JP2002275502A - 貴金属合金粉末の製造方法ならびに金−パラジウム合金粉末 - Google Patents

貴金属合金粉末の製造方法ならびに金−パラジウム合金粉末

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JP2002275502A
JP2002275502A JP2001072255A JP2001072255A JP2002275502A JP 2002275502 A JP2002275502 A JP 2002275502A JP 2001072255 A JP2001072255 A JP 2001072255A JP 2001072255 A JP2001072255 A JP 2001072255A JP 2002275502 A JP2002275502 A JP 2002275502A
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Kikuo Okuyama
喜久夫 奥山
Lenggoro Wuled
レンゴロ ウレット
Hiroyuki Naito
宏之 内藤
Noritaka Iida
典孝 飯田
Hironobu Ito
弘展 伊藤
Kimihiko Ozaki
公彦 尾崎
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Noritake Kizai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導体膜形成用材料等として適した、所定の粒
径および形状を有するAu−Pd合金粉末、この合金粉
末を用いた導体ペースト、ならびにAu−Pd合金粉末
等の貴金属合金粉末の製造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明のAu−Pd合金粉末は、Auお
よびPdを主体とする合金粉末であって、平均粒径が
0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されている。本
発明の導体ペーストは、このAu−Pd合金粉末と、ビ
ヒクルとを主成分として含む。この合金粉末は、(a).金
溶液とパラジウム溶液とを調製する工程と、(b).上記パ
ラジウム溶液に酸化処理を施す工程と、(c).上記(b).工
程後に上記金溶液と上記パラジウム溶液とを混合する工
程と、(d).この混合溶液のミストを生成する工程と、
(e).該ミストを加熱して粉末化する工程と、を包含する
方法により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、貴金属を主体と
する合金粉末およびその製造方法に関する。特に、平均
粒径が小さくかつほぼ球状に形成された金−パラジウム
合金粉末およびその製造方法、ならびに該粉末を含有す
る導体ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】 ハイブリッドIC、マルチチップモジ
ュール等を構築するのに用いられるセラミック配線基板
その他のセラミック電子部品等に所定パターンの導体膜
(配線、電極等)を形成する材料として導体ペーストが
使用されている。この導体ペーストは、導体を形成する
主成分たる金属粉末と、必要に応じて添加される種々の
添加剤(無機結合剤、ガラスフリット、フィラー等)と
を、所定のビヒクル(有機媒質)に分散させて調製され
る導体形成材料である。かかる導体ペーストは、スクリ
ーン印刷等の一般的な手法により、セラミック焼成基材
あるいは焼成前のセラミック基材(例えば、積層セラミ
ックコンデンサー用の誘電体グリーンシート)等に印刷
・塗布される。次いで、当該塗布物(塗膜)を適当な温
度で焼成する(焼き付ける)ことにより、あるいは該塗
布物と焼成前のセラミック基材とを共に焼成することに
より、当該セラミック基材等のセラミック電子部品上に
所定パターンの導体膜が形成される。
【0003】このような導体ペーストに用いられる金属
粉末として典型的なものに、金(Au)、パラジウム
(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)等の貴金属を主体
に構成されたものがある。また、これらの貴金属の合金
を主体とする合金粉末が使用される場合もある。例え
ば、Agのみからなる金属粉末に代えてAg−Pd合金
粉末またはAg−Pt合金粉末を用いた導体ペーストに
よると、この導体ペーストが高温での焼成により適した
ものとなる、得られた導体膜の半田耐熱性が向上する
(例えば、いわゆる半田くわれが軽減される)等の効果
が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 導体ペースト用の金
属粉末を構成する貴金属合金の組み合わせのうち、好ま
しい一例としてAu−Pd合金が挙げられる。Auのみ
からなる金属粉末に代えてAu(融点約1063℃)−
Pd(融点約1555℃)合金粉末を用いた導体ペース
トによると、導体ペーストの高温焼成適性向上、得られ
た導体膜の半田耐熱性向上(例えば半田くわれの軽減)
等の効果が期待される。上記Au−Pd合金粉末を製造
する従来の方法としては、AuおよびPdを高温で溶融
させて混合し、この混合後の溶融金属を噴霧し冷却する
方法がある。しかしこの方法では、粒径の比較的小さい
(例えば平均粒径1μm以下の)Au−Pd合金粉末を
得ることは困難である。
【0005】一方、上記Ag−Pd合金粉末の好適な製
造方法としては、いわゆる噴霧熱分解法が知られてい
る。これは、Ag源(例えば硝酸銀)およびPd源(例
えば硝酸パラジウム)を含む原料溶液を超音波振動子等
によって微小な液滴(ミスト)とし、このミスト中の溶
媒を高温で蒸発させると共に、得られた固体粒子を高温
で熱分解させてAg−Pd合金粉末を得る方法である。
この噴霧熱分解法によると、粒径が比較的小さくかつ球
形に近い形状のAg−Pd合金粉末を得ることができ
