JP2006332577A - 酸化物超伝導体コイル、酸化物超伝導体コイルの製造方法、酸化物超伝導体コイルの励磁方法、酸化物超伝導体コイルの冷却方法、及びマグネットシステム - Google Patents

酸化物超伝導体コイル、酸化物超伝導体コイルの製造方法、酸化物超伝導体コイルの励磁方法、酸化物超伝導体コイルの冷却方法、及びマグネットシステム Download PDF

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Abstract

【課題】クエンチし難い酸化物超伝導体コイルを提供する。また、発生磁場が時間的に安定であり、空間均一性に優れた高性能マグネットシステムを提供する。
【解決手段】単結晶状のREBa2Cu3O7-x相中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を含み、磁束集中の起き易い部分の断面積が大きい酸化物超伝導導体コイルを提供する。また、コイル形状加工後に弾性変形又は塑性変形してなる酸化物超伝導体コイルを、熱膨張係数が僅かに大きな素材による補強して、熱サイクル耐性に優れるようにし、この酸化物超伝導体コイルへの励磁電流を目標磁場に対応する通電電流付近で減衰振動させてフラックスクリープによる時間変化が少なくなるようにし、この酸化物超伝導体コイルを液体ネオンで冷却して高磁場発生が可能でありクエンチし難いマグネットシステムを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超伝導体コイル、酸化物超伝導体コイルの製造方法、酸化物超伝導体コイルの励磁方法、酸化物超伝導体コイルの冷却方法、及びマグネットシステムに関する。
現在、超伝導マグネットとして実用化になっているのは、Nb-Ti系の超伝導線材をコイルに巻いたものが中心である。他には、Nb3SnやV3Ga系の超伝導材料が線材化され、線材化された超伝導線材をコイルに巻くことによって形成された高磁界用超伝導マグネットが用いられている。これらの金属系の超伝導マグネットは、臨界温度が低いため、液体ヘリウム等により極低温に冷却する必要がある。超伝導マグネットは、磁場発生装置として優れた特性を持ちながら、この極低温での冷却の必要性から、幅広く普及されるに至っていない。
一方、酸化物高温超伝導体の発見以後、安価で取り扱いが容易な液体窒素等の冷媒により冷却し使用できる77K以上の臨界温度を有する酸化物超伝導物質を用いた超伝導マグネットの研究開発が盛んに行われている。現在主流となっているのは、Bi系の材料をAgのシース中に詰め、これをテープ状に加工することによって、配向した超伝導材料を含む銀シーステープ材を作製し、作製した銀シーステープ材をコイルに巻く方法である。しかしながら、このようなテープ材は、77Kにおいて十分な臨界電流密度(Jc)が得られておらず、実用には至っていない。
現在のところ、77Kにおいて高磁場中においても高い臨界電流密度(Jc)を有するマグネットの材料として使用可能なバルク材料は、単結晶状のREBa2Cu3O7-X中に非超伝導相が微細分散した材料である。
この中で主な非超伝導相がRE2BaCuO5である材料はQMG材料と呼ばれ、種々の応用が検討されている。
QMG材料を用いたマグネットは、特許文献1において初めて提案された。これは、円筒形のQMG材料で形成された超伝導体に対して切れ込み加工することにより、ソレノイド状のコイルを形成するものである。
また、特許文献2及び非特許文献1には、超伝導体を渦巻形状に加工する方法と、渦巻形状に加工された比較的コイル定数の大きい超伝導コイルとが記載されている。
特許文献2には、「コイル形状を得るには、大別して二通りの方法があり、一つは結晶化させた後にコイル形状を付与する方法(GF法)で、もう一つは前駆体をコイル形状に加工した後結晶化させる方法(FG法)である。」と記載されている。
また、非特許文献3には、厚さ0.8mm、線幅1.5mm、線間隔0.5mmの5回巻きコイルが示されている。
実開平4−15811号公報 特開平7−245211号公報 Proceedings of 7th US-JAPAN workshop on high-Tc Superconductors, October 24〜25 (1995) p.128〜132 Physica C, 236-240 (1994) p.209〜212 第71回秋季低温工学・超伝導学会講演概要集(2004) p.133 監修:京谷好泰、荻原宏康、超電導応用技術「実際と将来」、第13章、株式会社シーエムシー 超伝導・低温工学 III応用編 第2章、平成5年11月30日発行
本発明が解決しようとしている課題は、高機能・高特性を有するマグネット及びマグネットシステムを提供することにある。一般に、磁場発生装置であるマグネットは、より高い磁場の発生がその機能として求められる他、空間的な均一性、及び、時間的な安定性が要求される。
磁場発生装置の1つである超伝導マグネットは、その用途・使用目的によって、その形状は大きく異なってくる。円筒状のソレノイド型マグネットは、MRI、理化学実験用として、最も広く使用されている。しかしながら、リニアモーター用レーストラック型マグネット、加速器用ダイポールマグネットや4曲マグネット等は、均一磁場の発生の観点からそれぞれ特殊な形状に製造されている。上記加速器用マグネットの形状は広い意味でレーストラック型と言えるが、例えば、図2に示すレーストラック型マグネットでは、曲線部の内側部分に磁束の集中が発生する。超伝導導体の断面積が一定の場合、磁束が集中する部分でクエンチが発生し易くなる。
超電導材料を用いたマグネットの中でも、酸化物又は化合物超伝導導体の材質は、脆性を有するため、基本的にはNb-Ti線材のように3次元的に任意形状に巻くことは困難である。しかしながら、磁場の均一性を得る観点及び組立て作業の歩留まり向上の観点から、ある程度の3次元的な加工ができることが望ましい。
また、マグネットを動作させるためには冷却が必須であることから、常温とマグネットの動作温度との間の熱サイクルに対しても十分な耐久性を有する必要がある。
そして、より均一な磁場を発生させることは、マグネットに対する基本的な要請であり、巻き線形状の非対称性の影響を極力低減し、より均一な磁場を発生させることが求められている。さらに、超伝導マグネットは、超伝導導体中にループ電流が流れる。一定電流を通電しても、導体内の電流分布がフラックスクリープにより若干変化するため、発生磁場も時間的に変化する。通常超伝導マグネットは、時間的にも発生磁場の均一性が求められるため、このような発生磁場の時間的変化を低減させる必要がある。
一方、小型で強磁場を発生しなければならない使用条件では、超伝導導体に大きな電流を通電する必要がある。このような時、液体窒素の沸点、融点又は三重点では、超伝導体の臨界電流密度(Jc)が不足する場合がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、クエンチし難い酸化物超伝導体コイルを提供することを第1の目的とする。
また、発生磁場が時間的に安定であり、空間均一性に優れた高性能マグネットシステムを提供することを第2の目的とする。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルであって、磁束が集中する部分の前記酸化物超伝導体の断面積が、他の部分より大きいことを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
