にするためのq軸の電圧指令値を算出する第2電流制御器と、
前記q軸の電圧指令値に前記第2補償トルク値を加算する第2加算器とを備えることが好ましい。
本態様は、電動機のトルクを制御するためのq軸の電流指令値に第2補償トルク値が加算され、且つ、電動機のトルクを制御するためのq軸の電圧指令値に第1補償トルク値が加算されているので、吊荷の落下をより確実に防止できる。
なお、以上に示すウインチ制御装置はクレーンに適用された場合においても上記と同じ効果が得られる。
本発明によれば、吊荷の落下を防止するための専用の装置を別途設けなくても、巻上操作の入力直後に、巻下方向に吊荷が落下することを防止できる。
実施の形態1に係るウインチ制御装置が適用されたクレーンの構成の一例を示す図である。 図1に示すコントローラ及び電力変換部の内部構成の一例を示すブロック図である。 第1及び第2補償トルク値を算出することなく、電動機を速度制御するシミュレーションを実施した場合において、巻上動作の開始時の回転速度の時間的推移を示すグラフである。 第1補償トルク値のみを算出して、電動機を速度制御するシミュレーションを実施した場合において、巻上操作の開始時の回転速度の時間的推移を示すグラフである。 第1補償トルク値及び第2補償トルク値を算出して、電動機を速度制御するシミュレーションを実施した場合において、巻上操作の開始時の回転速度の時間的推移を示すグラフである。 実施の形態2に係るウインチ制御装置において、第2補償トルク値算出部22を中心とする構成を示すブロック図である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るウインチ制御装置が適用されたクレーンの構成の一例を示す図である。実施の形態1に係るウインチ制御装置は、クレーンに設けられ、吊荷4の巻上又は巻下を行う。
このクレーンは、図略のクレーン本体に起伏可能となるように設けられたブーム1を備えている。ブーム1の先端からは、ワイヤーロープ2を介してフック3が吊り下げられている。吊荷4はフック3によって吊られる。以下、吊荷4はフック3も含むものとする。
ウインチ制御装置は、図略のクレーン本体に設置され、ウインチドラム5を回転させることで、ワイヤーロープ2を介して吊荷4の巻上又は巻下を行う。
ウインチ制御装置は、ウインチドラム5と、ブレーキ6と、減速機7と、電動機8と、電力変換部9と、電源10と、回生抵抗11と、コントローラ12と、操作部13と、荷重計14と、電流計15と、角度センサ16とを備える。
ウインチドラム5は、ワイヤーロープ2が巻回されている。ウインチドラム5は、減速機7を介して電動機8の回転軸8aと接続され、電動機8のトルクにより回転する。また、ウインチドラム5の回転軸5aには、ウインチドラム5の回転方向への運動を拘束するためのブレーキ6が接続されている。
ブレーキ6は、コントローラ12の制御の下、電動機8の回転方向への運動を拘束したり、この拘束を解除したりする。ブレーキ6としては、例えば、バンド式或いは湿式ディスク式のメカニカルブレーキが採用できる。
ウインチドラム5は、一方の回転方向である巻上方向に回転することによりワイヤーロープ2を巻き取り、吊荷4を巻き上げる。また、ウインチドラム5は、巻上方向と逆の巻下方向に回転することによりワイヤーロープ2を繰り出し、吊荷4を巻き下げる。
電動機8は、電力変換部9による制御の下、電源10から供給される電力により駆動され、ウインチドラム5を巻下又は巻上駆動させる。電動機8のトルクは、回転軸8a、減速機7、及び回転軸5aを介してウインチドラム5に伝達され、ウインチドラム5が巻上又は巻下駆動される。
電力変換部9は、コントローラ12から出力される電圧指令値にしたがって、電源10から供給される直流電力を交流電力に変換し、電動機8に供給し、電動機8を駆動させる。
減速機7は、電動機8の回転軸8aのトルクを所定の減速比で減速してウインチドラム5の回転軸5aへ伝える。
電源10は、例えば、クレーンに搭載されるバッテリで構成される。或いは、電源10は、クレーンに搭載されたプラグイン端子を介して接続された外部電源で構成されてもよい。
回生抵抗11は、電力変換部9に接続され、電源10が回生しきれない余剰電力を消費し、電力調整を行う。
