JP2006323347A - 光部品の調心装置、光部品の製造方法 - Google Patents

光部品の調心装置、光部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光部品同士の調心作業に用いられる光部品の調心装置において、構造の単純化、調心のための操作の簡素化を実現できる技術が求められていた。
【解決手段】光部品を上下方向の基準軸線に沿って直線移動させる上部ステージ4と、上部ステージ4の光部品に固定する別の光部品を、直線移動2軸、回転移動3軸の計5軸の自由度で移動させる下部ステージ3とを備え、下部ステージ3の回転移動3軸の内の2つが、前記基準軸線に対して垂直かつ互いに垂直の軸線を以て光部品を回転させる角度調整用、残る回転移動1軸が、角度調整用の2軸に対して垂直の軸線を以て光部品を回転させる回転調心用である光部品の調心装置及びそれを用いた光部品の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光部品同士を調心する光部品の調心装置、光部品の製造方法に関する。
例えば、1つの導波路素子と2つのファイバアレイとの調心固定や、1つの誘電体多層膜フィルタ素子と2つのコリメータとの調心固定に用いられる装置として、特許文献1に示すような横型の調心装置がある。
この横型の調心装置は、一般的には、光部品を把持する固定台と、その両側に設置され、それぞれ、6軸(例えば特許文献1のX、Y、Z、θx、θy、θzを参照。両側で合計12軸)の可動軸を有する可動ステージ装置とからなる。可動ステージ装置は、固定台に取り付けられた光部品に対して調心して固定する光部品を支持する。可動ステージ装置に支持された光部品は、可動ステージ装置の自由度によって、固定台に取り付けられた光部品に対して調心される。
可動ステージ装置に支持される光部品は、該光部品に取り付けられている光ファイバが横向き(水平方向)となる向きで、可動ステージ装置に取り付けられる。
各光部品は、最適位置に調心後、紫外線硬化型接着剤(以下、UV接着剤)などで接着固定される。
特開2000−180658号公報
しかしながら、上述したような従来の調心装置(横型調心装置)の各可動ステージ装置は、各可動軸をモータで個別に駆動するようになっている。このため、調心装置全体として、非常に高価になってしまう、といった問題があった。
また、コリメータのように、円筒形のものについて調心を行う際に、光部品同士の接続光軸に沿った方向の軸線(特許文献1のθz軸参照)回りの回転幅が小さい(±10°程度)。このため、例えば2心コリメータ等、方向性のある光部品を調心する際には、予め大まかな方向性を確認してから可動ステージ装置に取り付ける必要がある、といった問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みて、(1)可動軸の数の削減でき、装置全体を低コスト化できる(2)光部品同士の接続光軸に沿った方向の軸線回りの光部品の回転幅を大きく確保することができ、方向性のある円筒形の光部品の調心についても、簡単に行える光部品の調心装置、光部品の製造方法の提供を目的としている。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
本発明では、光部品同士の光軸合わせのための調心作業に用いられる光部品の調心装置において、光部品が着脱可能に固定される固定台を、直線移動1軸の自由度で、上下方向に延在する基準軸線に沿って移動させる移動ステージである第1ステージと、この第1ステージに支持された光部品に固定される別の光部品を支持する第2ステージとを具備し、前記第2ステージは、光部品が着脱可能に固定される固定台と、この固定台を、前記基準軸線に対する垂直方向の直線移動2軸、及び、回転移動3軸の計5軸の自由度で移動させる各軸毎の移動ステージとを備え、前記第2ステージの回転移動3軸の移動ステージの内の2つが、前記基準軸線に対して垂直かつ互いに垂直の軸線を中心に前記固定台を回転させる角度調整用、残る回転移動1軸の移動ステージが、角度調整用の2軸に対して垂直の軸線を中心に前記固定台を回転させる回転調心用であることを特徴とする光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、第2ステージは、計5軸の移動ステージを前記基準軸線に沿って配列配置した構成であり、計5軸の移動ステージの内、第1ステージに最も近い側に配置された回転調心用の移動ステージに固定台が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、第2ステージの各移動ステージが、手動操作ステージであることを特徴とする請求項1又は2記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、第1ステージの固定台及び第2ステージの固定台の一方又は両方に、円筒状あるいは円柱状の光部品を位置決めするための位置決め溝を有する位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、紫外線硬化型接着剤を用いて光部品を接着固定するための光ファイババンドルを具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度が、前記基準軸線に対して可変であることを特徴とする請求項5に記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度が、前記基準軸線に対して0〜180°の範囲の角度であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度が、前記基準軸線に対して略垂直であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光部品の調心装置を提供する。
また、本発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の光部品の調心装置を用いて、光部品同士の光軸を合わせて、複数の光部品を一体化してなる複合光部品を製造する方法であって、第2ステージの固定台に固定した光部品の光軸を、前記回転調心用の移動ステージによる固定台の回転で、第1ステージの固定台に固定しておいた光部品の光軸に粗調心する粗調心工程と、この粗調心工程の完了後、第2ステージの回転移動3軸及び直線移動2軸の内の1以上の自由度で第2ステージの固定台を移動して、第2ステージの固定台に固定した光部品の光軸を、第1ステージの固定台に固定しておいた光部品の光軸に、前記粗調心よりも高精度に調心する高精度調心工程と、高精度調心工程の完了後、光部品同士を固定して、前記複合光部品を組み立てる固定組立工程とを具備することを特徴とする光部品の製造方法を提供する。
また、本発明は、第1ステージの固定台に光軸を複数本有する光部品を固定し、第2ステージの固定台に光軸を1本のみ有する光部品を固定して、前記粗調心工程と前記高精度調心工程と前記固定組立工程とを行うことで、光軸を複数本有する光部品と、光軸を1本のみ有する光部品とを固定してなる複合光部品を組み立てることを特徴とする請求項9記載の光部品の製造方法を提供する。
