JP2006240018A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、インクジェット記録材料に関するものであり、特に支持体に吸水性支持体を用い、塗層に表面亀裂を生じさせず、高光沢、高発色性、高インク吸収性を有し、塗布液の安定性に優れるため高い操業性を有するインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】吸水性支持体の少なくとも片面にインク受理層の塗布液を塗布・乾燥して、少なくとも一層のインク受理層を形成してなるインクジェット記録材料において、該インク受理層の塗布液にアルミナ水和物を主体とする無機超微粒子及び親水性バインダー、ホウ酸またはホウ酸塩とともに両性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関するものであり、特に支持体に吸水性支持体を用い、塗層に表面亀裂を生じさせず、高光沢、高発色性、高インク吸収性を有し、塗布液の安定性に優れるため高い操業性を有するインクジェット記録材料に関するものである。
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンターやプロッターはコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途に於いて近年急速に普及している。特に多色インクジェット方式により形成されるカラー画像は製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較しても遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途に於いては、印刷技術や写真技術よりも安価で済むことから広く応用されつつある。
さらに、用途の多様化に伴い、大判のポスターやPOPアート、製図用途に使用されることが多くなってきている。これら用途ではインクジェットの高鮮鋭性を活かせ、色彩性も優れていることから、良好な画像を得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとなる。これらへの適用はパーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、インクジェット記録材料を多用する理由ともなっている。
これらインクジェット記録装置の高性能化や用途の多様化により、インクジェット記録に対するニーズは高まっており、その結果、記録装置或いはインクジェット記録材料に求められる特性や要求もかなり高度になってきている。例えば、大判ポスターやPOPアート、また写真画像を出力する用途の場合、その用途が屋内外の展示や個人の記録保存といったものであるため、従来以上に画像の耐候性、画像保存性が求められるようになっている。このような要望に対し、インクおよびインクジェット記録材料の改良が進んでおり、従来と比べ、かなり良好な保存性が得られるようになってきている。しかしながら、特に耐候性に関しては未だ銀塩写真のレベルには到達しておらず、要求が満たされていないのが現状である。
このような要求を満たすために、最近では顔料タイプのインクが使用されるようになってきている。顔料インクは光やガスによる劣化も少なく、水によって再溶解しないため、染料タイプのインクよりも耐候性、画像保存性が向上することが知られている。しかし、インク中の色材顔料は染料と異なり溶媒に不溶であるため、インク中の色材顔料を安定に分散させる必要があり、インク中の色材顔料の比率を容易に上げられない。また、染料インクのように着色効率が高くなく、鮮明な発色を得にくい。
そのため、インクジェット記録材料に対する要求も必然的に高まってきている。顔料インクの吸収性を向上させる方法として、支持体上に塗布するインク受理層を厚くすることが考えられる。この方法でインク吸収性は改善されるが、塗層に表面亀裂が発生しやすくなり、インクが原紙方向に深く浸透するため、インク発色性が低下する。前述したように顔料インクの場合、染料インクと比較して鮮明な発色を得にくいため、インクが深く浸透するとインク発色性は著しく低下してしまう。さらにインク受理層を有しないインクジェット記録材料ではさらにその低下は著しい。
これらインクジェット記録材料は、良好なインクジェット記録性能を得る等の目的で、無機超微粒子を含有するインクジェット記録材料が提案され、一次粒子径が3〜30nmである主として気相法による合成シリカを使用するインクジェット記録材料や気相法シリカとコロイダルシリカを特定の割合にて混合した塗層を多層構成とするインクジェット記録材料が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、非吸水性支持体上に無機超微粒子、ポリビニルアルコールおよびホウ酸またはその塩を含有させた塗層を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。この方法によれば、表面亀裂を発生させずに比較的厚い塗層を得ることができるが、インク吸収性を向上させるために厚い塗層を設けるには、塗布液を室温以上に加温した後に塗布する、もしくは塗布後に冷却するなどして、塗布液を支持体上でセットさせ、粘度増加剤と無機超微粒子やバインダーと強固な結合を形成させた後、乾燥を行わなければならないため、生産効率が低下するうえ、塗層を厚くしてもインク吸収性は満足のいくものでは無いことがある。
