JP2006082336A - インクジェット印字装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】印字素子のノズル面への不要なインクミスト滴の付着を低減して、ノズルのインク吐出不良を防止することにより高画質の印字を行うことができるインクジェット印字装置を提供する。
【解決手段】印字素子に駆動信号を印加して、ノズル面のノズルからインク液滴を吐出させ、帯電した被印字媒体(用紙等)上にインク液滴により画像を形成するインクジェット印字装置において、被印字媒体上に着弾する瞬間時のインク液滴の全体長さLを500[μm]以下とする。この場合、形成する画像の1画素当りのインク滴体積を40[pl]以下とすれば、更に良い結果が得られる。
【選択図】図8

Description

本発明は、記録を必要とする時にのみインク液滴を形成・吐出し、所望の被印字媒体上にインク液滴を付着させて印字を行うドロップ・オン・デマンド型インクジェット印字装置に関し、より詳しくは、被印字媒体を帯電させて高画質画像印字を行うインクジェット印字装置に関するものである。
従来より、インクジェット印字装置は、現像定着などのプロセスを必要とせず、非接触にて直接印字ができるために、低騒音、高速高画質カラー印字が可能で、普通紙を使用できることから低ランニングコストで、装置的にも安価となる等の特長を有している。その中でも記録を必要とする時にのみインク液滴を吐出するドロップ・オン・デマンド(DOD)方式のインクジェット装置は、印字に不必要なインクの回収系がないためメンテナンスが簡単で、装置構成が小型で安価となるため、近年、大変注目されている。
そのDOD記録方式の印字素子には、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式、放電方式等の多種多様な駆動方式が提案されおり、例えば、電気熱変換方式については特許文献1等に、電気機械変換方式については特許文献2等に、それぞれ開示されており、また市販・実用化もされている。
しかしながら、インクジェット印字装置の場合、特に普通紙上に印字する場合には、レーザープリンター等と比較して印字速度の高速化と印字画像の高画質化の要求は高く、それらの要求を両立して満足させることは、比較的困難な技術課題となっている。
そこで、インクジェット印字装置の場合、より高速な画像印字を可能とするためには印字素子そのものの大きさを長尺化し、インク吐出口(以下、ノズルと呼ぶ場合がある)の数をより増加させる必要がある。また、より高画質な画像を得るためには印字素子と普通紙等の被印字媒体との対向距離を常に一定に保ち、且つ被印字媒体の搬送精度を高めて正確に搬送制御を行う必要がある。その印字素子と被印字媒体との対向距離を常に一定に保つことは、印字素子の大きさが長尺化すればするほど難しい課題となってくる。また、インクジェット印字装置の場合、特に普通紙ではインクに含まれる水分によって印字の際に紙の伸縮現象(以下、この現象をコックリングと呼ぶ)が発生し、紙表面が波打った状態となる。この現象により、印字素子と被印字媒体との対向距離を常に一定に保つことはより困難となり、普通紙上での画質劣化を招く要因となっている。最悪の場合には、印字途中や紙搬送中に紙と印字素子のノズル面とが接触してノズル面と印字画像の汚れが発生し、ひどい場合には装置内で紙詰まりが発生してしまう問題を抱えている。
このような問題に対し、普通紙等の被印字媒体の搬送手段として無端状(シームレス)のベルトを利用し、このベルト上に被印字媒体を静電的に吸着保持して搬送する方式が提案されており、例えば特許文献3に、そのような技術が開示されている。
しかしながら、この紙搬送方式の場合、印字素子と被印字媒体との対向距離を一定に保ち、且つ高い搬送精度で正確に紙搬送制御を行うことが比較的容易となる反面、ベルトや紙への帯電により印字素子表面と被印字媒体表面との間に生じた電界の影響によって、印字素子から吐出されたインク液滴も帯電分極してその飛翔が乱れ、インク液滴の一部がミスト状に印字素子ノズル面に付着してしまい、最悪の場合には、そのミスト付着の影響でインク吐出不良を起こし、良好な画像印字ができなくなるといった問題点があった。
そこで、上記印字素子ノズル面へのインクミスト付着を防止し、上記問題点を解決することを目的とする発明が、特許文献4や特許文献5等に開示されている。
特許文献4には、被印字媒体を静電的に吸着し搬送する搬送ベルトを有するインクジェット印字装置において、インク吐出口から吐出された不要インクを吸着するように、印字素子と被印字媒体との間に互いに極性の異なる電圧が印加される第1電極と第2電極を設ける構成としたインクジェット印字装置が開示されている。
また、特許文献5には、被印字媒体を静電的に吸着し搬送する搬送ベルトを有するインクジェット印字装置において、インク吐出口の近接に制御電極を設け、その制御電極に被印字媒体の表面電位絶対値とほぼ等しいか、又はそれ以上の同極性の電圧を印加することでミスト状のサテライト滴を前記制御電極の電界により制御電極と電気的に反発させて被印字媒体上に着弾させ、上記サテライト滴がインク吐出口付近に付着することを防止する構成としたインクジェット印字装置が開示されている。
特公昭61−59911号公報 特開昭60−157875号公報 特開昭62−147473号公報 特許第2915635号公報(特開平5−518号公報) 特許第3224528号公報(特開2000−25249号公報)
しかしながら、特許文献4に記載のインクジェット印字装置では、印字素子と被印字媒体との間に互いに極性の異なる電圧が印加される第1電極と第2電極を設ける構成とすることで、不要インク滴がインク吐出口に返り付着する前に第1電極と第2電極側へ吸着捕集されるため、インク吐出口近傍への不要インク滴の付着を防止することは可能となるものの、各電極のところで付着した不要インク滴の回収機構はないため、その電極に付着した不要インク滴は各電極に蓄積されて最終的には大きなインクの液球となる。そして、最悪の場合には、印字中にその液球が被印字媒体上に垂れたり、擦れたりして画像を汚す原因となり、印字素子への不要なインク滴の付着を防止する根本的な解決策とはなっていない。また、カラー画像印字の場合、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Ma)、イエロー(Ye)の各色印字素子に対して各々第1電極、第2電極を設け、計8つの各電極に対して互いに極性の異なる電圧が印加されるように電気的な接続を行う必要があり、更に、数百ボルト程度を要する正負極性の異なる電圧が出力可能な電源電圧を別途用意する必要があるため、装置構成が複雑となり、組立の際も作業が煩雑で装置コストが高くなるといった問題も有している。
また、特許文献5に記載のインクジェット印字装置の場合でも、インク吐出口の近接に制御電極を設け、その制御電極に被印字媒体の表面電位絶対値とほぼ等しいかそれ以上の同極性の電圧を印加する構成とすることで、ミスト状のサテライト滴を前記制御電極の電界により制御電極と電気的に反発させて被印字媒体上に着弾させて、上記サテライト滴のインク吐出口付近への付着を防止することは可能となるものの、上記特許文献4の発明の場合と同様に、カラー画像印字の場合、ブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Ma)、イエロー(Ye)の各色印字素子の多数のインク吐出口に対して各々多数の制御電極を設け、各電極に対して被印字媒体の表面電位絶対値とほぼ等しいかそれ以上の同極性の電圧が印加されるように電気的な接続を行う必要があり、更に、数百ボルト以上の電圧が出力可能な電源電圧を別途用意する必要があるため、装置構成が複雑となり、組立の際も作業が煩雑で装置コストが高くなるといった問題を有している。
従って、特許文献4,5に開示された発明の何れも、装置構成が簡易で安価なコストで作製可能な構成により、且つ、印字素子のノズル面(インク吐出口)へミスト状の不要なインク滴付着を根本的に防止して、インク吐出不良の発生しない良好な画像印字をすることが可能なインクジェット印字装置になっているとは言い難い。また、特許文献4,5の何れにも、画像印字の際に吐出されるインク滴の吐出特性や、画像形成(印字)装置により印字素子ノズル面への不要なインクミスト滴の付着を低減、もしくは防止する構成については言及されていない。
本発明は、従来技術の上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、以下のとおりである。
(1)請求項1に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れ(ノズル面にインクミスト滴が付着すること)が発生することはあっても、インク吐出不良(抜け)が発生しないインク滴形状について提案すること。
(2)請求項2に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れが発生することはあっても、インク吐出不良(抜け)が発生しないインク滴体積について提案すること。
(3)請求項3に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生がなく、且つ、インク吐出不良(抜け)が発生しないインク滴体積について提案すること。
(4)請求項4に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れが発生することはあっても、インク吐出不良(抜け)が発生しないインク液粘度について提案すること。
(5)請求項5に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生がなく、且つ、インク吐出不良(抜け)が発生しないインク液粘度について提案すること。
(6)請求項6に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れが発生することはあっても、インク吐出不良(抜け)が発生しない画像解像度について提案すること。
