JP3727904B2 - 金属粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金および銀を主体とする合金からなる金属粉末およびその製造方法に関する。特に、金および銀を主体とする合金からなり導体ペースト調製用材料等として適した性状を有する金属粉末およびその製造方法、ならびに該粉末を含有する導体ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等の構築に用いられるセラミック配線基板その他のセラミック電子部品等に所定パターンの導体膜(配線、電極等)を形成する材料として導体ペーストが使用されている。この導体ペーストは、導体を形成する主成分たる金属粉末と、必要に応じて添加される種々の添加剤(無機結合剤、ガラスフリット、フィラー等)とを、所定のビヒクル(有機媒質)に分散させて調製される導体形成材料である。
かかる導体ペーストは、スクリーン印刷等の一般的な手法により、セラミック焼成基材あるいは焼成前のセラミック基材(例えば、積層セラミックコンデンサ用の誘電体グリーンシート)等に印刷・塗布される。次いで、当該塗布物(塗膜)を適当な温度で焼成する(焼き付ける)ことにより、あるいは該塗布物と焼成前のセラミック基材とを共に焼成することにより、当該セラミック基材等のセラミック電子部品上に所定パターンの導体膜が形成される。
【0003】
このような導体ペーストに用いられる金属粉末として典型的なものに、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属を主体に構成されたものがある。また、これらの貴金属の合金を主体とする合金粉末が使用される場合もある。かかる導体ペースト用金属粉末の好ましい一例として、金と銀とを主体とする合金からなる金属粉末(以下、「Au−Ag合金粉末」ともいう。)が挙げられる。このようなAu−Ag合金粉末を製造する従来の方法としては、(1).金を主体とする粉末と銀を主体とする粉末とを混合し、この混合粉末を熱処理(焼成)して合金化する方法(混合焼成法)や、(2).この合金粉末を構成する金属を加熱して溶融状態とし、この溶融金属を噴霧して冷却する方法(溶融噴霧法)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック電子部品の小型化、高密度化、高性能化等にともない、導体膜形成用の金属粉末としては粒径が比較的小さく(例えば平均粒径0.1〜1.0μm程度)、粉末の形状が球形に近いものが望まれている。しかし、上述の溶融噴霧法では粒径の比較的小さい(例えば平均粒径1μm以下の)金属粉末を得ることは困難である。また、上述の混合焼成法では球形の金属粉末を得難く、その金属組成も不均一になりやすい。
【0005】
ここで、例えばAg−Pd合金粉末については、導体膜形成用等の用途に適した粉末を製造する方法として、いわゆる「噴霧熱分解法」が知られている。これは、Ag源(例えば硝酸銀)およびPd源(例えば硝酸パラジウム)を含む原料溶液を超音波振動子等によって微小な液滴(ミスト)とし、このミスト中の溶媒を高温で蒸発させるとともに、得られた固体粒子を高温で熱分解させてAg−Pd合金粉末を得る方法である。この噴霧熱分解法によると、粒径が比較的小さくかつ球形に近い形状のAg−Pd合金粉末を得ることができる。
【0006】
かかる噴霧熱分解法をAu−Ag合金粉末の製造に適用しようとする場合、原料溶液に含有させるAu源としては、まず、各種金化合物の製造に汎用されるテトラクロロ金(III)酸(塩化金酸)の塩酸溶液が考えられる。また、Ag源としては、各種金化合物の製造に汎用される銀の硝酸溶液、または硝酸銀の硝酸溶液が考えられる。これらの各々の溶液は比較的簡単に作製することができる。また、各溶液の経時安定性(例えば、時間を経ても沈殿等が生じないことをいう)も良好である。ところが、テトラクロロ金(III)酸の塩酸溶液と、銀または硝酸銀の硝酸溶液とを混合すると、銀化合物が析出して沈殿してしまい、Au源とAg源とが溶液中に共存した安定な(噴霧熱分解法に適した)原料溶液を調製することができない。
【0007】
このように、金と銀とを主体とする合金からなる金属粉末(Au−Ag合金粉末)に関しては、噴霧熱分解法による粉末の製造に適した原料溶液の組成や調製方法等が見出されていなかった。このため、導体膜形成用材料等として適した性状のAu−Ag合金粉末を得ることは従来きわめて困難であった。例えば、平均粒径が0.1〜1.0μmの範囲にあり、かつほぼ球形に形成されたAu−Ag合金粉末およびその製造方法は、これまで知られていなかった。
【0008】
