JP3395882B2 - インクジェット記録用紙及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙及びインクジェット記録方法

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JP3395882B2 JP18892597A JP18892597A JP3395882B2 JP 3395882 B2 JP3395882 B2 JP 3395882B2 JP 18892597 A JP18892597 A JP 18892597A JP 18892597 A JP18892597 A JP 18892597A JP 3395882 B2 JP3395882 B2 JP 3395882B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性染料を含有する
インクを用いて画像を記録するインクジェット記録用紙
に関し、更に詳しくは、記録後の画像の耐水性や耐湿性
を改良したインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液
滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シー
トに付着させ、画像・文字などの記録を行うものである
が、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点
を有している。この方式で従来から問題となっていたノ
ズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び
装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、
ファクシミリ、コンピューター端末等さまざまな分野で
急速に普及している。その詳細は、例えば、インクジェ
ット記録技術の動向(中村孝一編、平成7年3月31日、
日本科学情報株式会社発行)に記載されている。このイ
ンクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、
印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであるこ
と、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於
いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字
ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、かつ
周辺が滑らかでぼやけないこと等が一般的には要求され
ている。インクジェット記録用紙としては、従来から種
々の記録用紙が用いられている。例えば、普通紙、親水
性バインダーと無機顔料から成る層を塗設した各種の塗
工紙(アート紙、コート紙、キャストコート紙等)、更
には、両面をプラスチック樹脂で被覆した各種の紙、透
明または不透明の各種のプラスチックフィルムよりなる
支持体上に記録層としてインク吸収層を塗設したインク
ジェット記録用紙が用いられている。
【0003】上記インク吸収層は、親水性バインダーを
主体に構成された膨潤型のインク吸収層、記録層中に空
隙を設けた空隙型のインク吸収層に大きく分けられる。
膨潤型のインク吸収層は、親水性バインダーの膨潤作用
でインクを保持するものであり、親水性バインダーとし
ては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラ
ン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル
酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギー
ナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカスト
ビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7-1958
26号公報及び同7-9757号公報に記載のポリアルキレンオ
キサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラー
ル、あるいは、特開昭62-245260号公報に記載のカルボ
キシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独
重合体や共重合体等が、単独であるいは2種以上を組み
合わせて用いられる。空隙型のインク吸収層は、層に形
成された空隙にインクを保持するものであり、通常、空
隙は、各種の無機固体微粒子や有機の固体微粒子を皮膜
中に含有させることによって形成している。
【0004】上記の目的で用いられる無機微粒子して
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサ
イト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等が挙げられる。これ
らの無機微粒子は、1次粒子のままでバインダー中に均
一に分散させても、また、2次凝集粒子を形成してバイ
ンダー中に均一に分散させてもよい。有機微粒子として
は、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル
類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド
類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、または、これらの共重合体、尿素
樹脂、メラミン樹脂等の微粒子が挙げられる。
【0005】インクジェット記録法において、記録液に
水溶性の染料を使用した場合、高い彩度のカラー画像が
得られるが、耐水性や耐湿性が劣っている。これに対し
て、記録液に顔料を使用した場合、耐水性や耐湿性の点
で優れているが、色材の分光吸収特性がブロードて高い
彩度の色素画像が得られにくい。耐水性や耐湿性が劣っ
ている水溶性の染料を使用した記録液を使用した場合の
耐水性や耐湿性を改良するために、従来から色素を固定
させる種々の方法が提案されている。これら提案の中で
耐水性や耐湿性を改良する有効な手段は、3級または4
級の窒素原子を有するカチオン性ポリマーの均一な水溶
液や微粒子ラテックスを用いる方法である。
【0006】従来、インクジェット記録法やインクジェ
ット記録用紙としては、例えば、特開昭57-36692号公報
に、原紙やポリエチレンテレフタレートフィルム支持体
上に、ゼラチン及び塩基性媒染剤を含有する塗布液を塗
設しインク受容層としたインクジェット記録用紙が、特
開昭53-49113号公報に、紙内にポリエチレンイミンを含
浸させた水性インキ記録用紙が、特開昭58-24492号公報
に、カチオンまたはアニオン基を有する電解質ポリマー
を有する記録材が、特開昭63-224988号に、第1級ない
し第3級アミンまたは第4級アンモニウム塩を含有し、
pHを2〜8としたインク受容層を有する被記録材料
が、特開昭63-307979号公報に、3級または4級窒素原
子を有する親水性ポリマー媒染剤と親水性基を有する重
合体を含有する層を設けたインクジェット記録シート
が、特開昭59-198186号公報及び同59-198188号公報に、
ポリエチレンイミンの有機塩基を基材中または基材上の
塗工層中に含有させた被記録材料が、特開昭60-46288号
公報に、特定染料を含有するインクとポリアミン等を含
有する記録材料を用いたインクジェット記録方法が、特
開昭61-61887号公報、同61-72581号公報、同61-252189
号公報及び同62-174184号公報に、ポリアリルアミンを
含有するインクジェット記録用紙が、特開昭61-172786
号公報に、分子間水素結合を有するポリマー(ゼラチ
ン、ポリエチレミン等)と分子間に水素結合性基を有し
ないポリマー(ポリエチレングリコール、ポリビニルピ
ロリドン等)を含有する層を有するインクジェット記録
材料が、特開昭63-162275号公報に、カチオン性ポリマ
ーとカチオン性界面活性剤を支持体上に塗布または含浸
させたインクジェット記録用紙が、特開平6-143798号公
報に、プラスチック支持体上に第4級アンモニウム塩重
合物とカチオン変成ポリビニルアルコールを主成分とす
る染料定着層とその上に設けられた染料透過・インク吸
収層を有する記録シートが記載されている。
【0007】更に、特開昭59-20696号公報、同59-33176
号公報、同59-33177号公報、同59-96987号公報、同59-1
55088号公報、同60-11389号公報、同60-49990号公報、
同60-83882号公報、同60-109894号公報、同61-277484号
公報、同61-293886号公報、同62-19483号公報、同62-19
8493号公報、同63-49478号公報、同63-115780号公報、
同63-203896号公報、同63-274583号公報、同63-280681
号公報、同63-260477号公報、特開平1-9776号公報、同1
-24784号公報、同1-40371号公報、同3-133686号公報、
同6-234268号公報、同7-125411号公報等には、特定の3
級または4級の窒素原子を有するポリマーまたは化合物
