JP2006320158A - 定電流駆動回路、それを利用した電子機器および発光ダイオードの駆動方法 - Google Patents

定電流駆動回路、それを利用した電子機器および発光ダイオードの駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 負荷を大電流で安定に駆動可能な定電流駆動回路を提供する。
【解決手段】 定電流駆動回路100は、LED50a〜50cを第1電流Idrv1で駆動し、LED50dを第1電流Idrv1より大きな第2電流Idrv2で駆動する。チャージポンプ回路10は、複数の昇圧率が切り替えられる。定電流回路20a〜20dは、LED50a〜50cdの駆動経路上にそれぞれ設けられる。監視回路24は、定電流回路20a〜20cの両端の電圧を監視する。ステートマシン22は、LED50a〜50cを駆動する際、監視回路24による監視電圧がしきい値電圧Vthを下回ったとき、昇圧率を上昇させる。一方、ステートマシン22は、LED50dを駆動する際、その駆動に先立ち、監視回路24による監視結果に関わらず、チャージポンプ回路10の昇圧率を2倍に設定する。ステートマシン22は、LED50dを駆動した後、昇圧率を1倍に再設定する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、昇圧回路および定電流源により発光ダイオードなどの負荷を定電流駆動する定電流駆動回路に関する。
近年の携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)等の小型情報端末においては、例えば液晶のバックライトに用いられる発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下LEDともいう)などのように電池の出力電圧よりも高い電圧を必要とするデバイスが存在する。これらの小型情報端末では、Liイオン電池が多く用いられ、その出力電圧は通常3.5V程度であり、満充電時においても4.2V程度であるが、LEDはその駆動電圧として電池電圧よりも高い電圧を必要とする。このように、電池電圧よりも高い電圧が必要とされる場合には、チャージポンプ回路などを用いた昇圧型の電源装置を用いて電池電圧を昇圧し、LEDなどの負荷回路を駆動するために必要な電圧を得ている。
このような電源装置により、LEDを駆動する際には、LEDの駆動経路上に定電流回路を接続して、LEDに流れる電流を一定に保つことによってその発光輝度の制御の安定化を図っている(特許文献1参照)。
LEDのカソード端子に接続された定電流回路を安定に動作させるためには、定電流回路を構成するトランジスタが定電流領域で動作する必要がある。ここでトランジスタの定電流領域とは、バイポーラトランジスタでは活性領域を、電界効果トランジスタでは飽和領域をいう。定電流回路を構成するトランジスタは、LEDのカソード端子と接地端子間に直列に設けられており、このトランジスタが定電流領域で動作するためには、定電流回路の両端の電圧、すなわちLEDのカソード端子が一定電圧以上に保たれている必要がある。以下、定電流回路が安定動作可能な電圧を単に安定動作電圧という。
ここでLEDを駆動する定電流駆動回路において、昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路を用いる場合を考える(特許文献2参照)。チャージポンプ回路に入力される電池電圧が低下してくると、チャージポンプ回路の出力電圧、すなわちLEDのアノード端子の電圧も降下する。それに伴い、LEDのアノード端子の電圧から順方向電圧Vfだけ降下したLEDのカソード端子の電圧も低下するため、定電流回路を安定に動作させるとができなくなる。したがって、この場合には、LEDのカソード端子の電圧をモニタし、所定の安定動作電圧より低くならないように、チャージポンプ回路の昇圧率を切り替えることによって、定電流回路を安定に動作させることができる。
特開2004−22929号公報 特開平6−78527号公報
上述のように、LEDのカソード端子の電圧をモニタしてチャージポンプ回路の昇圧率を切り替える場合、定電流回路の安定動作電圧に対応したしきい値電圧を設定し、カソード端子の電圧が、このしきい値電圧よりも高くなるように制御する必要がある。
