上記課題を解決するために本発明のパチンコ遊技機用入賞装置は、閉鎖状態と開放状態とを呈し、その開放状態のときに玉の入賞が可能な上側入賞口を形成する上側開放扉が設けられた第1可変入賞口と、
この上側開放扉の下側に位置し、閉鎖状態と開放状態とを呈し、その開放状態のときに玉の入賞が可能な下側入賞口を形成する下側開放扉が設けられた第2可変入賞口とを備え、
所定の開放条件が成立したとき、上側開放扉と下側開放扉のいずれかが開放されるよう構成され、
上側開放扉の開放状態に相当する位置に、下側開放扉が開放状態のときに、遊技盤上を落下する玉の通過を可能とする玉通過口を形成する補助部材が設けられ、その補助部材の玉通過口を通過した玉が下側入賞口に入賞可能であることを特徴とする。
上記本発明のパチンコ遊技機用入賞装置は、複数の可変入賞口を遊技盤面上に縦に配列し、上方の可変入賞口(第1可変入賞口)として閉鎖状態と開放状態とを呈しその開放状態のときに玉の入賞が可能な上側入賞口を形成する上側開放扉を設けるとともに、この上側開放扉の下側に位置し、下方の可変入賞口(第2可変入賞口)として閉鎖状態と開放状態とを呈しその開放状態のときに玉の入賞が可能な下側入賞口を形成する下側開放扉を設けている。そして、上側開放扉の開放状態に相当する位置に、下側開放扉が開放したときに、遊技盤上を落下する玉の通過を可能とする玉通過口を形成する補助部材を設け、その補助部材の玉通過口を通過した玉が下側入賞口に入賞可能としており、上方の可変入賞口に入賞可能な遊技盤上の所定範囲を流下する玉が下方の可変入賞口に入賞可能となることから、釘による各可変入賞口への玉の寄り具合は一致することになり、遊技店側において釘調整が非常に容易となる。このように所定の開放条件(例えば大当たり条件)の成立によりこれら可変入賞口のいずれか1つを開放するようにでき、例えば大入賞口をこのように上下2段で構成することにより、従来の市場の多くを占めている大入賞口が1つの遊技機の釘調整と比べても違和感がなく作業が可能である。
その際、上側開放扉を下部を軸にして回動可能に設けるとともに、下側開放扉を下部を軸にして回動可能に設けることができる。そして、補助部材は、上側開放扉が閉鎖状態にあるときの前面に位置して、上側開放扉または下側開放扉が開放したときはその開放動作に連動して起立状態から横向き状態に回動するように設け、下側開放扉が開放されたときに、その補助部材を上側開放扉の前面の起立位置から上側開放扉の開放状態に相当する位置まで回動させ、遊技盤上を落下しその補助部材の玉通過口を通過した玉が下側入賞口に入賞可能としており、上方の可変入賞口に入賞可能な遊技盤上の所定範囲(例えば上側開放扉面の範囲、言い換えれば下側開放扉開放時の補助部材の玉通過口)を流下する玉が下方の可変入賞口に入賞可能となることから、釘による上下各可変入賞口への玉の寄り具合は一致して、釘調整が非常に容易である。なお、下側開放扉の開放動作に連動して補助部材が回動するように補助部材と下側開放扉とを連結する連結部材を備えることができる。
また、その際、下側開放扉が開放したときに、下側入賞口への遊技盤上の横方向からの玉の入賞を阻止する阻止部材が設けられ、補助部材の玉通過口を通過して縦方向に流れる玉の下側入賞口への入賞を許容するようにできる。これにより、例えば大入賞口をこのように構成することにより、上方の大入賞口に入賞可能な遊技盤上の所定範囲(例えば補助部材の玉通過口)を流下する玉だけが下方の大入賞口への入賞が許容され、大入賞口が2つあるにも関わらず、釘による上下各大入賞口への玉の寄り具合を一致させることができ、釘調整が非常に行い易いパチンコ遊技機用入賞装置を提供できる。
さらに、その際、阻止部材として、下側開放扉の両側に側壁部を形成し、下側開放扉が開放したときにその側壁部が遊技盤上に位置しその側壁部によって横方向からの下側入賞口への入賞を阻止するとともに、補助部材の玉通過口を通過して縦方向に流れる玉の下側入賞口への入賞を許容するようにできる。このように下側開放扉に側壁部を設けて、下側入賞口へは横方向からの玉の入賞を阻止し、縦方向に流れる玉の入賞のみを許容するようにしており、上方の可変入賞口に入賞可能な遊技盤上の所定範囲(例えば補助部材の玉通過口)を流下する玉だけが下方の可変入賞口への入賞が許容され、釘による上下各可変入賞口への玉の寄り具合を一致させることができるため、釘調整が非常に容易である。また、下側開放扉に設けた側壁部により阻止部材を構成しており、下側開放扉の開放時にのみ遊技盤上に出現するようにでき、遊技盤上のレイアウトもスッキリできる。これにより、例えば複数の大入賞口をこのように縦に2段に構成することにより、遊技者へのインパクトを維持しつつ、遊技盤上に複数の大入賞口をより狭い範囲で設けることが可能となり、遊技盤面を有効に利用することができ、かつ遊技店側において釘調整作業が非常に容易なパチンコ遊技機用入賞装置を提供できる。