(7)請求項7に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生がなく、且つ、インク吐出不良(抜け)が発生しない画像解像度について提案すること。
(8)請求項8に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生が低減し、且つ、インク吐出不良(抜け)が発生しない印字画像形成装置について提案すること。
(9)請求項9に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生が低減し、且つ、インク吐出不良(抜け)が発生しない印字画像形成装置について提案すること。
(10)請求項10に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生が低減し、且つ、インク吐出不良(抜け)が発生しない印字画像形成装置を提案すること。
(11)請求項11に係る発明:ノズル面の帯電ミスト汚れの発生と、インク吐出不良(抜け)の発生とを低減することができる、印字素子の駆動条件について提案すること。
すなわち、請求項1,2,4,6に記載の発明の目的は、印字素子のノズル面(インク吐出口)への不要なインクミスト滴の付着を根本的に低減して、インク吐出口からのインク吐出不良を防止することにより良好な画像印字を行うことができるインク滴吐出装置、あるいは画像形成装置を提供することである。
請求項3,5,7に記載の発明の目的は、請求項1,2,4に記載の発明において、印字素子のノズル面(インク吐出口)への不要なインクミスト滴の付着を根本的に防止することによりインク吐出不良が発生せず、良好な画像印字ができるインク滴吐出装置、あるいは画像形成装置を提供するものである。
請求項8〜10に記載の発明の目的は、請求項1に記載の発明において、印字素子のノズル面(インク吐出口)への不要なインクミスト滴の付着を根本的に低減して、インク吐出不良を防止することにより、良好な画像印字ができる画像形成装置を提供するものである。
請求項11に記載の発明の目的は、請求項1に記載の発明において、印字素子のノズル面(インク吐出口)への不要なインクミスト滴の付着とインク吐出不良の発生とを根本的に低減して、良好な画像印字ができる印字装置を提供するものである。
請求項1に係る発明は、印字素子に駆動信号を印加することによってノズル面のインク吐出口(ノズル)からインク液滴を吐出させ、帯電した被印字媒体上に前記インク液滴により画像形成するインクジェット印字装置において、前記被印字媒体上に着弾する瞬間時の前記インク液滴の全体長さを500[μm]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とするインクジェット印字装置である。
請求項2に係る発明は、前記形成する画像の1画素当りのインク滴体積を40[pl]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置である。
請求項3に係る発明は、前記形成する画像の1画素当りのインク滴体積を20[pl]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項2記載のインクジェット印字装置である。
請求項4に係る発明は、前記インク液滴の液粘度を20[mPa・s]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置である。
請求項5に係る発明は、前記インク液滴の液粘度を10[mPa・s]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項4記載のインクジェット印字装置である。
請求項6に係る発明は、前記形成する画像の解像度を300[dpi]以上として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項4記載のインクジェット印字装置である。
請求項7に係る発明は、前記形成する画像の解像度を600[dpi]以上として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項5記載のインクジェット印字装置である。
請求項8に係る発明は、前記画像形成する際、1回の印字に対し印字密度を50%以下の比率に設定し、該印字密度で繰り返し印字を行って前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置である。
請求項9に係る発明は、前記画像形成する際、1回の印字に対し主走査方向への印字密度を50%以下の比率に設定し、該印字密度で繰り返し印字を行って前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェット印字装置である。
請求項10に係る発明は、前記画像形成する際、1回の印字に対し副走査方向への印字密度を50%以下の比率に設定し、該印字密度で繰り返し印字を行って前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェット印字装置である。
請求項11に係る発明は、
前記印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)を下記の式(1)
Fmax=Vsh/δ………(1)
但し、Vshは前記印字素子の前記被印字媒体に対する相対移動速度(m/s)、
δは前記被印字媒体上の画像の印字画素間隔(m)
で定義したとき、
この最高周波数(Fmax)が20[kHz]以下となるように、前記相対移動速度(Vsh)を設定して前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置である。
(1)請求項1,2,4,6,8〜11に記載の発明によれば、簡易な手段によって、印字素子のノズル面(インク吐出口)へ不要なインクミスト滴の付着を根本的に低減することができるため、大量の連続印刷をした場合でもインク吐出不良の発生しない、良好で安定した印字品質の高いカラー画像出力ができる安価なインクジェット印字装置が提供される。
(2)請求項3,5,7に記載の発明によれば、簡易な手段によって、且つ、印字素子のノズル面(インク吐出口)へ不要なインクミスト滴の付着を根本的に防止することができるため、大量の連続印刷をした場合でも、長期にわたりインク吐出不良の発生しない、良好で安定した印字品質の高いカラー画像出力ができる安価なインクジェット印字装置が提供される。
(3)また、本発明の各請求項に係るインクジェット印字装置は、簡易な装置構成で、且つ安価なコストで作製できるものである。
本発明の印字装置としては、複写機、ファックス、印刷機、プリンター、プロッター等に配備される印字装置が挙げられる。
以下、本発明に係るインクジェット印字装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜図5は、本発明のインクジェット印字装置の一例を示すもので、図1はその全体構造を示す概略説明図であって、その側面から見たものである。図2は図1の右側面図であって、搬送ベルトとキャリッジ等との関係を示すものである。図3は、この印字装置を構成する用紙搬送用のベルト、すなわち搬送ベルトの構成説明図である。図4は、搬送ベルト上で用紙が静電吸着される様子を示す模式的説明図である。図5は搬送ベルト全体の平面図であって、帯電ローラによる正負電荷の帯電によって搬送ベルト上に形成される帯電領域(幅)を示す説明図である。
図6は、搬送ベルトの搬送方向(副走査方向)への速度プロファイル(同図(a))と、高電圧電源より出力され帯電ローラへ印加される電圧信号波形(同図(b))との関係を示す説明図である。
図7は本発明が解決しようとする課題の説明図、すなわち搬送ベルトの帯電の影響による、印字素子ノズル面へのインクミスト付着現象についての説明図である。
図8は、本発明(請求項1〜3のインクジェット印字装置)の実施形態に係るもので、印字素子ノズル面のインク吐出口から、粘度が20[mPa・s]の一定値であるインク滴を、1画素当りのインク滴体積を変化(同図(a)〜(e))させて吐出させた時の各インク滴の吐出状態を模式的に示す説明図である。
図9は、本発明(請求項4,5のインクジェット印字装置)の別の実施形態に係るもので、印字素子ノズル面のインク吐出口から、1画素当りのインク滴体積が40[pl]の一定値であるインク滴の液粘度を変化(同図(a)〜(f))させて吐出させた時の各インク滴の吐出状態を模式的に示す説明図である。
図10は、本発明(請求項1〜5のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、吐出する1画素当りのインク滴体積の大きさとインク滴粘度との関係(図8、図9)において、ノズル面へのミスト付着状態とインク滴吐出不良状態との相関状態を示す説明図である。
図11は、本発明(請求項6,7のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、インク滴粘度と印字する画像の解像度との関係(図9)において、ノズル面のミスト付着状態とインク滴吐出不良状態との相関状態を表す説明図である。
図12は、本発明(請求項8,9のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、印字ヘッドを搭載したキャリッジを印字画像の主走査方向へ移動しながら印字ヘッドより画像信号に応じてインク滴を吐出し、用紙上に画素(ドット)を印字しながら画像形成する様子を模式的に示す説明図である。
図13は、本発明(請求項8,9のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、図12(a)のように最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の印字密度比率を主走査方向に対し50%未満に低下させて画像形成する様子を模式的に示す説明図である。
図14は、本発明(請求項8,10のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、図12と同様に図1に示される印字ヘッドを搭載したキャリッジを印字画像の主走査方向へ移動させ、前記印字ヘッドより画像信号に応じてインク滴を吐出し、用紙上に画素(ドット)を印字しながら画像形成する様子を模式的に示す説明図である。