をインク受容層中に添加することが記載されている。か
かる先行技術に記載されている染料を固定する技術は、
染料の固定という点からはそれなりの効果を認められる
が、必ずしも充分ではない。
【0008】カチオン性の媒染剤を用いて耐水性や耐湿
性を高めるためには媒染剤の使用量を増せばよいが、こ
の場合カチオン媒染剤の増量に伴う種々の欠点が生じや
すい。例えば、カチオン媒染剤は、記録後の染料の耐光
性を劣化させたり、保存中にイエロー着色を起こしやす
い傾向があり、媒染剤の添加量の増大に伴いこうした欠
点が顕著になりやすい。更に、カチオン媒染剤として水
溶性媒染剤を用いた場合には、添加量の増大に伴いカー
ルを増加させたり、皮膜の造膜性を劣化させたり、脆弱
性をもたらすという欠点がある。インク吸収層が空隙型
のものである場合には、空隙層を厚膜にしなければなら
ないため、媒染剤の添加量が増大し、カールが生じやす
くなる。 また、カチオン媒染剤として乳化重合されたラ
テックス粒子を用いた場合、インク吸収層が空隙型のも
のであると、空隙を塞いで空隙容量を低下させてしま
上記問題点について検討したところ、インク吸収層
の記録面側の膜面のpH値を特定の値とすることにより
解決できることが判明した。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は上記の実態
に鑑みてなされたものであって、本発明の第1の目的
は、少ないカチオン媒染剤の使用量で高い耐水性と耐湿
性が達成できるインクジェット記録用紙を提供すること
にある。第2の目的は、カチオン媒染剤の使用によって
もたらされる前記の種々の欠点を抑制したインクジェッ
ト記録用紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、 (1)非吸水性支持体上にインク吸収層を有し、前記イ
ンク吸収層の記録面側の膜面pHを3以上、かつ5以下
としたインクジェット記録用紙であって、前記インク吸
収層の少なくとも1層は、親水性バインダーとしてのポ
リビニルアルコール、アニオン性染料に対して媒染力を
有するカチオン媒染剤、合成非晶質シリカ及びコロイダ
ルシリカから選ばれた少なくとも1種の無機微粒子、及
硬膜剤としてのほう酸またはほう砂を含有し、前記カ
チオン媒染剤の量が前記無機微粒子に対して、重量比で
0.01〜0.3であり、前記無機微粒子の前記親水性
バインダーに対する重量比が2〜10であって空隙が形
成されていることを特徴とするインクジェット記録用
紙。 (2)前記無機微粒子が、1次粒子の平均粒径が30nm以
下の無機微粒子であることを特徴とする上記(1)に記
載のインクジェット記録用紙。 (3)前記カチオン媒染剤が、平均分子量5万以下の水
溶性媒染剤であることを特徴とする上記(1)または
(2)に記載のインクジェット記録用紙。 (4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジ
ェット記録用紙に、pHが3以上、かつ8以下である記
録液で記録することを特徴とするインクジェット記録方
法。により達成される。
【0011】先に、先行技術として示した特開昭63-224
988号公報には、第1級〜第3級アミン若しくは第4級
アンモニウム塩を含有しインク受容層のpHを2〜8の
範囲内に調整することで媒染剤に伴う臭気の発生を抑制
した被記録材が記載されているが、インク吸収層の記録
面側の膜面pHを特定のpH値とすることにより耐水性
と耐湿性が得られることについては記載されていない。
また、該公報には、インク吸収層の記録面側の膜面pH
を3〜5の範囲とした実施例も記載されておらず、膜面
pHとして特定化された3〜5の範囲を選定することを
示唆する記載もない。しかも、インク受容層のpHが2
〜8の範囲にあっても、インク吸収層の記録面側の膜面
pHが3〜5でない場合には本発明の効果は得られな
い。従って、本発明は、上記先行技術とは目的を異に
し、しかも、構成も異なるものである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、支持体としては、従来からインクジェット記録
用紙に用いられる支持体であるプラスチック支持体、両
面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを貼り
合わせた複合支持体を用いることができる。 非吸水性支
持体を用いることにより、高い光沢性、記録後の高い平
滑性と最高濃度を得ることができる。非吸水性支持体と
しては、プラスチックフィルムよりなる支持体またはポ
リオレフィンで両面を被覆した紙支持体が好ましく用い
られ、ポリオレフィンで両面を被覆した紙支持体が最も
好ましいものとして用いられる。プラスチックフィルム
よりなる支持体としては、例えば、ポリエチレンフィル
ム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナ
フタレートフィルム、トリアセチルセルロースフィル
ム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポ
リカーボネートフィルム、セロファンなどのプラスチッ
クフィルムよりなる支持体等が好ましく用いられる。こ
れらのプラスチックフィルムは透明なもの、半透明なも
の及び不透明なものを用途に応じて適宜使い分けること
ができる。支持体には、白色のプラスチックフィルムを
用いることも好ましい。白色のフィルムとしては、少量
の硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料
をプラスチックに含有させたフィルム、裏面側またはイ
ンク吸収層側に、白色顔料(酸化チタン、硫酸バリウム
など)を有する層を設けたフィルムを用いることができ
る。
【0013】ポリオレフィンで両面を被覆した紙支持体
の原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて、ポ
リプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリ
エステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パル
プとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBS
P、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用
いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBS
P、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが
好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10
重量%以上、70重量%以下が好ましい。パルプは、不純
物の少ない化学パルプ(例えば、硫酸塩パルプ、亜硫酸
塩パルプ)が好ましく、また、漂白処理を行って白色度
を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂
肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カル
シウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スター
チ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙
力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の
水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム塩等の柔軟化剤
などを適宜添加することができる。抄紙に使用するバル
プの濾水度は、CSFの規定で200〜500ccが好ましく、
また、叩解後の繊維長がJIS-P-8207に規定される24メッ
シュ残分の重量%と42メッシュ残分の重量%との和が30
乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の重量%は
20重量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は60乃
至250gが好ましく、特に、90乃至200gが好ましい。原
紙の厚さは50乃至250μmが好ましい。原紙は抄紙段階ま
たは抄紙後にカレンダー処理をして高平滑性を与えるこ
ともできる。原紙密度は0.7乃至1.2g/m2(JIS-P-811
8)が一般的である。更に原紙剛度はJIS-P-8143に規定
される条件で20乃至200gが好ましい。原紙表面には表
面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前
記原紙中に添加できるサイズ剤と同様のサイズ剤を使用
できる。原紙のpHは、JIS-P-8113で規定された熱水抽
出法により測定された場合、5〜9であることが好まし
い。
【0014】原紙表面及び裏面を被覆するポリオレフィ
ンとしては、ポリエチレンが特に好ましく、低密度のポ
リエチレン(LDPE)、高密度のポリエチレン(HD
PE)が用いられるが、他の線状低密度ポリエチレン
(LLDPE)やポリプロピレン等も使用することがで
きる。インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画
