JP3645504B2 - 金属粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粉末(白金族金属粉末)およびその製造方法に関する。特に、白金または白金を主体とする合金からなる金属粉末(白金系粉末)であって、導体ペースト調製用材料等として適した性状を有する粉末およびその製造方法、ならびに該粉末を含有する導体ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等の構築に用いられるセラミック配線基板その他のセラミック電子部品等に所定パターンの導体膜(配線、電極等)を形成する材料として導体ペーストが使用されている。この導体ペーストは、導体を形成する主成分たる金属粉末と、必要に応じて添加される種々の添加剤(無機結合剤、ガラスフリット、フィラー等)とを、所定のビヒクル(有機媒質)に分散させて調製される導体形成材料である。
かかる導体ペーストは、スクリーン印刷等の一般的な手法により、セラミック焼成基材あるいは焼成前のセラミック基材(例えば、積層セラミックコンデンサ用の誘電体グリーンシート)等に印刷・塗布される。次いで、当該塗布物(塗膜)を適当な温度で焼成する(焼き付ける)ことにより、あるいは該塗布物と焼成前のセラミック基材とを共に焼成することにより、当該セラミック基材等のセラミック電子部品上に所定パターンの導体膜が形成される。
【0003】
このような導体ペーストに用いられる金属粉末として典型的なものに、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の白金族金属、その他金(Au)、銀(Ag)等の貴金属を主体に構成されたものがある。また、これらの貴金属の合金を主体とする合金粉末が使用される場合もある。かかる導体ペースト用金属粉末の好ましい一例として、白金および白金を主体とする合金からなる金属粉末(以下、「白金系粉末」ともいう。)が挙げられる。このような白金系粉末を製造する従来の方法としては、この粉末を構成する金属を加熱して溶融状態とし、この溶融金属を噴霧し冷却する方法(溶融噴霧法)や、この粉末を構成する金属の塩を含む溶液(原料塩溶液)を還元する液相還元法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック電子部品の小型化、高密度化、高性能化等にともない、導体膜形成用の金属粉末としては粒径の比較的小さい(例えば平均粒径0.1〜1.0μm程度の)ものが望まれている。しかし、上述の溶融噴霧法では粒径の比較的小さい(例えば平均粒径1μm以下の)金属粉末を得ることは困難である。また、上述の液相還元法では、球形で表面が平滑な金属粉末は得られない。
【0005】
ここで、例えばAg−Pd合金粉末については、導体膜形成用等の用途に適した粉末を製造する方法として、いわゆる「噴霧熱分解法」が知られている。これは、Ag源(例えば硝酸銀)およびPd源(例えば硝酸パラジウム)を含む原料溶液を超音波振動子等によって微小な液滴(ミスト)とし、このミスト中の溶媒を高温で蒸発させるとともに、得られた固体粒子を高温で熱分解させてAg−Pd合金粉末を得る方法である。この噴霧熱分解法によると、粒径が比較的小さくかつ球形に近い形状のAg−Pd合金粉末を得ることができる。なお、通常このような噴霧熱分解法においては、主として原料溶液中に含まれる金属成分の濃度およびミストの大きさ(液滴径)等から、得られる金属粉末(目的物)の粒径を予測したり制御したりすることができる。噴霧熱分解法およびこれに関連する従来技術としては、特開平8−92613号公報、特開平10−102108号公報、特開平10−330802号公報、特許第2650837号公報(特開平6−279816号公報)および特許第2650838号公報(特開平6−235007号公報)に記載のもの等がある。
【0006】
かかる噴霧熱分解法を白金系粉末の製造に適用しようとする場合、原料溶液に含有させるPt源としては、まず、各種白金化合物の製造に汎用されるヘキサクロロ白金酸(塩化白金酸)が考えられる。
ところが、Pt源としてヘキサクロロ白金酸を用いた原料溶液から噴霧熱分解法により得られる白金系粉末は、原料溶液中に含まれる金属成分の濃度およびミストの大きさ等から予測される粒径とは著しく異なり、その粒径が過度に小さなもの(超微粒子)となってしまう。しかも、それら超微粒子は互いに凝集している。Pt源としてヘキサクロロ白金酸を用いた原料溶液から噴霧熱分解法により製造された白金系粉末(白金粉末)の典型的な性状は、主として粒径0.1μm未満の超微粒子からなる凝集体である。
【0007】
このように、白金または白金を主体とする合金からなる金属粉末(白金系粉末)に関しては、一般的な噴霧熱分解法のもつ特長(代表的には、得られる粉末の粒径を予測・制御しやすいこと、球形に近い形状の粉末が得られやすいこと、等が挙げられる)を生かしてこの噴霧熱分解法により製造する方法が見出されていなかった。このため、導体膜形成用材料等として適した性状の白金系粉末を得ることは従来きわめて困難であった。例えば、平均粒径が0.1〜1.0μmの範囲にあり、かつほぼ球形に形成された白金系粉末およびその製造方法は、これまで知られていなかった。
【0008】
