JP2006326913A - 画像処理方法、画像形成装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 主走査方向と副走査方向で解像度が異なる画像を形成するときに画像品質の向上と処理速度の両立を図ることが難しい。
【解決手段】 文字、グラフィックスの輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺のドットを検出し、階段状変化部周辺以外を形成するドットより小さなサイズのドットの変換するとき、主走査方向の解像度と副走査方向の解像度に応じてウンイドサイズ(ドット数)m、nが異なる参照パターンを用いて検出し、主走査方向と平行な線に近い斜線に対しても小さなドットの付加又は置換を行い、副走査方向と平行な線に近い斜線に対しては小さなドットの付加又は置換を行なわないようにする。
【選択図】 図26
【解決手段】 文字、グラフィックスの輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺のドットを検出し、階段状変化部周辺以外を形成するドットより小さなサイズのドットの変換するとき、主走査方向の解像度と副走査方向の解像度に応じてウンイドサイズ(ドット数)m、nが異なる参照パターンを用いて検出し、主走査方向と平行な線に近い斜線に対しても小さなドットの付加又は置換を行い、副走査方向と平行な線に近い斜線に対しては小さなドットの付加又は置換を行なわないようにする。
【選択図】 図26
Description
本発明は画像処理方法、画像処理装置及びプログラムに関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、プリンタ/ファクシミリ/複写機の複合機などの画像形成装置として、記録液の液滴を吐出する画像形成手段を備え、この画像形成手段から被記録媒体である用紙等に液滴を吐出して、画像形成(印刷、記録、印字、印写、画像形成はいずれも同義語として使用する。)を行なうことができるインクジェット記録装置などの画像形成装置がある。
このような画像形成装置としては、記録ヘッドを被記録媒体の幅方向に走査(主走査)しながら画像を形成し、1回または複数回の走査が終了した後に、被記録媒体を搬送し次の記録ラインを形成していくシリアル型のものと、記録液を吐出するノズルがほぼ被記録媒体の幅方向全域に配置されたライン型記録ヘッドを用いて、幅方向への走査は行なわずに、被記録媒体を搬送しながら画像を形成していくライン型のものがある。
ここで、シリアル型画像形成装置の場合、印字スピード(記録速度)は、画像の解像度、ノズル密度、ドットを形成する駆動周波数、副走査速度などによって決まる。この場合、印字スピードを向上するためには、印字領域を1回の主走査で形成する打ち方が好ましい。例えば、ノズル密度が300dpiのヘッドを用いて、副走査方向の解像度が300dpiの画像を形成するときは、ヘッドの移動方向(主走査方向)に1回の走査で形成することが可能であるのに対し、600dpiの画像を形成するときには、2回の主走査と1回の副走査(紙搬送)を行ういわゆるインターレス方式により画像を埋める必要があり、当然1回の走査で形成する方法(ノンインターレス方式)の方が画像を形成するスピードは速い。また、主走査方向に対しても、主走査方向の1ラインを形成する方法として、1回の主走査で形成する方法(1パス印字)と、複数回の主走査で形成する方法(いわゆるマルチパス印字)があるが、当然1回の主走査で形成できる1パス印字のほうが印字速度は速くなる。
ところが、例えば、液体吐出ヘッドとして液滴吐出圧力を発生させるための圧力発生手段に圧電素子を用いたものを使用した場合、ノズル密度の高密度化に限界があるため、1パス・ノンインターレス方式で画像を形成すると、必然的に画像の解像度は低くなってしまう。
そこで、このように画像密度が低解像度の場合、画質を向上するには、1画素を多値化する方法が採られている。この多値化の方法としては、例えば、1つのドットそのものの大きさを変える方法や、小さなドットを複数吐出して1画素を形成する方法、あるいは、インクそのものの濃度を変える方法などがある。
ところが、多値化による高画質化は、写真などのイメージ画像では有効であるが、グラフィックスや文字などではほとんど効果が得られない。これは、文字、グラフィックスの場合、地肌部が埋まるドットサイズ以上が必要であり、小サイズのドットを使用した場合、低濃度の文字、グラフィックス画像となってしまうためである。したがって、文字グラフィックスなどの2値画像では、低解像度特有の問題が生じてしまい、特に、文字の場合には、文字品質が劣化し、読みづらい文字となってしまう。
この低解像度特有の問題とインクの特質との関係について詳しく説明すると、インクジェット記録装置の記録画像は、ヘッドの走査方向、及びそれと直交する方向である記録紙の搬送方向にマトリクス状に形成されたドットで表される。
ここで、ドット画像として文字を印写したとき、印字する画像の解像度によって、文字の品質は大きく異なる。例えば、同じ大きさの文字を300dpiで印写したときと600dpiで印写したときとでは、文字を構成するドット数が約4倍異なるため、600dpiで印写したときの方が細かいところまで表現でき、当然のことながら文字品質は良くなる。特に、文字の斜線部では、解像度に従って階段状にドットが増えていく(あるいは、減っていく)ので、300dpiで印写したときの方が、ギザギザ(ジャギー)として認識されやすくなる。
したがって、文字滲みが生じるインクを使用した場合にはさほど目立たないジャギーの問題が、文字滲みの生じない(少ない)インク、例えば顔料系インクを使用した場合には、特に、低解像度記録時に顕著に現れて文字品質を低下させてしまうことになる。
このジャギーを低減する方法としてはレーザー方式の画像形成装置において、次の特許文献1ないし3に記載されているような方法が知られている。
例えば特許文献1に記載されているように、印字すべき画像を、黒色を含む複数色の複数の印字ドットで構成して印字する画像形成装置において、画像データから各色毎の2値のドットデータを生成するドットデータ生成手段と、上記ドットデータを記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された黒色のドットデータのなかから、印字すべき画像の輪郭部分に位置するエッジドットを判別するエッジドット判別手段と、上記エッジドット以外の黒色の印字ドットの大きさよりも、エッジドットおよび黒色以外の印字ドットの大きさが小さくなるように、ドットデータを変調する変調手段とを備えているものがある。
特許第3029533号公報
例えば特許文献1に記載されているように、印字すべき画像を、黒色を含む複数色の複数の印字ドットで構成して印字する画像形成装置において、画像データから各色毎の2値のドットデータを生成するドットデータ生成手段と、上記ドットデータを記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された黒色のドットデータのなかから、印字すべき画像の輪郭部分に位置するエッジドットを判別するエッジドット判別手段と、上記エッジドット以外の黒色の印字ドットの大きさよりも、エッジドットおよび黒色以外の印字ドットの大きさが小さくなるように、ドットデータを変調する変調手段とを備えているものがある。
また、特許文献2に記載されているように、注目画素に対する複数のエッジ形状パターンを記憶するエッジ形状パターン記憶手段と、エッジ形状パターン記憶手段に記憶されているエッジ形状パターンに対応して、多値画素出力によりスムージング処理を施すための高解像度多値画素パターンを記憶する多値画素パターン記憶手段と、入力された2値画像に対し、エッジ形状パターン記憶手段に記憶されている複数のエッジ形状パターンから注目画素に対するエッジ形状パターンを決定するエッジ形状パターン決定手段と、エッジ形状パターン決定手段によって決定されたエッジ形状パターンに基づいて、多値画素パターン記憶手段に記憶されている高解像度多値画素パターンの中から特定の多値画素パターンを選択する多値画素パターン選択手段とを具備する画像処理装置がある。
特開平10−126610号公報
さらに、特許文献3に記載されているように、黒ドット間に白ドットが介在する複数のドットパターンに対してそれぞれの黒ドットのドット径のサイズを現サイズよりも小さくなるように可変補正するためのデータを対応させてあらかじめ記憶しておく記憶手段と、記憶手段に記憶された複数のドットパターンから、入力されたドット画像データに基づくドットパターンと一致するドットパターンを検出する検出手段と、検出手段により一致するドットパターンが検出された場合、入力されたドット画像データについて、一致するドットパターンに対応させて記憶手段に記憶されたデータに基づいて黒ドットのドット径のサイズを現サイズよりも小さくなるように可変補正するドット径補正手段と、を備えた画像形成装置がある。
特許第3531454号公報
しかしながら、上述した特許文献1ないし3に記載されているようなジャギー補正の技術は記録液の液滴を用いて画像を形成する画像形成装置には適用することができない。
すなわち、LEDプリンタやレーザープリンタなどのように、10μm以下の粒径のトナーを用いるため、ほとんど普通紙上での広がりがなく、指定した通りの小さなドットが得られる画像形成装置において有効なものである。また、レーザープリンタではレーザーの発光位置や長さを微妙に変えることにより、指定したサイズのドットを最適な位置に形成することができるために可能になるものである。
これに対して、記録液を用いる画像形成装置では、レーザープリンタに比較すると、インクの広がりは大きく、また、LEDプリンタ、レーザープリンタに比べるとドットの形成に時間を要するため、駆動周期の間に駆動パルスの数や長さによって変更するドットサイズもそれほど多種に変えることは困難であり、せいぜい数種類のドットサイズの変更にとどまってしまう。また、同様の理由からドットの形成位置も、1画素内ではほぼ決まった位置にしか形成できず、LEDプリンタ、レーザープリンタのように比較的自由に1画素内で位置を変えることは困難である。
そこで、本出願人は、特許文献4に記載されているように、画像のうち少なくとも文字及び/またはグラフィックスの輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺を、この階段状変化部周辺以外を形成するドットより小さなサイズのドットで形成し、かつ、輪郭部の傾きに応じて小さなサイズのドットの形成方法を異ならせる画像形成装置を提案している。
特開2004−17546号公報
また、従来、特許文献5に記載されているように、アンチエイリアシングと呼ばれているスムージング方法もある。
実開平3−113452号公報
また、特許文献6に記載されているように、スムージング処理を行なうモードと行なわないモードを有し、文字又はグラフィックに対してのみスムージング処理を行なうようにしたものある。
特開2004−17552号公報
まず、アンチエイリアシングと呼ばれているスムージング方法は、特許文献4にも記載されているように、輪郭を非常に多くの階調でドットを変化させるため、高精度のスムージングができる一方、その処理が非常に複雑で、処理時間を必要とするため、最近のインクジェット記録装置のように高スループットを要求される画像形成装置には適していないなどの課題がある。