紙で広く行われているように、ポリエチレン中にルチル
またはアナターゼ型の酸化チタンを添加して不透明度及
び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタンの含有
量はポリエチレンに対して概ね3〜20重量%、好ましく
は5〜15重量%である。原紙の表裏のポリエチレンの使
用量は、インク吸収層やバック層を設けた後、低湿及び
高湿化で保存されたときにカールがないように選択され
る。通常、インク吸収層側のポリエチレン層の厚さを20
〜50μm、バック層側のポリエチレン層の厚さを10〜40
μmの範囲とする。
【0015】本発明において、以下の特性を有している
ポリエチレン被覆紙支持体を好ましく用いることができ
る。 引っ張り強さ:JIS-P-8113で規定される強度で縦方
向が2乃至30Kg、横方向が1乃至20Kg 引き裂き強度:JIS-P-8116による規定方法で縦方向が
10乃至300g、横方向が20乃至400g クラーク剛度:20〜400cm3/100 圧縮弾性率:103Kgf/cm2以上 表面平滑度:JIS-P-8119に規定されるベツク平滑度が
500秒以上、特に1000秒以上 表面粗さ:JIS-B-0610に規定された方法で測定された
断面曲線からカットオフ値0.8mmの条件で導かれるろ波
うねり曲線について、基準長2.5mmとしてろ波最大うね
りを測定したときに、その任意の測定点100個で最大う
ねりが6μm以上の点が5個以内、また、10点平均粗さ
が4μm以内 表面光沢度:JIS-Z-8741に規定された方法で75度の角
度で測定した表面光沢度が30%以上、好ましくは70%以
上、特に好ましくは90%以上 表面白色度:JIS-Z-8722に記載された方法で測定し、
JIS-Z-8729に従って表示したとき、L*は85%以上、特
に90%以上、また、(a’*、b*)は(−2、2)、
(4、2)、(4、−8)及び(−3、−8)で囲まれ
る範囲の色調にあること 不透明度:JIS-P-8138に規定された方法で測定したと
きに50%以上、特に90%以上、最も好ましくは94%以上 支持体には、記録層との接着強度を大きくする等の目的
で、記録層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理
や下引処理等を行うことが好ましい。
【0016】本発明のインクジェット記録用紙は、支持
体上に少なくとも1層のインク吸収層を有する。この少
なくとも1層のインク吸収層は空隙型であるが、更にこ
の少なくとも1層のインク吸収層とともに膨潤型のイン
ク吸収層を支持体上の同一の側に設けたものであっても
よい。 膨潤型のインク吸収層(膨潤層)を設ける場合、
膨潤層はインク液滴が着弾した際にインク液滴を適度の
広さに拡げると同時に膨潤してインク液滴を吸収する。
この膨潤層に吸収されたインク中の水やその他の有機溶
媒はその後徐々に蒸発していき、最終的には非揮発成分
である染料のみが実質的に皮膜中に残される。膨潤型の
インク吸収層は、インク液滴に対して高い膨潤性を示す
ことが必要であり、インク液膨潤性を示す親水性バイン
ダーが主たる構成成分として用いられる。好ましく用い
られる親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチンま
たはゼラチン誘導体(フェニルカルバモイル化ゼラチン
等)、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上
が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたは
その誘導体、ポリエチレングリコール(平均分子量が10
万以上が好ましい)、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリ
ン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナ
ン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテン
ガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴ
ム、特開平7-195826号公報及び同7-9757号公報に記載の
ポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、水溶性
ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62-245260号
公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビ
ニルモノマーの単独またはこれらのビニルモノマーを繰
り返して有する共重合体等のポリマーを挙げることがで
きる。これらの親水性バインダーは単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0017】膨潤型のインク吸収層はインク液に対する
早い浸透性及び膨潤性を有していることが必要なため
に、膨潤型のインク吸収層の親水性バインダーには、分
子量が20万以上のポリビニルピロリドン、分子量が約5
万以上のポリエチレンオキサイド、分子量が10万以上の
ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドと
の共重合体、ヒドロキシエチルセルロース及びポリアク
リルアミドから選ばれる少なくとも1種を含有している
ことが好ましい。安定高速塗布の観点からすると、可逆
的にゾルゲル変換可能な親水性バインダーを一部使用す
るのが好ましく、この点から、ゼラチン、ゼラチン誘導
体及びκ−カラギーナンの少なくとも1種を使用するの
が好ましい。
【0018】膨潤型のインク吸収層に用いられるバイン
ダーは、ゼラチンまたはゼラチン誘導体を少なくとも有
するものが好ましい。特に好ましい膨潤型のインク吸収
層は、バインダーとして、ゼラチンまたはゼラチン誘導
体とポリビニルピロリドンの組み合わせ、ゼラチン誘導
体とポリビニルアルコール及びその誘導体の組み合わ
せ、ゼラチン誘導体とポリビニルピロリドンとポリビニ
ルアルコールの組み合わせ、ゼラチンまたはゼラチンと
ポリアルキレングリコール及びその誘導体の組み合わせ
のバインダーを用いたものである。上記において好まし
く用いられるゼラチンとしては、通常のアルカリ処理ゼ
ラチン及び酸処理ゼラチンが挙げられる。ゼラチンは、
等電点が9〜5の範囲のものを適宜選択して用いること
ができる。誘導体ゼラチンとしては、ゼラチンのアミノ
基またはイミノ基を、無水フタル酸等の酸無水物やフェ
ニルイソシアネート等のイソシアネート類等と反応させ
アミノ基及びイミノ基の少なくとも一部を不活性化させ
たゼラチンが好ましく用いられる。
【0019】空隙型のインク吸収層の空隙は、親水性の
バインダーと無機固体粒子との間に形成される。空隙の
形成は種々の方式で行うことができる。以下に代表的な
空隙型のインク吸収層の形成方法について説明する。 [1]固体微粒子及び親水性バインダーを含有する塗布
液を支持体上に塗布し、乾燥後に、記録用紙を水或いは
適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶
解させて空隙を作成する方法。 [2]多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する
塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や多孔質微
粒子間に空隙を形成する方法。 [3]親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積
を有する固体微粒子及びまたは油滴微粒子を混合した塗
布液を支持体上に塗布し、乾燥させて、親水性バインダ
ーと固体微粒子、油滴微粒子の間に空隙を作成する方
法。 [4]平均粒径が約0.1μm程度以下の固体微粒子を含有
させた塗布液中の固体微粒子を、塗布液の調整時または
皮膜形成時に凝集させ、2次粒子または3次元構造を形
成させて空隙を作成する方法。本発明の記録用紙におけ
る空隙形成方法は上記のいかなる手段によってもよい
が、カチオン媒染剤を添加することが可能であり、表面
のpHを3〜5に調節することができることが必要であ
る。また、記録紙表面の光沢度をあまり低下させず、低
コストで作成する観点からすると、製造工程が複雑でな
い方法が好ましい。以上の観点から、本発明を実施する
に当たっての好ましい空隙を形成させる方法としては、
上記[3]または[4]の方法が好ましく、特に好まし
い方法は[4]の方法である。
【0020】空隙型のインク吸収層において、空隙の総
量(空隙容量)は記録用紙1m2当たり20ml以上あること
が好ましい。空隙容量が20ml/m2未満である場合、印字
時のインク量が少ない場合にはインク吸収性は良好であ
るものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収さ
れず、画質を低下させたり、乾燥性が遅いなどの問題が
生じやすい。空隙容量の上限は特に制限されないが、空
隙型のインク吸収層の膜厚を概ね50μm以下にすること
がひび割れ等の皮膜の物理的特性を悪化させないために
は必要で、この点からすると空隙容量を40ml/m2以下と
することは難しい。本発明において、空隙容量は、J.