本発明によれば、固定台に固定した光部品を固定台とともに所定の基準軸線上で直線移動させる第1ステージと、第1ステージに支持された光部品とは別の光部品を、直線移動2軸及び回転移動3軸の自由度で移動して、第1ステージに支持された光部品に対して調心する第2ステージとを備えたものであるため、光部品を移動するための軸数を削減でき、低コスト化できる。
また、第1、第2ステージにそれぞれ支持した光部品同士の調心作業において、第2ステージに支持した光部品を、第2ステージの回転調心用の1軸によって回転させることで、調心作業の手間を軽減することが可能である。第2ステージに支持した光部品を、第2ステージの回転調心用の1軸での回転で、第1ステージに支持された光部品に対して光軸の粗調心を行った後、第2ステージの直線移動2軸及び回転移動3軸の自由度で、粗調心よりも高精度の調心を行えば、調心作業の手間を大幅に軽減できる。
また、本発明に係る調心装置では、第2ステージの回転調心用の1軸による光部品の回転の可動範囲(角度範囲)を、広く確保することが容易である。360度回転自在とすることができる。この結果、第2ステージの回転調心用の1軸による光部品の回転によって、円筒形や円柱形の光部品の調心を容易に行えるようになるといった利点もある。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光部品の調心装置1(以下、単に、調心装置とも言う)を示す斜視図、図2は、図1の調心装置1の第2ステージ3の移動ステージ32〜36の構成を模式的に示す拡大斜視図(モデル図)、図3は、図1の調心装置1の第1、第2ステージ3、4の固定台31、421を示す拡大斜視図である。
なお、図1、図2、図3において、上側を上、下側を下として説明する。
また、図1下側に、矢印で示したX、Y、Zは、それぞれ、以下文中の、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向を示す。
図1、図2に示すように、この調心装置1は、ベース21及び該ベース21上に立設された縦フレーム22を有する装置フレーム2と、この装置フレーム2のベース21上に設置された下部ステージ3と、前記装置フレーム2の縦フレーム22に支持して、前記下部ステージ3の上方に設けられた上部ステージ4とを具備して構成されている。
また、図1中、符号5は、紫外線照射装置である。図1に例示した実施形態の調心装置1は、この紫外線照射装置を含む。すなわち、本形態例の調心装置1は、紫外線硬化型接着剤を用いて光部品を接着固定するための光ファイババンドル51(詳しくは後述する。)を具備するものである。
下部ステージ3は、本発明に係る第2ステージとして機能するものである。
上部ステージ4は、本発明に係る第1ステージとして機能するものである。
(下部ステージ)
下部ステージ3は、光部品6が着脱可能に固定される固定台31(以下、下部固定台とも言う)と、水平2方向の直線移動2軸、及び、回転移動3軸の計5軸の自由度で前記下部固定台31を移動させる各軸毎の移動ステージ32〜36とを備えて構成されている。
各移動ステージ32〜36はプレート状である。これら移動ステージ32〜36は、装置フレーム2のベース21上に積み重ねるようにして設けられている。
前記下部固定台31は、最上段の移動ステージ36(後述のθz軸ステージ)に立設されている柱状の部材である回転ブロック362の上端部(θz軸ステージ36からの突出先端)である。
図3に示すように、この下部固定台31には、光部品6の位置決め用の位置決め溝312(図4参照)が形成されている光部品保持台311を収納する保持台装着溝31aが形成されている。保持台装着溝31a内に収納された光部品保持台311(位置決め部)は、図示しない取付部材によって、下部固定台31に対して着脱可能に取り付けられる。
また、この下部固定台31には、保持台装着溝31a内の前記光部品保持台311の位置決め溝312に収納して位置決めした光部品6をスプリング(図示略)の付勢力によって押さえ込んで、光部品保持台311との間にクランプ保持する押さえ片31bが、軸31cを介して回転自在に取り付けられている。押さえ片31bを、スプリングの付勢力に抗して、光部品保持台311から離隔させるように回転させれば、下部固定台31に対する光部品6の着脱作業を行える。なお、図3中、符号31dは、押さえ片31bに突設された当接突起31dである。押さえ片31bは、具体的には、光部品保持台311の位置決め溝312に収納した光部品6を、当接突起31dで光部品保持台311に押さえ込む。
図4に例示した光部品保持台311は、位置決め溝312としてV溝を採用している。
位置決め溝312としては、例えば、コリメータ等の円柱状(あるいは円筒状)の光部品の位置決め及び保持に適した形状のものであり、V溝に限定されず、例えば、角溝、その他、様々な形状のものを採用できる。下部固定台31に取り付ける光部品保持台311は、光部品6の位置決め及び保持に適した位置決め溝312を有するものを選択使用する。
なお、ここでは、光部品6の位置決め及び保持に適した位置決め溝312を有する光部品保持台311を、下部固定台31に選択的に取り付ける構成を例示したが、これに限定されず、例えば、θz軸ステージ36の回転ブロック362の上端部に着脱可能な、回転ブロック362とは別体の下部固定台31を採用し、この下部固定台31に位置決め溝312を形成することも可能である。この場合は、光部品6の位置決め及び保持に適した位置決め溝312を有する下部固定台31を選択して、回転ブロック362に取り付ける。
図1、図2に示すように、移動ステージ32〜36は、Y軸方向の直線移動用のY軸ステージ32、X軸方向の直線移動用のX軸ステージ33、θx軸回転移動用のθx軸ステージ34、θy軸回転移動用のθy軸ステージ35、θz軸回転移動用のθz軸ステージ36である。
これら移動ステージ32〜36は、Y軸ステージ32、X軸ステージ33、θx軸ステージ34、θy軸ステージ35、θz軸ステージ36の順で、下から上に積み重ねられている。
X軸方向(図2中、符号X)、Y軸方向(図2中、符号Y)とは、ここでは、鉛直軸線に直交し、かつ、互いに直交する2方向(水平方向において互いに直交する2方向)を指す。
また、「θx軸回転移動」は、X軸方向に延びる軸線を中心とする回転移動、「θy軸回転移動」は、Y軸方向に延びる軸線を中心とする回転移動を指す。
「θz軸回転移動」は、X軸方向及びY軸方向に垂直の方向に延びる軸線(θz軸。図2参照)を中心とする回転移動を指す。但し、θz軸は必ずしも鉛直ではなく、θx軸ステージ34及び/又はθy軸ステージ35の操作によって、鉛直軸線に対して傾斜させることができる。
Y軸ステージ32は、プレート状のスライドベース321と、このスライドベース321上に、Y軸方向にスライド移動可能に設けられた可動ブロック322とを具備する。Y軸ステージ32の側部には、可動ブロック322のY軸方向の移動操作用の操作ダイヤル(粗動ダイヤル323及び微動ダイヤル324)が突設されている。操作ダイヤルの回転操作は、Y軸ステージ32に組み込まれている可動ブロック移動機構(図示略)によって、可動ブロック322のY軸方向への移動に変換される。微動ダイヤル324は、可動ブロック322の高精度位置調整用の操作ダイヤルであり、操作量(回転量)に対する可動ブロック322の移動量が粗動ダイヤル323よりも小さい。