る。
【0006】この噴霧熱分解法を、Au−Pd合金粉末
の製造に適用する方法として、次の原料溶液を用いる方
法が考えられる。すなわち、Au源としては塩化金酸の
水溶液を、Pd源としては塩化パラジウム酸の水溶液を
用い、これらを混合してなる原料溶液を噴霧熱分解させ
る方法である。しかし、このような原料溶液の噴霧熱分
解によると、得られたAu−Pd合金粉末の粒子形状が
歪なものとなりやすく、球形に近い形状の合金粉末を安
定して得ることができない。また、噴霧熱分解法により
Au−Pd合金粉末を製造する他の方法として、Au源
としては水酸化金の硝酸溶液を、Pd源としては硝酸パ
ラジウムの硝酸溶液を用い、これらを混合してなる原料
溶液を噴霧熱分解させる方法が考えられる。ところが、
これら二種の硝酸溶液を混合すると、混合後すぐに溶液
から金が析出してしまうため、噴霧に適した安定な原料
溶液を得ることができない。このように、Ag−Pd合
金粉末等の製造に用いられる噴霧熱分解法を、Au−P
d合金の製造にそのまま適用することによっては、粒径
が比較的小さくかつ球形に近い形状のAu−Pd合金粉
末を得ることはできない。
【0007】以上のように、導体膜形成用の材料として
適した粒径や形状等を有するAu−Pd合金粉末を得る
ことは従来きわめて困難であった。例えば、平均粒径が
1μm以下であり、かつその粒子形状が球形に近いAu
−Pd合金粉末や、このような粒径および形状を有する
Au−Pd合金粉末を安定して製造する方法は、これま
で知られていなかった。なお、Au−Pd合金粉末では
なく、Au粉末およびPd粉末からなる混合粉末を用い
た導体ペーストを塗布・焼成することによって、Auと
Pdとを含む導体膜を作製することは可能である。しか
し、このようにして作製された導体膜では、AuとPd
との合金化が不十分であり、その合金組成も不均一であ
るため、AuとPdとの合金化による効果を十分に奏す
ることができない。
【0008】そこで本発明は、導体膜形成用材料等とし
て適した、所定の粒径および形状を有するAu−Pd合
金粉末の提供を目的とする。本発明の他の目的は、この
Au−Pd合金粉末を用いた導体ペーストを提供するこ
とである。本発明のさらに他の目的は、Au−Pd合金
粉末およびその他の貴金属合金粉末に適用することので
きる、貴金属合金粉末の製造方法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、水酸化金
の硝酸溶液(Au3+を主イオンとする)と硝酸パラジウ
ムの硝酸溶液(Pd2+を主イオンとする)との混合によ
り金の析出が起こるのは、Au3+とPd2+とのイオン化
傾向の差が大きいことにより、混合溶液中において両者
の間で酸化還元反応が起こっているためと考えた。そし
て、混合前の金溶液またはパラジウム溶液の少なくとも
一方に酸化処理または還元処理を行って、金溶液および
パラジウム溶液の少なくとも一方の主イオンを変更し
(例えば、硝酸パラジウムの硝酸溶液に酸化処理を施し
て、該溶液の主イオンをPd2+からPd4+に変更し)、
これにより金溶液の主イオンたる金イオンのイオン化傾
向と、パラジウム溶液中の主イオンたるパラジウムイオ
ンとのイオン化傾向の差を小さくし、その後に両溶液を
混合することにより、噴霧熱分解法の原料溶液として適
した安定な混合溶液を調製できることを見出した。さら
に、このようにして調製された原料溶液を噴霧熱分解さ
せることにより導体膜形成用途等に好適な特定の粒径お
よび形状を備えるAu−Pd合金粉末が得られること、
このようにして調製された原料溶液を用いる噴霧熱分解
法は他の貴金属合金粉末の製造にも適用可能であること
を見出して本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明によると、AuおよびPd
を主体とする合金粉末であって、平均粒径が0.1〜1
μmであり、ほぼ球状に形成されているAu−Pd合金
粉末が提供される。このような粒径および形状を有する
Au−Pd合金粉末は、緻密な導体膜を形成し得ること
から、導体膜形成用の導体ペーストに用いられる金属粉
末等として好適である。なお、本明細書中において「ほ
ぼ球状」とは、合金粉末の70個数%以上が球状である
ことをいう。また、この「球状」とは、粒子の長径に対
する短径の比(アスペクト比)が0.8以上、より好ま
しくは0.9以上であることをいう。
【0011】また、本発明によると、前記Au−Pd合
金粉末とビヒクルとを主成分として含む導体ペーストが
提供される。このような導体ペーストは、AuとPdと
の合金化に基づく特性(典型的には、良好な高温焼成適
性等)を有する。また、このような導体ペーストから形
成された導体膜は、AuとPdとの合金化に基づく特性
(典型的には、良好な半田耐熱性等)を備える。
【0012】本発明のAu−Pd合金粉末のうち好まし
いものでは、合金粉末が実質的にAuおよびPdの二成
分からなる。このようなAu−Pd合金粉末またはこの
合金粉末を含む導体ペーストによると、電気的特性(低
抵抗率等)に優れた導体膜を形成することができる。ま
た、本発明のAu−Pd合金粉末のうち他の好ましいも
のでは、前記Au−Pd合金粉末の70個数%以上の粒
径が0.1〜1μmの範囲にある。このようにシャープ
な粒径分布を有するAu−Pd合金粉末を含む導体ペー
ストは、この合金粉末の充填性が良好であることから、
さらに緻密で電気的特性等に優れた導体膜を形成するこ
とができる。
【0013】本発明により提供される貴金属合金粉末の
製造方法は、相互にイオン化傾向の異なる二つの貴金属
元素AおよびBを主体とする合金粉末を製造する方法で
あって、(a).前記元素Aのイオンを含むA溶液と、前記
元素Bのイオンを含むB溶液とを調製する工程と、(b).
前記A溶液および前記B溶液の少なくとも一方に酸化処
理または還元処理を施して前記A溶液中に含まれる前記
元素Aの主イオンと前記B溶液中に含まれる前記元素B
の主イオンとの標準電極電位の差を縮める工程と、(c).