TAPPI 紙パルプ試験方法 No.51−87 紙及
び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)に記載さ
れた方法で測定した時、吸収時間2秒における液体転移
量(ml/m2)で表される。なお、上記の測定方法では、
測定に純水(イオン交換水)が使用されているが、測定
面積の判別を容易にするために、2%未満の水溶性染料
を含有させてもよい。空隙型のインク吸収層において、
固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明に
おいて、空隙率を150%以上、特に、200%以上とするこ
とが、不必要に膜厚を厚くせないで空隙を効率的に形成
できるので好ましい。空隙率の上限は、皮膜の強度や造
膜性から一般には制約を受けるが、通常は400%以内で
ある。本発明の空隙型のインク吸収層は無機微粒子を含
有させることにより形成される。
【0021】本発明においては、無機微粒子として、合
成非晶質シリカ、コロイダルシリカが用いられる。無機
微粒子は、バインダー中に1次粒子のままで均一に分散
されていてもよく、2次凝集粒子を形成してバインダー
中に均一に分散されていてもよい。本発明においては、
高い空隙率が得られるという観点からすると無機微粒子
が好ましい。上記無機微粒子は、1次粒子の粒径が30nm
以下のものを使用することが好ましい。特に好ましい無
機微粒子の1次粒子の粒径は20nm以下である。1次粒子
の平均粒径が30nmを超える粒子を使用した場合、水溶性
ポリマー型のカチオン媒染剤と凝集が起りやすくなり、
形成した凝集粒子も粗大化して光沢性が低下してしま
う。1次粒子の粒径の下限は特に限定されないが、粒子
の製造上の観点から概ね3nm以上、特に6nm以上であ
る。無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空
隙型のインク吸収層の断面や表面に現れた粒子を電子顕
微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその
単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々
の粒子の粒径はその投影面積に等しい円を仮定したとき
の直径で表したものである。無機微粒子としては、1次
粒子の平均粒径が30nm以下の無機微粒子と平均粒径が30
nm以上の無機微粒子を併用することも可能であるが、こ
の場合、30nmを超える無機微粒子の比率は全無機微粒子
に対して50重量%以下とすることが好ましく、20重量%
以下がより好ましい。
【0022】濃度の高い画像が形成される、鮮明な画像
が記録できる、低コストで製造できる等の点からする
と、無機微粒子としては、気相法により合成された微粒
子シリカ及びコロイダルシリカから選ばれた無機微粒子
を用いることが好ましい。気相法により合成された微粒
子シリカは、通常、四塩化珪素を水素及び酸素と共に高
温で燃焼して得ることができ、1次粒子の粒子径が5〜
500nmのシリカ粉末である。特に、30nm以下の1次粒子
径を有するものが光沢性の点で好ましい。現在、このよ
うな気相法により合成された微粒子シリカは市販されて
おり、市販の微粒子シリカには、日本アエロジル社の各
種のアエロジルがある。本発明で好ましく用いられるコ
ロイダルシリカは、珪酸ナトリウムを酸等によって複分
解したり、イオン交換樹脂層を通過させたりして得られ
るシリカゲルを加熱熟成して得られるものである。この
コロイダルシリカをインクジェット記録用紙に使用する
ことは、例えば、特開昭57-14091号公報、同60-219083
号公報、同60-219084号公報、同61-20792号公報、同61-
188183号公報、同63-17807号公報、同特開平4-93284号
公報、同5-278324号公報、同6-92011号公報、同6-18313
4号公報、同6-297830号公報、同7-81214号公報、同7-10
1142号公報、同7-179029号公報、同7-137431号公報、及
び国際特許公開WO94/26530号公報などに記載されて
いる。コロイダルシリカの粒子径は、通常、5〜100nm
であるが、粒子径7〜30nmのものが好ましい。気相法に
より合成された微粒子シリカやコロイダルシリカは、そ
の表面をカチオン変成してもよく、例えば、Al、C
a、Mg及びBa等の無機塩で表面を処理してもよい。
上記空隙形成物質として、本発明においては微粒子シリ
カを用いるが前記[4]の空隙形成を行うのに最も適し
て微粒子は、気相法により合成されたシリカである。
【0023】上記空隙型のインク吸収層には皮膜として
の特性を持たせるために親水性バインダーを用いる。こ
れらのバインダーとしては膨潤型のインク吸収層に用い
られる従来公知の各種のバインダーを使用することがで
きるが、着弾したインク液滴が浸透した初期の段階で膨
潤して空隙を実質的に塞いでしまわないバインダーが好
ましい。この点からポリビニルアルコールが用いられ、
特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化
のポリビニルアルコールである。なお、ここでいうポリ
ビニルアルコールにはカチオン変性ポリビニルアルコー
ル、アニオン変性ポリビニルアルコール及びノニオン変
性ポリビニルアルコールも含まれる。特に好ましいポリ
ビニルアルコールは、ケン化度が80以上の部分ケン化ポ
リビニルアルコールまたは完全ケン化ポリビニルアルコ
ールである。ポリビニルアルコールの重合度は、皮膜脆
弱性を改良する観点からすると比較的高重合度のものが
よく、平均重合度が1000〜5000、特に好ましくは2000〜
4000のものが用いられる。カチオン変成ポリビニルアル
コールとは、例えば、特開昭61-10483号公報に記載され
ているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウ
ム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有す
るポリビニルアルコールのことであり、カチオン性基を
有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合
体をケン化することにより得られる。カチオン性基を有
するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメ
チル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチ
ル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アク
リルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウム
クロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2
−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、トリメチル−(メタクリル
アミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,
1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリル
アミド等が挙げられる。カチオン性基を有するエチレン
性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体において、カ
チオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。カチ
オン変性ポリビニルアルコールは、通常、重合度500〜4
000のものが用いられるが、1000〜4000が好ましい。
