以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、多値ドットを形成可能なインクジェット記録装置の一例の機構部について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同インクジェット記録装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同じく概略平面説明図である。
このインクジェット記録装置は、フレーム1を構成する左右の側板1A、1Bに横架したガイド部材であるガイドロッド2とステー3とでキャリッジ4を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ5によって駆動プーリ6Aと従動プーリ6B間に架け渡したタイミングベルト7を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ4には、例えばイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッド11k、11c、11m、11yからなる記録ヘッド11を複数のインク吐出口(ノズル)を形成したノズル面11aのノズル列を主走査方向と直交する方向(副走査方向)に配列し、インク吐出方向を下方に向けて装着している。なお、ここでは独立した液滴吐出ヘッドを用いているが、各色の記録液の液滴を吐出する複数のノズル列を有する1又は複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。また、色の数及び配列順序はこれに限るものではない。
ここでは、記録ヘッド11は上述したように各色の液滴を吐出する別個の4個のヘッド11k、11c、11m、11yで構成し、各ヘッド11k、11c、11m、11yにはそれぞれ液滴を吐出する複数のノズルnを並べて配置してなるノズル列を2列有する構成としている。これに限らず、1つの記録ヘッド11に、各色の液滴を吐出するそれぞれ2列のノズル列を配置した構成することもできるし、ブラックインクを吐出する1又は複数のノズル列を有するヘッドと、カラーインクを吐出する各色で1又は複数のノズル列を有するヘッドとで構成することもできる。
記録ヘッド11を構成するインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)としては、圧電素子などの圧電アクチュエータを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として備えたものを使用している。すなわち、圧力発生手段として、気泡を発生させるための発熱抵抗体を用いたサーマル型の場合には、気泡の体積を精度よく制御することが困難であって形成できるドットサイズを大きく変化させることができず、基本的には2値のドットサイズであり、一般的には形成するドット数で階調を表現せざるを得ない。これに対して、圧電アクチュエータを用いた場合には、圧電素子の変位量を精度良くコントロールすることができ、形成するドットの大きさを大きく変化させることができてドットサイズによって多階調を表現することができる。この場合、ドット径を変更する、つまり、多値のドット(大きさの異なるドット)を形成するには、例えば、駆動パルスの電圧の大きさ、駆動パルスのパルス幅、パルス数などを変更することによって行なうことができる。ただし、後述するように単一の大きさのドットしか形成できない場合でも本発明を適用することができる。
この記録ヘッド11にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル:FPCケーブル)12を介して接続している。
また、キャリッジ4には、記録ヘッド11に各色のインクを供給するための各色のサブタンク15を搭載している。この各色のサブタンク15には各色のインク供給チューブ16を介して、カートリッジ装填部9に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填9にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット17が設けられ、また、インク供給チューブ16は這い回しの途中でフレーム1を構成する後板1Cに係止部材18にて保持されている。
一方、給紙トレイ20の用紙積載部(圧板)21上に積載した用紙22を給紙するための給紙部として、用紙積載部21から用紙22を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)23及び給紙コロ23に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド24を備え、この分離パッド24は給紙コロ23側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙22を記録ヘッド11の下方側に送り込むために、用紙22を案内するガイド部材25と、カウンタローラ26と、搬送ガイド部材27と、先端加圧コロ29を有する押さえ部材28とを備えるとともに、給送された用紙22を静電吸着して記録ヘッド11に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト31を備えている。
この搬送ベルト31は、無端状ベルトであり、搬送ローラ32とテンションローラ33との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ34によって帯電(電荷付与)される。
この搬送ベルト31としては、1層構造のベルトでも良く、又は複層(2層以上の)構造のベルトでもよい。1層構造の搬送ベルト31の場合には、用紙32や帯電ロー34に接触するので、層全体を絶縁材料で形成している。また、複層構造の搬送ベルト31の場合には、用紙22や帯電ローラ34に接触する側は絶縁層で形成し、用紙22や帯電ローラ34と接触しない側は導電層で形成することが好ましい。
1層構造の搬送ベルト31を形成する絶縁材料や複層構造の搬送ベルト31の絶縁層を形成する絶縁材料としては、例えばPET、PEI、PVDF、PC、ETFE、PTFEなどの樹脂又はエラストマーで導電制御材を含まない材料であることが好ましく、体積抵抗率は1012Ωcm以上、好ましくは1015Ωcmなるように形成する。また、複層構造の搬送ベルト31の導電層を形成する材料としては、上記樹脂やエラストマーにカーボンを含有させて体積抵抗率が105〜107Ωcmとなるように形成することが好ましい。