X軸ステージ33は、前記Y軸ステージ32の可動ブロック322上に固定されたプレート状のスライドベース331と、このスライドベース331上に、X軸方向にスライド移動可能に設けられた可動ブロック332とを具備する。X軸ステージ33の側部には、可動ブロック332のX軸方向の移動操作用の操作ダイヤル(粗動ダイヤル333及び微動ダイヤル334)が突設されている。操作ダイヤルの回転操作は、X軸ステージ33に組み込まれている可動ブロック移動機構(図示略)によって、可動ブロック332のX軸方向への移動に変換される。微動ダイヤル334は、可動ブロック332の高精度位置調整用の操作ダイヤルであり、操作量(回転量)に対する可動ブロック332の移動量が粗動ダイヤル333よりも小さい。
θx軸ステージ34は、前記X軸ステージ33の可動ブロック332上に固定されたプレート状のスライドベース341と、このスライドベース341上に設けられ、スライドベース341上に形成されたスライド用湾曲面341aに沿ったスライド移動によってθx軸回りに回転移動する可動ブロック342と、この可動ブロック342のθx軸回りの回転操作用の操作ダイヤル343とを具備して構成されている。
θy軸ステージ35は、前記θx軸ステージ34の可動ブロック342上に固定されたプレート状のスライドベース351と、このスライドベース351上に設けられ、スライドベース351上に形成されたスライド用湾曲面351aに沿ったスライド移動によってθy軸回りに回転移動する可動ブロック352と、この可動ブロック352のθy軸回りの回転操作用の操作ダイヤル353とを具備する。
θz軸ステージ36は、前記θy軸ステージ35の可動ブロック352上に固定されたスライドベース361と、このスライドベース361上にθz軸を中心として360度回転自在として支持された回転ブロック362とを具備している。
前述したように回転ブロック362は柱状の部材であり、スライドベース361上に立設されている。
また、回転ブロック362の側部には、該回転ブロック362の回転操作用の操作ハンドル363が突設されている。この操作ハンドル363を使って回転ブロック362を回転させることで、回転ブロック362の上端部の下部固定台31及び該下部固定台31に固定した光部品6を、θz軸を中心として回転させることができる。
前記下部ステージ3の回転移動3軸の移動ステージ34、35、36内の1つ(1軸)は、θz軸を回転中心として下部固定台31を回転させる回転調心用(θz軸ステージ36)、回転移動3軸の残り2軸(θx軸ステージ34、θy軸ステージ35)が前記下部固定台31に固定した光部品6の光軸の前記θz軸に対する角度調整用である。
(上部ステージ)
図1に示すように、上部ステージ4は、装置フレーム2の縦フレーム22の上端部に固定されたスライドベース41と、このスライドベース41にガイドされて、所定の基準軸線Bに沿って移動する可動ブロック42と、この可動ブロック42を前記基準軸線B(ここでは、鉛直軸線)に沿って移動するための操作ダイヤル(粗動ダイヤル43及び微動ダイヤル44)とを具備して構成されている。
本実施形態において、前述したように、前記基準軸線Bは鉛直軸線である。換言すれば、Z軸方向に延在する軸線である。したがって、前述した上部ステージ4の可動ブロック42の移動は、上下方向(鉛直方向)の移動である。
また、基準軸線Bは、より詳しくは、上部ステージ4の可動ブロック42に設けられた固定台421(後述の上部固定台)に固定される光部品6の突き合わせ端面(例えば、図7に示す2心コリメータ62の突き合わせ端面62aを参照)を通る鉛直軸線である。
調心装置1を用いて、光部品同士の光軸合わせのための調心作業を行う場合は、上下のステージ3、4に支持した各光部品6の突き合わせ端面が基準軸線Bと交差する位置となるように、下部ステージ3の移動ステージの操作によって下部ステージ3による光部品の支持位置を調整する。
可動ブロック42の下端部には、光部品6の位置決め用の位置決め溝451(図5参照。図5ではV溝)が形成されている光部品保持台45を収納する保持台装着溝42aが形成されている。
可動ブロック42の下端部は、光部品6を固定するための固定台421(以下、上部固定台とも言う)として機能する。上部ステージ4は、上部固定台421を基準軸線Bに沿って(ここでは上下方向)に移動するための移動ステージとして機能する。
保持台装着溝42a内に収納された光部品保持台45(位置決め部)は、図示しない取付部材によって、上部固定台421に対して着脱可能に取り付けられる。この上部固定台421でも、下部ステージ3の下部固定台31と同様に、光部品6の固定に適した位置決め溝451を有する光部品保持台45が選択使用される。
操作ダイヤルは、上部ステージ4の可動ブロック42を基準軸線Bに沿って移動するために上部ステージ4に組み込まれた移動機構の一部である。この上部ステージ4では、操作ダイヤルの回転操作(正逆回転操作)が、移動機構によって、可動ブロック42(及び上部固定台421)のZ軸方向の移動(昇降)に変換される。
また、微動ダイヤル44の回転操作量に対する上部固定台421の移動量は、粗動ダイヤル43の回転操作量に対する上部固定台421の移動よりも小さい。
すでに述べたように、基準軸線Bは、上部固定台421において、光部品6を固定する固定位置を通る(換言すれば、該上部固定台421に固定される光部品6の突き合わせ端面を通る、ということ)鉛直軸線であり、上部固定台421の上下動は基準軸線Bに沿った移動であることから、上部固定台421を上下動させても、光部品6の突き合わせ端面が基準軸線Bと交差した状態が維持される。
図3に示すように、上部固定台421には、保持台装着溝42a内の前記光部品保持台45の位置決め溝451に収納して位置決めした光部品6をスプリング(図示略)の付勢力によって押さえ込んで、光部品保持台45との間にクランプ保持する押さえ片42bが、軸42cを介して回転自在に取り付けられている。押さえ片42bを、スプリングの付勢力に抗して、光部品保持台45から離隔させるように回転させれば、上部固定台421に対する光部品6の着脱作業を行える。なお、図3中、符号42dは、押さえ片42bに突設された当接突起である。押さえ片42bは、具体的には、光部品保持台45の位置決め溝451に収納した光部品6を、当接突起42dで光部品保持台45に押さえ込む。
なお、ここでは、光部品6の位置決め及び保持に適した位置決め溝451を有する光部品保持台45が選択的に取り付ける構成の上部固定台421を例示したが、これに限定されず、例えば、位置決め溝451及び押さえ片42bを具備する固定台を、上部ステージ4の可動ブロック42に着脱可能に取り付ける構成等も可能である。
下部ステージ3の各移動ステージ32、33、34、35、36は、それぞれ、操作ダイヤル323、324、333、334、343、353、操作ハンドル363の手動操作によって下部固定台31を移動できる、手動操作ステージである。また、上部ステージ4も、操作ダイヤル43、44の手動操作によって上部固定台421を移動できる手動操作ステージである。したがって、多数の電動モータを必要とする従来技術の調心装置に比べて、大幅な低コスト化を実現できる。