また、アルミナ水和物をインク受理層に配する提案として、「支持体上に、少なくとも一層のインク受理層を設けてなる記録媒体において、該インク受理層中に、半径40Å乃至1000Åの細孔を持つ多孔性アルミナキセロゲルを含有することを特徴とするインクジェット記録媒体」や「透明な基材上に多孔質のインク受容層を設けた記録用シートにおいて、インク受容層が主として擬ベーマイトよりなり、そのインク受容層の半径100〜1000Åを有する細孔の全容積が0.1cc/g以下であることを特徴とする記録用シート」(例えば、特許文献7〜8参照)がある。
このようなインク受理層中に多孔性物質を含有させてなる記録媒体は、特定の細孔を有する多孔性物質における細孔内に、水性インク中の水分を吸収することができ、水性インク中のインク成分の滲みを防止することにより、画像の品質、例えば色濃度、発色性等を向上させることができるとされている。
しかしながら、インク受理層中に多孔性物質とバインダーを含有する塗布液においては、塗布液中における多孔性物質の分散性が悪いことに起因する問題及び多孔性物質とバインダー成分との相互作用による増粘、ゲル化等の問題により、塗布装置の塗布液流路内で滞留が発生し、塗布工程の操業性を悪化させるばかりでなく、塗布層の不均一性が引き起こされ品質に対しても悪影響を与えることがある。
また、前記特許文献7、8の如き問題点を解決すべく、窒素原子を含有するモノカルボン酸及び水系分散媒に分散され、微細なアルミナを含有し、弱酸性に調整されてなるアルミナ分散液とバインダーを含有するインクジェット記録材料が開示されている(例えば、特許文献9参照)。この方法によれば、非吸水性支持体の如き支持体が塗布液により膨潤、収縮しない支持体へのインク受理層塗設は比較的問題ないものの、支持体が塗布液により、膨潤、収縮を行う吸水性支持体へのインク受理層の塗設の際は支持体の膨潤、収縮に塗層が耐えきれず塗層に亀裂等の欠陥が発生することとなり、満足のいく品質が得られない。
特開平10−203006号公報 特開平8−174992号公報 特開2002−274021号公報 特開平7−76161号公報 特開平10−193777号公報 特開2002−2094号公報 特開昭60−245588号公報 特公平7−2430号公報等 特開平11−321078号公報
本発明は、インクジェット記録材料に関するものであり、特に支持体に吸水性支持体を用い、塗層に表面亀裂を生じさせず、高光沢、高発色性、高インク吸収性を有し、塗布液の安定性に優れるため高い操業性を有するインクジェット記録材料に関するものである。
(1)本発明は吸水性支持体の少なくとも片面にインク受理層の塗布液を塗布・乾燥して、少なくとも一層のインク受理層を形成してなるインクジェット記録材料において、該インク受理層の塗布液にアルミナ水和物を主体とする無機超微粒子及び親水性バインダー、ホウ酸またはホウ酸塩とともに両性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録材料により達成された。
(2)前記両性化合物がアミノ酸及びアミノ酸誘導体の少なくとも1種からなり、前記インク受理層の塗布液のpHが2.5〜4.5の範囲であることが好ましい。
(3)前記無機超微粒子と前記両性化合物の質量含有比率が100対1〜100対15であることが好ましい。
(4)前記無機超微粒子と前記親水性バインダーの質量含有比率が100対5〜100対20且つ前記親水性バインダーと前記ホウ酸またはホウ酸塩の質量含有比率がHBO換算で100対5〜100対20であることが好ましい。
(5)前記吸水性支持体上の少なくとも片面に一層以上の下塗り層を設け、該下塗り層上に前記インク受理層が塗設されてなることが好ましい。
(6)前記下塗り層に少なくとも無機微粒子として平均二次粒子径が1.2〜12μmの湿式合成シリカ及び親水性バインダーを含有することが好ましい。
(7)前記インク受理層の塗布液は前記無機超微粒子と前記親水性バインダー及び前記ホウ酸又はホウ酸塩が混合された後に前記両性化合物を混合することが好ましい。
本発明のインクジェット記録材料は、特に支持体に吸水性支持体を用い、塗層に表面亀裂を生じさせず、高光沢、高発色性、高インク吸収性を有し、塗布液の安定性に優れるため高い操業性を有する。
以下、本発明のインクジェット記録材料を詳細に説明する。