そこで本発明は、金と銀とを主体とする合金からなり、導体膜形成用材料等として適した所定の粒径および形状を有する金属粉末(Au−Ag合金粉末)を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかるAu−Ag合金粉末を用いた導体ペーストを提供することである。関連する他の目的は、かかる導体ペーストから形成された導体膜を備えるセラミック電子部品およびその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、噴霧熱分解法によるAu−Ag合金粉末の製造において、原料溶液として所定範囲の硝酸含有率を有する硝酸溶液が適していることを見出した。さらに、このような原料溶液を噴霧熱分解させることにより導体膜形成用途等に好適な性状を備えるAu−Ag合金粉末が得られることを見出して本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明によると、金と銀とを主体とする合金からなる金属粉末であって、平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されている金属粉末(Au−Ag合金粉末)が提供される。
本発明のAu−Ag合金粉末は、上述の性状(粒径および形状)を有することから、緻密な導体膜を形成し得る。したがって、かかるAu−Ag合金粉末は、導体膜形成用の導体ペーストに用いられる金属粉末等として好適である。このようにほぼ球状の金属粉末は他の材料と均一に混合しやすい。例えば、導体ペーストに用いる場合において、この金属粉末をビヒクルに均一に分散させることができるので好ましい。
【0011】
なお、本明細書中において金属粉末が「ほぼ球状」とは、この金属粉末の70個数%以上が球状であることをいう。また、この「球状」とは、粒子の長径に対する短径の比(アスペクト比)が0.8以上、より好ましくは0.9以上であることをいう。
【0012】
また、本発明によると、前記Au−Ag合金粉末を含む導体ペーストが提供される。この導体ペーストは、本発明のAu−Ag合金粉末を含む(典型的には、導体を形成する主成分たる金属粉末として含む)ことから、緻密な導体膜を形成し得る。また、このような導体ペーストを用いて形成された導体膜は、Au−Ag合金を主体とすることによる優れた特性を示す。例えば、電気的特性、耐酸化性、半田耐熱性等のうち一つ以上の特性が良好である。
【0013】
本発明によると、金と銀とを主体とする合金からなる金属粉末(Au−Ag合金粉末)を製造する方法が提供される。この製造方法は、Au源とAg源とを含有する原料溶液を用意する工程と、その原料溶液のミストを生成する工程と、そのミストを加熱して粉末化する工程とを包含する。ここで、該原料溶液として、その媒質の硝酸含有率がほぼ40〜65質量%(より好ましくはほぼ45〜60質量%)の範囲にあるものを使用する。
「媒質の硝酸含有率」をこの範囲とすることにより、Au源とAg源とが安定して分散した(析出しにくい)原料溶液を調製することができる。このため、かかる原料溶液を噴霧熱分解することにより、導体膜の形成に適した性状(粒径、形状等)を有するAu−Ag合金粉末(例えば、平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されているAu−Ag合金粉末)を製造することができる。この原料溶液はCl元素(特にClイオン)を実質的に含有しないことが好ましい。
【0014】
なお、ここで「Au源」とは所定の条件で熱分解可能な金化合物を、「Ag源」とは所定の条件で熱分解可能な銀化合物をいう。Au源およびAg源のそれぞれは、その一部または全部が原料溶液中においてイオン(錯イオンを含む意味である。)となっていることが好ましい。Au源の全部およびAg源の全部が原料溶液中においてイオンとなっていることがより好ましい。
また、本明細書中において「媒質」とは、溶液の構成成分であって、溶媒(水、低級アルコール等)と硝酸その他の酸とを併せたものを指す。また、「媒質の硝酸含有率」とは、媒質の質量(溶媒の質量+硝酸その他の酸の質量)に占める硝酸の質量の割合をいう。
【0015】
原料溶液の好適な調製方法としては、金水酸化物の硝酸溶液と、銀の溶液または銀化合物の溶液とを混合する方法が例示される。ここで、金の「水酸化物」とは、原料溶液中において一部または全部が塩(例えば、水酸基の一部がNa,K等のアルカリ金属のイオン、硫酸イオン等により置換された状態)を形成しているものを含む意味である。原料溶液の調製に用いられる「金水酸化物」の典型例はAu(OH)3(水酸化金)である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態につき詳細に説明する。本発明の金属粉末(Au−Ag合金粉末)は、AuとAgとを主体とする合金からなる粉末である。この金属粉末は、AuおよびAg以外に、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の貴金属(白金族)元素類、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等の卑金属元素類を含有することができる。本発明のAu−Ag合金粉末を構成する金属の組成としては、AuとAgとの合計質量の占める割合が全体の90質量%以上(より好ましくは95質量%以上)である組成が好ましく、実質的にAuおよびAgの二成分からなる組成が特に好ましい。