前記(b).工程後に前記A溶液と前記B溶液とを混合する
工程と、(d).前記(c).工程で得られた混合溶液のミスト
を生成する工程と、(e).該ミストを加熱して粉末化する
工程と、を包含する。この製造方法では、上記(b).工程
において、A溶液中に含まれる元素Aの主イオンおよび
/またはB溶液中に含まれる元素Bの主イオンを、該工
程前とは異なるイオン化傾向(イオン価)を示すものに
変更する。この主イオンの変更により、A溶液中に含ま
れる元素Aの主イオンとB溶液中に含まれる元素Bの主
イオンとのイオン化傾向の差(例えば、25℃における
標準電極電位の差により表される)を縮める。このよう
な処理を行った後に両溶液を混合することにより、噴霧
熱分解に適した安定な(貴金属元素AまたはBの析出が
防止された)原料溶液を調製することができる。したが
って、この原料溶液を噴霧熱分解させることにより導体
膜の形成に適した粒径および形状を有する貴金属合金粉
末(例えば、平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球
状に形成されているAu−Pdその他の貴金属合金粉
末)を製造することができる。
【0014】なお、上記「元素Aの主イオン」とは、イ
オン価数の異なる複数種のAイオンがA溶液中に含まれ
得る場合においては(例えば、2価のAイオン(A2+
と4価のAイオン(A4+)とが存在し得る場合)、それ
ら複数種のAイオンのうち主体となるもの(最もモル比
の高いもの)を指す。上記(b).工程により元素Aの主イ
オンと元素Bの主イオンとの「イオン化傾向の差を縮め
る」程度としては、25℃における両イオンの標準電極
電位の差が±0.45V以下となる程度が好ましい。標
準電極電位の差がこの範囲であれば、両溶液の混合によ
り安定な(貴金属元素の析出が防止された)混合溶液
(噴霧熱分解法に用いられる原料溶液)を得ることがで
きる。
【0015】本発明のAu−Pd合金粉末の製造方法
は、前記貴金属合金粉末の製造方法をAuおよびPdを
主体とする合金粉末の製造に適用したものであって、
(a).Au3+(錯イオンの形態を包含する。)を主イオン
とする金溶液と、Pd2+を主イオンとするパラジウム溶
液とを調製する工程と、(b).前記パラジウム溶液に酸化
処理を施す工程と、(c).前記(b).工程後に前記金溶液と
前記パラジウム溶液とを混合する工程と、(d).前記(c).
工程で得られた混合溶液のミストを生成する工程と、
(e).該ミストを加熱して粉末化する工程と、を包含す
る。この製造方法によると、導体膜の形成に適した粒径
および形状を有するAu−Pd合金粉末(例えば、平均
粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球状に形成されてい
るAu−Pd合金粉末)を製造することができる。
【0016】上記(b).工程においては、Pd2+を主イオ
ンとする上記パラジウム溶液に酸化処理を施すことによ
り、該パラジウム溶液の主イオンをPd2+からPd4+
変更することが好ましい。これにより、金溶液中の主イ
オン(Au3+)とパラジウム溶液中の主イオン(P
4+)との標準電極電位の差(25℃における)が±
0.45V以下となるので、これらの溶液を混合して安
定な(金の析出が防止された)混合溶液を調製すること
ができる。上記Au3+を主イオンとする金溶液としては
水酸化金の硝酸溶液が、また上記Pd2+を主イオンとす
るパラジウム溶液としては硝酸パラジウム溶液が好まし
く用いられる。
【0017】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好適な実施形態
について詳細に説明する。本発明のAu−Pd合金粉末
は、AuおよびPdを主体とする合金からなる粉末であ
る。上記「AuおよびPdを主体とする合金」は、Au
およびPd以外に、銀、白金等の貴金属類、銅、スズ、
亜鉛、アルミニウム等の非貴金属類を含有することがで
きる。本発明のAu−Pd合金粉末は、AuおよびPd
の合計重量の占める割合が90wt%以上(より好まし
くは95wt%以上)であるものが好ましく、実質的に
AuおよびPdの二成分からなるものが特に好ましい。
このAu−Pd合金粉末におけるAuとPdとの含有割
合は特に限定されない。典型的には、Au/Pdの重量
比を5/95〜95/5の範囲とすることができ、より
好ましくは15/85〜85/15の範囲である。Au
/Pdの重量比が上記範囲にある合金粉末は、両金属の
合金化による特性をよく発揮することができるので好ま
しい。
【0018】このAu−Pd合金粉末は「ほぼ球状」に
形成されている。かかる形状の本発明のAu−Pd合金
粉末によると、歪な形状の粉末と比較して、分散性がよ
り良好な導体ペースト等を調製することができる。粉末
の分散性が良好であると、この導体ペーストを例えば誘
電体グリーンシートの所定位置に均質に付着させること
ができる。また、かかる形状の本発明のAu−Pd合金
粉末は、歪な形状の粉末と比較して、充填性がより良好
である。粉末の充填性が良好であると、例えば誘電体グ
リーンシートの所定位置に本発明の合金粉末を、例えば
この合金粉末を含む導体ペーストの塗布・乾燥によっ
て、緻密(高密度)に付着させることができる。したが
って、各種セラミック電子部品(例えば積層セラミック
コンデンサ:以下、MLCCともいう。)の製造におい
て、上記形状を有する本発明のAu−Pd合金粉末ある
いはこれを含む導体ペーストを導体膜(例えばMLCC
の内部電極)の形成に使用すると、より高精度のセラミ
ック電子部品を得ることができる。上記充填性向上のた
めには、この合金粉末の表面が平滑であることが特に好
ましい。また、合金粉末の結晶性が高いもの(典型的に
は単結晶質のもの)は、上記充填性をさらに向上させ得
るため好ましい。
【0019】上記Au−Pd合金粉末の平均粒径は0.
