本明細書において、「印字」「印刷」などと呼んでいるものはすべて、液滴を用いて画像を形成することを指す。以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態におけるインクジェット記録装置の全体的な構造について説明する。図1は、本実施形態のインクジェット記録装置を前方側から見た斜視説明図である。
本実施形態のインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。さらに、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は、操作ボタンや表示器等を設ける操作/表示部5としている。
カートリッジ装填部4には、色の異なる記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という)を、装置本体1の前面側から後方側に向かって挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバーであるカートリッジカバー6を開閉可能に設けている。また、インクカートリッジ10k、10c、10m、10yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成としている。
カートリッジカバー6は、カバーを閉じた状態で、カートリッジ装填部4内に装填されている複数のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yを外部から視認することができる透明又は半透明の部材で全体が形成されている。なお、インクカートリッジ10k、10c、10m、10yを外部から視認することができれば、一部を透明又は半透明の部材で形成するように構成することもできる。
また、操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの残量がニアーエンドあるいはエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11k、11c、11m、11y(色を区別しないときは「残量表示部11」という)を配置している。さらに、この操作/表示部5には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13及びキャンセルボタン14が配置されている。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置の機構部について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、同機構部の全体構成を説明する概略構成図、図3は、同機構部の要部平面説明図である。
フレーム21を構成する左右の側板21A及び21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とによって、キャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータにより図3の矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
キャリッジ33には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド34を、複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等を、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものを使用できる。
また、記録ヘッド34にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)22を介して接続している。
キャリッジ33には、記録ヘッド34に各色のインクを供給するための各色のサブタンク35を搭載している。サブタンク35には、各色のインク供給チューブ36を介して、前述したように、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、カートリッジ装填部4には、インクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられ、また、インク供給チューブ36は、這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに係止部材25にて保持されている。
他方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43、及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、給紙部トレイ2から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成されている。また、搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材(例えばETFEピュア材等)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材57が配置されている。ガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド34側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。なお、搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによって駆動ベルトを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
そして、搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61、排紙ローラ62及び排紙コロ63を備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ62と排紙コロ63との間から排紙トレイ3までの高さは、排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。両面ユニット71は、搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて、再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、両面ユニット71の上面は、手差しトレイ72としている。
さらに、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(サブシステム)81が配置されている。維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするためのキャップ部材82、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード83、空吐出(画像記録に寄与しない液滴の吐出)を行うときに吐出された液滴を受けるための空吐出受け84等が設けられている。また、キャリッジ33の走査方向の他方側の非印字領域には、同様に、空吐出時の液滴を受けるための空吐出受け85が配置されている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42は、ガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、さらに先端を搬送ガイド部材47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、搬送方向を略90°転換される。
このとき、図示しない制御回路によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり、交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、プラスとマイナスが周回方向の副走査方向に所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置の記録ヘッド34を構成する液滴吐出ヘッドの一例について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は、同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図であり、図5は、同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
