JP3873304B2 - 酸化物超電導線及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液体窒素の凝固点63Kまで冷却することによって超電導性を発現する酸化物系超電導物質と、結晶の方位制御を行った金属体を複合体化することによって、磁場中においても高い超電導臨界電流密度(Jc)を流すことが可能である超電導線材或いは超電導体の構成及びその作製方法に関するものである。また、それら本発明による超電導線材或いは超電導体を使用することで、従来のものに比べて大幅に経済的メリットを生じる超電導マグネット,超電導NMR装置,超電導MRI装置,超電導発電装置,超電導エネルギー貯蔵装置,磁気シ−ルド装置,シンクロトロン放射光発生装置,磁気分別装置,素粒子加速器などの装置に関する。
【0002】
また磁場中においても高いJcを有する超電導線材或いは超電導体を開発する過程で発明した立方体集合組織を有する銀テープ及びその作製方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
1986年に最初の酸化物高温超電導物質が発見されて以来、数十種類以上に及ぶ酸化物超電導物質が発見されている。それらの中で、物質の安定性,合成のしやすさの程度等の理由から、実用化を目指した研究が現在も行われている酸化物超電導物質は、
(1)(Tl1-X1-X2PbX1BiX2)(Sr1-X3BaX3)2Canー1Cun2n+3
ここで、0≦X1≦0.9,
0≦X2≦0.5,
0≦X1+X2≦1,
0≦X3≦1,
n=1,2,3,4,5
(以下、Tl−1層系と略す)
(2)Tl2Ba2Canー1Cun2n+4
ここで、n=1,2,3,4,5
(以下、Tl−2層系と略す)
(3)(Bi1ーX1PbX1)2Sr2Canー1Cun2n+4
ここで、0≦X1≦0.4,
n=1,2,3
(以下、Bi−2層系と略す)
(4)LnBa2Cu37+X1
ここで、LnはYもしくは希土類元素
−0.5≦X1≦0.1
(以下、Y系と略す)
の4種類の物質系にほぼしぼられてきている。
【0004】
これらの中でBi−2層系の物質は結晶の配向化(結晶を特定の向きに揃えること)が行いやすく、また結晶粒界部での超電導電流の通りが良く、従って磁場が掛かっていない状態での超電導輸送電流密度(トランスポートJc)は高い値がえられている(Japanese Journal Of Applied Physics, vol. 30, 1991, pp. L2083−L2084)。しかしながら、この物質系はその結晶構造に由来する本質的な問題によって、液体窒素での冷却が可能な温度領域でのピンニング力が非常に弱くなるという致命的な問題がある(Physica C, vol. 177, 1991, pp.431-437)。それ故、40K程度以下の温度領域で使用するには非常に良い特性を持った超電導線材を作製することが可能であるが、60K以上の温度領域で使用する線材には用いることができなかった。
【0005】
一方、Tl−1層系,Tl−2層系とY系の物質は、その臨界温度(Tc)近傍まで高いピンニング力を発揮することは可能であるが、結晶の方位を揃えることが難しく、それ故に結晶粒界部での超電導電流の通りが悪く、現在までに実用化に必要な一応の目安と考えられる温度77K,磁場1TにおけるトランスポートJcが1万A/cm2 を越える超電導線材は得られていない(Physica C, vol. 220, 1994, pp.310−322, Hitachi Review, vol. 39, 1990, p.55, Japanese Journal Of Applied Physics, vol. 27, 1988, pp. L185−L187)。
【0006】
最近、77Kにおけるピンニング力の強いTl−1層系,Y系の物質の結晶の方位を揃えて、77Kでの磁場中でも高いJcが得られるような超電導線材を作製することを目指した研究も各所で行われるようになってきた。例えば、Iijima達は「Proceedings of 5th International Symposium on Superconductivity, November 16−19, 1992, Kobe, Japan, pp.661−664」において、多結晶のNi 基合金上にIon−Beam−Assisted Deposition法で結晶の方向を揃えたYttria− Stabilized−Zirconiaを作製し、その上にpulsed laser deposition 法でY系超電導物質を作製する方法を開示している。またDeluca達は「Physica C vol. 205,1993, pp.21−31」において、多結晶Yttria−Stabilized−Zirconiaの上に spraypyrolysis法によってTl−1層系超電導物質を作製する方法を開示している。また、芳野達は、特開平3−9311 号において、(100)または(110)結晶面が圧延面に平行に並んだ銀テープを用いることで、結晶の方向を揃えた超電導体の作製方法を開示している。またYoshino達は「Abstracts of 6th International Symposium on Superconductivity, October26−23, 1992, Hiroshima, Japan. p.119」において、銀結晶の(110)面がテープ表面に平行に並んだ銀テープ上にionized−cluster−beam−deposition法でY系超電導物質を作製する方法を開示している。
【0007】
また、現在までのところでは、液体窒素で冷却できる温度以上の領域においては、実用に耐える性能の超電導線材を作製することができなかったため、液体窒素等の液体ヘリウムより沸点の高い冷媒による冷却によって動作するような超電導機器は存在しなかった。
【0008】
また、結晶の{100}面が<100>方向に揃ったいわゆる立方体集合組織となった銀テープは、現在まで得られていなかった(例えば、長島晋一編著「集合組織」、丸善株式会社)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の中で、Bi−2層系の超電導物質を用いている技術は、77Kにおけるピンニング力が弱いと云う点問題があって、60K以上の温度領域では磁場がBi−2層系超電導物質に印加された場合に臨界電流密度が大きく低下するという問題があって、液体窒素冷却で作動する超電導機器への利用が大きく制限されるといった点が問題であった。
【0010】