1〜1μmであり、0.2〜0.8μmであることが好
ましい。このように平均粒径が比較的小さい合金粉末
は、MLCCの内部電極形成等の用途に好適である。ま
た、このAu−Pd合金粉末の比表面積(BET法によ
るガス吸着に基づく)は1〜10m/gであることが
好ましい。このAu−Pd合金粉末は、上記範囲の平均
粒径を有するとともに、その粒径分布が比較的シャープ
であることが好ましい。例えば、全合金粉末の70個数
%以上の粒径が0.1〜1.0μmの範囲にあることが
好ましい。さらに、この合金粉末は、粒径が過大な粒子
を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、例え
ば粒径10μm以上(より好ましくは粒径5μm以上)
の粒子を実質的に含まないことが好ましい。これらの粒
径および粒径分布は、例えば走査型電子顕微鏡(SE
M)写真を解析することにより測定することができる。
【0020】次に、本発明に係る導体ペーストについて
説明する。この導体ペーストが含有するビヒクルは、本
発明のAu−Pd合金粉末を分散させることのできるも
のであればよく、従来の導体ペーストに用いられている
ものを特に制限なく使用することができる。例えば、エ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセル
ロース系高分子、ポリブチルメタクリレート、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート等のアク
リル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド
樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等
をベースとする有機バインダー;ブチルセロソルブアセ
テート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系
溶剤、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤、エチレ
ングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トル
エン、キシレン、ミネラルスピリット、ターピネオール
等の高沸点有機溶媒等を用いることができる。
【0021】本発明の導体ペーストには、種々の無機添
加剤および/または有機添加剤を副成分として含ませる
ことができる。この無機添加剤の例としては、ガラス質
その他のセラミック粉末、その他種々のフィラー等が挙
げられる。また、有機添加剤の例としては、セラミック
基材との密着性向上を目的としたシリコン系、チタネー
ト系及びアルミニウム系等の各種カップリング剤等が挙
げられる。さらに、本発明の導体ペーストに光硬化性
(感光性)を付与したい場合には、種々の光重合性化合
物及び光重合開始剤を適宜添加してもよい。上記の他に
も本発明の導体ペーストには、必要に応じて界面活性
剤、消泡剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重
合禁止剤等を適宜添加することができる。これら添加剤
は、従来の導体ペーストの調製に用いられ得るものであ
ればよく、詳細な説明は省略する。
【0022】次に、本発明の導体ペーストを調製する際
の操作について説明する。本発明の導体ペーストは、従
来の導体ペーストと同様、典型的には上記Au−Pd合
金粉末と上記ビヒクルを混和することによって容易に調
製することができる。このとき、必要に応じて上述した
ような添加剤を添加・混合するとよい。例えば、三本ロ
ールミルその他の混練機を用いて、上記合金粉末および
各種添加剤を上記ビヒクルとともに所定の配合比で直接
混合し、相互に練り合わせることにより、本発明の導体
ペーストが調製され得る。
【0023】特に限定するものではないが、好ましく
は、本発明のAu−Pd合金粉末の含有率が導体ペース
ト全体の60〜95wt%となるように各材料を混練す
るのがよく、70〜90wt%となるように混練するの
が特に好ましい。また、ビヒクルの使用量は、導体ペー
スト全体のほぼ1〜40wt%となる量が適当であり、
1〜20wt%となる量が特に好ましい。なお、各成分
の含有率に係る上記数値範囲は厳密に解釈すべきでな
く、本発明の目的を達成し得る限りかかる範囲からの若
干の逸脱を許容するものである。また、本発明の導体ペ
ーストに含有される金属粉末は、実質的に本発明のAu
−Pd合金粉末からなることが好ましいが、その他の金
属または合金からなる粉末を副成分として含有すること
もできる。
【0024】このようにして製造される本発明の導体ペ
ーストは、上記粒径および形状のAu−Pd合金粉末を
含有することから、各種セラミック電子部品(例えばM
LCC)等の製造に好適に使用されて、緻密で電気的特
性等に優れた導体膜を形成することができる。また、こ
の導体ペーストは、本発明のAu−Pd合金粉末を含有
することから、例えば金属粉末としてAu粉末のみを用
いた導体ペーストに比べて、より優れた高温焼成適性を
有する。すなわち、より高い温度で焼成された場合に
も、発泡や剥離、過剰な収縮、導体膜の蒸発等の現象が
生じにくく、良好な導体膜を形成することができる。さ
らに、この導体ペーストから形成された導体膜は、例え
ば金属粉末としてAu粉末のみを用いた導体ペーストか
ら形成された導体膜に比べて半田耐熱性等がより良好で
ある。
【0025】次に、本発明に係る貴金属合金粉末の製造
方法について説明する。上記(a).工程において、上記元
素Aのイオンを含むA溶液は、貴金属元素Aを含む化合
物(例えば元素Aの塩、水酸化物等)を適当な溶媒(例
えば水、硝酸、硫酸等)に、必要に応じて加熱下で溶解
させることにより調製することができる。上記元素Bの
イオンを含むB溶液も同様に調製すればよい。なお、特
