JP2006335899A - 付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤 - Google Patents

付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤 Download PDF

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【課題】 付加反応硬化型シリコーンゴムに対して良好に接着し、かつ保存安定性に優れた付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤を提供する。
【解決手段】 (A)ケイ素原子結合アルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)SiH基を分子鎖両末端にのみ含有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)SiH基を3個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)比表面積が50m/g以上の微粉末シリカ 1〜100質量部、並びに
(E)白金族金属系触媒 有効量、
を含有してなり、
(B)及び(C)成分中のSiH基の合計量が、全接着剤中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり0.01〜20モルであり、かつ
(B)及び(C)成分中のSiH基の合計量に対する(C)成分中のSiH基の量の割合が5〜98モル%である
付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、付加反応硬化型シリコーンゴムに対して良好に接着し、かつ保存安定性に優れた付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤に関する。
シリコーンゴムは撥水性、耐候性、耐熱性等が優れることから、各種基材のコーティング剤や皮膜形成剤として使用されている。しかし、シリコーンゴムは接着されにくいという問題があった。そこで、特許文献1では、ケイ素原子結合アルケニル基とケイ素原子結合アルコキシ基もしくはシラノール基とを有するポリオルガシロキサン、縮合反応触媒、および有機過酸化物からなるシリコーンゴム用接着剤が提案されている。また、特許文献2では、シリコーン被覆布同士を積み重ね、該積み重ね部分に常温で可塑性の白金系触媒含有付加反応硬化型もしくは有機過酸化物含有ラジカル反応硬化型のシリコーンゴム接着剤を介在させ、圧着後、加熱硬化させるか、圧着しつつ加熱硬化させる方法が提案されている。特に、特許文献2中には、白金系触媒含有付加反応硬化型のシリコーンゴム接着剤が記載されているが、この接着剤は付加反応硬化型シリコーンゴムに対して十分な接着性を示さないという問題があった。
特許文献3には、シリコーンゴム用接着剤として、炭酸カルシム粉末を含有する付加反応硬化性シリコーン組成物が開示されている。この組成物が、特に、非処理の重質炭酸カルシウム粉末や脂肪酸、樹脂酸等の処理剤のみで表面処理された軽質(または沈降)炭酸カルシウム粉末を含有した場合、これらの炭酸カルシウム粉末は白金族金属系触媒に対して触媒毒になり、この組成物は経時で硬化遅延を起こすまたは硬化しなくなるという問題があった。
特開昭61−278580号公報 特開昭62−90369号公報 特開2002−285130号公報
上述の従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、付加反応硬化型シリコーンゴムに対して良好に接着し、かつ保存安定性に優れた付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤を提供することである。
本発明は、上記目的を達成する手段として、
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有し、23℃における粘度が0.05〜1,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみR HSiO1/2単位[式中、Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。]として含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sである直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個含有し、RHSiO単位およびR XSiO1/2単位[式中、Rは上記のとおりであり、Xは水素原子またはRを表す。]のいずれか一方または両方を含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)比表面積が50m/g以上である微粉末シリカ 1〜100質量部、ならびに
(E)白金族金属系触媒 有効量、
を含有してなり、
前記(B)および(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量が、全接着剤中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり0.01〜20モルであり、かつ
前記(B)および(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量に対する前記(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量の割合が5〜98モル%である
付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤を提供する。
本発明接着剤は、付加反応硬化型シリコーンゴムに対して良好に接着し、かつ保存安定性に優れるので、付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔(A)成分〕
(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有し、23℃における粘度が0.05〜1,000Pa・sであるオルガノポリシロキサンである。(A)成分は、本発明接着剤のベースポリマーである。(A)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状構造、一部分岐を有する直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造、分岐を有する環状構造が挙げられる。(A)成分は、通常、実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましく、具体的には、分子鎖が主にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。また、(A)成分は、単一のシロキサン単位からなる重合体であっても、二種以上のシロキサン単位からなる共重合体であってもよい。更に、(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の位置は特に制限されず、該アルケニル基は分子鎖末端部分のケイ素原子および分子鎮非末端部分のケイ素原子のどちらか一方にのみ結合していてもよいし、これら両者に結合していてもよい。
