JP2006322051A - 金属粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導体材料として好適な白金族系粉末および製造設備の制限が少なく原料溶液の安定性が高い白金族系金属粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】 白金族元素のジニトロジアンミン錯体を弱酸または弱塩基で溶解した原料溶液は、弱酸性または弱アルカリ性に構成されていることから、腐食性が弱いので、噴霧装置や加熱炉等に特に耐蝕性が要求されない。そのため、特に耐蝕性のある材料で構成しなくとも、装置に何ら腐蝕は認めらなかった。すなわち、耐蝕性の高い装置を用いなくとも、噴霧熱分解によって高結晶性で加熱時にガス発生量の少ない白金族系粉末が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、白金族元素または白金族元素を主体とする合金から成る金属粉末およびその製造方法の改良に関する。
例えば、白金(Pt)および白金を主体とする合金から成る金属粉末(以下、白金系粉末という)は、インクジェットプリンタヘッドやガスセンサ等の電極材料として広く用いられている。また、ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),オスミウム(Os),およびイリジウム(Ir)といった白金以外の白金族元素またはこれら白金族元素を主体とする合金から成る金属粉末(以下、これらと白金系粉末とを併せて白金族系粉末という)は、ハイブリッドICやマルチチップモジュール等に用いられるセラミック配線基板の配線材料や電極材料として用いられている。
上記白金族系粉末の製造方法としては、例えば、溶融噴霧法、液相還元法、熱処理法、噴霧熱分解法が一般に用いられ或いは提案されている(特許文献1〜4を参照)。溶融噴霧法は、粉末を構成する金属を加熱して溶融状態とし、この溶融金属を噴霧し冷却するものである。また、液相還元法は、塩化白金酸またはその塩の水溶液に亜鉛、マグネシウム、塩酸ヒドラジン等の還元剤を添加して白金を還元、析出、沈降させるものである。また、熱処理法は、例えば液相還元法で製造した金属粉末をアルカリ塩等と混合して加熱処理を施すものである。これら液相還元法および熱処理法は、液相中で粉末を生成することから、一般に湿式法と総称される。また、噴霧熱分解法は、金属塩溶液を噴霧して微小な液滴を生成し、これを加熱して溶媒を除去すると共に金属塩を熱分解することにより、金属微粉末を得るものである。
特開昭55−002766号公報 特開平05−205971号公報 特開平10−102103号公報 特開2003−034801号公報
ところで、前記のような導体に用いられる白金族系粉末には、微粉であること、高結晶性であること(すなわち結晶子が大きいこと)、および、加熱時に発生するガスが少ないこと(すなわちTG-DTA測定における加熱減量が少ないこと)が求められており、また、低コストで製造できることも求められている。前記各製造方法のうち溶融噴霧法では平均粒径が1(μm)以下の微粉を得ることが困難である。また、液相還元法では結晶子が小さく、且つ多孔質であるためガス吸着量(すなわち加熱時に発生するガス)が多い。また、熱処理法は、液相還元法等で製造した金属粉末に追加処理を施すため製造コストが高くなる。
これらに対して、噴霧熱分解法によれば、金属塩溶液中の金属成分濃度や噴霧したときの液滴径等を適宜調節することによって所望の大きさの微粉を容易に得ることができると共に、生成される金属粉末は高結晶性で緻密であることから加熱時に発生するガスも少ない特徴がある。
しかしながら、前記特許文献4に記載された噴霧熱分解法では、白金族元素の水酸化物溶液を原料として用い、その原料溶液を硝酸等で酸性に調製することによって水酸化物の溶解性や分解性を向上させ、延いては安定性を向上させる。そのため、硝酸酸性の原料溶液が用いられることから、粉末製造設備に使用する部品材料の制限が大きく、製造コストが高くなる問題があった。しかも、上記のように酸性に調製しても水酸化物の析出を十分に抑制することはできないので、例えば、1〜2日毎に設備の運転を停止して噴霧部等の洗浄が必要であった。すなわち、安定性が不十分であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、導体材料として好適な白金族系粉末および製造設備の制限が少なく原料溶液の安定性が高い白金族系金属粉末の製造方法を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粉末であって、平均粒径が100(nm)未満の超微細粒と、その10乃至15倍の平均粒径の微細粒とから専ら成ることにある。