このAu−Ag合金粉末におけるAuとAgとの含有割合は特に限定されない。典型的にはAu/Agの質量比を5/95〜95/5の範囲とすることができ、15/85〜85/15の範囲とすることが好ましく、50/50〜80/20の範囲とすることがより好ましい。Au/Agの質量比が上記範囲にある合金粉末は、両金属の合金化による特性(例えば、電気的特性(低抵抗率等)、耐酸化性、半田耐熱性等)をよく発揮することができるので好ましい。
【0017】
このAu−Ag合金粉末は「ほぼ球状」に形成されている。かかる形状のAu−Ag合金粉末によると、歪な形状の粉末と比較して、分散性がより良好な導体ペースト等を調製することができる。粉末の分散性が良好であると、この導体ペーストを例えば誘電体グリーンシートの所定位置に均質に付着させることができる。また、かかる形状のAu−Ag合金粉末は、歪な形状の粉末と比較して、充填性がより良好である。粉末の充填性が良好であると、例えば誘電体グリーンシートの所定位置に本発明の金属粉末を、例えばこの金属粉末を含む導体ペーストの塗布・乾燥によって、緻密(高密度)に付着させることができる。したがって、各種セラミック電子部品(例えば積層セラミックコンデンサ:以下、MLCCともいう。)の製造において、上記形状を有する本発明のAu−Ag合金粉末あるいはこれを含む導体ペーストを導体膜(例えばMLCCの内部電極)の形成に使用すると、より高精度のセラミック電子部品を得ることができる。
上記充填性向上のためには、この金属粉末の表面が平滑であることが特に好ましい。また、金属粉末の結晶性が高いもの(典型的には単結晶質のもの)は、上記充填性をさらに向上させ得るため好ましい。
【0018】
上記Au−Ag合金粉末の平均粒径は0.1〜1μmであり、0.2〜0.8μmであることが好ましい。このように平均粒径が比較的小さい金属粉末は、MLCCの内部電極形成等の用途に好適である。また、このAu−Ag合金粉末の比表面積(BET法によるガス吸着に基づく)は1〜10m2/gであることが好ましい。
このAu−Ag合金粉末は、上記範囲の平均粒径を有するとともに、その粒径分布が比較的シャープであることが好ましい。例えば、全金属粉末の70個数%以上の粒径が0.1〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。さらに、この金属粉末は、粒径が過大な粒子を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、例えば粒径10μm以上(より好ましくは粒径5μm以上)の粒子を実質的に含まないことが好ましい。このようにシャープな粒径分布を有するAu−Ag合金粉末は充填性が良好である。したがって、導体ペーストに用いられた場合、さらに緻密で電気的特性等に優れた導体膜を形成することができる。
【0019】
さらに、本発明のAu−Ag合金粉末は、この粉末が互いに凝集した粒子を実質的に含有しないことが好ましい。このように凝集の少ない(典型的には凝集のない)金属粉末は、ほぼ球形に形成されていることと相俟って、その粉末の分散性が良好である。すなわち、凝集した金属粉末を用いる場合と比較して、このような金属粉末によると分散性がより良好な導体ペースト等を調製することができる。これにより、この良好な分散性に基づく上述の効果がさらに高められる。
これらの粒径、粒径分布および凝集の程度は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)写真を解析することにより測定することができる。
【0020】
次に、本発明に係る導体ペーストについて説明する。
この導体ペーストは、通常、本発明の金属粉末とビヒクルとを主成分として含有する。このビヒクルは、本発明の金属粉末を分散させることのできるものであればよく、従来の導体ペーストに用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等をベースとする有機バインダー;ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、ターピネオール等の高沸点有機溶媒等を用いることができる。
【0021】
本発明の導体ペーストには、副成分として、種々の無機添加剤および/または有機添加剤を含ませることができる。この無機添加剤の例としては、ガラス質その他のセラミック粉末、その他種々のフィラー等が挙げられる。また、有機添加剤の例としては、セラミック基材との密着性向上を目的としたシリコン系、チタネート系及びアルミニウム系等の各種カップリング剤等が挙げられる。さらに、本発明の導体ペーストに光硬化性(感光性)を付与したい場合には、種々の光重合性化合物及び光重合開始剤を適宜添加してもよい。