但し、本発明に係る下部ステージ3及び上部ステージ4としては、手動操作ステージに限定されず、電動モータで駆動されるものを排除しない。本発明に係る調心装置によれば、下部ステージ3が5軸で済み、従来の調心装置の6軸に比べて1軸少ないため、構成を単純化でき、小型化、低コスト化を容易に実現できる。また、下部ステージ3は、回転調心用のθz軸ステージ36を具備していることから、調心のための操作が単純で済むといった利点もある。
紫外線照射装置5は、本調心装置1の下部ステージ3の下部固定台31に保持した光部品6と、上部ステージ4の上部固定台421に保持した光部品6とを紫外線硬化型接着剤で接着固定する際に、紫外線を照射して、光部品6同士を接着固定する紫外線硬化型接着剤を硬化させるものである。
図示例の紫外線照射装置5は、具体的には、UV光源に接続された光ファイババンドル51と、この光ファイババンドル51を支持する支持台52とで構成されている。
なお、光部品6同士を固定する紫外線硬化型接着剤を硬化させるための紫外線照射手段としては、図示例のような紫外線照射装置に限定されず、様々な構造のものを採用できる。
(光部品の製造方法)
次に、調心装置1を利用して、光部品同士の調心及び接着固定を行い、複数の光部品からなる複合光部品を組み立てる方法(製造方法)の一例を説明する。
図6は、ここで組み立てる複合光部品7の一例を示す図である。
図6に例示した複合光部品7は、波長分割多重機能を持つ光部品であるWDMフィルタ(WDM:Wavelength Division Multiplexing)である。
この複合光部品7(以下、WDMフィルタ7とも言う)は、誘電体多層膜フィルタ素子61(以下、フィルタ素子とも言う)と、該フィルタ素子61の入射側に、フィルタ素子61の入射及び反射ポートとして取り付けた2心コリメータ62と、フィルタ素子61の出射側(入射側と反対の側)に、フィルタ素子61の透過ポートとして取り付けた単心コリメータ63とで構成されている。つまり、この複合光部品7は、3つの光部品6(フィルタ素子61と、2心コリメータ62と、単心コリメータ63)を一体化した構成になっている。2心コリメータ62と単心コリメータ63とは、接着剤で、フィルタ素子61に接着固定される。
フィルタ素子61は、ここでは、1.31μm帯の光を透過し、かつ、1.55μm帯の光を反射する、短波長透過フィルタ(SWPF:Short Wavelength Pass Filter)である。
2心コリメータ62は、円柱状のコリメートレンズ62bに2本の光ファイバ81、82を融着接続したものである。
単心コリメータ63は、円柱状のコリメートレンズ63bに1本の光ファイバ83を融着接続したものである。
符号81の光ファイバは入射ポート用光ファイバ、82の光ファイバは反射ポート用光ファイバ、83の光ファイバは透過ポート用光ファイバである。
各光ファイバ81、82、83は、コリメートレンズ62b、63bの軸方向両端の内、軸方向の一端面である突き合わせ端面62a、63aとは反対の側の端部に融着接続されている。また、以下、コリメートレンズ62b、63bの突き合わせ端面62a、63aを、コリメータ62、63の突き合わせ端面として説明する場合がある。
なお、2心コリメータ62に接続する光ファイバは、光ファイバ素線等の単心光ファイバであるが、例えば、1本の2心光ファイバテープ心線であっても良い。2心光ファイバテープ心線の場合は、光ファイバテープ心線内の各光ファイバ(裸光ファイバ)が、それぞれ単独の光ファイバとして機能する。
ここで説明する複合光部品7の製造方法(組み立て方法)は、フィルタ素子61の入射側に2心コリメータ62を接着固定して、フィルタ素子61と2心コリメータ62とを一体化した光部品71(以下、2心コリメータ付きフィルタ素子とも言う)を組み立てる工程(第1工程)と、この2心コリメータ付きフィルタ素子71の透過側(フィルタ素子61の透過側)に単心コリメータ63を接着固定して、複合光部品7を組み立てる工程(第2工程)とを具備する。
第1工程では、調心装置1を利用して、フィルタ素子61に対する2心コリメータ62の光軸の調心作業を行う。第2工程では、調心装置1を利用して、フィルタ素子61に対する単心コリメータ63の光軸の調心作業を行う。
以下、第1工程、第2工程を詳しく説明する。
(第1工程)
ここで説明する複合光部品7の製造方法(組み立て方法)では、まず、フィルタ素子61と、2心コリメータ62とを、下部ステージ3の下部固定台31と上部ステージ4の上部固定台421とにセット(固定)する。
図7に示すように、2心コリメータ62(光部品6)は、上部ステージ4の上部固定台421にセット(固定)し、フィルタ素子61(光部品6)は、下部ステージ3の下部固定台31にセット(固定)する。
フィルタ素子61は、入射側端面(突き合わせ端面61a)が上部固定台421側を向くように(つまり、突き合わせ端面61aが上側になるようにする)して下部固定台31にセットする。また、外観円柱状に形成したフィルタ素子61は、下部固定台31に取り付けておいた光部品保持台311の位置決め溝312(V溝)によって位置決めするが、このときフィルタ素子61自体の中心軸回り(より正確には光軸回り)の回転方向の位置決めは考慮する必要が無い。
2心コリメータ62は、突き合わせ端面62aが下部固定台31側を向くように(つまり、突き合わせ端面62aが下側となるようにする)して、上部固定台421にセットする。外観円柱状の2心コリメータ62は、上部固定台421に取り付けておいた光部品保持台45の位置決め溝451(V溝)によって位置決めするが、2心コリメータ62自体の中心軸回りの回転方向の位置決めは考慮する必要が無い。
2心コリメータ62に接続されている2本の光ファイバ81、82は、2心コリメータ62から上方に延出されるようにする。また、2心コリメータ62から延出されている2本の光ファイバ81、82の内、入射ポート用光ファイバ81(図6中、Cポート)を光源(図示略)に接続し、反射ポート用光ファイバ82(図6中、Rポート)を光パワーメータ(図示略)に接続する。
上部固定台421及び下部固定台31に対する光部品61、62のセット(固定)が完了したら、2心コリメータ62に対するフィルタ素子61の調心作業を行う。
この調心作業は、入射ポート用光ファイバ81に1.55μm帯の光を送入し、この送入光の、フィルタ素子61の誘電体多層膜から反射ポート用光ファイバ82への反射光強度を光パワーメータでモニタしながら、下部ステージ3の全5軸の移動ステージ32〜36の内の1又は複数を操作して、最も伝送特性が良好な位置(最適位置)を探る。最適位置で調心がなされたものとする。
下部ステージ3の操作による調心作業について詳しく説明する。
下部ステージ3の操作による調心作業に入る前に、フィルタ素子61が、2心コリメータ62の下側に、2心コリメータ62から僅かなクリアランスを介して配置されるようにする。
フィルタ素子61は、下部ステージ3の全5軸の移動ステージ32〜36の内の1又は複数の操作によって、2心コリメータ62の真下に配置できる。これにより、フィルタ素子61の突き合わせ端面61aが、基準軸線Bと交差するようにする。
また、フィルタ素子61と2心コリメータ62との離隔距離の調整は、上部ステージ4の、2心コリメータ62が固定されている上部固定台421の移動によって実現できることは言うまでも無い。