また、第2発明の要旨とするところは、原料溶液を噴霧熱分解して白金族元素または白金族元素を主体とする合金から成る金属粉末を製造する金属粉末の製造方法であって、前記原料溶液として白金族元素のジニトロジアンミン錯体の酸またはアルカリ溶液を用いることにある。
前記第1発明によれば、白金族系粉末は超微細粒とその10〜15倍程度の平均粒径の微細粒とから専ら構成されることから、例えばペースト化して基板等に塗布すると、微細粒の相互間に超微細粒が位置することにより塗布膜の密度が高められる。そのため、焼成時に緻密な膜が形成でき、導電性が高められる利点がある。
また、前記第2発明によれば、白金族元素のジニトロジアンミン錯体は、酢酸や炭酸等の弱酸、希硝酸等の薄い酸、アンモニア等の弱塩基等に溶解するため、塩酸、濃硝酸、王水等の強酸を用いる必要がない。そのため、塩素を含まない弱い酸性または弱いアルカリ性の原料溶液に構成し得ることから、粉末製造設備の腐蝕を好適に抑制し得る。特に、アンモニア水溶液とすれば、酸による腐蝕の問題の低減に大きな効果がある。更に、噴霧熱分解法で製造することから、前記特許文献4における場合と同様に、生成した粉末は高結晶性で特に熱処理等が無用な利点もある。
また、ジニトロジアンミン錯体は水酸化物に比較すると著しく低温で分解することから、製造条件を適宜定めることにより、結晶子サイズを一層大きくできる利点もある。例えば、特許文献4に記載された水酸化物の分解温度は500(℃)程度であるが、ジニトロジアンミン錯体の分解温度は200(℃)程度に過ぎない。このため、噴霧して液滴を高温に曝すと、直ちに分解して白金族元素または白金族元素を主体とする合金が生成され、その後の加熱過程では生成された金属が結晶成長させられる。すなわち、結晶子サイズが増大させられるのである。
また、第2発明によれば、生成される白金族系粉末は、例えば300(nm)程度の平均粒径の微細粒と、例えば20(nm)程度の超微細粒とから成る。すなわち、100(nm)未満の超微細粒と、その10〜15倍程度の大きさの微細粒とから専ら構成される前記第1発明の白金族系粉末が得られる。
また、理由は定かではないが、ジニトロジアンミン錯体を前記のような弱酸、薄い酸、弱塩基に溶解した原料溶液は、安定性が高い利点もある。すなわち、前述したように特許文献4に記載されている水酸化物の硝酸溶液は安定性が劣ることから、バッチ運転とする必要があるが、本発明によれば原料溶液をつぎ足しつつ連続運転することも可能である。
また、特許文献4に記載された水酸化物は、ヘキサクロロ白金酸等の溶液に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを添加してアルカリ性にし、それを中和して製造されることから、水酸化物中にアルカリ金属が残留する問題がある。アルカリ金属は洗浄処理によって大部分を除去できるが、水酸化物自身が水に可溶なため、実用的な収率を得るためには1000(ppm)程度よりもアルカリの残留量を少なくすることは困難である。これに対して、本発明の場合は、ジニトロジアンミン錯体は水に難溶であるため製造後の洗浄処理が容易であり、アルカリ金属が残留し難い利点がある。この結果、アルカリ金属を含まないことが要求される用途において、本発明の白金族系粉末は一層好適に用いられる。
なお、本発明において「白金族元素を主体とする合金」すなわち「白金族系合金」とは、白金族元素を主体とし、これに他の元素の一種または二種以上を含む合金をいう。上記他の元素は、貴金属元素および卑金属元素の何れでもよい。合金を構成する金属の割合は特に限定されないが、例えば、白金族の占める割合が50〜99(wt%)が好ましく、70〜95(wt%)が一層好ましい。
また、前記白金族元素のジニトロジアンミン錯体としては、ジニトロジアンミンパラジウム[Pd(NO2)2(NH3)2]、ジニトロジアンミン白金[Pt(NO2)2(NH3)2]等が挙げられる。