帯電ローラ34は、搬送ベルト31の表層をなす絶縁層(複層構造のベルトの場合)に接触し、搬送ベルト31の回動に従動して回転するように配置され、軸の両端に加圧力をかけている。この帯電ローラ34は、体積抵抗率が106〜109Ω/□の導電性部材で形成している。この帯電ローラ34には、後述するように、ACバイアス供給部(高圧電源)から例えば2kVの正負極のACバイアス(高電圧)が印加される。このACバイアスは、正弦波や三角波でもよいが、方形波の方がより好ましい。
また、搬送ベルト31の裏側には、記録ヘッド11による印写領域に対応してガイド部材35を配置している。このガイド部材35は、上面が搬送ベルト31を支持する2つのローラ(搬送ローラ32とテンションローラ33)の接線よりも記録ヘッド11側に突出させることで搬送ベルト31の高精度な平面性を維持するようにしている。
この搬送ベルト31は、副走査モータ36によって駆動ベルト37及びタイミングローラ38を介して搬送ローラ32が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。なお、図示しないが、搬送ローラ32の軸には、スリットを形成したエンコーダホイールを取り付け、このエンコーダホイールのスリットを検知する透過型フォトセンサを設けて、これらのエンコーダホイール及びフォトセンサによってホイールエンコーダを構成している。
さらに、記録ヘッド11で記録された用紙22を排紙トレイ40に排紙するための排紙部として、搬送ベルト31から用紙22を分離するための分離爪41と、排紙ローラ42及び排紙コロ43とを備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット51が着脱自在に装着されている。この両面ユニット51は搬送ベルト31の逆方向回転で戻される用紙22を取り込んで反転させて再度カウンタローラ26と搬送ベルト31との間に給紙する。また、この両面ユニット51の上面は手差しトレイ52としている。
さらに、キャリッジ4の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド11のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構61を配置している。この維持回復機構61には、記録ヘッド11の各ノズル面11aをキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)62a〜62d(区別しないときは「キャップ62」という。)と、ノズル面11aをワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード63と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け64などを備えている。ここでは、キャップ62aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ62b〜62dは保湿用キャップとしている。
また、キャリッジ4の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け68を配置し、この空吐出受け68には記録ヘッド11のノズル列方向に沿った開口69などを備えている。
また、図1に示すように、キャリッジ4には用紙22の有無を検知するための媒体検知手段である赤外線センサ(センサの種類は、赤外線センサに限定するものではない。)からなる濃度センサ71を設けている。また、この濃度センサ71はキャリッジ4がホーム位置にあるときに記録領域(画像形成領域)側(搬送ベルト31側)に位置する側で、記録ヘッド11よりも用紙搬送方向上流側に設けている。
さらに、キャリッジ4の前方側には、スリットを形成したエンコーダスケール72を主走査方向に沿って設け、キャリッジ4の前面側にはエンコーダスケール72のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ73を設け、これらによって、キャリッジ4の主走査方向位置を検知するためのリニアエンコーダ74を構成している。
次に、このインクジェット記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液滴吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び液室106、液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図6では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル12を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。なお、このノズル板103の表面が前述したノズル面34aとなる。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液滴吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
以上のように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙22が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙22はガイド25で案内され、搬送ベルト31とカウンタローラ26との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド27で案内されて先端加圧コロ29で搬送ベルト31に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、後述するACバイアス供給部から帯電ローラ34に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト31が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト31上に用紙32が給送されると、用紙22が搬送ベルト31に静電力で吸着され、搬送ベルト31の周回移動によって用紙22が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ4を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド11を駆動することにより、停止している用紙22にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙22を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。