JP2006327194A - インクジェット印刷用記録シート - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な平面度を示すインク受容層の厚みを減少させ、且つ染料の拡散を低下させインクの凝集を改良したナノ多孔性記録シートを提供する。
【解決手段】紙支持体及び該紙支持体の表面に正電荷面をもつフュームドシリカ及び少なくとも一つのバインダーからなる少なくとも一つのインク受容層からなるインクジェット印刷用記録シートにおいて、該紙支持体の裏面がポリオレフィン層をもち且つ紙支持体とインク受容層との間にはポリオレフィン層をもたないことを特徴とするインクジェット印刷用記録シート。

Description

本発明は、正電荷面をもつナノ多孔性フュームドシリカ及び少なくとも一つのバインダーからなる少なくとも一つのインク受容層が多孔性支持体の表面にコーティングされており、そしてポリオレフィン層が該記録シートの裏面にコーティングされているインクジェット印刷用記録シートに関する。
インクジェット印刷方法には主として二方式:連続流方式と非連続流方式がある。
連続流インクジェット印刷流れにおいては、連続的なインク流れが加圧下でノズルから押し出される。その流れはノズルから或る距離で液滴に分散される。もし、記録シートの或る特定の場所に印刷される必要があれば個々の液滴は記録シートに向けられるか、さもなければ収集容器に向けられる。これは例えばデジタルデータ信号に従って不必要な液滴を帯電させそしてこれらの液滴の軌道を収集容器に向かわせるために調節する静電場を通すことによってなされる。また帯電していない液滴が収集容器に向けられる逆の方法が使用されてもよい。
連続的でない方法、即ちいわゆる“ドロップオンデマンド”プロセスにおいては、液滴が発生しそして記録シートの或る特定の場所に印刷される必要がある場合のみデジタルデータ信号に従ってノズルから放出される。
最近のインクジェットプリンターの印刷速度は経済的理由のために常に増大している。これらのプリンターに適した記録シートはそれゆえインクを非常に早く吸収する必要がある。特に好適なものはナノ結晶性、ナノ多孔性無機化合物、好ましくはアルミニウム酸化物又はシリカ(二酸化ケイ素)のような酸化物、又はアルミニウム酸化物/水酸化物のような酸化物/水酸化物を含む記録シートである。そのような記録シートは“ナノ多孔性”記録シートとして知られている。経済的な理由により、ナノ多孔性無機酸化物として正電荷面をもつフュームドシリカを含むナノ多孔性記録シートが特に好ましい。
ナノ多孔性記録シートはナノ多孔性化合物のキャピラリー力の作用によってインクを非常に急速に(マイクロ秒の範囲で)吸収する。ポリマーベースの記録シートはポリマーの膨張によってインクをより遅く(ミリ秒の範囲で)吸収する。多孔性紙支持体上の記録シートは紙フェルトの膨張によってまあまあの速度でインクを吸収する。
経済的な理由のために、最高級ではなくても、高品質のインクジェット印刷の場合においては、両面にポリオレフィン層をもつ紙支持体よりも安価な紙支持体があまり品質低下を起こさずに使用することができる。そのような記録シートは、両面にポリオレフィン層をもつ紙支持体の対応する記録シートよりも光沢がわずかに少ないが、しかしそれにもかかわらず多くの用途分野で好適な性能を有している。
特許文献1は気相で製造され、シリカ表面をポリアルミニウムヒドロキシクロライドで処理することによって正に帯電させた、大部分の粒子が20nm未満のサイズをもつシリカを含む印刷用記録シートについて記載している。特許文献2はインク受容層が、シリカ表面をアルミニウムクロロハイドレートで処理することによって変性された気相で製造されたシリカを含むインクジェット印刷用記録シートを記載している。
特許文献3は、インク受容層が、シリカ表面をアミノオルガノシランで処理することによって変性された気相で製造されたシリカを含むインクジェット印刷用記録シートを記載している。
特許文献4は、インク受容層が、シリカ表面を三価のアルミニウム化合物と少なくとも一つのアミノオルガノシランとの反応生成物で処理することによって変性されている気相で製造されたシリカを含むインクジェット印刷用記録シートを記載している。
DE10,020,346 WO00/20,221 WO02/94,573 EP1,655,348
本発明の目的は、良好な平面度を示すインク受容層の厚みを減少させたナノ多孔性記録シートを提供することである。本発明のさらなる目的は、染料の拡散を低下させ凝集を改良した(印刷過程でのインクたまりを形成しない)ナノ多孔性記録シートを提供することである。
我々は驚くべきことに、その裏面にのみポリオレフィン層をコートした紙支持体を使用するときにこれらの改良がなされることを見出した。