本発明者は、光沢性、発色性、インク吸収性の点から、アルミナ水和物を主体とした無機超微粒子をインク受理層の顔料成分とし、バインダー成分として親水性バインダーを適用した構成が好ましいことを見出した。但し、該構成においては、特に吸水性支持体上にインク吸収性を確保する目的で、比較的インク受理層を厚く塗設した場合に、塗層に表面亀裂を生じ易いという問題点があった。これらの問題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、インク受理層の塗布液にホウ酸またはホウ酸塩を含有せしめることで、塗層の表面亀裂を軽減できることを見出した。しかし、アルミナ水和物と水溶性バインダーを含有する塗布液にホウ酸またはホウ酸塩を含有せしめると、塗布液が経時で増粘・ゲル化するという塗布液の安定性に大きな問題が発生することが確認された。この塗布液の安定性は塗布液の固形分濃度を大幅に低下させることでも対処が可能ではあるが、その際には、吸水性支持体への塗布液中の水溶性成分浸透により吸水性支持体の膨潤、収縮を不必要に大きくし、インク受理層塗設時に表面亀裂を発生させる一因となり、光沢性や発色性を著しく損なう結果となった。このような問題を回避すべく、塗布液の固形分濃度を低下させずに、塗布液の安定性を向上させるべく、更に鋭意検討を行った結果、塗布液にホウ酸またはホウ酸塩とともに両性化合物を含有せしめることで、インク受理層に表面亀裂がなく且つ塗布液の安定性に優れたインク受理層塗布液が得られることを見出した。更に、ホウ酸またはホウ酸塩とともに両性化合物をインク受理層に含有することで、光沢性、インク発色性が大きく向上することを見出した。
即ち、本発明者は支持体に吸水性支持体を用い、塗層に表面亀裂を生じさせず、高光沢、高発色性、高インク吸収性を有し、塗布液の安定性に優れるため高い操業性を有するインクジェット記録材料について鋭意検討した結果、インク受理層の塗布液にアルミナ水和物を主体とする無機超微粒子及び親水性バインダー、ホウ酸またはホウ酸塩とともに両性化合物を含有することによって解決した。
以下、本発明に係わるインク受理層について説明する。
本発明のインク受理層に適用されるアルミナ水和物は、一般式Al・nHOにより表すことができる。アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
また、インク受理層に用いるアルミナ水和物粒子の粒子径範囲としては、平均一次粒子径が10〜30nm、平均二次粒子径が50〜300nmとすることでインク吸収性と発色性の点から好ましい。
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、乳酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、インク受理層にはアルミナ水和物以外の無機超微粒子を含有しても構わない。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化スズゾル、酸化ニオブゾル、酸化セリウムゾル、酸化ランタンゾル、酸化チタンゾル、酸化ネオジミュームゾル、酸化イットリウムゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、湿式合成シリカ、気相法シリカ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料や無機ゾルなどの公知の無機超微粒子を用いることができる。これらのなかでも、インク吸収性、発色性の点から、湿式合成シリカ、気相法シリカを好ましく用いることができる。これらのアルミナ水和物以外の無機超微粒子の配合量は無機超微粒子の総和に対して30質量%以下の比率であることが本発明において好ましい。
本発明のインク受理層に用いられる親水性バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール、またはシリル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの親水性バインダー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂ラテックス等が挙げられ、これらを1種以上使用できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、無機超微粒子と親水性バインダーの質量含有比比率は100対5〜100対40であることが好ましく、100対5〜100対20であることが更に好ましい。
本発明のインク受理層に用いられる、親水性バインダーとしては、接着力の点から、ポリビニルアルコール、またはシリル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体が好ましい。アルミナ水和物との混合性、塗布液粘度の調整、および成膜性等の点で重合度2000以上、ケン化度が78%以上96%未満のポリビニルアルコールが特に好ましい。
本発明のインク受理層において用いられるホウ酸としては、オルトホウ酸だけでなくメタホウ酸、次ホウ酸等が使用できる。ホウ酸塩はこれらの可溶性塩が好ましく、具体的には、Na・10HO、NaBO・4H0、K・5HO、NHHB・3HO、NHBO等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明のインク受理層に用いられる親水性バインダーとホウ酸またはホウ酸塩の質量含有比は、HBO換算で100対2〜100対30であることが好ましく、100対5〜100対20であることが更に好ましい。