(2) 前記酸化物超伝導体の形状が、直線部と曲線部を有する形状である(1)記載の酸化物超伝導体コイル。
(3) 前記酸化物超伝導体の形状が、擬レーストラック型である(1)記載の酸化物超伝導体コイル。
(4) 前記酸化物超伝導体で、複数ターンが形成されている(1)〜(3)のいずれかに記載の酸化物超伝導体コイル。
(5) 変形されてなる(1)〜(4)のいずれかに記載の酸化物超伝導体コイル。
(6) 前記変形が弾性変形である(5)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(7) 前記変形が塑性変形である(5)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(8) 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有するコイルであって、変形されてなることを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
(9) 前記変形が塑性変形である(8)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(10) 前記変形が弾性変形である(8)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(11) 前記弾性変形が、支持材で保持されてなる(6)又は(10)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(12) 前記支持材が樹脂で形成されている(11)記載の酸化物超伝導体コイル。
(13) (1)〜(12)のいずれかに記載の酸化物超伝導体コイルを複数組み合わせてなることを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
(14) 前記複数の酸化物超伝導体コイルのうち、内周側にある複数の酸化物超伝導体コイルの端部同士の接続位置が、位相が一致しないようにずれてなる(13)記載の酸化物超伝導体コイル。
(15) 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する複数の酸化物超伝導体コイルを積層してなる超伝導コイルであって、各層の内周側にある酸化物超伝導体コイルの端部同士の電気的接続位置が、位相が一致しないようにずれてなることを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
(16) 前記複数の酸化物超伝導体コイルの内、少なくとも1組は形状が等しいものである(14)又は(15)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(17) 前記接続位置のずれが、360°/n(nは1以外の整数)である(14)又は(15)に記載の酸化物超伝導体コイル。
(18) 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルであって、前記コイルの近傍に常温(300K)に対する77Kの熱収縮の割合が0.16%〜0.24%である熱収縮緩衝物を配置したことを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
(19) 前記熱収縮緩衝物がNiCr合金である(18)記載の酸化物超伝導体コイル。
(20) 前記熱収縮緩衝物が、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物である(18)記載の酸化物超伝導体コイル。
(21) 前記熱収縮緩衝物のREBa2Cu3O7-x相のxが0.2〜1.0の間である(20)記載の酸化物超伝導体コイル。
(22) 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルの製造方法であって、前記酸化物超伝導体をコイル形状に加工し、コイル形状に加工した前記酸化物超伝導体に弾性変形を加え、その弾性変形を支持材で保持することを特徴とする酸化物超伝導体コイルの製造方法。
(23) 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルの製造方法であって、前記酸化物超伝導体をコイル形状に加工し、コイル形状に加工した前記酸化物超伝導体に弾性変形を加え、さらに熱処理することにより、弾性変形を加えた前記酸化物超伝導体を塑性変形させることを特徴とする酸化物超伝導体コイルの製造方法。
(24) 酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルを励磁する酸化物超伝導体コイルの励磁方法であって、前記酸化物超伝導体コイルに通電する電流を設定値に対して上下に振動させた後、設定値に保つことを特徴とする酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
(25) 前記振動が減衰振動である(24)記載の酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
(26) 前記酸化物超伝導体が、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体である(24)記載の酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
(27) 前記酸化物超伝導体コイルが、(1)〜(21)のいずれかに記載の酸化物超伝導体コイルである(24)記載の酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
(28) (24)〜(27)のいずれかに記載の励磁方法を行うための制御機構を有することを特徴とする励磁用電源。
(29) 酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルの冷却方法であって、冷媒として液体ネオンを用いることを特徴とする酸化物超伝導体コイルの冷却方法。
(30) 前記酸化物超伝導体が、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体である(29)記載の酸化物超伝導体コイルの冷却方法。
(31) 前記酸化物超伝導体コイルが、(1)〜(21)のいずれかに記載の酸化物超伝導体コイルである(29)記載の酸化物超伝導体コイルの冷却方法。
(32) (1)〜(21)のいずれかに記載の酸化物超伝導体コイルを有することを特徴とするマグネットシステム。
(33) (28)記載の励磁用電源を有する(32)記載のマグネットシステム。
(34) 酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルを有するマグネットシステムであって、(28)記載の励磁用電源を有することを特徴とするマグネットシステム。
(35) 液体ネオンを冷媒とする(32)〜(34)のいずれかに記載のマグネットシステム。
本発明によれば、クエンチし難い超伝導コイルを提供することができる。また、発生磁場が時間的に安定であり、且つ空間均一性に優れた高性能マグネットシステムを提供することができる。したがって、通常の永久磁石では得られない高磁界を発生でき、甚大な工業的効果を得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態の超伝導コイルに使用する材料としては、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中にRE2BaCuO5相(211相)等に代表される非超伝導相が微細分散した組織を有するものが望ましい。ここで、単結晶状と言うのは、完璧な単結晶でなく、小傾角粒界等の実用に差支えない欠陥を有するものも包含すると言う意味である。