そのような本発明に従った記録シートは紙支持体及びその表面にコートした正電荷面をもつナノ多孔性フュームドシリカ及び少なくとも一つのバインダーからなる少なくとも一つのインク受容層及びその裏面にコートしたポリオレフィン層からなる。
本発明のインクジェット印刷用ナノ多孔性記録シートは、インク受容層の厚みを減少させても良好な平面度を示し、且つ染料の拡散を低下させ凝集を改良することができる(印刷過程でのインクたまりを形成しない)利点がある。
我々は驚くべきことに、紙支持体及びその表面にコートした正電荷面をもつナノ多孔性フュームドシリカ及び少なくとも一つのバインダーからなる少なくとも一つのインク受容層及びその裏面にコートしたポリオレフィン層からなるナノ多孔性のインクジェット印刷用記録シートは対応する多孔性紙支持体がその裏面にポリオレフィン層を有しない記録シートに比較してかなり良好な平面度を示すことを見出した。
驚くべきことに、我々はまた、その裏面にポリオレフィン層をコートしたそのような支持体の表面のインク受容層厚みはかなり減少しそして本発明に従った記録シートは必要とされる高いインク吸収速度と必要とされる高いインク吸収能力をなお有していることを見出した。染料の拡散もまた本発明に従ったこれらの記録シートではかなり改良される。
裏面にポリオレフィン層をもつ多孔性紙支持体はその表面にはポリオレフィン層もインク受容層の下側の代理層ももたないが、しかしそれはその表面に炭酸カルシウムの薄い層を、好ましくはバインダーと一緒にもっている。デンプンは好ましいバインダーである。
紙支持体のフェルトは100μmと250μmの間の厚みをもっている。150μmと200μmの間の厚みが本発明に従った記録シートのためには好ましい。
紙支持体の裏面には、一つ以上の異なった組成をもつポリオレフィン層が配置される。異なった性質をもつポリオレフィンが使用できる。
高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)の混合物が好ましい。
低密度ポリエチレンは約130℃と約170℃の間の軟化点温度と0.92g/cmの密度をもっている。それは柔軟で可撓性がある。
高密度ポリエチレンは約110℃と約140℃の間の軟化点温度と約0.94g/cmから0.97g/cmの密度をもっている。それはLDPEより硬くそして摩擦抵抗が大きい。
裏面層は純粋なHDPE、HDPEとLDPEの混合物又は純粋なLDPEからなっていてもよい。少なくとも20wt%のLDPEを含む裏面層が好ましい。ポリエチレンのコーティング量は5g/mと30g/mの間の範囲にあることが好ましい。7g/mと25g/mの間の範囲が特に好ましい。
表面を変性したフュームドシリカの分散物は上述の特許文献1、特許文献2、特許文献3に与えられた指標に従って調製される。フュームドシリカの表面は三価アルミニウム化合物、好ましくはアルミニウムクロロハイドレート、又はアミノオルガノシランで処理することによって変性される。好ましいのは特許文献4に記載されているアルミニウムクロロハイドレートと少なくとも一つのアミノオルガノシランの反応生成物で変性することによって得られるフュームドシリカの分散物である。この方法においては、フュームドシリカは三価アルミニウム化合物(アルミニウムクロロハイドレートのような)と少なくとも一つのアミノオルガノシランの反応生成物を含む主水溶液中に高せん断速度で添加される。安定条件下では、表面を変性したフュームドシリカの分散物は凝集しないものが得られる。三価アルミニウム化合物(アルミニウムクロロハイドレートのような)と少なくとも一つのアミノオルガノシランの反応生成物を含む混合物は高緩衝能力を示す。アルカリ性のアミノオルガノシランは三価アルミニウム化合物(アルミニウムクロロハイドレートのような)の加水分解の過程で生成する塩酸を中和する。シリカの表面変性のための三価アルミニウム化合物(アルミニウムクロロハイドレートのような)の必要量はアルミニウムクロロハイドレートでの変性工程に比較してこの方法ではずっと少なくなる。これらのフュームドシリカの表面変性した分散物は、表面がアルミニウムクロロハイドレートで変性された分散物に比較して塩含有量が非常に少ない。
脱イオン水が好ましくは主水溶液の調製のために使用される。低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール及びその類似物)のような水溶性溶媒又はアセトンのようなケトンを添加してもよい。
変性工程で使用される三価アルミニウム化合物(アルミニウムクロロハイドレートのような)と少なくとも一つのアミノオルガノシランの反応生成物は三価アルミニウム(アルミニウムクロロハイドレートのような)化合物の水溶液にアミノオルガノシランを添加するか又は逆にして添加することによって調製される。アミノオルガノシランと三価アルミニウム化合物の反応は10℃から50℃の温度で5分から60分間で実施される。反応は好ましくは室温で10分から15分間で実施される。