本発明の両性化合物とは酸性基と塩基性基の双方を含む両性化合物であり、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、ジョードチロシン、スリナミン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、シスチン、システィン、α−アミノ酪酸、ベタイン等のモノアミノモノカルボン酸やアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン等のモノアミノジカルボン酸やリジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジン等のジアミノモノカルボン酸あるいはこれらの光学活性体、ラセミ体であっても構わない。また、これらの酸性基が硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等の無機酸基、或いは有機酸基、また、塩基性基が1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩であってもよく、いずれにしろ、1分子内に酸性基と塩基性基の両方があれば特に限定するものではない。
また、本発明の両性化合物としては、環内に窒素原子を1個以上ふくむ六員環複素環式化合物、例えばニコチン酸等のアジン類やジアジン類、トリアジン類、テトラジン類、オキサジン類、チアジン類であり、これらの炭素原子と隣接する水素原子をカルボン酸等の有機酸或いは無機酸で置換したアジン誘導体、または前記アジン誘導体の窒素原子に隣接した水素原子をアルキル基等で置換したアジン誘導体であってもかまわない。
また、本発明の両性化合物としては、環内に窒素原子を1個以上含む五員環複素環式化合物、例えばアゾール類、ジアゾール類、トリアゾール類、テトラゾール類、オキサゾール類、チアゾール類であり、これらの炭素原子と隣接する水素原子をカルボン酸等の有機酸或いは無機酸で置換したアゾール誘導体、または前記アゾール誘導体の窒素原子に隣接した水素原子をアルキル基等で置換したアゾール誘導体であってもかまわない。
また、本発明の両性化合物は合成高分子化合物(例えば、日東紡社製:PAS−410)或いは両性澱粉(例えば、National Starch&Chemical社製:Cato3210)及びその変性物や両性グアーガムや両性界面活性剤であってもかまわない。
前記両性化合物から、アミノ酸及びアミノ酸誘導体がインク受理層塗布液の液性安定性及びインクジェット品質の点から好ましく用いられ、更にグリシン、ベタイン、アラニン、ニコチン酸が特に好ましく用いられる。
また、本発明のインク受理層に用いられる無機超微粒子と両性化合物の質量含有比率は100対1〜100対15であることが好ましい。質量含有比率が100対1未満であると両性化合物適用の効果が充分でなく、100対15を超えるとインク吸収性が低下することがある。
また、本発明のインク受理層に用いられる両性化合物を添加するタイミングは特に限定されるものではないが、インク受理層塗布液のアルミナ水和物粒子を主体とした超無機微粒子を種々の酸類により水系分散を行い、次いで親水性バインダー及びホウ酸又はホウ酸塩添加後に両性化合物を添加することがインク受理層塗布液の液性安定性の点から好ましい。
本発明においてインク受理層塗布液のpHが2〜5である事が好ましい。更に好ましくはpHが2.5〜4.5である。この範囲とすることで、pHが低い際に生じる色材の不必要な凝集や色相の変動を防止でき、またpHが高い際に生じる無機超微粒子分散体の分散不足を防止出来るために好ましい。
更に、本発明のインク受理層には、その他の添加剤として、カチオン系染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを本発明の目的を害しない範囲で適宜添加することもできる。
また、本発明において、インク受理層を塗設する吸水性支持体には下塗り層が設けられていても構わない。下塗り層としては、無機微粒子を含有する多孔質の下塗り層であることが好ましい。
本発明の下塗り層の無機微粒子としては例えば、湿式合成シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ水和物、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、湿式合成シリカ、酸化スズゾル、酸化ニオブゾル、酸化セリウムゾル、酸化ランタンゾル、酸化チタンゾル、酸化ネオジミュームゾル、酸化イットリウムゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの公知の白色無機顔料や無機ゾルなどを用いることができる。
本発明の下塗り層の無機微粒子としてはインク吸収性の点から湿式合成シリカを好ましく用いることができる。
湿式法シリカは、製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカ等に分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカ二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ株式会社からニップシールとして、株式会社トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学工業株式会社からミズカシルとして、グレースジャパン株式会社からサイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業株式会社からスノーテックスとして市販されている。また、その他の方法として、アルコキシド加水分解法などにより、コロイダルシリカはつくられている。
