JP3619927B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水性インクを用いて記録を行うインクジェット記録用紙に関し、更に詳しくは、低コストで製造可能であり、高画質で写真の風合いが得られるインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。この方式で、従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野で急速に普及している。
【0003】
上記インクジェット記録技術の詳細については、例えば、インクジェット記録技術の動向(中村孝一偏、平成7年3月31日、日本科学情報株式会社発行)に記載されている。
【0004】
このインクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ、周辺が滑らかでぼやけないこと等が要求される。
【0005】
特に、インクジェット記録用紙において、インク吸収速度が遅い場合には、2色以上のインク液滴が重なって記録される際に、記録用紙上で液滴がハジキ現象を起こしてムラになったり、また、異なる色の境界領域でお互いの色が滲んだりして画質を大きく低下させやすいために、記録用紙としては高いインク吸収性を持たせるようにすることが必要である。
【0006】
これらの問題を解決するために、従来から非常に多くの技術が提案されている。
【0007】
例えば、特開昭52−53012号公報に記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤させた記録用紙、特開昭55−5830号公報に記載されている支持体表面にインク吸収性の塗層を設けた記録用紙、特開昭56−157号公報に記載されている被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録用紙、特開昭57−107878号公報に記載されている無機顔料と有機顔料を併用した記録用紙、特開昭58−110287号公報に記載されている2つの空孔分布ピークを有する記録用紙、特開昭62−111782号公報に記載されている上下2層の多孔質層からなる記録用紙、特開昭59−68292号公報、同59−123696号公報及び同60−18383号公報などに記載されている不定形亀裂を有する記録用紙、特開昭61−135786号公報、同61−148092号公報及び同62−149475号公報等に記載されている微粉末層を有する記録用紙、特開昭63−252779号公報、特開平1−108083号公報、同2−136279号公報、同3−65376号公報及び同3−27976号公報等に記載されている特定の物性値を有する顔料や微粒子シリカを含有する記録用紙、特開昭57−14091号公報、同60−219083号公報、同60−210984号公報、同61−20797号公報、同61−188183号公報、特開平5−278324号公報、同6−92011号公報、同6−183134号公報、同7−137431号公報及び同7−276789号公報等に記載されているコロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有する記録用紙、及び、特開平2−276671号公報、同3−67684号公報、同3−215082号公報、同3−251488号公報、同4−67986号公報、同4−263983号公報及び同5−16517号公報などに記載されているアルミナ水和物微粒子を含有する記録用紙等が多数が知られている。
【0008】
上記の中でも、インク受容層がインクを吸収したり保持するための空隙を多く有する層である場合にはインクの吸収性が良好で境界部の滲みが少なく、高品位な画像が期待できる。
【0009】
しかし、空隙構造を有するインク吸収層においては元々の皮膜の乾燥容量よりインク吸収量が少ない。例えば、乾燥膜厚が40μmである皮膜において、固形分が均一な容積として仮に22μmである皮膜を想定すると、空隙量はインクジェット記録用紙1m当たり(40−22)=18mlしか有さないことになり、記録方式にもよるが最大インク量付近でインク吸収容量が不足し兼ねない場合が生じ得る。インク吸収容量が不足する場合にはインクが溢れ、画像品質を大幅に劣化させる。
【0010】
また、空隙層を有するインク吸収層は、その空隙が保存中、特に、高温高湿下でその容量が変わったりすることがあるために、空隙層内に空隙が変化しないような微粒子を含んでいることが好ましい。空隙層内に微粒子を含有させて空隙を形成させた場合には、親水性バインダーを含有させることにより皮膜の安定化を図ることができるが、これらのインク吸収層は、親水性バインダーの膨潤性でインクを受容するようなインク吸収層に比べて皮膜が固くなる。
【0011】
このような空隙構造を有するインク吸収層を非吸水性の支持体上に設けた場合には、高い濃度の鮮明な画像が得られるが、多量のインクを十分吸収するためには、インク吸収層の乾燥膜厚を十分に厚くする必要が生じる。この場合、皮膜の特性から皮膜の脆弱性(特に、低湿下のひび割れ)がもたらされる。また、コスト的にも不利となる。
【0012】
一方、空隙構造を有するインク吸収層を吸水性支持体上に設けた場合には、支持体自身が高い吸収容量とインク吸収性を持っており、インクの吸収という観点からは好ましいものであるため、非吸水性の支持体上に設けた場合に比べて、インク吸収層の乾燥膜厚を薄くすることができる。
【0013】
このような記録用紙は、近年特に注目されているインクジェット記録の利用分野である写真に近い高品位の画像記録に適していると考えられる。
【0014】
