JP5802473B2 - 超電導線材 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類系酸化物超電導体による超電導層を有する超電導線材に関し、さらに詳しくは引張応力や曲げ応力を受けたときに生ずる引張ひずみや曲げひずみを抑え、通電特性を維持することができる超電導線材に関する。
希土類系酸化物超電導体を用いた酸化物系の超電導線材は、高磁場マグネット等として好適に利用される。この高磁場マグネットにおいて、超電導線材には高磁場に基づいて径を広げるように円周方向にフープ応力が働く。このため、超電導線材にはそのフープ応力に耐え得る機械的強度が必要であるとともに、引張りや曲げなどの変形に対して許容できるひずみ量の大きいことが求められる。
この種の酸化物系超電導線材としては、特許文献1に記載されている超電導線が知られている。すなわち、当該超電導線は、銀である金属体と酸化物超電導物質とを含み、金属体は多結晶体で、金属結晶の60%以上の(100)面が超電導線の長手方向に10度以内で平行であり、かつ金属体と酸化物超電導物質との界面に垂直な断面における金属体の面積と酸化物超電導物質の面積との比率が所定範囲に設定されたものである。さらに、酸化物超電導物質の結晶の(001)面が金属結晶の(100)面と平行であり、かつ酸化物超電導物質の結晶の(110)面が金属結晶の(110)面と平行に設定される。そして、この超電導線によれば、高磁界中においても高い超電導臨界電流密度を有することができる。
特許第3873304号公報
特許文献1に記載されている従来構成の超電導線では金属結晶の(100)面が超電導線の長手方向に平行に延びるように設定され、酸化物超電導物質の結晶の(001)面が金属結晶の(100)面に平行に設定されている。このため、酸化物超電導物質の結晶の(001)面が超電導線の長手方向に平行に延びており、この場合(001)面の結晶方位は応力に対するひずみ許容量が小さいことから、超電導線の限界ひずみを大きくすることができない。さらに、酸化物超電導物質の結晶の(001)面が超電導線の長手方向に平行に延びていることから(001)面の方位のひずみが大きくなり、酸化物超電導物質の変形により臨界電流が低下する傾向を示す。なお、酸化物超電導物質の結晶の(110)面は、超電導線の長手方向と45度傾いているものと考えられる。
このように、酸化物超電導物質の結晶の(001)面の方位は超電導線のひずみ特性を大きく支配しており、この(001)面の方位のひずみが大きいと機械的強度が低下し、超電導線に引張応力や曲げ応力が作用したとき超電導層に変形や割れなどが生じて通電特性が悪化するという問題があった。その場合、超電導層はセラミック材料で形成されていることから、脆性が大きく、変形や割れが一層助長される。
本発明はこのような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、限界ひずみを増大させ、機械的強度を高めて通電特性を向上させることができる超電導線材を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導線材は、基板上に中間層を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成した超電導線材であって、前記超電導層は、希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(110)面の方位が超電導線材の長手方向と平行になるように成膜されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明の超電導線材は、請求項1に係る発明において、前記中間層は、基板上に形成される第1中間層とその上に形成される第2中間層とにより構成され、第1中間層は結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(110)面又は(220)面の方位が超電導線材の長手方向に平行に延びるように構成され、第2中間層は結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(100)面又は(200)面の方位が超電導線材の長手方向に平行に延びるように形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の超電導線材は、請求項2に係る発明において、前記第1中間層はガドリニウム・ジルコニウム酸化物により形成されるとともに、第2中間層はバリウム・ジルコニウム酸化物により形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の超電導線材は、基板上に中間層を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層が形成され、該超電導層は希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(110)面の方位が超電導線材の長手方向と平行になるように成膜されて構成されている。上記のように、(001)面が超電導線材の基板面と平行な希土類系酸化物超電導体は、結晶の(110)面の方位が(100)面の方位や(010)面の方位に比べて、同じ負荷ひずみに対して結晶のa、b軸方向のひずみ成分が小さくなるため、超電導層の結晶構造を維持することができる。従って、超電導線材がその長手方向に引張応力を受けたときや曲げ応力を受けたときに結晶の変形を減少させ、特性の低下を抑えることができる。
よって、本発明の超電導線材によれば、限界ひずみを増大させることができ、機械的強度を高めて通電特性を向上させることができるという効果を奏する。
実施形態の超電導線材を構成する希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(110)面の方位が超電導線材の長手方向に平行に延びる状態を模式的に示す説明図。 希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(100)面の方位が超電導線材の長手方向に平行に延びる状態を模式的に示す説明図。 (a)は実施例1の超電導線材の結晶の積層構成を模式的に示す説明図、(b)は比較例1の超電導線材の結晶の積層構成を模式的に示す説明図。 (a)は実施例2の超電導線材の結晶の積層構成を模式的に示す説明図、(b)は比較例2の超電導線材の結晶の積層構成を模式的に示す説明図。 引張ひずみと臨界電流比との関係を示すグラフ。 曲げひずみと臨界電流比との関係を示すグラフ。