【0024】アニオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開平1-206088号公報に記載されているよ
うなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開
昭61-237681号公報及び同63-307979号公報に記載されて
いるようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル
化合物との共重合体、特開平7-285265号公報に記載され
ているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコー
ルが挙げられる。ノニオン変性ポリビニルアルコールと
しては、例えば、特開平7-9758号公報に記載されている
ようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコール
の一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平
8-25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化
合物とビニルアルコールとのブロック共重合体が挙げら
れる。
【0025】空隙型のインク吸収層のバインダーとして
は、ポリビニルアルコールが主に用いられるが、他の親
水性バインダーを含有させることもできる。他の親水性
バインダーはポリビニルアルコールに対して概ね20重量
%以下であることが好ましい。空隙型のインク吸収層に
おいては、固体微粒子の親水性バインダーに対する重量
比は、空隙の形成方法で異なり、前記空隙を形成させる
方法[3]の場合には、概ね6〜100であり、空隙を形
成させる方法[4]の場合には、2〜10である。本発明
のインクジェット記録用紙において、空隙型のインク吸
収層中には親水性バインダーとともにカチオン媒染剤を
含有する。カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級ア
ミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒
染剤を用いることができるが、経時での変色や耐光性の
劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどか
ら、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が
好ましい。好ましいポリマー媒染剤は、第4級アンモニ
ウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノ
マーとの共重合体または縮重合体である。以下に、好ま
しく用いられる第4級アンモニウム塩基を有するモノマ
ーの具体例を表す。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】 以下に好ましく用いられる第4級アンモニウム塩基を有
するポリマー媒染剤の具体例を示す。(数値はモル%を
表す。)
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】 カチオン媒染剤は、水溶性のポリマーよりなるポリマー
媒染剤であっても、また、乳化重合で合成されたラテッ
クス粒子よりなるポリマー媒染剤であってもよい。イン
ク吸収層が膨潤型のインク吸収層である場合にはラテッ
クス媒染剤が、また、インク吸収層が空隙型のインク吸
収層である場合には水溶性のポリマー媒染剤が好まし
い。
【0034】水溶性カチオン媒染剤の中でも、平均分子
量が5万以下であるカチオン媒染剤が、無機微粒子との
凝集が少ないため、カチオンサイトが効果的に耐水性や
耐湿性の改良に寄与し、また、光沢性が劣化しにくいた
めに好ましい。好ましい平均分子量は3万以下である。
平均分子量の下限は特に制約はないが耐水性や耐湿性の
観点より大凡2000以上である。ここで平均分子量は数平
均分子量のことでありゲルバーミエーションクロマトグ
ラフィーから求めたポリスチレン換算値をいう。媒染剤
の使用量は、インク吸収層が膨潤型か空隙型か、支持体
が吸水性か非吸水性か、更には記録液の染料の濃度や記
録密度等により変化するが、一般には、記録用紙1m2
たり0.2〜10g、好ましくは0.5〜5gの範囲で用いられ
る。本発明において、無機微粒子に対するカチオン媒染
剤の比率は重量比で0.01〜0.3である。0.01未満の場合
には、耐水性や耐湿性の効果が不十分になりやすく、ま
た、0.3を超えた場合にはカールが問題になりやすい。
【0035】本発明においては、インクジェット記録用
紙の記録面側の膜面pHを特定の値、即ち、3以上、5
以下の範囲にすることが必要である。本発明の記録用紙
においては、インクジェット記録用紙の記録面側の膜面
pHを特定の値に選定したため、必要最小量のカチオン
媒染剤の使用により最良の耐水性と耐湿性が得られ、カ
チオン媒染剤の使用量は最小限に押さえることができ、
カチオン媒染剤の多量使用による欠陥が生じるのを防ぐ
ことができる。膜面pHが3未満の場合には、耐水性や
耐湿性は大幅に改善されるが、インクジェット記録する
際に、記録液が記録用紙表面に接触した瞬間に染料が凝
集したり、記録後経時により染料が表面に析出したりし
て、良好な最大濃度が得られなかったり、色調不良を起
こしたりする。膜面pHが5を超える時には、耐水性や
耐湿性が不十分になり、特に耐湿性の低下が大きい。膜
面pHが耐湿性に影響を与える理由は定かではないが、
膜面pHが5を越えると、印字後に、高湿下で保存され
た場合に、インク吸収層中に取り込まれた水分により染
料の移動度が増大して、カチオン媒染剤が含有されてい
ても染料が滲んでしまうのではないかと考えている。こ
の印字後の滲みは、印字直後から高湿下で保存した方が
より顕著であり、記録液中に含まれるグリセリンやジエ
チレングリコール等の親水性の高沸点有機溶媒が皮膜か
ら蒸発しきらないときにより起こりやすい。高湿下で保
存した場合、インクジェットプリンターで印字された個
々のドットが経時で滲むようになるために、特にハイラ
イト部や中間濃度域で濃度変化として現れる。水中に浸
積した場合、膜面pHは変化してしまうと考えられるの
で、膜面pHが耐水性に影響を与える理由は定かではな
いが、膜面が特定のpHであった場合、染料が強固に媒
染剤に染着し、水中に浸積されても流れ出しにくくなる
ものと推定している。本発明において、膜面pHとは、
J.TAPPI紙パルプ試験方法 No.49に記載の方
法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pH
をいう。
【0036】膜面pHを本件発明の範囲、即ち3以上、
5以下に調節する方法としては、インク吸収層を形成
する塗布液のpHをあらかじめ決められた値に設定して
おき、塗布乾燥後に目的のpHにする方法。インク吸
収層の塗布乾燥後に、適当なpHの液をオーバオーコー
トし、乾燥して目的のpHを得る方法。インク吸収層
の塗布乾燥後に、適当なpHの水溶液中に浸積・乾燥す
る方法。などが挙げられる。上記〜の方法のうち、
製造方法が簡略である点からするとの方法が好まし
い。の方法を実施する場合、塗布液のpHと乾燥塗膜
の膜面のpHとは必ずしも一致しないため、塗布液のp
Hと膜面pHとの関係をあらかじめ実験等により求めて
おくことが目的の膜面pHにするために必要である。
【0037】膜面pHの調節は、各種の酸またはアルカ
リを適当に組み合わせて行われる。酸としては、例え
ば、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等の無機酸、酢酸、クエン
酸、コハク酸等の有機酸が用いられ、アルカリとして
は、例えば、水酸化ナトリム、水酸化カリウム、水酸化