(A)成分の23℃における粘度は、通常、0.05〜1,000Pa・sであるが、好ましくは0.1〜500Pa・sである。前記粘度が低すぎると、得られる接着剤の硬化物の物理的特性と接着性とが十分満足するものとなりにくい場合がある。また、前記粘度が高すぎると、得られる接着剤は、著しく流動性に欠けたものとなりやすく、作業性が劣ったものとなりやすい。
(A)成分としては、例えば、下記平均組成式(1):
SiO(4−m−n)/2 (1)
(式中、Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表し、Rは独立にアルケニル基を表し、mは、通常、0.7〜2.2、好ましくは1.8〜2.1、より好ましくは1.95〜2.0の数であり、nは、通常、0.0001〜0.2、好ましくは0.0005〜0.1、より好ましくは0.01〜0.05の数であり、ただし、m+nは、通常、0.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、より好ましくは1.98〜2.05の数である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有し、23℃における粘度が、通常、0.05〜1,000Pa・s、好ましくは0.1〜500Pa・sであるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記Rとしては、例えば、炭素原子数1〜10の、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。該Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基中の炭素原子に結合した水素原子の一部または全てが塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;シアノ基等によって置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、メチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせが好ましい。Rがメチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせである(A)成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好であるからである。また、(A)成分として特に耐溶剤性が良好なオルガノポリシロキサンを用いようとする場合には、Rは更にメチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせと3,3,3−トリフルオロプロピル基との組み合わせであることが好ましい。
上記Rとしては、例えば、炭素原子数2〜8のアルケニル基が挙げられる。該Rの具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。これらの中でもビニル基が好ましい。Rがビニル基である(A)成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好であるからである。
(A)成分の具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらのオルガノポリシロキサンは、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔(B)成分〕
(B)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみR HSiO1/2単位[式中、Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。]として含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sである直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。すなわち、(B)成分は、SiH基を分子鎖両末端に1個ずつ(即ち、1分子中に2個)含有し、分子鎖非末端部分にはSiH基を含有しない。(B)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分は、(C)成分と組み合わされて、本発明接着剤の硬化剤を形成する。また、(B)成分は、本発明接着剤の硬化に際して前記(A)成分の分子鎖長を増加させ、かつシリコーンゴムに対する本発明接着剤の接着性に大きく影響する。
上記Rとしては、例えば、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。該Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられる。
(B)成分の23℃における粘度は、通常、0.001〜100Pa・sであるが、好ましくは0.001〜10Pa・sである。
(B)成分としては、例えば、下記一般式(2):
HSiO(R SiO)SiR H (2)
(式中、Rは上記のとおりであり、nは、該(B)成分の23℃における粘度が、通常、0.001〜100Pa・s、好ましくは0.001〜10Pa・sになるような数である。)
で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。(B)成分の具体例としては、23℃における粘度が0.001〜100Pa・sである限り、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジフェニルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
〔(C)成分〕
(C)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個含有し、RHSiO単位およびR XSiO1/2単位[式中、Rは上記のとおりであり、Xは水素原子またはRを表す。]のいずれか一方または両方を含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(C)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(C)成分は、(B)成分と組み合わされて、本発明接着剤の硬化剤を形成する。また、(C)成分は、本発明接着剤を硬化させて三次元架橋ゴムを形成するために必須であり、かつシリコーンゴムに対する本発明接着剤の接着性に大きく影響する。
(C)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状構造、一部分岐を有する直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造、分岐を有する環状構造、三次元網状構造が挙げられる。(C)成分は、これらの分子構造を有する単一の重合体、これらの分子構造を有する共重合体、またはこれらの混合物であってもよい。(C)成分中のSiH基は、分子鎖末端部分および分子鎖非末端部分のどちらか一方にのみ存在していてもよいし、その両方に存在していてもよい。
(C)成分の23℃における粘度は、通常、0.001〜100Pa・sであるが、好ましくは0.001〜10Pa・sである。