Iijima達の技術では結晶の方向を揃えたYttria−Stabilized−Zirconiaを作製する際に真空を必要とするプロセスIon−Beam−Assisted Deposition法を使用しなければいけない。しかし、長尺(例ば1km)の線材を作製することを想定した場合、この様なプロセスは非常に経済性が悪いことが予想される。従って、Ni基合金上に結晶の方向を揃えたYttria−Stabilized−Zirconiaを作製し、その上にY系超電導物質を作製する様な技術では長尺の超電導線材を製品として作製することは難しいと考えられる。
【0011】
Deluca達の技術ではセラッミクスであるYttria−Stabilized−Zirconiaを長尺のものとして作製する点に大きな困難が予想され、長尺の超電導線材を製品として作製することは難しいと考えられる。
【0012】
芳野達の技術では、超電導物質の結晶のc軸の方向を揃えることにしか留意されておらず、結晶のa軸の方向を揃えられていないため、77Kにおける臨界電流密度は1万A/cm2 と低い値に留まっている。
【0013】
Yoshino 達の技術では銀結晶の(110)面がテープ表面に平行に並んでいる。高いJcを得るためには超電導結晶の(001)面の向きを平行に揃える必要があるが、銀結晶の(110)面と超電導結晶の(001)面のマッチングはあまりよくないため、Yoshino 達の技術では超電導結晶の向きがまだ充分に揃っておらず、その結果Jcの値も77K,0Tで4万5千A/cm2 とそれほど高いものにはなっていない。
【0014】
Iijima達,Deluca達,Yoshino 達の開示する従来の技術では、超電導物質と複合化させる基材の性質に充分な配慮がなされていないため、長尺の超電導線材を製品として作製することは難しかった。
【0015】
本発明の目的は、酸化物超電導物質の結晶を好ましい方向に揃えるために好適な基材を提供し、その基材と酸化物超電導物質を複合化することで、磁場中においても高い臨界電流密度を有する超電導体及び超電導線材を提供することにある。また、本発明による超電導線材を使用することで初めて可能になる、液体窒素で冷却できる温度以上の温度領域で動作する超電導マグネット,NMR装置, MRI装置,磁気浮上列車,超電導発電機,エネルギー貯蔵装置,磁気シールド装置,シンクロトロン放射光装置,素粒子加速器等の超電導を利用する応用機器を提供することも本発明の目的である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、酸化物超電導物質を立方体集合組織を有している金属体と複合化して超電導線材または超電導体とすることによって達成される。立方体集合組織とは、例えば長嶋晋一編著「集合組織」丸善株式会社出版の133,185ページに記載のあるように{100}<001>方位の集合組織のことである。
【0017】
立方体集合組織を有している金属体の金属結晶の{100}面を、該金属体と酸化物超電導物質の界面に平行に揃えた場合のほうが、両者の複合体である超電導体の超電導臨界電流密度(Jc)は高くできる。
【0018】
立方体集合組織を有している金属体の金属結晶の{100}面と酸化物超電導物質の(001)面を平行になるようにした場合のほうが、酸化物超電導物質の結晶粒子の結晶方位を揃えやすく、Jcを高くすることができる。ここで、平行とは、両者の方向が10度以内で揃っていることを指す。金属結晶の{100}面の方向と界面の角度,金属結晶の{100}面と酸化物超電導物質の(001)面の角度を色々と変化させてJcを測定したところ、5度以上になると10%程度に、10度以上になると急激にJcが低下した。
【0019】
立方体集合組織を有する金属体の金属結晶のa,b,cの全ての結晶軸と、酸化物超電導物質のa,b,cの全ての結晶軸が全て平行である場合が最も高い Jcを与える。1軸だけでも平行に揃えることで、ある程度はJcの値を向上させることはできるが、実用化を考えた際には不十分である。
【0020】
99%の結晶の{100}面が平行でかつ<001>方位が揃っている状態 (立方体集合組織を有している)の銀テープを作製し、その上に、酸化物超電導物質を、その結晶方位を揃える程度を種々に変化させて作製し、Jcの変化を調べた。金属結晶の{100}面と酸化物超電導物質の(001)面の角度が10度以内になっているものが全体の60%を下回らない範囲では、従来技術による超電導線もしくは超電導体のJcよりも高いJc値が得られている。ただし、金属結晶の{100}面と酸化物超電導物質の(001)面の角度が10度以内になっているものが全体の80%を下回るようになると、Jcは急激に低下していることから、金属結晶の{100}面と酸化物超電導物質の(001)面の角度が10度以内になっているものが全体の80%以上となっている事が好ましい。また、金属の結晶の<110>方向と酸化物超電導物質結晶の[110]方向が10度以内になっているものが全体の60%を下回らない範囲では、従来技術による超電導線もしくは超電導体のJcよりも高いJc値が得られている。ただし、金属の結晶の<110>方向と酸化物超電導物質結晶の[110]方向が10度以内になっているものが全体の80%を下回るようになると、Jcは急激に低下していることから、金属の結晶の<110>方向と酸化物超電導物質結晶の [110]方向が10度以内になっているものが全体の80%以上となっている事が好ましい。また、金属の結晶の<100>方向と酸化物超電導物質結晶の [100]方向が10度以内になっているものが全体の60%を下回らない範囲では、従来技術による超電導線もしくは超電導体のJcよりも高いJc値が得られている。ただし、金属の結晶の<100>方向と酸化物超電導物質結晶の [100]方向が10度以内になっているものが全体の80%を下回るようになると、Jcは急激に低下していることから、金属の結晶の<100>方向と酸化物超電導物質結晶の[100]方向が10度以内になっているものが全体の80%となっている事が好ましい。
【0021】
{100}面がテープ表面に平行で、かつ<110>方向がテープ長手方向に揃っている結晶の割合を変化させた銀テープを作製し、その上に酸化物超電導物質層を注意深く形成し、Jcの変化を調べた。{100}面が<110>方向に揃っている結晶の割合が80%を下回るようになると、Jcは急激に低下することが分かった。
【0022】
立方体集合組織を有している金属テープは銀の他にも、使用する酸化物超電導物質の性質を、超電導体の熱処理時に損なわないものであればどのような元素からなるものであっても構わない。例えば、純銀,銀と金の合金,銀とパラジウムの合金,銀と銅の合金,銀のマトリックス相にMgO等の酸化物を分散させた分散強化型合金等であっても構わない。FCC構造の金属の方が、立方体集合組織を得やすいので好ましい。ただし、BCC構造の金属であっても、立方体集合組織は得られるので、BCC金属でも構わないが、HCP構造の金属では良い特性の超電導体を得ることはできない。