二つの出発化合物の反応過程では、27Al核磁気共鳴吸光光度計によって示されるように、Si−O−Al結合が形成される。核磁気共鳴スペクトルにおいて、50ppmから70ppmでの新規なSi−O−Al結合の特性ピークが現れる。それらの強度はアミノオルガノシランの量と共に増大する。核磁気共鳴測定に従えば室温で約10分間後に反応は終了する。
表面を変性したフュームドシリカの調製のためには、三価アルミニウム化合物(アルミニウムクロロハイドレートのような)と少なくとも一つのアミノオルガノシランの反応生成物が又、例えばフュームドシリカの水溶液分散物中に添加される。
表面を変性したフュームドシリカの分散物は、本発明に従ったインクジェット印刷用記録シートにおけるインク受容層のコーティング溶液調製のために有利に直接的に使用される。
本発明に従ったナノ多孔性記録シートはインク受容層中に少なくとも一つのバインダーを含む。
バインダーは多くの場合水溶性ポリマーである。特に好ましいものは膜形成ポリマーである。水溶性ポリマーは例えばアルブミン、ゼラチン、カゼイン、デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム又はカリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、α−、β−、又はγ−シクロデキストリン及びその類似物のような天然ポリマー又はそれらの変性物を包含する。水溶性ポリマーがゼラチンの場合には、例えば豚皮酸又は石灰処理骨ゼラチン、酸又は塩基で加水分解したゼラチンのように全ての公知のゼラチン種が使用できるが、しかし例えばフタロイド化、酢酸化又はカルバモイル化したゼラチンのような派生ゼラチン又はトリメリット酸の酸無水物で派生するゼラチンもまた使用される。
合成バインダーもまた使用できそして例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルと他のモノマーとのコポリマーの完全又は部分鹸化生成物;マレイン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸及びその類似物のような不飽和カルボン酸のホモポリマー又はコポリマー;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びその類似物のようなスルホン化ビニルモノマーのホモポリマー又はコポリマーを包含する。さらに(メタ)アクリルアミドのビニルモノマーのホモポリマー又はコポリマー;エチレンオキサイドと他のモノマーとのホモポリマー又はコポリマー;ポリウレタン;ポリアクリルアミド;水溶性ナイロンタイプのポリマー;ポリエステル;ポリビニルラクタム;アクリルアミドポリマー;置換ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;アルキル及びスルフォアルキルアクリレートとメタアクリレートとのポリマー;加水分解したポリ酢酸ビニル;ポリアミド;ポリビニルピリジン;ポリアクリル酸;無水マレイン酸のコポリマー;ポリアルキレンオキサイド;メタクリルアミドコポリマー及びマレイン酸コポリマーが使用可能である。これらのポリマーは全て混合物としてもまた使用できる。好ましい合成バインダーはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの加水分解率は好ましくは85%と100%の間でありそしてその分子量は14,000と205,000の間である。異なった加水分解率及び/又は異なった分子量のポリビニルアルコールの混合物もまた使用できる。
これらのポリマーは水不溶性の天然又は合成高分子量化合物、特にアクリレートラテックス又はスチレンアクリレートラテックスとブレンドしてもよい。本発明では特に請求してはいないが、水不溶性ポリマーはやはり系の一部と見做される。架橋剤と反応する可能性のある基を有する上述のポリマーは架橋又は硬化して本質的に水に不溶性な層を形成する。そのような架橋結合は共有結合又はイオン結合であってもよい。層の架橋又は硬化は層の物理的性質例えばその水吸収能力又は層のダメージに対する抵抗などを変化させる。架橋剤又は硬化剤は架橋させるべき水溶性ポリマーの種類に依存する。