(C)成分としては、例えば、R HSiO(RHSiO)(R SiO)SiR H、R SiO(RHSiO)(R SiO)SiR 、(R HSiO)SiR、(R HSiO)Si、R HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、R HSiO1/2単位とR SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体[式中、Rは上記のとおりであり、pは1以上の整数であり、qは0以上の整数であり、rは3以上の整数であり、p+qおよびr+qのおのおのは、該(C)成分の23℃における粘度が、通常、0.001〜100Pa・s、好ましくは0.001〜10Pa・sになるような数である。]が挙げられる。(C)成分の具体例としては、(MeHSiO)SiMe、(MeHSiO)SiC、MeHSiO(MeHSiO)SiMeH、MeHSiO(MeHSiO)(MeSiO)SiMeH、(MeHSiO)Si、MeSiO(MeHSiO)SiMe、MeSiO(MeHSiO)(MeSiO)SiMe、MeSiO(MeHSiO)(MeSiO)SiMe、MeSiO(MeHSiO)10SiMe、MeHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、MeHSiO1/2単位と(CSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、MeHSiO1/2単位とMeSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる(式中、「Me」はメチル基を示す)。
ここで、前記(B)および(C)成分中のSiH基の合計量は、全接着剤中のケイ素原子に結合したアルケニル基(全接着剤中、(A)成分のみがケイ素原子に結合したアルケニル基を有する場合には、(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基)1モル当たり、通常、0.01〜20モルであり、好ましくは0.1〜10モルである。該合計量が、前記範囲の下限未満であると、得られる接着剤が十分に硬化しにくくなる傾向があり、前記範囲の上限を超えると、得られる接着剤の硬化物の機械的特性および耐熱特性が低下しやすくなる傾向がある。
また、前記(B)および(C)成分中のSiH基の合計量に対する前記(C)成分中のSiH基の量の割合は、通常、5〜98モル%であり、好ましくは10〜95モル%である。該割合が、前記範囲の下限未満であると、得られる接着剤が十分に硬化しにくくなる傾向があり、前記範囲の上限を超えると、得られる接着剤の硬化物の伸び特性が低下しやすくなり、それに伴い耐熱特性が低下しやすくなる傾向がある。
〔(D)成分〕
(D)成分は、比表面積が50m/g以上(通常、50〜400m/g)、好ましくは100〜350m/gである微粉末シリカである。該比表面積は、例えば、窒素ガス吸着法、特にBET法により測定することができる。(D)成分は、得られる接着剤に強度を付与するために配合される。(D)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(D)成分としては、公知の微粉末シリカを用いることができる。また、(D)成分は、親水性の微粉末シリカであっても疎水性の微粉末シリカであってもよい。親水性の微粉末シリカとしては、例えば、沈降シリカ等の湿式シリカ、シリカキセロゲル、ヒュームドシリカ等の乾式シリカが挙げられる。疎水性の微粉末シリカとしては、例えば、親水性の微粉末シリカの表面を疎水化処理して得られる微粉末シリカが挙げられる。疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のハロゲン化シラン;該ハロゲン化シランのハロゲン原子がメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基で置換されたオルガノアルコキシシラン等が挙げられる。疎水化処理方法としては、例えば、親水性の微粉末シリカを疎水化処理剤により150〜200℃、特に150〜180℃で2〜4時間程度加熱処理する方法が挙げられる。このようにして親水性の微粉末シリカの表面を予め疎水化処理して得た疎水性の微粉末シリカを本発明接着剤に配合してもよいし、また、本発明接着剤中に親水性の微粉末シリカとともに疎水化処理剤を配合することにより、本発明接着剤を調製する段階で該親水性の微粉末シリカの表面が疎水化処理されるようにしてもよい。
(D)成分の具体例としては、アエロジル(登録商標)50、130、200および300(商品名、日本アエロジル社製)、キャボシル(登録商標)MS−5およびMS−7(商品名、キャボット社製)、レオロジルQS−102および103(商品名、トクヤマ社製)、ニプシルLP(商品名、日本シリカ社製)等の親水性の微粉末シリカ;アエロジル(登録商標)R−812,R−812S、R−972およびR−974(商品名、デグッサ社製)、レオロジルMT−10(商品名、トクヤマ社製)、ニプシルSSシリーズ(商品名、日本シリカ社製)等の疎水性の微粉末シリカが挙げられる。
(D)成分の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して、通常、1〜100質量部である。前記配合量が、1質量部未満では(D)成分による強度付与効果が不充分となりやすく、100質量部を超えると、得られる接着剤は、著しく流動性に欠けたものとなりやすく、作業性が劣ったものとなりやすい。
〔(E)成分〕
(E)成分は白金族金属系触媒であり、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものが全て使用できる。(E)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。(E)成分としては、例えば、白金(白金黒を含む。)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0または6である。)等の塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;白金とトリフェニルフォスフィンとの錯体;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとの錯体などが挙げられる。これらの中では、白金黒;塩化白金酸;塩化白金酸とオレフィンとの錯体;塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとの錯体;白金とトリフェニルフォスフィンとの錯体等の白金系触媒が望ましい。
(E)成分の配合量は、ヒドロシリル化反応触媒としての有効量でよく、所望の硬化速度が得られる限り、特に制限されない。該配合量としては、例えば、本発明接着剤全体の量に対して(E)成分中の白金族金属の量が質量基準で、通常、0.1〜1,000ppm、好ましくは0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜200ppmとなる量が挙げられる。
〔(F)成分〕