ここで、好適には、前記白金族元素のジニトロジアンミン錯体は、ジニトロジアンミン白金([Pt(NO2)2(NH3)2])である。このようにすれば、製造設備に使用する部品材料が特に制限されることなく、高結晶性で加熱時に発生するガス量が少なく結晶子サイズの大きい白金粉末を容易に製造することができる。
また、好適には、前記金属粉末の製造方法は、還元雰囲気で前記噴霧熱分解を実施して金属粉末を生成する第1工程と、その生成した金属粉末に酸化雰囲気で熱処理を施す第2工程とを、含むものである。このようにすれば、第1工程では前述したように白金族系粉末が生成されるが、還元雰囲気で処理されることから、熱分解によって発生した水素の一部が白金族系粉末に吸蔵される。次いで、第2工程において酸化雰囲気で熱処理が施されると、その水素が除去され、水素を吸蔵していない、すなわち加熱時に発生するガス量の少ない白金族系粉末が得られる。因みに、酸化雰囲気における白金族系粉末の熱分解生成は、下記の(1)式に示されるものであると考えられ、分解により発生した窒素や水素は酸素と結合するため、NOxの発生は少なく、白金へのガス吸着は殆ど無い。これに対して、還元雰囲気における反応は下記(2)式と考えられ、NOxは発生し得ないものの白金に水素が吸蔵される問題がある。上記第2工程は、この吸蔵された水素を除去するための処理であり、熱処理が必要になることから製造コスト面では不利であるが、環境上好ましいといえる。なお、上記還元雰囲気に代えて、減圧雰囲気を用いることもできる。
酸化雰囲気
2[Pt(NO2)2(NH3)2] + 7O2 → 2Pt + 8NO2 + 6H2O ・・・(1)
還元雰囲気
[Pt(NO2)2(NH3)2] + 2H2 → Pt + 2N2 + 4H2O ・・・(2)
なお、本発明の白金族系粉末および本発明の製造方法により得られる白金族系粉末は、導体ペースト用材料として特に好適であるが、食器その他のセラミック製品の装飾に用いられる金属顔料や、粉末冶金材料等としても利用することができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
本発明は全ての白金族すなわち白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、およびこれらを主体とする合金に適用される。合金を構成する金属としては、例えば、白金に対してはロジウム、パラジウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、モリブデン、タンタル、タングステンが挙げられる。但し、導体形成材料としては、電気的特性、耐酸化性、半田耐熱性等の点から、貴金属すなわち金または銀或いは白金以外の他の白金族との合金が好ましい。例えば、Pt-Au、Pt-Rh、Pt-Pd、Pt-Ru、Pt-Ir、Pt-Osが好ましく、中でも、Pt-RhおよびPt-Pdが特に好ましい。
図1は、本発明の一実施例の白金粉末を示す顕微鏡写真である。この白金粉末は、図1に示されるように略球状を成しており、直径が150〜300(nm)程度の比較的大きな微細粒と、その表面に付着した直径が10〜20(nm)程度の超微細粒とから構成される。図示しない白金合金粉末や他の白金族系粉末の場合にも同様である。なお、「球状」とは、粒子の長径に対する短径の比(アスペクト比)が0.8以上、好適には0.9以上であることをいう。
このように略球状を成す粉末は、歪な形状の粉末と比較して分散性のよいペーストを調製することができる。ペースト中の粉末の分散性が良好であると、例えばグリーンシート上に塗布したときに均質に付着させることができる利点がある。また、歪な形状の粉末と比較すると充填性がよく、例えばグリーンシートに塗布して焼成処理を施したとき、緻密な金属膜或いは厚膜を形成できる利点がある。このとき、本実施例によれば、上述したように超微細粒および微細粒の2つの粒径のものが混在することから、微細粒の相互間に超微細粒が入り込むことによって充填性が一層高められる。したがって、例えば積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCという。)等の各種セラミック電子部品を製造するに際して、その電極材料として用いることにより、従来に比較して高精度のセラミック電子部品を得ることができる。