記録終了信号又は用紙22の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙22を排紙トレイ40に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト31を逆回転させることで、記録済みの用紙32を両面給紙ユニット51内に送り込み、用紙22を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ26と搬送ベルト31との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル31で搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ40に排紙する。
このインクジェット記録装置で複写を禁止される文書であることを示す地紋を埋め込んだ画像を印刷する場合、用紙に付着したドットが紙の繊維に沿って浸透し、広がってしまうというインクジェット特有の問題があることから、地紋印刷を実現しようとする場合、このドットの広がりやフェザリングをできるだけ少なくするインクを使用することが好ましい。
このインクジェット記録装置で用いるインクは、次の(1)ないし(10)の構成を有するものであり、印字するための着色剤として顔料を使用し、それを分解、分散させるための溶剤とを必須成分とし、更に添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤とを使用する。湿潤剤1と湿潤剤2とを混合するのは各々湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調整が容易にできるためである。
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1
(3)湿潤剤2
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調製剤
(10)純水
ここで、(1)の顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。
インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
また、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
ここで、好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散液を使用することができる。
分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15、000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。分散剤としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6重量%〜20重量%含有し、0.05μm〜0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5,000から100,000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤が少なくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
(2)〜(4)の湿潤剤1・2と、水溶性有機溶剤に関しては、インク中に水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にし、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶剤が使用される。これら水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。湿潤剤と水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
(5)の界面活性剤に関しても,特に限定はされないが,アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
本発明における表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mJ/m2以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m2以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
(6)の炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテルに関しては、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対してを0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。(a)2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃)、(b)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25℃)。
25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のあるインクを作製することが可能となる。
(7)本発明のインクには樹脂エマルジョンが添加されている方が好ましい。
樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。
例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などが挙げられる。
また、樹脂エマルジョンは、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
さらに、上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