(F)成分は、有機チタン化合物であり、本発明接着剤の任意成分である。(F)成分は、本発明接着剤の硬化を更に促進し、その接着性を更に向上させるための触媒として用いることができる。(F)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(F)成分としては、例えば、チタンキレート化合物、アルコキシチタンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。チタンキレート化合物の具体例としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセタト)チタン、ジブトキシビス(メチルアセトアセタト)チタン等が挙げられる。アルコキシチタンの具体例としては、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等が挙げられる。アルコキシチタン中のアルコキシ基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
(F)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、10質量部以下(0〜10質量部、例えば、0.01〜10質量部の範囲であり、好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。該配合量が、前記範囲の下限未満であると、(F)成分による接着性向上効果が現れにくい場合があり、前記範囲の上限を超えると、得られる接着剤の表面硬化が速すぎる場合がある。
〔(G)成分〕
(G)成分は、(D)成分以外の充填剤であり、本発明接着剤の任意成分である。(G)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(G)成分は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されず、例えば、コバルトブルー等の無機顔料、有機染料等の着色剤;ケイ藻土、酸化カリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガラ、カーボンブラック、粉砕石英粉末、水酸化アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル等の耐熱性・難燃性向上剤;これらの充填剤の表面をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で処理して得た充填剤等が挙げられる。
本発明接着剤に(G)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0質量部を超え100質量部以下、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲である。
〔(H)成分〕
(H)成分は、三次元網状構造を有するオルガノポリシロキサンレジンであり、本発明接着剤の任意成分である。(H)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(H)成分は、特に限定されないが、得られる接着剤の硬化物の強度がより高くなることから、ケイ素原子に結合したアルケニル基、特にケイ素原子に結合したビニル基を含有する上記レジンであることが好ましい。(H)成分としては、例えば、式:(CHSiO1/2等の式:R SiO1/2等で示される単官能性シロキサン単位(Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。)とSiO4/2等で表されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジン(レジン1)、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するシロキサン単位と、SiO4/2単位およびRSiO3/2単位(Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。)のいずれか一方または両方とを含有するオルガノポリシロキサンレジン(レジン2)、レジン2中のシロキサン単位に加え、更にR SiO1/2単位(Rは上記のとおりである。)を含有するオルガノポリシロキサンレジン(レジン3)等が挙げられ、レジン2および3が特に好適である。
前記ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するシロキサン単位としては、例えば、式:RSiO3/2で表されるシロキサン単位、式:RSiO2/2で表されるシロキサン単位、式:R SiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、Rは独立にビニル基等のアルケニル基を表し、Rは独立に、メチル基、フェニル基等の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。)などの一官能性、二官能性または三官能性のシロキサン単位等が挙げられる。
上記Rとしては、例えば、炭素原子数1〜10の、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。該Rの具体例としては、上記平均組成式(1)中のR1について具体的に例示した一価炭化水素基が挙げられ、その中でもメチル基およびフェニル基が特に好ましい。
上記Rとしては、例えば、炭素原子数2〜8のアルケニル基が挙げられる。該Rの具体例としては、上記平均組成式(1)中のRについて具体的に例示したアルケニル基が挙げられ、その中でもビニル基が好ましい。
上記Rとしては、例えば、炭素原子数1〜10の、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。該Rの具体例としては、上記平均組成式(1)中のR1について具体的に例示した一価炭化水素基が挙げられ、その中でもメチル基およびフェニル基が特に好ましい。
(H)成分が、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する場合、(H)成分中における該アルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した全有機基の1〜5質量%であることが好ましく、2〜3質量%であることが特に好ましい。該含有量がこの範囲内にあると、(H)成分中でケイ素原子に結合したアルケニル基を含有しないレジン分子が生成・混入するおそれを低くすることができ、得られる接着剤の硬化物の伸びおよび耐熱性を高く維持しやすい。
(H)成分の具体例としては、(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とを含有するレジン、(CHSiO1/2単位と(CH=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位とを含有するレジン、(CH=CH)(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とを含有するレジン、(CH=CH)(CHSiO1/2単位と(CH=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位とを含有するレジン、(CH=CH)(CHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とを含有するレジン、(CH=CH)SiO3/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とを含有するレジンが挙げられる。
本発明接着剤に(H)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0質量部を超え100質量部以下、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲である。