尚、本発明における湿式合成シリカとは前記の沈降法或いはゲル法により製造されたシリカを示す。
本発明において、下塗り層に用いる湿式合成シリカの平均二次粒子径の範囲は1.2〜12μmであることが好ましい。1.2μm未満であると、インク吸収性が低下することがあり、また、12μmを超えるとインク受理層塗設時に下塗り層を充分に被覆させるために必要なインク受理層塗布量が増加しすぎる事となり、インク受理層塗膜が必要以上に厚くなりすぎ、インク受理層表面に亀裂が発生することがある。
本発明において、下塗り層には、無機微粒子、バインダーの他に添加剤として、染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
本発明の下塗り層に用いられるバインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール、またはシリル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの親水性バインダー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂ラテックス等が挙げられ、これらを1種以上使用できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらのバインダーのうち、接着力の点から、ポリビニルアルコール、またはシリル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体が好ましい。また架橋剤としてホウ酸またはホウ酸塩を用いることが好ましい。
本発明の下塗り層に使用されるバインダーの配合量としては、無機微粒子の総和に対して、5〜60質量%、好ましくは、10〜40質量%である。
本発明に用いる支持体は吸水性の支持体であれば特に限定されるものではないが、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどの木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造されたパルプ繊維を主成分とした支持体が好ましく用いられる。更に支持体に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設けても構わない。この様な紙および塗布紙に、そのまま本発明における塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を使用しても良い。
本発明において、下塗り層及びインク受理層は、下塗り層およびインク受理層の塗布液を支持体上に順次塗布、乾燥して設ける。
本発明において下塗り層およびインク受理層を設ける際に、塗布する方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により塗布することができる。
本発明において、塗布液塗布後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができるが、特に熱風を吹きつける方法、赤外線を照射する方法など、加熱により乾燥する方法は、生産性が良く好ましく用いられる。
本発明において、下塗り層またはインク受理層を塗布、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。また、公知のキャストコート法を用いて光沢面を形成することができる。
また、本発明において、インク吸収性向上、光沢性向上、耐傷性付与或いは摩擦係数コントロール等を目的として、インク受理層の上に更に一層以上の塗層を設けても構わない。
実施例
以下に本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」および「%」は特に明示しない限り固形分の質量部および質量%を示す。
<支持体1>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を水と混合してスラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量105g/mで抄造し、市販酸化澱粉をインクラインドサイズプレスで乾燥付着量5g/mとさせて乾燥して吸水性支持体を得た。
<支持体2>
市販の白色PETフィルム(メリネックス6421:帝人デュポンフィルム株式会社製)を支持体2として用いた。
<下塗り層塗布液1>
平均二次粒子径6μmの湿式合成シリカ(サイロイド74X6500:グレース・ディビィソン社製)100部を固形分濃度20%となるように水に分散し、シリカスラリーを得た。そのシリカスラリー100部に平均一次粒子径15nmのコロイダルシリカ懸濁液(スノーテックス20:日産化学工業社製:pH9.5)50部、ポリビリルアルコール(PVA117:クラレ社製)30部、四ホウ酸ナトリウム0.5部を加え、pHが10となるように水酸化ナトリウムにて調整、固形分濃度14%の下塗り層塗布液1の塗布液を得た。