図15は、本発明(請求項8,10のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、図14(a)のように最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の印字密度比率を副走査方向に対し50%未満に低下させて画像形成する様子を模式的に示す説明図である。
図16は、本発明(請求項8のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、図13や図15のように最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の印字密度比率を50%未満に低下させて画像形成する様子を模式的に示す説明図である。
図17は、本発明(請求項11のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、印字素子ノズル面のインク吐出口から、1画素当りのインク滴体積が20[pl]の一定値で、且つ、そのインクの液粘度が10[mPa・s]の一定値であるインク滴に対し、そのインク滴を吐出するために印字素子に印加する駆動信号の最高周波数を変化(同図(a)(b))させた時の各インク滴の吐出状態を模式的に示した図である。
図18は、本発明(請求項11のインクジェット印字装置)の更に別の実施形態に係るもので、上記式(1)で表される関係を、シリアル型インクジェット印字装置に適用して示した説明図である。
図1に示すインクジェット印字装置100では、印字装置本体100Aの内部に、主走査方向に移動可能なキャリッジ11、このキャリッジに搭載したインクジェットからなる印字ヘッド12(または印字素子)、この印字ヘッド12直下に無端状の搬送ベルト13、印字ヘッド12へインクを供給するインク供給管(チューブ)14、図示しないインクサブタンク、インクカートリッジ等で構成されるインク供給機構部等が、それぞれ収納されている。
印字装置本体100Aの下方部側には、装置前方側から多数枚の用紙を積載可能な、図略の給紙カセット(または給紙トレイ)を抜き差し自在に装着することができるようになっている。また、用紙を装置背面側から手差しで給紙するための手差し給紙経路15および、図示しない手差しガイドが設けられている。上記給紙カセットは用紙積載部16を構成している。さらに、上記給紙カセットと同じ装置前面側に排紙トレイ27が設けられている。以上のほか、このインクジェット印字装置には、図1に示すとおりの構成部品として高電圧電源17、帯電ローラ18、ベルト搬送ローラ23、テンションローラ24、除電ブラシ25等が配備されている。
このインクジェット印字装置における印字工程は、以下のとおりである。
用紙積載部16(給紙カセット)に用意された多数の用紙から一枚の用紙が、給紙コロ19および用紙分離パッド20で分離され、搬送ガイド21でガイドされながら移送され、先端コロ22を介して、循環走行する搬送ベルト13上に給送される。この搬送ベルト13上では、印字ヘッド12のノズルからのインク液滴が用紙Pに着弾することにより、所望の印字(画像形成)が行われる。印字後の用紙は、用紙ガイド26を経て排紙トレイ27上に回収される。
一方、手差しガイドから給送された用紙は、手差し給紙経路15を通り、先端コロ22を介して、循環走行する搬送ベルト13上に給送される。以下の工程は、用紙積載部16から給送される用紙の場合と同じである。
上記インクジェット印字装置100の構造・作用について更に詳細に説明する。
上記キャリッジ11は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッドにより、主走査方向(図1で紙面に垂直な方向)に摺動自在に保持されている。また、このキャリッジ11にはブラック(Bk)、シアン(Cy)、マゼンタ(Ma)、イエロー(Ye)の各色のインク液滴を吐出するインクジェットからなる印字ヘッド12が具備されている。この印字ヘッド12には、複数のインク吐出口(ノズル)が主走査方向と交叉する方向に配列され、インク液滴が印字装置本体100Aの下方に向けて吐出されるようになっている。さらにこのキャリッジ11には、印字ヘッド12に各色のインクを供給するためのインクサブタンク(図略)とインク供給チューブ14が装着されており、この各色インク供給チューブ14の先にそれぞれのインクカートリッジ(図略)を交換可能にして装着している。上記インクサブタンクは上方側でインク供給チューブ14と結合されており、下方側には印字ヘッド12へフィルター(図略)を介してインクを供給する供給口を有しており、その内部ではインク滴吐出に適正なインク負圧を形成維持している。
また、図2(この図2は図1の右側(装置正面側)から見た図)に示すように、キャリッジ11は、後方側(用紙搬送方向下流側)が主ガイドロッド11aに嵌装され、この主ガイドロッドに対し摺動自在となっている。さらに、このキャリッジ11を主走査方向(キャリッジ移動方向)に移動走査させるため、主走査モータで回転駆動される駆動プーリと従動プーリとの間にタイミングベルトが張装され(いずれも図略)、このタイミングベルトに上記キャリッジ11aが固定されている。したがってキャリッジ11aは、上記主走査モータの正逆回転により、主ガイドロッド11aに対し摺動しながら往復移動する。
なお、図1では、印字ヘッド12として各色個別構成のヘッドを用いて構成しているが、各色のインク液滴を吐出するノズル列を有する1個の印字ヘッド構成としてもよい。さらに、インクを加圧してインク液滴を形成せしめる印字ヘッド(インクジェットヘッド)としては、ピエゾ素子などの電気機械変換素子で液室壁面を形成し、振動板を介してインク加圧する圧電型、或いは電気熱変換素子である発熱抵抗体によりインク中に気泡を生じさせてインク加圧するバブル型、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電気力で振動板を変位させてインク加圧する静電型などを利用することができる。
本実施形態では、圧電型印字ヘッドを利用した場合について説明する。また、本実施形態では印字装置(あるいはヘッド)の構成として、上記したような印字ヘッドをキャリッジに搭載し、このキャリッジを画像の主走査方向へ繰り返し摺動させながら画像印字形成するシリアル型タイプの印字装置について説明するが、印字ヘッドサイズを印字画像の主走査方向サイズと同等サイズに作製して、印字ヘッドを固定したまま画像の副走査方向のみへ用紙搬送するだけで画像印字形成を行うライン型タイプの印字装置(あるいはヘッド)へも適用可能である。
一方、給紙カセット(図略)にセットした用紙Pを印字ヘッド12の下方側に搬送するために、給紙カセットから用紙を分離給送する給紙コロ19及び用紙分離パッド(用紙分離用フリクションパッド)20と、用紙を案内する搬送ガイド21と、給紙された用紙を静電吸着搬送するための搬送ベルト13を構成配置しており、その搬送ベルト13を駆動回転させるためのベルト搬送ローラ23と、このベルト搬送ローラと共に搬送ベルト13を張装するためのテンションローラ24とを有している。搬送ベルト13には正負の電荷を帯電させるための帯電ローラ18と、ベルト13上に残留した電荷を除電するための除電ブラシ25とがベルト13に接触配置されており、給紙コロ19により給紙された用紙は帯電された搬送ベルト13によって静電吸着状態で搬送される。用紙を搬送ベルト13上に密着させて印字ヘッド12の下方側まで搬送するための先端コロ22を、ベルト13へ押し付ける状態で設けている。ベルト搬送ローラ23は、図示しない副走査モータで回転駆動される駆動プーリと従動プーリとの間に張装されたタイミングベルトによって回転駆動される。更に、用紙搬送方向下流側には、用紙を排紙方向(排紙トレイ27)へ送り出すために回転駆動される搬送ローラ(図略)を有している。
ここで、上記用紙を搬送するための搬送ベルト13の構成を図3に示す。ベルト表層13aは、抵抗制御を行っていない純粋な樹脂材の絶縁層で構成されており、その厚みは40μm程度である。またベルト裏層13bは、ベルト表層13aと同材質の樹脂材をカーボンにより抵抗制御した中抵抗層(アース層)からなる導電層で構成されており、その厚みは110μm程度である。帯電ローラ18により、表層13aの絶縁層側より接触帯電が行われ、アースの役目も担うベルト搬送ローラ23と裏層13bの導電層との間で、表層13a側へ正負の電荷帯電が行われる。
印刷時には、図2に示すようにキャリッジ11はベルト13の搬送方向、すなわち印字用紙の排紙方向と直行する向きに移動走査され、画像信号と、図示しないリニアエンコーダからの信号タイミングに応じて印字ヘッド12を駆動印字させる。用紙が給紙搬送され、印字ヘッド12下方側で停止している間に用紙へインクを吐出して1行分を印字し、用紙を副走査方向へ所定量搬送後、次の行の印字を行う。印刷終了時には、印字終了信号、または、用紙の後端が印字領域に到達した信号を受け取ることにより、印字動作を終了させて用紙が排紙される。
また、キャリッジ11の移動方向右端側の印字領域を外れた位置には、印字ヘッド12の吐出不良を回復するための回復処理装置(図略)を配置している。この回復処理装置はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段(いずれも図略)とを有しており、キャリッジ11は印字待機中に、この回復処理装置側に移動されてキャッピング手段で印字ヘッド12のノズル面がキャッピングされ、インク吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥によるインク吐出不良を防いでいる。また、印字途中などに、印字と関係しないインクを吐出することで、全ての吐出口内のインク粘度が一定となり、安定した吐出性能が維持される。吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で印字ヘッド12の吐出口を密封し、チューブ14を通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等は、クリーニング手段により除去して吐出不良を回復させる。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