しかし、本発明者の検討の結果、空隙層を有するインク吸収層を吸水性支持体上に設けた記録用紙においては、その皮膜の特性から、取り扱い中に、記録用紙に曲げるような力が加わった場合、記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れが生じたりしやすいことが明らかになった。また、この現象は吸水性支持体の厚みが大きい場合に特に顕著である。このような場合、記録画像品質が大きく低下し、また、記録用紙の搬送にも支障が生じてしまう。
【0015】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、インク吸収層の膜厚を不要に増大させることなくインク吸収容量を増大させ、低コストで写真の風合いが得られ、記録前後の取り扱いにより画像品質の低下がなく、高画質で、搬送性の良好なインクジェット記録用紙を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下のインクジェット記録用紙によって達成される。
(1)コロナ放電処理を施した吸水性支持体の1面に、気相法シリカ微粒子及びカチオン性媒染剤を含有する空隙層を有するインク吸収層を設け、他面に、親水性バインダー及び該親水性バインダーに対し、30重量%以上の、ガラス転移温度(Tg)が60℃以下のポリマーラテックスから形成された層を設けたことを特徴とするインクジェット記録用紙。
(2)気相法シリカ微粒子が、100nm以下の平均粒径を有する微粒子であることを特徴とする上記(1)に記載のインクジェット記録用紙。
)吸水性支持体の厚さが100〜250μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のインクジェット記録用紙。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明でインクジェット記録用紙の吸水性支持体としては、所望の吸水性を有するものであればいかなるものでも使用できる。
【0019】
例えば、一般の紙、合成紙、布、木材等からなるシートや板等を挙げることができる。特に、紙は基材自身の吸水性が優れ、かつ、コスト的にも優れるために最も好ましい。以下に紙支持体について説明する。
【0020】
紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて、合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0021】
紙支持体中には、必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力増強剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては、硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0022】
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて、抄紙段階または抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0023】
本発明においては、コロナ放電処理を施した吸水性支持体の、気相法シリカ微粒子を含有する空隙層を有するインク吸収層を設けた面とは反対側の面に、親水性バインダー及び該親水性バインダーに対し、30重量%以上の、ガラス転移温度(Tg)が60℃以下のポリマーラテックスから形成された層(以下、本発明のコート層という。)を設けたことを特徴としている。本発明のコート層は、記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れが生じたりするのを防止する。
【0024】
本発明においては、吸水性支持体にインク吸収層や本発明のコート層を設ける場合、吸水性支持体とこれらの層との接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層及び本発明のコート層の設置に先立って、吸水性支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことができる。
【0025】
本発明のインクジェット記録用紙の吸水性支持体の厚さは、100〜250μm程度であることが好ましい。これより薄い場合、支持体自身がインク溶媒を吸収するために、記録後にインク溶媒が乾燥した後で支持体が波打ち状になってシワが画像状に生じやすくなる。また、これより厚くなると、本発明のコー卜層を設けても記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れが生じたりしやすくなる。
【0028】
本発明においては、シリカ微粒子の中でも気相法により合成されたシリカが最も好ましい。なお、シリカ微粒子の製造法は乾式法(気相法)と湿式法に大別され、乾式法としては、ハロゲン化珪素の高温での気相加水分解による方法(火炎加水分解法)及びケイ砂とコークスを電気炉でアークにより加熱還元気化しこれを空気酸化する方法(アーク法)が知られている。また、湿式法としては、珪酸塩の酸分解により活性シリカを生成した後、過度に重合させて凝集・沈殿させる方法が知られている。
【0029】
本発明のインクジェット記録用紙に用いられる上記微粒子は、平均粒径が100nm以下であることが好ましい。
【0030】
微粒子の平均粒径が100nmを越える場合には記録用紙の光沢性が低下したり、インクジェット記録時のドットの真円度が低下したり、不要なドットの広がりが生じたり、あるいは、表面での乱反射による最高濃度の低下が生じたりして鮮明な画像が得にくくなる。
【0031】
微粒子の平均粒径の下限は特に制約はないが、その取り扱い性や製造時の安定性などから概ね10nm以上である。