上記の他にも本発明の導体ペーストには、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤等を適宜添加することができる。これら添加剤は、従来の導体ペーストの調製に用いられ得るものであればよく、詳細な説明は省略する。
【0022】
次に、本発明の導体ペーストを調製する際の操作について説明する。本発明の導体ペーストは、従来の導体ペーストと同様、典型的には本発明の金属粉末と上記ビヒクルを混和することによって容易に調製することができる。このとき、必要に応じて上述したような添加剤を添加・混合するとよい。例えば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、上記合金粉末および各種添加剤を上記ビヒクルとともに所定の配合比で直接混合し、相互に練り合わせることにより、本発明の導体ペーストが調製され得る。
【0023】
特に限定するものではないが、好ましくは、本発明の金属粉末の含有率が導体ペースト全体の60〜95質量%となるように各材料を混練するのがよく、70〜90質量%となるように混練するのが特に好ましい。また、ビヒクルの使用量は、導体ペースト全体のほぼ1〜40質量%となる量が適当であり、1〜20質量%となる量が特に好ましい。
なお、各成分の含有率に係る上記数値範囲は厳密に解釈すべきでなく、本発明の目的を達成し得る限りかかる範囲からの若干の逸脱を許容するものである。
また、本発明の導体ペーストに含有される金属粉末は、実質的に本発明のAu−Ag合金粉末からなることが好ましいが、その他の金属粉末を副成分として含有することもできる。この「その他の金属粉末」は、純金属からなる粉末でもよく、合金からなる粉末でもよい。その平均粒径は0.1〜1μmの範囲であってもよく、この範囲外であってもよい。その形状はほぼ球形であることが好ましいが、球形以外の形状(例えばフレーク状)であってもよい。
【0024】
このようにして製造される本発明の導体ペーストは、上記粒径および形状のAu−Ag合金粉末を含有することから、各種セラミック電子部品(例えばMLCC)等の製造に好適に使用されて、緻密で電気的特性等に優れた導体膜を形成することができる。この導体ペーストは、本発明のAu−Ag合金粉末を含有することから、例えば金属粉末としてAg粉末のみを用いた導体ペーストに比べて、より優れた高温焼成適性を有する。すなわち、より高い温度で焼成された場合にも、発泡や剥離、過剰な収縮、導体膜の蒸発等の現象が生じにくく、良好な導体膜を形成することができる。この導体ペーストから形成された導体膜は、例えば金属粉末としてAu粉末のみを用いた導体ペーストから形成された導体膜に比べて電気的特性(低抵抗率等)がより良好である。また、例えば金属粉末としてAg粉末のみを用いた導体ペーストから形成された導体膜に比べて半田耐熱性、耐酸化性等の特性がより良好である。
【0025】
次に、本発明に係る金属粉末(Au−Ag合金粉末)の製造方法について説明する。
この製造方法においては、噴霧熱分解用の原料溶液として、Au源およびAg源が媒質に分散した溶液(典型的には、水溶液またはコロイド溶液)を用いる。Au源として好ましいものは、Au(OH)3,H[Au(OH)4],K[Au(OH)4]等の金水酸化物であり、特に好ましいAu源はAu(OH)3(水酸化金)である。Ag源として好ましいものは銀またはAgNO3(硝酸銀)であり、特に好ましいAg源はAgNO3である。このようなAu源およびAg源は、原料溶液中においてその実質的に全部がイオン(錯イオンを含む意味である。)となっていることが好ましい。また、Au源および/またはAg源の一部または全部が塩を形成していてもよい。この原料溶液はCl元素(特にClイオン)を実質的に含有しないことが好ましい。
【0026】
かかる原料溶液の「媒質」を構成する溶媒の典型例は、水または水を含む混合溶媒である。「水を含む混合溶媒」において水と併用し得る溶媒としては、水と均一に混合し得るもの(例えばアルコール類、ケトン類等)が挙げられる。水と他の溶媒との混合割合は特に限定されないが、水の占める割合が50質量%以上(より好ましくは80質量%以上)である組成の混合溶媒が好ましい。好ましく使用される溶媒としては、水、または水と低級アルコール(典型的には炭素原子数1〜4の低級アルコール)との質量比80/20〜99/1の混合溶媒が例示される。特に好ましい溶媒は水である。
【0027】
原料溶液の媒質は、上記溶媒の他に少なくとも硝酸を含有する。その含有率は、媒質全体に対してほぼ40〜65質量%の範囲であり、好ましくはほぼ45〜60質量%の範囲である。媒質の硝酸含有率(以下、単に「硝酸含有率」ともいう。)が上記範囲よりも高すぎるとAg化合物が析出しやすくなる傾向にある。一方、硝酸含有率が上記範囲よりも低すぎるとAu化合物が析出しやすくなる傾向にある。硝酸含有率を上記範囲とすることにより、原料溶液におけるAu源およびAg源の溶解性・分散性等が向上する。すなわち、噴霧熱分解用として適した安定な(金属化合物等の析出が抑制された)原料溶液となる。