カルシウム、アンモニア水、炭酸カリウム、炭酸ナトリ
ウム、燐酸三ナトリウム、トリエタノールアミンなどが
用いられる。インク吸収層には、他に、種々の添加剤を
添加することができる。以下、説明する。
【0038】本発明の記録用紙のインク吸収層中には、
親水性バインダーを架橋し得る硬膜剤を添加する。イン
ク吸収層が膨潤型のインク吸収層である場合には、硬膜
化することによりインクの吸収速度が顕著に低下するの
で硬膜剤の使用量は最小限度にすべきである。空隙型の
インク吸収層は、硬膜化することにインク吸収速度が改
善されるので、親水性バインダーを架橋する。親水性バ
インダーが硬膜されることによりインク吸収速度が改良
されるのは、親水性バインダーのインク液に対する膨潤
性が抑制され、空隙の閉塞が防止されるためである。硬
膜剤は、親水性バインダーが持っている種々の官能基と
反応し得る基を有する化合物であり、例えば、エポキシ
基、ホルミル基、エチレンイミノ基、活性ビニル基等を
有する化合物である。硬膜剤の添加量は上記の如くイン
ク吸収層の違いにより大きく異なるが、膨潤型では親水
性バインダー1g当たり0.1〜20mg、空隙型では親水性
バインダー1g当たり5〜500mgである。
【0039】本発明で用いる親水性バインダーとしての
ポリビニルアルコールに対しては、ほう酸及び/または
ほう砂を硬膜剤として添加する。ほう酸及び/またはほ
う砂の使用量はポリビニルアルコール1g当たり50〜50
0mgである。上記以外に、例えば、特開昭57-74193号公
報、同57-87988号公報及び同62-261476号公報に記載の
紫外線吸収剤、特開昭57-74192号公報、同57-87989号公
報、同60-72785号公報、同61-146591号公報、特開平1-9
5091号公報及び同3-13376号公報等に記載されている退
色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界
面活性剤、特開昭59-42993号公報、同59-52689号公報、
同62-280069号公報、同61-242871号公報及び特開平4-21
9266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジ
エチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電
防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させるこ
ともできる。
【0040】本発明のインクジェット記録用紙は、イン
ク吸収層を支持体の同一側に2層以上有していてもよ
い。 具体的な層構成の例として以下のものが挙げられ
る。空隙型のインク吸収層のみから成る記録用紙(空
隙型のインク吸収層の重層構成を含む。)。膨潤型の
インク吸収層が下層に設けられ、上層に空隙型のインク
吸収層がある記録用紙(それぞれの層が2層以上になっ
ている場合を含む。)。空隙型のインク吸収層が下層
に設けられ、上層に膨潤型のインク吸収層がある記録用
紙(それぞれの層が2層以上になっている場合を含
む。)。本発明のインクジェット記録用紙には、インク
吸収層とは反対側に、カール防止、印字直後に重ね合わ
せた際のくっつきやインク転写の防止をはかるために種
々の種類のバック層を設けることが好ましい。バック層
は、支持体の種類や厚み、インク吸収層の構成や厚みに
よっても変わるが、一般には、バインダーとして親水性
バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック層
の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。また、バック
層には他の記録用紙とのくっつき防止、筆記性の改良、
さらにはインクジェット記録装置内での搬送性の改良の
ために表面を粗面化することができる。粗面化には、粒
径が2〜20μmの有機または無機の微粒子を用いること
ができる。
【0041】次に、本発明の記録用紙を用いてインクジ
ェット記録するときに用いる水性記録液について説明す
る。水性記録液は、通常、水溶性染料及び液媒体、その
他の添加剤からなっている。水溶性染料としては、公知
の、インクジェット記録で用いられている直接染料、酸
性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等
の水溶性染料が使用できるが、直接染料または酸性染料
が好ましい。水性記録液の溶媒は、水を主体とするが、
記録液が乾燥した際に染料が析出し、ノズル先端やイン
ク供給経路で目詰まりを起こすのを防止するために、通
常、沸点が約120℃以上で室温で液状の高沸点有機溶媒
が添加される。高沸点有機溶媒は、水が蒸発した際に染
料などの固形成分が析出し、粗大析出物が発生するのを
防止する作用を有することが必要であり、そのために、
水よりはるかに低い蒸気圧を有することが要求される。
また、水に対する混和性が高い必要がある。そのような
目的で用いられる高沸点有機溶媒としては、例えば、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール
モノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、
1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタント
リオール、1,2,4−ぺンタントリオール、1,2,
6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタ
ノールアミン、ポリエチレングリコール(平均分子量が
約300以下)等が挙げられる。また、上記した以外に
も、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等も
使用できる。これら多くの高沸点有機溶剤の中でも、ジ
エチレングリコール、トリエタノールアミン、グリセリ
ン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類、トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコ
ールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
【0042】水性インクが含有するその他の添加剤とし
ては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘
度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び
防錆剤、等が挙げられる。水性インクは、記録用紙に対
する濡れ性を良好にしたり、インクジェットノズルから
の吐出を安定化させる目的で、25℃において、25〜50dy
ne/cm、好ましくは28〜40dyne/cmの範囲内の表面張力
を有するのが好ましい。また、水性インクの粘度は、通
常25℃において2〜10cpが好ましく、更に好ましくは2.
5〜8cpである。本発明のインクジェット記録方法にお
いては、記録液のpHを3以上、8以下にすることが本
発明の効果を最大限引き出すのに好ましい。記録液のp
Hを8以下にすることで、本発明のインクジェット記録
用紙と組み合わせた場合、特に、相対湿度が80%を超え
る環境で記録され、そのままの状態で保存された場合、
耐湿性に対する改良効果が大きくなる。記録液のpHが
3未満になると、水溶性染料の安定性が低下して目詰ま
りを起こしやすくなったり、インクジェットプリンター
内のインク給液経路にある各種の材質を腐食し易くなっ
たりする。更に好ましい記録液のpHは3.5〜7であ
る。
【0043】インクノズルから吐出されるインク液滴の
容量が1〜30pLである場合、記録紙上で約20〜60μmの