このように構成される、顔料、湿潤剤、炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル、アニオンまたはノニオン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を少なくとも含んでなる、顔料濃度が6wt%以上で、かつインク粘度が8cp(25℃)以上のインクを用いることにより、普通紙上へ印字したときの、良好な色調(十分な発色性、色再現性を有する)、高い画像濃度、文字・画像にフェザリング現象のない鮮明な画質を得ることができるため、後述するように、複写が禁止される文書であることを示す画像を含む印刷出力を行なった場合、コピー機でコピーしたときにドットサイズに対する再現性の違いで、マーク部がかすれてしまったり、地肌部に地肌汚れが発生したりすることがなく、鮮明に地紋(複写物であることを示すマーク部と背景部)のドットが再現できるようになる。
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。
この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU211と、CPU211が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのI/F206と、記録ヘッド11を駆動制御するためのデータ転送手段を含むヘッド駆動制御部207、キャリッジ4側に設けた記録ヘッド11を駆動するためのヘッド駆動装置であるヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ5を駆動するための主走査モータ駆動部210と、副走査モータ36を駆動するための副走査モータ駆動部211と、帯電ローラ34にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、リニアエンコーダ74、ホイールエンコーダ236からの検出パルス、環境温度を検出する温度センサ215からの検出信号、及びその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル214が接続されている。
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM202にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
ヘッド駆動制御部207は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ208に出力する以外にも、ROM202に格納されてCPU201で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成される駆動波形生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形をヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド11の1行分に相当する画像データに基づいてヘッド駆動制御207から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド11のアクチュエータ手段(前述したヘッド構成では圧電素子121)に対して印加することでヘッド11を駆動する。
主走査モータ駆動部210は、CPU201側から与えられる目標値とリニアエンコーダ74からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出して内部のモータドライバを介して主走査モータ5を駆動する。
同様に、副走査モータ駆動制御部211は、CPU101側から与えられる目標値とホイールエンコーダ136からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出して内部のモータドライバを介して副走査モータ36を駆動する。
次に、ヘッド駆動制御部207及びヘッドドライバ28の構成の一例について図6を参照して説明する。
ヘッド駆動制御部207は、上述したように、1吐出周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部301と、画像データ(印字データ)、転送クロック、ラッチ信号、滴制御信号を出力するデータ転送部302とを備えている。滴制御信号M0〜M3は、ヘッドドライバ208のアナログスイッチ315の開閉を滴毎に指示する信号であり、共通駆動波形の吐出周期に合わせて選択すべき波形でHレベルに状態遷移し、非選択時にはLレベルに状態遷移する。
ヘッドドライバ208は、データ転送部302からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データを入力するシフトレジスタ311と、シフトレジスタ311の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路312と、画像データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ313と、デコーダ313のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ315が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ314と、レベルシフタ314を介して与えられるデコーダ313の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ315とを備えている。
このアナログスイッチ315は、各圧電素子121の選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部301からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データと制御信号をデコーダ313でデコードした結果に応じてアナログ316がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子121に印加される。
次に、このヘッドドライバ208の動作について図7をも参照して説明する。
まず、駆動波形生成部301からは、図7(a)に示すように、一吐出周期内に、基準電位(中間電位)V1から立下り(液室容積を拡大する方向)、所定のホールド時間を経た後基準電位V1に向けて立ち上がる(液室容積を収縮する方向)、複数のパルス(駆動信号)P1、P2、P3を含む共通駆動波形を出力する。