コントローラ12は、例えば、CPU、ROM、RAM等を含むコンピュータ及びDSP等のプロセッサで構成され、操作部13の操作量に応じた回転速度で電動機8が駆動するように電力変換部9を制御する。また、コントローラ12は、荷重計14、電流計15、及び角度センサ16等のセンサ類が接続され、吊荷4の状態を監視する。
操作部13は、ウインチドラム5を巻上駆動又は巻下駆動させるための操作者による操作が入力される。操作部13は、例えば、中立位置を中心に前後或いは左右に傾倒可能な操作レバーで構成されている。操作部13は、中立位置から巻上方向に対応する一方の方向に傾倒されると、傾倒量に応じた操作量をコントローラ12に出力し、中立位置から巻下方向に対応する他方の方向に傾倒されると傾倒量に応じた操作量をコントローラ12に出力する。なお、操作量は、巻下方向に操作された場合、例えば、マイナスの値を取り、巻上方向に操作された場合、例えば、プラスの値を取るというようにして、巻上方向及び巻下方向が区別される。
荷重計14は、例えば、ブーム1の起伏姿勢を保持する部材(例えば、起伏ロープ)に取り付けられたロードセルで構成され、ワイヤーロープ2に加わる荷重値を計測する。コントローラ12は、荷重計14が計測した荷重値を逐次取得し、取得した荷重値から後述する第2補償トルク値を算出する。
電流計15は、電力変換部9と電動機8との間の電力線に設けられ、電力変換部9が電動機8に供給する電流値を計測する。ここで、電流計15は、電動機8に供給される電流値を逐次計測し、計測した電流値をコントローラ12へ逐次出力する。
角度センサ16は、例えば、レゾルバやロータリーエンコーダで構成され、電動機8のロータの基準位置からの回転角度θを逐次計測し、コントローラ12へ逐次出力する。なお、回転角度θは、例えば、回転子が巻上方向に回転している場合、プラスの値をとり、回転子が巻下方向に回転している場合は、マイナスの値をとるというようにして、回転方向が区別される。
図2は、図1に示すコントローラ12及び電力変換部9の内部構成の一例を示すブロック図である。コントローラ12は、回転速度検出部20、第1補償トルク値算出部21、第2補償トルク値算出部22、指令値算出部23、スイッチ制御部25、及びブレーキ制御部26を備える。
回転速度検出部20は、例えば、微分器で構成され、角度センサ16から逐次入力される電動機8の回転角度θを微分することで、電動機8の回転速度ωを検出する。ここで、回転速度検出部20は、この微分処理を数値的に行うために、式(1)の伝達関数を用いた近似微分処理を行う。
Figure 0006753795
s:ラプラス演算子 T:時定数
なお、時定数Tは、例えば、T<<1を満たす十分小さい値である。
指令値算出部23は、回転速度ωと目標速度ωrefとの偏差を0にするための第1指令値を算出し、第1指令値に後述する第1及び第2補償トルク値を加算し、第2指令値を算出する。詳細には、指令値算出部23は、目標速度算出部231、減算器232,236,237、速度制御器233、電流制御器234,235、及び加算器238,239を備える。
目標速度算出部231は、操作部13に入力された巻上操作又は巻下操作の操作量に対して予め定められた電動機8の目標となる回転速度である目標速度ωrefを算出する。本実施の形態では、巻上操作についてのみ説明し、巻下操作の説明は省く。ここで、目標速度算出部231は、巻上操作の操作量と、目標速度ωrefとの関係が予め定められた操作特性マップを備えており、操作特性マップを用いて巻上操作の操作量に応じた目標速度ωrefを算出すればよい。なお、操作特性マップは、巻上操作の操作量が増大するにつれて、目標速度ωrefが増大するように、巻上操作の操作量と目標速度ωrefとの関係が設定されている。
減算器232は、目標速度ωrefから回転速度ωを減算することで、目標速度ωrefに対する回転速度ωの速度偏差を算出する。
速度制御器233は、減算器232から速度偏差が入力され、この速度偏差を0にするための目標電流値id_ref,iq_refを算出する。ここで、速度制御器233は、例えば、PI(比例・積分)制御を用いて速度偏差を0にするためのトルク指令値を算出し、算出したトルク指令値に対して予め定められた値を目標電流値id_ref,iq_refとして算出すればよい。但し、これは一例であり、速度制御器233は、PID(比例・積分・微分)制御又はP制御を用いてトルク指令値を算出してもよい。目標電流値id_refはd軸の目標電流値であり、目標電流値iq_refはq軸の目標電流値である。