【0023】
超電導線としての高い臨界電流密度を得るためには、超電導部分を流れる超電導臨界電流密度を高くする必要があるのはもちろんであるが、超電導物質と超電導でない物質の構成比率も重要なファクターになる。当然のことながら、超電導物質の占める割合が高いほど、超電導線のJcは高くなる。本発明による方法では、金属テープは薄ければ薄いほど良く、一方、超電導物質層は厚ければ厚いほど良い。しかしながらそれらの厚さには自ずと限界がある。経済性を考えたとき、金属テープは圧延で作る必要があるが、その場合5ミクロン未満の厚さの金属テープを作製することは非常に困難であった。また、超電導物質の結晶は、基材の結晶からの影響を受けることによって、その方向が揃うので、超電導物質層が3ミクロンを越えると結晶の方向が乱れてくる。この様なことから、長手方向に垂直な断面における金属体の面積S1と酸化物超電導物質の面積S2の比率、S/Sを0.6 より大きくすることは難しい。また、S/Sの値が小さくなりすぎると超電導線全体としての臨界電流密度が低くなりすぎるので好ましくない。経済的な観点から考慮するとS/Sの値は最低でも0.01 は必要である。
【0024】
尚、金属体はテープ状である場合が多いが、あっても、線状,管状等の形状であっても同じ原理で、高いJcの超電導線材が得られる。
【0025】
酸化物超電導物質としては、液体窒素で冷却できる温度以上の領域で必要とする磁場よりも高い不可逆磁場(その磁場以上では有限の抵抗を発生してしまう最小の磁場)を有している超電導物質を用いる必要がある。例えば、Tl,Sr,Ca,Cu,Oをベースにして合成された超電導物質は高いTcと高い不可逆磁場Hc*の故に好ましい。この超電導物質群はフレキシビリテイーに富んでおり結晶のサイトの元素置換が非常に起こりやすい。具体的な組成式を示すと
(TlX1PbX2BiX3HgX4CuX5)(Sr1-X6BaX6)2Canー1Cun2n+3+X7
(ここで、0≦X1≦1.0,0≦X2≦1.0,0≦X3≦0.5,0≦X4≦1.0,0≦X5≦1.0 ,0.5≦X1+X2+X3+X4+X5≦1,0≦ X6≦1,−0.5≦X7≦0.5,n=1,2,3,4,5)である。また、 LnBa2Cu37+X1(ここで、LnはYもしくは希土類元素、−0.5≦X1≦0.1 )の組成式で表わされる酸化物超電導物質群も、高い不可逆磁場を有しており、本発明に好ましい物質である。また、組成が
(Tl1-X1-X2-X3PbX1BiX2HgX3)2(Sr1-X4BaX4)2Can-1Cun2n+3+X5
(ここでn=2,3,4,5,6,0≦X1≦0.8,0≦X2≦0.5,0≦X3≦1.0,0≦X1+X2+X3≦1,0≦X4≦1,−0.5≦X5≦0.5)である超電導物質は、上記のTl−1層系或いはY系の超電導物質群に比べて、不可逆磁場は少し小さくなるが、このような物質群を使用しても構わない。
【0026】
組成式、(Bi1ーX1PbX1)2Sr2Canー1Cun2n+4(ここで、0≦X1≦ 0.4,n=1,2,3)で表される超電導物質群は、液体窒素冷却できる温度領域ではそれほど高い不可逆磁場を持っていないので、本発明の趣旨から少し外れるが、この様な超電導物質を使用した場合でも、立方体集合組織を有する金属体と複合体化させることによって、Jc(ただし、不可逆磁場以下の磁場中での)をより高くすることができる。また、より低温度領域(例えば、液体ヘリウムで冷却)で使用した場合のJcが大幅に向上する。
【0027】
本発明が適用できる超電導物質はこれらに限らず、一般的に結晶の方向を揃えることで特性が向上する全ての物質にたいして適用できる技術である。
【0028】
従来の超電導応用機器はすべて30K以下の温度領域でしか超電導状態にならない超電導物質を使用していたため、その運転には液体ヘリウムを必要とし、コストが非常に掛かった。この点を解決するために本発明では液体窒素での冷却で十分に超電導状態になる物質を用いた超電導線材或いは超電導体を使用するので、冷却に掛かるコストを大幅に低減することができる。更に、本発明で作製した超電導線材或いは超電導体を使用して、超電導応用機器を作製した場合、従来の超電導機器においては非常に考慮する必要のあった、クエンチ(何らかの原因によって、超電導体の一部が常電導状態に転移したとき、それが急激に伝播して超電導体の全体が常電導状態に転移してしまい、その際に急激に多量の熱を発生する現象)に関する問題が大いに低減され、実質的にはまずクエンチが起こらないような超電導機器とすることができる。従って、従来は行う必要のあったクエンチ対策が必要なくなり、それに見合った大幅なコスト低減が図れる。
【0029】
本発明を実用製品に適用する際の立方体集合組織を有する金属体としては、銀がもっとも好ましいが、立方体集合組織を有する銀の多結晶体は、これまで存在しなかった。そこで、我々は銀の純度,加工度,圧延温度,熱処理温度及び時間を種々検討することによって、遂に銀の立方体集合組織を得ることに成功した。具体的には、99.0 %以上の純度の銀を、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上200℃以下の温度で、加工度80%以上になるように線引き、或いは圧延加工を施し、その後400℃以上の温度で5分以上の熱処理を行うことで、銀の立方体集合組織を得ることができる。この立方体集合組織を持つ銀は、酸化物超電導物質と複合化して使用する他にも、異方性が全くないため、電流や信号を伝えたりする導線等に使用すると従来の銀線よりも良い特性が得られる。また、GaAs半導体素子の基板として使用したところ、GaAs単結晶基板上に作成したGaAs半導体素子の性能と同等の特性が確認できた。このことから、本発明の立方体集合組織を持つ銀はGaAs単結晶よりも安価な基板として利用できることがわかる。また、何らかの物質の結晶方位を揃えて作製する必要がある場合、本発明による立方体集合組織の銀を基板に用いれば、大きな面積のものが安価に得られる。
【0030】
【作用】
我々は図1,図2,図3に示す様な結晶構造(図1,図2は2単位格子で、図3は単位格子で描いている)をもつ超電導物質が高い不可逆磁場(ある温度において、電気抵抗がゼロである超電導電流を試料に流すことが可能である最大印加磁場の値のこと。これ以上の磁場を試料に印加すると試料は抵抗を発生する。)を持ちえることを示し、その超電導物質にピンニングセンタを導入して高い不可逆磁場を持つ超電導体を作製する方法を可能にしてきた。その過程で、不可逆磁場を高くすることの出来る超電導物質を用いて多結晶体(要するに単結晶ではなく、結晶粒界が存在する超電導体)で超電導線材を作製するときには、超電導物質の結晶のc軸が同じ方向を向いている(c軸配向)ようにしてやった方が高いJcを持った超電導体が出来ることを、超電導物質の結晶のa,b,c軸が全て同じ方向を向いている(3軸配向)ようにしてやった方がより高いJcを持った超電導体が出来ることを、見いだした。そこで今回高い不可逆磁場を持ちえる超電導物質を配向させて高いJcを持つ超電導線材或いは超電導体の構造及び作製方法を考案した。