ここで、パルスP1、P2で2個の液滴を吐出させて飛翔中に合体させることで大滴を形成させ、また、パルスP2の波形要素は立下り電位をパルスP1よりも低くすることでパルスP2だけで中滴を吐出できるようにし、また、パルスP3の波形要素は立下り電位をパルスP2よりも低くし、かつ、段階的に立ち上げることで、パルスP3だけで小滴を吐出できるようにしている。
また、駆動波形生成部301からは、大滴を選択するときには図7(b)、(c)に示すようにパルスP1、P2に対応する区間T1、T2でHレベルになる大滴制御信号M0を、中滴を選択するときには図7(d)、(e)に示すようにパルスP2に対応する区間T2でHレベルになる中滴制御信号M1を、小滴を吐出させるときには図7(f)、(g)に示すように区間T3でHレベルになる小滴制御信号M2を出力する。なお、非吐出のときには図7(h)に示すように電圧V1に維持される。
したがって、データ転送部302から転送する画像データに応じて、大滴、中滴、小滴、非吐出を選択することができ、大ドット、中ドット、小ドット、ドット無し、4階調の大きさのドット、即ち多値のドットを形成することができるようになる。
そこで、このインクジェット記録装置を用いて複写が禁止される文書であることを示す地紋を含めた印刷画像を出力するための本発明に係る画像形成方法を実行する画像処理方法の手順を実行させる本発明に係るプログラムを搭載した画像処理装置及び本発明に係るインクジェット記録装置について以下に説明する。
図8は、画像処理装置と上述したインクジェット記録装置であるインクジェットプリンタとで構成した印刷システム、又は、画像処理装置と本発明に係るインクジェット記録装置で構成した印刷システムの例を示すブロック図である。
この印刷システム(画像形成システム)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる1又は複数台の画像処理装置400と、インクジェットプリンタ500とが、所定のインターフェイス又はネットワークで接続されて構成されている。
画像処理装置400は、図9に示すように、CPU401と、メモリ手段である各種のROM402やRAM403とが、バスラインで接続されている。このバスラインには、所定のインターフェイスを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置を用いた記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCDやCRTなどのモニタ405と、図示しないが、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置が接続され、また、インターネットなどのネットワークやUSBなどの外部機器と通信を行なう所定のインターフェイス(外部I/F)407が接続されている。
画像処理装置400の記憶装置406には、本発明に係るプログラムを含む画像処理プログラムが記憶されている。この画像処理プログラムは、記憶媒体から記憶媒体読取装置により読み取って、あるいは、インターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置400は、以下のような画像処理を行なうために動作可能な状態となる。なお、この画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
ここで、画像処理装置400側のプログラムで本発明に係る画像処理方法を実行する例について図10の機能ブロック図を参照して説明する。
これはほとんどの画像処理を画像処理装置としてのPCのようなホストコンピュータで行なう場合であり、比較的安い廉価機のインクジェット記録装置で好適に用いられている構成である。
画像処理装置400(PC)側の本発明に係るプログラムであるプリンタドライバ411は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データ410をモニタ表示用の色空間から記録装置用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行なうCMM(Color Management Module)処理部412、CMYの値から黒生成/下色除去を行なうBG/UCR(black generation/ Under Color Removal)処理及び記録装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行なうγ補正を行なうBG/UCR/γ補正部413、記録装置の解像度に合わせて拡大処理を行なうズーミング(Zooming)部414、画像データを記録装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)415、後述する原稿・地紋パターン合成部418から得られる印刷画像データであるドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジング部416を含み、ラスタライジング部416の出力417をインクジェットプリンタ500に送出する。
さらに、このプリンタドライバ411は、上述した画像データ410で示される元画像(以下「原稿画像」という。)に画像処理を行ってインクジェット記録装置500で出力可能な多値のドットに応じたデータに変換された中間調処理部415から出力される原稿画像データと、地紋パターン生成部419で生成された複写を禁止する文書であることを示す画像パターン(以下「地紋パターン」という。)のデータとを重ね合わせて合成する手段としての原稿・地紋パターン合成部418を有する。この原稿・地紋パターン合成部418によってインクジェットプリンタ500で出力可能な多値のドットに応じた原稿画像データと地紋パターンのデータとを合成することにより、インクジェットプリンタ500で出力可能な多値のドットに応じた印刷画像データを生成する。
次に、主としてインクジェットプリンタ500側で本発明に係る画像処理方法を実行し、一部を画像処理装置400側が分担して実行する例について図11の機能ブロック図を参照して説明する。
これは、高速で処理することができるため、高速機で好適に用いられている構成である。