ところで、インクジェット記録において、高画質化を行うためには、ドットの階調数を上げ、更に解像度を上げることが有効な手段であるが、ノズルの配列ピッチ、即ちノズル解像度が低いため、被記録媒体の送り方向の解像度を上げた場合、複数の走査によってドットを形成するしかなく、そのために印刷速度が低下してしまうことになり、高速印刷と解像度向上を両立することが極めて難しくなる。
そこで、高速印刷と高画質化を達成する方法としては、記録ヘッドのノズル解像度によって制約を受ける方向は低解像度に画像形成し、記録ヘッドのノズル解像度の制約を受けない方向、例えばシリアル型であれば、圧力発生手段の駆動周波数を上げて滴吐出周波数を上げることで印刷速度(すなわちキャリッジの移動速度)を変えずに解像度アップがはかれる方向は高解像度に画像形成する方法がある。
しかしながら、この場合、主走査方向の解像度が上がることによって、画像輪郭の角度によっては、高解像度で階段状に変化するため、文字などではジャギーが目立たないが、別の角度では低解像度のまま階段状に変化するため、ジャギーが目だってしまう。
そのため、スムージング処理によりジャギー補正が必要となるが、前述した特許文献には主走査方向と副走査方向の解像度が異なるような場合の課題については認識されていない。そのため、一方の方向の解像度が高くなることでスムージングのための処理が複雑になり、必要メモリの増加によるコストアップ、処理時間の増加による印刷時間の増大という不具合が発生しているという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、印刷速度の向上と画像品質の向上を両立するための画像処理方法、画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像処理方法は、記録液の液滴を用いて、第1の方向とこの第1の方向に略直交する第2の方向とで解像度を異にして複数のドットからなる画像を形成可能な画像形成装置で出力するための画像データを生成する画像処理方法において、画像の輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換するとき、変換対象となるドットを、第1の方向及び第2の方向の解像度に応じてドット数m、nの異なるm×nのウインドウを用いて検出する構成とした。
ここで、画像の空白部のドットを検出し、この検出結果に応じて小さなサイズのドットに変換することが好ましく、この場合、複数の空白部のドットを小さなサイズのドットに変換することができる。
また、画像の画像部のドットを検出し、この検出結果に応じて小さなサイズのドットに変換することが好ましく、この場合、複数の画像部のドットを小さなサイズのドットに変換することができる。
さらに、小さなサイズのドットは複数の種類のドットサイズから選ばれていることが好ましい。また、画像の輪郭部の傾きに応じて所定のドットに変換することが好ましい。
また、画像の色に応じて階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換する処理を行なわないことが、若しくは、画像が文字画像であるときには、この文字画像のフォントサイズに応じて階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換する処理を行なわないことが、或いは、第1の方向又は第2の方向の解像度に応じて階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換する処理を行なわないことが好ましい。
本発明に係る画像形成装置は、第1の方向とこの第1の方向に略直交する第2の方向とで解像度を異にして複数のドットからなる画像を形成するときに本発明に係る画像処理方法を実行する手段を備えている構成としたものである。
本発明に係るプログラムは、本発明に係る画像処理方法をコンピュータに実行ささせる構成としたものである。
なお、第1の方向とは、シリアル型画像形成装置では記録ヘッドを走査する方向(主走査方向)とし、ライン型画像形成装置では記録ヘッドのノズルの並び方向とし、第2の方向とは、被記録媒体の送り方向とする。
本発明に係る画像処理方法、画像形成装置及びプログラムによれば、画像の輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換するとき、変換対象となるドットを、第1の方向及び第2の方向の解像度に応じてドット数m、nの異なるm×nのウインドウを用いて検出する構成としたので、印刷速度の向上と画像品質の向上とを両立することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、多値ドットを形成可能な画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例の機構部について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同インクジェット記録装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同じく概略平面説明図である。
このインクジェット記録装置は、フレーム1を構成する左右の側板1A、1Bに横架したガイド部材であるガイドロッド2とステー3とでキャリッジ4を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ5によって駆動プーリ6Aと従動プーリ6B間に架け渡したタイミングベルト7を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ4には、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッド11k、11c、11m、11yからなる記録ヘッド11を複数のインク吐出口(ノズル)を形成したノズル面11aのノズル列を主走査方向と直交する方向(副走査方向)に配列し、インク吐出方向を下方に向けて装着している。なお、ここでは独立した液滴吐出ヘッドを用いているが、各色の記録液の液滴を吐出する複数のノズル列を有する1又は複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。また、色の数及び配列順序はこれに限るものではない。
ここでは、記録ヘッド11は上述したように各色の液滴を吐出する別個の4個のヘッド11k、11c、11m、11yで構成し、各ヘッド11k、11c、11m、11yには図3に示すようにそれぞれ液滴を吐出する複数のノズルnを並べて配置してなるノズル列を2列(各ノズル列をノズル列NA、NBとする。)有する構成としている。これに限らず、図4に示すように、1つの記録ヘッド11に、各色の液滴を吐出するそれぞれ2列のノズル列11kA、11kB、11cA、11cB、11mA、11mB、11yA、11yBを配置した構成することもできるし、ブラックインクを吐出する1又は複数のノズル列を有するヘッドと、カラーインクを吐出する各色で1又は複数のノズル列を有するヘッドとで構成することもできる。
記録ヘッド11を構成するインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)としては、圧電素子などの圧電アクチュエータを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として備えたものを使用している。すなわち、圧力発生手段として、気泡を発生させるための発熱抵抗体を用いたサーマル型の場合には、気泡の体積を精度よく制御することが困難であって形成できるドットサイズを大きく変化させることができず、基本的には2値のドットサイズであり、一般的には形成するドット数で階調を表現せざるを得ない。これに対して、圧電アクチュエータを用いた場合には、圧電素子の変位量を精度良くコントロールすることができ、形成するドットの大きさを大きく変化させることができてドットサイズによって多階調を表現することができる。この場合、ドット径を変更する、つまり、多値のドットを形成するには、例えば、駆動パルスの電圧の大きさ、駆動パルスのパルス幅、パルス数などを変更することによって行なうことができる。
この記録ヘッド11にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル:FPCケーブル)12を介して接続している。
また、キャリッジ4には、記録ヘッド11に各色のインクを供給するための各色のサブタンク15を搭載している。この各色のサブタンク15には各色のインク供給チューブ16を介して、カートリッジ装填部9に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填9にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット17が設けられ、また、インク供給チューブ16は這い回しの途中でフレーム1を構成する後板1Cに係止部材18にて保持されている。
一方、給紙トレイ20の用紙積載部(圧板)21上に積載した用紙22を給紙するための給紙部として、用紙積載部21から用紙22を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)23及び給紙コロ23に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド24を備え、この分離パッド24は給紙コロ23側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙22を記録ヘッド11の下方側に送り込むために、用紙22を案内するガイド部材25と、カウンタローラ26と、搬送ガイド部材27と、先端加圧コロ29を有する押さえ部材28とを備えるとともに、給送された用紙22を静電吸着して記録ヘッド11に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト31を備えている。
この搬送ベルト31は、無端状ベルトであり、搬送ローラ32とテンションローラ33との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ34によって帯電(電荷付与)される。
この搬送ベルト31としては、1層構造のベルトでも良く、又は複層(2層以上の)構造のベルトでもよい。1層構造の搬送ベルト31の場合には、用紙32や帯電ロー34に接触するので、層全体を絶縁材料で形成している。また、複層構造の搬送ベルト31の場合には、用紙22や帯電ローラ34に接触する側は絶縁層で形成し、用紙22や帯電ローラ34と接触しない側は導電層で形成することが好ましい。
1層構造の搬送ベルト31を形成する絶縁材料や複層構造の搬送ベルト31の絶縁層を形成する絶縁材料としては、例えばPET、PEI、PVDF、PC、ETFE、PTFEなどの樹脂又はエラストマーで導電制御材を含まない材料であることが好ましく、体積抵抗率は1012Ωcm以上、好ましくは1015Ωcmなるように形成する。また、複層構造の搬送ベルト31の導電層を形成する材料としては、上記樹脂やエラストマーにカーボンを含有させて体積抵抗率が105〜107Ωcmとなるように形成することが好ましい。