REBa2Cu3O7-x相(123相)及びRE2BaCuO5相(211相)におけるREは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる希土類元素及びそれらの組合せである。La、Nd、Sm、Eu、Gdを含む123相は、1:2:3の化学量論組成から外れ、REのサイトにBaが一部置換した状態になることもある。また、非超伝導相である211相においても、La、Ndは、Y、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luとは幾分異なり、金属元素の比が非化学量論的組成であったり、結晶構造が異なっていたりすることが知られている。
前述のBa元素の置換は、臨界温度を低下させる傾向がある。また、より酸素分圧の小さい環境においては、Ba元素の置換が抑制される傾向にある。このことから、大気中よりはむしろ、アルゴン又は窒素中に酸素を微量混合した0.1〜1%酸素雰囲気内で、結晶成長を行うことが望ましい。
また、材料中に銀を添加することにより、機械的強度及び臨界電流密度(Jc)が増加する傾向があり、銀を5〜20質量%添加することが望ましい。
123相は、以下に示すように、211相とBaとCuとの複合酸化物からなる液相との包晶反応によりできる。
211相+液相(BaとCuの複合酸化物) → 123相
そして、この包晶反応により、123相ができる温度(Tf:123相生成温度)は、ほぼRE元素のイオン半径に関連し、イオン半径の減少に伴い123相生成温度Tfも低くなる。また、低酸素雰囲気及び銀添加に伴い、123相生成温度Tfは低下する傾向にある。
単結晶状の123相中に211相が微細分散したQMG材料は、123相が結晶成長する際、未反応の211粒が123相中に取り残されるためにできる。即ち、QMG材料は、以下に示す反応によりできる。
211相+液相(BaとCuの複合酸化物) → 123相+211相
QMG材料中の211相の微細分散は、臨界電流密度(Jc)の向上の観点から極めて重要である。Pt、Rh及びCeの少なくとも一つを微量添加することで、半溶融状態(211相と液相からなる状態)での211相の粒成長を抑制し、結果的にQMG材料中の211相を約1μm以下に微細化する。添加量は、微細化効果が現れる量及び材料コストの観点から、Ptで0.2〜2.0質量%、Rhで0.01〜0.5質量%、Ceで0.5〜2.0質量%が望ましい。添加されたPt、Rh、Ceは123相中に一部固溶する。また、固溶できなかった元素は、BaやCuとの複合酸化物を形成し、材料中に点在することになる。
また、コイルを構成する超伝導体は、磁場中においても高い臨界電流密度(Jc)を有する必要がある。この条件を満たすには、超伝導的に弱結合となる大傾角粒界を含まない単結晶状の123相である必要がある。さらに高いJc特性を有するためには、磁束の動きを止めるためのピンニングセンターが必要となる。このピンニングセンターとして機能するものが微細分散した211相であり、より細かく多数分散していることが望ましい。
先に述べたように、Pt、RhやCeは、この211相の微細化を促進する働きがある。また、ピンニングサイトとして、BaCeO3、BaSiO3、BaGeO3、BaSnO3等が知られている。また、211相等の非超伝導相は、劈開し易い123相中に微細分散することによって、超伝導体を機械的に強化し、バルク材料として成り立たす重要な働きをも担っている。
123相中の211相の割合は、Jc特性及び機械強度の観点から、5〜35体積%が望ましい。また、材料中には、50〜500μm程度のボイド(気泡)を5〜20体積%含むことが一般的であり、さらに銀を添加した場合、添加量によって10〜500μm程度の銀又は銀化合物を0体積%超25体積%以下含む。
線断面積を小さくした場合、比較的大きなボイド及び銀又は銀化合物粒子は、線断面積中に占める超伝導相の割合を極端に低下させる危険性があり、ボイド径及び銀粒子径は、200μm以下にすることが望ましい。
また、結晶成長後の材料の酸素欠損量xは、0.5程度で半導体的な抵抗率の温度変化を示す。各RE系により350℃〜600℃で100時間程度、酸素雰囲気中においてアニールすることにより酸素が材料中に取り込まれる。そうすると、酸素欠損量は0.2以下となり、良好な超伝導特性を示す。
結晶成長後のバルク材料から同心円状コイルやレーストラック型のコイル形状への加工は、まずスライス切断を行い、ウエハー状に加工した後、サンドブラスト等により付与される。スライス切断には、外周刃及び内周刃加工、又は、マルチブレード加工等が適している。サンドブラストによる精密加工は、ガラス、アルミナ、シリコン等の硬脆性材料に対し、高分子材料等の弾性素材のマスクを施し、SiC、Al2O3等の砥粒を空気等の気体と共にワーク(加工対象物)に吹き付けることによって、任意の形状にワークを加工する方法であり、マスクをホトレジスト等の技術により精密に加工することで、数十μmオーダーの精密加工が可能となる。
本実施形態の磁場発生装置である超伝導マグネットは、その用途・使用目的によって、その形状は大きく異なってくる。加速器用マグネットの形状は、粒子の通路(ビームライン)内の均一磁場の観点から特殊な形状に製造されている。
一例として、ダイポールマグネット等に用いられているようなレーストラック型マグネットでは、図1に示すように、曲線部分に大きな断面積を有する擬レーストラック型マグネット100の形状にすれば、磁束が集中する部分の導体断面を大きくすることができる。したがって、その部分の電流密度が低下し、クエンチし難いより均一磁場の発生が可能なマグネットができる。
通常の超伝導線材は、線引き加工により作製されるため断面積が一定のものしかできない。断面積を変化させたコイルの作製は、QMG材料を使用し、サンドブラスト加工でコイル形状を付与することによって初めて現実的に可能となったものであり、通常の超伝導線材を使用したのでは不可能である。
また、レーストラック型マグネットは、一般的には、図2に示すように、形状が直線部と曲線部とから構成されていることが多く、磁束集中の起こり易い形状と言える。また、図1に示す擬レーストラック型マグネット100の形状は、図2に示すレーストラック型マグネット200の形状に比べ磁束集中を和らげ、且つ磁束集中部分が太くなっているので、より望ましい形状と言える。このような擬レーストラック型マグネット100の形状のコイルを複数組み合わせることで、より均一な磁場発生が可能となり、より高性能のマグネットシステムが可能となる。
超電導マグネットの導体材料であるQMGの材質は、セラミックス材料であるため脆性を有する。基本的にはNb-Ti線材のように3次元的に任意形状に巻くことは困難である。しかしながら、コイルの細線加工により弾性限度内で超伝導特性を劣化させることなく、3次元的に変形することが可能である。通常、QMGのような酸化物のバルク超伝導体は、その脆性から、変形させて使用することは困難と思われていた。本実施形態は、バルク材料の細線化により、不可能と思われていた変形によるコイル形状付与を、弾性限度内で特性の劣化を伴わず可能にしたものである。