ここで、本発明で使用されるインク液滴の構成例について説明を行う。本発明で用いられるインク液滴は、下記構成の印字用インクを使用するものである。すなわち、印字するための着色剤として顔料を使用し、それを分解、分散させるための溶剤とを必須成分とし、更に添加剤として、湿潤剤、界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調整剤等を使用する。湿潤剤1と湿潤剤2を混合するのは、各々の湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調整を容易にするためである。
(1)顔料(自己分散性顔料)6wt%以上
(2)湿潤剤1
(3)湿潤剤2
(4)水溶性有機溶剤
(5)アニオン系またはノニオン系界面活性剤
(6)炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル
(7)エマルジョン
(8)防腐剤
(9)pH調製剤
(10)純水
以下、本発明に用いられる上記各インク構成要素について、より具体的に説明を行う。
(1)の顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の装置によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料のうち、水との親和性の良いものが好ましく用いられる。顔料の粒径は、0.05μmから10μm以下が好ましく、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.16μm以下である。
インク中の着色剤としての顔料の添加量は、6〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
本発明において好ましく用いられる顔料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
さらに、カラー用としては、Color Index に示されるC.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
その他顔料(例えばカーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えばカーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なものとしたものであっても良い。
本発明の好ましい態様によれば、ブラックインク用の顔料は、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調製するのに用いられる公知の分散液を使用することができる。
分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15,000である。分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加されて良い。分散剤としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
着色剤に使用する顔料は、記録用インク全重量に対して6重量%〜20重量%含有し、0.05μm〜0.16μm以下の粒子径の粒子であり、分散剤により水中に分散されていて、分散剤が、分子量5,000から100,000の高分子分散剤である。水溶性有機溶剤が少なくとも1種類にピロリドン誘導体、特に、2−ピロリドンを使用すると画像品質が向上する。
上記(2)〜(4)の湿潤剤1,2と、水溶性有機溶剤に関しては、本発明の場合、インク中に水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にし、インクの乾燥を防止するために、また、溶解安定性を向上させるため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶剤が使用される。これら水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
湿潤剤と水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるものが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)CH2OH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
上記(5)の界面活性剤に関しても、特に限定はされないが、アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
本発明における表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の装置で1秒以下の動的な表面張力を測定できる装置であればいずれも使用できるが、本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mJ/m2以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m2以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
上記(6)の炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテルに関しては、25℃の水中において0.1重量%以上、4.5重量%未満の溶解度を有する、部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対して0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。
これらの具体例としては、(a)2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:溶解度4.2%(20℃)、(b)2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール:溶解度:2.0%(25℃)が挙げられる。
25℃の水中において0.1重量%以上、4.5重量%未満の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1重量%以上、4.5重量%未満の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや、他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のあるインクを作製することが可能となる。
上記(7)のエマルジョンに関して:
本発明のインクには樹脂エマルジョンが添加されている方が好ましい。樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。
例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲に満たない場合、エマルジョンとなりにくく、また前記範囲を超える場合、インクの耐水性が低下したり、浸透性が悪化したりする傾向があるので好ましくない。
前記エマルジョンの分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などが挙げられる。
本発明に使用するインクは、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。樹脂エマルジョンは、増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録材への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録材上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
上記(8)の防腐剤、上記(9)のpH調整剤、その他の添加剤に関して:
本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤等の他に、従来より知られている種々の添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
ここで、図1のインクジェット印字装置において、搬送ベルト13上で用紙が静電吸着される様子について詳細に説明する。図4はその様子を示した模式図であるが、帯電ローラ18によって搬送ベルト13上の絶縁層側へ正極性と負極性の電荷が等価な電荷量で帯電され、ベルト13上で正負交互に極性の異なる、ある帯電幅(領域)をもって帯電される。その正負極性の異なる電荷からはベルト13上で正電荷から負電荷へ向かって電気力線が生じており、その電気力線の影響により用紙が帯電したベルト13に接触すると、用紙内部で誘導電荷による帯電分極が生じ、ベルト接触面側と非ベルト接触面側とで電気力線密度の粗密状態が発生し、それにより用紙がベルト13側に吸着する方向へ力が作用するというものである。
搬送ベルト13上では帯電ローラ18による正負電荷の帯電によって、図5に示すようにある帯電領域(幅)が形成される。図5は搬送ベルト13全体を上面側から見た図である。搬送ベルト13を駆動する搬送ローラ23の端部には、この搬送ローラの回転量を制御検出するための副走査エンコーダ31と副走査エンコーダ読み取りセンサ32が取り付けられており、そのセンサ検出信号より搬送ローラ23の回転量を制御して搬送ベルト13の搬送量を制御している。また、副走査エンコーダ読み取りセンサ32の検出信号は、搬送ローラ23を駆動する副走査モータの制御ボード、及び帯電ローラ18に高電圧信号を印加するための高電圧電源17の駆動制御部へと送信される。高電圧電源17では、制御部によりこの高電圧電源の出力波形(通常、±2kV程度の出力電圧)の極性をプラス側、あるいはマイナス側へ制御しつつ、搬送ベルト13の搬送量に応じてベルト上で正負交互に極性の異なる帯電幅(領域)が形成され、制御される。