そこで本発明は、白金または白金を主体とする合金からなり、導体膜形成用材料等として適した所定の粒径および形状を有する金属粉末(白金系粉末)を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかる白金系粉末を用いた導体ペーストを提供することである。本発明のさらに他の目的は、白金その他の白金族元素(典型的には白金)あるいはこれらを主体とする合金からなる金属粉末(以下、「白金族金属粉末」ともいう。)からなり、導体膜形成用材料等として適した所定の粒径および形状を有する金属粉末およびその製造方法を提供することである。関連する他の目的は、本発明の方法により製造された白金族金属粉末(典型的には白金系粉末)を含有する導体ペーストを提供することである。さらに、かかる導体ペーストから形成された導体膜を備えるセラミック電子部品およびその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、噴霧熱分解法による白金系粉末の製造において、原料溶液に含有させるPt源として白金の水酸化物(典型的には白金のヒドロキソ錯体)を用いることにより、このPt源としてヘキサクロロ白金酸を用いた場合に生じる上述の問題(すなわち、生成した粉末の過度の微粒子化、凝集等)が解消されることを見出した。さらに、このような原料溶液を噴霧熱分解させることにより導体膜形成用途等に好適な性状を備える白金系粉末が得られること、かかる原料溶液を用いる噴霧熱分解法は他の白金族金属粉末の製造にも適用可能であることを見出して本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明によると、白金または白金を主体とする合金からなる金属粉末であって、平均粒径が0.1〜1.0μmであり、ほぼ球状に形成されている金属粉末(白金系粉末)が提供される。
本発明の白金系粉末は、上述の性状(粒径および形状)を有することから、緻密な導体膜を形成し得る。したがって、かかる白金系粉末は、導体膜形成用の導体ペーストに用いられる金属粉末等として好適である。本発明の白金系粉末のうち好ましいものでは、この粉末が互いに凝集した粒子を実質的に含有しない。このように凝集のない金属粉末は他の材料と均一に混合しやすい。例えば、導体ペーストに用いる場合において、この金属粉末をビヒクルに均一に分散させることができるので好ましい。また、金属粉末の形状がほぼ球状であることも分散性にとって有利である。
【0011】
なお、本明細書中において金属粉末が「ほぼ球状」とは、この金属粉末の70個数%以上が球状であることをいう。また、この「球状」とは、粒子の長径に対する短径の比(アスペクト比)が0.8以上、より好ましくは0.9以上であることをいう。
また、「白金を主体とする合金」(以下、「白金系合金」ともいう)とは、白金を主体とし、これに白金以外の元素(白金以外の貴金属元素および非貴金属元素のいずれでもよい)の一種または二種以上を含有する合金をいう。
【0012】
本発明の白金系粉末のうち好ましいものでは、この粉末が実質的に白金からなるか、あるいは実質的に白金と白金以外の白金族元素(Pd,Rh,Ru,IrおよびOs)から選択される一種または二種以上とから構成される白金系合金からなる。このような白金系粉末またはこの粉末を含む導体ペーストによると、電気的特性(低抵抗率等)、耐酸化性、半田耐熱性等に優れた導体膜を形成することができる。
本発明の白金系粉末のうち他の好ましいものでは、この粉末の70個数%以上の粒径が0.1〜1μmの範囲にある。このようにシャープな粒径分布を有する白金系粉末を含む導体ペーストは、この粉末の充填性が良好であることから、さらに緻密で電気的特性等に優れた導体膜を形成することができる。
【0013】
本発明により提供される導体ペーストは、本発明の白金系粉末(典型的には、実質的に白金と白金以外の白金族元素とから構成され、これらの金属元素が合金化された金属粉末)を含むことを特徴とする。
この導体ペーストは、本発明の白金系粉末を含む(典型的には、この白金系粉末を、導体を形成する主成分たる金属粉末として含有する)ことから、緻密な導体膜を形成し得る。また、このような導体ペーストから形成された導体膜は、白金系合金を主体とすることによる優れた特性を示す。例えば、電気的特性、耐酸化性、半田耐熱性等のうち一つ以上の特性が良好である。
【0014】
本発明によると、噴霧熱分解法によって白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粉末(白金族金属粉末)を製造する方法が提供される。この製造方法は、原料溶液のミストを生成する工程と、そのミストを加熱し熱分解させて粉末化する工程とを包含する。ここで、該原料溶液として、白金族元素の水酸化物を含むものを用いることを特徴とする。なお、ここで「水酸化物」とは、原料溶液中において一部または全部が塩(例えば、水酸基の一部がNa,K等のアルカリ金属のイオン、塩素イオン、硫酸イオン等により置換された状態)を形成しているものを含む意味である。