【0032】
上記微粒子は、1次粒子のままで均一に分散された状態で用いられても、また、1次粒子が2次凝集粒子を形成し分散された状態で添加されてもよいが、後者がより好ましい。
【0033】
上記微粒子が2次凝集粒子を形成した形で用いられる場合、1次粒子の平均粒径が30nm以下のものを使用することが光沢性の観点から好ましい。
【0034】
1次粒子の平均粒径の下限は特に限定されないが、粒子の製造上の観点から概ね3nm以上、特に、6nm以上が好ましい。
【0035】
微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0036】
本発明のインクジェット記録用紙は、微粒子を含有する空隙層をインク吸収層として有するが、微粒子を含有させて空隙を形成させる場合に、親水性バインダーを含有させることにより皮膜の安定化を図ることができる。
【0037】
用いられる親水性バインダーとしては、ゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独またはこれらのビニルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを挙げることができる。これらの親水性バインダーは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
中でも、ポリビニルアルコールを含有させることが皮膜の吸湿性、高湿下のベタツキ、インクジェット記録時の染料の滲みが少ないことなどから好ましい。
【0039】
上記のポリビニルアルコールには、カチオン変性、ノニオン変性及びアニオン変性の各変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0040】
ポリビニルアルコールの平均重合度は、造膜性の観点から1000〜5000のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が2000以上のものが好ましい。
【0041】
ポリビニルアルコールのケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0042】
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0043】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0044】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の含有量は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.2〜5モル%である。
【0045】
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び同63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び、特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0046】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0047】
本発明のインクジェット記録用紙において固体微粒子の親水性バインダーに対する重量比率は概ね2〜200倍であるが、3〜20倍であることが好ましい。3倍未満の時はインク吸収性が低下が、20倍を越えるとインク吸収層の皮膜の脆弱性がもたらされるようになり、高画質のインクジェット記録が困難になってくる。
【0048】
本発明のインクジェット記録用紙は、インク吸収層と共に支持体もインク吸収が可能なため、支持体ヘの染料の拡散による濃度低下が起きやすい。この濃度低下や、画像の耐水性や耐滲み性などを改良するために、本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層にはカチオン性媒染剤を含有させることが好ましい。
【0049】
カチオン性媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましく用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
【0050】
ポリマー媒染剤としては、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が耐候性や染料の染着性の強固さから好ましい。
【0051】
好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
【0052】
このポリマー媒染剤は水溶性ポリマーとしても、また、水分散性のラテックス粒子のいずれの形でも使用することができる。
【0053】
非ポリマー媒染剤としては、炭素原子数の総和が12以上、好ましくは18以上の第4級アンモニウム塩基を有する化合物が用いられる。
【0054】
ポリマー媒染剤及び非ポリマー媒染剤の使用量は記録用紙1mあたり0.2〜10g、好ましくは0.5〜5gである。
【0055】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層に親水性バインダーを用いる場合、親水性バインダーを架橋しうる硬膜剤を添加するのが好ましい。硬膜剤としては、エポキシ基、エチレンイミノ基、活性ビニル基などを含有する有機硬膜剤、クロム明礬、ほう酸またはその塩、ほう砂などの無機硬膜剤が挙げられる。
【0056】