帯電ローラ34は、搬送ベルト31の表層をなす絶縁層(複層構造のベルトの場合)に接触し、搬送ベルト31の回動に従動して回転するように配置され、軸の両端に加圧力をかけている。この帯電ローラ34は、体積抵抗率が106〜109Ω/□の導電性部材で形成している。この帯電ローラ34には、後述するように、ACバイアス供給部(高圧電源)から例えば2kVの正負極のACバイアス(高電圧)が印加される。このACバイアスは、正弦波や三角波でもよいが、方形波の方がより好ましい。
また、搬送ベルト31の裏側には、記録ヘッド11による印写領域に対応してガイド部材35を配置している。このガイド部材35は、上面が搬送ベルト31を支持する2つのローラ(搬送ローラ32とテンションローラ33)の接線よりも記録ヘッド11側に突出させることで搬送ベルト31の高精度な平面性を維持するようにしている。
この搬送ベルト31は、副走査モータ36によって駆動ベルト37及びタイミングローラ38を介して搬送ローラ32が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。なお、図示しないが、搬送ローラ32の軸には、スリットを形成したエンコーダホイールを取り付け、このエンコーダホイールのスリットを検知する透過型フォトセンサを設けて、これらのエンコーダホイール及びフォトセンサによってホイールエンコーダを構成している。
さらに、記録ヘッド11で記録された用紙22を排紙トレイ40に排紙するための排紙部として、搬送ベルト31から用紙22を分離するための分離爪41と、排紙ローラ42及び排紙コロ43とを備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット51が着脱自在に装着されている。この両面ユニット51は搬送ベルト31の逆方向回転で戻される用紙22を取り込んで反転させて再度カウンタローラ26と搬送ベルト31との間に給紙する。また、この両面ユニット51の上面は手差しトレイ52としている。
さらに、キャリッジ4の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド11のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構61を配置している。この維持回復機構61には、記録ヘッド11の各ノズル面11aをキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)62a〜62d(区別しないときは「キャップ62」という。)と、ノズル面11aをワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード63と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け64などを備えている。ここでは、キャップ62aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ62b〜62dは保湿用キャップとしている。
また、キャリッジ4の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け68を配置し、この空吐出受け68には記録ヘッド11のノズル列方向に沿った開口69などを備えている。
また、図1に示すように、キャリッジ4には用紙22の有無を検知するための媒体検知手段である赤外線センサ(センサの種類は、赤外線センサに限定するものではない。)からなる濃度センサ71を設けている。また、この濃度センサ71はキャリッジ4がホーム位置にあるときに記録領域(画像形成領域)側(搬送ベルト31側)に位置する側で、記録ヘッド11よりも用紙搬送方向上流側に設けている。
さらに、キャリッジ4の前方側には、スリットを形成したエンコーダスケール72を主走査方向に沿って設け、キャリッジ4の前面側にはエンコーダスケール72のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ73を設け、これらによって、キャリッジ4の主走査方向位置を検知するためのリニアエンコーダ74を構成している。
次に、このインクジェット記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの一例について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図6は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液滴吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び液室106、液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図6では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル12を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。なお、このノズル板103の表面が前述したノズル面34aとなる。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液滴吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
以上のように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙22が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙22はガイド25で案内され、搬送ベルト31とカウンタローラ26との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド27で案内されて先端加圧コロ29で搬送ベルト31に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、後述するACバイアス供給部から帯電ローラ34に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト31が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト31上に用紙32が給送されると、用紙22が搬送ベルト31に静電力で吸着され、搬送ベルト31の周回移動によって用紙22が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ4を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド11を駆動することにより、停止している用紙22にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙22を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。記録終了信号又は用紙22の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙22を排紙トレイ40に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト31を逆回転させることで、記録済みの用紙32を両面給紙ユニット51内に送り込み、用紙22を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ26と搬送ベルト31との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル31で搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ40に排紙する。
次に、このインクジェット記録装置で使用している記録液(インク)について説明する。すなわち、インクジェット記録装置で複写を禁止される文書であることを示す画像を印刷する場合、用紙に付着したドットが紙の繊維に沿って浸透し、広がってしまうというインクジェット特有の問題があることから、地紋印刷を実現しようとする場合、このドットの広がりやフェザリングをできるだけ少なくするインクを使用することが好ましいのである。このようなインクとしては、次に説明するインクがある。勿論、これに限定されるものではない。
このインクジェット記録装置で用いるインクは、次の(1)ないし(10)の構成を有するものであり、印字するための着色剤として顔料を使用し、それを分解、分散させるための溶剤とを必須成分とし、更に添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤とを使用する。湿潤剤1と湿潤剤2とを混合するのは各々湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調整が容易にできるためである。
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1
(3)湿潤剤2
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調製剤
(10)純水
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1
(3)湿潤剤2
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調製剤
(10)純水
ここで、(1)の顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。
インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
また、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
ここで、好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散液を使用することができる。
分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15、000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。分散剤としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6重量%〜20重量%含有し、0.05μm〜0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5,000から100,000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤が少なくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
(2)〜(4)の湿潤剤1・2と、水溶性有機溶剤に関しては、インク中に水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にし、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶剤が使用される。これら水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。湿潤剤と水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