有機架橋剤及び硬化剤としては例えばホルムアルデヒド、グリオキザールまたはグルタルアルデヒドのようなアルデヒド、ジメチロール尿素又はメチロールジメチルヒダントインのようなN−メチロール化合物、2,3−ジヒドロキシジオキサンのようなジオキサン、1,3,5−トリスアクリロリルヘキサヒドロ−s−トリアジン又はビス−(ビニルスルフォニル)エチルエーテルのような反応性ビニル化合物、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンのような反応性ハロゲン化合物;エポキシド;アジリジン;カルバモイルピリジニウム化合物又は上述の架橋剤の2以上の混合物を包含する。無機架橋剤又は硬化剤としては例えばクロム明礬、アルミニウム明礬又は、好ましくは、ホウ酸を包含する。層はまた紫外線、電子線ビーム、X−線又は熱の影響下で層を架橋させる反応性物質を含んでいてもよい。
層はさらにフィラーの添加によって変性されていてもよい。使用可能なフィラーは例えばカオリン、Ca−又はBa−カーボネート、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン、ベントナイト、ゼオライト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウムである。ポリマービーズのような有機不活性粒子もまた使用できる。これらのビーズはポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はアクリレートとスチレンとの別のコポリマーからなっていてもよい。フィラーは印刷像の使用意図によって選択される。もし印刷像が透明性をもつものとして使用される場合にはこれらの化合物のいくつかは使用できない。しかしながら、印刷像が寛解(レミッション)写真として使用される場合にはそれらは影響力をもつ。非常にしばしば、そのようなフィラーの導入は望ましいマット状の表面を生じさせる。
本発明に従った記録シートは少なくとも1のインク受容層、そして所望により補助層をコートした支持体を含む。
インク受容層は一般に全ての必要な成分を含む水溶液又は分散液からコートされる。多くの場合、コーティング挙動及び層の均一性を改良するためにこれらのコーティング(塗布)溶液に湿潤剤が加えられる。コーティングの目的に必要であるにも拘らず、これらの化合物は像の品質に影響を与えそしてそれゆえにこの特定の目的を念頭において選択すべきである。本発明においては特に請求されてはいないが、それにも拘らず湿潤剤は本発明の重要な部分を構成している。
上述の成分に加え、本発明に従った記録シートは、例えば白色度を改良するためのスチルベン、クマリン、トリアジン、オキサゾール又は熟練した当業者に公知のその他の化合物のような鮮明剤などのその性能をさらに改良するための追加の化合物を含んでいてもよい。
光安定性は2−ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリアジンの誘導体又はケイ皮酸の誘導体のようなUV吸収剤を加えることによって改良される。UV吸収剤の量は200mg/m−2000mg/m、好ましくは400mg/m−1000mg/mと変化する。UV吸収剤は本発明に従った記録シートのどの層に加えてもよい。しかしながら、加えるときは、最上層に加えることが好ましい。
さらにインクジェット印刷によって得られる像はラジカル捕捉剤、安定剤、還元剤及び抗酸化剤の添加によって像の劣化が防止されることは知られている。そのような化合物の例は立体障害フェノール、立体障害アミン、クロマノール、アスコルビン酸、ホスフィン酸及びそれらの誘導体、サルファイド、メルカプタン、チオシアネート、チオアミド又はチオウレアのような硫黄を含む化合物である。
上述の化合物は水溶液としてコーティング溶液に加えられる。これらの化合物が十分に水溶性でない場合には、それらは当業界で公知の他の技術によってコーティング溶液に組み込まれてもよい。その化合物は例えば低級アルコール、グリコール、ケトン、エステル,又はアミドのような水と混ざり合う溶媒中で溶解させる。代替法としては、化合物は微細分散液として、オイル乳濁液として、シクロデキストリンを含む化合物としてコーティング溶液に加えられても良いし又はラテックス粒子中に組み込まれてもよい。
典型的には、本発明に従った記録シートのインク受容層は0.5μm−100μmの範囲の乾燥時厚み、好ましくは10μm−25μmの範囲の乾燥時厚みをもつ。
コーティング(塗布)溶液は多くの適切な手順のいずれかによって支持体上にコートされる。通常のコーティング方法としては例えば押し出しコーティング、エアナイフコーティング、ドクターブレードコーティング、カスケードコーティング及びカーテンコーティングを包含する。コーティング溶液はまたスプレー技術を使用して適用してもよい。インク受容層は次々に又は同時にコートできるいくつかの単一層から成り立っている。しかしながら選択されるコーティング方法は本発明を限定するものと見做されてはならない。