その際、補助部材は、枠形態における内側空間が玉通過口とされた可動枠とすることができる。これにより、上記効果を有する補助部材を内側空間が玉通過口をなす貫通した開口部を有する枠形態の可動枠として構成することができる。
その際、上記記載のパチンコ遊技機用入賞装置をパチンコ遊技機に備えることができる。このように、例えば上記効果を有するパチンコ遊技機用入賞装置を備えたパチンコ遊技機を構成することにより、遊技者へのインパクトを維持しつつ、遊技盤上に複数の大入賞口をより狭い範囲で設けることが可能となり、遊技盤面を有効に利用することができ、かつ遊技店側において釘調整作業が非常に容易なパチンコ遊技機を提供できる。
(実施例)
以下、本発明のパチンコ遊技機の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1はパチンコ遊技機1の正面模式図である。パチンコ遊技機1は、台枠に取り付けられた透明ガラス扉2と、台枠の内側に配置されてガラス扉2によって覆われる遊技盤3を有する。遊技盤3は、円状に遊技領域が形成されている。遊技盤3の下方には、玉供給皿4が設けられている。玉供給皿4に準備された玉は、ハンドル5を含んで構成される玉発射機構によって遊技盤3に向けて発射される。遊技盤3に達した玉は、その遊技盤3の面上を落下する。
遊技盤3の面上には、その中央部に役物装置6が設けられ、その役物装置6内の中央に液晶式の特別図柄表示部7が配設されている。特別図柄表示部7ではアラビア数字等のキャラクタが3つ(複数桁)表示されるようになっている。役物装置6の下方には、特別始動可変入賞口9が設けられている。役物装置6の左方には普図始動入賞口10が設けられている。特別始動可変入賞口9の下方には、複数の大入賞口(本発明におけるパチンコ遊技機用入賞装置)、この例では2つの大入賞口が上下に2段、それらが一体的に設けられている。すなわち、当該パチンコ遊技機1にて第1大当たりが発生したときに開放するアタッカーである第1大入賞口11と、この第1大入賞口11の直ぐ下に、当該パチンコ遊技機1にて第2大当たりが発生したときに開放するアタッカーである第2大入賞口12とが一体的に設けられている。これら第1,第2大入賞口11,12の下方には玉を回収するためのアウト口13が設けられている。
特別始動可変入賞口9は、いわゆる普通電動役物であり、入賞口の両側に可動部材14,14が可動可能に設けられ、動作時に左右に開くように可変式の入賞口として構成されている。すなわち、非動作時には図1に示すように閉鎖した第1状態を呈し、動作時には開放した第2状態を呈するものである。
次に、図2に示すのは、パチンコ遊技機1の遊技制御装置20の構成を示すブロック図である。遊技制御装置20は、メイン基板21、このメイン基板21に搭載されたCPU22、ROM23、RAM24、入出力回路(I/O)25、CPU22からの制御信号の出力が接続される表示制御基板26、音声制御基板27、ランプ制御基板28、払出制御基板29、発射制御基板30、この遊技制御装置20に電源を供給する電源回路31を含み構成される。パチンコ遊技機1は、ROM23に格納されたパチンコ遊技機1の全体を制御する制御プログラム51、図柄変動処理プログラム52、第1大当たり処理プログラム53及び第2大当たり処理プログラム54によって制御される。
玉の通過を検知したとき検知信号を出力する検知スイッチとして、特別始動可変入賞検出器33、普図始動入賞検出器34、第1大入賞検出器35、第2大入賞検出器36が入出力回路(I/O)25を介してCPU22に接続されている。特別始動可変入賞口開放用ソレノイド37、第1大入賞口開放用ソレノイド38、第2大入賞口開放用ソレノイド39が入出力回路(I/O)25を介してCPU22に接続されている。CPU22からの制御信号により特別始動可変入賞口開放用ソレノイド37が駆動され、可動部材14,14の開閉が制御される。また、CPU22からの制御信号により第1大入賞口開放用ソレノイド38が駆動され、第1大入賞口11の開閉が制御されるとともに、第2大入賞口開放用ソレノイド39が駆動され、第2大入賞口12の開閉が制御される。