このように、白金族元素源として特定の化合物(すなわち、その白金族元素の水酸化物、特に好ましくはその白金族元素のヒドロキソ錯体)を含む原料溶液を噴霧熱分解することにより、導体膜の形成に適した性状(粒径、形状等)を有する白金族金属粉末(例えば、平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されている白金系粉末その他の白金族金属粉末)を製造することができる。また、この製造方法によると、凝集の少ない(好ましくは、実質的に凝集のない)白金族金属粉末を得ることができる。
なお、本明細書中において「白金族元素を主体とする合金」とは、白金族元素(Pt,Pd,Rh,Ru,IrおよびOs)の一種または二種以上を主体とし、これに白金族以外の元素(白金族以外の貴金属元素および非貴金属元素のいずれでもよい)を含有する合金をいう。
【0015】
また、本発明によると、前記白金族金属粉末の製造方法を白金または白金を主体とする合金からなる粉末(白金系粉末)の製造に適用した白金系粉末製造方法が提供される。すなわち、本発明の白金系粉末製造方法は、噴霧熱分解法によるものであって、原料溶液のミストを生成する工程と、そのミストを加熱し熱分解させて粉末化する工程とを包含し、ここで該原料溶液として白金の水酸化物を含むものを用いる。
この製造方法によると、導体膜の形成に適した性状(粒径、形状等)を有する白金系粉末(例えば、平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されている白金系粉末)を製造することができる。また、凝集の少ない(好ましくは、実質的に凝集のない)白金系粉末を得ることができる。
【0016】
原料溶液に含有される「白金の水酸化物」の典型例は白金のヒドロキソ錯体である。このうち、ヘキサヒドロキソ白金酸およびその塩から選択される一種または二種以上が好ましく、ヘキサヒドロキソ白金酸(水酸化白金)が最も好ましく用いられる。
このヘキサヒドロキソ白金酸としては、以下の方法により得られたものを用いることが好ましい。すなわち、
(1).ヘキサヒドロキソ白金酸を酸性溶媒に溶解させる処理、
(2).その酸性溶液を中和してヘキサヒドロキソ白金酸を沈殿させる処理、および
(3).沈殿したヘキサヒドロキソ白金酸を溶液から分離する処理、
を含む精製工程を一度以上行って得られたヘキサヒドロキソ白金酸である。
【0017】
このようにして得られたヘキサヒドロキソ白金酸は、例えば前記精製工程を省略して製造されたヘキサヒドロキソ白金酸に比べて、不純物元素(典型的には、アルカリ金属元素)の含有割合が低減されたものとすることができる。かかるヘキサヒドロキソ白金酸を用いて調製された原料溶液の噴霧熱分解によると、純度の高い白金系粉末を製造することができる。かかる白金系粉末を用いた導体ペーストによると、純度の高い導体膜を形成することができる。このような導体膜は電気的特性(低抵抗率等)に優れるので好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の金属粉末(白金系粉末)は、白金または白金を主体とする合金からなる。この「白金を主体とする合金」において、白金と合金化され得る金属元素としては、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素、金(Au)、銀(Ag)等の貴金属類、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等の非貴金属類等が挙げられる。このうち、導体形成材料等として有用である(例えば、電気的特性、耐酸化性、半田耐熱性等に優れた導体膜を形成し得る)ことから、白金以外の貴金属元素の一種または二種以上が好ましく(好ましい白金系合金の例としてはPt−Auの組み合わせが挙げられる)、より好ましくは白金以外の白金族元素の一種または二種以上(典型的には一種)である。具体的には、Pt−Rh,Pt−Pd,Pt−Ru,Pt−IrおよびPt−Osの各組み合わせからなる白金系合金がいずれも好ましく、Pt−RhおよびPt−Pdの組み合わせが特に好ましい。
本発明の白金系粉末が白金を主体とする合金からなる場合、それらの金属の合金化割合は特に限定されない。典型的には、白金の占める割合が50〜99wt%(好ましくは70〜95wt%)となる範囲の合金とすることができる。また、本発明の白金系粉末としては、実質的に白金のみからなる金属粉末(白金粉末)も好ましい。
【0019】
この白金系粉末は「ほぼ球状」に形成されている。かかる形状の本発明の白金系粉末によると、歪な形状の粉末と比較して、分散性がより良好な導体ペースト等を調製することができる。粉末の分散性が良好であると、この導体ペーストを例えば誘電体グリーンシートの所定位置に均質に付着させることができる。また、かかる形状の本発明の白金系粉末は、歪な形状の粉末と比較して、充填性がより良好である。粉末の充填性が良好であると、例えば誘電体グリーンシートの所定位置に本発明の金属粉末を、例えばこの金属粉末を含む導体ペーストの塗布・乾燥によって、緻密(高密度)に付着させることができる。したがって、各種セラミック電子部品(例えば積層セラミックコンデンサ:以下、MLCCともいう。)の製造において、上記形状を有する本発明の白金系粉末あるいはこれを含む導体ペーストを導体膜(例えばMLCCの内部電極)の形成に使用すると、より高精度のセラミック電子部品を得ることができる。