インクジェット印刷用のインクは液体媒体及びそれらに溶解又は懸濁した染料又は顔料を要素として構成される。インクジェットのインク用の液体媒体は一般的には水又は水と混ざり合うエチレングリコール、高分子量グリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、アミド、ポリビニルピロリドン、N−メチルピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、カルボン酸とそのエステル、エーテル、アルコール、有機スルホキサイド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、セロソルブ、ポリウレタン、アクリレート及びその類似物のような有機溶媒と水との混合物で構成されている。インクの非水部分は一般的には湿潤剤、共溶媒、粘度調節剤、インク浸透添加剤又は乾燥促進剤として作用する。有機化合物は多くの場合水よりも高い沸点をもつ。本発明に従った記録シートに使用できるインクの調製に適した染料又は顔料は公知の着色化合物の全てのクラスを実用上カバーしている。この目的のために使用される染料又は顔料は特許文献4に記載されている。本発明に従った記録シートは当業界を代表する多くのインクと組み合わせて使用できることを意図している。
インクは界面活性剤、光学的輝度剤、UV吸収剤、光安定剤、殺生物剤、多価金属化合物のような沈殿剤及びポリマー添加剤のような他の添加剤を含んでいてもよい。
インクの記述は単に説明のためのものであって本発明の目的を限定するものと見做してはならない。
本発明は以下の実施例でより詳細に説明するが如何なる場合も本発明の範囲を限定するものではない。
テスト方法
1.平面度
本発明に従った記録シートの平面度は非特許文献1に従って決定された。本発明に従った記録シートのA4サイズのシートを非特許文献1に規定されている温度と湿度の条件下で24時間条件調整した。その後、そのシートを、凹面を上にして平らな面上に置いた。記録シートの四隅と平らな面との間隔距離を測定した。表に示される値はこれら四つの測定値の平均値である。インク受容層側の平面度の偏差は正の数値をもちそして正の末端リフトカールとして特徴付けられる。インク受容層から離れる側の平面度の偏差は負の数値をもちそして負の末端リフトカールとして特徴付けられる。
2.染料の拡散
使用される方法は本質的には非特許文献2に記載されている。
イエロー、レッド、マゼンタ、ブルー、シアン、グリーン及びブラック色のパッチを、インクジェットプリンターHP970及びエプソン890で対応するオリジナルインクを使用して、本発明に従った記録シート上に100%印刷密度で印刷した。印刷されたカラーパッチは118ピクセルの末端長さをもっている。それぞれのカラーパッチは11本の水平及び垂直白線によって8ピクセルの末端長さをもつ144個の着色した四角面に分割される。白線は2ピクセルの幅をもつ。下記のプリンター設定を使用した:
−HP970: HPプレミアム高光沢フィルム、ベスト
−エプソン890: フォトペーパープロ、ハイ、マニュアル、グラフィック、ノーマル
印刷した記録シートを23℃の温度、50%の相対湿度で24時間乾燥した。それから、カラーパッチの光学密度を測定した。その後、印刷した記録シートを40℃の温度、80%の相対湿度で7時間保存した。最後に、光学密度を再測定した。染料拡散の値は保存前後の最大密度のパッチの光学密度の差異%である。
3.凝集
凝集は印刷過程でのインクたまりの形成の表現である。本発明に従った記録シートを22℃の温度、70%の相対湿度条件下で15時間条件調整した。その後、インクジェットプリンターエプソン750で対応するオリジナルインクを使用して39個のカラーパッチを印刷した。カラーパッチはシアン、イエロー、及びマゼンタと他の二つの色との段階的な混合物からなる。下記のプリンター設定を使用した:
−エプソン750: フォトペーパー720dpi、カラー調整なし
39個のカラーパッチの組成を表1に示す。
Figure 2006327194
その後、凝集を示したパッチの数を数えた。その値が小さいほど、その記録シートのインク吸収能力は高くなる。
実施例
[実施例1−4]
分散物の調製
8.8gのアルミニウムクロロハイドレート(スイスのクラリアントAG社製のLocron P)を20℃の温度で782gの脱イオン水に溶解させそして8.8gのN−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(ドイツのデグッサ社製)を撹拌しながら添加した。15分の反応(アルミニウムクロロハイドレートとアミノオルガノシランの反応生成物の生成)後、200gのフュームドシリカ(アメリカ、キャボット社製の商標名Cab−O−Sil M−5)を少量、高せん断速度で激しく撹拌しながら添加した。それから、分散物をローターステーターミキサーで15分間撹拌した。その後、分散物を温度60℃に加熱しそしてシリカ表面を変性するためにこの温度に1時間保持した。