(5)の界面活性剤に関しても,特に限定はされないが,アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
本発明における表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mJ/m2以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m2以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
(6)の炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテルに関しては、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対してを0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。(a)2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃)、(b)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25℃)。
25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のあるインクを作製することが可能となる。
(7)本発明のインクには樹脂エマルジョンが添加されている方が好ましい。
樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。
例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などが挙げられる。
また、樹脂エマルジョンは、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
さらに、上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
このように構成される、顔料、湿潤剤、炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル、アニオンまたはノニオン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を少なくとも含んでなる、顔料濃度が6wt%以上で、かつインク粘度が8cp(25℃)以上のインクを用いることにより、普通紙上へ印字したときの、良好な色調(十分な発色性、色再現性を有する)、高い画像濃度、文字・画像にフェザリング現象のない鮮明な画質を得ることができる。
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図7のブロック図を参照して説明する。
この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのI/F206と、記録ヘッド11を駆動制御するためのデータ転送手段を含むヘッド駆動制御部207、キャリッジ4側に設けた記録ヘッド11を駆動するためのヘッド駆動装置であるヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ5を駆動するための主走査モータ駆動部210と、副走査モータ36を駆動するための副走査モータ駆動部211と、帯電ローラ34にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、リニアエンコーダ74、ホイールエンコーダ236からの検出パルス、環境温度を検出する温度センサ215からの検出信号、及びその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル214が接続されている。
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM202にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
ヘッド駆動制御部207は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ208に出力する以外にも、ROM202に格納されてCPU201で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成される駆動波形生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形をヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド11の1行分に相当する画像データに基づいてヘッド駆動制御207から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド11のアクチュエータ手段(前述したヘッド構成では圧電素子121)に対して印加することでヘッド11を駆動する。
主走査モータ駆動部210は、CPU201側から与えられる目標値とリニアエンコーダ74からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出して内部のモータドライバを介して主走査モータ5を駆動する。
同様に、副走査モータ駆動制御部211は、CPU101側から与えられる目標値とホイールエンコーダ136からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出して内部のモータドライバを介して副走査モータ36を駆動する。
次に、ヘッド駆動制御部207及びヘッドドライバ28の構成の一例について図8を参照して説明する。
ヘッド駆動制御部207は、上述したように、1吐出周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部301と、画像データ(印字データ)、転送クロック、ラッチ信号、滴制御信号を出力するデータ転送部302とを備えている。滴制御信号M0〜M3は、ヘッドドライバ208のアナログスイッチ315の開閉を滴毎に指示する信号であり、共通駆動波形の吐出周期に合わせて選択すべき波形でHレベルに状態遷移し、非選択時にはLレベルに状態遷移する。
ヘッド駆動制御部207は、上述したように、1吐出周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部301と、画像データ(印字データ)、転送クロック、ラッチ信号、滴制御信号を出力するデータ転送部302とを備えている。滴制御信号M0〜M3は、ヘッドドライバ208のアナログスイッチ315の開閉を滴毎に指示する信号であり、共通駆動波形の吐出周期に合わせて選択すべき波形でHレベルに状態遷移し、非選択時にはLレベルに状態遷移する。
ヘッドドライバ208は、データ転送部302からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データを入力するシフトレジスタ311と、シフトレジスタ311の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路312と、画像データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ313と、デコーダ313のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ315が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ314と、レベルシフタ314を介して与えられるデコーダ313の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ315とを備えている。
このアナログスイッチ315は、各圧電素子121の選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部301からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データと制御信号をデコーダ313でデコードした結果に応じてアナログ316がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子121に印加される。
次に、このヘッドドライバ208の動作について図9をも参照して説明する。
まず、駆動波形生成部301からは、図9(a)に示すように、一吐出周期内に、基準電位(中間電位)V1から立下り(液室容積を拡大する方向)、所定のホールド時間を経た後基準電位V1に向けて立ち上がる(液室容積を収縮する方向)、複数のパルス(駆動信号)P1、P2、P3を含む共通駆動波形を出力する。
まず、駆動波形生成部301からは、図9(a)に示すように、一吐出周期内に、基準電位(中間電位)V1から立下り(液室容積を拡大する方向)、所定のホールド時間を経た後基準電位V1に向けて立ち上がる(液室容積を収縮する方向)、複数のパルス(駆動信号)P1、P2、P3を含む共通駆動波形を出力する。
ここで、パルスP1、P2で2個の液滴を吐出させて飛翔中に合体させることで大滴を形成させ、また、パルスP2の波形要素は立下り電位をパルスP1よりも低くすることでパルスP2だけで中滴を吐出できるようにし、また、パルスP3の波形要素は立下り電位をパルスP2よりも低くし、かつ、段階的に立ち上げることで、パルスP3だけで小滴を吐出できるようにしている。
また、駆動波形生成部301からは、大滴を選択するときには図9(b)、(c)に示すようにパルスP1、P2に対応する区間T1、T2でHレベルになる大滴制御信号M0を、中滴を選択するときには図9(d)、(e)に示すようにパルスP2に対応する区間T2でHレベルになる中滴制御信号M1を、小滴を吐出させるときには図9(f)、(g)に示すように区間T3でHレベルになる小滴制御信号M2を出力する。なお、非吐出のときには図9(h)に示すように電圧V1に維持される。
したがって、データ転送部302から転送する画像データに応じて、大滴、中滴、小滴、非吐出を選択することができ、大ドット、中ドット、小ドット、ドット無し、4階調の大きさのドット、即ち多値のドットを形成することができるようになる。
次に、この画像形成装置に画像データ等を転送する本発明に係る画像処理方法をコンピュータに実行させる本発明に係るプログラム(以下、プリンタドライバという。)を搭載した画像処理装置(ホスト側)の構成について図10を参照して説明する。
上述した画像形成装置では、装置内に画像の描画または文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たない構成としているので、画像処理装置としてのホスト側のプリンタドライバでドットパターンのデータを作成してこの画像形成装置に転送する。
すなわち、ホストコンピュータで実行されるアプリケーションソフトなどからのプリント命令はホストコンピュータ内にソフトウェアとして組み込まれた本発明に係るプリンタドライバで処理されて記録ドットパターンのデータにラスタライズされ、それが画像形成装置に転送され、プリントアウトされる。