上記充填性向上のためには、この金属粉末の表面が平滑であることが特に好ましい。また、金属粉末の結晶性が高いもの(典型的には単結晶質のもの)は、上記充填性をさらに向上させ得るため好ましい。
【0020】
上記白金系粉末の平均粒径は0.1〜1μmであり、0.2〜0.8μmであることが好ましい。このように平均粒径が比較的小さい金属粉末は、MLCCの内部電極形成等の用途に好適である。また、この白金系粉末の比表面積(BET法によるガス吸着に基づく)は1〜10m/gであることが好ましい。
この白金系粉末は、上記範囲の平均粒径を有するとともに、その粒径分布が比較的シャープであることが好ましい。例えば、全金属粉末の70個数%以上の粒径が0.1〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。さらに、この金属粉末は、粒径が過大な粒子を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、例えば粒径10μm以上(より好ましくは粒径5μm以上)の粒子を実質的に含まないことが好ましい。
【0021】
さらに、本発明の白金系粉末は、この粉末が互いに凝集した粒子を実質的に含有しないことが好ましい。このように凝集の少ない(典型的には凝集のない)金属粉末は、この粉末がほぼ球形に形成されていることと相まって、その分散性が良好である。すなわち、凝集した金属粉末を用いる場合と比較して、このような金属粉末によると分散性がより良好な導体ペースト等を調製することができる。これにより、この良好な分散性に基づく上述の効果がさらに高められる。
これらの粒径、粒径分布および凝集の有無は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)写真を解析することにより測定することができる。
また、この白金系粉末のアルカリ金属含有割合は1000ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。このようにアルカリ金属含有割合の少ない(すなわち、純度の高い)白金系粉末は、例えば導体ペーストの調製に用いられて、電気的特性等に優れた導体膜を形成することができる。
【0022】
次に、本発明に係る導体ペーストについて説明する。
この導体ペーストは、通常、本発明の金属粉末とビヒクルとを主成分として含有する。このビヒクルは、本発明の金属粉末を分散させることのできるものであればよく、従来の導体ペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダー;ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ターピネオール等の高沸点有機溶媒等を用いることができる。
【0023】
本発明の導体ペーストには、種々の無機添加剤および/または有機添加剤を副成分として含ませることができる。この無機添加剤の例としては、ガラス質その他のセラミック粉末、その他種々のフィラー等が挙げられる。また、有機添加剤の例としては、セラミック基材との密着性向上を目的としたシリコン系、チタネート系及びアルミニウム系等の各種カップリング剤等が挙げられる。さらに、本発明の導体ペーストに光硬化性(感光性)を付与したい場合には、種々の光重合性化合物及び光重合開始剤を適宜添加してもよい。
上記の他にも本発明の導体ペーストには、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤等を適宜添加することができる。これら添加剤は、従来の導体ペーストの調製に用いられ得るものであればよく、詳細な説明は省略する。
【0024】
次に、本発明の導体ペーストを調製する際の操作について説明する。本発明の導体ペーストは、従来の導体ペーストと同様、典型的には本発明の金属粉末と上記ビヒクルを混和することによって容易に調製することができる。このとき、必要に応じて上述したような添加剤を添加・混合するとよい。例えば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、上記合金粉末および各種添加剤を上記ビヒクルとともに所定の配合比で直接混合し、相互に練り合わせることにより、本発明の導体ペーストが調製され得る。
【0025】
特に限定するものではないが、好ましくは、本発明の金属粉末の含有率が導体ペースト全体の60〜95wt%となるように各材料を混練するのがよく、70〜90wt%となるように混練するのが特に好ましい。また、ビヒクルの使用量は、導体ペースト全体のほぼ1〜40wt%となる量が適当であり、1〜20wt%となる量が特に好ましい。
なお、各成分の含有率に係る上記数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を達成し得る限りかかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
また、本発明の導体ペーストに含有される金属粉末は、実質的に本発明の金属粉末からなることが好ましいが、その他の金属または合金からなる粉末を副成分として含有することもできる。
【0026】