フィルタ素子61が、2心コリメータ62の下側に、2心コリメータ62から僅かなクリアランスを介して配置されれば、上部固定台421に固定されている2心コリメータ62の突き合わせ端面62aと、下部固定台31に固定されているフィルタ素子61の入射側の突き合わせ端面61aとが、僅かなクリアランスを介して対面される。
フィルタ素子61が、2心コリメータ62の下側に、2心コリメータ62から僅かなクリアランスを介して配置されることで、調心作業が可能な状態となる。
フィルタ素子61が、調心作業可能な位置に配置されたら調心作業を行う。
調心作業は、θz軸ステージ36のみの操作によって、最も伝送特性が良好な位置を探る粗調心工程と、この粗調心工程の後、下部ステージ3の複数の移動ステージ32〜36の1又は複数を操作して、最適位置に調心する高精度調心工程とからなる。粗調心工程の後に、高精度調心工程を行う。
粗調心工程では、θz軸ステージ36の回転操作で、下部固定台31に固定されている光部品6(フィルタ素子61)を、上部固定台421に固定されている2心コリメータ62の突き合わせ端面を通る基準軸線、あるいは、該基準軸線と平行の鉛直軸線(θz軸)を中心として回転させる。
この粗調心工程の完了後に、高精度調心工程を行う。
このように、粗調心工程の後に高精度調心工程を行う調心作業であれば、最初に、θy軸ステージ35及びθx軸ステージ34の自由度によって大まかな調心位置を探る粗調心を行った後に、下部ステージ3の5軸の自由度による高精度の調心を行う手順に比べて、下部ステージ3の移動ステージの操作回数を削減でき、調心作業の所要時間を短縮できるといった利点がある。
上述の高精度調心工程が完了したら、紫外線硬化型接着剤を用いて、フィルタ素子61と2心コリメータ62とを接着固定して、2心コリメータ付きフィルタ素子71(複合光部品)を組み立てる。フィルタ素子61と2心コリメータ62とに塗布した紫外線硬化型接着剤は、例えば、紫外線照射装置5の光ファイババンドル51からの紫外線照射によって、迅速に硬化させることができる。
2心コリメータ付きフィルタ素子71の組み立てによって第1工程が完了する。
(第2工程)
第1工程が完了したら、2心コリメータ付きフィルタ素子71の全体を上側に移動して、フィルタ素子61を上部固定台421に固定する。これにより、2心コリメータ付きフィルタ素子71全体が上部固定台421に支持されるようにする。
この2心コリメータ付きフィルタ素子71の上方への移動に伴い、空いた下部固定台31に、単心コリメータ63を固定する。このとき、単心コリメータ63は、該単心コリメータ63自体の中心軸線回りの回転方向の位置決めを考慮する必要が無い。
また、単心コリメータ63に接続されている透過ポート用光ファイバ83(図8中、Tポート)に光パワーメータ(図示略)を接続する。
単心コリメータ63は、2心コリメータ付きフィルタ素子71のフィルタ素子61の下側(透過側)に、フィルタ素子61から僅かなクリアランスを介して配置されるようにする。このような、単心コリメータ63と、2心コリメータ付きフィルタ素子71との位置関係は、下部ステージ3の全5軸の移動ステージ32〜36の内の1又は複数の操作による単心コリメータ63の移動や、上部ステージ4における上部固定台421の移動によって、実現できることは言うまでも無い。
単心コリメータ63が、2心コリメータ付きフィルタ素子71のフィルタ素子61の下側(透過側)に、フィルタ素子61から僅かなクリアランスを介して配置されれば、上部固定台421に固定されているフィルタ素子61の透過側の突き合わせ端面61bと、下部固定台31に固定されている単心コリメータ63の突き合わせ端面63aとが、僅かなクリアランスを介して対面される。また、光部品71、63は、鉛直方向に延在する一本の基準軸線Bに、フィルタ素子61の突き合わせ端面61bと、単心コリメータ63の突き合わせ端面63aとが交差するように配置する。
2心コリメータ付きフィルタ素子71及び単心コリメータ63の、上部固定台421及び下部固定台31へのセット(固定)が完了したら、2心コリメータ付きフィルタ素子71に対する単心コリメータ63の調心作業を行う。
この調心作業は、2心コリメータ付きフィルタ素子71に接続されている入射ポート用光ファイバ81の光軸と、単心コリメータ63に接続されている透過ポート用光ファイバ83の光軸とを調心するものである。
この調心作業では、入射ポート用光ファイバ81に1.33μm帯の光を送入し、フィルタ素子61を透過した光が、単心コリメータ63に導かれるようにする。そして、フィルタ素子61を透過した透過光を、透過ポート用光ファイバ83に接続しておいた光パワーメータでモニタしながら、下部ステージ3の全5軸の移動ステージ32〜36の1又は複数を操作して、最も伝送特性が良好な位置(最適位置)を探る。最適位置で調心がなされたものとする。
調心作業は、θz軸ステージ36のみの操作によって、最も伝送特性が良好な位置を探る、粗調心工程と、この粗調心工程の後、下部ステージ3の複数の移動ステージ32〜36の1又は複数を操作して、最適位置に調心する高精度調心工程とからなる。
粗調心工程では、θz軸ステージ36の回転操作で、下部固定台31に固定されている単心コリメータ63を回転させる。
図8(a)〜(c)は、この粗調心工程を説明する図であり、(a)は、入射ポート用光ファイバ81の光軸と、透過ポート用光ファイバ83の光軸とがずれた状態を示す図、(b)はθz軸ステージ36の回転操作による単心コリメータ63の回転変位を示す図、(c)は、入射ポート用光ファイバ81の光軸と、透過ポート用光ファイバ83の光軸とが合った状態を示す図である。
粗調心工程の後に高精度調心工程を行う調心作業であれば、最初に、θy軸ステージ35及びθx軸ステージ34の自由度によって大まかな調心位置を探る粗調心を行った後に、下部ステージ3の5軸の自由度による高精度の調心を行う手順に比べて、下部ステージ3の移動ステージの操作回数を削減でき、調心作業の所要時間を短縮できるといった利点がある。
上述の高精度調心工程が完了したら、紫外線硬化型接着剤を用いて、2心コリメータ付きフィルタ素子71と単心コリメータ63とを接着固定して、複合光部品7を組み立てる。紫外線硬化型接着剤の硬化は、例えば、紫外線照射装置5の光ファイババンドル51からの紫外線照射によって、迅速に行える。
複合光部品7の組み立てによって第2工程が完了する。
第2工程の完了後、下部固定台31及び上部固定台421から、複合光部品7を取り出す。
前述の実施形態では、フィルタ素子61に、光ファイバが融着接続されたコリメータ62、63を接着固定して組み立てられる構成の複合光部品(WDMフィルタ7)を例示したが、本発明に係る調心装置及び光部品の製造方法を適用して組み立てる(製造する)複合光部品としては、これに限定されない。
以下、本発明に適用可能な光部品の別態様(別態様1、2)を説明する。
(光部品の別態様1)
図9(a)、(b)に示す複合光部品72も、前述した複合光部品7と同様に、WDMフィルタとして機能するものである。
この複合光部品72は、フィルタ素子61の入射側及び出射側にそれぞれコリメートレンズ721a、721bを固定してなるフィルタ保持部722(光部品)と、このフィルタ保持部722の入射側に接続される2本の光ファイバ81、82(入射ポート用、反射ポート用の光ファイバ)の先端をキャピラリ(例えばガラス製のもの)に挿入して固定したものである2心キャピラリ723a(光部品)と、フィルタ保持部722の出射側に接続される1本の光ファイバ83(透過ポート用光ファイバ)の先端が挿入して固定されたキャピラリである単心キャピラリ723b(光部品)とを具備し、フィルタ保持部722の両側にキャピラリ723a、723b(光部品)を接着剤で固定して組み立てられるようになっている。