【0028】
なお、原料溶液の媒質には、その安定性を顕著に損なわない範囲で、硝酸以外の各種無機酸および/または有機酸を含有させることができる。これらのうち、噴霧熱分解により分解・揮発させ得る(すなわち、噴霧熱分解後に残留物を残さない)化合物が好ましい。具体的には、酢酸、硫酸等が使用可能である。
本発明の製造方法に用いられる原料溶液の好ましい媒質としては、水と硝酸との合計量に対して硝酸40〜65質量%(より好ましくは45〜60質量%)を含有するものが挙げられる。かかる硝酸含有率であって、水以外の溶媒や硝酸以外の酸を実質的に含有しない媒質(実質的に水および硝酸からなる媒質)がさらに好ましい。
【0029】
この原料溶液は、Ag源とAu源とを所定の割合で含有する。本発明の製造方法により得られるAu−Ag合金粉末におけるAu/Agの組成比は、典型的にはこの原料溶液に含まれるAuとAgとの割合に応じたものとなる。すなわち、この割合を調整することによって、任意の組成のAu−Ag合金粉末を製造することができる。得られるAu−Ag合金粉末の粒径は、原料溶液の組成(例えば金属成分の濃度)およびこの原料溶液から生成させたミストの液滴径等により調節することができる。
【0030】
このような原料溶液を調製する方法としては、(1).Au源を含有する溶液とAg源を含有する溶液とを混合する工程、(2).Au源を含有する溶液にAg源を添加する工程、(3).Ag源を含有する溶液にAu源を添加する工程、のいずれかを含む方法が例示される。これらの方法のうち(1).の方法が特に好ましい。このような方法等によりAu源とAg源とを含む混合溶液を作製した後、この混合溶液を必要に応じて希釈または濃縮することによって、溶液に含まれるAu源およびAg源の濃度を調整することができる。混合溶液の希釈は、この混合溶液に溶媒を添加する方法、硝酸を添加する方法、硝酸の溶媒溶液(硝酸溶液)を添加する方法等により行うことができる。
本発明にとり好ましい原料溶液の調製方法としては、Au源を含有する溶液(Au源溶液)とAg源を含有する溶液(Ag源溶液)とを混合し、得られた混合溶液(Au源とAg源とを含む)を必要に応じて希釈する方法が挙げられる。この混合溶液の希釈は硝酸溶液の添加により行うことが好ましい。
【0031】
原料溶液の調製に用いるAu源溶液としては、媒質が実質的に水および硝酸からなり、その硝酸含有率がほぼ40〜80質量%(より好ましくはほぼ45〜70質量%)の範囲にある溶液が好ましい。Au源溶液の硝酸含有率が高すぎると、このAu源溶液をAg源溶液と混合する際にAg化合物が析出しやすくなる場合がある。一方、Au源溶液の硝酸含有率が低すぎると、このAu源溶液におけるAu源の溶解性・分散性が低下することがある。好ましく用いられるAu源溶液はAu(OH)3の硝酸溶液である。この溶液は、Au(OH)3を硝酸に溶解させる等の方法により調製することができる。
また、原料溶液の調製に用いるAg源溶液としては、媒質が実質的に水および硝酸からなり、その硝酸含有率がほぼ10〜65質量%(より好ましくはほぼ20〜60質量%、さらに好ましくはほぼ40〜55質量%)の範囲にある溶液が好ましい。Ag源溶液の硝酸含有率が低すぎると、このAg源溶液をAu源溶液と混合する際にAu化合物が析出しやすくなる場合がある。一方、Ag源溶液の硝酸含有率が高すぎると、このAg源溶液におけるAg源の溶解性・分散性が低下することがある。好ましく用いられるAg溶液は、銀の硝酸溶液またはAgNO3の硝酸溶液である。銀の硝酸溶液は銀を硝酸に溶解させる等の方法により調製することができる。AgNO3の硝酸溶液は、銀の硝酸溶液から硝酸濃度を高めてAgNO3を析出させ、このAgNO3をより濃度の低い硝酸に溶解させる等の方法により調製することができる。
【0032】
これらの溶液を、製造しようとするAu−Ag合金粉末の組成に応じたAu/Agの割合となるような量比で混合する。このとき、混合後に得られる溶液(混合溶液)の媒質の硝酸含有率がほぼ40〜65質量%(好ましくはほぼ45〜60質量%)の範囲となるように、Au源溶液およびAg源溶液の組成(各溶液の媒質の硝酸含有率やメタルコンテント等)を設定しておくことが好ましい。
Au源溶液とAg源溶液とを混合する際の具体的な操作方法としては、Au源溶液(典型的にはAg源溶液よりも媒質の硝酸含有率が高い)中にAg源溶液を少しづつ添加する方法が好ましい。かかる方法によると、Ag源溶液中にAu源溶液を添加する方法に比べて、金属の析出をよりよく防止することができる。さらに、この混合溶液を必要に応じて希釈することにより、所望のメタルコンテントを有する原料溶液を調製することができる。この希釈は、混合溶液に、この混合溶液よりも媒質の硝酸含有率の高い硝酸溶液を添加することにより行うことが好ましい。
【0033】