親水性バインダーがポリビニルアルコールである場合には、特に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ系硬膜剤、ほう酸またはその塩、ほう砂が好ましい。ほう酸としてはオルトほう酸だけでなく、メタほう酸、次ほう酸、四ほう酸、五ほう酸なども使用できる。
【0057】
上記硬膜剤の添加量は上記親水性バインダー1gあたり1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。
【0058】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層の乾燥膜厚は5〜30μmであることが好ましい。5μm未満の場合、インク吸収性の低下や光沢の低下を、30μmを越えると塗膜のひび割れをひきおこすことがある。
【0059】
本発明のインクジェット記録用紙は、インク吸収層を2層以上設けることができるが、そのうち少なくとも1層は微粒子を含有する空隙層であることが必要である。
【0060】
本発明のインクジェット記録用紙のインク吸収層には必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。
【0061】
例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0062】
以上の構成からなる本発明のインク吸収層は、例えば、以下の方法によって形成することができる。まず、前記のインク吸収層形成用の材料を適当な溶媒、例えば、水、アルコールあるいは各種有機溶媒に添加して塗布液を調整し、これを前記吸水性支持体に塗布し、乾燥させて空隙構造を有するインク吸収層を形成することができる。
【0063】
インク吸収層を支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択することができる。
【0064】
親水性バインダー含有層が2層以上ある場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に、全ての親水性バインダー含有層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0065】
インク吸収層の塗布方式としては、ロールコーディング法、ロッドバーコーディング法、エアナイフコーディング法、スプレーコーディング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられるが、特に、多層同時塗布方式においては、カーテン塗布方法またはスライドホッパー塗布方式が好ましい。
【0066】
塗布後の乾燥は、いったん冷却して塗布液の粘度を増大させるかゲル化させてから風を吹き付けて乾燥させるのが好ましい。
【0067】
塗布液温度は通常は25〜60℃であり、30〜50℃が好ましい。冷却は塗布後の膜面温度が20℃以下、好ましくは15〜5℃になるようにするのが好ましく、その後の乾燥は20〜60℃の風を吹き付けて乾燥するのが均一な膜面を得る点から好ましい。
【0068】
塗布する湿潤膜厚は、目的とする乾燥膜厚によって変わるが概ね40〜200μm、好ましくは50〜150μmであり、塗布速度は、乾燥能力に大きく依存するが、概ね20〜200m/分である。乾燥時間は概ね2〜10分である。
【0069】
本発明のインクジェット記録用紙には、吸水性支持体上のインク吸収層側とは反対側に、記録用紙の取り扱いにより、記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れが生じたりするのを防止するためのに、本発明のコート層が設けられる。
【0074】
本発明のコート層の第の形態は、親水性バインダー及び該親水性バインダーに対し、30重量%以上の、ガラス転移温度(Tg)が60℃以下のポリマーラテックスから形成された層である。
【0075】
親水性バインダーとしては、先に説明した空隙層に用いるのと同様のものを使用することができる。
【0076】
ポリマーラテックスとしては、水分散体の形態にした各種ポリマーを用いることができ、こえら各種ポリマとしては、具体的には、アクリル系ポリマー、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、オレフイン系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマー及びこれらの変性物や共重合体等を挙げることができるが、オレフィン系ポリマー及びアクリル系ポリマーが好ましい。
【0077】
オレフイン系ポリマーとしては、ビニル系モノマーとジオレフィン類のコポリマからなるポリマーが好ましく、ビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等が好ましく用いられ、ジオレフィン類としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが好ましく用いられる。また、これら成分に加えて、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、もしくは、これらのアルキルエステル、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシルエチル、アクリル酸アリル、N−メチロ−ルアクリルアミド、ビニルイソシアネート等の架橋可能な成分を加えることもできる。
【0078】