<下塗り層塗布液2>
平均二次粒子径3.5μmの湿式合成シリカ(サイロイド72W:グレース・ディビィソン社製)100部を固形分濃度20%となるように水に分散し、シリカスラリーを得た。そのシリカスラリー100部に平均一次粒子径15nmのコロイダルシリカ懸濁液(スノーテックス20:日産化学工業社製:pH9.5)50部、ポリビリルアルコール(PVA117:クラレ社製)30部、四ホウ酸ナトリウム0.5部を加え、pHが10となるように水酸化ナトリウムにて調整、固形分濃度14%の下塗り層塗布液2の塗布液を得た。
<下塗り層塗布液3>
平均二次粒子径10μmの湿式合成シリカ(サイロイド74X3500:グレース・ディビィソン社製)100部を固形分濃度20%となるように水に分散し、シリカスラリーを得た。そのシリカスラリー100部に平均一次粒子径15nmのコロイダルシリカ懸濁液(スノーテックス20:日産化学工業社製:pH9.5)50部、ポリビリルアルコール(PVA117:クラレ社製)30部、四ホウ酸ナトリウム0.5部を加え、pHが10となるように水酸化ナトリウムにて調整、固形分濃度14%の下塗り層塗布液3の塗布液を得た。
<インク受理層塗布液1>
平均一次粒子径16nmの擬ベーマイトアルミナ100部及び分散剤として硝酸1部をイオン交換水(電気伝導度4μS/cm)と混合し、固形分濃度30%となるように調節し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速15m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度20%、平均二次粒子径120nmの無機超微粒子スラリーを得た。その無機超微粒子スラリー100部にホウ酸を1部、ポリビリルアルコール(PVA235:クラレ社製)10部加えた。更にその後グリシンを4部加えて、固形分濃度20%のインク受理層塗布液1を得た。尚、このインク受理層塗布液1のpHは3.5であった。
<インク受理層塗布液2>
平均一次粒子径16nmの擬ベーマイトアルミナ100部、分散剤として硝酸1部及びベタイン4部をイオン交換水(電気伝導度4μS/cm)と混合し、固形分濃度30%となるように調節し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速15m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度20%、平均二次粒子径120nmの無機超微粒子スラリーを得た。その無機超微粒子スラリー100部にホウ酸を1部、ポリビリルアルコール(PVA235:クラレ社製)10部加えて、固形分濃度20%のインク受理層塗布液2を得た。尚、このインク受理層塗布液2のpHは3.7であった。
前記支持体1に前記下塗り層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量10g/mとなるように塗布、乾燥し、下塗り層塗布サンプルを作製した。次に、下塗り層上に前記内容のインク受理層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量15g/mとなるよう塗布、乾燥し、インク受理層サンプルを作製した。次に、線圧5kN/m、速度6m/minの条件でインク受理層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例1のインクジェット記録材料を得た。
前記インク受理層塗布液1のグリシンを1部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例2のインク受理層塗布液のpHは3.0であった。
前記インク受理層塗布液1のグリシンを8部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例3のインク受理層塗布液のpHは3.9であった。
前記インク受理層塗布液1のグリシンを12部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例4のインク受理層塗布液のpHは4.3であった。
前記インク受理層塗布液1のグリシンをアラニン4部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例5のインク受理層塗布液のpHは3.6であった。
前記インク受理層塗布液1のグリシンをベタイン4部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例6のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例6のインク受理層塗布液のpHは3.7であった。
前記インク受理層塗布液1のグリシンをニコチン酸4部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例7のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例7のインク受理層塗布液のpHは3.4であった。