図6は、上記搬送ベルト13の搬送方向(副走査方向)への速度プロファイル(同図(a))と、高電圧電源17より出力されて帯電ローラ18へ印加される電圧信号波形(同図(b))との関係を示すものである。ベルトの1搬送量(1改行量)中に高電圧電源17からの出力波形の極性を正負交互に切り替えることにより、安定した用紙吸着と印字を行うことが可能となる。また、ベルト13上にて一旦帯電した正負の電荷は、用紙搬送及び印字終了後に残留電荷となるため、図1に示す除電装置(ブラシ)25によりベルト13上で除電し、図示しない筐体側へ電荷放出を行って、次の帯電の安定化を図っている。
ここで、本発明の課題となっている、搬送ベルトの帯電の影響による印字ヘッド(印字素子)12のノズル面(印字素子ノズル面)へのインクミスト付着現象について詳細に説明する。
図7はその様子を模式的に示した図であるが、帯電した搬送ベルトと用紙の影響により、印字ヘッドのノズル面に逆極性の電荷が誘起され、その状態でノズル面のインク吐出口よりインク滴が吐出される(同図(a))。そして、インク吐出口から吐出されたインク滴は、用紙とノズル面との間にできた電界の影響によりインク内で帯電分極する。用紙(あるいはベルト)上で電荷極性が正負に切り替る境界部分では、用紙とノズル面との間に大きな電界が形成されないため、インクも帯電分極しない状態となる(同図(b))。更に、帯電分極したインク滴は用紙に近づくにつれ分極した状態で滴分離し(同図(c))、分離した後端側インク滴はノズル面側と逆極性に帯電しているため、ミストとしてノズル面側へ戻されて吸引付着することとなり(同図(d))、次のインク滴吐出へ悪影響を及ぼすこととなる。用紙(あるいはベルト)上で電荷極性が正負に切り替る境界部分のインク滴については、滴分離をしても帯電分極していないため、分離した後端側インク滴はノズル面側へ戻されることなく用紙に着弾付着することとなる。
つぎに図8により、本発明の請求項1〜3に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図8は、印字素子ノズル面のインク吐出口より、インクの液粘度が20[mPa・s]の一定値であるインク滴(インク液滴)を、1画素当りのインク滴体積を変化(同図(a)〜(e))させて吐出させた時の、各インク滴の吐出状態を模式的に表したものである。各図のインク滴体積は、(a)が50[pl]、(b)が40[pl]、(c)が30[pl]、(d)が20[pl]、(e)が10[pl]の一定値として吐出させた場合であり、各図は印字用紙へ着弾する瞬間の同時時刻でのインク吐出状態を示すものである。
上記した各インク滴吐出状態として、前記構成のインクジェット印字装置により繰り返し印字動作を行ったところ、同図(a)のインク滴体積の場合には、ノズル面側へ大量のミスト付着が発生し、多数の吐出不良(不吐出状態)が発生することが確認された。しかし、同図(b)や(c)のインク滴体積の場合には、ノズル面側へ多少のミスト付着が確認されたものの、吐出不良は発生しないことが確認された。また、更に、同図(d)や(e)のインク滴体積の場合には、ノズル面側へのミスト付着は確認されず、当然、吐出不良も発生しないことが確認された。
これは、吐出するインク滴体積の大きさに応じて、インク滴の吐出(形状)状態と帯電分極状態が変化し、その結果、ノズル面へのミスト付着の仕方が異なるためである。特に、図8(a)に示すように、インク滴体積が比較的大きい場合には、吐出したインク滴の後端部が比較的長い液柱状態となり、印字用紙へ着弾する瞬間時でのインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さLは約700[μm]程度ともなり、その長いインク滴状態のために帯電分極しやすくなっているためと考えられる。そこで、前記したように同図(b)〜(e)にてインク滴吐出不良が発生しない場合での上記インク滴全体の長さLを確認した結果、それぞれ図(b)が約500[μm]、図(c)が約450[μm]、図(d)が約300[μm]、図(e)が約200[μm]程度であった。
従って、1画素当りに吐出するインク滴体積を40[pl]以下に調整設定し、上記したように印字用紙へ着弾する瞬間時にインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さを500[μm]以下に設定することで、連続印字中でもインク吐出不良を発生させないことが可能となる。更に、より好ましくは1画素当りに吐出するインク滴体積を20[pl]以下に調整設定し、上記したように印字用紙へ着弾する瞬間時にインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さLを300[μm]以下に設定することで、ノズル面側へのミスト付着を防止することができ、長期に渡り連続印字をした場合でもインク吐出不良を発生させないことが可能となる。
なお、上記したように印字用紙へ着弾する瞬間時にインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さを500[μm]以下に制御設定するための手段としては、インク滴体積を調整する他に、インク滴の吐出速度を調整することで制御設定することが可能である。通常、インク滴の吐出速度は速ければ速いほど、インク滴後端部の長さが長くなる傾向にあり、例えば、本発明の場合には、インク滴の吐出速度を7[m/s]未満とすることで上記インク滴全体の長さを500[μm]以下に設定することが可能となる。
従って、前記した発熱抵抗体を使用してインク中に気泡を発生させてインク加圧するバブル型の印字ヘッドを利用した場合には、そのインク滴吐出速度は7[m/s]以上を有しており、前記インク滴後端部の長さは比較的長くなる傾向にあるため、本発明のようにインク滴の吐出速度を7[m/s]未満とし、上記インク滴全体の長さを500[μm]以下となるように制御設定した場合には、ノズル面側へのミスト付着をより低減することができ、長期に渡り連続印字をした場合でもインク吐出不良を生じないという、より有利な効果を得ることができる。
なお、上記したインク滴体積やインク滴吐出速度を調整する手段としては、本発明のインクジェット印字装置の場合、図1に示されるインクを加圧してインク液滴を吐出せしめる印字ヘッド(インクジェットヘッド)において、このヘッドを駆動する駆動信号を調整することにより、各ノズルより吐出される1画素当りのインク滴体積や、インク滴吐出速度を調整することが可能となる。
つぎに図9により、本発明の請求項4,5に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図9は、印字素子ノズル面のインク吐出口より、1画素当りのインク滴体積が40[pl]の一定値であるインク滴の液粘度を変化(同図(a)〜(f))させて吐出させた時の各インク滴の吐出状態を模式的に表したものである。各図のインク滴の液粘度は、(a)が30[mPa・s]、(b)が25[mPa・s]、(c)が20[mPa・s]、(d)が15[mPa・s]、(e)が10[mPa・s]、(f)が5[mPa・s]の一定値として吐出させた場合であり、各図は印字用紙へ着弾する瞬間の同時時刻でのインク吐出状態を示すものである。
前記構成のインクジェット印字装置を使用し、上記した各インク滴吐出状態により、繰り返し印字動作を行ったところ、図9(a)や(b)のインク滴粘度の場合には、ノズル面側へ大量のミスト付着が発生し、多数の吐出不良(不吐出状態)が発生することが確認された。しかし、同図(c)や(d)のインク滴粘度の場合には、ノズル面側へ多少のミスト付着が確認されたものの、吐出不良は発生しないことが確認された。更に、同図(e)や(f)のインク滴粘度の場合には、ノズル面側へのミスト付着は確認されず、当然、吐出不良も発生しないことが確認された。
これは、吐出するインク滴粘度の高さに応じて、インク滴の吐出(形状)状態と帯電分極状態が変化し、その結果、ノズル面へのミスト付着の仕方が異なるためである。特に、図9(a)に示すように、インク滴粘度が比較的高い場合には、吐出したインク滴の後端部が長い液柱状態となり、印字用紙へ着弾する瞬間時でのインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さは約800[μm]程度ともなり、その長いインク滴状態のために帯電分極しやすくなっているためと考えられる。そこで、前記したように同図(b)〜(f)にてインク滴吐出不良が発生しない場合でのインク滴全体の長さを確認した結果、それぞれ図(b)が約650[μm]、図(c)が約500[μm]、図(d)が約400[μm]、図(e)が約300[μm]、図(f)が約150[μm]程度であった。
従って、吐出するインク滴粘度を20[mPa・s]以下に制御設定し、上記したように印字用紙へ着弾する瞬間時にインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さを500[μm]以下に設定することで、連続印字中でもインク吐出不良を発生させないことが可能となる。更に、より好ましくは吐出するインク滴粘度を10[mPa・s]以下に制御設定し、上記したように印字用紙へ着弾する瞬間時にインク滴後端の液柱部を含めたインク滴全体の長さを300[μm]以下に設定することで、ノズル面側へのミスト付着を防止することができ、長期に渡り連続印字をした場合でもインク吐出不良を発生させないことが可能となる。なお、上記したインク滴粘度を調整する手段としては、本発明のインクジェット装置の場合では、装置の使用温度範囲内に応じて上記した本発明で使用されるインク液滴の各構成要素の分量を調整する(インク成分・組成の設定)ことにより、各ノズルより吐出されるインク滴粘度を調整することが可能となる。特に、前記した粘度調整を容易とするための(2)湿潤剤1と(3)湿潤剤2の分量を0.1〜50重量%の間で調節することにより、比較的画質特性を損なわずにインク滴粘度を容易に調整することが可能となる。