〔その他の成分〕
本発明接着剤には、上記(A)〜(H)成分に加えて、必要に応じ他の成分を配合することができる。
本発明接着剤には、その貯蔵安定性を向上させたり、その硬化時間または可使時間を調整することによりその取扱扱作業性を向上させたりするために、硬化制御剤を配合してもよい。該硬化制御剤としては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン()、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類;フォスフィン類;メルカプタン類;ヒドラジン類等が挙げられる。該硬化制御剤は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明接着剤に該硬化制御剤を配合する場合、その配合量は特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して、通常、0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜5質量部の範囲内である。
本発明接着剤には、その接着性を向上させるために接着付与剤を配合してもよい。該接着付与剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物;エチルアセトアセタトアルミニウムジイソプロピレート等のアルキルアセトアセタトアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物が挙げられる。該接着付与剤は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明接着剤に該接着付与剤を配合する場合、その配合量は特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して好ましくは0.01〜10質量部の範囲内である。
〔接着剤の製造方法〕
本発明接着剤を調製する方法は限定されず、(A)〜(E)成分ならびに必要に応じて(F)〜(H)成分およびその他の成分を同時に混合することにより調製することができる。また、予め(A)成分と(D)成分とを加熱混合してベースコンパウンドを調製し、このベースコンパウンドに、(B)成分、(C)成分および(E)成分、ならびに必要に応じて(F)〜(H)成分を添加してもよい。さらに、このベースコンパウンドを調製する際に、(A)および(D)成分に加え前記疎水化処理剤を配合して、該(D)成分の表面を疎水化処理してもよい。なお、本発明接着剤にその他の成分を配合する場合、該その他の成分は、ベースコンパウンドを調製する際に(A)および(D)成分とともに配合してもよいし、得られたベースコンパウンドに(B)成分、(C)成分、(E)成分および必要に応じて(F)〜(H)成分とともに添加してもよい。該その他の成分が加熱混合により変質する場合には、後者の方法で該その他の成分を本発明接着剤に配合することが好ましい。本発明接着剤を調製する際、2本ロールミル、3本ロールミル、ニーダーミキサー、プラネタリーミキサー等の公知の混練装置を用いることができる。
〔接着剤の用途〕
本発明接着剤は付加反応硬化型シリコーンゴムに塗布した後、硬化させることができる。本発明接着剤の硬化条件は、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化条件と同様でよい。本発明接着剤は、例えば、常温でも十分硬化し、付加反応硬化型シリコーンゴムに対する接着性を発現するが、必要に応じて60〜180℃程度に加熱して硬化させてもよい。本発明接着剤は、付加反応硬化型シリコーンゴムを被着体とする接着剤として用いることができる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、下記例で、「Me」はメチル基を示し、粘度は23℃における値である。
[実施例1]
(a)粘度30Pa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100質量部、(d)BET法により測定された比表面積が300m/gであるヒュームドシリカ15質量部、シリカの表面に対する疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン1.5質量部、および水1質量部を均一に混合した後、減圧下、160℃で4時間加熱混合してベースコンパウンドを調製した。次に、このベースコンパウンド115質量部を、(b)粘度0.01Pa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(上記ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(b)成分中のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)のモル比が0.1となる量)、(c)(MeHSiO)SiMeで表され、3個のケイ素原子結合水素原子を有し、粘度が0.0012Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(上記ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のビニル基に対する本(c)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が1.4となる量)、硬化抑制剤として粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=8質量%)0.2質量部、(f)テトラブチルチタネート0.3質量部、および(e)白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(上記ベースコンパウンド中の(a)成分のジメチルポリシロキサン100万質量部に対して本(e)成分中の白金金属の量が25質量部となる量)と混合してシリコーンゴム用接着剤を調製した。
・硬さ
上記接着剤を23℃で1日間(24時間)放置することにより硬化させた。この接着剤硬化物の硬さをJIS K 6253に規定のタイプAデュロメータにより測定した。測定結果を表1に示す。
・伸びおよび引張強さ
上記接着剤を23℃で1日間(24時間)放置することにより硬化させて、JIS K 6251に規定のダンベル状3号形試験片を作成した。この試験片について伸びおよび引張強さをJIS K 6251に規定の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
・接着力および破壊モード
上記接着剤の付加硬化型シリコーンゴムに対する接着力をJIS K 6854に規定の方法に準じて、次のようにして測定した。付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム)を被覆した幅25mmのシリコーンゴム被覆ナイロンテープ同士を上記接着剤の厚さが0.6mmとなるように貼り合わせ、23℃で1日間放置することにより該接着剤を硬化させた。次に、この貼り合わせたテープについて、300mm/分の引張速度においてT型剥離試験を行なって、接着力を測定した。測定結果を表1に示す。