に限定しないが、本発明の実施に好ましい元素A,Bの
組み合わせの例としては、AuとPd、AuとPt、A
uとAg、PtとAg、PtとPd、AgとPdが挙げ
られる。このうち、AuとPd、AuとAg、PtとA
g、およびPtとPdの組み合わせが特に好ましい。
【0026】次いで、上記(b).工程において、上記A溶
液および上記B溶液の少なくとも一方に酸化処理または
還元処理を施すことにより、これら二元素間の標準電極
電位の差を(好ましくは±0.45V以下となるよう
に)縮める。すなわち、A溶液中に含まれる元素Aの主
イオンとB溶液中に含まれる元素Bの主イオンとのイオ
ン化傾向の差を小さくする。例えば、A溶液中に含まれ
る元素Aの主イオンが、B溶液中に含まれる元素Bの主
イオンよりも高いイオン化傾向を有する場合、両溶液中
の主イオンのイオン化傾向の差を縮める方法として下記
の方法が例示される。 (1).A溶液に酸化処理を施すことにより、その主イオン
をよりイオン化傾向の低いAイオンに変更する。 (2).B溶液に還元処理を施すことにより、その主イオン
をよりイオン化傾向の高いBイオンに変更する。 (3).上記(1).および上記(2).の両方を行う。 また、A溶液およびB溶液の双方に酸化処理を行って、
それぞれの溶液の主イオンをよりイオン化傾向の低いも
のに変更することにより、結果的に処理前に比べて両主
イオンのイオン化傾向の差を小さくすることも可能であ
る。同様に、A溶液およびB溶液の双方に還元処理を行
ってもよい。なお、本方法の実施にあたって実施する酸
化処理および/または還元処理は、理論上、各溶液に含
まれる元素AとBとの標準電極電位の差を縮めることが
明らかであればよく、実際にかかる電位差を測定するこ
とを強要するものではない。
【0027】この酸化処理または還元処理は慣用の手法
により行うことができる。例えば、公知の酸化剤または
還元剤の添加、酸化性ガスまたは還元性ガスの吹き込み
等の手法が用いられる。酸化剤または還元剤としては、
金属元素を含有せず、処理後の溶液から除去可能である
か、あるいは噴霧熱分解時に熱分解可能な化合物からな
るものが好ましい。好ましい酸化剤としては過酸化水素
および有機化酸化物類(過酢酸、過安息香酸、tert
−ブチルハイドロパーオキサイド等)が挙げられる。こ
のうち過酸化水素を用いることが特に好ましい。
【0028】上記(b).工程を実施して両溶液に含まれる
主イオンのイオン化傾向の差を小さくした後に上記(c).
工程を行う(すなわち、両溶液を混合する)ことによ
り、この上記(b).工程を実施することなく両溶液を混合
した場合に比べて、混合溶液の安定性(例えば、元素A
または元素Bの析出の起こりにくさ)を向上させること
ができる。本発明の製造方法は、上記(b).工程前におけ
る元素Aの主イオンと元素Bの主イオンとのイオン化傾
向の差が比較的大きい場合(例えば、25℃における標
準電極電位の差が±0.5V以上である場合)に好適に
適用される。このような場合には、両溶液の混合前に上
記(b).工程を実施して両溶液の主イオンのイオン化傾向
の差を小さくする(例えば、25℃における標準電極電
位の差を±0.45V以内、より好ましくは±0.35
V以内とする)ことにより混合溶液の安定性を向上させ
る効果が、特に顕著なものとなるためである。
【0029】本発明のAu−Pd合金粉末の製造方法
は、上記貴金属合金粉末の製造方法において貴金属元素
AおよびBがそれぞれAuおよびPdであって、上記
(b).工程ではパラジウム溶液の酸化処理を行う場合に相
当する。この製造方法の(a).工程において調製されるA
3+(通常、錯イオンとして存在する)を主イオンとす
る金溶液としては、水酸化金(Au(OH)3)溶液、
塩化金酸(HAuCl4)溶液等が挙げられる。このう
ち、水酸化金溶液(例えば硝酸溶液)が好ましい。ま
た、Pd2+を主イオンとするパラジウム溶液としては硝
酸パラジウム(Pd(NO32)溶液、硫酸パラジウム
(Pd(SO4))溶液、リン酸パラジウム(Pd3(P
4)2)溶液、塩化パラジウム(PdCl2)溶液等が挙
げられる。このうち硝酸パラジウム溶液が好ましい。こ
れらの溶液の調製は常法により行うことができる。上記
酸化処理においては、上記パラジウム溶液の主イオンを
Pd2+からPd4+に変更することが好ましい。この酸化
処理には過酸化水素が好ましく用いられる。例えば、パ
ラジウム溶液中のPd2+に対して当量以上、好ましくは
1.2当量以上の過酸化水素を添加すればよい。その
後、金溶液と酸化処理後のパラジウム溶液とを混合し
て、噴霧熱分解用の原料溶液を調製する。本発明の製造
方法により得られるAu−Pd合金粉末におけるAu/
Pdの組成比は、典型的にはこの原料溶液中に含まれる
金イオンとパラジウムイオンとの割合に応じたものとな
る。すなわち、金溶液とパラジウム溶液との混合比を調
整することによって、任意の組成のAu−Pd合金粉末
を製造することができる。
【0030】本発明の合金粉末(Au−Pd合金等の貴
金属合金粉末)の製造方法において、上記(d).工程およ
び上記(e).工程は、従来公知の噴霧熱分解法等と同様に
実施することができる。例えば、混合溶液のミストは超
音波振動、スプレーその他の手段を用いて発生させるこ
とができる。生成したミストを種々のキャリアーガス
(典型的にはN2 、Ar、He、CO2 から選択される
一種または二種以上からなるガス)とともに加熱炉に導
入する。そして、この加熱炉内において所望の温度条件
でミストの乾燥および熱分解処理を行う。これにより、
目的とする合金粉末が得られる。
【0031】上記噴霧熱分解法によって本発明のAu−
Pd合金粉末その他の貴金属合金粉末を製造するのに好
適な製造装置の一例を、Au−Pd合金粉末を製造する
場合を例として、図1を参照しつつ説明する。図1に示
すように、本実施形態に係る合金粉末製造装置2は、大