当該液滴吐出ヘッドは、例えば、単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層して構成されている。また、該液滴吐出ヘッドは、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105、液室106、そして液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109等を形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図4では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には、支柱部123が設けられている。支柱部123は、圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子121には、図示しない駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル124が接続されている。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、フレーム部材130は、圧電素子121及びベース基板122等で構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131と、共通液室108となる凹部と、共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132とを形成している。フレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂あるいはポリフェニレンサルファイトを射出成形することによって形成されている。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)等のアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂等を用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他に、金属板や金属と樹脂板との接合部材等を用いることもできる。振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤で接合し、さらにフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103には、各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104が形成され、流路板101に接着剤接合している。ノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には、個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、本実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることも可能である。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液滴吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入する。そして、その後に圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
また、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではない。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置の制御部の概要について、図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
制御部200は、記録装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラムやその他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、記録装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
また、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置(あるいはデータ処理装置)であるホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのホストI/F206と、記録ヘッド34を駆動するための駆動波形を生成する駆動波形生成部207と、記録ヘッド34を駆動制御するヘッドドライバ208と、主走査モータ212を駆動するための主走査モータ駆動部211と、副走査モータ214を駆動するための副走査モータ駆動部213と、帯電ローラ56に対してACバイアス電圧を供給するACバイアス供給部215と、各種センサからの検知信号などを入力するためのI/O216等を備えている。
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置、イメージスキャナ等の画像読取装置、デジタルカメラ等の撮像装置といったホスト側からの画像データを含む印刷データ(印字データ)等を、ケーブルあるいはネットを介してホストI/F206から受信する。
そして、CPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッドドライバ208に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM202にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしてもよい。
駆動波形生成部207は、駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器等で構成され、1の駆動パルス(駆動信号)又は複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形をヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて、駆動波形生成部207から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の圧力発生手段(圧電素子121)に印加して記録ヘッド34を駆動する。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置で使用するインク(記録液、以下「本インク」という)の一例について説明する。
本インクは、以下の(1)ないし(10)で構成され、印字するための着色剤として、顔料を使用し、それを分解、分散させるための溶剤とを必須成分とする。さらに、添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤とを使用する。湿潤剤1と湿潤剤2とを混合するのは、各々湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調整が容易にできるためである。
(1) 顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2) 湿潤剤1
(3) 湿潤剤2
(4) 溶性有機溶剤
(5) ニオンまたはノニオン系界面活性剤
(6) 炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7) エマルジョン
(8) 防腐剤
(9) pH調整剤
(10) 純水
上記の各インク構成要素について、より具体的に説明する。
(1)の顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用できる。
これらの顔料のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6〜20wt%程度が好ましく、より好ましくは8〜12wt%程度である。
本インクにおいて好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
また、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
その他、顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであってもよい。
本インクの好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散液を使用することができる。
また、分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
本インクの好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15、000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加されてよい。分散剤としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6wt%〜20wt%含有し、0.05μm〜0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5,000〜100,000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤が少なくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
(2)〜(4)の湿潤剤1、2と、水溶性有機溶剤に関しては、本インクの場合、インク中に水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にし、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶剤が使用される。これら水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
湿潤剤と水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロース等自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前述した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここでn=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸等)、アミノ酸、チオ酸等が挙げられる。特に、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビット等が挙げられる。これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40wt%、好ましくは0.5〜30wt%の範囲が適当である。