具体的には、ホストコンピュータ内のCPU(主制御部)401によって実行されるアプリケーションソフト402やオペレーティングシステムからの画像の描画または文字の記録命令(例えば記録する線の位置と太さと形などを記述したものや、記録する文字の書体と大きさと位置などを記述したもの)は描画データメモリ403に一時的に保存さる。尚、これらの命令は、特定のプリント言語で記述されたものである。
この描画データメモリ403に記憶された命令は、ラスタライザ404によって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターンに変換され、また、文字の記録命令であればホストコンピュータ内に保存されているフォントアウトラインデータ408から対応する文字の輪郭情報を呼び出し指定された位置や大きさに応じて記録ドットパターンに変換されてラスタデータメモリ405に記憶される。
このとき、ホストコンピュータは、従来の直交格子を基本記録位置として、記録ドットパターンのデータにラスタライズする。このラスタデータメモリ405に記憶された記録ドットパターン(ドットデータ)が印字データとしてインターフェース406を経由してインクジェット記録装置側へ転送されるものである。このドットデータの生成処理時にジャギー補正部(処理)407によってドットデータの変換を行う。
そこで、本発明に係るプリンタドライバ、画像処理方法で行う画像又は画像データの文字、グラフィックスの輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺を、この階段状変化部周辺以外を形成するドットより小さなサイズのドットで形成又は小さなサイズのドットデータに変換するジャギー補正について説明する。
先ず、このジャギー補正を行わない場合について、比較のために図11ないし図13を参照して説明する。図11はジャギー補正を行わない画像処理の結果得られるドットデータで印字した場合の出力文字の例を示す説明図、図12は当該出力例における主走査方向(第1の方向)に近い斜線部のドット配置を示す説明図、図13は当該出力例における副走査方向(第2の方向)に近い斜線部のドット配置を示す説明図である。
ここで、画像の解像度は、副走査方向ではノズルピッチ(P1)と同じ解像度(この例では300dpi)で形成され、主走査方向では副走査方向より高密度(この例では、副走査方向の2倍の600dpi)で形成している。
これらの各図から分かるように、斜線部ではドットが階段状に配置される変化点が生じ、変化点で少なくとも1ドット分の段差が生じることになる。この場合、図13に示すように、副走査方向に平行な線に近い斜線、言い換えると縦線に近い斜線では、階段状の変化部が600dpiで変化するため、ジャギーが目立たない。これに対して、図12に示すように、主走査方向に平行な線に近い斜線、言い換えると横線に近い斜線では、階段状の変化部が300dpiで変化するため、ジャギーが目立つ劣悪な文字品質となる。
なお、これらの図12及び図13は、斜線の変化の度合いが、300dpiのドット配置で見た場合(600dpi方向には、2ドットで、300dpi1ドット分とみる)で、4ドットおきに1ドット階段状に変化する(この例では上がる)場合を示している。これを、図12では傾き1/4の斜線、図13では4/1の斜線という。
次に、本発明の第1実施形態におけるジャギー補正の異なる例について図14ないし図21を参照して説明する。なお、図14ないし図22に示す例をそれぞれ第1例ないし第8例とする。また、図14ないし図22に示す例は、傾き1/4の斜線のジャギー補正の異なる例を説明するための説明図であり、斜線部のドット配置を示したものである。
ここで、本発明における画像処理方法では、図14ないし図21に示す第1例ないし第8例のいずれかのように、主走査方向に平行な線に近い斜線に対してはジャギー補正を実施し、図22に示すように、副走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正は実施しない。
ここで、本発明における画像処理方法では、図14ないし図21に示す第1例ないし第8例のいずれかのように、主走査方向に平行な線に近い斜線に対してはジャギー補正を実施し、図22に示すように、副走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正は実施しない。
先ず、図14ないし図17に示す第1例ないし第4例は、階段状変化部の変化点の空白部に小滴(小ドット)を付加する例である。つまり、図14は変化点の1つの空白部(空白ドットD46、D61)を所定のドットである小ドット(小滴)に変換(置換)した例、同じく図15は変化点の2つの空白部(空白ドットD45、D46、D61、D62)を小ドットに変換した例、同じく図16は変化点の3つの空白部(空白ドットD44〜D46、D61〜D63)を小ドットに変換した例、同じく図17は変化点の4つの空白部(空白ドットD43〜D46、D61〜D64)を小ドットに変換した例である。
一方、図18ないし図21に示す第5例ないし第8例は、図20の4つの空白部を小ドットに置換(変換)した例において、更に階段状変化部の変化点の画像部を大ドットから小ドットに置換した例である。つまり、図18は変化点の1つの画像部(画像ドットD47、D60)を大ドットから所定のドットである小ドットに変換した例、同じく図19は変化点の2つの画像部(画像ドットD47、D48、D60、D59)を小ドットに変換した例、同じく図20は変化点の3つの画像部(画像ドットD47〜D49、D60〜D58)を小ドットに変換した例、同じく図21は変化点の4つの画像部(画像ドットD47〜D50、D60〜D57)を小ドットに変換した例である。
これらは、いずれも変化点の階段状の段差が小滴(小ドット)を形成することによって低減され、ドットの構成だけからも、比較的滑らかな斜線部が形成される。更に、インクジェット記録装置では、インクが紙に着弾後広がるという特性がある。また、普通紙に記録した場合、インクジェットでも染料を主体としたインクを用いた場合にはせっかくドットの構成によりジャギーが改善されても、フェザリングと呼ばれるひげ状のにじみにより、輪郭が凸凹したものとなり改善効果がなくなってしまうのに対し、本実施形態で用いた高粘度の顔料系インクによりフェザリング等が低減され、ひげ状のにじみはなくなり、ドットの構成による改善効果が比較的そのまま現れるため、効果的である。更にまた、本発明のインクでは、フェザリングが低減するが、全体的なにじみは多少なり生じることから、周囲のドットと相俟ってドット同士の輪郭部が滑らかになり、ジャギーが目立たなくなる傾向がある。そのため、このインクジェット特有の現象、さらには本発明のインク特有の現象により、ジャギーはほとんど目立たない滑らかな斜線部を形成することが可能となる。
なお、本実施形態では傾き1/4の斜線に関して述べたが,それ以外の傾き(1/3、1/5以下)の斜線、さらにはそれらのミラー反転した斜線に対しても同様に実施することができ、同様の効果が得られる。
また、図22に示すように、副走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正は実施しないので、前述した図13と同じドット構成となっている。
次に、本発明の第1実施形態におけるジャギー補正の他の異なる例について図23、図24を参照して説明する。なお、これらの図23及び図24ではドットの構成を示すために主走査方向を2倍にして表している。つまり、図23及び図24では、等間隔で表された隣り合うドットのピッチは、実際の被記録媒体上では、主走査方向600dpi、副走査方向300dpiのピッチとなる。
先ず、図23の例において、図23(a)は2つの階段状変化部F、Gの間の直線を形成するドットの数が主走査方向で4ドットの場合であり、これは副走査方向と同じ300dpiに換算すると2ドット分となることから傾き1/2の斜線である。この場合、図23(b)に示すように、小滴(小ドット)を変化点の空白部に4滴(4ドット)付加すると、斜線を形成する画像ドットと同じ位置(すなわち隣の変化点)まで付加することとなり、階段状の画像を改善することができなくなる。
そこで、ここでは、図23(c)に示すように、小滴(小ドット)の付加範囲をその変化点の手前まで(本実施形態では2画素手前、即ち「階段状変化部の間の直線を形成するドットの数−2」のドット数)としている。これによって、傾き1/2の斜線でもジャギーを改善した斜線が得られるようになる。また、傾き2/1の斜線の場合はジャギー補正を行わないので小滴の付加は行なわない。
次に、図24の更に他の例において、図24(a)は2つの階段状変化部の間の直線を形成するドットの数が主走査方向で「2」ドットの場合であり、これは副走査方向と同じ300dpiに換算すると1ドット分となることから傾き1/1の斜線である。すなわち、図24は実際に被記録媒体上に印字されると傾き45度の斜線を表している。もともと1/1の斜線は階段状の部分が連続しているため、ジャギーが目立ちにくく、インクジェット記録装置の場合、インクの広がりと、多少のにじみによって階段状の部分が緩和される傾向にかるため、このような場合には、小滴を付加しないようにしている。これにより傾き1/1の斜線でジャギー付加することによる悪影響をなくすことができる。ただし、図24(a)に示すように、空白部に1ドット分を付加することもできる。
このように階段状変化部の傾きに応じてジャギー補正方法を異ならせる、つまり、輪郭部の傾きに応じて所定のドットに変換する(所定のドットを付加することを含む。)ことによって、複数の傾きの集合として形成される文字の輪郭に応じて最適な補正を行うことができるようになり、高品質の文字を形成することができるようになる。
次に、ジャギー補正において、階段状変化部周辺に階段状変化部以外を形成するドットより小さなサイズのドットを形成する(小さなサイズのドットのデータに変換する)方法について説明する。なお、「小ドット」は「階段状変化部周辺に階段状変化部以外を形成するドットより小さなサイズのドット」の意味で用い、小滴で形成されるドットに限るものではない。
小ドットを付加あるいは小ドットに置換する方法としては、パターンマッチングが優れた方法として用いられる。図25は、パターンマッチングに用いられるウインドウの例である。ウインドウとは、処理する画像データを抽出するためのフィルタであり、ウインドウで示されるドット構成に対応したドット位置の画像データが抽出される。ウインドウサイズとしては、横m、縦n(m×n)のサイズである。
本発明における画像処理方法では、主走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正を行い、副走査方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正を行わない。そこで、主走査方向と副走査方向の解像度に応じてウインドウの横方向のドット数「m」と縦方向のドット数「n」とを異ならせている。ここで、解像度に応じたとは、解像度が高解像度の方のウインドウサイズは大きく、解像度の低い方のウインドウサイズは小さくということである。