表示制御基板26にはCPU22からの制御信号が入力され、該制御信号に応じて特別図柄表示部7の表示が制御される。また、音声制御基板27では音声信号を作成し、音声信号が増幅されスピーカ41から音声が出力される。ランプ制御基板28にはCPU22からの制御信号が入力され制御信号に応じて装飾ランプ等のランプ類42が制御される。また、払出制御基板29では制御信号に応じて賞球や貸球の払出装置43を制御する。発射制御基板30では同様に玉の発射装置44を制御する。
図3は第1大入賞口11及び第2大入賞口12の説明図である。図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)のA−A断面図、図3(c)は図3(a)のB−B断面図である。図4は第1大当たり発生時の動作例を示す図、図5は第2大当たり発生時の動作例を示す図である。また、図6は第1大入賞口11及び第2大入賞口12の分解斜視図(台の裏側からみた分解斜視図)、図7は第1大入賞口11の閉鎖状態と開放状態の説明図(台の裏側からみた説明図)である。
第1大入賞口11と第2大入賞口12とは、それぞれ閉鎖状態と開放状態とを呈する可変入賞口であり、それらが遊技盤3面上に縦に配列されている。上側の第1大入賞口11の直ぐ下に下側の第2大入賞口12が配置され、それらが上下に一体的に形成されている。すなわち上下2段にそれぞれ正面が開口し箱形状をなした玉の誘導路である上側誘導部71と下側誘導部81とを有する誘導部70が遊技盤3を貫通して嵌め込まれた形態に設けられている。そして、その上側誘導部71に第1大入賞口11が配設されるとともに、下側誘導部81に第2大入賞口12が配設されている。本実施例では、パチンコ遊技機1において、所定の大当たり条件(開放条件)が成立したときに、第1大入賞口11、第2大入賞口12のうちのいずれか1つが開放されるように開放制御される。
第1大入賞口11は、その上側誘導部71の正面開口を塞ぐように板状をなし、下部を軸にして回動可能に設けられた上側開放扉72を備える。上側開放扉72は、下部が上側誘導部71の開口端部に軸支され、その閉鎖状態のときに上側誘導部71の正面開口を塞ぐようにしている。上側開放扉72の扉面がその閉じた状態のときに、遊技盤3の盤面上に位置するようになっている。上側開放扉72が、下部を軸にして前後方向(パチンコ遊技機1のガラス扉2側を前方側、台の裏側にあたる側を後方側としたときの前後方向)に開放状態のときに、上部に玉を受入可能な開口部73(上側入賞口)が形成される(図4参照)。
図6に示すように、上側開放扉72の閉鎖状態にあるときの前面に位置し、中央に方形状の開口部75(玉通過口)を有する方形枠状の可動枠76(補助部材)が設けられている。可動枠76の後面側下部には左右両側に後方に突出して枢軸77o,77oを有する枢軸部77a,77bが形成されている。上側開放扉72の後面側下部には左右両側に、可動枠76の枢軸77o,77oが嵌合する軸受孔78h,78hを有する軸受部78a,78bが形成されている。枢軸77o,77oが軸受孔78h,78h嵌合した状態で、可動枠76及び上側開放扉72が上側誘導部71に回動可能に取付けられている。
可動枠76の後面側には段差部79が形成され、この段差部79に上側開放扉72が収容される形態としている。そして、可動枠76の枢軸部の一方、この例では前面側からみて、左側の枢軸部77bが後方には延出した形状とし、その先端の作動部77cに弾性部材としてスプリング80が取付けられている。このスプリング80の他端はパチンコ遊技機1の本体に固定されている。