コーティング溶液の調製
4.8gの固体硼酸を温度45℃でこの分散物600gに添加した。硼酸の溶解後、300gのポリビニルアルコール水溶液(10%、スイスのクラリアントAG社製Mowiol4088)を添加しその後0.8gの湿潤剤Olin 10G水溶液(5.23%、USA、アルヒケミカル社製)を添加した。最後に、コーティング溶液を脱イオン水で希釈し最終重量を1000gとした。
コーティング
このコーティング溶液の108g/mを190μmのフェルト厚みをもつ紙支持体上にバーコーターを使用して温度40℃でコートした。紙支持体の裏面はポリエチレン(LDPEとHDPEの混合物)層をもっていた。インク受容層をコートした紙支持体をそれから温度35℃で60分間乾燥した。コートした支持体の1mは未変性フュームドシリカ13gを含んでいる。
紙支持体の裏面のポリエチレン量は表2に示される:
Figure 2006327194
[実施例5]
分散物の調製
200gのフュームドシリカ、商標名Cab−O−Sil M−5を少量、温度20℃において高せん断速度で激しく撹拌しながら、764gの脱イオン水、33.8gのアルミニウムクロロハイドレートLocronP及び2.0gの水酸化カリウムの混合物に添加した。それから、分散物をローターステーターミキサーで15分間撹拌した。その後、分散物を温度60℃に加熱しそしてシリカ表面を変性するためにこの温度に3時間保持した。
コーティング溶液の調製
4.8gの固体硼酸を温度45℃でこの分散物600gに添加した。硼酸の溶解後、300gのポリビニルアルコール水溶液Mowiol 4088(10%)を添加しその後0.8gの湿潤剤Olin 10G(5.23%)水溶液を添加した。最後に、コーティング溶液を脱イオン水で希釈し最終重量を1000gとした。
コーティング
このコーティング溶液の108g/mを190μmのフェルト厚みをもつ紙支持体上にバーコーターを使用して温度40℃でコートした。紙支持体の裏面はポリエチレン(LDPEとHDPEの混合物)層をもっていた。インク受容層をコートした紙支持体をそれから温度35℃で60分間乾燥した。コートした支持体の1mは未変性フュームドシリカ13gを含んでいる。
[比較実施例C−1]
実施例1−4のコーティング溶液108g/mを温度40℃で190μmのフェルト厚みをもつ紙支持体上にバーコーターを使用してコートした。紙支持体の裏面はポリエチレン層をもっていなかった。インク受容層をコートした紙支持体をそれから温度35℃で60分間乾燥した。コートした支持体の1mは未変性フュームドシリカ13gを含んでいる。
[比較実施例C−2]
実施例1−4のコーティング溶液158g/mを温度40℃で190μmのフェルト厚みをもつ紙支持体上にバーコーターを使用してコートした。紙支持体の裏面はポリエチレン層を両面にもっていた。インク受容層をコートした紙支持体をそれから温度35℃で60分間乾燥した。コートした支持体の1mは未変性フュームドシリカ19gを含んでいる。
[比較実施例C−3]
この比較実施例は比較実施例C−2でコーティング溶液の量を158g/mから108g/mに減少させている。コートした支持体の1mは未変性フュームドシリカ13gを含んでいる。
結果
平面度
温度20℃における末端リフトカールの測定値を表3に示す。
Figure 2006327194
表3の結果の比較は本発明に従ったポリエチレン層を裏面にもつインクジェット印刷用記録シート(実施例1−4)がポリエチレン層を裏面にもたない記録シート(比較実施例C−1)に比較して改良された平面度を示していることが明らかである。裏面へのポリエチレンコーティング量一定の場合、平面度はHDPEの量が増加するにつれ改良されている。
染料の拡散
染料拡散の測定値を表4に示す。
Figure 2006327194
表4の結果は、本発明に従ったインクジェット印刷用記録シート(実施例1)はポリエチレン層を両面にもつ非−多孔性紙支持体の記録シート(比較実施例C−3)に比較して、比較実施例C−3は本発明に従った記録シートよりかなり厚いインク受容層をもっているにも拘らず、実施例1の方が、かなり染料拡散が減少していることを示している。フュームドシリカの表面はアルミニウム塩LocronPとアミノオルガノシランであるN−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応生成物で処理することによって変性されていた。