アクリル系ポリマーとしては、例えば、炭素原子数が1〜18の直鎖または分岐の脂肪族基、フェニル基、アラルキル基、ヒドロキシル基を有する脂肪族基等のアクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類、アクリルニトリル、炭素原子数が1〜18のアルキル基のN−置換またはN,N−ジ置換アクリルアミド、及び、アクリル酸またはメタクリル酸及びこれらの塩の単独重合体もしくは共重合体、あるいは、上記モノマーと、スチレンスルホン酸やビニルスルホン酸及びそれらの塩、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及びそれらの塩、無水イタコン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ビニルメチルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、ジビニルベンゼン等との共重合体などがある。
【0079】
ポリマーラテックスの添加量は、親水性バインダーに対して、30重量%以上である。ここで30重量%以上とは固形分としての量である。また、ポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は60℃以下である。
【0080】
添加量がこれより少なかったり、ガラス転移温度(Tg)が60℃を越えると、記録用紙の取り扱いにより、記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れが生じたりすることを防止する効果が低下する。また、添加量の上限は特に制限がないが、概ね300重量%であり、これより多いと本発明のコート層の造膜性に支障が生じる場合がある。
【0081】
親水性バインダー及びポリマーラテックスから形成されたコート層は、公知の各種の方法から適宜選択して支持体上に設けることができる。例えば、親水性バインダー及びポリマーラテックスを含有する塗布液を調整し、これを前記吸水性支持体に塗布、乾燥させて本発明のコート層とすることができる。
【0082】
親水性バインダー及びポリマーラテックスから形成された本発明のコート層の支持体上への塗布は、インク吸収層の塗布と同様に、公知の方法から適宜選択して行うことができる。
【0083】
本発明のコート層の第の形態は親水性バインダー及び親水性バインダーに対し、30〜200重量%の、融点が40℃以下の疎水性化合物から形成された層である。
【0084】
親水性バインダーとしては、先に説明した空隙層に用いるのと同様のものを使用することができる。
【0085】
疎水性化合物は、融点が40℃以下の疎水性化合物を乳化分散して得られた油滴として用いるのが好ましい。疎水性化合物とは、室温で水に対する溶解度が0.1重量%以下である化合物をいう。疎水性化合物としては、特に、水に対する溶解度が0.01重量%以下である化合物が特に好ましい。
【0086】
上記の疎水性化合物としては、疎水性高沸点有機化合物として知られている融点が40℃以下の化合物や融点が40℃以下の疎水性ポリマーが挙げられる。
【0087】
上記疎水性高沸点有機化合物としては、例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレー卜、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等)、リン酸エステル類(例えば、トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等)、脂肪酸エステル類〔例えば、ステアリン酸ブチル、セバチン酸ビス(2−エチルヘキシル)、エチレングリコールジステアレート、グリセロールトリブチレート等〕、アミド類〔例えば、N,N−ジエチルラウリルアミド、N,N−ジエチル−2−(2,5−ジ−t−アミルフエノキシ)ブタンアミド等〕、エーテル類(例えば、エチレングリコールジブチルエーテル、デシルエーテル、ジベンジルエーテル等)、シリコンオイル及び流動パラフィン等を挙げることができる。
【0088】
また、上記融点が40℃以下の疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリブチルメタクリレート、コポリ(ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクチレート:90/10)、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート、コポリ(ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/スチレン:60/20/10/10)等で融点が40℃以下のポリマーが挙げられる。
【0089】
上記疎水性ポリマーとしては平均分子量が5000〜10万程度のポリマーが好ましく用いられる。10万を越えるポリマーの場合、後述する乳化分散等の方法で微粒子の油滴を形成しにくくなる。
【0090】
上記疎水性有機化合物は高速ホモジナイザーや高圧ホモジナイザー等により親水性バインダー中に、好ましくは界面活性剤の存在下で乳化分散されて用いられる。この際、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の低沸点有機溶媒等の存在下で乳化分散するとより微小な油滴を形成することができるので好ましい。
【0091】
また、この乳化分散時に、他の疎水性有機化合物(例えば、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、画像安定剤等)で融点が40℃を越える有機化合物を併用することもできるが、油滴を形成する有機化合物の50重量%以上が融点が40℃以下の化合物であるのが好ましい。
【0092】