上側開放扉72の軸受部の一方、この例では前面側からみて、右側の軸受部78aが後方には延出した形状とし、その先端に作動部78cが形成されている。この作動部78cに第1大入賞口開放用ソレノイド38の作動部38aが作用するように配置されている。第1大入賞口開放用ソレノイド38が非駆動時には、スプリング80の付勢力で、可動枠76が上側開放扉72を収容した形態で、その上側開放扉72が開口部73(上側入賞口)を閉鎖するようにしている(図7(a)参照)。第1大入賞口開放用ソレノイド38が駆動時には、スプリング80の付勢力に抗して上側開放扉72が開放する。上側開放扉72が枢軸77o,77oを中心にして回動したとき、この上側開放扉72に押されてその前面に設けられた可動枠76もあわせて回動する(図7(b)参照)。上側開放扉72の後方には、第1大入賞口11に入賞した玉を台の後方に誘導する流通路74が形成され、その流通路74の所定箇所に、第1大入賞口11への入賞を検出する第1大入賞検出器35が設けられている(図3参照)。
第2大入賞口12は、その下側誘導部81の正面開口を塞ぐように板状をなし、下部を軸にして回動可能に設けられた下側開放扉82を備える。下側開放扉82は、下部が下側誘導部81の開口端部に軸支され、その閉鎖状態のときに下側誘導部81の正面開口を塞ぐようにしている。下側開放扉82の扉面がその閉じた状態のときに、遊技盤3の盤面上に位置するようになっている。下側開放扉82が、下部を軸にして前後方向に開放状態のときに、上部に玉を受入可能な開口部83(下側入賞口)が形成される(図5参照)。
図6に示すように、下側開放扉82には、その後面側の両側に開口部83(下側入賞口)への遊技盤3上の横方向からの玉の入賞を阻止する阻止部材として上部後方が丸い円弧状をなす側壁部85a,85bが形成されている。その側壁部85a,85bの下部外側に突出して枢軸85o,85oがそれぞれ形成され、下側誘導部81に設けられた軸受部にその枢軸85o,85oが嵌合した形態で、下側開放扉82が下側誘導部81に回動可能に取付けられている。
そして、側壁部の一方、この例では前面側からみて、右側の側壁部85aの下部に、枢軸85oよりさらに後方に位置し、外側に突出する作動部85cが形成されている。この作動部85cに第2大入賞口開放用ソレノイド39の作動部39aが作用するように配置されている。第2大入賞口開放用ソレノイド39が非駆動時には、その下側開放扉82が開口部83(下側入賞口)を閉鎖するようにしている。第2大入賞口開放用ソレノイド39が駆動時には、下側開放扉82が開放する。下側開放扉82の開放動作に連動して可動枠76を回動するように可動枠76と下側開放扉82とを連結する連結部材86(例えば連結紐)を設けている。
すなわち、下側開放扉82が枢軸85o,85oを中心にして回動したときに、連結部材86を引張ってスプリング80の付勢力に抗して可動枠76を上側開放扉72の前面の起立位置から上側開放扉72の開放状態に相当する位置まで回動し、図5に示すように、可動枠76に形成された、遊技盤3上を落下する玉の通過を可能とする開口部75の下方に下側開放扉82が開放した状態となる。
この下側開放扉82が開放したときに、遊技盤3上に側壁部85a,85bが出現状態となって、その側壁部85a,85bによって開口部83(下側入賞口)への横方向からの玉の入賞を阻止するとともに、遊技盤3上を落下しその可動枠76の開口部75を通過して縦方向に流れる玉の開口部83(下側入賞口)への入賞を許容するようにしている。下側開放扉82の後方には、第2大入賞口12に入賞した玉を台の後方に誘導する流通路84が形成され、その流通路84の所定箇所に、第2大入賞口12への入賞を検出する第2大入賞検出器36が設けられている(図3参照)。
本実施例では、上記のように上下2段に第1大入賞口11と第2大入賞口12とが配列され、上側開放扉72の前面に設けられた可動枠76が、上側開放扉72または下側開放扉82が開放したときにあわせて上側開放扉72の前面の起立状態と上側開放扉72の開放状態に相当する位置との間で回動するようにしており、上側開放扉72が開放したときに開口部73(上側入賞口)に玉の入賞が可能となるとともに、下側開放扉82が開放したときに開口部83(下側入賞口)への横方向からの玉の入賞が側壁部85a,85bによって阻止され、可動枠76の開口部75を通過して縦方向に流れる玉の入賞が可能となるようにしている。