まかにいって、AuおよびPdを含む原料溶液からミス
トを発生させるためのミスト発生器4と、それに連絡さ
れた管状の反応管20と、捕集器24とを備える。反応
管20と捕集器24とは接続管22により連絡されてい
る。ミスト発生器4は、原料溶液8(すなわち、金溶液
と、酸化処理後のパラジウム溶液との混合溶液)を備蓄
させることが可能な空間を内部に有する。また、ミスト
発生器4にはガス供給管6が接続されている。そのガス
供給管6の図示しない他端は、キャリアーガスを供給す
る外部ガス供給源(図示省略)に接続されている。ま
た、このミスト発生器4には霧発生装置10が設けられ
ている。その霧発生装置10は超音波振動子(図示省
略)を有しており、超音波振動によって溶液8を霧化す
る(すなわち、AuとPdとが混在するミストを発生さ
せる)ことができる。なお、図中の矢印は、本実施形態
に係る製造装置2内におけるキャリアーガスおよびミス
トの流れていく方向を示す。
【0032】一方、上記加熱炉に相当する反応管20
は、上記ミストやキャリアーガスが流通可能に構築され
ている。なお、反応管20は後述する使用温度において
上記ミストやキャリアーガス等と反応しない材質で構成
されるのが望ましい。この反応管20内を通過する上記
ミストの加熱には、反応管20の周囲に設置した電気炉
(ジュール熱等による加熱手段)や高周波炉(高周波加
熱手段)等の直接加熱装置を使用してもよいし、あるい
は反応管20内に外部から高温の不活性若しくは還元性
ガスを注入するといった間接的な加熱方法を採用しても
よい。また、加熱装置は一つだけである必要はなく、同
タイプまたは異なるタイプのものを複数備えてもよい
(図中の符号12,14,16,18参照)。このこと
によって、反応管20をいくつかの加熱部に区分し得、
さらには各加熱部の出力(供給熱量や加熱温度条件等)
を段階的かつ位置特異的に加熱・昇温することができ
る。例えば、ミスト発生器4に最も近い加熱部(以下
「第一の加熱部」という。)を100〜300℃付近の
低温に設定し、そこから加熱部ごと(以下、第一の加熱
部に近いものから順に第二、第三、第四ということとす
る。)に順次昇温するという制御方法を採用することが
できる。このように温度制御することにより、さらに形
状の良好な(所望する形状の)合金粉末を生成すること
ができる。このように温度制御された反応管20内にお
いて、上記ミストを均一にあるいは段階的に加熱・昇温
しつつ乾燥および熱分解することによって、所定の粒径
および形状を備えた本発明のAu−Pd合金粉末やその
他の合金粉末を生成することができる。なお、加熱炉
(反応管20)内の設定温度(すなわち第一の加熱部設
置区域〜第四の加熱部設置区域の各々の温度設定)は、
所望する合金粉末の粒径や製造条件(例えばキャリアー
ガスの流速等)に基づいて適宜異ならせることができ
る。
【0033】一方、本実施形態に係る捕集器24は、反
応管20内で生成したAu−Pd合金粉末を捕集するた
めの装置である。かかる目的の捕集器24としては、静
電力によって微細な粉末を捕集する静電捕集器が好適で
ある。かかる静電式の捕集器24を採用すると、反応管
20内で生成されるとともに接続管22を介して捕集器
24内に導入されたAu−Pd合金粉末を効率よく静電
力にて捕集(回収)することができる。また、バグフィ
ルタやサイクロン等も好適である。なお、Au−Pd合
金粉末とともに捕集器24内に導入されるキャリアーガ
スは、排気管26から図示しない外部ガス処理部へと排
気される。
【0034】
【実施例】 以下、本発明に関するいくつかの実施例を
説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定す
ることを意図したものではない。
【0035】<実施例1:Au−Pd(70/30)合
金粉末の製造および評価>金(粒状)を、この金1g当
たり4ml以上の王水に溶解させ、脱硝処理および脱酸
処理を行った。次いで、気体(CO2 )が発生しなくな
るまで(系のpHが7を超えるまで)炭酸ナトリウムを
添加した。その後、50℃以上の温度まで攪拌しつつ加
熱し、析出したAu(OH)3 をブフナー濾過により分
別して水洗した。得られたAu(OH)3 を濃硝酸に加
熱溶解させて、水酸化金の硝酸溶液を得た。この溶液の
メタルコンテントは5.05wt%、比重は1.39g
/cm3 であった。一方、パラジウム(粉末状)を濃硝
酸に加熱溶解させ、パラジウム濃度約10wt%の硝酸
溶液を作製した。得られた硝酸パラジウム(Pd(NO
32)溶液のメタルコンテントは8.72wt%、比重
は1.44g/cm3 であった。この硝酸溶液における
パラジウムの主イオンはPd2+である。以下、この(酸
化処理前の)硝酸パラジウム溶液を「硝酸パラジウム(I
I)溶液」という。
【0036】上記硝酸パラジウム(II)溶液に酸化処理を
施した。すなわち、この硝酸パラジウム(II)溶液に、P
dに対して約3倍量(モル換算)のH22を加えて常温
で攪拌した。その後、この溶液を攪拌しつつ加熱して、
溶液中に残存するH22を除去した。得られた硝酸パラ
ジウム溶液のメタルコンテントは8.68wt%、比重
は1.44g/cm3 であった。この酸化処理後の硝酸
パラジウム溶液におけるパラジウムの主イオンはPd4+
であると推察される。以下、この酸化処理後の硝酸パラ
ジウム溶液を「硝酸パラジウム(IV)溶液」という。
【0037】上記で得られた水酸化金の硝酸溶液と硝酸
パラジウム(IV)溶液とを、Au/Pdの重量比が70/
30となるような割合で混合した。そして、噴霧器から
発生する液滴径を4.0μmとして、熱分解後に得られ
る粉末の径が0.5μmとなる溶液濃度を算出した。こ
の溶液濃度に合うように上記混合溶液を濃硝酸で希釈し
た。なお、この混合溶液は安定で均一なものであり、金
属の析出等はみられなかった。超音波噴霧器を用いて濃
度調整後の混合溶液を噴霧し、この混合溶液から微小液