すなわち、上述したように主走査方向(第1の方向)と副走査方向(第2の方向)で異なる解像度で画像を形成するときには、「m」と「n」は異なった値とする。つまり、横線に近い斜線の階段状変化点及びその近傍(周辺)の空白ドットを検出できるように「m」は大きな値とし、逆に、縦線に近い斜線の階段状変化点近傍は検出する必要がないため、「n」は小さな値とする。特に、縦線に近い斜線に対してジャギー補正をかける必要がない場合には、副走査方向のウインドウサイズをn=3とすればよく、処理するドット数を低減することができる。
本実施形態においては、図26に示すように、m=9、n=3、即ち9×3のウインドウを用いて階段状変化点近傍のドットを検出するようにしている。
ここで、フォントデータは、プリンタドライバ(プログラム)で、ビットマップデータに展開される。ビットマップデータはフォントを形成するドットを示したものである。フォントデータとしてのビットマップデータに対して、各ビットを前述したウインドウ単位でパターンマッチングを実施する。
そこで、プリンタドライバが実行するパターンマッチング処理(ドットデータ変換処理)の一例について図27を参照して説明する。なお、ここでは、小ドットは小滴で形成されるドットの例で説明する。
先ず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。そして、注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。したがって、取得したビットマップデータは9×3の27ドット分のデータである。
先ず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。そして、注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。したがって、取得したビットマップデータは9×3の27ドット分のデータである。
その後、パターンマッチングにより、取得したデータとあらかじめ設定していた小ドットを付加あるいは小ドットに置換するパターン(以下、「参照パターン」という。)のデータとを比較し、マッチしたか否かを判別し、取得データのパターンと参照パターンとがマッチした場合に、注目画素を小ドット(ここでは、「小滴のドット」)のデータに置換(生成)する。
そして、マッチしなければそのまま、或いは小ドットのデータ生成後、次の注目画素に移動し、注目画素はデータエンドか否かを判別して、データエンドになるまで、パターンマッチングの処理を行う。
これらの処理は、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。1バイトのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには27バイト必要であるのに対して、1ビットのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには4バイトのデータ量で済むので、1ビットのデータとして扱ったほうが、処理するデータ数が小さく、メモリの節約、処理速度の向上が図れる。
これを図28ないし図30を参照して具体的に説明する。
例えば図28(a)〜(d)は空白ドットに小ドットを生成する場合に用いる参照パターンの例である。つまり、図28(a)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D43のドット(データ)を小滴に置換することができる。図28(b)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D44のドット(データ)を小滴に置換することができる。図28(c)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D45のドット(データ)を小滴に置換することができる。図28(d)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D46のドット(データ)を小滴に置換することができる。
例えば図28(a)〜(d)は空白ドットに小ドットを生成する場合に用いる参照パターンの例である。つまり、図28(a)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D43のドット(データ)を小滴に置換することができる。図28(b)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D44のドット(データ)を小滴に置換することができる。図28(c)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D45のドット(データ)を小滴に置換することができる。図28(d)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D46のドット(データ)を小滴に置換することができる。
また、図29(a)〜(d)は画像ドットを小ドットに置換する場合に用いる参照パターンの例である。つまり、図29(a)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D47のドット(データ)を小滴に置換することができる。図29(b)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D48のドット(データ)を小滴に置換することができる。図29(c)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D49のドット(データ)を小滴に置換することができる。図29(d)に示す参照パターンを用いた場合には図30の画素位置(ドット位置)D50のドット(データ)を小滴に置換することができる。
ここで、小ドットのデータの生成において、小ドットを示すデータは、元のフォントデータがビットマップデータのように0(空白)と255(印字データ)で表されるとき、あるいは0(空白)、1(印字データ)のように2値で表されるときに、いったん0(空白)、255(印字データ)のように変換したときには、空白データ、フォントを形成するデータそのものを小ドットを表すデータ(例えば、それぞれ85)に置換してもよい。また、「0」と「1」のまま処理するときには、フォントデータと同じサイズの別のメモリ(小ドットデータ用メモリ)設け、その中の小ドットをつける位置に印字データを表す「1」を生成すればよい。
このように、パターンマッチングにより生成した小ドット、大ドットを示すデータで構成されたフォントデータ(前者の場合)、あるいは小ドット用2値(0、1)データと元の2値(0、1)フォントデータとで(後者の場合)、小ドット、大ドットを印字することにより、ジャギーが改善された斜線を形成することができる。
また、参照パターンとしては、9×3のウインドウ及び参照パターンを用いることにより、変化点を中心に前後4ドットの空白及び画像ドットに対して小ドットに置換するかどうかの判断が可能となる。
このように、変化点の前後4ドット分に対して実施可能な理由は、例えば図30中のドットDeを注目画素としたときには、変化点がウインドウの外になるため、変化点を検出できなくなるためである。これを解消して、ドットDeの位置にも小滴を付加(置換)する場合には、ウインドウ及び参照パターンを11×3のサイズにすることにより可能となる。すなわち、ウインドウのサイズ、参照パターンのサイズを大きくすることにより、より水平に近い斜線の変化点を検出でき、その傾きに応じた小滴を付加することが可能となり、それらの斜線品質をよりいっそう最適にすることができる。
つまり、ウインドウ及び参照パターンのサイズは上記実施形態で使用したものに限らず、小滴への置換をどこまで実施する必要があるか、処理時間が印字速度に対して間に合うかによって決まる。さらに、このサイズが大きくなると、パターンマッチングするデータが大きくなるため、パターンマッチングに時間を要することになる。そのため、処理時間からは、そのサイズとしてはできるだけ小さいほうがよい。一方、変化点の前後いくつのドットを小滴にすれば良いかは、ジャギー補正による文字品質から決まるので、処理速度と、文字品質から最適なサイズを決定する必要がある。
本発明者の実験によると、前述のようなインクを用いた場合、インクの広がりによる隣接ドットとの凹凸の低減から、通常4ドット、好ましくは6ドットの小滴付加でも、十分文字品質の向上が図れることが分り、また、処理速度も、10PPM以上のスループットを達成することができることがわかった。したがって、ウインドウのサイズとしては、主走査方向には6ドットが検出できる、m≦13、副走査方向には、n=3のサイズが適している。
そこで、先ず、階段状変化部周辺の空白部のみに小滴の付加を行うデータ作成処理について図31を参照して説明する。
まず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。そして、注目画素に対する画像データをみて、そのデータが空白のデータかフォントを形成するデータ(=印字するデータ)かを判別する。
まず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。そして、注目画素に対する画像データをみて、そのデータが空白のデータかフォントを形成するデータ(=印字するデータ)かを判別する。
この判別の結果、空白のデータであれば、パターンマッチング処理に入り、注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。このとき取得したビットマップデータは9×3の27ドット分のデータである。パターンマッチングにより、取得したデータとあらかじめ設定していた小滴を付加するパターン(参照パターン)のデータとを比較し、マッチした場合に、注目画素を小滴を示すデータに置換(生成)する。
その後、また前記判別の結果が空白データでないときはそのまま、次の注目画素に移動し、当該注目画素がデータエンドか否かを判別して、データエンドでなければ再度上述した処理に戻り、データエンドであれば、処理を終了する。
このように、注目画素が空白データのときにのみパターンマッチングを実施し、フォントを形成するデータの場合にはパターンマッチングによる変化点の検出を行わない。これにより、フォントを形成するデータでパターンマッチングをする時間がなくなるので、処理速度の向上が図れる。
なお、この処理において、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。1バイトのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには27バイト必要であるのに対して、1ビットのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには4バイトのデータ量で済むので、1ビットのデータとして扱ったほうが、処理するデータ数が小さく、メモリの節約、処理速度の向上が図れる。
この処理について図32を参照して具体的に説明すると、同図(a)に示す参照パターンW1を用いて、同図(b)に示すようにフォントデータのD46を注目画素としたとき、両者のドットのパターンは一致するため、同図(c)に示すように注目画素D46の位置のデータを空白のデータから小滴のデータに置換する。9×3のウインドウ及び参照パターンを用いることにより、変化点に隣接する空白4ドットに対して小滴を付加するかどうかの判断が可能となる。