直径のドット径が得られるので好ましい。このようなド
ット径で印字されたカラープリントは高画質の画像を与
える。更に好ましいインク液滴の容量は2〜20pLであ
る。また、少なくともマゼンタ及びシアンにおいて、濃
度が2倍以上異なる2種類の水性記録液を用いた記録方
式でインクジェット記録する場合、ハイライト部では低
濃度のインクが使用されるためにドットの識別がしにく
くなるが、本発明はかかる記録方式を用いた場合にも、
これらの欠点が生じることはない。インクジェット記録
方法において、記録方法としては、従来公知の各種の方
式を用いることができる。記録方法の詳細は、例えば、
インクジェット記録技術の動向(中村孝一編、平成7年
3月31日、日本科学情報株式会社発行)に記載されてい
る。
【0044】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。
【0045】実施例1 160g/m2の写真用原紙の両面をポリエチレンで被覆し
た紙支持体(記録面側には、厚さ35μmのアナターゼ型
二酸化チタンを13重量%含有するポリエチレン層が形成
されており、裏面側には厚みは25μmでポリエチレン層
が形成され、その上にTg=65℃のアクリル系ラテック
ス樹脂を固形分として0.6g/m2及び平均粒径が約13μm
のシリカをマット剤として0.3g/m2含有するバック層
が形成されている。)を用意した。 〈塗布液1−1の作製〉 純水900ml中に、1次粒子の平均粒径が約7nmの気相法
により合成された微粒子シリカ粉末180gを高速ホモジ
ナイザーで撹拌しながら添加しシリカ水分散液を作製し
た。次に、このシリカ水分散液中に、例示媒染剤Mor
−1(カチオン媒染剤)の25%水溶液を100ml添加し、3
0分間高速ホモジナイザーで分散して青白い澄明な分散
液を得た。次に、平均重合度が300でケン化度が88%の1
0%ポリビニルアルコール水溶液を1ml添加し、更に、
平均重合度が3500でケン化度が88%の5%ポリビニルア
ルコール水溶液(酢酸エチルを4重量%含有)530mlを
徐々に添加した。次いで、硬膜剤として4%ほう酸水溶
液40mlを添加し、また、20mlのエタノールを添加し、更
に、10%ゼラチン水溶液を50ml加えて空隙型のインク吸
収層を形成する塗布液1−1を作製した。 〈記録用紙1−1の作製〉 40℃に加温した塗布液1−1を、上記の両面をポリエチ
レンで被覆した紙支持体の記録面側に湿潤膜厚が260μm
になるように塗布し、塗布皮膜温度が15℃以下になるよ
うに冷却した(20秒間)。次いで、25℃の風を60秒間、
30℃の風を60秒間、40℃の風を60秒間、50℃の風を120
秒間、更に35℃の風を60秒間順次吹き付けて乾燥し、更
に、25℃、相対湿度50%の雰囲気を120秒間通過させて
調湿して記録用紙1−1を作製した。
【0046】得られた記録用紙1−1の膜面pHを表1
に示す。 〈記録用紙1−2〜1−5の作製〉 塗布液1−1のpHを硝酸または水酸化ナトリウムを用
いて変化させ、記録用紙1−1と同様にして、記録用紙
1−2〜1−5を作製した。得られた記録用紙1−2〜
1−5の膜面pHを表1に示す。
【0047】得られた記録用紙1−1〜1−5につい
て、空隙容量、インク吸収性、光沢度、カール、耐水
性、耐湿性、耐光性、最高濃度を下記により評価した。 〈1〉空隙容量 熊谷理機工業株式会社製、Bristow試験機II型(加圧
式)を使用し、接触時間2秒間における転移量(ml/
m2)を空隙容量として求めた。 〈2〉インク吸収性 熊谷理機工業株式会社製、Bristow試験機II型(加圧
式)を使用し、接触時間が0.5秒における転移量(ml/m
2)からインク吸収性を求めた。 〈3〉光沢度 日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS-101DP)で75
度鏡面光沢を測定した。 〈4〉カール 23℃、相対湿度が20%の環境と、30℃、相対湿度が80%
の環境に、A5サイズの試料を30分間放置し、4隅の高
さを測定し、その平均値を求め、カールを評価した。記
録面を上側にして記録用紙を台上に載置したとき、記録
用紙の端部が台上より高ければ+、記録面を下側にして
記録用紙を台上に載置したとき、記録用紙の端部が台上
より高ければ−としてカールの高さを表示した。この高
さが±10mm以下で有れば概ね実用上問題がない。
【0048】〈5〉耐水性 記録用紙に、オンデマンド型インクジェットプリンター
を用い、下記組成のマゼンタインクの記録液で反射濃度
が約1.0になるように印字した。印字後、室温で純水中
に12時間浸漬してから反射濃度を再度測定した。純水に
浸漬する前の反射濃度に対して浸漬後の反射濃度の残存
率を求め、耐水性とした。 (マゼンタインクの記録液の組成) 純水 75ml ジエチレングリコール 10.3g グリセリン 7.3g C919O(CH2OCH2O)10H 0.05g DirectRed227 1.7g 水酸化ナトリウム/硫酸でpH=5.0±0.1に調整した
後、純水にて100mlに仕上げる。 〈6〉耐湿性 記録用紙に、23℃、相対湿度80%の環境下で、オンデマ
ンド型インクジェットプリンターを用い、上記組成のマ
ゼンタインクの記録液で、反射濃度が約0.5になるよう
に印字した。印字後、そのままの状態で48時間放置し
た。印字直後の反射濃度に対する放置後の反射濃度の変
化率(0%が濃度変化なし)を調べ、耐湿性とした。 〈7〉耐光性 記録用紙に、オンデマンド型インクジェットプリンター
を用い、上記組成のマゼンタインクの記録液で反射濃度
が約1.0になるように印字した。キセノンフェードメー
ターを用い、印字した記録用紙に100時間光照射し、光
照射後の反射濃度を測定し、光照射前の反射濃度に対す
る光照射後の反射濃度の比率を色素残存率として求め、
耐光性とした。 〈8〉最高濃度 記録用紙に、オンデマンド型インクジェットプリンター
を用い、下記組成のマゼンタインクの記録液で、マゼン
タの最高濃度が得られる条件で印字し、その反射濃度を
測定し、最高濃度とした。以上の結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】表1の結果から、膜面pHを3〜5の範囲
に調整した記録用紙1−2〜1−4は空隙容量・インク
吸収性・光沢度・カール・耐光性に殆ど悪影響を与える
ことなく耐湿性と耐水性をともに改良していることがわ
かる。これに対して、膜面pHが5.5である記録用紙1
−1は耐水性が若干低く、特に耐湿性がカチオン媒染剤
を含有しているのにも係わらず劣っている。また、膜面
pHを2.5にした記録用紙1−5は耐水性や耐湿性は優
れているものの染料の結晶化に伴うと見られる最大濃度
の顕著な低下が認められる。
【0051】実施例−2 例示媒染剤Mor−1を例示媒染剤をMor−4に変更
した以外は実施例−1と同様にして、表2に示す膜面p
Hを有する記録用紙2−1〜2−5を作製した。得られ
た記録用紙2−1〜2−5について、実施例−1と同様
にして、空隙容量、インク吸収性、光沢度、カール、耐
水性、耐湿性、耐光性、最高濃度を評価した。得られた
結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2の結果から、カチオン媒染剤をカチオ
ンモノマー単独重合体である例示媒染剤Mor−4に変
更した場合にも、実施例−1と同様の効果が得られるこ
とがわかる。例示媒染剤Mor−4を使用した場合、例
示媒染剤Mor−1に比較してカール特性が若干低下す
るが、耐水性と耐湿性が向上している。
【0054】実施例−3 〈塗布液3−1の作製〉 1次粒子の平均粒径が約20nmの20%コロイダルシリカ水
溶液900mlに純水100mlを加え、高速ホモジナイザーで撹
拌しながら例示媒染剤Mor−1の25%水溶液を150ml
添加し、更に30分間高速ホモジナイザーで分散して青白