液晶パネルのバックライトとして用いられるLEDには、通常、数mAから数十mAの電流が流される。一方、カメラ付きの携帯電話端末などにおいて、カメラのフラッシュとして使用されるLEDには100mA以上の大電流が流される場合がある。ここで、チャージポンプ回路の電流能力は昇圧率に依存する。チャージポンプ回路の昇圧率が低い場合に大電流を供給すると、その出力電圧が降下し、液晶パネルのバックライト用のLEDの輝度が変動してしまうという問題がある。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷を大電流で安定に駆動可能な定電流駆動回路の提供にある。
本発明のある態様の定電流駆動回路は、第1負荷を所定の第1電流で駆動し、第1負荷と並列に設けられた第2負荷を第1電流より大きな第2電流で駆動する定電流駆動回路に関する。この定電流駆動回路は、第1、第2負荷に駆動電圧を供給する複数の昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路と、第1、第2負荷の駆動経路上にそれぞれ設けられる第1、第2定電流回路と、第1定電流回路の両端の電圧を監視する監視回路と、監視回路による監視結果にもとづきチャージポンプ回路の昇圧率を制御する昇圧制御回路と、を備える。昇圧制御回路は、第1負荷を第1電流で駆動する際、監視回路による監視対象の電圧が所定の設定電圧を下回ったとき、昇圧率を上昇させる一方、第2負荷を第2電流で駆動する際、その駆動に先立ち、監視回路による監視結果に関わらず、チャージポンプ回路の昇圧率を所定値に設定する。
昇圧制御回路は、第2負荷を第2電流で駆動する際、チャージポンプ回路の昇圧率を2倍以上に設定してもよい。
この態様によると、第1負荷のみを駆動する際には、第1定電流回路の両端の電圧が設定電圧を下回る度に昇圧率が上昇するため、第1定電流回路を安定動作させ、第1負荷を第1電流で正確に駆動することができる。一方、第1負荷とともに、あるいは単独で第2負荷を駆動する際には、チャージポンプ回路の昇圧率を十分な電流供給能力を有する所定値にすることにより、負荷を安定に動作させることができる。
昇圧制御回路は、第2負荷を第2電流で駆動した後、チャージポンプ回路の昇圧率を1倍に再設定してもよい。
第2負荷を大電流で駆動した後、チャージポンプ回路の昇圧率を1倍に設定することにより、監視回路および昇圧制御回路によって昇圧率の再判定が行われ、昇圧率を第1負荷を駆動するために最適な値に設定し直すことができる。
昇圧制御回路は、監視電圧が設定電圧を所定の時間継続して下回ったとき、チャージポンプ回路の昇圧率を上昇させてもよい。また、昇圧制御回路は、所定の時間が時定数として設定されたデジタルフィルタを備えてもよい。
ごく短時間、監視電圧が設定電圧を下回っても、負荷の駆動に影響を及ぼさない場合、昇圧率を上昇させる必要はない。この場合、瞬間的に負荷の状態や、チャージポンプ回路の入力、出力電圧が変動したことにより昇圧率が変化するのを防止することができる。
第1、第2負荷は発光ダイオードであってもよい。この場合、第1負荷となる発光ダイオードを第1電流で、第2負荷となる発光ダイオードを大電流駆動することができ、第2負荷となる発光ダイオードの駆動時に、第1発光ダイオードの輝度が変動するのを好適に抑制することができる。
本発明のさらに別の態様もまた、定電流駆動回路である。この定電流駆動回路は、所定の第1電流、または第1電流より大きい第2電流を切り替えて負荷を駆動する定電流駆動回路である。この定電流駆動回路は、負荷に駆動電圧を供給する複数の昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路と、負荷の駆動経路上に設けられた定電流回路と、定電流回路の両端の電圧を監視する監視回路と、監視回路による監視結果にもとづきチャージポンプ回路の昇圧率を制御する昇圧制御回路と、を備える。昇圧制御回路は、負荷を第1電流で駆動する際、監視回路による監視対象の電圧が所定の設定電圧を下回ったとき昇圧率を上昇させる一方、第2電流で駆動する際、監視回路による監視結果に関わらず、チャージポンプ回路の昇圧率を所定値に設定する。
この態様において、負荷回路を第1電流と第2電流のいずれで駆動するかに応じて、チャージポンプ回路の昇圧率の設定プロセスを変更する。負荷を第1電流で駆動する場合、定電流回路の両端の電圧が設定電圧を下回る度に昇圧率が上昇するため、定電流回路を安定動作させることができる。一方、負荷を第2電流で駆動する際には、チャージポンプ回路の昇圧率を十分な電流供給能力を有する所定値にすることにより、負荷を安定に動作させることができる。