2心キャピラリ723aは、光ファイバ81、82を、フィルタ保持部722の入射側のコリメートレンズ721aに光軸合わせして、コリメートレンズ721aに接着剤で固定される。
単心キャピラリ723bは、光ファイバ83を、フィルタ保持部722の出射側のコリメートレンズ721bに光軸合わせして、コリメートレンズ721bに接着剤で固定される。
なお、キャピラリ723a、723bの材質は、ガラス以外、例えばジルコニアセラミック等であっても良い。
各キャピラリ723a、723bでは、光ファイバ81、82、83の先端(先端面)の位置を、該キャピラリ723a、723bの、コリメートレンズ721a、721bに対面される端面(突き合わせ端面723c、723d)に揃えてある。
また、コリメートレンズ721a、721b及びキャピラリ723a、723bは、互いに対面される突き合わせ端面721c、721d、723c、723dが斜め研磨されている。この斜め研磨は、突き合わせ端面での光の反射を抑えるためであり、光部品の光軸に垂直の面に対して約8度の傾斜とする。
但し、突き合わせ端面は、必ずしも斜め研磨する必要は無い。
この複合光部品72も、本発明に係る調心装置1を使用して、効率良く組み立てることができる。
例えば、調心装置1の下部固定台31に固定したフィルタ保持部722と、上部固定台421に固定した2心キャピラリ723aとを調心し、接着固定した後、2心キャピラリ723aが固定されたフィルタ保持部722を上部固定台421に固定し、単心キャピラリ723bを下部固定台31に固定して、フィルタ保持部722と単心キャピラリ723bとの調心及び接着固定を行い、複合光部品72を組み立てる。
(光部品の別態様2)
図10(a)、(b)に示す複合光部品73は、フィルタ素子61及び該フィルタ素子61の入射側及び出射側に光軸を合わせて配置したコリメートレンズ731a、731bをハウジング732に組み込んだ構造のフィルタ保持部733(光部品)と、このフィルタ保持部733の入射側に接続される2本の光ファイバ81、82(入射ポート用、反射ポート用の光ファイバ)の先端をキャピラリ(例えばガラス製のもの)に挿入して固定したものである2心キャピラリ734a(光部品)と、フィルタ保持部733の出射側に接続される1本の光ファイバ83(透過ポート用光ファイバ)の先端をキャピラリ(例えばガラス製のもの)に挿入して固定したものである単心キャピラリ734b(光部品)とを具備し、キャピラリ734a、734bを、コリメートレンズ731a、731bに光軸合わせして、フィルタ保持部733の両側に固定して組み立てられるようになっている。
なお、キャピラリ723a、723bの材質は、ガラス以外、例えばジルコニアセラミック等であっても良い。
この複合光部品73は、キャピラリ734a、734bとコリメートレンズ731a、731bとを、接着剤で直接的に接着固定するのではなく、キャピラリ734a、734bの外側に固定した固定用部材736をフィルタ保持部733のハウジング732に接着剤で固定することで、キャピラリ734a、734bとコリメートレンズ731a、731bとの相対的な位置を固定する構造になっている。
フィルタ保持部733のコリメートレンズ731a、731bは、ハウジング732に内蔵した位置決めスリーブ735に収納して、位置決めスリーブ735に接着剤等で固定されている。フィルタ素子61は、ハウジング732内側の突起あるいはハウジング732内に固定されている部材(図10(a)、(b)では、位置決めスリーブ735)に固定される。
このフィルタ保持部733では、コリメートレンズ731a、731bとフィルタ素子61とは、ハウジング732あるいはハウジング732内の部材に固定して、互いの光軸が合った位置関係で配置するのであり、コリメートレンズ731a、731bとフィルタ素子61とを、直接、接着剤で固定する訳ではない。これにより、コリメートレンズ731a、731bとフィルタ素子61との間の光路に、接着剤が存在しないようにしてある。
キャピラリ734a、734bは、該キャピラリ734a、734bの外側に固定した固定用部材736とフィルタ保持部733のハウジング732との接着固定によって、コリメートレンズ731a、731bに対して光ファイバ81、82、83の光軸を合わせた状態でフィルタ保持部733に一体化される。
なお、各キャピラリ734a、734bでは、光ファイバ81、82、83の先端(先端面)の位置を、該キャピラリ734a、734bの、コリメートレンズ731a、731bに対面される端面(突き合わせ端面734c、734d)に揃えてある。
また、コリメートレンズ731a、731b及びキャピラリ734a、734bは、互いに対面される突き合わせ端面731c、731d、734c、734dが斜め研磨されている。この斜め研磨は、突き合わせ端面での光の反射を抑えるためであり、光部品の光軸に垂直の面に対して約8度の傾斜とする。
但し、突き合わせ端面は、必ずしも斜め研磨する必要は無い。
この複合光部品73でも、フィルタ保持部733のコリメートレンズ731aに対する2心キャピラリ734aの光ファイバ81、82の調心作業、及び、フィルタ保持部733のコリメートレンズ731bに対する単心キャピラリ734bの光ファイバ83の調心作業に、本発明に係る調心装置1を利用することで、効率良く組み立て(製造)ることができる。
なお、キャピラリ734a、734bは、調心装置1によって、光ファイバ81、82、83の光軸を、フィルタ保持部733のコリメートレンズ731a、731bの光軸に合わせた状態で、フィルタ保持部733のハウジング732に固定用部材736を、接着剤で接着固定して、フィルタ保持部733に一体化する。
フィルタ保持部733に対するキャピラリ734a、734bの固定は、固定用部材736を利用したものであり、フィルタ保持部733に固定したキャピラリ734a、734bの光ファイバ81、82、83と、フィルタ保持部733のコリメートレンズ731a、731bとの間の光路に接着剤が存在しないようにしてある。
なお、この複合光部品73では、前述したように、フィルタ保持部733のコリメートレンズ731a、731bとフィルタ素子61との間の光路に、接着剤が存在しないようにしてある。また、フィルタ保持部733に固定したキャピラリ734a、734bの光ファイバ81、82、83と、フィルタ保持部733のコリメートレンズ731a、731bとの間の光路にも接着剤が存在しない。
このため、この複合光部品73は、例えば、入射ポート用光ファイバ81からの送入光が、ワットクラスのハイパワー光であっても、接着剤が高温に加熱されることに起因する光特性の劣化や、接着剤の焦損等の不都合を回避できる利点がある。
(調心装置の別態様)
本発明において、光ファイババンドルからの紫外線の照射角度は、基準軸線に対して可変とすることも、又は基準軸線に対して一定の角度とすることも可能である。