図2の例では、電動機8として、表面磁石型同期型モーター:SPMSM(surface permanent magnet synchronous motor)が採用されている。そのため、トルクに寄与しないd軸電流を最小にすることを目的として、目標電流値id_refは0に設定されている。但し、これは一例であり、目標電流値id_refは0に設定されなくてもよい。例えば、弱め磁束制御が行われるのであれば、目標電流値id_refは0に設定されるとは限らない。また、例えば、電動機8として、埋込磁石型同期型モーター:IPMSM(interior permanent magnet synchronous motor)が採用され、最大トルク制御が行われるのであれば、目標電流値id_refは0に設定されるとは限らない。
減算器236(第1減算器の一例)は、目標電流値id_refからd軸の電流値idを減算することで、d軸の電流指令値id*を算出する。
電流制御器234(第1電流制御器の一例)は、電流指令値id*からd軸の電圧指令値vd*を算出する。ここで、電流制御器234は、例えば、PI制御を用いて電流指令値id*を0にするための電圧指令値vd*を算出すればよい。但し、これは、一例であり、電流制御器234は、PID制御又はP制御を用いて電圧指令値vd*を算出してもよい。
減算器237(第2減算器の一例)は、目標電流値iq_refからq軸の電流値iqを減算することで、q軸の電流指令値iq*を算出する。加算器238(第1加算器の一例)は、減算器237で算出された電流指令値iq*に、第2補償トルク値Δiqを加算することで、電流指令値(iq*+Δiq)を算出する。
電流制御器235(第2電流制御器の一例)は、加算器238で算出された電流指令値(iq*+Δiq)からq軸の電圧指令値vq*を算出する。ここで、電流制御器235は、例えば、PI制御を用いて電流指令値(iq*+Δiq)を0にするための電圧指令値vq*を算出すればよい。但し、これは、一例であり、電流制御器235は、PID制御又はP制御を用いて電圧指令値vq*を算出してもよい。
電圧指令値vd*は電動機8の界磁を制御する指令値であり、電圧指令値vq*は電動機8のトルクを制御するための指令値である。
加算器239(第2加算器の一例)は、電圧指令値vq*に第1補償トルク値Δvqを加算することで、電圧指令値(vq*+Δvq)を算出する。なお、電流指令値iq*及び電圧指令値vq*は第1指令値の一例に相当し、電圧指令値(vq*+Δvq)はq軸の第2指令値の一例に相当する。
uvw/dq変換器240は、電流センサ151,152で計測されたu,v相の電流値iu,ivを座標変換し、電流値id,iqを算出する。電流値id,iqは、それぞれ、減算器236,237に出力される。
電流計15は、電流センサ151,152を備える。電流センサ151,152は、それぞれ、例えば、ホール素子を利用したホール式の電流センサで構成され、インバータ93から電動機8に供給されるu,v相の電流を検出する。
電力変換部9は、dq/uvw変換器91、PWMコントローラ92、及びインバータ93を備え、指令値算出部23で算出された電圧指令値vd*及び電圧指令値(vq*+Δvq)に応じた電力を電動機8に供給する。
dq/uvw変換器91は、電圧指令値vd*及び電圧指令値(vq*+Δvq)を座標変換し、u,v,w相の電圧指令値をそれぞれ生成し、PWMコントローラ92に出力する。
PWMコントローラ92は、dq/uvw変換器91が算出したu,v,w相の電圧指令値から、u,v,w相のそれぞれのPWM信号を生成し、インバータ93に出力する。
インバータ93は、例えば、u,v,w相のそれぞれにつき2つのスイッチング素子が割り当てられた合計6個のスイッチング素子を含む三相インバータで構成される。インバータ93は、PWMコントローラ92から供給される、u,v,w相のPWM信号にしたがって、u,v,w相のスイッチング素子をそれぞれオン・オフさせることで、電動機8にu,v,w相の交流電力を供給する。