従って、上側開放扉72の開放時には、遊技盤3上を落下する玉がその上側開放扉72の扉面に当たって上側入賞口に入り、その上側開放扉72の扉面が第1大入賞口11の入賞可能範囲となる一方、下側開放扉82の開放時には、上側開放扉72を収容する可動枠76の範囲、具体的には下側開放扉82の開放時に連動して回動する可動枠76の開口部75を流下する玉だけが下方の下側開放扉82に当たって下側入賞口に入り、その可動枠76の開口部75が第2大入賞口12の入賞可能範囲となる。可動枠76の開口部75の開口面積は上側開放扉72の扉面積以下とするのが望ましい。この例では、可動枠76の開口部75の開口面積は上側開放扉72の扉面積よりも小としている。これにより、上方の第1大入賞口11に入賞可能な遊技盤3上の所定範囲を流下する玉だけが下方の第2大入賞口12に入賞可能となることから、大入賞口が2つあるにも関わらず、釘による上下各大入賞口への玉の寄り具合は一致することになり、釘調整が非常に行い易い。
図8は役物装置6の構成を示す図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は斜視図である。役物装置6は、前面が開口し前後方向に延びた箱形状形態をなした一つのハウジング(筐体)で構成され、遊技盤3に取付けられている。役物装置6は、中央が高い山形状に形成された上面壁6aと、その上面壁6a下端から垂直に下方に延びた側面壁6b,6bとを有している。左右側面壁6b,6bには、役物装置6内に玉を受入可能な玉受入口61,61がそれぞれ設けられている。そして、この玉受入口61,61に連通して、役物装置6内の後方に玉を導く誘導樋62,62が、それぞれ側面壁6b,6bの内側に取付けられている。
役物装置6の下部には、波形状をなしたステージ面63が設けられている。このステージ面63は、後方から前方に向かって、前方が低い3段のステージ面63a,63b,63cを有する。それらステージ面63a,63b,63cはその波形状が互い違いに重ならないように形成され配置されている。各ステージ面63a,63b,63cは前方側(ガラス扉2側)が低くなるように少し傾斜している。これにより、玉受入口61,61から役物装置6に入った玉は、誘導樋62,62を通って、ステージ面63a上に落下し、そこから前方にステージ面63b,63cを通って、玉の速度が遅くなって、役物装置6の下部から役物装置6の外に排出される。最も低いステージ面63cの中央には波形の谷部が形成され、その下方に特別始動可変入賞口9が配置されている。従って、ステージ面63cの中央の波形の谷部から落下する玉は特別始動可変入賞口9に入り易いといえる。
次に、具体的な制御手順について、フローチャートを参照しつつ説明する。ROM23に格納された図柄変動処理プログラム52について、図9に示すフローチャートにより説明する。なお、ROM23に格納された制御プログラム51は、パチンコ遊技機1の全体の制御を司るもので、パチンコ遊技機1への電源投入後に、割込みモードの設定やRAMチェック等の初期化処理、初期化処理の終了後に特別始動可変入賞口9等への入賞検出処理、大当たり抽選処理、図柄変動処理、大当たり処理などを実行する周知の内容であるため説明を省略する。
次に、始動入賞口への入賞に伴い実行される大当たり抽選について説明する。特別始動可変入賞口9に付設された特別始動可変入賞検出器33により玉の入賞を検知すると、入賞検知信号がCPU22に伝送される。CPU22に特別始動可変入賞検出器33からの入賞検知信号が入力されたタイミングに応じて、CPU22が大当たり判定用カウンタから乱数値(カウンタ値)を取得し、その乱数値が大当たり乱数に一致するか否かを判定することにより大当たりの抽選を行っている。抽選処理で乱数値が大当たり乱数である場合、大当たり条件成立となる。CPU22は当否抽選手段として機能する。
CPU22はこの大当たり抽選処理の結果を受けて、役物装置6の特別図柄表示部7に導出表示させるべき図柄を決定する。その決定に基づく表示制御信号がCPU22から表示制御基板26に出力される。本実施例では、大当たり図柄で停止する確率(大当たり確率)は、通常状態では1/395、確変状態では1/50と設定されている。確変状態では、大当たり確率が高められた設定となっている。
なお、大当たり抽選結果は、RAM24に割り当てられた保留玉記憶領域に一時的に記憶される。CPU22は、役物装置6の特別図柄表示部7において新たな図柄変動動作を行うことができるかどうかを確認してから、抽選結果を読み出し、図柄変動動作を開始する。先の大当たり抽選処理に係る図柄変動動作が行われている場合、大当たり抽選処理の結果を含む抽選データは、4個を上限として保留玉記憶領域に記憶される。