画像処理装置400(PC)側のプリンタドライバ421は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データ410をモニタ表示用の色空間から記録装置用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行なうCMM(Color Management Module)処理部422、CMYの値から黒生成/下色除去を行なうBG/UCR(black generation/ Under Color Removal)処理及び記録装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行なうγ補正を行なうBG/UCR/γ補正部423とを有し、このBG/UCR/γ補正部423で生成した原稿となる画像データをインクジェットプリンタ500に送出する。
一方、インクジェットプリンタ500のプリンタコントローラ511(制御部200)は、記録装置の解像度に合わせて拡大処理を行なうズーミング(Zooming)部514、画像データを記録装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)515、後述する原稿・地紋パターン合成部518から得られる印刷画像データのドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジング部516を含み、ラスタライジング部516の出力をヘッド制御部207に与える。
さらに、このプリンタコントローラ511は、画像処理装置400から入力された画像データで示される原稿画像に画像処理を行って出力可能な多値ドットに応じたデータに変換された中間調処理部515から出力される原稿画像データと、地紋パターン生成部519で生成された複写を禁止する文書であることを示す画像パターンのデータとを重ね合わせて合成する手段としての原稿・地紋パターン合成部518を有する。この原稿・地紋パターン合成部518によって出力可能な多値のドットに応じた原稿画像データと地紋パターンのデータを合成することで出力可能な多値のドットに応じた印刷画像データを生成する。
本発明に係る画像処理方法は、図10及び図11のいずれの構成であっても好適に適用することができる。ここでは、図10に示す構成のように、インクジェット記録装置側では、装置内に画像の描画又は文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たない例で説明する。すなわち、ホストとなる画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフトなどからのプリント命令は、画像処理装置400(ホストコンピュータ)内にソフトウェアとして組み込まれたプリンタドライバ411で画像処理されてインクジェットプリンタ500が出力可能な多値のドットパターンのデータ(印刷画像データ)が生成され、それがラスタライズされてインクジェットプリンタ500に転送され,インクジェットプリンタ500が印刷出力される例で説明する。
具体的には、画像処理装置400(ホストコンピュータ)内で、アプリケーションソフト(例えば、Microsoft社製のWordやExcel(いずれも登録商標)などがあるが、特にこれらに限ったものではない。)を用いて、帳票や文書などの原稿が作成される。アプリケーションやオペレーティングシステムからのこの原稿画像に対する印刷命令により、ホストコンピュータ内のプリンタドライバ411は、インクジェットプリンタ500で印刷出力するために、上述したように、CMM、BG/UCR、Zooming、γ変換、多値・少値マトリクス処理といった画像処理を施し、インクジェットプリンタ500で再現できるドットサイズ情報からなる原稿画像の描画データを作成する。
一方、地紋パターンは、地紋パターン生成部419で作成する。地紋パターン生成部419では、インクジェットプリンタ500で再現できるドットサイズ情報からなる地紋パターン(画像パターン)を生成する。つまり、ここでは、地紋パターンのデータと原稿から作られた描画データとで使用するデータのインクジェットプリンタ500のドットサイズに対する値は同じものである。例えば、2ビット(bit1、bit0)で4値のドットを表現する場合、(bit1、bit0)がそれぞれ、(00)で非印字、(01)で小滴、(10)で中滴、(11)で大滴を表わすデータとする。
次に、地紋パターン生成部419による地紋パターンデータの生成処理についてより詳細に説明する。画像処理装置400において、地紋パターンのデータは所定のメモリ等の記憶装置406に保持されている。CPU401は、この地紋パターンのデータを記憶装置406から読み出し、印刷物の文書サイズ全面に描くように地紋パターンのデータのサイズを調整し、文書全面サイズの地紋パターンのインクジェットプリンタ500で出力可能な多値のドットに応じたデータを生成する。
そして、プリンタドライバ411の原稿・地紋パターン合成部418によって、地紋パターンのデータは原稿画像データ(原稿文書)と合成される。
この合成処理は、例えば、原稿画像データは多値(たとえば2ビット)のデータであり、地紋パターンのデータも同じ多値のデータである。原稿画像データでは、非印字を示すデータは(bit1、bit0)が(00)である。したがって、原稿画像データが、この(00)である場合にのみ、地紋パターンデータとOR処理(どちらかのbitが「1」であれば合成後も「1」とする。)を行なうことで、原稿画像の非印字部で地紋パターンデータが多値のドットのデータの場合に、非印字部が多値の画像データ(印字データ)に変わる。
その後、インクジェットプリンタ500のヘッドの構成に応じて、ラスタライジング部216でラスタライジングされ、データの縦横変換やノズルの配置に応じたディレイを持たせた印刷画像データとして、インターフェースを経由してインクジェットプリンタ500へ転送され、インクジェットプリンタ500は転送された印刷画像データをラスタデータメモリに保存し、所定のデータを受け取った後に、印刷画像データに応じて記録ヘッド11を駆動して被記録媒体(用紙)22に原稿画像と地紋パターンを含む画像を印刷する。
そこで、地紋印刷(不正コピー抑止/情報漏洩抑止システム)について図12ないし図18を参照して説明する。なお、図12及び図13は地紋印刷に関する説明図、図14及び図15は前景部及び背景部における地紋生成の効果説明図、図16及び図17はインク滴サイズによる地紋の再現性に関する説明図、図18は微小ドットでの地紋生成方法の説明図である。
地紋印刷の流れは、上述したところでもあるが、図12(a)に示すように、インクジェットプリンタ500よって地紋として文字や図柄を埋め込んだ印刷物(原本)むことで、同図(b)に示すように、印刷物を複写すると地紋が浮き出てくる。なお、この例では、図12(a)の印刷物(原本)前景部(ここでは複写されたときに再現される部分)に「複写」の文字600を埋め込んでいる。