前記インク受理層塗布液1のホウ酸を0.5部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例8のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例8のインク受理層塗布液のpHは3.5であった。
前記インク受理層塗布液1のホウ酸を2部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例9のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例9のインク受理層塗布液のpHは3.5であった。
前記インク受理層塗布液1のポリビニルアルコールを5部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例10のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例10のインク受理層塗布液のpHは3.5であった。
前記インク受理層塗布液1のポリビニルアルコールを20部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例11のインクジェット記録材料を得た。尚、実施例11のインク受理層塗布液のpHは3.5であった。
前記下塗り層塗布液1を下塗り層塗布液2に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例12のインクジェット記録材料を得た。
前記下塗り層塗布液1を下塗り層塗布液3に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例13のインクジェット記録材料を得た。
前記インク受理層塗布液1を前記インク受理層塗布液2に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例14のインクジェット記録材料を得た。
前記支持体1に前記内容のインク受理層塗布液1をエアーナイフコーターにて固形分塗布量20g/mとなるよう塗布、乾燥し、インク受理層サンプルを作製した。次に、線圧5kN/m、速度6m/minの条件でインク受理層面が金属ロール面に2回当たるようにソフトカレンダー処理を行い、実施例15のインクジェット記録材料を得た。
(比較例1)
前記インク受理層塗布液1のグリシン及びホウ酸を除いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録材料を得た。尚、比較例1のインク受理層塗布液のpHは2.8であった。
(比較例2)
前記インク受理層塗布液1のグリシンを除いた以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を得た。尚、比較例2のインク受理層塗布液のpHは2.8であった。
(比較例3)
前記インク受理層塗布液1のホウ酸を除いた以外は実施例1と同様にして、比較例3のインクジェット記録材料を得た。尚、比較例3のインク受理層塗布液のpHは3.5であった。
(比較例4)
前記支持体1を前記支持体2に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4のインクジェット記録材料を得た。
(比較例5)
前記支持体1を前記支持体2に変更した以外は実施例15と同様にして、比較例5のインクジェット記録材料を得た。
以上のようにして、作製した実施例及び比較例のインクジェット記録材料について、下記内容の試験を行った。その結果を表1に示す。
<作製直後のB型粘度>
B型粘度はインク受理層塗布液を作製直後に液温15℃となるように撹拌を行いながら調節、その後B型粘度計(形式BL:東京計器社製)にてローター回転数60rpmの条件で測定した。
<塗布液安定性>
塗布液安定性は、インク受理層塗布液の下記式により求められる粘度上昇率(15℃における測定)の値から、下記基準にて判定した。
粘度上昇率=1時間静置後のB型粘度の対数値÷作製直後のB型粘度の対数値
◎:粘度上昇率が1.10以下であり、静置後粘度上昇が殆どなく塗布液が安定している。
○:粘度上昇率が1.10〜1.20であり、静置後粘度上昇が見られるものの粘度上昇率がさほど大きくなく比較的安定である。
×:粘度上昇率が1.20以上であり、実使用上において塗布装置の塗布液流路内での滞留が発生し、品質及び操業性に悪影響を及ぼす可能性が高い。
<白紙部光沢性>
白紙部光沢性として、JIS−Z8741に準じて75度鏡面光沢度について測定を行った。
<表面亀裂観察>
インク受理層表面の表面亀裂の有無は、作製したインクジェット記録材料の表面を倍率100倍の顕微鏡観察により下記の基準で評価を行った。
◎:表面亀裂が観察されず問題なし。
○:表面亀裂が僅かに観察されるが、実用上問題ないレベル。
×:表面亀裂が多数散見されており、実使用不可レベル。
<インク吸収性>
セイコーエプソン(株)製「MAXART MC−10000(プリンター設定:MC光沢用紙、きれい)」を用いて画像を印刷し、インク吸収性について下記の基準で、総合的に評価を行った。尚、評価に用いた画像は黒、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーン各色のベタ印刷字およびその中に白抜き文字を設けたパターンなどからなる。