特別始動可変入賞口9の開放について説明する。特別始動可変入賞口9は普図抽選により当たりとなった場合に開放する。普図始動入賞口10に付設された普図始動入賞検出器34により玉の入賞を検知すると、入賞検知信号がCPU22に伝送される。CPU22に普図始動入賞検出器34からの入賞検知信号が入力されたタイミングに応じて、CPU22が判定用カウンタから乱数値(カウンタ値)を取得し、その乱数値が当たり乱数に一致するか否かを判定することにより普図抽選を行っている。普図抽選結果は、特別図柄表示部7の近傍などの所定箇所に表示される。普図抽選において当たりとなると、確変状態が発生していない通常状態においては特別始動可変入賞口9を0.2秒開放する一方、確変状態においては特別始動可変入賞口9を5秒開放する。CPU22からの制御信号により特別始動可変入賞口開放用ソレノイド37が駆動され、可動部材14,14が開放状態となり、玉の入賞率が高まるとともに、上記開放時間経過後、閉鎖状態となり、開放状態と比べて入賞率が低くなる。
特別始動可変入賞口9への入賞があり、大当たり抽選が実行され、その抽選結果に応じて、特別図柄表示部7にて図柄を変動表示した後、停止表示する。図9の図柄変動処理において、停止図柄が予め定められた大当たり図柄であるか否かを判定し(S1)、大当たり図柄でない場合、リターンする一方、大当たり図柄である場合、その大当たり図柄が普通大当たり図柄であるか否かを判定する(S2)。本実施例では、大当たり図柄として、普通大当たり図柄と確変大当たり図柄とが設定されている。そして、普通大当たり図柄である確率は4/10、確変大当たり図柄である確率は6/10と設定されている。
S2において、普通大当たり図柄である場合、第1大当たりフラグをオンにし(S3)、一方普通大当たり図柄でない場合(言い換えれば確変大当たり図柄である場合)、第2大当たりフラグをオンにする(S4)。
次に、ROM23に格納された第1大当たり処理プログラム53について、図10に示すフローチャートにより説明する。本実施例では、第1大当たりが発生すると、第1大入賞口11の開閉処理が行われる。第1大当たりフラグがオンであるか否かを判定し(S11)、第1大当たりフラグがオンでない場合、リターンする一方、第1大当たりフラグがオンである場合、ラウンド数が15に達したか否かを判定する(S12)。第1大入賞口開放用ソレノイド38が駆動され、第1大入賞口11(上側開放扉72)を閉鎖状態から開放状態とする。上側開放扉72の開放により、あわせて可動枠76もスプリング80の付勢力に抗して回動した状態となる(図4参照)。なお、このとき可動枠76と下側開放扉82とを連結する連結部材86は撓んだ状態にある。
この例では、その第1大入賞口11への最大入賞個数である9個の入賞を検知するか、或いはその第1大入賞口11の最大開放時間である25秒間を経過するか、のいずれか早い方が成立するまでを1ラウンドとし、一旦第1大入賞口11を閉鎖し、15ラウンド終了するまでこの開閉処理を繰り返すようにしている。
S12においてラウンド数が15に達していない場合、ラウンド数を「1」インクリメントする(S13)。ラウンド数はCPU22にてカウントされる。続いて第1大入賞口11を開放し(S14)、その後第1大入賞口11へ9個の玉の入賞が検知されたか否かを判定する(S15)。ここで9個の入賞が検知された場合、第1大入賞口11を閉鎖する(S17)一方、9個の入賞が検知されない場合、第1大入賞口11の開放時間が25秒経過したか否かを判定する(S16)。ここで第1大入賞口11の開放時間が25秒経過した場合、第1大入賞口11を閉鎖する(S17)。S12においてラウンド数が15に達した場合、第1大当たりフラグをオフにする(S18)。15ラウンド終了した時点で第1大当たりは終了し、通常状態に戻る。
次に、ROM23に格納された第2大当たり処理プログラム54について、図11に示すフローチャートにより説明する。本実施例では、第2大当たりが発生すると、第2大入賞口12の開閉処理が行われる。第2大当たりフラグがオンであるか否かを判定し(S21)、第2大当たりフラグがオンでない場合、リターンする一方、第2大当たりフラグがオンである場合、ラウンド数が16に達したか否かを判定する(S22)。第2大入賞口開放用ソレノイド39が駆動され、第2大入賞口12(下側開放扉82)を閉鎖状態から開放状態とする。下側開放扉82の開放により、連結部材86を引張って可動枠76もスプリング80の付勢力に抗して回動した状態となる(図5参照)。