次に、階段状変化部周辺のフォント(画像)を形成するデータ(=印字データ)のみを小滴に置換するデータ作成処理について図33を参照して説明する。
まず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。そして、注目画素に対する画像データをみて、そのデータが空白のデータかフォントを形成するデータ(=印字するデータ)かを判別する。
まず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。そして、注目画素に対する画像データをみて、そのデータが空白のデータかフォントを形成するデータ(=印字するデータ)かを判別する。
この判別の結果、フォントを形成するデータであれば、パターンマッチング処理に入り、注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。このとき取得したビットマップデータは9×3の27ドット分のデータである。パターンマッチングにより、取得したデータとあらかじめ設定していた小滴に置換するパターン(参照パターン)のデータとを比較し、マッチした場合に、注目画素を小滴を示すデータに置換する。
その後、また前記判別の結果がフォントを形成する印字データでない(空白データである)ときはそのまま、次の注目画素に移動し、当該注目画素がデータエンドか否かを判別して、データエンドでなければ再度上述した処理の戻り、データエンドであれば、処理を終了する。
このように、注目画素がフォントを形成する印字データのときにのみパターンマッチングを実施し、空白データの場合にはパターンマッチングによる変化点の検出を行わない。これにより、空白データでパターンマッチングをする時間がなくなるので、処理速度の向上が図れる。
なお、この処理において、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。1バイトのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには27バイト必要であるのに対して、1ビットのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには4バイトのデータ量で済むので、1ビットのデータとして扱ったほうが、処理するデータ数が小さく、メモリの節約、処理速度の向上が図れる。
この処理について図34を参照して具体的に説明すると、同図(a)に示す参照パターンW2を用いて、同図(b)に示すようにフォントデータのD47を注目画素としたとき、両者のドットのパターンは一致するため、同図(c)に示すように注目画素D47の位置の大滴を形成する形成するデータを小滴のデータに置換する。9×3のウインドウ及び参照パターンを用いることにより、変化点に隣接する4つのフォントデータを示すドットに対して小滴に置換するか否かの判断が可能となる。
次に、本発明の第2実施形態におけるジャギー補正について図35を参照して説明する。
この実施形態は、上述した第1実施形態が大滴と小滴の2種類でドット形成を行うものであったのに対し、小ドットのドットサイズを小滴によるドットと中滴によるドットの2種類とし、全体として3種類のドット形成を行う例である。
この実施形態は、上述した第1実施形態が大滴と小滴の2種類でドット形成を行うものであったのに対し、小ドットのドットサイズを小滴によるドットと中滴によるドットの2種類とし、全体として3種類のドット形成を行う例である。
まず、フォントデータの先頭に注目画素をセットする。注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。したがって、取得したビットマップデータは9×3の27ドット分のデータである。
そして、パターンマッチングにより、取得したデータと、あらかじめ設定していた小滴及び中滴を付加あるいは置換するパターン(参照パターン)のデータとを比較し、マッチした場合に、注目画素を小滴又は中滴を示すデータに置換する。
その後、また前記判別の結果がマッチしないときにはそのまま、次の注目画素に移動し、当該注目画素がデータエンドか否かを判別して、データエンドでなければ再度上述した処理の戻り、データエンドであれば、処理を終了する。
これらの処理においては、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。1バイトのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには27バイト必要であるのに対して、1ビットのデータとして扱う場合は、27ドット分のデータを表すには4バイトのデータ量で済むので、1ビットのデータとして扱ったほうが、処理するデータ数が小さく、メモリの節約、処理速度の向上が図れるため、好ましい。
このとき,小滴、中滴を示すデータは、元のフォントデータがビットマップデータのように0(空白)と255(印字データ)で表されるとき、あるいは0(空白)、1(印字データ)のように2値で表されるときに、いったん0(空白)、255(印字データ)のように変換したときには、空白データ、フォントを形成するデータそのもの小滴、中滴を表すデータ(例えばそれぞれ85,170)に置換してもよい。また、0と1のまま処理するときには、フォントデータと同じサイズの別のメモリを複数(本実施形態の場合、小滴と中滴の2種類であるので小滴用、中滴用の2つ)設け、それぞれの中の小滴、中滴をつける位置に印字データを表す「1」を生成すればよい。パターンマッチングにより生成した小滴、中滴、大滴を示すデータで構成されたフォントデータ(前者の場合)、あるいは小滴用2値(0、1)データ、中滴用の2値(0、1)データと元のフォントデータ(2値)とで、小滴、中滴、大滴を印字することにより、次に説明する図36以降に示すようなジャギーが改善された斜線を実現することができる。
そこで、この実施形態におけるジャギー補正の異なる例について図36ないし図43を参照して説明する。なお、図36ないし図42の各例をそれぞれ第1例ないし第8例とする。また、これらの図36ないし図43においても、前述したように、等間隔で表された隣り合うドットのピッチは、実際の被記録媒体上では、主走査方向600dpi、副走査方向300dpiとなる。さらに、ここでは小滴で形成するドットを小ドット、中滴で形成するドットを中ドットとも称するが、前述したようにいずれも階段状変化部を形成するドットよりも小さいドットである。
図36は階段状変化部の変化点の前後の1つの空白ドットD46、D61に小滴のドットを付加した例、図37は変化点の2つの空白ドットD45、D46、D61、D62のうちの空白ドットD46、D61に中滴のドット、空白ドットD45、D62に小滴のドットを付加した例、図38は変化点の3つの空白ドットD44〜D46、D61〜D63のうち、空白ドットD46、D61に中滴のドット、空白ドットD44、D45、D62、D63に小滴のドットを付加した例、図39は変化点の4つの空白ドットD43〜D46、D61〜D64のうち、空白ドットD45、D46、D61、D62に中滴のドット、空白ドットD43、D44、D63、D64に小滴のドットを付加した例である。
また、図40ないし図43は階段状変化部の変化点の4つの空白ドットD43〜D46、D61〜D64に小滴のドットを付加するとともに画像ドット(フォントデータのドット)を小滴又は中滴のドットに置換した例である。つまり、図40は変化点の1つの画像ドット(フォントデータのドット)D47、D60を中滴のドットに置換した例、図41は変化点の2つの画像ドットD47、D48、D60、D59を中滴のドットに置換した例、図42は変化点の3つの画像ドットD47〜D49、D60〜D58を中滴のドットに置換した例、図43は変化点の4つの画像ドットD47〜D50、D60〜D57を中滴のドットに置換した例である。
ここで、本発明者らは、これら8種類の方法で文字を作成し、ジャギーの目立ちにくさを評価した結果、変化点の前の空白ドットに対しては、4ドットの小滴を付加し、更に文字部を形成する画像ドットを2ドット以上(すなわち、図41ないし図43の例)中滴に置換するパターンが好ましいことが分った。
一方、処理速度の点から図36ないし図43の第1例ないし第8例を比較すると、図36の例が最も速く、図37の例(第2例)、図38の例(第3例)……図43の例(第8例)の順に遅くなる。
これは、1つには、処理方法が、図36ないし図39の各例では注目画素が空白ドットの場合のみにパターンマッチングを実行すれば良いのに対して、図40ないし図43の各例では注目画素が空白の場合と画像ドットの場合の両方(すなわち、すべてのフォントデータ)でパターンマッチングを行う必要があるためである。言い換えれば、空白にのみ小滴又は中滴を付加することにより、高速にジャギーを改善したフォントデータを作成することができる。
2つには、必要な参照パターンの数が、図36の例が最も少なく、図37の例、図38の例……図43の例の順に多くなるためである。これは、図37の例を実施するには、図36の例の参照パターンに更に空白2ドット目を判断する参照パターンが必要であり、図40の例では、更に文字を構成するドット1つ目を判断する参照パターンが必要であり、図41では更に文字を構成するドット2つ目を判断するための参照パターンが必要となるためである。このように、判断するための参照パターン数が増え、パターンマッチングの回数が増えるためである。
次に、具体的な実施例について説明する。上述したようにして小ドットを付加又は小ドットに置換したフォントデータを、実際に以下の条件で、インクジェットヘッドで普通紙に印字して、その品質を評価した。
ヘッド:384ノズル/色
ノズルピッチ=84μm(300dpi相当)
画像解像度:主走査方向600dpi、副走査方向300dpi(=ノズルピッチ)
ドットサイズ:大滴87μm、小滴40μm、中滴60μm
文字:MS明朝 フォントサイズ=6、10、12、20、30、50、80ポイント
ジャギー補正方法:図36〜図43の各方法
印字方法:パス数(1ライン形成するスキャン数)=1、インターレス=なし
紙:リコー タイプ6200
ヘッド:384ノズル/色
ノズルピッチ=84μm(300dpi相当)
画像解像度:主走査方向600dpi、副走査方向300dpi(=ノズルピッチ)
ドットサイズ:大滴87μm、小滴40μm、中滴60μm
文字:MS明朝 フォントサイズ=6、10、12、20、30、50、80ポイント
ジャギー補正方法:図36〜図43の各方法
印字方法:パス数(1ライン形成するスキャン数)=1、インターレス=なし
紙:リコー タイプ6200
本発明におけるジャギー補正(図36ないし図43の小ドット付加)を実施した文字と、小ドット付加を行わない(補正なし)、すなわち大滴のみで印字した文字とで、出力文字を比較した。その結果を表1に示している。なお、同表中の符号は、××:ジャギーが目立ち、文字品質が劣悪、×:ジャギーが目立ち、文字品質悪、△:ジャギーが多少目立つ、○:ジャギーが判別できず、文字品質良好、◎:ジャギーは全く分からず、文字品質極めて良好、を意味している。
この結果から分かるように、本発明によるジャギー補正を行なうことで文字品質が向上する。また、フェザリングもなく、画像濃度も十分な文字が得られる。
さらに、比較のため、本発明によるジャギー補正を、インクを染料インクに変えて実施したところ、フェザリング(文字にじみ)が多く発生し、補正の効果よりむしろ、フェザリングによるギザギザ感が目立つ結果となった。