疎水性化合物の添加量は、親水性バインダーに対し、30〜200重量%であり、添加量が30重量%より少なかったり、融点が40℃を越えると、記録用紙の取り扱いにより記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れが生じたりすることを防止する効果が低下する。また、添加量が200重量%を越えると、塗膜に発汗やベタツキが生じやすく記録用紙同士がくっついたり搬送性に支障が生じたりする。
【0093】
親水性バインダー及び疎水性化合物から形成された本発明のコート層の支持体上への塗布は、インク吸収層の塗布と同様に、公知の方法から適宜選択して行うことができる。
【0094】
本発明のコート層の膜厚は5〜80μmであることが好ましい。5μm未満の場合、記録用紙の取り扱いにより記録用紙が折れたり、皮膜に折れ傷がついたり、ひび割れを生じたりすることを防止する効果が低下し、80μmを越えると本発明のコート層の皮膜の安定性が低下しやすくなる。
【0095】
本発明のインクジェット記録用紙は、本発明のコート層を2層以上有していることもできるが、少なくとも1層は本発明のコート層であることが必要である。
【0096】
本発明のコート層には必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。例えば、ルチル型やアナターゼ型の酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナなどの白色顔料や、インク吸収層用の添加剤として挙げたものを含有することができる。
【0097】
また、本発明のコート層は、他の記録用紙とのくっつき防止、筆記性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の微粒子である。
【0098】
次に、本発明のインクジェット記録用紙を用いてインクジェット記録するときに使用する水溶性記録液について説明する。
【0099】
水溶性記録液は、通常は、水溶性染料及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。水溶性染料としては、インクジェット記録で用いられる公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料が使用できるが、直接染料または酸性染料が好ましい。
【0100】
水溶性記録液の溶媒は水を主体としてなるが、記録液が乾燥し染料が析出してノズル先端や記録液供給経路での目詰まりが起こるのを防止するために、通常、沸点が120℃以上で室温で液状の高沸点有機溶媒が使用される。高沸点有機溶媒は水が蒸発した際に染料などの固形成分が析出し粗大析出物が発生するのを防止する作用を持つために水よりはるかに低い蒸気圧を有することが要求される。また、水に対して混和性が高い必要がある。
【0101】
そのような目的で使用される高沸点有機溶媒は多数あるが、具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘキサンジオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(平均分子量約300以下)等のアルコール類が挙げられる。また、上記した以外にも、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等も使用できる。
【0102】
これらの多くの高沸点有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0103】
水溶性記録液に添加されるその他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤等が挙げられる。
【0104】
水溶性記録液はインクジェット記録用紙に対する濡れ性を良好にしたり、インクジェットノズルからの吐出を安定化したりするために、25℃において、25〜50dyne/cm、好ましくは28〜40dyne/cmの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。
【0105】
また、水溶性記録液の粘度は、通常、25℃において2〜10Cp、好ましくは2.5〜8Cpである。また、記録液のpHは3〜9が好ましい。
【0106】
インクノズルから吐出される最小インク液滴が1〜30plの容量の場合、インクジェット記録用紙上で約20〜60μmの直径の最小ドット径が得られるので好ましい。このようなドット径で印字されたカラープリントでは高画質画像が得られる。好ましくは2〜20plの容積を有する液滴が最小液滴として吐出される場合である。
【0107】
また、水溶性記録液として、少なくともマゼンタ及びシアンについて、各々濃度が2倍以上異なる2種類のインクを用いるインクジェット記録方式では、ハイライト部では低濃度のインクが使用されるためにドットの識別がしにくくなるが、本発明はかかるインクジェット記録方式を採用した場合も老巧な結果が得られる。
【0108】
インクジェット記録方法としては、従来公知の各種の方式を用いることができ、その詳細は例えば、「インクジェット記録技術の動向」(中村孝一編、平成7年3月31日、日本科学情報株式会社発行)に記載されている。
【0109】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0110】
なお、塗布液の組成は塗布液1Lあたりの量である。
【0111】
実施例1
【0112】
〔塗布液−1〕
微粒子シリカ分散液(1) 450ml
カチオン性ポリマー(1) 12g
エタノール 35ml
n−プロパノール 10ml
酢酸エチル 5ml
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製PVA203) 0.1g
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製PVA235) 12g