変形されたコイルは、樹脂等をコイルの線間に塗りこみ固化させ、支持材とすることでその形状が保持される。また、弾性変形された状態を保ったままで300℃以上での熱処理をすることにより、塑性変形させることができる。加速器用ダイポールマグネットや4極マグネット等では、非特許文献4及び非特許文献5に記載されているように、コイル巻き線の断面構造はcos(nθ/2)の電流分布を近似した構造になるが、この場合、平面構造ではなく、鞍型構造をとることにより、均一磁場の発生が可能になる。さらに、これらの弾性変形や塑性変形させたコイルを組み合わせることによって、より均一な磁場発生が可能となる。また、コイルの積層に伴い、コイル端部の電気的接続が必要となる。このとき、各コイル間の絶縁部分を考慮すると、1mm以下程度(望ましくは0.05〜0.5mm)の弾性変形を与えることにより、電気的接続が容易になり、接触抵抗の少ない良好な接続を有するコイルの製造が可能となった。
より広い均一な磁場分布を得ようとする場合、同心円状のコイル巻き線が用いられる。同心円状の平面状のコイルを積層し、端部を電気的に接続してマグネットを作製する場合、厳密には、コイルの内周端部の影響により完全な軸対称コイルを作ることは困難である。そのため、内周端部での電気的接続は、発生磁場の非軸対称性をもたらす。電気的接続部の位置が、各層すべてにおいて一致した位置にある場合、発生磁場は接続部での電流分布を反映し、非軸対称性が増長される。
これに対し、中心軸に対して位相を各層間毎にずらして、接続部の位置関係をずらしてゆくことによって、非軸対称性は軽減される。一例として、平面内に渦巻き加工したコイル形状を図3(a)及び図3(b)に示す。図3(a)に示すコイル301は、約315°にわたって、最内周の内外径が等しく、残り約45°の区間で内外径を調整している。一方、図3(b)に示すコイル302は、360°にわたって徐々に内外径が変化している。このように、コイル形状自身には、必ず、中心軸に対して非対称性が発生する。さらに、渦巻き方向を逆にして積層し電気的接続部を形成する場合、層間を電流が跨いで流れるため、軸方向に対しても不均一性が発生する。
このように、コイルの位置及び電気的接続部を一定又は一定箇所にした場合、磁場分布の不均一性は増大することになる。これに対し、中心軸に対して位相を各層間毎にずらして接続部の位置関係をずらしてゆくことによって、非軸対称性は軽減される。また、この効果は、コイルの厚みが小さいほど、また、積層枚数が多いほど、発生磁場が平均化されることによって高くなる。また、位相のズレの合計が下層のコイルと上層のコイルとの間で360°の整数倍となることが望ましい。また、さらに、実際のマグネット組立てにおいては、(n+1)層(nは1以外の整数)を積層することによって元の位置に戻るため、作業性の観点から各層の位相のズレを、(360°/n)とすることが望ましい。
また、QMGの熱膨張は、通常の金属、GFRPやCFRP等の繊維強化プラスチック、粒子強化樹脂に比べ、比較的小さい。例えば、QMG(a-b面方向)の常温(300K)に対する窒素の沸点(77K)における収縮率は、0.14%〜0.18%程度である、これに対し、銅では0.33%、SUS316では0.31%、NiCrでは0.22%、G10(GFRPの一種/繊維方向)では0.26%、スタイキャスト2850FT(接着剤)では0.47%であり、一般的な構造材に比べて冷却による熱収縮が少ない。
超電導マグネットの導体材料であるQMGの材質は、セラミックス材料であり、脆性を有するため、常温とマグネット動作温度との熱サイクルによって、亀裂の発生等による特性劣化の可能性がある。そのため、長期の使用に耐えるためには、外周部の構造材とQMGコイルとの熱収縮の差による応力を極力緩和する構造が望ましい。
具体的にはQMGコイルの近傍に常温(300K)に対する77Kの熱収縮の割合が0.16%〜0.24%であるNiCr等の熱収縮緩衝物を配置することが望ましい。さらに望ましくは、QMGコイルの上下面にQMGコイルに近い材質ではあるが、REBa2Cu3O7-x相のxが0.2〜1.0の間にあり、マグネットの動作温度において超伝導特性を示さない熱収縮緩衝物が望ましい。即ち、熱収縮率がほとんど同じであるが、超伝導を示さないためにマグネットによって発生した磁場をシールドすることなく緩衝効果のみを期待できる熱収縮緩衝物が望ましい。また、このような熱収縮緩衝物は、比抵抗が高いため、磁場変化に対する誘導電流も抑制できる。
一方、Ti(収縮率:0.12%)等のQMG材料に対し低い収縮率を示す素材は、冷却時にはQMG材料に対し引っ張り応力を作用させるために望ましくない。
マグネットが作る磁場は、通常、空間的な均一性の他にも時間的な均一性又は安定性が求められる。超伝導マグネットの通電電流に対する発生磁場は、常伝導導体による均一電流分布と異なり、超伝導導体内の電流分布の変化に伴うヒステリシスループを有する。図4に典型的な初期励磁過程(点Aから点C)及び減磁過程(点Cから点E)のヒステリシス曲線を示す。図中の点Bで通電電流を一定に保つと、フラックスクリープにより発生磁場は、徐々に低下する。
一方、点Dで通電電流を一定に保つと、フラックスクリープにより発生磁場は、徐々に増加する。この性質を利用し、設定電流に対して、一旦、大きめの電流を通電した後、次に、少なめの適当な電流を通電すると、超伝導体内では、時間経過に伴いフラックスクリープが発生する。ところが、発生磁場が低下する方向のフラックスクリープと発生磁場が増加するフラックスクリープとが相殺し、実質的に発生磁場の時間変化を抑制することが可能になる。
ここで、図4のヒステリシス曲線を用いて説明した発生磁場の低減法に関し、コイル導体内の電流分布の観点から再度説明する。図4に示した点Bでは、導体内の磁束分布及び電流分布は、図5に示す太い実線で示す磁束分布12a及び電流分布12bのようになっている。図5に示す磁束分布1a、2a、3a、6a、9a、12a及び電流分布1b、2b、3b、6b、9b、12bは、それぞれ初期励磁過程における導体内の磁束分布及びこれに対応する電流分布である。この状態からのフラックスクリープは、太い点線で示す変化に対応する。即ち、磁束密度の勾配及びこれに対応する臨界電流密度が低下する。
図4に示した点Bでは、内側を流れるプラス電流のフラックスクリープによる中心磁場への影響が中心からの距離が近い分大きいため、フラックスクリープにより、中心磁場は時間と共に減少する。一方、図4に示した点Dでの導体内の磁束分布及び電流分布は、図6に示す実線のようになっている。この状態からのフラックスクリープは、点線で示す変化に対応する。この場合は、内側にあるマイナス電流の減少の寄与が、内側にある分大きくなり、マイナス電流がフラックスクリープにより減少するため、中心磁場は時間と共に増加する。このような説明から、減衰振動電流の通電後に一定電流を通電し、導体内のプラス電流とマイナス電流とのバランスを適当に分布させることによって、フラックスクリープの影響による磁場の時間変化を低減させることが可能であることが分かる。
また、コイルの径に対し、導体断面積が比較的大きい場合は、特にこのようなフラックスクリープの影響を受け易いことが分かる。QMG材料をサンドブラスト加工する等してコイル形状にした場合、細線化には限界があるため、QMG材料を用いたコイルには、特にこの方法は有効でである。また、予め上記のような設定値の上下で減衰振動した後、続いて振動の少ない電流を通電できるように設計された電源は、特に短時間で励磁・消磁を繰り返さなければならない場合、特にその有用性が増すと共に、このような電源を組み込んだマグネットシステムは、より望ましいシステムであると言える。