また、本発明における補正方法を文字品質で比較すると、図40ないし図43の各例による方法が最も文字品質が良く、次に図39、図38の各例、その次に図37、図36の各例の順である。つまり、空白部と文字を形成するドット(画像ドット)の両方に対して、小ドットに置換する方法が、よりジャギーの改善効果が高くなる。特に、図42及び図43の各例では、600×600dpiの文字と同等レベルの文字品質が得られることが確認できた。これは、同じ参照パターンを使用しても、変化点周辺を多くの小ドットで形成することができ、段差がより滑らかに解消されるためと考えられる。
また、表1から分かるように、フォントサイズとしては、小さなフォントサイズよりもむしろ大きなフォントサイズの方が文字品質が良いことが分かる。ただし、小さなフォントサイズでもジャギーの改善効果は得られている。さらに、図36ないし図43のいずれの方法でも、いずれもフォントサイズに対しても大きな効果が得られるので、フォントサイズによらずに本発明を適用することが好ましい。
ただし、処理速度の点では、フォントサイズが大きくなると、フォントを形成するドットの数が多くなるため、処理速度が遅くなるため、より高速に処理を行い、スループットの向上を図る(例えば20PPMを超えるようなスループットを実現する)上では、大きなフォントサイズには適用せずに、より一般的に用いられる50ポイント以下の文字に対してのみ本発明を適用することがより好ましい。
すなわち、フォントサイズにより、変化点の検出を実施することで、処理時間を短縮することができる。特に、50ポイント以下の場合にのみ実施することで、文字品質の改善と処理速度の向上を両立して図ることができる。
また、出力する画像の色に応じて階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換するジャギー補正を行うモードと行なわないモードを選択するようにすることもできる。すなわち、一般的な文書で使用される使用頻度の高い色の文字色のみにジャギー補正を行なうことで、高スループットの場合でも不必要な処理を行なわずに高PPMの出力が可能になる。例えば、イエロー、マゼンタの単色の場合には、シアン、ブラックよりも相対的に視覚的な認識度合いが低いので、これらの単色の文字についてはジャギー補正を行なわないようにすることができる。なお、詳細は前述した特許文献6(特開2004−17552号公報)に記載されているような内容を適用することができる。
上記実施形態においては、普通紙に印字したときの例を示したが、コート紙や,光沢紙、OHPフィルムなどに印字するときにも本発明を適用することにより、同様の効果を得ることができる。また、これらの紙種によって、ジャギー補正処理を実施する場合と、しない場合とを選択するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、600dpi×300dpiの解像度で文字を印字した例で説明したが、より低解像度の、例えば400dpi×200dpi、300dpi×150dpiの文字に対しても、文字を構成するドット径が大きくなり、階段状の段差がさらに目立つことから、本発明を適用することで、より大きな効果が得られる。
これに対し、解像度が600dpi×600dpi、600dpi×1200dpi、1200dpi×1200dpi、……といった高密度の場合には、フォントを構成するドット数が多く、ドットサイズも小さいことから、ジャギーが目立たなくなる。
そこで、異なる解像度で印字する複数の印字モードを有する画像形成装置の場合、その解像度によって、本発明によるジャギー補正を実施するモードと、実施しないモードを持ち、解像度に応じて選択するようにすれば、スループットの向上をいう点では好ましい。この場合の解像度の目安としては、600dpi以上の解像度があればジャギーはほとんど目につかないことから、主走査方向、副走査方向のいずれかが、600dpi以下の解像度の場合に適用すると効果的である。
さらに、上記実施形態では、シリアル型画像形成装置に本発明を適用した例で説明したが、ライン型画像形成装置の場合には、ライン方向(記録ヘッドのノズルの並び方向:第1の方向)の解像度はノズルピッチによって規定されるのに対し、被記録媒体の送り方向(第2の方向)は送り量を変化させることで解像度を異ならせることができる。したがって、このライン型画像形成装置の場合には、第2の方向の解像度が第1の方向の解像度よりも高いとき、第2の方向に平行な線に近い斜線に対しては前述したようなジャギー補正を実施し、第1の方向に平行な線に近い斜線ではジャギー補正は実施しないようにすることできる。
また、上述したフォントデータの作成は、前述したようにインクジェット記録装置に画像データを送るためのパソコンなどの画像処理装置を含む情報処理装置(ホスト)上にプリンタドライバとして搭載される。そのため、CD−ROMやネットワーク上のホストコンピュータのハードディスクに、ジャギー補正手段(ドットデータ変換手段)を記述したソフトとして保存され、それをダウンロード、インストールすることによって、各ホストで動作可能となる。
上記実施形態においては、ホスト側でジャギー補正(ドットデータ変換)を行う例で説明したが、画像形成装置側でジャギー補正を行うこともでき、このような実施形態に係る画像形成装置の制御部の一例について図44を参照して説明する。
この画像形成装置500は、ドットデータ変換手段(ジャギー補正手段)及び検知手段を兼ねた装置全体の制御を司るCPU(主制御部)501と、各種プログラム及び前記パターンマッチングを行うための参照パターンなどを格納したROM502とでフォームウエアを構成し、ホスト(PC)600のアプリケーションソフト601によって与えられる文字コードデータなどの印字データ等を描画データメモリ504に格納する。
そして、この描画データメモリ503に記憶されたデータは、ラスタライザ504によって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターンに変換され、また、文字の記録命令であればフォントデータ508から対応する文字の輪郭情報を呼びだし指定された位置や大きさに応じて記録ドットパターン(ビットマップデータ)に変換してラスタデータメモリ505に記憶する。
このとき、CPU501は、主走査方向に近い斜線に対してはビットマップデータから輪郭部の階段状変化部の検知を行って、前述したジャギー補正処理(ドットデータ変換処理)を実行することで、参照パターンを用いて、階段状変化部周辺を、階段状変化部以外を形成するドットよりも小さなサイズのドットのデータに階段状変化部の傾きに応じて変換する。
そして、ラスタデータメモリ505に記憶された記録ドットパターン(ドットデータ)をプリンタエンジン510に出力して、インクジェットヘッドの圧力発生手段の駆動、主走査、副走査を行って画像を記録する。
なお、ここでは、CPUを用いたソフトウエア(プログラム)で階段状段差部の検知とドットデータの変換を行ったが、ASICなどのハードウエアのみで実現することも可能である。
このように画像形成装置側でビットマップ展開とジャギー補正(ドットデータ変換処理)を行うことで、ホストと画像形成装置間のデータ転送がビットマップデータを用いないので高速になり、スループット向上が図れる。なお、前述したホスト側で行なう場合の説明は画像形成装置側にも同様に当てはまる。
4…キャリッジ
5…主走査モータ
11…記録ヘッド
11k、11c、11m、11y…ヘッド
22…被記録媒体(用紙)
31…搬送ベルト
32…搬送ローラ
36…副走査モータ
121…圧電素子
200…制御部
207…ヘッド制御部
208…ヘッドドライバ
407…ジャギー補正部
5…主走査モータ
11…記録ヘッド
11k、11c、11m、11y…ヘッド
22…被記録媒体(用紙)
31…搬送ベルト
32…搬送ローラ
36…副走査モータ
121…圧電素子
200…制御部
207…ヘッド制御部
208…ヘッドドライバ
407…ジャギー補正部
Claims (12)
- 記録液の液滴を用いて、第1の方向とこの第1の方向に略直交する第2の方向とで解像度を異にして複数のドットからなる画像を形成可能な画像形成装置で出力するための画像データを生成する画像処理方法において、前記画像の輪郭部を形成するドットの階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換するとき、変換対象となるドットを、前記第1の方向及び第2の方向の解像度に応じてドット数m、nの異なるm×nのウインドウを用いて検出することを特徴とする画像処理方法。
- 請求項1に記載の画像処理方法において、前記画像の空白部のドットを検出し、この検出結果に応じて小さなサイズのドットに変換することを特徴とする画像処理方法。
- 請求項2に記載の画像処理方法において、複数の空白部のドットを小さなサイズのドットに変換することを特徴とする画像処理方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理方法において、前記画像の画像部のドットを検出し、この検出結果に応じて小さなサイズのドットに変換することを特徴とする画像処理方法。
- 請求項4に記載の画像処理方法において、複数の画像部のドットを小さなサイズのドットに変換することを特徴とする画像処理方法。
- 請求項2ないし5のいずれかに記載の画像処理方法において、前記小さなサイズのドットは複数の種類のドットサイズから選ばれていることを特徴とする画像処理方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の画像処理方法において、前記画像の輪郭部の傾きに応じて前記所定のドットに変換することを特徴とする画像処理方法。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の画像処理方法において、前記画像の色に応じて前記階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換する処理を行なわないことを特徴とする画像処理方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の画像処理方法において、前記画像が文字画像であるときには、この文字画像のフォントサイズに応じて前記階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換する処理を行なわないことを特徴とする画像処理方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の画像処理方法において、前記第1の方向又は第2の方向の解像度に応じて前記階段状変化部周辺のドットを所定のドットに変換する処理を行なわないことを特徴とする画像処理方法。
- 記録液の液滴を用いて、第1の方向とこの第1の方向に略直交する第2の方向とで解像度を異にして複数のドットからなる画像を形成可能な画像形成装置において、前記請求項1ないし10のいずれかに記載の画像処理方法を実行する手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行ささせることを特徴とするプログラム。
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