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、電池と、第1発光ダイオードと、第2発光ダイオードと、第1、第2発光ダイオードを第1、第2負荷とし、電池の電圧を昇圧して駆動する上述の定電流駆動回路と、を備える。
この態様によると、発光ダイオードの輝度を一定値に保つことができ、発光後の効率を高く設定することができるため、電池の寿命を延ばすことができる。
電子機器は、カメラをさらに備えてもよく、定電流駆動回路は、カメラの撮像時に第2発光ダイオードをフラッシュとして発光させてもよい。
この場合、カメラのフラッシュを使用する際に、第1発光ダイオードの輝度が変動し、液晶パネルの明るさがちらつくのを防止することができる。
本発明のさらに別の態様は、昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路による発光ダイオードの駆動方法に関する。この駆動方法は、発光ダイオードを所定のしきい値電流以上の電流で駆動する際、その駆動に先立ち、チャージポンプ回路の昇圧率を所定値に設定するステップと、発光ダイオードをそのしきい値電流以上の電流で駆動する駆動ステップと、発光ダイオードの駆動後、前記チャージポンプ回路の昇圧率を1倍に再設定するステップと、を備える。
「所定のしきい値電流」とは、定性的には、1倍あるいは1.5倍などの相対的に低い昇圧率において、出力電流の増加に伴いチャージポンプ回路の出力電圧が降下し始める、出力電流の臨海値付近の電流を意味する。このしきい値電流は、チャージポンプ回路の電流供給能力に依存して定まる相対的な値であり、チャージポンプ回路のスイッチングトランジスタのサイズや、フライングキャパシタの容量等に依存する値である。
この態様によれば、発光ダイオードを大電流で駆動する際に、十分な電流供給能力を有する昇圧率に設定することにより、発光輝度を安定させることができる。また、発光後に昇圧率を効率の最も高い1倍に設定し、その後、安定な出力電圧が得られるまで昇圧率を徐々に上げていくことにより、効率の高い状態でダイオードを駆動することができる。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で相互に変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、昇圧回路および定電流源により発光ダイオードなどを定電流駆動する定電流駆動回路において、負荷を大電流で安定に駆動することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る定電流駆動回路100の構成を示す回路図である。この定電流駆動回路100は、複数のLED50に駆動電圧を供給し、定電流駆動する。LED50は、白色LEDであって、その順方向電圧Vfは4V程度である。一方、電池230の電池電圧Vbatは、3〜4V程度であるため、定電流駆動回路100は、電池電圧Vbatを昇圧してLED50に供給する。
図2は、図1の定電流駆動回路100を搭載する電子機器200の構成を示す図である。図2の電子機器200は、たとえば、携帯電話端末やPDAであり、液晶パネル210、カメラ220、電池230、制御回路240、LED50と総称される複数のLED50a〜50d、を備える。
液晶パネル210は、図示しない液晶ドライバによって制御され、ユーザに対して画像情報を提供する。カメラ220は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)やCMOSセンサであり、撮像用に設けられている。
LED50a〜50cは、液晶パネル210の背面に配置されており、バックライトとして動作する。また、LED50dは、カメラ220による撮像時にフラッシュとして機能する。これらのLED50の発光輝度は、定電流駆動回路100によって制御される。
制御回路240は、電子機器200全体を統括的に制御するブロックであり、定電流駆動回路100は、制御回路240からの制御信号CNTにもとづき、LED50の発光輝度を制御する。
図1に戻る。定電流駆動回路100は、入出力端子として、電池電圧Vbatが入力される入力端子102、LED50のアノードに接続され、駆動電圧Voutを出力する出力端子104、LED50のカソードが接続されるLED端子106a〜106d、制御回路240からの制御信号CNTが入力される制御端子108を備える。定電流駆動回路100は、電池電圧Vbatを昇圧し、駆動電圧Voutを出力する。