電動機8は、例えば、表面磁石型同期型モーターや埋込磁石型同期型モーター等のブラシレスモータで構成され、インバータ93から出力されるu,v,w相の3相の交流電力に従って駆動される。これにより、ウインチドラム5が回転し、吊荷4の巻上及び巻下が行われる。
以上がコントローラ12及び電力変換部9の基本構成であり、回転速度ωが目標速度ωrefに追従するように、電動機8がベクトル制御される。
第1補償トルク値算出部21は、操作部13に対して巻上操作が入力された場合、回転速度ωと目標速度ωrefとの差分速度ωdに基づいて、差分速度ωdに相当する巻上方向のトルクである逆転防止トルクを電動機に発生させるための第1補償トルク値Δvqを算出する。
詳細には、第1補償トルク値算出部21は、減算器210、スイッチSW1、微分器211、増幅器212,213,215、及び加算器214を備える。
減算器210は、回転速度ωから目標速度ωrefを減算することで、差分速度ωdを算出する。
スイッチSW1は、スイッチ制御部25の制御の下、オン・オフする。逆転防止トルクは、巻上操作が入力された後、回転速度ωが目標速度ωrefに到達するまでの期間において電動機8に発生させればよい。なぜなら、回転速度ωが目標速度ωrefに追従している状態では吊荷4の落下の危険性は低いので、逆転防止トルクを発生させてしまうと、電動機8に不要なトルクを発生させてしまうからである。そこで、スイッチSW1は、スイッチ制御部25の制御の下、巻上操作が入力され、且つ、目標速度ωref−回転速度ω>0の場合(差分速度ωd<0の場合)、オンする。
微分器211は、例えば、上述した式(1)に示す伝達関数を用いて差分速度ωdを微分することで差分加速度γdを算出する。増幅器212は、差分加速度γdにゲイン(制御パラメータ):−aを乗算することで、トルク成分τ1(=−a×γd)を算出する。増幅器213は、差分速度ωdをにゲイン(制御パラメータ):−bを乗算することで、トルク成分τ2(=−b×ωd)を算出する。加算器214は、トルク成分τ1とトルク成分τ2とを加算することで、逆転防止トルクτ3を算出する。ここで、増幅器212,213において、それぞれのゲイン:−a,−bがそれぞれマイナスであるのは、差分速度ωdがマイナスの期間においてスイッチSW1がオンされることを考慮したものである。これにより、逆転防止トルクτ3はプラスの値を持ち、巻上方向に向くことになる。
ウインチ制御装置において、回転系の運動方程式は、例えば、τ=J×ω’+c・ωで表される。ここで、τはトルク、ωは回転速度(角速度)、ω’はωの微分(角加速度)、Jはウインチドラム5、減速機7、及び電動機8の慣性モーメントの合成値、cはウインチ制御装置の粘性係数の合成値である。
ここで、微分器211、増幅器212、及び加算器214により算出されるトルク成分τ1(=−a×γd)は上記の運動方程式のJ×ω’に相当するものであり、増幅器213により算出されるトルク成分τ2(=−b・ωd)は上記の運動方程式のc・ωに相当するものであり、それぞれトルクに相当する値を持つ。したがって、ゲイン:−aの大きさとしては、例えば、ウインチドラム5、減速機7、及び電動機8の慣性モーメントの合成値を考慮した値が採用されれればよい。また、ゲイン:−bの大きさとしては、例えば、ウインチ制御装置の粘性係数の合成値を考慮した値が採用されればよい。また、逆転防止トルクτ3は、上記の運動方程式のωに差分速度ωdを代入することで得られるものであり、プラスの値を持つため、差分速度ωdに相当する巻上方向のトルクを示す。
増幅器215は、逆転防止トルクτ3に変換係数Kを乗算することで、逆転防止トルクτ3を電圧に変換し、第1補償トルク値Δvqを算出する。ここで、変換係数Kは、例えば、式(2)で表すことができる。
Figure 0006753795
Ra:電動機8の相抵抗 Pn:電動機8の極対数 ψa:電動機8の永久磁石の鎖交磁束 Ld:電動機8のd軸のインダクタンス成分 Lq:電動機8のq軸のインダクタンス成分 id:uvw/dq変換器240で算出されたd軸の電流値