つぎに図10により、本発明の請求項1〜5に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図10は、上記図8,9で説明した、吐出する1画素当りのインク滴体積(インク滴の大きさ)とインク滴粘度との関係において、ノズル面のミスト付着状態とインク滴吐出不良状態との相関状態を表すものである。同図(a)の状態は、ノズル面のミスト付着発生はなく、且つ、インク吐出不良も発生しない状態となる領域を表し、同図(b)の状態は、ノズル面のミスト付着発生は確認されるが、インク吐出不良は発生しない状態となる領域を表し、同図(c)の状態は、ノズル面側のミスト付着発生が確認され、且つ、インク吐出不良も発生する状態となる領域を表している。
この図10からわかるように、吐出する1画素当りのインク滴体積の大きさを40[pl]以下とし、且つ、その時のインク滴粘度を20[mPa・s]以下に設定することで、従来よりもノズル面へのミスト付着量をより確実に低減することができ、連続印字中でもインク吐出不良を、より確実に防止することが可能となる。また更に、吐出する1画素当りのインク滴体積の大きさを20[pl]以下とし、且つ、その時のインク滴粘度を10[mPa・s]以下に設定することで、より確実にノズル面側へのミスト付着を防止することができ、長期に渡り連続印字をした場合でもインク吐出不良が発生しなくなる。
つぎに、図11及び下記表1により、本発明における請求項6,7に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図11は、上記図9にて説明したインク滴粘度と、印字する画像の解像度との関係において、ノズル面へのミスト付着状態とインク滴吐出不良状態との相関状態を表すものである。同図(a)の状態は、ノズル面へのミスト付着発生はなく、且つ、インク吐出不良も発生しない状態となる領域を表し、同図(b)の状態は、ノズル面へのミスト付着発生は確認されるが、インク吐出不良は発生しない状態となる領域を表し、同図(c)の状態は、ノズル面へのミスト付着発生が確認され、且つ、インク吐出不良も発生する状態となる領域を表している。
例えば、図11において、インク吐出口密度が100[dpi]に設定された印字ヘッドを使用し、インク滴粘度を5[mPa・s]に設定して、印字密度が100%となるベタ画像に対し画像解像度を100[dpi]〜1200[dpi]まで変化させて印字した(実験例1〜実験例8)ところ、(1)ノズル面へのミスト付着状態(ミスト汚れ)と、(2)インク滴吐出状態(ノズルからのインク吐出性)との関係は、下記表1に示すとおりであった。
Figure 2006082336
上記表1に示す評価基準は以下のとおりである。
(1)ミスト汚れの程度
×:汚れあり
△:多少汚れあり
○:汚れなし
(2)インク吐出性の良否
×:吐出不良多数あり
△:吐出不良少数あり
○:吐出不良なし
上記表1に示すように、画像解像度が100[dpi]の場合には、ノズル面で大量のミスト付着汚れが発生し、多数のインク吐出不良(不吐出状態)が発生することが確認されたが、画像解像度を300[dpi]以上にした場合では、ノズル面側で多少のミスト付着汚れが確認されたものの、吐出不良は発生しないことが確認された。更に、画像解像度を600[dpi]以上にした場合では、ノズル面側でのミスト付着汚れが確認されなくなり、インク吐出不良も発生しないことが確認され、1200[dpi]の画像解像度までミスト付着汚れがなく、安定したインク吐出を行うことができた。
また、図11や表1からわかるように、印字する画像の解像度を300[dpi]以上とし、且つ、その時のインク滴粘度を20[mPa・s]以下に設定することにより、従来よりもノズル面側へのミスト付着汚れを、より低減することができ、連続印字中でもインク吐出不良を、より発生させないことが可能となる。更に、印字する画像の解像度を600[dpi]以上とし、且つ、その時のインク滴粘度を10[mPa・s]以下に設定することで、より確実にノズル面のミスト付着汚れを防止することができ、長期に渡り連続印字をした場合でもより確実に、インク吐出不良を発生させないことが可能となる。
つぎに図12、図13により、本発明における請求項8,9に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図12は、図1(もしくは図2)に示される印字ヘッド12を搭載したキャリッジ11を印字画像の主走査方向へ移動させ、印字ヘッド12より画像信号に応じてインク滴を吐出し、用紙上に画素(ドット)を印字しながら画像形成する様子を模式的に表した図である。
この例では、同図(b)に示されるような印字密度が100%となるベタ画像を印字形成する様子を表しており、同図(a)の場合では、最終画像となるベタ画像の印字密度に対し1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の主走査方向の印字密度比率が50%となるように画像印字形成した場合を表している。すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に同図(a)のように画像の1ドット列分を印字しないで跳ばすような形で図中のa列、b列、c列のドット画像を先ず印字し、その後、同図(b)に示すように2回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット列(同図d列、e列、f列)に対し印字を行う。
これは、1回目のキャリッジ移動動作だけで形成画像の印字密度比率が100%となるようにドット画像印字を行うのではなく、1回目の印字密度比率を例えば主走査方向に対し50%に設定し、更に同じ印字密度比率で繰り返しドット画像印字を行って印字密度比率100%となるように画像形成を行うという手段を示している。これにより、1回目のドット画像印字にて用紙上に着弾したインク滴の影響により予め用紙上に帯電している電荷の帯電量の低減と電荷極性の中和を行い、次の2回目に印字着弾させるインク滴へは用紙とノズル面との間に形成される電界の影響がほぼ無い状態でインク吐出することが可能となるため、2回目のインク滴吐出では帯電分極を発生させずに用紙上にインク滴着弾を行うことができる。また、1回目のドット画像印字(インク滴吐出)に対しても、印字ヘッドから1回で吐出されるインク滴量が全体の50%の量に低減しているため、ノズル面のミスト付着量も低減することとなる。
従って、このような画像印字形成を行うことにより、ノズル面のミスト付着汚れの量を低減することができ、連続印字をした場合でもインク吐出不良を発生させないことが可能となる。
図13(a)(b)は、図12(a)のように最終画像となるベタ画像の印字密度に対し1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の印字密度比率を主走査方向に対し50%未満に低下させて画像印字形成を行う場合を示すものである。つまり、これら図13(a)(b)は、図12(a)で説明した時と同様に図12(b)に示される印字密度が100%となるベタ画像を印字形成する様子を表しており、同図(a)では最終画像となるベタ画像の印字密度に対し1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の主走査方向の印字密度比率が33%となるように画像印字形成した場合を表している。
すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に同図(a)のように画像の2ドット列分を印字しないで跳ばすような形で図中のa列、b列、c列のドット画像を先ず印字し、その後、同図に示すように2回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット列(同図d列、e列、f列)に対し印字を行うようにし、更に3回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット列(同図g列、h列、i列)に対し印字を行うようにしているものである。
また、同図(b)では最終画像となるベタ画像の印字密度に対し1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の主走査方向の印字密度比率が25%となるように画像印字形成した場合を表している。すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に同図(b)のように画像の3ドット列分を印字しないで跳ばすような形で図中のa列、b列、c列のドット画像を先ず印字し、その後、同図に示すように2回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット列(同図d列、e列、f列)に対し印字を行うようにし、更に3回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット列(同図g列、h列、i列)に対し印字を行うようにし、また更に4回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット列(同図j列、k列、l列)に対し印字を行うようにしているものである。
このように1回目のドット画像印字にて主走査方向に対して印字密度比率を50%未満にして画像印字形成を行った場合でも、前記と同様に、用紙上の帯電電荷量の低減と電荷極性の中和を行ってノズル面側へのミスト付着汚れの量を低減することができ、連続印字をした場合でもインク吐出不良を生じないという同様の効果が得られる。
ただし、上記した中では、1回目のドット画像印字にて印字密度比率を50%に設定し、繰り返し印字を行って画像形成する手段を実施するのが最も好ましく、用紙上の帯電電荷量の低減と電荷極性の中和に対し最も有効であり、ノズル面へのミスト付着汚れを最も効果的に低減することが可能となる。