超伝導体の臨界電流密度(Jc)をより高めると、マグネットの設計上、より広い均一磁場空間を得ることができる。臨界電流密度(Jc)を高める方法としては、超伝導マグネットの冷却温度を低下させる方法がある。超伝導コイルの冷却方法としては、安価で比較的取り扱いが容易な液体窒素や、液体酸素等へ超伝導コイルを浸漬させる方法、及び、高価で取り扱いは比較的大変ではあるが、液体ヘリウムへ超伝導コイルを浸漬させる方法が一般的である。また、冷凍機による伝導冷却も行われているが、常伝導接続部を有し発熱部がある場合は、冷媒中に浸漬する方法が望ましい。
設計上、液体窒素温度では、臨界電流密度(Jc)が足らず、液体ヘリウム温度では、過剰な臨界電流密度(Jc)になってしまう場合、中間的な温度領域の冷媒として、液体ネオン(沸点:27K)、液体水素(沸点:20K)がある。液体ネオンは、不活性気体であり、安全で取り扱いが容易である。また、微量ではあるが大気中に存在し、資源的にも安定である。単結晶状のREBa2Cu3O7-x相に非超伝導相が微細分散した酸化物超伝導体(QMG材料)の液体ネオンの沸点(27K)における臨界電流密度(Jc)は、Bi系線材(Jc:4.2K)、及び、NbTiやNb3Sn線材(Jc:1.8K)の臨界電流密度(Jc)よりも高く、液体ネオン温度(27K)は、臨界電流密度(Jc)の単純な比較においては、QMG材料の優位性を発揮できる温度である。特に小型で強磁場を発生しなければならない使用条件では、超伝導導体に大きな電流を通電する必要があり、液体ネオンによる冷却が有効である。
また、QMG材料を用いたコイル(以下、QMGコイルと称する)を前提に考えた場合、QMG材料では多芯線を形成することが困難なため、液体ヘリウム温度では、逆に、熱的安定性が確保できず、液体ネオン温度(27K)に冷却したときに比べて若干クエンチし易くなる。このような意味合いから、QMGコイルと液体ネオンによる冷却との組合せは、互いの良い点を発揮できる極めて巧妙な組合せと言える。QMGコイルを使用し、前記通電方法により励磁することで、小型で高性能マグネットシステムが可能となる。
(実施例1)
市販されている純度99.9%の各試薬Gd2O3、BaO2、CuOを、Gd、Ba、Cuの金属元素のモル比が、以下のようになるように混合した。
Gd:Ba:Cu=13:17:24
即ち、最終組織の123相と211相とのモル比が以下のようになるようにした。
123相:211相=7:3
さらに、白金を0.5質量%添加した。このようにして得られた混合粉を一旦850℃で8時間仮焼し、さらに粉砕した。粉砕した混合粉に、酸化銀(Ag2O)を10質量%添加した。そして、酸化銀(Ag2O)を10質量%添加した混合粉を、内径85mmの円筒状金型により、厚さ約18mmの円盤状に成形した。また、Gd2O3の代わりにSm2O3及びYb2O3を用いて、上記Gd系成形体と同様の方法により、厚さ4mmのSm系及びYb系円盤状成形体を作製した。
これらをAl2O3の支持材の上に、Sm系、Yb系、Gd系の順番で下から重ね、炉内に配置した。これらの前駆体を、大気中において1040℃まで100時間で昇温し、さらに1150℃まで1時間で昇温した。そして、30分保持した後、1030℃まで1時間で降温し、1時間保持した。その間、予め作製しておいたSm系の種結晶(QMG結晶)を用い、種結晶を半溶融状態の前駆体上に乗せた。種結晶のc軸が円盤状の前駆体の法線方向になるように、劈開面を前駆体の上に乗せた。その後、1005〜980℃まで100時間かけて冷却し、Gd系QMG結晶の成長を行った。さらに常温まで約15時間かけて冷却し、外径68mmの円柱形の単結晶状のGd系QMG結晶を得た。組織観察の結果、約1μmの211相がほぼ均一に分散した材料であった。
ここで、Sm系前駆体は、種付け後、早期に固化(結晶化)する。したがって、Al2O3の支持材からSm系前駆体にAlの不純物が混入するのを防ぐ。Yb系前駆体は、Sm系前駆体層からの多結晶化を防ぎ、Gd系前駆体を種結晶から成長した単結晶状の結晶にする働きをする。
マルチブレードソーを用いて、得られた結晶を切断(スライス)することによって、厚さ1.0mmの円盤状Gd系QMG材料を得た。片面に銀スパッタリングにより約2μm製膜した。
次に、ウレタン系のポジ型レジストフィルムを超伝導体に貼り付けた後、図7(a)に示すように、磁束集中部の線径を太くした線幅3.0〜1.0mm、線間隔0.3mmの擬レーストラックマグネット700を、ホトレジスト工程により超伝導体表面に形成した。これを平均粒径50μmの炭化珪素(SiC)を砥粒として、サンドブラスト加工した。このとき使用したノズルの内径は8mmであり、吹き付け速度を80m/sにして砥粒を吹き付けた。このようにして、得られたレーストラック型マグネット(コイル)を2枚積層し、内側の端部を銀ペーストにより接続した。得られた2層コイルを、減圧酸素中で約850℃に昇温することで焼結し、電気的に接続した。さらに、大気圧の酸素気流中において、約450℃中で150時間保持することにより酸素アニール処理を行った。
次に、このようにして得られた3つの2層コイルに対し、図7(b)に示すように、外側の端部がコイル面に対し約0.1mm飛び出るよう、スペーサーを配置して、コイルを弾性変形させ、弾性変形させたコイルを樹脂で固定した。3つの2層コイルを半田により接続し、合計6層のコイルユニットを作製した。コイルユニットは、樹脂で隙間が埋められた後、銅の電極に取り付けられ、さらに外周部がステンレスリングで覆われた後、樹脂により補強された。このようにして、レーストラック型の6層マグネットを作製した。
また、比較材として、図8に示すレーストラック型マグネット(コイル)800をサンドブラスト加工により作製し、前述したのと同様に、銀ペースト接続及び酸素アニール処理を行った。続いて、外側の端部がコイル面内になるよう樹脂で固化した。ステンレスリング補強等は、前述したのと同様に行われ、比較材となるレーストラック型の6層マグネットが作製された。
まず、液体窒素(77K)中で、通電実験を行った。6層マグネットの抵抗、即ち、各層間の接続抵抗は、3.0μΩ、比較材の接続抵抗は、6.2μΩであり、図7(a)に示す形状を有し、外周端部を弾性変形させたマグネットは、図8に示す形状を有し、外周部を変形させていないコイルに比べて、約2分の1の接続抵抗になっており、低い接続抵抗が得られることが分かる。また、図7(a)に示す形状を有し、磁束集中部の線径を太くしたレーストラック型マグネットでは、370Aを通電した時の超伝導コイル内での電圧が、30μVであり、表面中心で約0.32Tの磁場の発生を確認した。これに対し、図8に示す形状を有する比較材のレーストラック型マグネットでは、270Aを通電した時に超伝導コイル内に60μVの電圧が発生し、表面中心に約0.27Tの磁場が発生するに留まった。
次に、図7(a)に示す形状を有する上記レーストラック型の6層マグネットに対し、図9に示すパターン91a〜93aでの通電が可能な電源を作製した。それぞれのパターン91a〜93aで励磁した時の発生磁場の時間変化91b〜93bを、それぞれ図10に示す。パターン91aで通電した場合、一定通電開始以降で磁場の減衰が確認される。これに対し、パターン92aで通電した場合、一定通電開始以降で逆に発生磁場の上昇が見られた。これらに対し、パターン93aに示す減衰振動状の通電を行った場合は、一定通電開始以降、観測時間の範囲で発生磁場は1%以下の変化に留まった。このような比較から、上記マグネットシステムにより、一定通電の前に振動電流を通電することによって、発生磁場を安定化させ得ることが分かった。