なお、変換係数Kとして、式(2)が採用されているが、これは一例であり、逆転防止トルクτ3を電圧指令値に変換できる数式であれば、どのような数式が採用されてもよい。例えば、電動機8の種類に応じて予め定められた数式が変換係数Kとして採用されてもよい。
第2補償トルク値算出部22は、操作部13に対して巻上操作が入力された場合、荷重計14で検出された荷重値FLに基づいて、荷重値FLを支持する巻上方向のトルクである荷重支持トルクを電動機8に発生させるための第2補償トルク値を算出する。
詳細には、第2補償トルク値算出部22は、スイッチSW2、荷重変換器221、及び増幅器222を備える。
スイッチSW2は、スイッチ制御部25の制御の下、オン・オフされる。荷重支持トルクは、巻上操作が入力されている期間において電動機8に発生させればよい。なぜなら、巻上操作及び巻下操作が入力されていなければ、ブレーキ6により電動機8は拘束されるからである。そこで、スイッチSW2は、スイッチ制御部25の制御の下、操作部13において、巻上操作が入力された場合、オンする。なお、回転速度ωが目標速度ωrefに到達すると、第1補償トルク値は算出が停止されているが、第2補償トルク値は算出が継続されている。これは、巻上操作中での急激な操作量の変更が行われた場合の吊荷4の落下を防止するためである。
荷重変換器221は、荷重値FLに下記の式(3)に示す変換係数を乗算することで、荷重支持トルクを電動機8に発生させるためのトルク電流値を算出する。
Figure 0006753795
N:減速機7の減速比 R:ウインチドラム5の半径 Pn:極対数 ψa:電動機8の永久磁石の鎖交磁束
ここで、変換係数として式(3)を採用したが、これは一例であり、荷重値FLをトルク電流値に変換できる変換係数であればどのような変換係数が採用されてもよい。例えば、電動機8の種類に応じて予め定められた変換係数が採用されてもよい。
増幅器222は、荷重変換器221が算出したトルク電流値にゲインcを乗算することで、第2補償トルク値Δiqを算出する。ゲインcはc<1である。
ここで、荷重計14により検出された荷重値FLは、巻上開始直後に発生する吊荷4の過渡的な揺れや荷重計14の検出精度の影響により、実際の吊荷4の荷重値よりも大きい値になることがある。この場合、第2補償トルク値Δiqが吊荷4を支える以上の値となり、巻上開始直後に吊荷4が一時的に巻上方向に動き出す、いわゆる、吊荷4の飛び出し現象が発生することがある。
そこで、増幅器222は、吊荷4の過度的な揺れや荷重計14の検出精度の影響により、実際の吊荷4の荷重値に対する荷重値FLの増大分の想定値又は想定値に一定のマージンを加えた値を、荷重変換器221が算出したトルク電流値から差し引くために、このトルク電流値に1未満の係数cを乗じる。これにより、吊荷4の飛び出し現象を防止できる。
例えば、荷重計14の検出誤差が数%であった場合、その倍以上にあたる20%の値を荷重変換器221が算出したトルク電流値から差し引くために、増幅器222は、ゲインcとして0.8を採用する。これにより、吊荷4の飛び出し現象が防止される。増幅器222で算出された第2補償トルク値Δiqは、加算器238により、電流指令値iq*に加算され、電流制御器235に出力される。これにより、電動機8には、第2補償トルク値に相当する荷重支持トルクが発生する。
ここで、吊荷4の過渡的にな揺れや荷重計14の検出精度の影響のより、荷重計14が検出した荷重値FLは、実際の荷重値よりも小さくなることもある。この場合、第2補償トルク値によって電動機8に発生する荷重支持トルクが実際の荷重支持トルクよりも小さくなり、吊荷4の落下が僅かながら発生する可能性がある。しかし、本実施の形態では、第1補償トルク値による逆転防止トルクが電動機8に発生するので、この落下を防止できる。
スイッチ制御部25は、回転速度検出部20で算出された回転速度ωと目標速度算出部で算出された目標速度ωrefと、操作部13から出力された操作量とに基づいて、スイッチSW1,SW2をそれぞれオン・オフさせる。詳細には、スイッチ制御部25は、巻上操作が入力され、且つ、目標速度ωref−回転速度ω>0の場合、スイッチSW1をオンする。一方、スイッチ制御部25は、巻上操作が入力されていない場合、又は、目標速度ωref−回転速度ω≦0の場合、スイッチSW1をオフする。