ほう砂 1.0g
【0113】
微粒子シリカ分散液(1):日本アエロジル工業株式会社製A200(平均1次粒子径12nmの気相法シリカ)の80gを純水400ml中に添加し乳化分散機で分散した後、全量を純水で450mlに仕上げる。
【0114】
【化1】
Figure 0003619927
【0115】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
厚さ180μmの吸水性紙支持体にコロナ放電処理を行った後、下記の構成を有する塗布液−2を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの本発明のコート層を形成した。
【0116】
〔塗布液−2〕
親水性バインダー(1) 12.0g
ポリマーラテックス(1) 8.0g
トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.2g
親水性バインダー(1):平均重合度3500のポリビニルアルコール
ポリマーラテックス(1):エチレン/酢酸ビニル共重合ラテックス(エチレン/酢酸ビニルのモノマー量比(重量%)=10/90、ガラス転移温度(Tg)<10℃)
【0117】
その後、上記本発明のコート層とは反対側に、上記塗布液−1を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの空隙層を有するインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0118】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
厚さ180μmの吸水性紙支持体にコロナ放電処理を行った後、下記の構成を有する塗布液−3を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの本発明のコート層を形成した。
【0119】
〔塗布液−3〕
親水性バインダー(2) 12.0g
ポリマーラテックス(2) 14.0g
サポニン 0.02g
親水性バインダー(2):酸処理ゼラチン(等電点=8.5)/ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製PVA203)=6/4(重量比)
ポリマーラテックス(2):ブタジエン/スチレン/アクリル酸共重合体ラテックス(ブタジエン/スチレン/アクリル酸のモノマー量比(重量%)=58/40/2、ガラス転移温度(Tg)<50℃)
【0120】
その後、上記本発明のコー卜層とは反対側に、上記塗布液−1を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの空隙層を有するインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0121】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
厚さ180μmの吸水性紙支持体にコロナ放電処理を行った後、下記の構成を有する塗布液−4を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの本発明のコート層を形成した。
【0122】
〔塗布液−4〕
親水性バインダー(1) 12.0g
疎水性化合物分散液(1) 80ml
トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.2g
疎水性化合物分散液(1):DIDP(ジイソデシルフタレート、融点=−53℃)8gを酢酸エチル16mlに加熱溶解し、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製PVA203)1%とサポニン2%を含有する純水40mlに混合し、乳化分散した後、全量を純水で80mlに仕上げる。
【0123】
その後、上記本発明のコー卜層とは反対側に、上記塗布液−1を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの空隙層を有するインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0124】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
厚さ180μmの吸水性紙支持体にコロナ放電処理を行った後、下記の構成を有する塗布液−5を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの本発明のコート層を形成した。
【0125】
〔塗布液−5〕
親水性バインダー(1) 12.0g
疎水性化合物分散液(2) 80ml
トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.2g
疎水性化合物分散液(1):流動パラフィン(mp<10℃)8gを酢酸エチル16mlに加熱溶解し、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製PVA203)1%とサポニン2%を含有する純水40mlに混合し、乳化分散した後、全量を純水で80mlに仕上げる。
【0126】
その後、上記本発明のコート層とは反対側に、上記塗布液−1を塗布、乾燥し、乾燥膜厚20μmの空隙層を有するインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0132】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