以下、本発明の超電導線材を具体化した実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における超電導線材11は、基板12上に第1中間層13及び第2中間層14よりなる中間層15を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層16が形成されて構成されている。基板12は、ニッケル合金(ハステロイ)、銀、銀合金等の金属により形成される。前記超電導層16は、希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向xと平行になるように成膜されている。このため、超電導線材11に引張応力や曲げ応力が作用したとき、ひずみを抑えて変形を抑制することができ、超電導線材11の通電特性を維持することができる。
一方、図2に示すように、超電導層16を形成する希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、(100)面18が超電導線材11の長手方向xに平行である。この場合には、超電導線材11が引張応力や曲げ応力を受けたとき、結晶の(100)面18が超電導線材11の基板12面と平行であると、(100)面18に平行な応力を受けたときには、前記(110)面17に平行な応力を受けたときに比べてa、b軸方向のひずみ成分が大きくなり、結晶構造が維持され難い。従って、超電導層16のひずみが大きくなり、超電導線材11の通電特性が低下する。
中間層15は、前述のように基板12上に形成される第1中間層13とその上に形成される第2中間層14とにより構成されている。第1中間層13は、(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、結晶の(110)面17又は(220)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成されている。また、第2中間層14は、(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、結晶の(100)面18又は(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように形成されている。
前記第1中間層13及び第2中間層14は、超電導層16を形成する希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、(110)面17の方位を超電導線材11の長手方向xに平行に設定できるように、結晶の種類、大きさ等、希土類系酸化物超電導体の結晶との反応性等を考慮して決定される。
前記第1中間層13は、具体的にはガドリニウム・ジルコニウム酸化物層(Gd・Zr酸化物層)、酸化マグネシウム層(MgO層)、イットリウム安定化ジルコニウム層(YSZ層)等により形成される。また、第2中間層14は、具体的にはバリウム・ジルコニウム酸化物層(Ba・Zr酸化物層)、酸化セリウム層(CeO層)等により形成される。
図4(b)に示すように、該第2中間層14は、第2中間下層14aと第2中間上層14bとにより構成することも可能である。第2中間下層14aとしては、バリウム・ジルコニウム酸化物層等が用いられる。また、第2中間上層14bとしては、酸化セリウム層等が用いられる。なお、これら各中間層15を形成する結晶は、いずれも立方晶である。
第1中間層13と第2中間層14との組合せとしては、第1中間層13がガドリニウム・ジルコニウム酸化物層、第2中間層14がバリウム・ジルコニウム酸化物層の組合せが、結晶の大きさの整合性等の観点から好ましい。図3(a)に示すように、基板12のニッケル合金層上に第1中間層13のガドリニウム・ジルコニウム酸化物層を形成し、その上に第2中間層14のバリウム・ジルコニウム酸化物層を形成する。この積層構成により、その上にイットリウム・バリウム・銅酸化物の結晶の(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向と平行な超電導層16を形成することができる。
すなわち、第1中間層13のガドリニウム・ジルコニウム酸化物の結晶の(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向xと平行であり、第2中間層14のバリウム・ジルコニウム酸化物の結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xと平行である。加えて、第1中間層13、第2中間層14及び超電導層16の各結晶の大きさが整合している。従って、超電導層16のイットリウム・バリウム・銅酸化物の結晶の(110)面17の方位を超電導線材11の長手方向xに平行に安定した状態で設定することができる。
これらの中間層15は、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)、パルスレーザ堆積法(PLD法)等の方法により形成される。
図4(a)に示すように、前記基板12と第1中間層13との間には、緩衝層として無定形状態又は微結晶状態のベッド層19を設けることができる。このベッド層19としては、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物層、酸化イットリウム層(Y層)、アルミナ層(Al層)等が用いられる。このベッド層19は1層で形成されるが、2層以上の複数層であっても差し支えない。