◎:倍率25倍の顕微鏡観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に滲みが観察されず問題なし。
○:倍率25倍の顕微鏡観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に僅かに滲みが観察されるが実使用上問題なし。
×:目視観察で各色のベタ印刷部境界や白抜き文字部に明確な滲みがあり実使用不可。
<インク発色性>
セイコーエプソン(株)製「MAXART MC−10000(プリンター設定:MC光沢用紙、きれい)」を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色のベタ印刷を行い、光学濃度をマクベス反射濃度計で測定し、各色の光学濃度の合計値を示した。数値が大きい方が、インク発色性が良いことを意味する。
Figure 2006240018
表1の結果から明らかなように本発明の実施例1〜15のインクジェット記録材料は塗層に表面亀裂が殆どなく、高光沢、高発色性、高インク吸収性を有し、塗布液の安定性にも優れていることがわかる。
比較例として挙げた比較例1は、本発明のインク受理層の構成要素であるホウ酸またはホウ酸塩及び両性化合物が含有されていないため、塗層の表面亀裂に重大な問題が見られる。また、白紙部光沢性及びインク発色性にも問題が見られる。
比較例として挙げた比較例2は、本発明のインク受理層の構成要素である両性化合物が含有されていないため、塗層の表面亀裂は良化しているもののインク受理層塗布液の塗布液安定性に重大な問題が見られる。また、インク発色性にも問題が見られる。
比較例として挙げた比較例3は、本発明のインク受理層の構成要素であるホウ酸またはホウ酸塩が含有されていないため、塗層の表面亀裂に重大な問題が見られる。また、白紙部光沢性及びインク発色性にも問題が見られる。
比較例として挙げた比較例4は、白紙部光沢性が大きく低下、塗層の表面亀裂が悪化、更にはインク吸収性、インク発色性にも重大な問題が見られる。これは支持体が吸水性支持体ではなくPETフィルムであるため、支持体上に多孔質の下塗り層を塗設・乾燥後のインク受理層塗設時に、インク受理層塗布液中の水分が蒸発する過程で下塗り層内の空孔内に入り込み下塗り層空孔内内圧を高める。更に下塗り層はインク受理層塗布液の湿潤膜で被覆されているため、高められた下塗り層空孔内内圧によりインク受理層塗布液の湿潤膜全面が不均一に乱され、その状態で乾燥成膜される。それにより、インク受理層の塗布量分布が非常に不均一となり、凹凸な面が形成されることによるものと考えられる。
比較例として挙げた比較例5は、支持体がPETフィルムであり、支持体以外は実施例15と同一構成であるが、支持体が非吸水性支持体であるため、インク吸収性に重大な問題が見られる。尚、多孔質の下塗り層がないため、比較例4の如きボコボコとした面とはならず、均一性の高いインク受理層が得られている。

Claims (7)

  1. 吸水性支持体の少なくとも片面にインク受理層の塗布液を塗布・乾燥して、少なくとも一層のインク受理層を形成してなるインクジェット記録材料において、該インク受理層の塗布液にアルミナ水和物を主体とする無機超微粒子及び親水性バインダー、ホウ酸またはホウ酸塩とともに両性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 前記両性化合物がアミノ酸及びアミノ酸誘導体の少なくとも1種からなり、前記インク受理層の塗布液のpHが2.5〜4.5の範囲であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料。
  3. 前記無機超微粒子と前記両性化合物の質量含有比率が100対1〜100対15であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記無機超微粒子と前記親水性バインダーの質量含有比率が100対5〜100対20且つ前記親水性バインダーと前記ホウ酸またはホウ酸塩の質量含有比率がHBO換算で100対5〜100対20であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のインクジェット記録材料。
  5. 前記吸水性支持体上の少なくとも片面に一層以上の下塗り層を設け、該下塗り層上に前記インク受理層が塗設されてなる請求項1〜4のいずれか一項記載のインクジェット記録材料。
  6. 前記下塗り層に少なくとも無機微粒子として平均二次粒子径が1.2〜12μmの湿式合成シリカ及び親水性バインダーを含有することを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録材料。
  7. 前記インク受理層の塗布液が前記無機超微粒子と前記親水性バインダー及び前記ホウ酸又はホウ酸塩が混合された後に前記両性化合物を混合した塗布液を塗布・乾燥してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のインクジェット記録材料。
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