本発明の金属粉末製造方法において、原料溶液のミストを精製する工程およびそのミストを加熱する工程は、従来公知の噴霧熱分解法等と同様に実施することができる。例えば、原料溶液のミストは超音波振動、スプレーその他の手段を用いて発生させることができる。生成したミストを種々のキャリアーガス(典型的にはN2 、Ar、He、CO2 から選択される一種または二種以上からなるガス)とともに加熱炉に導入する。そして、この加熱炉内において所望の温度条件でミストの乾燥および熱分解処理を行う。これにより、目的とする金属粉末が得られる。この金属粉末は、原料溶液の組成やミスト径等から予想される粒径と概ね一致した粒径を有する。したがって本発明によると、例えば平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されているAu−Ag合金粉末を安定的に製造することができる。
【0034】
本発明の金属粉末および本発明の製造方法により得られる金属粉末は、導体ペースト用材料として特に好適である。また、かかる金属粉末は、金属顔料(例えば、食器その他のセラミックス製品の装飾に用いられる金属顔料(水金用途等))、粉末冶金材料等としても利用することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0036】
<実施例1>
Au源として、実質的にCl元素を含まないAu(OH)3(水酸化金)を用意した。このAu(OH)3を濃硝酸に溶かしてAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約4.9質量%)を調製した。一方、希硝酸にAgNO3を溶かしてAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約24.7質量%、Agコンテント;約3.3質量%)を調製した。このようにして得られたAu源溶液およびAg源溶液を、Au/Agの質量比が75/25となるような割合で混合した。この混合は、まずAu源溶液の全量を容器に入れ、このAu源溶液を攪拌しつつ、ここにAg源溶液を少量づつ添加することにより行った。得られた混合溶液(媒質の硝酸含有率;約53.2質量%、メタルコンテント;約4.3質量%)は安定で均一なものであり、金属化合物の析出等はみられなかった。噴霧器から発生する液滴径を3.5μmとして、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなる溶液濃度を算出した。この溶液濃度に合うように上記混合溶液を濃硝酸(硝酸含有率(硝酸濃度);約67.5質量%)で希釈して、噴霧熱分解用の原料溶液を調製した。得られた原料溶液(媒質の硝酸含有率;約56.9質量%、メタルコンテント;約3.4質量%)は安定で均一なものであり、金属の析出等はみられなかった。
【0037】
超音波噴霧器を用いて濃度調整後の硝酸溶液(原料溶液)を噴霧し、この原料溶液から微小液滴(ミスト)を生成させた。このミストを、N2をキャリアガスとして900℃に保持された反応管に通過させた。乾燥・熱分解後に残った粉末を静電捕集器にて捕集した。
図1は、捕集された粉末の走査電子顕微鏡写真である。この図1から判るように、得られた粉末はほぼ球状であり、かつ滑らかな表面を有し、さらにその粒径はほぼ均一であった。また、粒子の凝集等はみられず、分散性も良好であった。この粉末の平均粒径は約0.5μmであった。化学分析の結果によれば、この粉末に含まれるAu/Agの質量比は約74/26であり、原料溶液の質量比とほぼ一致していた。また、化学分析の結果、この粉末に含まれる全不純物(Au,Ag以外の成分)の割合は100ppm以下であり、純度の高い粉末が得られた。
【0038】
実施例1により得られた金属粉末につきX線回折(XRD)分析を行った。また、噴霧熱分解法により作製したAu粉末と、噴霧熱分解法により作製したAg粉末とを混合し、この混合粉末につき同様にXRD分析を行った。それらのX線回折パターンの要部(Au単体のピークおよびAg単体のピークに相当する38度付近の領域)を拡大したものを、実施例1で得られた金属粉末については図2に、混合粉末については図3に示す。これらのXRD回折パターンのメインピーク(図2および図3中においてKαで示したピーク)を比較した。
通常、回折対象に含まれる二成分の各々のピーク位置が異なる場合、混合粉末では二成分それぞれ固有の位置にピークが現れるのに対し、これらが合金化すると二成分の間に合金特有のピークが現れるようになる。今回の場合、Ag単体のピーク位置は38.115度、Au単体のピーク位置は38.182度である。XRD回折の結果、実施例1により得られた金属粉末と混合粉末とでは回折結果に明確な差が現れた。すなわち、図2および図3の比較から判るように、混合粉末ではAuとAgのピーク位置の違いによりピークがブロードとなっている。これに対して、実施例1により得られた金属粉末では一本の比較的シャープなピークが認められた。このことから、実施例1で得られた粉末ではAuとAgとが合金化していることが確認された。なお、混合粉末では微小領域で見た場合にAuとAgとが不均一であることも、図3においてピークがブロードになっている要因だと推察される。