表4の結果はさらに、フュームドシリカの表面がアルミニウム塩LocronPとアミノオルガノシランであるN−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応生成物で変性されている、本発明に従ったインクジェット印刷用記録シート(実施例1)は、フュームドシリカの表面がアルミニウム塩LocronPで処理することによって変性されている対応する記録シート(実施例5)に比較して、裏面にのみポリエチレン層をもつ紙支持体では染料拡散がかなり減少していることを示している。
本発明に従った記録シートはまた二つの市販されている記録シート、ILFORDスムースグロス(ナノ結晶性、ナノ多孔性無機化合物としてランタンでドープしたコロイド状のアルミニウム酸化物/水酸化物を含む)及び三菱SG2575(ナノ多孔性無機化合物としてコロイド状のシリカを含む)と比較して染料拡散がかなり減少していることを示している。
凝集
凝集の値を表5に示す。
Figure 2006327194
表5の結果は、本発明に従ったインクジェット印刷用記録シートは、ポリエチレン層を両面にもつ非−多孔性紙支持体の記録シートに比較して、インク受容層が同じ厚みの場合、凝集がかなり減少していることを明瞭に示している。ポリエチレン層を両面にもつ支持体上での凝集における同じ値はインク受容層のコーティング量を46%まで増加させたときにのみ得られる。
ANSI(American National Standard Institute)test procedure(ANSI IT9,10−1991,Test Method C,p3,1991 R.Hofmann,E.Baumann and M.Schar in "Print Performance Evaluation of Ink−jet Media:Gamut,Drying,Performance",IS&Ts NIP 15:International Conference on Digital Printing Technologies,ISBN 0−89208−222−4、p408−411
本発明のナノ多孔性記録シートは、インク受容層の厚みを減少させても平面度が優れ、染料拡散やインクの凝集も少ないので、高品質で、且つ経済的なインクジェット印刷用記録シートとして有用である。

Claims (10)

  1. 紙支持体及び該紙支持体の表面にコーティングされた正電荷面をもつフュームドシリカ及び少なくとも一つのバインダーからなる少なくとも一つのインク受容層からなるインクジェット印刷用記録シートにおいて、該紙支持体の裏面がポリオレフィン層をもち且つ紙支持体とインク受容層との間にはポリオレフィン層をもたないことを特徴とするインクジェット印刷用記録シート。
  2. ポリオレフィン層が高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又はHDPEとLDPEの混合物からなることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷用記録シート。
  3. ポリオレフィン層が少なくとも20wt%のLDPEを含むことを特徴とする請求項2記載のインクジェット印刷用記録シート。
  4. ポリオレフィン層のコーティング量が5g/m−30g/mであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用記録シート。
  5. インク受容層が10μmと25μmの間の乾燥時厚みをもつことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用記録シート。
  6. フュームドシリカの表面が三価のアルミニウム化合物で処理することによって変性されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用記録シート。
  7. 三価のアルミニウム化合物がアルミニウムクロロハイドレートであることを特徴とする請求項6記載のインクジェット印刷用記録シート。
  8. フュームドシリカの表面がアミノオルガノシランで処理することによって変性されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用記録シート。
  9. フュームドシリカの表面が三価のアルミニウム化合物と少なくとも一つのアミノオルガノシランとの反応生成物で処理することによって変性されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット印刷用記録シート。
  10. 三価のアルミニウム化合物がアルミニウムクロロハイドレートであることを特徴とする請求項9記載のインクジェット印刷用記録シート。
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