なお、高い充填性を得るためには、粉末の表面が可及的に平滑であることが好ましく、また、粉末の結晶性が高いことが一層好ましい。すなわち、単結晶であることが最も好ましい。
また、図1に示される粉末は、本発明を適用して製造される粉末の一例であり、平均粒径は、噴霧熱分解法において良く知られるように、溶液の金属濃度と噴霧したときの液滴径等を制御することによって適宜変更できる。前記微細粒の好ましい平均粒径の範囲は、例えば0.1〜1.0(μm)程度の範囲内であり、0.2〜0.8(μm)の範囲が特に好ましい。前記超微細粒の平均粒径は、これに対して1/10〜1/15程度である。例えば、一層の薄膜化および高導電性が望まれるMLCCの内部電極用途には、このように微細なものが好ましい。
なお、本発明の白金族系粉末を含む導体ペーストを調製するに際しては、ビヒクル中に白金族系粉末を分散させる。ビヒクルは従来から導体ペースト用として知られる種々のものを用いることができ、更に、ガラス粉末やセラミック粉末等の無機添加剤、カップリング剤等の有機添加剤等を添加しても良い。また、光重合性化合物および光重合開始剤を添加すれば、感光性ペーストを構成できる。これらの詳細については、本実施例を理解するために必要ではないので省略する。
図2は、本発明の一実施例の白金族系粉末の製造方法を説明するための工程図である。錯体合成工程P1では、例えば、白金を王水溶解し、脱硝して塩化白金酸水溶液を生成し、これに亜硝酸を加えて煮沸し、生成された亜硝酸白金溶液にアンモニア水を加え反応させる。これにより、ジニトロジアンミン白金[Pt(NO2)2(NH3)2]が得られる。なお、他の白金族元素のジニトロジアンミン錯体も同様にして合成できる。また、市販のジニトロジアンミン白金を用いても差し支えない。ジニトロジアンミン白金は、上記のようにして合成されることから塩素を含まない。そのため、白金属系粉末を製造するに際して、還元雰囲気で処理しても塩素に起因する凝集が生じない利点がある。
次いで、溶液調製工程P2においては、上記のジニトロジアンミン錯体を弱アルカリまたは弱酸に溶解して、原料溶液を調製する。溶解するに際しては、必要に応じて加熱が施される。このとき、白金溶液を調製する場合には、ジニトロジアンミン白金が用いられるが、他の白金族元素の溶液を調製する場合には、その錯体がジニトロジアンミン白金に代えて用いられ、白金族系合金粉末を製造する場合には、合金を構成する他の元素を錯体や水酸化物等の適宜の化合物の形態で併せて混合する。上記原料溶液を構成する溶媒としては、希硝酸、酢酸、炭酸等の弱酸、アンモニア水等の弱塩基が挙げられ、水を含むものが好ましい。また、水または水を含む混合溶媒(例えばアルコールやケトン類)を用いることもできる。また、溶液の金属濃度は例えば0.01〜1.0(mol/l)程度の範囲内で、製造しようとする粉末粒径に応じて適宜調整すればよい。
次いで、噴霧工程P3においては、公知の噴霧熱分解法等と同様にして、前記の原料溶液から微小な液滴を連続的に発生させる。液滴の発生には、例えば、超音波振動やスプレー等、適宜の手段を用い得る。生成した液滴は、キャリアガスに乗せられて加熱炉に導入される。キャリアガスは、白金族系粉末の生成に悪影響を及ぼさない適宜のものを用い得るが、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が好適である。
次いで、熱分解工程P4においては、上記加熱炉内において、所望の温度条件で液滴の乾燥および熱分解処理を行う。このとき、加熱炉内は例えば大気と同程度の圧力および酸素濃度の酸化雰囲気とされる。これにより、液滴中の有機成分が分解除去されることによって金属成分のみの粒子が生成され、更に、加熱が施されて、目的とする白金族系粉末が得られる。このようにして得られた白金族系粉末は、超微細粒とその10〜15倍程度の平均粒径の微細粒とから成り、相対的に大きい微細粒の粒径は、原料溶液の組成や液滴径等から予想される粒径と概ね一致している。なお、上記噴霧工程P3および熱分解工程P4は、上記加熱炉内に噴霧することによって、一つの容器内で連続的に行っても良い。
上記のようにして白金族系粉末を製造するに際して、本実施例によれば、白金族元素のジニトロジアンミン錯体を弱酸または弱塩基で溶解した原料溶液は、弱酸性または弱アルカリ性に構成されていることから、腐食性が弱いので、噴霧装置や加熱炉等に特に耐蝕性が要求されない。そのため、特に耐蝕性のある材料で構成しなくとも、装置に何ら腐蝕は認めらなかった。すなわち、耐蝕性の高い装置を用いなくとも、噴霧熱分解によって高結晶性で加熱時にガス発生量の少ない白金族系粉末が得られる。