このようにして製造される本発明の導体ペーストは、上記粒径および形状の白金系粉末を含有することから、各種セラミック電子部品(例えばMLCC)等の製造に好適に使用されて、緻密で電気的特性等に優れた導体膜を形成することができる。
【0027】
次に、本発明に係る金属粉末(白金系粉末その他の白金族金属粉末)の製造方法について説明する。
この製造方法においては、噴霧熱分解用の原料溶液として、製造しようとする金属粉末の主体となる白金族元素の「水酸化物」を含む溶液(典型的には、水溶液またはコロイド溶液)を用いる。この水酸化物としては、主体となる白金族元素の「ヒドロキソ錯体」を用いることが好ましい。このような水酸化物は、その一部または全部が塩を形成していてもよい。
また、製造しようとする白金族金属粉末に含有される、主体となる白金族元素以外の金属元素(主体となる白金族元素以外の白金族元素、白金族元素以外の貴金属元素あるいは非貴金属元素)源については、原料溶液中に水酸化物として含有されてもよく、他の化合物として含有されてもよい。好ましく用いられる原料溶液は、主体となる白金族元素以外の金属元素源として、それらの金属元素の水酸化物および/または硝酸塩を含有するものである。
原料溶液に含有させ得る水酸化物としては、製造しようとする白金族金属粉末の組成に応じて、Rh(OH)3,Pd(OH)2,Ru(OH)3,H2[Pt(OH)6],Na2[Pt(OH)6],K2[Pt(OH)6],Au(OH)3,H[Au(OH)4],K[Au(OH)4]等の化合物から選択される一種または二種以上を使用することができる。
【0028】
この原料溶液を構成する溶媒の典型例は、水または水を含む混合溶媒である。「水を含む混合溶媒」において水と併用される溶媒としては、水と均一に混合し得るもの(例えばアルコール類、ケトン類等)が用いられる。水と他の溶媒との混合割合は特に限定されないが、この50wt%以上(より好ましくは80wt%以上)が水からなる組成の混合溶媒が好ましい。好ましく使用される溶媒としては、水、または水と低級アルコールとの重量比80/20〜99/1の混合溶媒が例示される。
また、この原料溶液は酸性に調製されていることが好ましい。これにより、金属元素源としての水酸化物等の原料溶液に対する溶解性・分散性等を向上させ得る。すなわち原料溶液の安定性が向上する。この酸性度を調整するために、原料溶液には各種有機酸および/または無機酸を含有させることができる。これらのうち、噴霧熱分解により分解・揮発させ得る(すなわち、噴霧熱分解後に残留物を残さない)化合物が好ましい。具体的には、硝酸、酢酸、硫酸、塩酸等が使用可能であり、硝酸を用いることが特に好ましい。
【0029】
原料溶液を調製する際の具体的な操作方法は特に限定されない。例えば、金属元素源としての水酸化物等を、溶媒と酸との混合物(酸性溶媒)に、必要に応じて加熱下で溶解または分散させることにより原料溶液を調製することができる。また、合金からなる金属粉末を製造する場合には、その合金を構成するそれぞれの金属元素に対応する金属元素源を溶媒に順次添加して原料溶液を調製してもよく、あるいは、異なる金属元素源を含む二種以上の溶液を作製した後、それらを混合して原料溶液を調製してもよい。
【0030】
本発明の白金族金属粉末の製造方法を白金系粉末の製造に適用する場合には、原料溶液に含ませるPt源として、白金のヒドロキソ錯体を用いることが好ましい。かかるヒドロキソ錯体としては、H2[Pt(OH)6],Na2[Pt(OH)6],K2[Pt(OH)6]等が挙げられる。このうち、H2[Pt(OH)6](ヘキサヒドロキソ白金酸)を用いることが最も好ましい。
【0031】
本発明の白金系粉末製造方法に使用するヘキサヒドロキソ白金酸の製造方法は特に限定されない。典型的な製造方法としては、ヘキサクロロ白金酸の溶液(典型的には水溶液)にアルカリ性化合物(典型的には、NaOH,KOHに代表されるアルカリ金属水酸化物)を加えてアルカリ性にし、そのアルカリ性溶液を加熱した後に中和してヘキサヒドロキソ白金酸を沈殿させる方法が挙げられる。原料溶液の調製には、例えば、加熱後の中和により沈殿したヘキサヒドロキソ白金酸を溶液から濾別して洗浄し、これを好ましくは湿ったままの状態で酸性溶媒に溶解させればよい。
【0032】
このとき、原料溶液に使用するヘキサヒドロキソ白金酸は、(1).ヘキサヒドロキソ白金酸を酸性溶媒に溶解させる処理、(2).その酸性溶液を中和してヘキサヒドロキソ白金酸を沈殿させる処理、および(3).沈殿したヘキサヒドロキソ白金酸を溶液から分離(回収)する処理、を含む精製工程を施して得られたものであることが好ましい。この精製工程によって、ヘキサヒドロキソ白金酸の純度を向上させることができる。この精製工程は、必要に応じて二度以上繰り返して行うことができる。例えば、原料としてのヘキサヒドロキソ白金酸がアルカリ金属元素を比較的高濃度に(例えば10000ppm以上)含有している場合、この精製工程を一度または二度以上行うことにより、アルカリ金属元素の濃度を低減させる(例えば1000ppm以下、好ましくは300ppm以下に)ことができる。特に、前記典型的な製造方法により得られたヘキサヒドロキソ白金酸は、アルカリ性溶液の加熱後に中和して沈殿させた状態では、一般に比較的高濃度のアルカリ金属元素を含有する。この状態のヘキサヒドロキソ白金酸に対して上述の精製工程を実施し、精製後のヘキサヒドロキソ白金酸を含む原料溶液を噴霧熱分解させることにより、純度の高い白金系粉末を製造することができる。