この例では、その第2大入賞口12への最大入賞個数である10個の入賞を検知するか、或いはその第2大入賞口12の最大開放時間である25秒間を経過するか、のいずれか早い方が成立するまでを1ラウンドとし、一旦第2大入賞口12を閉鎖し、16ラウンド終了するまでこの開閉処理を繰り返すようにしている。この例では、第2大当たりは第1大当たりよりも遊技者にとって有利な設定となっている。
S22においてラウンド数が16に達していない場合、ラウンド数を「1」インクリメントする(S23)。続いて第2大入賞口12を開放し(S24)、その後第2大入賞口12へ10個の玉の入賞が検知されたか否かを判定する(S25)。ここで10個の入賞が検知された場合、第2大入賞口12を閉鎖する(S27)一方、10個の入賞が検知されない場合、第2大入賞口12の開放時間が25秒経過したか否かを判定する(S26)。ここで第2大入賞口12の開放時間が25秒経過した場合、第2大入賞口12を閉鎖する(S27)。S22においてラウンド数が16に達した場合、第2大当たりフラグをオフにする(S28)。16ラウンド終了した時点で第2大当たりは終了する。CPU22は大当たり状態発生手段として機能する。そして、第2大当たりの場合(確変大当たりの場合)、その大当たり終了後遊技者に有利な確変状態(特別遊技状態)などを発生させる。CPU22は特別遊技状態発生手段として機能する。
このように上下2段に第1大入賞口11と第2大入賞口12とが配列され、上側開放扉72の開放したときに開口部73(上側入賞口)に玉の入賞が可能となるとともに、下側開放扉82が開放したときに開口部83(下側入賞口)への横方向からの玉の入賞が側壁部85a,85bによって阻止され、可動枠76の開口部75を通過して縦方向に流れる玉の入賞が可能となるようにしている。
従って、上方の第1大入賞口11に入賞可能な遊技盤3上の所定範囲(上側開放扉72が開放時のその上側開放扉72の扉面の範囲、言い換えればその上側開放扉72の前面にその上側開放扉72を収容する可動枠76の範囲、具体的には下側開放扉82が開放時の可動枠76の開口部75)を流下する玉だけが下方の第2大入賞口12に入賞可能となることから、大入賞口が2つあるにも関わらず、釘による上下各大入賞口への玉の寄り具合は一致することになり、遊技店側において釘調整が非常に容易となる。また、所定の大当たり条件の成立により第1大入賞口11、第2大入賞口12のいずれか1つが開放されるようにでき、大入賞口をこのように構成することにより、従来の市場の多くを占めている大入賞口が1つのパチンコ遊技機の釘調整と比べても違和感がなく同等に作業が可能である。
また、下側開放扉82に設けた側壁部85a,85bにより横方向からの玉の入賞を阻止する阻止部材を構成しており、下側開放扉82の開放時にのみ遊技盤3上に出現するようにでき、遊技盤3上のレイアウトもスッキリできる。さらに、上下2段に箱形状をなし、上側誘導部71と下側誘導部81とを有する誘導部70が設けられ、その上側誘導部71に第1大入賞口11を配設するとともに、下側誘導部81に第2大入賞口12を配設して、第1大入賞口11と第2大入賞口12とを上下に一体的に形成しており、複数の大入賞口をこのように構成することにより、遊技者へのインパクトを維持しつつ、遊技盤上に複数の大入賞口をより狭い範囲で設けることが可能となり、遊技盤面を有効に利用することができ、かつ釘調整作業が非常に容易なパチンコ遊技機を提供できる。
(変形例)
図12は、第1大入賞口11及び第2第入賞口12の変形例を示す説明図である。図12(a)は正面図、図12(b)は図12(a)のC−C断面図、図12(c)は図12(a)のD−D断面図である。図13は第1大当たり発生時の動作例を示す図、図14は第2大当たり発生時の動作例を示す図である。また、図15は、可動枠の変形例を示す説明図(台の裏側からみた説明図)である。この変形例では、可動枠の開口部を実施例よりも小さく形成し、開放状態において受け入れた玉を開口部に集めるように傾斜を設けたものである。なお、変形例において、実施例と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