また、本実施例によれば、ジニトロジアンミン錯体の分解温度は200(℃)程度であって、分解温度が500(℃)以上である水酸化物に比較すると著しく低温で分解することから、これに比較して結晶子サイズが大きくなる利点がある。例えば、水酸化物を用いた場合の結晶子サイズは50(nm)程度であるが、本実施例によれば、結晶子サイズが70(nm)程度の白金族系粉末が得られる。
また、本実施例の原料溶液は安定性が高いため、原料溶液をつぎ足しつつ連続運転し得る利点もある。
なお、前記の熱分解工程P4は、窒素ガスやアルゴンガス等をベースガスとする還元雰囲気下で実施することもできる。その場合には、生成された粉末が水素を吸蔵することとなるので、熱分解工程P4の後に酸化熱処理工程を実施する。酸化熱処理の温度および時間は、水素を十分に除去できるように粉末の大きさや水素吸蔵量等に応じて適宜定められる。この態様では、熱分解工程P4が第1工程に対応し、酸加熱処理工程が第2工程に対応する。
また、前記の熱分解工程P4は、減圧下で実施することもできる。このようにすれば、液滴から生成された金属粉末の核となる微細粒子が結晶成長前に飛散することから、例えば20(nm)程度以下のナノ粒子のみから成る白金族系粉末が得られる。
例えば、ジニトロジアンミン白金を25%アンモニア水に溶解し、0.056(mol/l)の白金溶液を調製した。この溶液は無色透明で塩基性であった。この原料溶液を、例えば1600(℃)の電気炉内で噴霧熱分解した。具体的には、超音波噴霧器を用いて噴霧し、原料溶液から微小液滴を発生させた。次いで、この微小液滴を窒素ガスをキャリアとして、1600(℃)に保持された反応管に通し、乾燥・熱分解後に残った粉末を静電捕集器で捕集した。
得られた粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、略球形で滑らかな表面を有していた。前記図1は、このようにして製造された粉末の一例の電子顕微鏡写真である。また、生成された粉末は、粒径が300(nm)程度の球形微粒子と、粒径が20(nm)程度のナノ粒子との混合体であった。上記白金溶液濃度は、噴霧器から発生する液滴径を4.0(μm)として、熱分解後に得られる2種類の粉末のうち相対的に大きい微細粒の粒径が300(nm)程度になるように定められたものである。
図3は、上記粉末のX線回折データである。図3において「JCPDS」はJCPDSカードに掲載されている白金のデータであり、このデータと照合すれば、実施例の上記粉末が白金単独で構成されていることが判る。なお、上記粉末製造後にも、装置に何ら腐蝕は認められなかった。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明の一実施例の白金粉末の一例を示す顕微鏡写真である。 図1の白金粉末の製造方法の一例を説明するための工程図である。 図2の製造工程で得られた白金粉末のX線回折データの一例である。

Claims (4)

  1. 白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粉末であって、
    平均粒径が100(nm)未満の超微細粒と、その10乃至15倍の平均粒径の微細粒とから専ら成ることを特徴とする金属粉末。
  2. 原料溶液を噴霧熱分解して白金族元素または白金族元素を主体とする合金から成る金属粉末を製造する金属粉末の製造方法であって、
    前記原料溶液として白金族元素のジニトロジアンミン錯体の酸またはアルカリ溶液を用いることを特徴とする金属粉末製造方法。
  3. 前記白金族元素のジニトロジアンミン錯体は、ジニトロジアンミン白金([Pt(NO2)2(NH3)2])である請求項2の金属粉末製造方法。
  4. 還元雰囲気で前記噴霧熱分解を実施して金属粉末を生成する第1工程と、
    その生成した金属粉末に酸化雰囲気で熱処理を施す第2工程と
    を、含むものである請求項2または請求項3の金属粉末製造方法。
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