定電流駆動回路100は、チャージポンプ回路10、定電流回路20と総称される定電流回路20a〜20d、ステートマシン22、監視回路24、レギュレータ30を含む。定電流駆動回路100は、1つの半導体基板上に一体集積化されている。定電流駆動回路100は、第1負荷であるLED50a〜50cを所定の第1電流Idrv1で駆動し、第2負荷であるLED50dを第1電流Idrv1より大きな第2電流Idrv2で駆動する。第1電流Idrv1は、液晶パネル210のバックライトの明るさに応じて調節され、たとえば数mA〜数十mAの範囲で調節される。第1電流Idrv1の電流値は、制御端子108に入力される制御信号CNTに従って設定される。また、第2電流Idrv2は、LED50dをフラッシュとして十分な輝度で発光させるために、たとえば150mAの大電流に設定される。
レギュレータ30は、入力端子102に印加される電池電圧Vbatを降圧し、チャージポンプ回路10へと出力する。レギュレータ30は、トランジスタM1、第1抵抗R1、第2抵抗R2、誤差増幅器32を含む。トランジスタM1はPチャンネルMOSトランジスタであり、ソースが入力端子102に接続され、ドレインがチャージポンプ回路10の入力端子に接続される。誤差増幅器32の反転入力端子には、基準電圧Vrefが印加されており、非反転入力端子には定電流駆動回路100の出力電圧Voutが第1抵抗R1、第2抵抗R2により分圧されて入力される。このレギュレータ30は、Vout=Vref×(R1+R2)/R1が成り立つように、チャージポンプ回路10の入力電圧Vinを帰還制御する。トランジスタM1は、定電流駆動回路100の外部にディスクリート部品を用いて構成されてもよい。
チャージポンプ回路10は、LED50に駆動電圧を供給する。このチャージポンプ回路10は、複数の昇圧率が切り替え可能に構成され、入力電圧Vinを後述のステートマシン22により指定された昇圧率CPxで昇圧して出力する。本実施の形態において、チャージポンプ回路10の昇圧率は、1倍、1.5倍、2倍の3通りが切り替え可能となっている。チャージポンプ回路10の入力電圧Vinと、出力電圧Voutには、ステートマシン22により指定される昇圧率CPxを用いて、Vout=Vin×CPxの関係が成り立つ。チャージポンプ回路10には、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2が定電流駆動回路100の外部に外付けされている。
図3は、チャージポンプ回路10の構成を示す回路図である。チャージポンプ回路10は、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、およびこれらのキャパシタの接続状態を制御するための第1スイッチSW1から第9スイッチSW9、スイッチング制御部12を含む。以下、これらのスイッチを特に区別する必要のないときはスイッチSWと総称する。第1キャパシタC1および第2キャパシタC2は容量値が等しく設定され、集積回路の外部に外付けされている。
第1スイッチSW1から第9スイッチSW9は、NチャンネルまたはPチャンネルのMOSトランジスタによって構成することができ、ゲートに印加する電圧によってドレインソース間の導通状態を制御し、スイッチング素子として動作させることができる。スイッチング制御部12は、ステートマシン22により指定された昇圧率CPxにもとづいて、第1スイッチSW1から第9スイッチSW9のオンオフの状態を制御する。
昇圧率CPxが1倍に設定されるときには、スイッチング制御部12によって、第1スイッチSW1、第3スイッチSW3、第7スイッチSW7、第8スイッチSW8が定常的にオンされ、その他のスイッチはすべてオフされる。その結果、入力端子102と出力端子104がオンしたスイッチによって導通状態となるため、入力端子102に印加された入力電圧Vinが出力端子104から出力され、昇圧率が1倍に設定されることになる。
次に、昇圧率CPxが1.5倍に設定されるときの動作について説明する。昇圧率CPxが1より大きいとき、すなわち昇圧動作を行う場合には、チャージポンプ回路10は、スイッチの接続状態の異なる第1期間、第2期間を繰り返す。
第1期間においては、第1スイッチSW1、第5スイッチSW5、第6スイッチSW6をオンし、その他のスイッチをすべてオフすることにより、第1キャパシタC1および第2キャパシタC2を直列に接続し、入力電圧Vinで充電する。第1キャパシタC1および第2キャパシタC2の容量値は等しいため、2つのキャパシタは、それぞれ電池電圧の1/2となるVin/2で充電される。