【0039】
<実施例2>
この実施例2は、実施例1よりも媒質の硝酸含有率の高い原料溶液を用いてAu−Ag合金粉末を製造した例である。
実施例と同様に調製したAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約5.1質量%)と、実施例1よりも硝酸含有率が高くなるように調製したAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約34.2質量%、Agコンテント;約3.9質量%)とを、Au/Agの質量比が75/25となるような割合で混合した。この混合溶液(媒質の硝酸含有率;約56.4質量%、メタルコンテント;約4.7質量%)を、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなるように濃硝酸(硝酸含有率(硝酸濃度);約67.5質量%)で希釈した。得られた原料溶液(媒質の硝酸含有率;約60.1質量%、メタルコンテント;約3.3質量%)は安定で均一なものであり、金属の析出等はみられなかった。その後、実施例1と同様に噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に、導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。また、実施例1と同様に分析した結果、この粉末に含まれるAu/Agの質量比は約75/25であり、全不純物の割合は100ppm以下であった。
【0040】
<実施例3>
この実施例3は、実施例1よりも媒質の硝酸含有率の低い原料溶液を用いてAu−Ag合金粉末を製造した例である。
実施例1と同様に調製したAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約4.3質量%)と、実施例1よりも硝酸含有率が低くなるように調製したAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約1.0質量%、Agコンテント;約3.4質量%)とを、Au/Agの質量比が75/25となるような割合で混合した。この混合溶液(媒質の硝酸含有率;約40.7質量%、メタルコンテント;約4.0質量%)を、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなるように濃硝酸(硝酸含有率(硝酸濃度);約67.5質量%)で希釈した。得られた原料溶液(媒質の硝酸含有率;約45.7質量%、メタルコンテント;約3.4質量%)は安定で均一なものであり、金属の析出等はみられなかった。その後、実施例1と同様に噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に、導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。また、実施例1と同様に分析した結果、この粉末に含まれるAu/Agの質量比は約75/25であり、全不純物の割合は100ppm以下であった。
【0041】
<実施例4>
この実施例4は、実施例1とは平均粒径の異なるAu−Ag合金粉末を製造した例である。
実施例1と同様に調整したAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約4.9質量%)とAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約24.7質量%、Agコンテント;約3.3質量%)とを、Au/Agの質量比が75/25となるような割合で混合した。
噴霧器から発生する液滴径を6.5μmとして、熱分解後に得られる粉末の径が0.9μmとなる溶液濃度を算出した。この溶液濃度に合うように上記混合溶液(媒質の硝酸含有率;約53.2質量%、メタルコンテント;約4.3質量%)を濃硝酸(硝酸含有率(硝酸濃度);約67.5質量%)で希釈した。得られた原料溶液(媒質の硝酸含有率;約56.9質量%、メタルコンテント;約3.4質量%)は安定で均一なものであり、金属の析出等はみられなかった。その後、平均液滴径6.5μmのミストを発生させる超音波噴霧器を使用し、実施例1と同様に原料溶液の噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.9μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に、導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。また、実施例1と同様に分析した結果、この粉末に含まれるAu/Agの質量比は約75.5/25.5であり、全不純物の割合は100ppm以下であった。