【0033】
かかる精製工程において、上記(1).の処理に用いる酸性溶媒には、各種の有機酸および/または無機酸(硝酸、酢酸、硫酸、塩酸等)を使用することができる。このうち硝酸または酢酸を用いることが好ましい。また、上記(2).の処理における中和には各種塩基性化合物を用いることができるが、金属元素(アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素等)を含まない化合物を用いることが好ましく、アンモニア水を用いることが特に好ましい。なお、上記(2).の処理においてヘキサヒドロキソ白金酸が沈殿するとき、精製前のヘキサヒドロキソ白金酸に含有されていた不純物(アルカリ金属元素)の大部分は溶液(上澄み)中に残る。したがって、この沈殿を上記(3)の処理で濾別・洗浄することにより、純度の高い(アルカリ金属元素含有割合の低減された)ヘキサヒドロキソ白金酸を得ることができる。この精製工程を行う回数は特に制限されないが、製造効率等の点からは1〜3回とすることが好ましい。
【0034】
本発明の金属粉末(白金系粉末その他の白金族金属粉末)製造方法において、原料溶液のミストを精製する工程およびそのミストを加熱する工程は、従来公知の噴霧熱分解法等と同様に実施することができる。例えば、原料溶液のミストは超音波振動、スプレーその他の手段を用いて発生させることができる。生成したミストを種々のキャリアーガス(典型的にはN2 、Ar、He、CO2 から選択される一種または二種以上からなるガス)とともに加熱炉に導入する。そして、この加熱炉内において所望の温度条件でミストの乾燥および熱分解処理を行う。これにより、目的とする金属粉末が得られる。この金属粉末は、Pt源としてヘキサクロロ白金酸を用いた場合(超微粒子の凝集体となってしまう)等とは異なり、原料溶液の組成やミスト径等から予想される粒径と概ね一致した粒径を有する。したがって本発明によると、例えば平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されている白金系粉末その他の白金族金属粉末を安定的に製造することができる。また、本発明の製造方法において噴霧熱分解により生成する金属粉末は、Pt源としてヘキサクロロ白金酸を用いた場合等とは異なり、凝集が少ない(好ましくは、実質的に凝集がない)。これにより、噴霧熱分解装置その他の製造装置への凝集物付着等の不具合が防止あるいは抑制される。また、噴霧熱分解後の金属粉末から煩雑な操作により凝集物を除去する工程を必要とすることなく、ビヒクル等への分散性、粒子の均一性(例えば粒径、形状等の均一性)等に優れた金属粉末を得ることができる。
【0035】
本発明の金属粉末および本発明の製造方法により得られる金属粉末(白金系粉末その他の白金族金属粉末)は、導体ペースト用材料として特に好適である。また、かかる金属粉末は、金属顔料(例えば、食器その他のセラミックス製品の装飾に用いられる金属顔料)、粉末冶金材料等としても利用することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0037】
<実施例1:ヘキサヒドロキソ白金酸を用いた白金粉末の製造例(1)>
2[PtCl6](ヘキサクロロ白金酸)を水に溶解させ、この水溶液にNaOHまたはKOH(ここではNaOHを用いた)を加えてアルカリ性とした。このアルカリ性溶液を長時間加熱した後、硝酸または酢酸(ここでは硝酸を用いた)により中和してH2[Pt(OH)6](ヘキサヒドロキソ白金酸)を沈殿させた。生成した沈殿を濾別して水で洗浄した後、この沈殿(以下、「未精製ヘキサヒドロキソ白金酸」ともいう。)を湿ったままの状態で硝酸に溶解させて、ヘキサヒドロキソ白金酸の硝酸溶液を作製した。
この硝酸溶液のPt含有量を測定し、噴霧器から発生する液滴径を4.0μmとして、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなる溶液濃度を算出した。この溶液濃度に合うように上記硝酸溶液を濃硝酸で希釈して、噴霧熱分解用の原料溶液を調製した。
【0038】
超音波噴霧器を用いて濃度調整後の硝酸溶液(原料溶液)を噴霧し、この原料溶液から微小液滴(ミスト)を生成させた。このミストを、N2をキャリアガスとして1200℃に保持された反応管に通過させた。乾燥・熱分解後に残った粉末を静電捕集器にて捕集した。
捕集された粉末(白金粉末)を走査電子顕微鏡により観察したところ、得られた白金粉末はほぼ球状であり、かつ滑らかな表面を有し、さらにその粒径はほぼ均一であった。また、粒子の凝集等はみられず、分散性も良好であった。そして、この白金粉末の平均粒径は約0.5μmであり、ほぼ設計値に合ったサイズの粉末が得られた。なお、化学分析の結果、この白金粉末(未精製ヘキサヒドロキソ白金酸を用いて得られた白金粉末)は11000ppmのNaを含有していた。
【0039】
<実施例2:ヘキサヒドロキソ白金酸を用いた白金粉末の製造例(2)>