第2期間では、第2スイッチSW2と第7スイッチSW7、第4スイッチSW4と第8スイッチSW8をオンし、その他のスイッチをすべてオフする。このとき、入力端子14と出力端子16間には、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2が並列に接続される。その結果、出力端子104からは、入力端子14に印加された入力電圧Vinと、キャパシタの充電電圧の和が出力されることになる。第1期間において、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2は電圧Vin/2で充電されているため、結局、出力端子16からは、Vin+Vin/2=1.5×Vinの電圧が出力される。
このように、チャージポンプ回路10は、第1期間と第2期間を繰り返すことにより入力電圧Vinを1.5倍して出力する。
次に、昇圧率が2倍に設定されるときの動作について説明する。
第1期間においては、第1スイッチSW1と第9スイッチSW9、第3スイッチSW3と第6スイッチSW6をオンし、その他のスイッチをすべてオフする。第1キャパシタC1および第2キャパシタC2は、入力端子14と接地端子GND間に並列に接続されることになり、それぞれは、入力電圧Vinで充電される。
第2期間においては、第2スイッチSW2と第7スイッチSW7、第4スイッチSW4と第8スイッチSW8がオンし、他のスイッチはすべてオフされる。その結果、入力端子102と出力端子104間には、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2が並列に接続される。出力端子104からは、入力端子14に印加された入力電圧Vinと、キャパシタの充電電圧の和が出力されることになる。第1期間において、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2はそれぞれ入力電圧Vinで充電されているため、出力端子16からは、Vin+Vin=2×Vinの電圧が出力される。
このようにチャージポンプ回路10は、第1期間と第2期間を繰り返すことにより、入力電圧Vinを2倍して出力する。
図1に戻る。チャージポンプ回路10の出力電圧Voutは、出力端子104を介してLED50のアノード端子に出力される。LED50の各カソード端子は、LED端子106に接続される。LED端子106a〜106dと接地間には、定電流回路20a〜20dがそれぞれ設けられている。定電流回路20は、予め設定された定電流Icを生成する。定電流回路20により生成される定電流Icは、各LED50の駆動電流Idrvとなる。本実施の形態において、定電流回路20a〜20cが、第1負荷であるLED50a〜50cの駆動経路上に設けられる第1定電流回路に相当し、定電流回路20dが、第2負荷であるLED50dの駆動経路上に設けられる第2定電流回路に相当する。
定電流回路20が所定の定電流を生成するためには、定電流回路20の内部に使用されるトランジスタが定電流領域で動作する必要がある。したがって、LED端子106の電圧が定電流回路20が安定に動作可能な電圧を下回ると、LED50を所望の輝度で発光させることができなくなる。そこで、監視回路24は、定電流回路20が安定に動作可能な電圧をしきい値電圧Vthとして設定し、第1定電流回路である定電流回路20a〜20cの両端の電圧、すなわちLED端子106a〜106cの電圧(以下、LED電圧という)Vled1a〜Vled1cが、しきい値電圧Vthを下回らないように監視する。
監視回路24は、各定電流回路20a〜20cごとに、コンパレータ26a〜26cを備える。各コンパレータ26a〜26cには、しきい値電圧VthとLED電圧Vled1a〜Vled1cがそれぞれ入力される。コンパレータ26は、Vled1>Vthのときハイレベル、Vled1<Vthのときローレベルとなる比較信号Vc1a〜Vc1cを出力する。監視回路24は各定電流回路20a〜20cの監視結果をステートマシン22へと出力する。
ステートマシン22は、監視回路24による監視結果にもとづきチャージポンプ回路10の昇圧率CPxを制御する昇圧制御回路である。ステートマシン22は、LED50a〜50cを第1電流Idrv1で駆動する際、監視回路24による監視対象のLED電圧Vled1a〜Vled1cのいずれか1つがしきい値電圧Vthを下回ったとき、昇圧率CPxを上昇させる。