【0031】
通常の市販の銀テープの上にY系,Tl−1層系,Tl−2層系等の超電導物質を作製しても、酸化物超電導物質の結晶の向きが十分に揃わず、温度77K,磁場1T中におけるJcも数千A/cm2 程度と高い値は得られない。また、結晶の{110}面が表面に平行に揃った銀テープの上にY系,Tl−1層系,Tl−2層系等の超電導物質を作製しても、酸化物超電導物質の結晶の向きが十分に揃わず、温度77K,無磁場でJc=数万A/cm2 ,温度77K,磁場1T中におけるJcは数千A/cm2 程度と十分に高い値は得られない。また、結晶の {100}が表面に平行に揃っているが<100>方向は揃っていない銀テープの上にY系,Tl−1層系,Tl−2層系等の超電導物質を作製しても、酸化物超電導物質の結晶の向きが十分に揃わず、温度77K,無磁場でJc=数万A/cm2 ,温度77K,磁場1T中におけるJcは数千A/cm2 程度とやはり十分に高い値は得られない。しかし、立方体集合組織を有する銀テープの上に、酸化物超電導物質を作製したところ、温度77K,磁場1T中におけるJcが1万A/cm2 以上の非常に特性の良い超電導線材を得ることができた。この理由に関しては色々な可能性が考えられるが、恐らく、立方体集合組織を持つ銀テープの表面の銀原子の配列が、超電導物質の理想的な結晶配向である3軸配向にとって好ましい状況になっている為であると考えられる。
【0032】
また、立方体集合組織を有する銀と金の合金,銀とパラジウムの合金,銀と銅の合金,銀のマトリックス相にMgOを分散させた分散強化型合金,銀のマトリックス相に金属間化合物を分散させた分散強化型合金を使用した場合にも、立方体集合組織を有する銀テープの上に、酸化物超電導物質を作製した場合と同様に高いJcが得られた。また、立方体集合組織を有するNi,Ni−Fe合金, Cu,Cu−Al合金を使用した場合にも、立方体集合組織を有する銀テープの上に、酸化物超電導物質を作製した場合と同様に高いJcが得られるものと考えられる。
【0033】
本発明に記載の超電導物質,非超電導物質及びその他の物質の組成は、厳密にこの値だけに限られるものではない。実際には、これらの酸化物には若干の組成不定性があり各構成元素の含有比率が、十数パ−セントから30パ−セント程度までずれることもある。従って、本発明において記載している物質の組成が若干異なっていても、その結晶構造が基本的に同じであれば、本発明に記載の物質と同じものである。
【0034】
本発明によって作製した超電導体を使用することによって、液体窒素冷却で動作する、特性の良い超電導マグネットの作製が可能になる。そしてこのマグネットを使用することによって液体窒素冷却で動作するNMR装置,SQUID装置,MRI装置,磁気浮上列車等の作製が可能になる。超電導マグネットを利用した装置の全てを、本発明の超電導体を使用した線材を使用した超電導で置き換えることが可能であり、そのことによって液体窒素冷却で動作する様にできる。液体窒素冷却で動作するようにすることによって、単に運転コスト(液体ヘリウムと液体窒素の価格差)が安くなるメリット以上に超電導装置の信頼性(クエンチと呼ばれる超電導が急激に破壊する現象を抑え込む為に、種々の措置が施される必要がある)を確保するためのコスト,冷凍機に掛かるコスト,断熱にかかるコストが大幅に低減する。従って、本発明による超電導線材,コイルを用いて超電導装置を作製することによって、装置の価格を大幅に低減することが可能になる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0036】
[実施例1]
まず最初に、立方体集合組織を有する銀テープを作製した。幅10mm,厚さ5mm,長さ50mmの市販の銀(99.99% )の塊を、220℃に保った状態のまま5回の圧延処理で、厚さ0.05mm まで薄くした。このとき途中で焼鈍工程を入れてはいけない。このテープを800℃で2時間アニールして、銀テープ基板とした。X線回折測定で銀の結晶の方位を調べたところ、約80%の結晶粒の {100}面がテープ表面に平行でかつその<100>方位が圧延を掛けた方向に平行に揃っていることが確認できた。
【0037】
次に、上で作った立方体集合組織を有する銀テープの上に、超電導物質を作製した。1リットルの蒸留水に、純度98%以上の硝酸タリウムを0.01 モル,硝酸バリウムを0.02モル,硝酸カルシウムを0.02モル,硝酸銅を0.03 モル,グリシンを0.05 モルを溶かして原料溶液を作製した。超音波振動子を用いて、この溶液を直径数ミクロンの液滴にして銀テープ基板の上に吹き付け、厚さ3ミクロンの前駆体を堆積した。この時の基板温度は800℃とした。これを酸素ガスとTl2O 蒸気が共存する雰囲気下で850℃において50時間アニールすることによって超電導物質にした。図4に、でき上がった超電導体の構造を示す。10は立方体集合組織を有する銀テープ基板であり、11は酸化物超電導物質である。
【0038】
出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ107Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で500,000A/cm2,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには80,000A/cm2であった。
【0039】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して1度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。また、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)が銀テープの圧延方向と一致しているものが80%以上あることが確認できた。
【0040】
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じ市販の銀の塊を、室温状態のまま5回の圧延処理で、厚さ0.05mm まで薄くし、その後800℃で5時間アニールして、比較用の銀テープ基板とした。X線回折測定で銀の結晶の方位を調べたところ、 {110}面がテープ表面に平行に揃っていた。この基板上に、実施例1とまったく同様にして超電導物質を作製した。出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ107Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で48,000A/cm2 , 1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには5,000A/cm2であった。