実施例1と同様にして、未精製ヘキサヒドロキソ白金酸の硝酸溶液を作製した。次いで、この硝酸溶液をアンモニア水で中和し、生成した沈殿を濾別・水洗した。この沈殿(以下、「一回精製ヘキサヒドロキソ白金酸」ともいう。)を湿ったままの状態で硝酸に溶解させて、ヘキサヒドロキソ白金酸の硝酸溶液を作製した。その後、実施例1と同様に原料溶液の濃度調製および噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末(白金粉末)を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に、導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。なお、化学分析の結果、この白金粉末(一回精製ヘキサヒドロキソ白金酸を用いて得られた白金粉末)のNa濃度は800ppmであった。すなわち、ヘキサヒドロキソ白金酸の精製工程を一回行ったことにより、実施例1に比べて高純度の白金粉末が得られた。
【0040】
<実施例3:ヘキサヒドロキソ白金酸を用いた白金粉末の製造例(3)>
実施例1と同様にして、未精製ヘキサヒドロキソ白金酸の硝酸溶液を作製した。次いで、この硝酸溶液をアンモニア水で中和し、生成した沈殿を濾別・水洗した。この一回精製ヘキサヒドロキソ白金酸に対し、硝酸溶液への溶解、アンモニア水による中和、および生成した沈殿の濾別・水洗を再度行った。この沈殿(以下、「二回精製ヘキサヒドロキソ白金酸」ともいう。)を湿ったままの状態で硝酸に溶解させて、ヘキサヒドロキソ白金酸の硝酸溶液を作製した。その後、実施例1と同様に原料溶液の濃度調製および噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末(白金粉末)を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。なお、化学分析の結果、この白金粉末(二回精製ヘキサヒドロキソ白金酸を用いて得られた白金粉末)のNa濃度は100ppm以下であった。すなわち、ヘキサヒドロキソ白金酸の精製工程を二回行ったことにより、実施例2よりもさらに高純度の白金粉末が得られた。
【0041】
<実施例4:ヘキサヒドロキソ白金酸を用いたPt−Rh(95/5)合金粉末の製造例>
実施例3により得られた二回精製ヘキサヒドロキソ白金酸を硝酸に溶解させて、ヘキサヒドロキソ白金酸の硝酸溶液を作製した。これにRh(OH)3(水酸化ロジウム)の硝酸溶液を、金属元素換算の重量比がPt:Rh=95:5となるように添加混合した。その後、実施例1と同様に原料溶液の濃度調製および噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末(Pt−Rh合金粉末)を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。なお、化学分析の結果、各粉末粒子に含まれるPtとRhとの割合はPt:Rh=95:5(重量比)でほぼ一定であった。すなわち、噴霧熱分解に用いた原料溶液の組成に対応した組成を有する合金粉末が形成されていた。また、このPt−Rh合金粉末(二回精製ヘキサヒドロキソ白金酸を用いて得られた白金系粉末)のNa濃度は100ppm以下であった。
【0042】
本実施例により得られた金属粉末のX線回折パターンを図1(a)に、そのピークデータを図1(b)に示す。また、参照用として、Rh単体のX線回折パターンに基づくピークデータを図1(c)に、酸化ロジウム(Rh23)のX線回折パターンに基づくピークデータを図1(d)に、Pt単体のX線回折パターンに基づくピークデータを図1(e)に示す。図1(b)、(c)、(e)のピークデータの比較から判るように、本実施例により得られた粉末ではPt単体およびRh単体のピークは消失しており、その間に一本のシャープなピークが観測された。このことから、PtとRhとが合金化されていることが確認された。なお、図1(b)と図1(d)との比較から、得られた金属粉末は酸化ロジウムをほとんど含まず、純度の高いPt−Rh合金から構成されていることが判る。
【0043】
<実施例5:ヘキサヒドロキソ白金酸を用いたPt−Rh(90/10)合金粉末の製造例>
Rh(OH)3(水酸化ロジウム)の硝酸溶液を、金属元素換算の重量比がPt:Rh=90:10となるように添加混合した。その他の点については実施例4と同様にして粉末を得た。
得られた粉末(Pt−Rh合金粉末)を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。なお、化学分析の結果、各粉末粒子に含まれるPtとRhとの割合はPt:Rh=90:10(重量比)でほぼ一定であり、噴霧熱分解に用いた原料溶液の組成に対応した組成を有する合金粉末が形成されていた。また、このPt−Rh合金粉末(二回精製ヘキサヒドロキソ白金酸を用いて得られた白金系粉末)のNa濃度は100ppm以下であった。また、実施例4と同様にX線回折パターンを解析したところ、この粒子においてPtとRhとが合金化されていることが確認された。
【0044】
<比較例1:ヘキサクロロ白金酸を用いた白金粉末の製造例>