(5)の界面活性剤に関しても、特に限定はされないが、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられる。前記界面活性剤は、単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
本インクにおける表面張力は、紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては、従来公知の方法(例えば特開昭63−31237号公報等に記載)で、1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用できるが、ここでは、Wilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は、40mJ/m2以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m2以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
(6)の炭素数8以上のポリオールあるいはグリコールエーテルに関しては、25℃の水中において、0.1〜4.5wt%未満の間の溶解度を有する部分的に、水溶性のポリオール、グリコールエーテルの少なくともいずれかを、記録用インク全重量に対して0.1〜10.0wt%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性及び周波数安定性が得られることが分かった。
(a)2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃)
(b)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25
℃)
25℃の水中において0.1〜4.5wt%未満の間の溶解度を有する浸透剤は、溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。したがって、25℃の水中において0.1〜4.5wt%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組合せや他の界面活性剤との組合せで非常に高浸透性のあるインクを作製することが可能となる。
(7)本インクには樹脂エマルジョンが添加されている方が好ましい。樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
なお、本インクの好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径は、エマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂あるいはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下する、あるいは浸透性が悪化する傾向があるので好ましくない。
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、等が挙げられる。本インクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40wt%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25wt%の範囲である。
このように、樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
(8)〜(10)本インクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来から知られている添加剤を加えることができる。例えば、防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
なお、キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
<駆動信号の特徴>
以下、本実施形態のインクジェット記録装置において生成される駆動信号について、図7ないし図9を参照して説明する。駆動信号は、図6の駆動波形生成部207が生成する。
図7は本駆動波形の1例である。駆動波形はP1〜P3の3つのパルスから構成されており、印刷時に使用するパルスを適宜選択することで、小滴、中滴、大滴といった打ち分けが可能となる。本駆動波形例では小滴がP1、中滴がP2、P3、大滴がP1、P2、P3から構成される。
一般に使用するパルス数が多くなる、またインクが低粘度になるほど残留振動及びメニスカスのオーバーシュートは大きくなり、安定吐出が困難となるので大滴吐出時にこの課題が発生しやすい。しかし、本波形はP3に特徴を持っており、これにより先述の課題を解決できる。
具体的には、本実施形態では、最終吐出パルスP3の基本形状は「引き−押し−引き打ち(PULL−PUSH−PULL型)」からなっており、インク吐出直後に制振・メニスカス隆起抑制要素tf2を印加することにより制振・メニスカス隆起抑制の効果を実現する。tf2では中間電位Vmより電圧が低くなることを特徴とする。
まず、最初の引き(PULL)を行うための引き込み要素tf1の電圧変位により、インクが液室に流入する。次に、押し(PUSH)を行うための加圧要素tr1の電圧変位により液室に加圧が行われインクが吐出する。この加圧要素tr1の電圧変位は、引き込み要素tf1の電圧変位の約1.5倍〜2.5倍とすることが好ましい。このようにすると、メニスカス隆起抑制要素tf2の電圧変位を大きくしても、tf2の変位後の電位がtf1の変位後の電圧ほど低くならないようにすることができる。
また、制振については、P3における加圧要素tr1でインクを吐出後、そのメニスカスの速度が逆位相となるタイミングまでtw時間保持し、メニスカス隆起抑制要素tf2を印加することで実現する。したがって、圧力室の固有振動周期をTcとすると、1/2Tc〜Tcの範囲内であることが好ましい。
次にメニスカス隆起はtf2において、中間電位Vmを超えて更に低い電位まで電圧を下げることにより、圧力室方向にメニスカスを戻す動きを強めることができ、本動作をしない場合に比べてメニスカスの隆起を大幅に抑制することができる。
次に図8、図9を参照してP3のメニスカス隆起抑制効果について説明する。
図8は制振要素として使用する、吐出をさせない程度の電圧変位Vaの波形(1)と波形(2)のパルス形状を示したものである。波形(1)はよく知られている引き打ち波形(PULL波形)で、波形(2)が本実施形態におけるメニスカス隆起抑制パルスの基本形状である。ここで、2つの波形を印加した際のメニスカス変位測定結果が図9である。図9中、圧力室方向への最初の変位が小さいのが波形(2)であり、大きいのが波形(1)である。
図からわかるように波形(1)に比べて波形(2)では印加後のメニスカスの隆起を十分に抑制できている。このように波形(2)は、波形(1)のような隆起が少ないため、隆起が最大となる周期で吐出させた際に曲がり等の吐出異常が発生するといった不具合を防ぐことができる。
この波形(2)において立ち下げ時の電圧変位Vbの値とその傾きが大きいほどメニスカス隆起抑制効果は大きくなる。波形(1)において同様の効果を持たせようとしても、Vaを大きくすると吐出されてしまうので狙い通りにメニスカスをコントロールすることができない。一方、波形(2)ではVbが中間電位にまたがっているので、Vbを大きくしても吐出に関わる部分であるVcの値は小さいので、余分な吐出をさせることなくメニスカスの隆起を抑制できる。ただし、Vcについてもある一定以上の電圧を超えると余分な吐出が行われてしまうので、Vcで吐出しない程度の電圧とすることが好ましい。
以上のように本波形を用いることで制振だけでなくメニスカスの隆起を抑制し安定した吐出を行うことができる。それだけでなく、最終パルスに本波形を置くことで吐出安定性を向上させるために、全ての滴種(小滴、中滴、大滴等)に適用することができるので、汎用性が高い。小滴のようにもともとメニスカスの隆起が少ないものについては不必要となる場合があるので、その際は最終パルスを使用せずともよい。
以上に述べたように、本実施形態は、駆動波形による圧力室の残留振動、及び、リフィル周期によるメニスカスの隆起が課題である。これを解決するために、複数パルスから構成される駆動波形の最終吐出パルスに、制振とメニスカス隆起抑制の機能を持たせた。
最終パルスでインクの吐出後にメニスカス速度の逆位相となるタイミングで圧力室を膨張させる方向に、電圧を印加することで、制振効果を持たせる。加えて、最終パルスの基本形状を「引き−押し−引き(PULL−PUSH−PULL)型」とし、最後の「引き(PULL)」時に駆動波形の電圧の原点となる中間電位を超えて圧力室を膨張させる方向に電圧を変化させることで、制振のみならず、メニスカス隆起も抑制することができる。さらに、この技術的特徴は、余分なインクを吐出させることなく、メニスカスを圧力室に戻す動きを強くすることもできるという効果をもたらす。
上記実施形態の構成によれば、リフィル周期によるメニスカスの隆起を抑制し、吐出滴量が多く高周波で駆動する際にも安定吐出を実現できる。なお、特許文献2に開示されている駆動波形は、立ち下げ時に中間電位でHOLD時間を持たせている。このHOLD時間があることで、メニスカスを圧力室方向に戻す動きが不十分となり隆起を抑制できない。これに対して、本実施形態の駆動波形は、圧力室の固有周期に基づく残留振動の抑制だけでなくリフィル周期によるメニスカスのオーバーシュート(隆起)も抑制することができる。これにより、高温や多滴量印字時の曲がりやノズルダウン発生を防止し吐出安定性を確保することができる。