前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度は、特に限定されるものではなく、上下方向に延在する基準軸線に対して0〜180°の範囲の角度とすることができる。
ここで、鉛直軸線である基準軸線に対する紫外線の照射角度について、紫外線の照射方向が上から下への方向である場合の照射角度を0°、水平方向である場合の照射角度を90°、下から上への方向である場合の照射角度を180°と規定する。
図1に示す例では、光ファイババンドル51からの紫外線の照射角度は、基準軸線に対して略垂直(約90°)である。
上述の図1に示す調心装置では、紫外線硬化型接着剤を用いて光部品を接着固定するための光ファイババンドル51を備えた紫外線照射装置5を、第1ステージ4及び第2ステージ3を備えた装置フレーム2とは別体の装置として設けた例を示したが、本発明においては、光ファイババンドル51を、第1ステージ4、第2ステージ3、装置フレーム2等と一体として設けた態様を採用することも可能である。
図11は、本発明に係る紫外線照射部を備えた調心装置の一例を示す全体斜視図である。また、図12は、本発明に係る紫外線照射部を備えた調心装置の他の例を示す全体斜視図である。図11及び図12において、図1に用いたものと同一の符号は、図1に示す調心装置1と同一又は同様の構成であることを表し、重複する説明を省略する。
図11に示す調心装置1Aは、図1に示す調心装置1における別体の紫外線照射装置5に代えて、第1ステージ4に一体化された紫外線照射部5Aを備えており、紫外線照射部5Aは、光部品の接着部に紫外線を照射するための光ファイババンドル51と、光ファイババンドル51を上部ステージ(第1ステージ)4に固定するための固定部52Aから構成されている。光ファイババンドル51,51は、上部固定台421に固定された光部品の中心軸に対する斜め上方の2方向から紫外線を照射できる方向に向けられている。
なお、図11に示す例ではθz軸ステージ36の操作を操作ダイヤル363Aにより行うが、調心の手順は、図1に示す操作ハンドル363による場合と同様である。
この調心装置1Aの場合、光ファイババンドル51が上部ステージ4に固定されているため、上部ステージ4及び下部ステージ3の操作により光部品を最適な位置に調心した後、直ちに紫外線を照射することができ、かつ光ファイババンドル51の位置が毎回同じ位置に設定されているため、紫外線の照射条件のばらつきを抑制でき、接着固定の品質の安定性を向上することができる。光ファイババンドル51の支持台52等を用意する必要がないため、紫外線照射部5Aを簡素な構成で実現することができ、調心装置1Aの価格を抑えることができる。
光部品の寸法等に応じて最適な紫外線照射角度を選択可能にするため、固定部52Aは、光ファイババンドル51による紫外線の照射角度を可変とする構造とすることも可能である。
図12に示す調心装置1Bは、図1に示す調心装置1における別体の紫外線照射装置5に代えて、第2ステージ3及び第1ステージ4に一体化された紫外線照射部5Bを備えており、紫外線照射部5Bは、光部品の接着部に紫外線を照射するための光ファイババンドル51と、光ファイババンドル51をステージに固定するための固定部52Bから構成されている。光ファイババンドル51,51は、上部固定台421及び下部固定台31に固定された光部品に対し、これら光部品の中心軸に沿って紫外線を照射できる方向に向けられている。
下部固定台31の下方に光ファイババンドル51を配置する空間を確保するため、ベース21上において、下部ステージ3の下部は、下部固定台31の下方から装置の手前側にずれた位置に設置されている。本形態例に係る調心装置1Bの場合、下部ステージ3の移動ステージ34の可動ブロック342の上面には第1の中間プレート371の一側が固定されるとともに、移動ステージ35のスライドベース351の下面に第2の中間プレート372の一側が固定され、これら2枚の中間プレート371,372の他側同士が、互いに固定的に連結されている。また、移動ステージ35の可動ブロック352の上面には第3の中間プレート373の一側が固定されるとともに、第3の中間プレート373の他側には移動ステージ36のスライドベース361が固定されている。
この調心装置1Bの場合、光ファイババンドル51が下部ステージ3及び上部ステージ4の両方に固定されているため、紫外線を光部品の下側から照射することも上側から照射することも可能である。
例えばフィルタ保持部の両側に2心コリメータと単心コリメータを接着固定して複合光部品を組み立てる場合、下部固定台31はフィルタ保持部の固定に適するものを採用するとともに、上部固定台421はコリメータの固定に適するものを採用することにより、例えば、調心装置1Aの下部固定台31に固定したフィルタ保持部と、上部固定台421に固定した2心コリメータとを調心し、接着固定した後、2心コリメータが固定されたフィルタ保持部の向きを前後逆転させて下部固定台31に取り付け直し、単心コリメータを上部固定台421に固定して、フィルタ保持部と単心コリメータとの調心及び接着固定を行う、という手順を採用することも可能である。この場合、フィルタ保持部を下部ステージ3から上部ステージ4に入れ替える必要がなく、ステージに対する光部品の取り付け作業を簡略化することができる。
図11,図12に示す調心装置1A,1Bは、調心される光部品6が紫外線を透過する場合に好適である。上部固定台421に固定された光部品6の上方から、及び下部固定台31に固定された光部品6の下方から照射される紫外線を充分に透過するように、光部品6を保持する当接突起31d,42d及び光部品保持台311,45(図4,図5を参照。)は、石英ガラス等、紫外線を透過する材料から構成することが好ましい。
なお、前述の実施形態では、鉛直軸線である基準軸線Bを基準として、この基準軸線Bに垂直の方向(すなわち水平方向)に固定台を移動させるX軸ステージ、Y軸ステージと、基準軸線Bに垂直の軸線を中心として固定台を回転させるθx軸ステージ、θy軸ステージと、θx軸ステージ、θy軸ステージの回転軸線に対して垂直の回転軸線を以て固定台を回転させるθz軸ステージの計5軸(X、Y、θx、θy、θz)の自由度で光部品を移動できる下部ステージを具備した構成の調心装置1,1A,1Bを例示したが、本発明に係る調心装置は、これに限定されない。調心装置としては、鉛直方向に対して、若干傾斜した基準軸線Bを基準に組み立てられた下部ステージを具備するものであっても良い。
また、応用例として、水平方向に延在する基準軸線Bを基準に組み立てた調心装置、すなわち、光部品が固定される固定台を基準軸線Bに沿って水平方向に移動できる第1ステージと、5軸の自由度で固定台を移動できる第2ステージとを、水平方向に横並びに配置した構成の、横型の調心装置も考えられる。しかしながら、この横型の調心装置の場合は、鉛直方向の基準軸線Bを基準として構成された調心装置(縦型の調心装置)に比べて、第2ステージの複数の移動ステージの重量バランスが悪くなり、調心精度の安定確保が難しくなる。このため、調心装置としては、横型よりも縦型の方が好ましい。
また、縦型の調心装置であれば、第2ステージの複数の移動ステージが上下に積み重ねるようにして配置される構成となるので、横型の調心装置に比べて、設置床に占める設置スペースを省スペース化できるといった利点もある。