本比較例では、ヘキサヒドロキソ白金酸に代えて、Pt源としてヘキサクロロ白金酸を用いた。すなわち、ヘキサクロロ白金酸の水溶液を調製し、その水溶液のPt含有量を測定し、噴霧器から発生する液滴径を4.0μmとして、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなる溶液濃度を算出した。この溶液濃度に合うように上記水溶液を塩酸で希釈して、噴霧熱分解用の原料溶液を調製した。その後、実施例1と同様に原料溶液の噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた白金粉末を走査電子顕微鏡により観察したところ、この比較例1により得られた白金粉末は粒径0.1μm未満の超微粒子からなる不定形の凝集体であった。すなわち、実施例1〜4とは異なり、ほぼ球形で独立した(分散性の良い)粒子を得ることはできなかった。
【0045】
<比較例2:ヘキサクロロ白金酸を用いたPt−Rh粉末の製造例>
比較例1で調製したヘキサクロロ白金酸水溶液に、RhCl3(塩化ロジウム)水溶液を、金属元素換算の重量比がPt:Rh=90:10となるように添加混合した。その後、比較例1と同様に原料溶液の濃度調製および噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末を走査電子顕微鏡により観察したところ、比較例1と同様に、粒径0.1μm未満の超微粒子からなる不定形の凝集体であった。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の白金系粉末は、比較的小さな平均粒径(0.1〜1μm)を有するとともにほぼ球状に形成されていることから、充填性および分散性が良好である。
この白金系粉末を含有する本発明の導体ペーストによると、上記粒径および形状を有する白金系粉末を含有することにより、緻密で電気的特性等に優れた導体膜(例えばMLCCの内部電極等に用いられる導体膜)を精度よく形成することができる。
また、本発明の金属粉末(白金系粉末その他の白金族金属粉末)の製造方法によると、特定の白金族金属元素源を含む原料溶液を噴霧熱分解させることにより、所望の粒径を有するとともにほぼ球状に形成された金属粉末を得ることができる。例えば、平均粒径(0.1〜1μm)を有するとともにほぼ球状に形成された白金系粉末その他の白金族金属粉末を安定して製造することができる。
【0048】
なお、導体ペーストを用いて白金族元素を主体とする合金(例えばPt−Rh合金)からなる導体膜を作製しようとする場合、従来はこのような組成(すなわち、白金族元素を主体とする合金)からなり導体ペースト調製用として適した性状(粒径、形状、分散性等)を有する合金粉末が得られ難かったため、かかる導体膜を作製することは困難であった。
一方、白金族元素を主体とする合金粉末ではなく、各金属の単体からなる金属粉末からなる混合粉末(例えば、Pt粉末およびRh粉末の混合粉末)を用いた導体ペーストを塗布・焼成することによって、これらの金属(PtおよびRh)を含む導体膜を作製することは可能である。しかし、このようにして作製された導体膜では、これらの金属の合金化が不十分であり、その合金組成も不均一であるため、合金化による効果を十分に奏することができない。
本発明によると、白金族金属(典型的には白金)を主体とする合金(典型的には白金族元素同士の合金、例えばPt−Rh合金、Pt−Pd合金等)からなり、導体ペースト調製用として適した性状を有する合金粉末を提供することができる。かかる合金粉末を含む導体ペーストによると、白金族元素(典型的には白金)を主体とする合金からなる導体膜(電極等)を容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 X線回折パターンを示す特性図(チャート)であり、(a)は実施例4により得られたPt−Rh合金粉末のX線回折パターン、(b)はそのピークデータ、(c)はRh単体のX線回折パターンに基づくピークデータ、(d)はRh23のX線回折パターンに基づくピークデータ、(e)はPt単体のX線回折パターンに基づくピークデータである。

Claims (3)

  1. 噴霧熱分解法によって白金族元素または白金族元素を主体とする合金からなる金属粉末を製造する方法であって、
    原料溶液のミストを生成する工程と、
    そのミストを加熱し熱分解させて粉末化する工程とを包含し、
    ここで、該原料溶液として、白金族元素の水酸化物を含むものを用いる金属粉末製造方法。
  2. 噴霧熱分解法によって白金または白金を主体とする合金からなる金属粉末を製造する方法であって、
    原料溶液のミストを生成する工程と、
    そのミストを加熱し熱分解させて粉末化する工程とを包含し、
    ここで、該原料溶液として、白金の水酸化物を含むものを用いる金属粉末製造方法。
  3. 前記水酸化物はヘキサヒドロキソ白金酸であり、
    そのヘキサヒドロキソ白金酸は、
    (1). ヘキサヒドロキソ白金酸を酸性溶媒に溶解させる処理、
    (2). その酸性溶液を中和してヘキサヒドロキソ白金酸を沈殿させる処理、および
    (3). 沈殿したヘキサヒドロキソ白金酸を溶液から分離する処理、
    を含む精製工程を一度以上行って得られたものである請求項2に記載の金属粉末製造方法。
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