また、剥離後に上記接着剤硬化物と上記テープとの界面の状態を目視にて観察することにより破壊モードを確認した。接着剤硬化物が凝集破壊している場合、表1では「凝集破壊」と表示した。テープに被覆されたシリコーンゴムにおいて破壊が生じている場合、表1では「シリコーンゴム破壊」と表示した。
・保存安定性
保存安定性を評価するために、まず、上記接着剤のうち、硬化剤成分、即ち、(b)および(c)成分のみを除いた成分からなる組成物を調製した。この組成物を70℃で1週間放置した後、該硬化剤成分を混合して接着剤を調製した。この接着剤を硬化させて硬化物を得、この硬化物について上記と同様に物性(硬さ、伸び、引張強さ、接着力)を測定し、破壊モードを観察した。この際、放置前の接着剤と比較して、硬化遅延が起こるかどうかを確認した。また、放置前後で上記物性が低下するかどうかを確認した。更に、破壊モードが放置前後で変化するかどうかを確認した。具体的には、放置後の接着剤の硬化時間が放置前の接着剤の硬化時間の2倍以上であった場合に、放置後の接着剤について硬化遅延が起こったと評価した。また、各物性について、放置後の接着剤の硬化物の値が放置前の接着剤の硬化物の値の70%以下であった場合に、放置前後でその物性が低下したと評価した。硬化遅延が起こらず、上記各物性が低下せず、かつ破壊モードが変化しなかった場合に、保存安定性が良好であると評価し、表1では「○」と表示した。それ以外の場合は保存安定性が不良であると評価した。
[実施例2]
実施例1において、(b)成分の量を、ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(b)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.7となる量に変更し、(c)成分の量を、ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(c)成分中のケイ素原子水素原子のモル比が0.8となる量に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム用接着剤を調製した。この接着剤について実施例1と同様にして測定を行った。測定結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、(b)成分の量を、ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(b)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が1.2となる量に変更し、(c)成分の量を、ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(c)成分中のケイ素原子水素原子のモル比が0.3となる量に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム用接着剤を調製した。この接着剤について実施例1と同様にして測定を行った。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、(b)成分を用いず、(c)成分の量を、ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(c)成分中のケイ素原子水素原子のモル比が1.5となる量に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム用接着剤を調製した。この接着剤について実施例1と同様にして測定を行った。測定結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、(b)成分の量を、ベースコンパウンドに含まれる(a)成分中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本(b)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が1.5となる量に変更し、(c)成分を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム用接着剤を調製した。この接着剤は硬化せず、実施例1と同様の測定を行うことはできなかった。この結果を表1において「未硬化」と示す。
Figure 2006335899

Claims (6)

  1. (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有し、23℃における粘度が0.05〜1,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみR HSiO1/2単位[式中、Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。]として含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sである直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)ケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個含有し、RHSiO単位およびR XSiO1/2単位[式中、Rは上記のとおりであり、Xは水素原子またはRを表す。]のいずれか一方または両方を含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (D)比表面積が50m/g以上である微粉末シリカ 1〜100質量部、ならびに
    (E)白金族金属系触媒 有効量、
    を含有してなり、
    前記(B)および(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量が、全接着剤中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり0.01〜20モルであり、かつ
    前記(B)および(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量に対する前記(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量の割合が5〜98モル%である
    付加反応硬化型シリコーンゴム用接着剤。
  2. (F)有機チタン化合物 0.01〜10質量部
    を更に含む請求項1に係る接着剤。
  3. (G)(D)成分以外の充填剤 0質量部を超え100質量部以下
    を更に含む請求項1または2に係る接着剤。
  4. (H)三次元網状構造を有するオルガノポリシロキサンレジン 0質量部を超え100質量部以下
    を更に含む請求項1〜3のいずれか一項に係る接着剤。
  5. 前記(H)成分が、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するシロキサン単位と、SiO4/2単位およびRSiO3/2単位(Rは独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。)のいずれか一方または両方とを含有するオルガノポリシロキサンレジンである請求項4に係る接着剤。
  6. 前記(H)成分が、更にR SiO1/2単位(Rは上記のとおりである。)を含有するオルガノポリシロキサンレジンである請求項5に係る接着剤。
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