これにより、当該印刷物が複写された物(複写物)であるか否かを判別できる。このとき、複写前の印刷物に地紋が埋め込まれていることが判らないようにしてもよいし、或いは、地紋が埋め込まれていることが判るようにしてもよい。地紋が判別できることで不正コピーの抑止にもなる。
この地紋印刷は複写機の地肌除去機能を利用している。すなわち、地肌除去機能では、微小ドットは複写後に再現されず、ある閾値以上のドットのみを再現するようになっている。すなわち、図13(a)に示すように、大きなドット601と小さなドット602を印刷物が形成されているとき、大きなドット601は再現されるが、小さなドット602は再現されない。
そこで、図14(a)に示すように、複写後再現されないような微小ドット602を背景部に、複写後も残るようなドット601は前景部に設定し、前景部に文字「A」を埋め込んでいる。この印刷物を複写すると、同図(b)に示すように、前景部だけが再現されるようになり、文字「A」が浮き出てくるようになる。つまり、背景部の単位面積当りの記録液付着面積よりも前景部の単位面積当りの記録液付着面積を大きくすることで、複写後の複写物に前景部のみを再現することができ、例えば前景部に文字列を埋め込むことで、複写物に当該文字列を浮かび上がらせることができる。
逆に、図15(a)に示すように、複写後再現されないような微小ドット602を前景部に、複写後も残るようなドット601は背景部に設定し、前景部に文字「A」を埋め込んでいる。この印刷物を複写すると、同図(b)に示すように、背景部だけが再現されるようになり、白抜きの文字「A」が浮き出てくるようになる。つまり、前景部の単位面積当りの記録液付着面積よりも背景部の単位面積当りの記録液付着面積を大きくすることで、複写後の複写物に背景部のみを再現することができ、例えば前景部に文字列を埋め込むことで、複写物に当該文字列を白抜きで浮かび上がらせることができる。
なお、地紋印刷では、前景部(ここでは複写後再現部)と背景部(ここでは複写後消去部)のセットで地紋を構成することで複写前の原本に前景部を目立たなくしているが、前景部だけで地紋を構成するようにすることもできる。
このように、大きさの異なるドットを形成できる場合には、元画像に複写を禁止することを示す前景部及び背景部の少なくともいずれかの地紋を埋め込んだ画像を形成するとき、前景部及び背景部のいずれか一方を大ドットで、他方を小ドットで形成することによって、前景部と背景部が単位面積当たりの記録液付着面積の違いで区別された地紋を形成することができ、複写後の印刷物に複写物か否かを判別できる地紋を印刷することができる。
次に、大きさの異なるドットを打ち分けることで単位面積当りの記録液付着面積を異ならせることができない(単一の大きさのドットしか形成できない)場合、あるいは、打ち分けることはできるが、ドットサイズを異ならせても複写機の性能上、異なる再現性を持たせることができない場合について説明する。
ここで、インク滴サイズによる地紋の再現性に関して図16及び図17を参照して説明する。吐出可能なインク滴が大きい場合を図16に、微小ドットの場合を図17に示している。滴サイズが大きくてドットが大きい場合、再現性があるために、図16に示すように、地紋の前景部(複写時に再現される部分)を構成することは可能となるが、背景部(複写時に再現されないで消去される部分)を構成することはできない。これに対して、微小ドットの場合は、そもそも再現性がないために、図17に示すように前景部を構成しても再現されないことから、地紋背景部を構成することは可能であるが、前景部を構成することはできない。
そこで、微小ドットによる地紋生成方法について図18を参照して説明する。
微小ドットは単体では複写後にドットが消えてしまうため前景部を構成できないが、ドットを隣接させて複数滴集合させることで、大ドット並みのインク付着面積を得ることができる。この状態で複写をすれば複写後にもドットを再現することが可能となる。例えば、図18(a)に示すように、微小ドット611を離間させて配置形成した場合には、同図(b)に示すように複写後に再現されない(破線で図示している。)。これに対して、微小ドット611を隣接させて集合体612として配置形成した場合には、複写後に再現することができる。
具体的には、例えば図19に示すように、背景部は2×2のドットを所要ドット数離して配置し、前景部は3×3のドットを所要ドット数離して配置する。このとき、例えば、背景部は1ドット単位とし、前景部のみドット集中をさせることもできる。
したがって、前景部は微小ドットの集合体(1ドット以上隣接させて形成した集合体)とし、背景部は微小ドット単体(又は前景部より少ないドット数のドット集合体)とすることで地紋印刷をすることが可能となる。
この場合、解像度が低く、ドットを隣接させてもドット間ピッチが大きく、ドットが離れてしまうような場合は、同一箇所に複数滴を打ち込んでドットを形成することで、インク滲みを発生させて、地紋前景部に必要なインク付着面積を得たり、電気的にドットの打ち込み位置を制御することでドットを隣接配置するようにすればよい。この場合、同一箇所に対する複数の液滴を打ち込みは、1スキャンではできないので、例えば連続する数スキャンで同じドット位置に液滴を打ち込むことになる。
このように、地紋を形成する前景部及び背景部の少なくともいずれかのドットは少なくとも1ドット以上隣接して形成することで、あるいは、地紋を形成するドット同一箇所に複数の記録液滴を打ち込んで形成することによって、単一の大きさのドットしか形成できない場合でも、再現可能な記録液付着面積を得ることができて地紋を印刷でき、低解像度のモードにおいても地紋印刷を行うことができるようになる。
つまり、インクジェット記録装置においては電子写真方式の画像形成装置とは異なって被記録媒体にインクが付着した後の滲みが生じることから、単に電子写真方式の画像形成装置における地紋印刷ように画素数によって背景部と前景部とを区別することはできないのであって、インク滴付着面積が重要になるのである。
また、複写機で再現可能なドット径は印字色の明度特性により変化する。明度が低い(暗い)場合よりも明度が高い(明るい)場合のほうが複写後の再現に必要なドット径は大きくなってくる。たとえば、印字色をシアンとした場合は、印字色をブラックとした場合に比較して、前景部のドット径は大きくする必要がある。明度特性の高低によりインク付着面積を異ならせることで様々な印字色で地紋印刷を行うことができるようになる。