インクジェット記録用紙試料の作成において、塗布液−2のポリマーラテックス(1)に代え、ポリスチレンラテックス(ガラス転移温度(Tg)≒100℃)を用いた以外はインクジェット記録用紙試料と同様にしてインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0133】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
インクジェット記録用紙試料の作成において、塗布液−2のポリマーラテックス(1)の添加量を2.0gに変えた以外はインクジェット記録用紙試料と同様にしてインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0134】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
インクジェット記録用紙試料の作成において、塗布液−4の疎水性化合物分散液(1)のDIDP(ジイソデシルフタレート、融点=−53℃)に代え、DPP(ジイソフェニルフタレート、融点74℃)を用いた以外はインクジェット記録用紙試料と同様にしてインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0135】
《インクジェット記録用紙試料(の作成》
インクジェット記録用紙試料の作成において、塗布液−4の疎水性化合物分散液(1)の添加量を20mlに変えた以外はインクジェット記録用紙試料と同様にしてインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0136】
《インクジェット記録用紙試料の作成》
インクジェット記録用紙試料の作成において、塗布液−4の疎水性化合物分散液(1)の添加量を300mlに変えた以外はインクジェット記録用紙試料と同様にしてインクジェット記録用紙試料を作成した。
【0137】
インクジェット記録用紙試料1〜の空隙層の断面を電子顕微鏡で観察したところ、微粒子の2次凝集粒子の平均粒径は、インクジェット記録用紙試料1〜においてはいずれも65nmであった。
【0138】
得られたインクジェット記録用紙試料について、下記により、最高濃度、光沢度、印宇後のシワ,うねり、取り扱いによる折れ傷,ひび割れ、コート面のベタツキを評価した。
【0139】
▲1▼最高濃度:セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンターMJ−5000Cを用い、イエロー、マゼンタ、シアンのベタ印字を行い、反射濃度をそれぞれの青、縁、赤の単色光にて測定した。
【0140】
▲2▼光沢度:日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−101DP)で75度鏡面光沢度を測定した。
【0141】
▲3▼印宇後のシワ、うねり:印字後のシート面を肉眼により下記基準で判定した。
◎;シワ、うねりは判らず、美観を損なわない
○;シワ、うねりは小さく、美観を損なうことはない
△;シワ、うねりがあり、やや美観を損なう
×;シワ、うねりは大きく、大きく美観を損なう
【0142】
▲4▼取り扱いによる折れ傷、ひび割れ:袋に入れた記録用紙を袋から取り出してプリンターの給紙部にセットする操作を25℃、20%の環境下で同一記録用紙について50回繰り返した後、インク吸収層の皮膜の折れ傷、ひび割れの状態を観察した。
◎;折れ傷、ひび割れがほとんど認められず画質上の悪影響がない
○;折れ傷、ひび割れがわずかに観察されるが画質上殆ど悪影響がない
△;折れ傷、ひび割れが少し観察され、また画質上も少し悪影響が見られる
×;折れ傷、ひび割れが多く観察され、しかも画質上の影響が大きい
【0143】
▲5▼コート面のベタツキ:記録用紙の本発明のコ−ト層面のベタツキを目視および触感により評価した。
○;コート面のベタツキはほとんどない
△;コ−卜面にややベタツキがみられる
×;コート面のベタツキが激しい
評価結果を表1に示す。
【0144】
【表1】
Figure 0003619927
【0145】
本発明のインクジェット記録用紙においては、濃度、光沢が良好であり、かつ、取り扱いよる折れ傷、ひび割れもなく、高品位な画像を得ることができる。―方、比較例のインクジェット記録用紙においては、濃度、光沢は良好であるが、取り扱いにより折れ傷が付き、画質が低下していたり、コート面がベタついていたりする。
【0146】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用紙は、インク吸収層の膜厚を不要に増大させることなくインク吸収容量を増大でき、低コストで写真の風合いが得られ、記録前後の取り扱いによって画像品質の低下がなく、高画質で、搬送性が良好である。

Claims (3)

  1. コロナ放電処理を施した吸水性支持体の1面に、気相法シリカ微粒子及びカチオン性媒染剤を含有する空隙層を有するインク吸収層を設け、他面に、親水性バインダー及び該親水性バインダーに対し、30重量%以上の、ガラス転移温度が60℃以下のポリマーラテックスから形成された層を設けたことを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 気相法シリカ微粒子が、100nm以下の平均粒径を有する微粒子であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 吸水性支持体の厚さが100〜250μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
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