滴(ミスト)を生成させた。このミストを、N2をキャ
リアーガスとして1100℃に保持された反応管に通過
させた。乾燥・熱分解後に残った微粉末を静電捕集器に
て捕集した。
【0038】図2は、捕集された微粉末の走査電子顕微
鏡写真である。この図2から判るように、得られた微粉
末はほぼ球状であり、かつ滑らかな表面を有し、さらに
その粒径はほぼ均一であった。また、粒子の凝集等はみ
られず、分散性も良好であった。これらの微粉末の平均
粒径は約0.5μmであった。また、化学分析の結果に
よれば、この微粉末に含まれるAuの割合は70wt%
であった。すなわち、噴霧熱分解に用いた混合溶液の組
成に対応したAu−Pd合金組成を有する粉末が形成さ
れていた。本実施例により得られた微粉末のX線回折パ
ターンを図3(a)に、そのピークデータを図3(b)
に示す。また、参照用として、酸化パラジウム(Pd
O)のX線回折パターンに基づくピークデータを図3
(c)に、Pd単体のX線回折パターンに基づくピーク
データを図3(d)に、Au単体のX線回折パターンに
基づくピークデータを図3(e)に示す。図3(b)、
(d)、(e)のピークデータの比較から判るように、
本実施例により得られた微粉末ではPd単体およびAu
単体のピークは消失しており、その間に一本のシャープ
なピークが観測された。このことから、AuとPdとが
合金化されていることが確認された。なお、図3(b)
と図3(c)との比較から、得られた微粉末は酸化パラ
ジウムをほとんど含まず、純度の高いAu−Pd合金か
ら構成されていることが判る。
【0039】<実施例2:Au−Pd(50/50)合
金粉末の製造および評価>上記水酸化金の硝酸溶液と上
記硝酸パラジウム(IV)溶液との混合割合を、Au/Pd
の重量比が50/50となるような割合として混合溶液
を調製した。その他の点については実施例1と同様にし
て微粉末を得た。なお、上記混合溶液は安定なものであ
った。得られた微粉末を解析した結果、この微粉末はA
u含有量50wt%のAu−Pd合金からなり、実施例
1により得られた微粉末と同様に、平均粒径が約0.5
μmであり、ほぼ球状で滑らかな表面を有し、その粒径
もほぼ均一で分散性の良いものであった。
【0040】<実施例3:Au−Pd(30/70)合
金粉末の製造および評価>上記水酸化金の硝酸溶液と上
記硝酸パラジウム(IV)溶液との混合割合を、Au/Pd
の重量比が30/70となるような割合として混合溶液
を調製した。その他の点については実施例1と同様にし
て微粉末を得た。なお、上記混合溶液は安定なものであ
った。得られた微粉末を解析した結果、この微粉末はA
u含有量30wt%のAu−Pd合金からなり、実施例
1により得られた微粉末と同様に、平均粒径が約0.5
μmであり、ほぼ球状で滑らかな表面を有し、その粒径
もほぼ均一で分散性の良いものであった。
【0041】<比較例1:酸化処理を行わない製造例
(1)>メタルコンテント12.5wt%、比重1.1
8g/cm3の塩化金酸水溶液と、メタルコンテント
9.86wt%、比重1.16g/cm3の塩化パラジ
ウム酸水溶液とを用意した。この塩化金酸水溶液と塩化
パラジウム酸水溶液とを、Au/Pdの重量比が70/
30となるような割合で混合した。その他の点について
は実施例1と同様に噴霧熱分解を行って微粉末を得た。
この微粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、楕円
形等の歪な粒子が多く、球状微粉末を得ることはできな
かった。
【0042】<比較例2:酸化処理を行わない製造例
(2)>塩化金酸水溶液と塩化パラジウム酸水溶液との
混合割合を、Au/Pdの重量比が30/70となるよ
うな割合とした。その他の点については実施例1と同様
にして微粉末を得た。この微粉末を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、楕円形等の歪な粒子が多く、また粒径
0.1μm以下の超微粉末も数多く存在し、粒径の均一
な球状微粉末を得ることはできなかった。また、比較例
1と同様に、噴霧熱分解時に発生した塩素ガスにより装
置が腐食された。
【0043】<比較例3:酸化処理を行わない製造例
(3)>上記水酸化金の硝酸溶液と、硝酸パラジウム(I
I)溶液(すなわち、酸化処理を行っていない硝酸パラジ
ウム溶液)とを、Au/Pdの重量比が70/30とな
るような割合で混合した。その結果、混合直後から溶液
中に沈殿が析出し始め、安定して噴霧できるような混合
溶液を得ることができなかった。この析出物を分析した
ところ、成分の大部分はAuであった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のAu−P
d合金粉末は、比較的小さな平均粒径(0.1〜1μ
m)を有するとともにほぼ球状に形成されていることか
ら、充填性および分散性が良好である。また、このAu
−Pd合金粉末を用いて形成された導体膜は、例えばA
u粉末を用いて形成された導体膜に比べて、半田耐熱性
等がより良好である。このAu−Pd合金粉末およびビ
ヒクルを主成分とする本発明の導体ペーストによると、
上記粒径および形状を有するAu−Pd合金粉末を含有
することにより、緻密で電気的特性等に優れた導体膜
(例えばMLCCの内部電極等に用いられる導体膜)を
精度よく形成することができる。また、この導体ペース
トは、例えば金属粉末としてAu粉末のみを用いた導体
ペーストに比べて、より優れた高温焼成適性を有する。
【0045】本発明の貴金属合金粉末の製造方法による
と、まずA溶液とB溶液との少なくとも一方に酸化処理
または還元処理を施す。上記酸化処理または還元処理に
よって各溶液に含まれる主イオンのイオン化傾向を近づ
けた後に両溶液を混合することにより、この混合溶液か
らの金属の析出が防止または抑制されて、噴霧に適した