また、スイッチ制御部25は、操作量が巻上操作を示す場合、スイッチSW2をオンさせる。一方、スイッチ制御部25は、操作量が巻上操作を示さない場合、スイッチSW2をオフさせる。ここで、スイッチ制御部25は、巻上操作の操作量が0より大きい場合、又は目標速度ωrefが0より大きい場合、巻上操作が入力されたと判定すればよい。
ブレーキ制御部26は、操作部13において巻上操作又は巻下操作が入力された場合、ブレーキ6による電動機8の拘束を解除する。一方、ブレーキ制御部26は、操作部13が中立位置に位置決めされた場合、電動機8の回転方向の運動を拘束するようにブレーキ6を制御する。
図3は、第1及び第2補償トルク値を算出することなく、電動機8を速度制御するシミュレーションを実施した場合において、巻上動作の開始時の回転速度ωの時間的推移を示すグラフである。図3において、縦軸は回転速度ωを示し、横軸は時間を示す。時刻t1において、巻上操作が入力され、ブレーキ6が解除されている。このシミュレーションでは、目標速度ωrefと回転速度ωとの速度偏差を0にする通常の速度制御が行われているので、巻上操作の開始時に回転速度ωは目標速度ωrefに直ぐに追従できない。そのため、電動機8は、巻下方向に加わる吊荷4の負荷トルクを支えることができず、回転速度ωが0からマイナス方向(巻下方向)に急激に増大し、吊荷4が落下していることが分かる。また、時刻t2において、回転速度ωが0を超えて、吊荷4の落下が停止されているが、時刻t1での回転速度ωの巻下方向へ増大量が大きい分、時刻t1から落下が停止する時刻t2までの期間が比較的長いことが分かる。
図4は、第1補償トルク値のみを算出して、電動機8を速度制御するシミュレーションを実施した場合において、巻上操作の開始時の回転速度ωの時間的推移を示すグラフである。図4において、縦軸及び横軸は図3と同じである。時刻t1において、巻上操作が入力され、ブレーキ6が解除されている。このシミュレーションでは、巻上動作の開始時に第1補償トルク値に相当する逆転防止トルクが電動機8に加えられているため、図3に比べて、回転速度ωのマイナス方向(巻下方向)への増大量は改善されている。しかし、第1補償トルク値は回転速度ωの検出後に算出されているので、逆転防止トルクは吊荷4が落下した後でなければ、電動機8に発生しない。そのため、電動機8は、巻上動作の開始時に巻下方向に加わる吊荷4の負荷トルクを十分に支えることができず、吊荷4が多少落下していることが分かる。また、ゲイン:−a,−bの絶対値を大きくすると、逆転防止トルクが増大するので、吊荷4の落下の更なる抑制が可能となるが、ゲイン:−a,−bの絶対値を過大にすると、回転速度ωの目標速度ωrefに対するオーバーシュートが発生し、図4に示すような回転速度ωの振動が発生する。この場合、巻上動作時の操作性が悪化する。
図5は、第1補償トルク値及び第2補償トルク値を算出して、電動機8を速度制御するシミュレーションを実施した場合において、巻上操作の開始時の回転速度ωの時間的推移を示すグラフである。図5において、縦軸及び横軸は図3と同じである。このシミュレーションでは、巻上動作の開始時に、第1補償トルク値に相当する逆転防止トルクに加えて、第2補償トルク値に相当する荷重支持トルクが電動機8に発生する。ここで、第2補償トルク値は、巻上操作が入力された直後に算出されているので、荷重支持トルクは巻上動作が開始されると直ぐに電動機8に発生する。したがって、吊荷4による負荷トルクを支えるために必要となる逆転防止トルクの不足分が荷重支持トルクによって補われる。その結果、時刻t1において、回転速度ωのマイナス方向への増大は発生せず、回転速度ωは目標速度ωrefに追従できていることが分かる。これにより、吊荷4の落下を防止することができる。また、逆転防止トルクの不足分が荷重支持トルクによって補われるので、第1補償トルク値の算出に用いられるゲイン:−a,−bを低めに設定しても、吊荷4の落下を防止することが可能となる。その結果、巻上動作開始時の振動も抑制することができる。