さらに、上記マグネットシステムを用い、上記レーストラック型の6層のマグネットを大気圧中で液体ネオンに浸し、通電を行った。最大3kAの通電を行い、表面中心で3.09Tの発生磁場を確認した。また、表面中心での発生磁場が3.09Tになるまで1.5秒で高速励磁したにもかかわらず、クエンチすることなく通電できた。
(実施例2)
市販されている純度99.9%の各試薬RE2O3(REはGd及びDy)、BaO2、CuOを、RE、Ba、Cuの金属元素のモル比が、以下のようになるように混合した。
RE:Ba:Cu=13:17:21
即ち、最終組織の123相と211相とのモル比が以下のようになるようにした。
123相:211相=70:30
さらに、Ptを0.3質量%、CeO2を0.8質量%、Ag2Oを15質量%添加し、REがGd及びDyの混合粉を作製した。各混合粉を、一旦830℃で8時間仮焼した。こうして得られたGd系仮焼粉とDy系仮焼粉とを90:10、及び、80:20の割合で混合した仮焼粉を作製した。これらGd系仮焼粉、Gd90-Dy10系仮焼粉、及び、Gd80-Dy20系仮焼粉の3種類の仮焼粉を、内径150mmの円筒状金型中に、図11に示すように、中心部から外周方向へGd系仮焼粉、Gd90-Dy10系仮焼粉、Gd80-Dy20系仮焼粉の順に3層構造になるよう充填し、厚さ約25mmの円盤状に成形して円盤状成形体を得た。また、Sm2O3及びYb2O3を用いて、上記成形体と同様の方法により、厚さ4mmのSm系円盤状成形体とYb系円盤状成形体とを作製した。さらに、各円盤状成形体を、等方静水圧プレスにより圧縮加工した。
これらをAl2O3の支持材の上に、Sm系、Yb系、Gd-Dy系成型体の順番で下から重ね、炉内に配置した。これらの前駆体を、大気中において700℃まで12時間、1045℃まで150時間、さらに1150℃まで1時間で昇温し、30分保持した。その後、1030℃まで1時間で降温し、1時間保持した。その間、予め作製しておいたNd-Sm系の種結晶(QMG結晶)を用い、種結晶を半溶融状態の前駆体上に乗せた。種結晶のc軸が円盤状の前駆体の法線方向になるように、劈開面を前駆体の上に乗せた。その後、1mol%O2の窒素雰囲気中において1000〜965℃まで240時間かけて冷却し、Gd-Dy系QMG結晶の成長を行った。さらに、常温まで約15時間かけて冷却し、外径120mmの円柱形の単結晶状のGd-Dy系QMG結晶を得た。また、組織観察の結果、約1μmの211相がほぼ均一に分散した材料であった。
マルチブレードソーを用いて、得られた結晶を切断(スライス)することによって、厚さ1.0mmの円盤状QMG材料を得た。この両面に約1μmの銀被膜をスパッタにより成膜した。
次に、ウレタン系のポジ型レジストフィルムを超伝導体に貼り付けた後、図12に示すように、線幅1.5〜2.0mm、線間隔0.3mmのレーストラック形状のマスクを施し、ホトレジスト工程により擬レーストラックマグネットを施した。これを平均粒径20μmの炭化珪素(SiC)を砥粒として、片面ずつ両面にサンドブラスト加工を行った。このとき使用したノズルの内径は9mmであり、吹き付け速度を70m/sにして砥粒を吹き付けた。
このようにして、得られたレーストラック型マグネット(コイル)を2枚積層し、内側の端部を銀ペーストにより接続した。得られた2層コイルを、減圧酸素中で約850℃に昇温することで焼結し、電気的に接続した。さらに、大気圧の酸素気流中において、約450℃中で150時間保持することにより酸素アニール処理を行った。
次に、得られた4つの2層コイルに対し、図7(b)に示すような形状とするために、外側の端部がコイル面に対し約0.05mm飛び出るよう、スペーサーを配置して、コイルを弾性変形させ、弾性変形させたコイルを樹脂で固定した。4つの2層のコイルを半田により接続し、合計8層のコイルユニットを作製した。コイルユニットは、樹脂で隙間が埋められた後、銅の電極に取り付けられ、さらに外周部をステンレスリングで覆った後、樹脂により補強された。このようにして、レーストラック型の8層マグネットを作製した。
はじめに、液体窒素(77K)中で、通電実験を行った。レーストラック型の8層マグネットの抵抗、即ち、各層間の接続抵抗は、3.5μΩであった。また、レーストラック型の8層マグネットでは、350Aの電流を通電した時の超伝導コイル内での電圧発生が、30μVであり、表面中心で約0.41Tの磁場発生を確認した。
次に、上記レーストラック型の8層マグネットに対し、図9に示すパターン91a〜93aでの通電が可能な電源を作製した。それぞれのパターン91a〜93aで励磁した時の発生磁場の時間変化91b〜93bは、それぞれ図10に示したようになる。パターン91aで通電した場合、一定通電開始以降で磁場の減衰が確認される。これに対し、パターン92aで通電した場合、一定通電開始以降で逆に発生磁場の上昇が見られた。これらに対し、パターン93aに示す減衰振動状の通電を行った場合は、一定通電開始以降、観測時間の範囲で発生磁場は1%以下の変化に留まった。このような比較から、前記マグネットシステムにより、一定通電の前に振動電流を通電することによって、発生磁場を安定化させ得ることが分かった。
さらに、上記マグネットシステムを用い、上記レーストラック型の8層マグネットを大気圧中で液体ネオンに浸し、通電を行った。最大3kAの通電を行い、表面中心で3.82Tの発生磁場を確認した。また、表面中心での発生磁場が3.82Tになるまで1.0秒で高速励磁したにもかかわらず、クエンチすることなく通電できた。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、外径68mmの円柱形の単結晶状のGd系QMG結晶を得た。マルチブレードソーを用いて、これを切断(スライス)することによって、厚さ1.0mmの円盤状Gd系QMG材料を得た。片面に銀スパッタリングにより約2μm成膜した。次に、実施例1と同様の方法により、図13(a)に示すように、外周55mm、線幅約2.6mm、線間隔0.5mmの渦巻き形状を有するマスク形状を超伝導体表面に形成し、サンドブラスト加工した。
このような形状を有するコイルを図13(a)に示す軸1301で反転し、重ね合わせた時の内周端部付近の様子を図13(b)に示す。また、図13(a)に示す軸1301で反転し、さらに90°ずらして重ね合わせた時の内周端部付近様子を図13(c)に示す。上層のコイルと一致しない下層のコイルの溝又はエッジを太い点線で示した。また、電気的接続を行った部分を斜線で示した。このように90°ずらした2枚組の2層コイルを4組、即ち、8層分積層したコイルユニットを作製した。また、参照材として、図13(b)に示すように反転しただけでずらしていない2枚組の2層のコイルを4組、即ち、8層分積層したコイルユニットを作製した。各コイルユニットは、樹脂で隙間が埋められた後、銅の電極に取り付けられ、さらに外周部がステンレスリングで覆われた後、樹脂により補強された。このようにして、8層マグネット及び参照用マグネットを作製した。
それぞれのマグネットを液体窒素温度(77K)に冷却し、350Aの電流を通電した。表1に、4層目と5層目の間の平面における点であって、図13(b)及び図13(c)に示す点イ〜ヌでの磁束密度を示す。磁束密度測定に用いたホール素子のセンサー部の面積は0.7mm×0.7mmであった。
Figure 2006332577