安定な原料溶液を調製することができる。その後、この
原料溶液を噴霧熱分解させることにより、比較的小さな
平均粒径(0.1〜1μm)を有するとともにほぼ球状
に形成された貴金属合金粉末を形成させることができ
る。この貴金属合金粉末の製造方法を適用することによ
り、本発明のAu−Pd合金粉末を安定して製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る合金粉末製造装置
の構成を模式的に説明する図である。
【図2】 実施例1により得られたAu−Pd合金粉末
の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】 (a)は実施例1により得られたAu−Pd
合金粉末のX線回折パターン、(b)はそのピークデー
タ、(c)はPdOのX線回折パターンに基づくピーク
データ、(d)はPd単体のX線回折パターンに基づく
ピークデータ、(e)はAu単体のX線回折パターンに
基づくピークデータである。
【符号の説明】
2:合金粉末製造装置 4:ミスト発生器 20:反応管
フロントページの続き (72)発明者 奥山 喜久夫 広島県東広島市鏡山一丁目4番1号 広島 大学工学研究科内 (72)発明者 ウレット レンゴロ 広島県東広島市鏡山一丁目4番1号 広島 大学工学研究科内 (72)発明者 内藤 宏之 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 飯田 典孝 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 伊藤 弘展 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 尾崎 公彦 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 Fターム(参考) 4K017 AA04 BA02 BB02 CA01 CA07 DA01 EJ01 EK05 4K018 BA01 BB01 BB04 BD04 5G301 DA05 DA11 DA42 DA53 DA55 DA57 DD01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金およびパラジウムを主体とする合金粉
    末であって、平均粒径が0.1〜1μmであり、ほぼ球
    状に形成されている金−パラジウム合金粉末。
  2. 【請求項2】 実質的に金およびパラジウムからなる請
    求項1に記載の金−パラジウム合金粉末。
  3. 【請求項3】 前記合金粉末の70個数%以上が0.1
    〜1μmの粒径を有する請求項1または2に記載の金−
    パラジウム合金粉末。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか一項に記載の
    金−パラジウム合金粉末と、ビヒクルとを主成分として
    含む導体ペースト。
  5. 【請求項5】 相互に異なる二つの貴金属元素Aおよび
    Bを主体とする合金粉末を製造する方法であって、(a).
    前記元素Aのイオンを含むA溶液と、前記元素Bのイオ
    ンを含むB溶液とを調製する工程と、(b).前記A溶液お
    よび前記B溶液の少なくとも一方に酸化処理または還元
    処理を施して前記A溶液中に含まれる前記元素Aの主イ
    オンと前記B溶液中に含まれる前記元素Bの主イオンと
    の標準電極電位の差を縮める工程と、(c).前記(b).工程
    後に前記A溶液と前記B溶液とを混合する工程と、(d).
    前記(c).工程で得られた混合溶液のミストを生成する工
    程と、(e).該ミストを加熱して粉末化する工程と、を包
    含する貴金属合金粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記(b).工程により、前記A溶液中に含
    まれる前記元素Aの主イオンと前記B溶液中に含まれる
    前記元素Bの主イオンとの標準電極電位の差を±0.4
    5V以内とする請求項5に記載の貴金属合金粉末の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 金およびパラジウムを主体とする合金粉
    末を製造する方法であって、(a).Au3+を主イオンとす
    る金溶液と、Pd2+を主イオンとするパラジウム溶液と
    を調製する工程と、(b).前記パラジウム溶液に酸化処理
    を施す工程と、(c).前記(b).工程後に前記金溶液と前記
    パラジウム溶液とを混合する工程と、(d).前記(c).工程
    で得られた混合溶液のミストを生成する工程と、(e).該
    ミストを加熱して粉末化する工程と、を包含する金−パ
    ラジウム合金粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記(b).工程により、前記パラジウム溶
    液の主イオンをPd4+とする請求項7に記載の金−パラ
    ジウム合金粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記Au3+を主イオンとする金溶液は水
    酸化金の硝酸溶液であり、前記Pd2+を主イオンとする
    パラジウム溶液は硝酸パラジウム溶液である請求項7ま
    たは8に記載の金−パラジウム合金粉末の製造方法。
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CN117139638A (zh) * 2023-09-04 2023-12-01 苏州科技大学 高熵合金微纳米球的连续化制备方法

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