つぎに図14、図15により、本発明における請求項8,10に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図14は、図12と同様に図1(もしくは図2)に示される印字ヘッドを搭載したキャリッジを印字画像の主走査方向へ移動させ、前記印字ヘッドより画像信号に応じてインク滴を吐出し、用紙上に画素(ドット)を印字しながら画像形成する様子を模式的に表した図である。
図12と同様に、この例でも図14(b)に示されるような印字密度が100%となるベタ画像を印字形成する様子を表しており、図14(a)の場合では、最終画像となるベタ画像の印字密度に対し1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の副走査方向の印字密度比率が50%となるように画像印字形成した場合を表している。すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に同図(a)のように画像の1ドット行分を印字しないで跳ばすような形で図中のm行、n行、o行のドット画像を先ず印字し、その後、同図(b)に示すように2回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット行(同図p行、q行、r行)に対し印字を行うようにしているものである。
この場合も、1回目のキャリッジ移動動作だけで形成画像の印字密度比率が100%となるようにドット画像印字を行うのではなく、1回目の印字密度比率を例えば副走査方向に対し50%に設定し、更に同じ印字密度比率で繰り返しドット画像印字を行って印字密度比率100%となるように画像形成を行うという手段を示している。これにより、1回目のドット画像印字にて用紙上に着弾したインク滴の影響により予め用紙上に帯電している電荷の帯電量の低減と電荷極性の中和を行い、次の2回目に印字着弾させるインク滴へは用紙とノズル面との間に形成される電界の影響がほぼ無い状態でインク吐出することが可能となるため、2回目のインク滴吐出では帯電分極を発生させずに用紙上にインク滴着弾を行うことができる。また、1回目のドット画像印字(インク滴吐出)に対しても、印字ヘッドからり1回で吐出されるインク滴量が全体の50%の量に低減しているため、ノズル面へのミスト付着量も低減することとなる。
従って、このように画像印字形成を行った場合でも、ノズル面のミスト付着汚れの量を低減することができ、連続印字をした場合でもインク吐出不良を発生させないことが可能となる。
つぎに、図15(a)(b)は、図14(a)のように最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の印字密度比率を副走査方向に対し50%未満に低下させて画像印字形成を行う他の例を示している。つまり、図15(a)(b)は、図14(a)で説明した時と同様に図14(b)に示されるような印字密度が100%となるベタ画像を印字形成する様子を表しており、図15(a)では最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の副走査方向の印字密度比率が33%となるように画像印字形成した場合を表している。
すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に図15(a)のように画像の2ドット行分を印字しないで跳ばすような形で図中のm行、n行、o行のドット画像を先ず印字し、その後、同図に示すように2回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット行(同図p行、q行、r行)に対し印字を行うようにし、更に3回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット行(同図s行、t行、u行)に対し印字を行うようにしているものである。
また、図15(b)では最終画像となるベタ画像の印字密度に対し1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の副走査方向の印字密度比率が25%となるように画像印字形成した場合を表している。すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に同図(b)のように画像の3ドット行分を印字しないで跳ばすような形で図中のm行、n行、o行のドット画像を先ず印字し、その後、同図に示すように2回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット行(同図p行、q行、r行)に対し印字を行うようにし、更に3回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット行(同図s行、t行、u行)に対し印字を行うようにし、また更に4回目のキャリッジ移動動作の時に、1回目で印字しないで跳ばしたドット行(同図v行、w行、x行)に対し印字を行うようにしているものである。
このように1回目のドット画像印字にて、副走査方向に対して印字密度比率を50%未満にして画像印字形成を行った場合でも、前記と同様に、用紙上の帯電電荷量の低減と電荷極性の中和を行ってノズル面へのミスト付着汚れの量を低減することができ、連続印字をした場合でもインク吐出不良を生じないという同様の効果が得られる。また、前記と同様に、上記した中で最も好ましいのは、1回目のドット画像印字にて印字密度比率を50%に設定し、繰り返し印字を行って画像形成する場合である。この手段には、用紙上の帯電電荷量の低減と電荷極性の中和に対し最も効果的作用があり、ノズル面へのミスト付着汚れを最も効果的に低減することが可能となる。
つぎに図16により、本発明における請求項8に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図16は、図13や図15のように最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の印字密度比率を50%未満に低下させて画像印字形成を行う他の例を示すものである。つまり図16の場合は、すでに説明した場合と同様に、図13(b)や図15(b)に示されるような印字密度が100%となるベタ画像を印字形成する様子を表しており、同図では最終画像となるベタ画像の印字密度に対し、1回目のキャリッジ移動動作の際に印字形成されるドット画像の主走査方向、及び副走査方向の印字密度比率を各々が50%となるようにし、画像全体として印字密度比率を25%として画像印字形成した場合を表している。
すなわち、1回目のキャリッジ移動動作の際に同図のように画像の1ドット行、及び1ドット列分を印字しないで跳ばすような形で図中の(a、b、c、d)列×(m、n、o、p)行で示される各ドット画像を先ず印字し、その後は図13や図15で説明したような形で、1回目のキャリッジ移動動作で印字しないで跳ばしたドット列、またはドット行に対し繰り返しキャリッジ移動動作を行うことで、画像全体として一定の25%の印字密度比率で順次ドット画像印字を行い、最終的に印字密度比率が100%となるように画像形成する例を示すものである。
このように1回目のドット画像印字にて主走査方向、及び副走査方向の各々の印字密度比率を50%以下になるようにし、画像全体として印字密度比率を50%未満として画像印字形成を行った場合でも、前記と同様に、用紙上の帯電電荷量の低減と電荷極性の中和を行ってノズル面側へのミスト付着汚れの量を低減することができ、連続印字をした場合でもインク吐出不良を生じないという同様の効果が得られる。
つぎに図17、図18により、本発明における請求項11に対応したインクジェット印字装置について説明する。
図17は、印字素子ノズル面のインク吐出口より、1画素当りのインク滴体積が20[pl]の一定値で、且つ、そのインクの液粘度が10[mPa・s]の一定値であるインク滴に対し、そのインク滴を吐出するために印字素子に印加する駆動信号の最高周波数Fmax(これについては後に具体的に説明する。)を変化(同図(a)(b))させて吐出させた時の、各インク滴の吐出状態を模式的に表したものである。
図17(a)の場合では、印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)を40[kHz]の一定状態にした時のインク滴吐出状態を表し、同図(b)の場合では、印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)を20[kHz]の一定値に一定状態にした時のインク滴吐出状態を表している。両図ともに、印字用紙にインク滴が着弾する瞬間の時刻でのインク吐出状態を示すものである。
この図17(a)(b)の各インク滴吐出状態とし、前記構成のインクジェット印字装置により繰り返し印字動作を行ったところ、同図(a)のインク滴吐出状態の場合では、ノズル面へ大量のミスト付着が発生し、多数のインク吐出不良(インク不吐出状態)が発生することが確認された。しかし、同図(b)のインク滴吐出状態の場合には、ノズル面への多少のミスト付着が確認されたものの、インク吐出不良は発生しないことが確認された。
これは、図17に示すように、同図(a)で設定された駆動信号周波数でのインク滴吐出状態の場合では、印字素子のノズル面と印字用紙との間に複数のインク滴(本例ではD1とD2)が数珠繋ぎ状態で存在しており、そのためこの場合、吐出されたインク滴は帯電した用紙からの電界の影響をより受けやすくなり、その分インク滴もより帯電しやすい状態となって、より強い帯電分極をインク内で生じることとなる。従って、分極した状態の後端側のインク滴はミストとしてノズル面側に、より戻されやすくなり、ノズル面へ大量のミスト付着が発生したものと考えられる。
また、同図(b)で設定された駆動信号周波数でのインク滴状態の場合では、図に示されるように印字素子のノズル面と印字用紙との間に複数のインク滴は存在せず、1つのインク滴(本例ではD1)のみが存在する状態であり、そのため前記したように吐出されたインク滴は帯電した用紙からのより強い電界の影響を受けることはなく、その分ノズル面側でのミスト付着量も少ない状態になっているものと考えられる。