このように、実施の形態1に係るウインチ制御装置は、巻上操作が入力されると、逆転防止トルクと、荷重支持トルクとが電動機8に発生する。そのため、吊荷4の落下を防止するための専用の装置を設けなくても、巻上操作の入力時に発生する吊荷4の落下を防止できる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るウインチ制御装置は、荷重計14を用いずに吊荷4の荷重値を算出するものである。なお、実施の形態2において、実施の形態と同一の構成要素は同一の符号を付して説明を省く。
図6は、実施の形態2に係るウインチ制御装置において、第2補償トルク値算出部22を中心とする構成を示すブロック図である。図6に示すように実施の形態2では、図2に示す荷重計14に代えて、荷重算出部27が設けられている。
荷重算出部27は、電流計15で計測された電流値iu,ivを座標変換して、電流値id,iqを算出する。そして、荷重算出部27は、下記の式(4)を用いて、荷重値FLを算出する。
荷重値FLの算出に用いられる電流値iu,ivとしては、例えば、巻上操作が入力される前において、電動機8が停止される直前に、電流計15で計測された値が採用できる。
実施の形態1で上述したように、ウインチ制御装置は、巻上操作が入力された場合、ブレーキ6が電動機8の拘束を解除する構成を採用する。そのため、巻上操作が入力される直前では、電動機8はブレーキ6により拘束されて停止しており、電流計15で計測される電流値iu,ivは0になる。したがって、巻上操作が入力される直前の電流値iu,ivでは、巻上操作が入力される直前の荷重値FLを算出することはできない。
そこで、本実施の形態では、荷重値検出部27は、巻上操作が入力される前において電動機8が停止される直前に、電流計15で計測された電流値iu,ivを座標変換することで電流値iq,idを算出し、式(4)に入力することで荷重値FLを算出する。
Figure 0006753795
Pn:電動機8の極対数 ψa:電動機8の永久磁石の鎖交磁束 Ld:電動機8のd軸のインダクタンス成分 Lq:電動機8のq軸のインダクタンス成分 id:d軸の電流値 iq:q軸の電流値 R:ウインチドラム5の半径
式(4)において、分子は電動機8のトルク推定値を表している。したがって、分子をウインチドラム5の半径Rで割ることで、荷重値FLが得られる。
第2補償トルク値算出部22は、実施の形態1と同様、算出された荷重値FLを用いて第2補償トルク値を算出する。
このように実施の形態2に係るウインチ制御装置では、電流計15で算出された電流値から荷重値FLが算出されている。ワイヤーロープ2は、巻上又は巻下動作時に大きく移動するため、荷重計14をワイヤーロープ2に取り付けることは困難である。そのため、実施の形態1に示す荷重計14は、起伏ロープ等に取り付けられるのが一般的である。したがって、荷重計14が計測した荷重値は実際の荷重値を正確に表していない可能性がある。
一方、電動機8には吊荷4の負荷トルクを支えるために必要なトルクが発生され、このトルクは電動機8に供給される電流によって決定される。そのため、電流計15が計測する電流値から算出される荷重値は荷重計14で計測される荷重値に比べてより直接的に荷重値を表していると言える。そのため、本実施の形態では、荷重値を正確に検出できる。
本発明は以下の変形例が採用できる。
(1)実施の形態1,2では、第1補償トルク値は電圧指令値vq*に加算されていたが、本発明はこれに限定されず、電流指令値iq*に加算されてもよい。この場合、第1補償トルク値算出部21は、式(2)に示す変換係数Kに代えて、逆転防止トルクτ3を電流に変換するための変換係数を用いて第1補償トルク値を算出すればよい。
(2)実施の形態1,2では、第2補償トルク値は電流指令値iq*に加算されていたが、本発明はこれに限定されず、電圧指令値vq*に加算されてもよい。この場合、第2補償トルク値算出部22は、式(3)に示す変換係数に代えて、荷重値FLを電流に変換するための変換係数を用いて第2補償トルク値を算出すればよい。
(3)実施の形態1,2では、d軸,q軸を用いたベクトル制御で電動機8は制御されているが、d軸、q軸を用いることなく、単に目標速度ωrefと回転速度ωとの偏差を0にするフィードバック制御で電動機8は制御されてもよい。
(4)図2において、第1補償トルク値算出部21は、トルク成分τ1とトルク成分τ2との両方を算出しているが、いずれか一方のトルク成分のみを算出してもよい。