【0041】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して5度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。しかし、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)の方位に関しては特に揃っているようなことはなかった。
【0042】
[比較例2]
実施例1で使用したものと同じ市販の銀の塊の上に、実施例1とまったく同様にして超電導物質を作製した。出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ107Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。 77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で35,000A/cm2 ,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには1,000A/cm2であった。
【0043】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して5度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。しかし、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)の方位に関しては特に揃っているようなことはなかった。
【0044】
以上のように、実施例1,比較例1,2の結果から、立方体集合組織を有している金属体と、酸化物超電導物質を組み合わせて超電導体とすることによって、非常にJcの高い超電導体或いは超電導線材が得られることが分かる。
【0045】
[実施例2]
実施例1で使用した立方体集合組織を有する銀テープの上に、超電導物質を作製した。1リットルの蒸留水に、純度98%以上の硝酸タリウムを0.005 モル,硝酸鉛を0.005モル,硝酸ストロンチウムを0.02モル,硝酸カルシウムを0.02モル,硝酸銅を0.03モル,グリシンを0.04 モルを溶かして原料溶液を作製した。超音波振動子を用いて、この溶液を直径数ミクロンの液滴にして銀テープ基板の上に吹き付け、厚さ3ミクロンの前駆体を堆積した。この時の基板温度は800℃とした。これを酸素ガスとTl2O 蒸気が共存する雰囲気下で860℃において50時間アニールすることによって超電導体を得た。
【0046】
出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ121Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で800,000A/cm2,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには100,000A/cm2であった。
【0047】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して1度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。また、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)が銀テープの圧延方向と一致しているものが80%以上あることが確認できた。
【0048】
[比較例3]
実施例1で使用したものと同じ市販の銀の塊を、20℃に保った状態のまま5回の圧延処理で、厚さ0.05mm まで薄くし、その後800℃で2時間アニールして、比較用の銀テープ基板とした。この基板上に、実施例2とまったく同様にして超電導物質を作製した。出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ121Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で30,000A/cm2 ,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには2,000A/cm2であった。
【0049】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して5度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。しかし、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)の方位に関しては特に揃っているようなことはなかった。
【0050】
[比較例4]
実施例1で使用したものと同じ市販の銀の塊の上に、実施例2とまったく同様にして超電導物質を作製した。出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ121Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。 77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で25,000A/cm2 ,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには1,000A/cm2であった。
【0051】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して5度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。しかし、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)の方位に関しては特に揃っているようなことはなかった。
【0052】
以上のように、実施例2,比較例3,4の結果から、立方体集合組織を有している金属体と、酸化物超電導物質を組み合わせて超電導体とすることによって、非常にJcの高い超電導体或いは超電導線材が得られることが分かる。
【0053】
[実施例3]