い澄明な分散液を得た。次に、平均重合度が300でケン
化度が88%の10%ポリビニルアルコール水溶液を2mlを
添加し、更に平均重合度が3500でケン化度が88%の5%
ポリビニルアルコール水溶液(酢酸エチルを4重量%含
有)650mlを徐々に添加した。次いで、硬膜剤として4
%ほう酸水溶液40mlを添加し、また、20mlのエタノール
を添加し、更に、10%ゼラチン水溶液を50ml加えて空隙
型のインク吸収層を形成する塗布液3−1を作製した。 〈記録用紙3−1〜3−5の作製〉 上記塗布液3−1を用い、実施例−1で使用した支持体
上に、実施例−1と同様にして塗布・乾燥して、表3に
示す膜面pHを有する記録用紙3−1を作製した。更
に、実施例−1と同様にして、膜面pHを表3に示すよ
うなるように変化させた記録用紙3−2〜3−5を作製
した。得られた記録用紙3−1〜3−5について、実施
例−1と同様にして、空隙容量、インク吸収性、光沢
度、カール、耐水性、耐湿性、耐光性、最高濃度を評価
した。得られた結果を表3に示す。
【0055】
【表3】 表3に示す結果から、気相法により合成されたシリカに
代えてコロイダルシリカを用いた場合、空隙容量が低下
するが、実施例−1と同様に膜面pHを3〜5にした記
録用紙3−2〜3−4は最大濃度を低下させずに耐水性
と耐湿性を改良していることがわかる。
【0056】実施例−4 1次粒子の平均粒径が約7nmの気相法により合成された
微粒子シリカ粉末に代えて、1次粒子の平均粒径が12n
m、20nm及び50nmの気相法により合成された微粒子シリ
カ粉末を用いた以外は、実施例−1の記録用紙1−3と
同様にして記録用紙4−1〜4−3を作製した。また、
例示媒染剤Mor−1を下記の媒染剤−A及び−Bに変
更した以外は、実施例−1の記録用紙1−3と同様にし
て記録用紙4−4及び4−5を作製した。
【0057】
【化9】 得られた記録用紙4−1〜4−5の膜面pHを表4に示
す。また、得られた記録用紙4−1〜4−5について、
実施例−1と同様にして、空隙容量、インク吸収性、光
沢度、カール、耐水性、耐湿性、耐光性、最高濃度を評
価した。得られた結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】表4に示すように、記録用紙4−1〜4−
5のいずれもカールや耐光性、最大濃度を低下させずに
高い耐水性と耐湿性を有している。また、気相法により
合成された微粒子シリカ粉末の1次粒子の平均粒径が増
大すると徐々に空隙容量と光沢性が低下し、好ましいシ
リカの1次粒子の平均粒径は約30nm以下であることがわ
かる。また、媒染剤として分子量の高いものを使用した
場合には徐々に光沢が低下してくることがわかる。記録
用紙4−4及び4−5を作製するのに使用した塗布液に
は微小な凝集物が発生しておりこれが光沢低下の原因で
ある。
【0060】実施例−5 気相法により合成された微粒子シリカ(シリカ)とポリ
ビニルアルコール(PVA)の比率を表5に示すように
変化させた以外は、実施例−1の記録用紙1−3と同様
にして、記録用紙5−1〜5−4を作製した。得られた
記録用紙5−1〜5−4の膜面pHを表5に示す。ま
た、得られた記録用紙5−1〜5−4について、実施例
−1と同様にして、空隙容量、インク吸収性、光沢度、
カール、耐水性、耐湿性、耐光性、最高濃度を評価し
た。得られた結果を表5に示す。また、表5には、参考
のために記録用紙1−3の膜面pH、空隙容量、インク
吸収性、光沢度、カール、耐水性、耐湿性、耐光性、最
高濃度を示した。
【0061】
【表5】
【0062】表5に示すように、記録用紙5−1〜5−
4のいずれもカールや耐光性、最大濃度を低下させずに
高い耐水性と耐湿性を有している。気相法により合成さ
れた微粒子シリカ粉末のポリビニルアルコールに対する
比率を10以上にした記録用紙5−1は空隙容量が大きく
なり、インク吸収性が改善されているが、全面に微小な
クラツクが発生して光沢が低下している。また、気相法
により合成された微粒子シリカ粉末のポリビニルアルコ
ールに対する比率を2以下にした記録用紙5−4では空
隙容量が低下している。
【0063】比較例−1 例示媒染剤Mor−1の量を表7に示すように変化さ
せ、また、膜面pHが表7に示すようになるようにした
以外は、実施例−1の記録用紙1−1と同様にして、記
録用紙7−1〜7−3を作製した。なお、気相法により
合成された微粒子シリカ粉末及びポリビニルアルコール
の塗布量が一定になるようにした。従って、例示媒染剤
Mor−1の量を増加させるに伴い、膜厚が厚くなって
いる。得られた記録用紙7−1〜7−3の膜面pHを
に示す。得られた記録用紙7−1〜7−3について、
実施例−1と同様にして、空隙容量、インク吸収性、光
沢度、カール、耐水性、耐湿性、耐光性、最高濃度を評
価した。得られた結果を表6に示す。また、表6には、
参考のために記録用紙1−1の媒染剤量、膜面pH、空
隙容量、インク吸収性、光沢度、カール、耐水性、耐湿
性、耐光性、最高濃度を示した。
【0064】
【表6】 表6に示すように、膜面pHが5以上であった場合で
も、カチオン媒染剤の量を増量すると耐水性、耐湿性は
大きく改善されるが、膜面pH5以下にしたとき程には
耐湿性を改良することはできない。また、カチオン媒染
剤の量を増量するとカールが大きくなり、耐光性が急激
に悪化する。
【0065】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録用紙は、カ
チオン媒染剤の使用量が少なくても充分高い耐水性や耐
湿性が達成でき、カチオン媒染剤の使用によってもたら
されるカールの増大、耐光性の低化、汚染等の悪影響を
最小限に押さえることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−86033(JP,A) 特開 平8−197832(JP,A) 特開 平9−123594(JP,A) 特開 平7−179030(JP,A) 特開 平9−1921(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/00 D21H 27/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非吸水性支持体上にインク吸収層を有
    し、前記インク吸収層の記録面側の膜面pHを3以上、
    かつ5以下としたインクジェット記録用紙であって、前
    記インク吸収層の少なくとも1層は、親水性バインダー
    としてのポリビニルアルコール、アニオン性染料に対し
    て媒染力を有するカチオン媒染剤、合成非晶質シリカ及
    びコロイダルシリカから選ばれた少なくとも1種の無機
    微粒子、及び硬膜剤としてのほう酸またはほう砂を含有
    し、前記カチオン媒染剤の量が前記無機微粒子に対し
    て、重量比で0.01〜0.3であり、前記無機微粒子
    の前記親水性バインダーに対する重量比が2〜10であ
    って空隙が形成されていることを特徴とするインクジェ
    ット記録用紙。
  2. 【請求項2】 前記無機微粒子が、1次粒子の平均粒径
    が30nm以下の無機微粒子であることを特徴とする請求項
    に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 【請求項3】 前記カチオン媒染剤が、平均分子量5万
    以下の水溶性媒染剤であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のインク
    ジェット記録用紙に、pHが3以上、かつ8以下である
    記録液で記録することを特徴とするインクジェット記録
    方法。
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