Δvq 第1補償トルク値
Δiq 第2補償トルク値
γd 差分加速度
θ 回転角度
ω 回転速度
ωd 差分速度
ωref 目標速度
5 ウインチドラム
6 ブレーキ
8 電動機
9 電力変換部
12 コントローラ
13 操作部
14 荷重計
15 電流計
16 角度センサ
20 回転速度検出部
21 第1補償トルク値算出部
22 第2補償トルク値算出部
23 指令値算出部
25 スイッチ制御部
26 ブレーキ制御部
27 荷重算出部
151,152 電流センサ

Claims (7)

  1. クレーンのウインチ制御装置であって、
    吊荷を吊り下げるワイヤーロープが巻回されたウインチドラムと、
    前記ウインチドラムを巻下又は巻上駆動する電動機と、
    前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出部と、
    前記ウインチドラムに対する巻上操作が入力される操作部と、
    前記吊荷の荷重値を検出する荷重検出部と、
    前記電動機の回転方向への運動を拘束するブレーキと、
    前記巻上操作が入力された場合、前記ブレーキによる前記拘束を解除するブレーキ制御部と、
    前記巻上操作が入力された場合、前記検出された回転速度と前記巻上操作の操作量に応じた目標速度との差分速度に基づいて、前記差分速度に相当する前記巻上方向のトルクである逆転防止トルクを前記電動機に発生させるための第1補償トルク値を算出する第1補償トルク値算出部と、
    前記巻上操作が入力された場合、前記検出された荷重値に基づいて、前記荷重値を支持する前記巻上方向のトルクである荷重支持トルクを前記電動機に発生させるための第2補償トルク値を算出する第2補償トルク値算出部と、
    前記検出された回転速度と前記目標速度との偏差を零にするための第1指令値を算出し、前記第1指令値に前記第1及び第2補償トルク値を加算することで、第2指令値を算出する指令値算出部と、
    前記第2指令値に応じた電力を前記電動機に供給する電力変換部とを備えるウインチ制御装置。
  2. 前記第1補償トルク値算出部は、前記巻上操作が入力された場合、前記目標速度に前記検出された回転速度が到達するまで、前記差分速度と、前記差分速度を微分した差分加速度との少なくとも一方を用いて前記第1補償トルク値を算出する請求項1記載のウインチ制御装置。
  3. 前記荷重検出部は、前記吊荷の荷重値を計測する荷重計で構成されている請求項1又は2記載のウインチ制御装置。
  4. 前記荷重検出部は、
    前記電動機に入力される電流値を計測する電流計と、
    前記計測された電流値から前記吊荷の荷重値を算出する荷重算出部とを備える請求項1〜3のいずれかに記載のウインチ制御装置。
  5. 前記第2補償トルク値算出部は、前記荷重検出部により検出された荷重値に相当するトルクよりも、所定値だけ小さい値を前記第2補償トルク値として算出する請求項1〜4のいずれかに記載のウインチ制御装置。
  6. 前記指令値算出部は、
    前記検出された回転速度と前記目標速度との偏差を零にするためのd軸の目標電流値とq軸の目標電流値とを算出する速度制御器と、
    前記電動機に供給される電流のd軸の電流値と前記d軸の目標電流値との偏差をd軸の電流指令値として算出する第1減算器と、
    前記d軸の電流指令値を零にするためのd軸の電圧指令値を算出する第1電流制御器と、
    前記電動機に供給される電流のq軸の電流値と前記q軸の目標電流値との偏差をq軸の電流指令値として算出する第2減算器と、
    前記第2補償トルク値を前記q軸の電流指令値に加算する第1加算器と、
    前記第1加算器による加算値を零にするためのq軸の電圧指令値を算出する第2電流制御器と、
    前記q軸の電圧指令値に前記第2補償トルク値を加算する第2加算器とを備える請求項1〜5のいずれかに記載のウインチ制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載されたウインチ制御装置を備えるクレーン。
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