【0042】
<実施例5>
この実施例3は、実施例1とは合金組成(Au/Agの質量比)が異なるAu−Ag合金粉末を製造した例である。
実施例1と同様に調整したAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約3.9質量%)とAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約24.7質量%、Agコンテント;約4.3質量%)とを、Au/Agの質量比が60/40となるような割合で混合した。この混合溶液(媒質の硝酸含有率;約52.1質量%、メタルコンテント;約4.0質量%)を、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなるように濃硝酸(硝酸含有率(硝酸濃度);約67.5質量%)で希釈した。得られた原料溶液(媒質の硝酸含有率;約56.1質量%、メタルコンテント;約3.2質量%)は安定で均一なものであり、金属の析出等はみられなかった。その後、実施例1と同様に噴霧熱分解を行って粉末を得た。
得られた粉末を走査電子顕微鏡により観察したところ、その平均粒径は約0.5μmであり、実施例1により得られた粉末と同様に、導体ペースト調製用として良好な性状および分散性を有していた。また、実施例1と同様に分析した結果、この粉末に含まれるAu/Agの質量比は約59.5/40.5であり、全不純物の割合は100ppm以下であった。
【0043】
<参考例1>
実施例1と同様に調整したAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約4.9質量%)と、実施例1よりも硝酸含有率が高くなるように調製したAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約63.1質量%、Agコンテント;約3.3質量%)とを、Au/Agの質量比が75/25となるような割合で混合したところ、白色の沈殿が生じた。すなわち、この調製方法では安定で均一な混合溶液を得ることができなかった。化学分析の結果、この沈殿の主成分をなす元素はAgであった。この混合溶液の媒質の硝酸含有率は約66質量%であった。
【0044】
<参考例2>
実施例3と同様に調整したAu源溶液(媒質の硝酸含有率;約67.5質量%、Auコンテント;約4.3質量%)とAg源溶液(媒質の硝酸含有率;約1.0質量%、Agコンテント;約3.4質量%)とを、Au/Agの質量比が75/25となるような割合で混合し、熱分解後に得られる粉末の径が0.5μmとなるように水で希釈したところ、黒色の沈殿が生じた。すなわち、この調製方法では安定で均一な混合溶液を得ることができなかった。化学分析の結果、この沈殿の主成分をなす元素はAuであった。この混合溶液の媒質の硝酸含有率は約35.1質量%であった。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属粉末(Au−Ag合金粉末)は、比較的小さな平均粒径(0.1〜1μm)を有するとともにほぼ球状に形成されていることから、充填性および分散性が良好である。この金属粉末を含有する本発明の導体ペーストによると、上記粒径および形状を有する金属粉末を含有することにより、緻密で電気的特性等に優れた導体膜(例えばMLCCの内部電極等に用いられる導体膜)を精度よく形成することができる。
また、本発明の金属粉末の製造方法によると、噴霧熱分解用の原料溶液として媒質の硝酸含有率が所定範囲にある硝酸溶液を用いることにより、所望の粒径を有するとともにほぼ球状に形成されたAu−Ag合金粉末を得ることができる。例えば、平均粒径(0.1〜1μm)を有するとともにほぼ球状に形成されたAu−Ag合金粉末を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1により得られたAu−Ag合金粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】 実施例1により得られたAu−Ag合金粉末のX線回折パターンを示す特性図である。
【図3】 Au粉末とAg粉末とを混合した混合粉末のX線回折パターンを示す特性図である。
Claims (2)
- 金と銀とを主体とする合金からなる金属粉末を製造する方法であって、
金源と銀源とを含有する原料溶液を用意する工程と、
その原料溶液のミストを生成する工程と、
そのミストを加熱して粉末化する工程とを包含し、
ここで、該原料溶液として、媒質の硝酸含有率が40〜65質量%である硝酸溶液を用いる金属粉末製造方法。 - 前記原料溶液は、金水酸化物の硝酸溶液と、銀化合物の硝酸溶液とを混合して調製されたものである請求項1に記載の金属粉末製造方法。
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