実施例1で使用した立方体集合組織を有する銀テープの上に、超電導物質を作製した。1リットルの蒸留水に、純度98%以上の硝酸イットリウムを0.01 モル,硝酸バリウムを0.02モル,硝酸銅を0.03モル,グリシンを0.02 モルを溶かして原料溶液を作製した。超音波振動子を用いて、この溶液を直径数ミクロンの液滴にして銀テープ基板の上に吹き付け、厚さ3ミクロンの前駆体を堆積した。この時の基板温度は800℃とした。これを酸素ガス雰囲気下で870 ℃において50時間アニールすることによって超電導体を得た。
【0054】
出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ92Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で400,000A/cm2,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには80,000A/cm2 であった。
【0055】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して1度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。また、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)が銀テープの圧延方向と一致しているものが80%以上あることが確認できた。
【0056】
[比較例5]
実施例1で使用したものと同じ市販の銀の塊を、20℃に保った状態のまま5回の圧延処理で、厚さ0.05mm まで薄くし、その後800℃で2時間アニールして、比較用の銀テープ基板とした。この基板上に、実施例3とまったく同様にして超電導物質を作製した。出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ83Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で10,000A/cm2 ,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには800A/cm2であった。
【0057】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して5度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。しかし、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)の方位に関しては特に揃っているようなことはなかった。
【0058】
[比較例6]
実施例1で使用したものと同じ市販の銀の塊の上に、実施例3とまったく同様にして超電導物質を作製した。出来上がった超電導体の超電導臨界温度を直流4端子法で測定したところ83Kで電気抵抗がゼロになることが確認できた。77Kの臨界電流密度を測定したところ、ゼロ磁場で9,000A/cm2,1Tの磁場を基板に垂直に印加したときには900A/cm2 であった。
【0059】
X線回折測定によって超電導物質の結晶のc軸がどの方向を向いているのかを調べたところ、基板の法線に対して5度以内に80%の結晶のc軸の向きが入っていた。しかし、超電導物質の結晶のa軸(或いはb軸)の方位に関しては特に揃っているようなことはなかった。
【0060】
以上のように、実施例3,比較例5,6の結果から、立方体集合組織を有している金属体と、酸化物超電導物質を組み合わせて超電導体とすることによって、非常にJcの高い超電導体或いは超電導線材が得られることが分かる。
【0061】
[実施例4]
実施例1,2および3で用いた立方体集合組織を有する銀テープ基板の代りに、Ag−40%Au,Ag−20%Au,Ag−10%Pd,Ag−10%Cu合金、及びAg母相に粒径0.1ミクロンのMgOを堆積率にして0.1%分散させた酸化物分散型合金を、圧延+熱処理加工して立方体集合組織を有する金属テープとして、その上に実施例1,2および3と同様にして超電導物質を作製し、超電導テープを得た。いずれの場合においても、実施例1,2および3で得られたものと同程度(Jcで90%以内)の性能のものが得られた。
【0062】
[実施例5]
実施例1と同様にして、厚さ5ミクロン,幅1cm,長さ100mの立方体集合組織を有する銀テープを作製した。この上に、実施例3と同様な方法で長さ100 mの超電導線材を作製した。外径30cmのボビンにテープ状の超電導線材を巻取って熱処理を行い、その後、線材全長に渡るJcを測定したところゼロ磁場においてJc(all)=50,000A/cm2であった(このJc(all)は臨界電流値を銀を含む線材全体の断面積で割ったものである)。磁場中でのJc(all)を測定するために100mの線材より10cm長さの試料片を10ピース無作為に切りだして直流4端子法でJc(all)を測定した。最も特性の悪かった試料片の測定結果は、77Kにおいて磁場を掛けない状態、0.01T,0.1T,1T, 5Tの磁場を試料の長手方向に対して直角な方向に印加したときのJc(all)はそれぞれ50,000,38,000,23,000,11,000,10,000A/cm2 であった。
【0063】
[実施例6]
2枚のSrTiO3(100)単結晶基板を用意し、それらの単結晶の[001]方向は平行に保ち、かつ互いの[100]方向のなす角度(a度)のみを色々と変化させた状態で2枚のSrTiO3(100)単結晶基板を接合して、バイクリスタル基板を作製した。このバイクリスタル基板の上に実施例1と同様の方法で超電導物質を作製した。X線回折測定によって、超電導物質の結晶の向きを調べたところ、下のSrTiO3(100)単結晶の[001]及び[100]及び [010]方向と、超電導結晶の[001]及び[100]及び[010]方向が一致する結晶が全体の98%以上あることが確認された。従って、バイクリスタル基板上に作製した超電導物質の結晶は、バイクリスタル基板の結晶粒界の丁度上の場所で、[100]方向がa度ずれた状態(c軸方向は一致)になることがわかる。即ち、角度aを種々に変化させたバイクリスタル基板の上に超電導物質を作製すれば、c軸の方向を揃えた状態で、a軸方向のなす角度を違えた種々の試料を作製できることがわかる。
【0064】
図5に、c軸の方向を揃えた状態のTlBa2Ca2Cu39超電導物質膜で、a軸方向のなす角度がaである結晶粒界を流れる臨界電流密度Jc(a)を、a軸方向のなす角度が0である結晶粒界を流れる臨界電流密度Jc(0)で割った値を示す。図から分かるように、a軸方向のなす角度が10度以上になると、その結晶粒界を越えて流れうる臨界電流密度の値が急に小さくなることが分かる。従って、特性の良い超電導線材を作製するためには、超電導物質の結晶のc軸を揃えるのみならず、a軸の方向も10度以内に揃えねばならないことが分かる。
【0065】
[実施例7]