第1大入賞口11と第2大入賞口12とは、それぞれ閉鎖状態と開放状態とを呈する可変入賞口であり、それらが遊技盤3面上に縦に配列されている。上側の第1大入賞口11の直ぐ下に、横方向に第1大入賞口11よりも小さい下側の第2大入賞口12が配置され、それらが上下に一体的に形成されている。すなわち上下2段にそれぞれ正面が開口し箱形状をなした玉の誘導路である上側誘導部71と下側誘導部91とを有する誘導部90が遊技盤3を貫通して嵌め込まれた形態に設けられている。そして、その上側誘導部71に第1大入賞口11が配設されるとともに、下側誘導部91に第2大入賞口12が配設されている。
第1大入賞口11には、図12に示すように、上側開放扉72の閉鎖状態にあるときの前面に位置し、中央に方形状の開口部87(玉通過口)を有する可動枠88(補助部材)が設けられている。この開口部87が実施例よりも小さく形成される。また、この可動枠88には、開放状態に相当する位置(横向き状態)において、可動枠88上に落下してきた玉が開口部87に集まるように傾斜部89が形成されている(図15参照)。また、可動枠88の後面側には傾斜部89により段差(収容空間)が形成され、この段差に上側開放扉72が収容される形態としている。
第2大入賞口12は、横方向に第1大入賞口11よりも小さく形成され、可動枠88の開口部87に対応する位置に配置されている(この例では中央に配置されている)。また、第2大入賞口12は、下側誘導部91の正面開口を塞ぐように板状をなし、下部を軸にして回動可能に設けられた下側開放扉92を備える。下側開放扉92は、下部が下側誘導部91の開口端部に軸支され、その閉鎖状態のときに下側誘導部91の正面開口を塞ぐようにしている。下側開放扉92の扉面がその閉じた状態のときに、遊技盤3の盤面上に位置するようになっている。下側開放扉92が、下部を軸にして前後方向に開放状態のときに、上部に玉を受入可能な開口部93(下側入賞口)が形成される(図14参照)。
また、可動枠88は、下側開放扉92が起立状態から開放状態へと回動すると、連結部材86によってスプリング80の付勢力に抗して上側開放扉72の前面の起立位置から上側開放扉72の開放状態に相当する位置まで回動する。図14に示すように、可動枠88に形成された、遊技盤3上を落下する玉の通過を可能とする開口部87の下方に下側開放扉92が開放した状態となる。
このように、可動枠88の内側に傾斜部89を設け、その傾斜部89によって開放状態において受け入れた玉を中央に集めることにより開口部87を小さく形成することができる。その場合に、可動枠88の開口部87に集まった玉は第2大入賞口12にむかって落下し、第2大入賞口12に入賞する。第2大入賞口12には、可動枠88により、開口部87に寄った玉が落下してくるので、第2大入賞口12は小さくすることができる。
第2大入賞口12を可動枠88よりも小さくすることで、可動枠88が第2大入賞口12への横方向からの玉の入賞を阻止することができるので、実施例の第2大入賞口12に設けた側壁部を省略することができる。そして、この第2大入賞口12が開放したときに入賞する玉は、第1大入賞口11が開放したときに、第1大入賞口11へ入賞可能となる範囲を通過した玉と等しくなることから、この変形例の入賞装置をもってしても、本発明の目的を達成することが可能となる。
従って、可動枠の開口部の大きさを変更し、小さくすることによって下側大入賞口を小さくでき、上側大入賞口と差をつけ、第1大当たりと第2大当たり遊技の態様を変化させて面白味を加えることができる。また、遊技者へのインパクトを維持しつつ、遊技盤上に複数の大入賞口をより狭い範囲で設けることが可能となるため、遊技盤上のレイアウトもスッキリすることができ、遊技盤面を有効に利用することができる。さらに、従来の市場の多くを占めている大入賞口が1つのパチンコ遊技機の釘調整と比べても違和感がなく同等に作業が可能であるパチンコ遊技機を提供できる。
また、実施例に次のような変形を加えてもよい。
開口部83(下側入賞口)への横方向からの入賞を阻止する阻止部材として、下側開放扉82に側壁部85a,85bを設けた構成としたが、これに限定されるものではない。例えば下側開放扉82が開放したときの位置に対応し、下側開放扉82の両横の遊技盤3上に釘を設けて横方向からの入賞を阻止するようにしてもよい。