表1から、90°ずらして接続したマグネットは、ずらしていないマグネットに比べ、磁束密度分布の軸対称性及び均一性が良いことが確認できた。
(実施例4)
実施例2と同様の方法で、外径68mmの円柱形の単結晶状のGd(50)-Dy(50)系QMG結晶を得た。マルチブレードソーを用いて、これを切断(スライス)することによって、厚さ1.0mmの円盤状Gd-Dy系QMG材料を得た。実施例3と同様の方法で、外周55mm、線幅約2.6mm、線間隔0.5mmの渦巻き形状を有するマスク形状を超伝導体表面に形成し、サンドブラスト加工を行い、図13(a)に示したような単層コイルを作製した。
このような形状を有するコイル2枚の内の1枚を図13(a)に示した軸1301で反転し、さらに90°ずらして、図13(c)に示すように、もう1枚と接続した。このように90°ずらした2枚組の2層コイルを8組、即ち、16層分積層したコイルユニットを作製した。コイルユニットは、樹脂で隙間が埋められた後、銅の電極に取り付けられ、さらに外周部がステンレスリングで覆われた後、積層方向に対し上下面に、酸素アニール処理を行っていないリング状の熱収縮緩衝物であって、REBa2Cu3O7-x相のxが約0.4の熱収縮緩衝物(厚さ1.5mm、外周56mm、内径12mm)が樹脂により貼り付けられた。さらに、同様の形状を有する0.5mm厚さのNiCrリングを貼り付け、熱収縮緩衝物を有するコイルユニットを作製した。
一方、参照材として、熱収縮緩衝物の代わりに、積層方向に対し上下面に、前述した熱収縮緩衝物と同様の形状を有する厚さが2mmのGFRPを、繊維方向が積層面と平行となるように貼り付け、参照用のコイルユニットを作製した。なお、このGFRPの繊維方向における常温(300K)に対する77Kの熱収縮の割合は、0.28%であった。
2つのコイルユニットに対し、300Kと77Kの間を100℃/hの冷却・加熱速度で50回のヒートサイクル処理を行った。超伝導体内での発生電圧の合計値が200μVとなった電流による発生磁場を基準値として、各コイルユニットの初回の77K冷却時の発生磁場に対する50回のヒートサイクルを与えた後の発生磁場の割合を比較した。その結果、前記熱収縮緩衝物を有するコイルユニットでは、その割合が0.97であり、ヒートサイクルによって殆ど劣化が見られなかったのに対し、参照材であるGFRPを貼り付けたコイルユニットでは、その割合が0.89であり、熱収縮緩衝物に比べるとヒートサイクルによる劣化が見られ、熱収縮緩衝物の効果が確認できた。
(実施例5)
実施例1で説明した方法により、図7(a)に示すレーストラック型マグネット(コイル)700を作製した。このレーストラック型マグネット(コイル)を外周の曲率半径が25mmのアルミナパイプ1401上に配置した。さらに内周の曲率半径が25mmの4分割した幅5mmのアルミナパイプ1402を乗せ、レーストラック型マグネット(コイル)700を弾性変形させた。この様子を図14(a)、図14(b)に示す。アルミナパイプ1402を、レーストラック型マグネット(コイル)700の中心から20mm離して2個配置した。図14(b)は、図14(a)中のA−A´の破線で示す位置の断面を示す。また、この段階で、アルミナパイプ1402を取り除いた場合、コイルは自重により若干外周部が下がるものの、ほぼ平面状であった。
図14(b)のようにして弾性変形されたレーストラック型マグネット(コイル)を、大気中で常温から800℃まで100℃/hで昇温した後、5時間保持し、400℃まで100℃/hで降温した。続いて、酸素中で150時間保持した後、常温まで50℃/hで降温した。熱処理後、アルミナパイプ1402を取り除いたところ、コイルは平面状に戻らず、アルミナパイプ1402の曲率半径とほぼ同じ50mmの曲率半径に塑性変形されていた。これにより、QMGコイルが、コイル形状を付与した後に、熱処理によって、3次元的な塑性変形が可能であることが確かめられた。
なお、前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するに当たっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の実施形態を示し、磁束集中部分の導体断面積を大きくしたレーストラック型マグネットの構成の一例を示した図である。 本発明の実施形態を示し、導体断面積が一定のレーストラック型マグネットの構成の一例を示した図である。 本発明の実施形態を示し、巻線形状の一例を示す図であり、図3(a)は、巻き線の内外径が約45°の区間で変化する巻き線形状の一例を示す図であり、図3(b)は、巻き線の内外径が360°にわたって変化する巻き線形状の一例を示す図である。 本発明の実施形態を示し、QMGコイルマグネットの発生磁場-通電電流特性におけるヒステリシスの一例を示した図である。 本発明の実施形態を示し、初期励磁過程における超伝導導体内の磁束及び電流分布の一例を示した図である。 本発明の実施形態を示し、励磁電流を増加した後、減少させた時の超伝導導体内の磁束及び電流分布の一例を示した図である。 本発明の実施例1を示し、レーストラック型マグネットの構成を示した図であり、図7(a)は、レーストラック型マグネットの外観形状を示した図であり、図7(b)は、レーストラック型マグネットの外周端部を弾性変形ときの変位の様子を示した図である。 本発明の実施例1との比較例を示し、レーストラック型マグネットの外観形状を示した図である。 本発明の実施例1を示し、通電電流のパターン(波形)を示した図である。 本発明の実施例1を示し、図9に示した通電電流のパターン(波形)に対応する発生磁場の時間変化を示した図である。 本発明の実施例2を示し、仮焼粉の金型内における配置を示した図である。 本発明の実施例2を示し、レーストラック型マグネットの外観形状を示した図である。 本発明の実施例3を示し、渦巻き型マグネットの構成を示した図であり、図13(a)は、渦巻き型マグネットの外観形状を示した図であり、図13(b)は、渦巻きの方向を反対にし、位相をずらさずに積層した2層のコイルの外観形状を示した図であり、図13(c)は、渦巻きの方向を反対にし、90°(n=4)ずらして積層した2層のコイルの外観形状を示した図である。 本発明の実施例5を示し、レーストラック型マグネットへ塑性変形を与えるための構成を示した図であり、図14(a)は、アルミナパイプ上にレーストラック型コイルを配置し、さらに、レーストラック型コイルの上にアルミナパイプを乗せ、レーストラック型コイルを弾性変形させたときの上からの概観図であり、図14(b)は、図14(a)中のA−A´の破線で示す位置における断面形状を示した図である。
符号の説明
1a、2a、3a、6a、9a、12a 磁束密度
1b、2b、3b、6b,9b、12b 電流密度
91a〜93a 通電電流パターン
91b〜93b 発生磁場の時間変化
100、200、700、800 レーストラック型マグネット
1401 外周の曲率半径が50mmのアルミナパイプ
1402 内周の曲率半径が50mmの4分割した幅5mmのアルミナパイプ

Claims (35)

  1. 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルであって、
    磁束が集中する部分の前記酸化物超伝導体の断面積が、他の部分より大きいことを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
  2. 前記酸化物超伝導体の形状が、直線部と曲線部とを有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超伝導体コイル。