この場合、ベッド層19上に形成される第1中間層13は結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、(100)面18又は(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成される。第2中間層は結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、(100)面18又は(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成される。具体的には、ベッド層19はガドリニウム・ジルコニウム酸化物により形成され、第1中間層13は酸化マグネシウムにより形成され、第2中間層14は酸化セリウムにより形成されることが好ましい。
図4(a)に示すように、基板12のニッケル合金層上にベッド層19としてガドリニウム・ジルコニウム酸化物層、第1中間層13の酸化マグネシウム層及び第2中間層14の酸化セリウム層を形成する。この積層構成により、超電導層16としてイットリウム・バリウム・銅酸化物の結晶の(110)面17の方位を超電導線材11の長手方向xに平行に設定することができる。この場合、第1中間層13の酸化マグネシウムの結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に形成され、第2中間層14の酸化セリウムの結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に形成される。
図4(b)に示すように、前記基板12のニッケル合金層上にベッド層19としてガドリニウム・ジルコニウム酸化物層、第1中間層13として酸化マグネシウム層を形成した場合、第2中間層14を2層で構成することができる。すなわち、第2中間層14を、バリウム・ジルコニウム酸化物により形成される第2中間下層14aと、酸化セリウムにより形成される第2中間上層14bとにより構成することができる。この場合にも、第2中間上層14bの上に形成される超電導層16のイットリウム・バリウム・銅酸化物の結晶の(110)面17の方位を超電導線材11の長手方向xに平行に設定することができる。
前記超電導層16は、希土類系酸化物超電導体により形成される。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層16として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物等により形成することが好ましい。なお、このイットリウム・バリウム・銅酸化物の結晶は斜方晶である。
次に、上記のように構成された超電導線材11の作用について説明する。
さて、本実施形態の超電導線材11は、基板12上に中間層15を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層16が形成され、中間層15の性質に基づいて該超電導層16は希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向xと平行になるように形成される。この場合、中間層15として第1中間層13と第2中間層14の2層構成とすることにより、超電導層16を形成する希土類系酸化物超電導体の結晶との反応を回避し、希土類系酸化物超電導体の結晶の方位を所定方向に制御することができる。
得られた希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行であると、(110)面17の方位は前記(100)面18の方位に比べてa、b軸方向のひずみ成分を減じることができ、結晶構造が維持される。このため、超電導線材11の長手方向xに引張応力が作用したときや曲げ応力が作用したときに希土類系酸化物超電導体の結晶の抵抗力が大きく、引張ひずみや曲げひずみを抑えることができる。従って、希土類系酸化物超電導体の結晶の限界ひずみを高めることができる。
以上詳述した実施形態によって発揮される効果を以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態の超電導線材11は、基板12上に中間層15を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層16が形成され、該超電導層16は希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面20が超電導線材11の基板12面と平行で、(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向xと平行になるように構成されている。従って、希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位の特性に基づいて、超電導線材11がその長手方向xに引張応力を受けたときや曲げ応力(フープ応力)を受けたときに変形が抑制される。
よって、本実施形態の超電導線材11によれば、限界ひずみを増大させることができ、引張りや曲げに対する機械的強度を高めて通電特性を向上させることができるという効果を発揮することができる。その結果、超電導線材11を高磁場マグネット、発電機等として好適に利用することができる。
(2)前記中間層15は、基板12上に形成される第1中間層13とその上に形成される第2中間層14とにより構成されている。そして、第1中間層13は結晶の(110)面17又は(220)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成され、第2中間層14は結晶の(100)面18又は(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成されている。このため、超電導層16を形成する希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向xに平行になるように的確に設定することができる。
(3)前記第1中間層13はガドリニウム・ジルコニウム酸化物により形成されるとともに、第2中間層14はバリウム・ジルコニウム酸化物により形成される。従って、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物と希土類系酸化物超電導体との反応を防止しつつ、希土類系酸化物超電導体の結晶の方位を良好に制御することができる。