印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)は、下記式(1)のように一義的に決定して表される。
Fmax=V/δ………(1)
但し、Vshは印字素子と印字用紙との間の相対移動速度(m/s)、
δは印字用紙上の画像の印字ドット間隔(すなわち、画像解像度)(m)
を表す。
この上記式(1)で表される関係を上記シリアル型インクジェット印字装置に適用して印字を行った、結果を図18に示す。
この図18の例では、前記駆動信号の周波数が一定の場合において、印字する画像解像度の変化に対応して、キャリッジの移動速度(すなわち、前記印字素子と印字用紙との間の相対移動速度)が変化する様子を表している。同図において図17(a)と同様に前記駆動信号の最高周波数を40[kHz]の一定値とした場合には、F1のような曲線が描かれ、図17(b)と同様に前記駆動信号の最高周波数を20[kHz]の一定値とした場合には、F2のような曲線が描かれる。
図17で説明したのと同様に前記駆動信号の最高周波数を40[kHz]の一定値(曲線F1)として図1のジェット印字装置にて繰り返し印字動作を行った場合、前記したようにノズル面への大量のミスト付着が発生し、多数のインク吐出不良(インク不吐出状態)が発生してしまう。また、前記駆動信号の最高周波数を40[kHz]未満に低下させた場合でも、図18中の符号αで示す領域においては、前記したようにノズル面への大量のミスト付着が発生し、多数のインク吐出不良(インク不吐出状態)が発生してしまう。
そこで、例えば画像解像度が600[dpi]の場合、前記駆動信号の最高周波数が40[kHz]の設定では、前記キャリッジの移動速度は1.69[m/s](図18中のV1)となるが、このキャリッジの移動速度を0.847[m/s](図18中のV2)に調整低下させることにより、前記駆動信号の最高周波数は20[kHz]程度となり、この状態でインクジェット印字装置にて繰り返し印字動作を行った場合には、前記したようにノズル面へ多少のミスト付着は確認されるものの、インク吐出不良は発生しなくなるといった効果が得られる。なお、更に前記駆動信号の最高周波数が20[kHz]未満となるようにキャリッジの移動速度を調整低下させた場合(図中の符号βで示す領域)でも、前記と同様にノズル面へ多少のミスト付着は確認されるものの、インク吐出不良は発生しなくなる。
このように前記印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)を20[kHz]以下となるようにキャリッジの移動速度を調整設定することにより、印字素子のノズル面へのミスト付着量を低減し、インク滴の吐出不良を防止することが可能となる。但し、画像解像度が300[dpi]未満となった場合には、図11で説明したようにノズル面へのミスト付着量が多くなり、インク滴吐出不良が発生する場合があり得る。
なお、以上では印字ヘッドを搭載したキャリッジの往復動作で画像印字を行うシリアル型のインクジェット印字装置の場合について説明を行ったが、用紙幅サイズの印字ヘッドを固定して画像の副走査方向へ用紙搬送をして画像印字を行うライン型のインクジェット印字装置の場合についても、印字素子と印字用紙との間の相対移動速度を調整設定するために印字用紙の搬送速度を調整設定することで、上記と同様の効果を得ることが可能である。
本発明に係るインクジェット印字装置の全体構造を示す概略側面図である。 図1の右側面図であって、搬送ベルトとキャリッジ等との関係を示すものである。 図1の印字装置を構成する搬送ベルトの構造説明図である。 搬送ベルト上で用紙が静電吸着される様子を示す模式的説明図である。 搬送ベルト全体の平面図であって、搬送ベルト上に形成される帯電領域を説明するものである。 搬送ベルトの搬送方向への速度プロファイル(同図(a))と、帯電ローラに印加される電圧信号波形(同図(b))との関係を示す説明図である。 本発明が解決しようとする課題の説明図である。 本発明の一実施形態に係るもので、印字素子ノズル面のインク吐出口からインク滴を所定の条件で吐出させた時の、各インク滴の吐出状態を模式的に示す説明図である。 本発明の別の実施形態に係るもので、印字素子ノズル面のインク吐出口からインク滴を所定の条件で吐出させた時の、各インク滴の吐出状態を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、ノズル面のミスト付着状態とインク滴吐出不良状態との相関状態を示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、ノズル面のミスト付着状態とインク滴吐出不良状態との相関状態を示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、キャリッジを印字画像の主走査方向へ移動させ、印字ヘッドから画像信号に応じてインク滴を吐出し、用紙上に画素を印字しながら画像形成する様子を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、所定の条件で画像形成する様子を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、所定の条件で画像形成する様子を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、所定の条件で画像形成する様子を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、所定の条件で画像形成する様子を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、インク吐出口から所定の条件でインク滴を吐出するために印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)を変化(同図(a)(b))させた時の各インク滴の吐出状態を模式的に示す説明図である。 本発明の更に別の実施形態に係るもので、上記式(1)で表される関係(Fmax)を、シリアル型インクジェット印字装置に適用して示した説明図である。
符号の説明
11 キャリッジ
11a 主ガイドロッド
12 印字ヘッド
13 搬送ベルト
13a ベルト表層
13b ベルト裏層
14 インク供給管
15 手差し給紙経路
16 用紙積載部
17 高電圧電源
18 帯電ローラ
19 給紙コロ
20 用紙分離パッド
21 搬送ガイド
22 先端コロ
23 ベルト搬送ローラ
24 テンションローラ
25 除電ブラシ
26 用紙ガイド
27 排紙トレイ
31 副走査エンコーダ
32 副走査エンコーダ読み取りセンサ
100 インクジェット印字装置
100A 印字装置本体
L インク液滴の全体長さ
P 用紙

Claims (11)

  1. 印字素子に駆動信号を印加することによってノズル面のインク吐出口からインク液滴を吐出させ、帯電した被印字媒体上に前記インク液滴により画像形成するインクジェット印字装置において、
    前記被印字媒体上に着弾する瞬間時の前記インク液滴の全体長さを500[μm]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とするインクジェット印字装置。
  2. 前記形成する画像の1画素当りのインク滴体積を40[pl]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置。
  3. 前記形成する画像の1画素当りのインク滴体積を20[pl]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項2記載のインクジェット印字装置。
  4. 前記インク液滴の液粘度を20[mPa・s]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置。
  5. 前記インク液滴の液粘度を10[mPa・s]以下として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項4記載のインクジェット印字装置。
  6. 前記形成する画像の解像度を300[dpi]以上として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項4記載のインクジェット印字装置。
  7. 前記形成する画像の解像度を600[dpi]以上として前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項5記載のインクジェット印字装置。
  8. 前記画像形成する際、1回の印字に対し印字密度を50%以下の比率に設定し、該印字密度で繰り返し印字を行って前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置。
  9. 前記画像形成する際、1回の印字に対し主走査方向への印字密度を50%以下の比率に設定し、該印字密度で繰り返し印字を行って前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェット印字装置。
  10. 前記画像形成する際、1回の印字に対し副走査方向への印字密度を50%以下の比率に設定し、該印字密度で繰り返し印字を行って前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項8記載のインクジェット印字装置。
  11. 前記印字素子に印加する駆動信号の最高周波数(Fmax)を下記の式(1)
    Fmax=Vsh/δ………(1)
    但し、Vshは前記印字素子の前記被印字媒体に対する相対移動速度(m/s)、
    δは前記被印字媒体上の画像の印字画素間隔(m)
    で定義したとき、
    この最高周波数(Fmax)が20[kHz]以下となるように、前記相対移動速度(Vsh)を設定して前記被印字媒体上に画像形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット印字装置。


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