  3. 前記酸化物超伝導体の形状が、擬レーストラック型であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超伝導体コイル。
  4. 前記酸化物超伝導体で、複数ターンが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化物超伝導体コイル。
  5. 変形されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化物超伝導体コイル。
  6. 前記変形が弾性変形であることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超伝導体コイル。
  7. 前記変形が塑性変形であることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超伝導体コイル。
  8. 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有するコイルであって、
    変形されてなることを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
  9. 前記変形が塑性変形であることを特徴とする請求項8に記載の酸化物超伝導体コイル。
  10. 前記変形が弾性変形であることを特徴とする請求項8に記載の酸化物超伝導体コイル。
  11. 前記弾性変形が、支持材で保持されてなることを特徴とする請求項6又は10に記載の酸化物超伝導体コイル。
  12. 前記支持材が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項11に記載の酸化物超伝導体コイル。
  13. 請求項1〜12の何れか1項に記載の酸化物超伝導体コイルを複数組み合わせてなることを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
  14. 前記複数の酸化物超伝導体コイルのうち、内周側にある複数の酸化物超伝導体コイルの端部同士の接続位置が、位相が一致しないようにずれてなることを特徴とする請求項13に記載の酸化物超伝導体コイル。
  15. 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する複数の酸化物超伝導体コイルを積層してなる酸化物超伝導体コイルであって、
    各層の内周側にある酸化物超伝導体コイルの端部同士の電気的接続位置が、位相が一致しないようにずれてなることを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
  16. 前記複数の酸化物超伝導体コイルの内、少なくとも1組は形状が等しいものであることを特徴とする請求項14又は15に記載の酸化物超伝導体コイル。
  17. 前記接続位置のずれが、360°/n(nは1以外の整数)であること請求項14又は15に記載の酸化物超伝導体コイル。
  18. 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルであって、
    前記コイルの近傍に常温(300K)に対する77Kの熱収縮の割合が0.16%〜0.24%である熱収縮緩衝物を配置したことを特徴とする酸化物超伝導体コイル。
  19. 前記熱収縮緩衝物がNiCr合金であることを特徴とする請求項18に記載の酸化物超伝導体コイル。
  20. 前記熱収縮緩衝物が、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物であることを特徴とする請求項18に記載の酸化物超伝導体コイル。
  21. 前記熱収縮緩衝物のREBa2Cu3O7-x相のxが0.2〜1.0の間であることを特徴とする請求項20に記載の酸化物超伝導体コイル。
  22. 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルの製造方法であって、
    前記酸化物超伝導体をコイル形状に加工し、
    コイル形状に加工した前記酸化物超伝導体に弾性変形を加え、
    その弾性変形を支持材で保持することを特徴とする酸化物超伝導体コイルの製造方法。
  23. 単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルの製造方法であって、
    前記酸化物超伝導体をコイル形状に加工し、
    コイル形状に加工した前記酸化物超伝導体に弾性変形を加え、
    さらに熱処理することにより、弾性変形を加えた前記酸化物超伝導体を塑性変形させることを特徴とする酸化物超伝導体コイルの製造方法。
  24. 酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルを励磁する酸化物超伝導体コイルの励磁方法であって、
    前記酸化物超伝導体コイルに通電する電流を設定値に対して上下に振動させた後、設定値に保つことを特徴とする酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
  25. 前記振動が減衰振動であることを特徴とする請求項24に記載の酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
  26. 前記酸化物超伝導体が、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体であることを特徴とする請求項24に記載の酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
  27. 前記酸化物超伝導体コイルが、請求項1〜21のいずれか1項に記載の酸化物超伝導体コイルであることを特徴とする請求項24に記載の酸化物超伝導体コイルの励磁方法。
  28. 請求項24〜27のいずれか1項に記載の励磁方法を行うための制御機構を有することを特徴とする励磁用電源。
  29. 酸化物超伝導体を有する酸化物超伝導体コイルの冷却方法であって、
    冷媒として液体ネオンを用いることを特徴とする酸化物超伝導体コイルの冷却方法。
  30. 前記酸化物超伝導体が、単結晶状のREBa2Cu3O7-x相(REはYを含む希土類元素又はこれらの組合せ、xは酸素欠損量)中に非超伝導相が微細分散した組織を有する酸化物超伝導体であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物超伝導体コイルの冷却方法。
  31. 前記酸化物超伝導体コイルが、請求項1〜21のいずれか1項に記載の酸化物超伝導体コイルであることを特徴とする請求項29に記載の酸化物超伝導体コイルの冷却方法。
  32. 請求項1〜21のいずれか1項に記載の酸化物超伝導体コイルを有することを特徴とするマグネットシステム。
  33. 請求項28に記載の励磁用電源を有することを特徴とする請求項32に記載のマグネットシステム。
  34. 酸化物超伝導体を有するコイルを有するマグネットシステムであって、
    請求項28に記載の励磁用電源を有することを特徴とするマグネットシステム。
  35. 液体ネオンを冷媒とすることを特徴とする請求項32〜34のいずれか1項に記載のマグネットシステム。
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