(4)前記基板12と中間層15との間には無定形状態又は微結晶状態のベッド層19が形成され、中間層15はベッド層19上に形成される第1中間層13とその上に形成される第2中間層14とにより構成される。そして、第1中間層13は結晶の(100)面18又は(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成され、第2中間層14は結晶の(100)面18又は(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行に延びるように構成される。そのため、ベッド層19により基板12と中間層15との間の相互作用を抑制し、超電導層16を形成する希土類系酸化物超電導体の結晶の方位を一層容易に制御することができる。
(5)前記ベッド層19はガドリニウム・ジルコニウム酸化物により形成されるとともに、第1中間層13は酸化マグネシウムにより形成され、第2中間層14は酸化セリウムにより形成される。このため、ベッド層19により基板12と酸化マグネシウムとの相互作用を抑えるとともに、酸化セリウムの結晶により超電導層16の希土類系酸化物超電導体の結晶の方位制御を的確に行うことができる。
(6)前記第2中間層14は、バリウム・ジルコニウム酸化物により形成される第2中間下層14aと、酸化セリウムにより形成される第2中間上層14bとにより構成される。この場合には、第2中間下層14aのバリウム・ジルコニウム酸化物により第2中間上層14bの酸化セリウムの結晶の(100)面18の方位を超電導線材11の長手方向xに平行にすることができる。従って、第2中間上層14b上の希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位を超電導線材11の長手方向xに平行に設定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1及び比較例1)
まず、実施例1について説明する。
基板12として、幅10mm、厚さ100μmの帯状をなすハステロイテープを用い、その上に第1中間層13としてGd・Zr酸化物層(GdZr、GZO層)をイオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)により形成した。続いて、第1中間層13上に第2中間層14としてBa・Zr酸化物層(BaZrO、BZO層)をパルスレーザ堆積法(PLD法)により形成した。第1中間層13は厚さ約1μmで、その結晶の(220)面の方位が超電導線材11の長手方向に平行であった。一方、第2中間層14は、厚さ約0.4μmで、結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。
次いで、第2中間層14上に、原料としてY(DPM)、Ba(DPM)、Cu(DPM)錯体のテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)により800〜930℃の成膜温度の下で基板12を移動させながら成膜し、希土類系酸化物超電導体による超電導層16(RE・Ba・Cu・O層)を形成した。このようにして超電導線材11を調製した。
なお、上記DPMは、ジピバロイルメタン(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン)を表す。また、REは、希土類元素であるイットリウム(Y)を表す。このようにして得られた超電導線材11における希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位は、X線回折に基づいて判断したところ、超電導線材11の長手方向xと平行であった。
図1及び図3(a)に示すように、得られた超電導線材11は、基板12上に第1中間層13及び第2中間層14を介して超電導層16が形成され、その超電導層16を構成する希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位が超電導線材11の長手方向xと平行であった。
また、超電導線材11について臨界電流(Ic)を次のように測定した。すなわち、超電導層16を銀層(Ag層)で被覆し、酸素雰囲気中でアニール処理した後、液体窒素中で直流四端子法にて臨界電流を測定した。さらに、超電導線材11について引張ひずみ試験及び曲げひずみ試験を実施し、引張ひずみ(%)及び曲げひずみ(%)を求めた。引張ひずみ試験はインストロン型試験機を用い、超電導線材11の長手方向に引張ることにより実施し、曲げひずみ試験は超電導線材11をその長手方向と直交する幅方向を中心にして曲げ、所定の曲げ径の弧に超電導線材11を貼り付けることにより実施した。
そして、超電導線材11に対する引張ひずみ応力又は曲げひずみ応力の印加前の臨界電流(Ic)に対する応力印加後の臨界電流(Ic)の臨界電流比(Ic/Ic)を算出した。なお、曲げひずみ(%)のマイナス表示は超電導層16を内側にして曲げた状態のひずみ(超電導層16を圧縮する方向のひずみ)を表し、プラス表示は超電導層16を外側にして曲げた状態のひずみ(超電導層16を引張る方向のひずみ)を表す。
引張ひずみ(%)と臨界電流比(Ic/Ic)との関係を図5に示した。また、曲げひずみ(%)と臨界電流比(Ic/Ic)との関係を図6に示した。図5及び図6において、臨界電流比(Ic/Ic)が急激に(不可逆的に)低下したときの引張ひずみ及び曲げひずみを限界ひずみとした。
その結果、実施例1においては、図5に示すように、引張ひずみについて限界ひずみは約0.75%であり、図6に示すように、曲げひずみについて限界ひずみは約0.6%であった。
次に、比較例1について説明する。
前記実施例1において、第1中間層13上に、第2中間層14としてGd・Zr酸化物層に代えて酸化セリウム層(CeO層)とした以外は、実施例1と同様の構成とした。酸化セリウム層は、酸化セリウムをPLD法により、厚さ0.4μmに成膜して形成し、図2及び図3(b)に示すように、その結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。得られた超電導線材11における希土類系酸化物超電導体の結晶の(100)面18の方位は、X線回折に基づいて判断したところ、超電導線材11の長手方向xと平行であった。