圧延及び熱処理条件を変えることによって、立方体集合組織となっている割合を変化させた銀テープを作製し、その上に実施例1と同様の方法で超電導物質を作製した。X線回折測定によって、テープ表面に{100}面が平行でかつ圧延方向に対して<100>方向が平行である銀結晶の割合を調べた。また、作製した超電導体(TlBa2Ca2Cu39)試料の臨界電流密度を直流4端子法で測定した。
【0066】
図6に、両者の関係を示す。図から分かるように、テープ表面に{100}面が平行でかつ圧延方向に対して<100>方向が平行である銀結晶の割合(立方体集合組織の割合)が80%以下になると磁場中の臨界電流密度の値が大幅に低下することが分かる。従って、特性の良い超電導線材を作製するためには、テープ表面に{100}面が平行でかつ圧延方向に対して<100>方向が平行である銀結晶の割合(立方体集合組織の割合)を80%以上にした銀テープを用いなければならないことが分かる。
【0067】
また、X線回折測定によって、超電導結晶の[100]方向が、立方体集合組織を形成している銀結晶の<100>方向に対して10度以内であるものの割合を見積もったところ、80%であった。
【0068】
[実施例8]
実施例5で作製したものと同じ超電導テープ線材を10本作製した。この線材を10本束ねて集合体化し、図7に示す断面構造を有する100m長さの超電導線を作製した。この超電導線の表面に5ミクロン程度の厚さにアルミナをコーテイングし、それをパンケーキ状に巻いて、超電導コイルを作製した。この様なコイルを8つ作製し、縦方向に積層して、図8に示す超電導マグネットを作製した。コイルを液体窒素に浸漬し、電流を流して磁場を発生させたところ、最大磁場2.6 テスラーを発生させることが出来た。
【0069】
[実施例9]
実施例1での作製方法に準じて作製した超電導テープ線材を用いて種々の断面構造を有する超電導導体を作製した。その断面構造を、図9,図10,図11に示す。この超電導線の表面に5ミクロン程度の厚さにアルミナをコーテイングし、それをパンケーキ状に巻いて、超電導コイルを作製した。この様なコイルを8つ作製し、縦方向に積層して、図8に示す構成の超電導マグネットを作製した。コイルを液体窒素に浸漬し、電流を流して磁場を発生させたところ、何れの超電導導体を使用した場合でも最大磁場2.1〜2.8テスラーの磁場を発生させることが出来た。
【0070】
[実施例10]
実施例8で作製した超電導マグネットを使用して図12に示すような構成の NMR装置を作製し、水素原子の核磁気共鳴が測定できることを確認した。市販のHe冷却で運転するタイプの物に比べて、断熱が簡略化出来ることから、製造コストが10%以上削減出来ることが分かった。また高価な液体ヘリウムを用いないですむことから運転コストも大幅に低減出来ることが分かった。
【0071】
NMR装置とMRI装置の基本的な動作原理は同じであるので本発明による超電導体を用いて作製した超電導線材を使用した超電導マグネットを使ったMRI装置の作製が可能であることが分かる。製造コストを見積ったところ、ヘリウム冷凍機の代わりに構造がずっと簡単で安価な窒素冷凍機で済むこと、断熱が1重で済むこと、更に動作温度が77Kと従来のMRI装置の動作温度4.2K に比べて随分と高くなっていることから、超電導線材の比熱が100程度大きくなっているためクエンチの心配がなく、その対策を行う必要がないことから、少なくとも20%のコストダウンが可能であることが分かった。
【0072】
[実施例11]
本発明で作製した超電導体を使用した磁気シールドを作製した。厚さ3cmの超電導体の板で立方体を作製し、78Kの窒素ガスで冷却し、シールド超電導状態にして、外部より50ガウスの磁場を与えた。内部に入れたホール素子で内部の磁場を測定したところ、ホール素子の検出可能限界以下の小さな磁場であった。外部磁場を3000ガウスにしたとき内部の磁場は1ガウス程度であった。本発明による超電導体を用いて作製した磁気シールドは十分な特性を有することが確認できた。
【0073】
[実施例12]
大型の粒子加速器、例えばリングの直径が1kmの加速器リングにつける粒子ビーム収束用の4極電磁石をすべて本発明による超電導線材を用いたマグネットで作製した場合、従来の液体ヘリウム冷却の超電導マグネットで作製した場合に比べてどの程度のコスト低減になるかを見積った。ヘリウム冷凍機の代わりに構造がずっと簡単で安価な窒素冷凍機で済むこと、断熱が簡単で良いこと、比熱の大きい液体窒素であることから冷媒を超電導マグネットに供給するシステムが非常に簡略化出来ることから、20%以上のコスト低減になることが分かった。
【0074】
[実施例13]
酸化物超電導物質として、
(TlX1PbX2BiX3HgX4CuX5)(Sr1-X6BaX6)2Canー1Cun2n+3+X7
(ここで、0≦X1≦1.0,0≦X2≦1.0,0≦X3≦0.5,0≦X4≦1.0,0≦X5≦1.0 ,0.5≦X1+X2+X3+X4+X5≦1,0≦X6≦1,−0.5≦X7≦0.5,n=1,2,3,4,5)を用いても、実施例1から9と同様の結果が得られた。この結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003873304
【0076】
[実施例14]
酸化物超電導物質として、LnBa2Cu37+X1(ここで、LnはYもしくは希土類元素、−0.5≦X1≦0.1)を用いても、実施例1から9とほぼ同様の結果が得られたが、超電導物質の結晶のa軸のなす角度が6度以内になるようにする必要があった。
【0077】
[実施例15]
酸化物超電導物質として、
(Tl1-X1-X2-X3PbX1BiX2HgX3)2(Sr1-X4BaX4)2Can-1Cun2n+3+X5
(ここでn=2,3,4,5,6,0≦X1≦0.8,0≦X2≦0.5,0≦ X3≦1.0 ,0≦X1+X2+X3≦1,0≦X4≦1,−0.5 ≦X5≦ 0.5)を用いても、従来技術による超電導線材或いは超電導体よりも2倍程度高い臨界電流密度が得られることが確認できた。
【0078】
[実施例16]
酸化物超電導物質として、(Bi1-X1PbX1)2Sr2Can-1Cun2n+4(ここで、0≦X1≦0.4,n=1,2,3)を用いても、従来技術による超電導線材或いは超電導体よりも2倍程度高い臨界電流密度が得られることが確認できた。
[実施例17]
純度99.99% までの銀板を種々の温度で圧延し、800℃で10時間アニールして、結晶のどれだけの割合のものが立方体方位(圧延面と{100}面が平行で圧延方向と<100>方向が平行)から10度以内に入っているのかを調べた。圧延前の板厚は3mmで圧延後の板厚は0.1mm とした。結果を図13に示す。図から、立方体集合組織を得るためには100℃以上300℃以下で、好ましくは150℃以上200℃以下の温度で圧延することが好ましいことが分かる。