本発明に係る調心装置を示す全体斜視図である。 図1の調心装置の第2ステージの移動ステージの構成を模式的に示す拡大斜視図(モデル図)である。 図1の調心装置の第1、第2ステージの固定台を示す拡大斜視図である。 下部ステージの固定台と、光部品保持台、保持台装着溝、押さえ片を示す断面図である。 上部ステージの固定台と、光部品保持台、保持台装着溝、押さえ片を示す断面図である。 本発明に適用される複合光部品の一例を示す図であり、WDMフィルタを示す図である。 上部ステージの固定台に固定した2心コリメータと、下部ステージの固定台に固定したフィルタ素子との、調心作業(光軸合わせ)における、2心コリメータの入射ポート用光ファイバの光軸とフィルタ素子の突き合わせ端面との関係を示す図である。 (a)〜(c)は、上部ステージの固定台に固定した2心コリメータ付きフィルタ素子と、下部ステージの固定台に固定した単心コリメータとの、調心作業(光軸合わせ)を示す工程図である。 フィルタ保持部と、その両側のコリメートレンズに接着固定されるキャピラリ(2心キャピラリと単心キャピラリ)とからなる複合光部品を示す図であり、(a)はフィルタ保持部と2つのキャピラリとを分離して示した図、(b)はフィルタ保持部の両側にキャピラリを固定した組み立て状態の複合光部品を示す図である。 フィルタ素子及びその両側に配置したコリメートレンズをハウジングに組み込んだ構成のフィルタ保持部と、フィルタ保持部のハウジングの両側に接着固定されるキャピラリ(2心キャピラリと単心キャピラリ)とからなる複合光部品を示す図であり、(a)はフィルタ保持部と2つのキャピラリとを分離して示した図、(b)はフィルタ保持部の両側にキャピラリを固定した組み立て状態の複合光部品を示す図である。 本発明に係る紫外線照射部を備えた調心装置の一例を示す全体斜視図である。 本発明に係る紫外線照射部を備えた調心装置の他の例を示す全体斜視図である。
符号の説明
1…光部品の調心装置、1A,1B…光部品の調心装置(紫外線照射部付き)、3…第2ステージ(下部ステージ)、31…固定台(下部固定台)、32…移動ステージ(Y軸ステージ)、33…移動ステージ(X軸ステージ)、34…移動ステージ(θx軸ステージ)、35…移動ステージ(θy軸ステージ)、36…移動ステージ(θz軸ステージ)、311…位置決め部(光部品保持台)、312…位置決め溝、4…第1ステージ(上部ステージ)、421…固定台(上部固定台)、45…位置決め部(光部品保持台)、451…位置決め溝、5…紫外線照射装置、5A,5B…紫外線照射部、51…光ファイババンドル、6…光部品、61…光部品(フィルタ素子)、62…光部品(2心コリメータ)、63…光部品(単心コリメータ)、7…複合光部品(WDMフィルタ)、71…光部品、複合光部品(2心コリメータ付きフィルタ素子)、72…光部品(WDMフィルタ)、722…フィルタ保持部、723a…光部品(2心キャピラリ)、723b…光部品(単心キャピラリ)、73…光部品(WDMフィルタ)、733…フィルタ保持部、734a…光部品(2心キャピラリ)、734b…光部品(単心キャピラリ)。

Claims (10)

  1. 光部品同士の光軸合わせのための調心作業に用いられる光部品の調心装置において、
    光部品が着脱可能に固定される固定台を、直線移動1軸の自由度で、上下方向に延在する基準軸線に沿って移動させる移動ステージである第1ステージと、この第1ステージに支持された光部品に固定される別の光部品を支持する第2ステージとを具備し、
    前記第2ステージは、光部品が着脱可能に固定される固定台と、この固定台を、前記基準軸線に対する垂直方向の直線移動2軸、及び、回転移動3軸の計5軸の自由度で移動させる各軸毎の移動ステージとを備え、
    前記第2ステージの回転移動3軸の移動ステージの内の2つが、前記基準軸線に対して垂直かつ互いに垂直の軸線を中心に前記固定台を回転させる角度調整用、残る回転移動1軸の移動ステージが、角度調整用の2軸に対して垂直の軸線を中心に前記固定台を回転させる回転調心用であることを特徴とする光部品の調心装置。
  2. 第2ステージは、計5軸の移動ステージを前記基準軸線に沿って配列配置した構成であり、計5軸の移動ステージの内、第1ステージに最も近い側に配置された回転調心用の移動ステージに固定台が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光部品の調心装置。
  3. 第2ステージの各移動ステージが、手動操作ステージであることを特徴とする請求項1又は2記載の光部品の調心装置。
  4. 第1ステージの固定台及び第2ステージの固定台の一方又は両方に、円筒状あるいは円柱状の光部品を位置決めするための位置決め溝を有する位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光部品の調心装置。
  5. 紫外線硬化型接着剤を用いて光部品を接着固定するための光ファイババンドルを具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光部品の調心装置。
  6. 前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度が、前記基準軸線に対して可変であることを特徴とする請求項5に記載の光部品の調心装置。
  7. 前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度が、前記基準軸線に対して0〜180°の範囲の角度であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光部品の調心装置。
  8. 前記光ファイババンドルからの紫外線の照射角度が、前記基準軸線に対して略垂直であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光部品の調心装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光部品の調心装置を用いて、光部品同士の光軸を合わせて、複数の光部品を一体化してなる複合光部品を製造する方法であって、
    第2ステージの固定台に固定した光部品の光軸を、前記回転調心用の移動ステージによる固定台の回転で、第1ステージの固定台に固定しておいた光部品の光軸に粗調心する粗調心工程と、
    この粗調心工程の完了後、第2ステージの回転移動3軸及び直線移動2軸の内の1以上の自由度で第2ステージの固定台を移動して、第2ステージの固定台に固定した光部品の光軸を、第1ステージの固定台に固定しておいた光部品の光軸に、前記粗調心よりも高精度に調心する高精度調心工程と、
    高精度調心工程の完了後、光部品同士を固定して、前記複合光部品を組み立てる固定組立工程とを具備することを特徴とする光部品の製造方法。
  10. 第1ステージの固定台に光軸を複数本有する光部品を固定し、第2ステージの固定台に光軸を1本のみ有する光部品を固定して、前記粗調心工程と前記高精度調心工程と前記固定組立工程とを行うことで、
    光軸を複数本有する光部品と、光軸を1本のみ有する光部品とを固定してなる複合光部品を組み立てることを特徴とする請求項9記載の光部品の製造方法。
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