この比較例1について、引張ひずみ(%)、曲げひずみ(%)及び臨界電流比(Ic/Ic)を実施例1と同様にして求め、引張ひずみ(%)と臨界電流比(Ic/Ic)との関係を図5に示し、曲げひずみ(%)と臨界電流比(Ic/Ic)との関係を図6に示した。その結果、比較例1においては、図5に示すように、引張ひずみについて限界ひずみは約0.6%であり、図6に示すように、曲げひずみについて限界ひずみは約0.5%であった。
(実施例2及び比較例2)
これらの実施例2及び比較例2の超電導線材11は、基板12上に無定形状態又は微結晶状態のベッド層19が形成され、そのベッド層19上に第1中間層13及び第2中間層14を介して超電導層16が形成されて構成されている。
まず、実施例2について説明する。
前記実施例1の基板12上にベッド層19として厚さ50nmのGd・Zr酸化物層を形成し、そのベッド層19上に第1中間層13として酸化マグネシウム層(MgO層)を前記IBAD法で形成した。この酸化マグネシウム層の結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。該第1中間層13上に第2中間層14として酸化セリウム層をPLD法により形成した。この酸化セリウム層の結晶の(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。
その第2中間層14上に希土類系酸化物超電導体による超電導層16(Y・Ba・Cu・O層)を形成し、超電導線材11を調製した。その結果、超電導線材11における超電導層16を構成する希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位は、X線回折に基づいて判断したところ、超電導線材11の長手方向xに平行であった。
この実施例2の超電導線材11の積層構成を図4(a)に示した。この図4(a)に示すように、第1中間層13、第2中間層14及び超電導層16の結晶の大きさが揃い、各結晶面の方位が整合していることがわかる。
次に、比較例2について説明する。
前記実施例2において、第1中間層13上に第2中間下層14aとしてLa・Mn酸化物層(LaMnO層)を形成するとともに、第2中間上層14bとして酸化セリウム層を形成した以外は、実施例2と同様にして超電導線材11を調製した。La・Mn酸化物層は、その結晶の(200)面の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。また、酸化セリウム層は、その結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。その結果、希土類系酸化物超電導体の結晶の(100)面18の方位は、X線回折に基づいて判断したところ、超電導線材11の長手方向xに平行であった。
この比較例2の超電導線材11の積層構成を図4(b)に示した。この図4(b)に示すように、第2中間上層14bの酸化セリウムの結晶の(220)面の方位が超電導線材11の長手方向xと平行になっていることから、イットリウム・バリウム・銅酸化物の結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xと平行になる結果を招いた。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。
前記比較例2における第2中間下層14aとしてLa・Mn酸化物層に代え、前記Ba・Zr酸化物層を用いた以外は、比較例2と同様にして超電導線材11を調製した。このBa・Zr酸化物層は、その結晶の(100)面18の方位が超電導線材11の長手方向xに平行であった。
その結果、希土類系酸化物超電導体の結晶の(110)面17の方位は、X線回折に基づいて判断したところ、超電導線材11の長手方向xと平行であった。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記第1中間層13として、バリウム・ジルコニウム酸化物層(Ba・Zr酸化物層)等を用いることも可能である。
・ 前記第2中間層14として、ランタン・マンガン酸化物層(La・Mn酸化物層)等を使用することも可能である。
・ 前記ベッド層19として、バリウム・ジルコニウム酸化物層(Ba・Zr酸化物層)等を用いることもできる。
・ 前記超電導層16として、ランタン・バリウム・銅酸化物層(La・Ba・Cu酸化物層)等を使用することもできる。
11…超電導線材、12…基板、13…第1中間層、14…第2中間層、14a…第2中間下層、14b…第2中間上層、15…中間層、16…超電導層、17…(110)面、18…(100)面、19…ベッド層、20…(001)面、x…長手方向。

Claims (3)

  1. 基板上に中間層を介して希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成した超電導線材であって、
    前記超電導層は、希土類系酸化物超電導体の結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(110)面の方位が超電導線材の長手方向と平行になるように成膜されていることを特徴とする超電導線材。
  2. 前記中間層は、基板上に形成される第1中間層とその上に形成される第2中間層とにより構成され、第1中間層は結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(110)面又は(220)面の方位が超電導線材の長手方向に平行に延びるように構成され、第2中間層は結晶の(001)面が超電導線材の基板面と平行で、(100)面又は(200)面の方位が超電導線材の長手方向に平行に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材。
  3. 前記第1中間層はガドリニウム・ジルコニウム酸化物により形成されるとともに、第2中間層はバリウム・ジルコニウム酸化物により形成されていることを特徴とする請求項2に記載の超電導線材
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