【0079】
[実施例18]
純度99.99 %までの銀板を160℃で圧延し、種々の温度で10時間アニールして、結晶のどれだけの割合のものが立方体方位(圧延面と{100}面が平行で圧延方向と<100>方向が平行)から10度以内に入っているのかを調べた。圧延前の板厚は3mmで圧延後の板厚は0.1mm とした。結果を図14に示す。図から、立方体集合組織を得るためには400℃以上銀の融点以下の温度でアニールすることが好ましいことが分かる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、液体ヘリウムによる冷却は勿論、液体窒素による冷却によって運転される、高磁界中においても高い超電導臨界電流密度を有する超電導体,超電導線材,超電導マグネット,超電導利用機器が得られる。本発明による超電導体,超電導線材を用いた超電導利用機器は、液体窒素による冷却で運転することが可能になるため、装置全体として見たとき、単に超電導の部分を従来の超電導体,超電導線材で置き換えたに留まらず、冷却システム,断熱構造,クエンチ対策(超電導の破壊が急激に起こる現象を抑制する対策)などを大幅に簡素化することが出来、それ以上のコストメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】超電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図2】Tl−2層系の超電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図3】超電導物質の結晶構造を表す模式図。
【図4】本発明による超電導線材の構造を表す模式図。
【図5】c軸の方向を揃えた状態のTlBa2Ca2Cu3O9超電導物質膜の特性図。
【図6】基材として使用する銀テープの結晶が立方体集合組織となっている割合と、その上に作製した超電導物質膜の臨界電流密度の関係図。
【図7】本発明による100m長さの超電導線の断面図。
【図8】本発明による超電導マグネットの模式図。
【図9】本発明による超電導導体の断面拡大図。
【図10】本発明による超電導導体の断面拡大図。
【図11】本発明による超電導導体の断面拡大図。
【図12】本発明によるNMR装置の模式図。
【図13】本発明を説明するために実施例17での説明に使用した、銀の圧延温度と立方体集合組織となっている割合の関係図。
【図14】本発明を説明するために実施例18での説明に使用した、圧延後の銀のアニール温度と立方体集合組織となっている割合の関係図。
【符号の説明】
1…Tl原子もしくはPb原子もしくはBi原子もしくはHg原子、2…Sr原子もしくはBa原子、3…Ca原子、4,6…Cu原子、5,9…酸素原子、7…Ba原子、8…Y原子もしくは希土類原子、10…立方体集合組織を有する金属、11,14…酸化物超電導物質、12…立方体集合組織を有する銀テープ、13…銀被覆材、15…励磁用電源、16…サービスポート、17…冷媒体排出口、18…熱反射板、19…液体窒素、20…積層した超電導コイル、21…クライオスタット。

Claims (10)

  1. 銀である金属体と酸化物超電導物質とを少なくとも含む超電導線であって、前記金属体は多結晶体であり、前記金属体を構成する金属結晶の60%以上の{100}面が、前記超電導線材の長手方向に10度以内で平行であり、前記金属結晶の60%以上の<100>方向が長手方向に10度以内で揃い、
    前記金属体と前記酸化物超電導物質との界面に垂直な断面における前記金属体の面積
    S1と、前記酸化物超電導物質部分の面積S2との比率が、S2/S1≦0.6 を満たすことを特徴とする超電導線。
  2. 前記酸化物超電導物質の60%以上の結晶の(001)面が、前記金属の結晶の{100}面と10度以内で平行であり、前記酸化物超電導物質の60%以上の結晶の[110]方向が、前記金属の結晶の<110>方向と10度以内で平行であることを特徴とする請求項1記載の超電導線。
  3. 前記金属体は金属テープであることを特徴とする請求項1又は2記載の超電導線。
  4. 前記金属体は金属テープであり、a軸或いはb軸が前記金属テープの圧延方向と一致している前記超電導物質の結晶が80%以上あることを特徴とする請求項1,2又は3記載の超電導線。
  5. 前記酸化物超電導物質の化学組成が、
    (TlX1PbX2BiX3HgX4CuX5)(Sr1-X6BaX6)2Can-1Cun2n+3+X7
    ここで、0≦X1≦1.0,0≦X2≦1.0,0≦X3≦0.5,0≦X4≦1.0,0≦X5≦1.0,0.5≦X1+X2+X3+X4+X5≦1.0,0≦X6≦1,−0.5≦X7≦0.5 、n=1,2,3,4,5で表されることを特徴とする請求項1,2又は3記載の超電導線。
  6. 前記酸化物超電導物質の化学組成が、
    (Tl1-X1-X2-X3PbX1BiX2HgX3)2(Sr1-X4BaX4)2Can-1Cun2n+4+X5
    ここで、0≦X1≦0.9,0≦X2≦0.1,0≦X3≦0.5 ,0≦X1+X2+X3≦1,0≦X4≦1,−0.5≦X5≦0.5、n=1,2,3,4,5で表されることを特徴とする請求項1,2又は3記載の超電導線。
  7. 前記酸化物超電導物質の化学組成が、
    (Bi1-X1PbX1)2Sr2Can-1Cun2n+4+X2
    ここで、0≦X1≦0.4,−0.5≦X2≦0.5 、n=1,2,3で表されることを特徴とする請求項1,2又は3記載の超電導線。
  8. 前記酸化物超電導物質の化学組成が、
    LnBa2Cu37+X1
    ここで、LnはYもしくは希土類元素から選ばれた一種または複数、−0.5≦X1≦0.2、n=1,2,3で表されることを特徴とする請求項1,2又は3記載の超電導線。
  9. 金属結晶の80%以上が立方体集合組織となっている金属テープの表面に、酸化物超電導物質もしくは酸化物超電導物質の原料を堆積する連続堆積工程と、それを700℃以上の温度に加熱する加熱工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の超電導線の作製方法。
  10. 金属結晶の80%以上が立方体集合組織となっている金属テープの表面に、酸化物超電導物質もしくは酸化物超電導物質の原料を堆積する連続堆積工程と、それを複数集めて集合体とする集合化工程と、前記集合体を700℃以上の温度に加熱する加熱工程と、前記集合体の表面に絶縁体を形成する絶縁層形成工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の超電導線の作製方法。
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