ステートマシン22は、その内部に図示しないアンドゲートと、アンドゲートの出力に接続されるデジタルフィルタを含んでもよい。アンドゲートは、監視回路24から出力される比較信号Vc1a〜Vc1cの論理積を演算し、その出力をデジタルフィルタに出力する。デジタルフィルタの時定数は、たとえば2ms程度の所定の値に設定される。LED電圧Vled1a〜Vled1cのいずれかが、しきい値電圧Vthを下回ると、アンドゲートの出力はローレベルとなる。デジタルフィルタは、アンドゲートの出力が時定数の2ms以上ローレベルとなると、昇圧信号を出力して、チャージポンプ回路10の昇圧率を上昇させる。
たとえば、現在の昇圧率CPxが1倍のとき、昇圧信号が出力されると、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxは1.5倍に切り替えられる。同様に、現在の昇圧率CPxが1.5倍のとき、昇圧信号が出力されるとチャージポンプ回路10の昇圧率CPxは2倍に切り替えられる。
LED50dの駆動経路上には、定電流回路20dと直列にスイッチSW20が設けられている。この発光スイッチSW20のオンオフは、制御端子108に入力される制御信号CNTにより制御され、制御信号CNTがハイレベルのときスイッチSW20がオンし、ローレベルのときスイッチSW20がオフする。スイッチSW20がオンすると、LED50dには、定電流回路20dにより生成される100mA以上の大電流が流れ、高輝度で発光する。制御信号CNTは、図2のカメラ220のシャッターと同期している。
制御信号CNTは、ステートマシン22にも入力されている。ステートマシン22は、制御信号CNTがハイレベルになると、監視回路24から出力される監視結果に関わらず、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxを2倍に設定する。
また、ステートマシン22は、制御信号CNTがハイレベルからローレベルに切り替わると、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxを1倍に再設定する。
以上のように構成された定電流駆動回路100の動作について説明する。図4は、図1の定電流駆動回路100の状態遷移図である。
電子機器200の電源がオンされ、各ブロックが動作状態となると、定電流駆動回路100は、初期状態であるスタンバイモードS1となる。スタンバイモードS1において、電池電圧Vbatが所定のしきい値より高いことを確認すると、ソフトスタートモードS2に遷移する(T12)。
ソフトスタートモードS2において、定電流駆動回路100は、回路の初期化、LED50の実装の有無などを確認する。さらに、ソフトスタートモードS2において、外部のソフトウエアから、定電流駆動回路100に駆動電流Idrvの設定指示がなされる。定電流駆動回路100の定電流回路20は、指示された定電流を生成するように制御される。
このソフトスタートモードにおいて、ステートマシン22は、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxを1倍に設定し、突入電流が発生しないように、ソフトスタートを行い、出力電圧Voutを緩やかに立ち上げる。
ソフトスタート動作の完了後、ノーマル1倍モードS3へと遷移する(T23)。ノーマル1倍モードS3においては、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxは1倍に設定される。電池電圧Vbatの消耗により出力電圧Voutが低下すると、LED50a〜50cのカソード端子の電圧、すなわちLED電圧Vled1a〜Vled1cも低下していく。ステートマシン22、監視回路24は、LED電圧Vled1a〜Vled1cを監視しており、しきい値電圧Vthを2ms継続して下回ると、上述のように昇圧率CPxを1段階上昇させ、ノーマル1.5倍モードS4へと遷移する(T34)。
ノーマル1.5倍モードS4において、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxは1.5倍に設定されている。電池電圧Vbatがさらに消耗し、出力電圧Voutが低下すると、LED電圧Vled1a〜Vled1cも低下していく。ステートマシン22、監視回路24は、LED電圧Vled1a〜Vled1cが、しきい値電圧Vthを2ms継続して下回ると、昇圧率CPxを1段階上昇させ、ノーマル2倍モードS5へと遷移する(T45)。ノーマル2倍モードS5において、ステートマシン22はチャージポンプ回路10の昇圧率CPxを2倍に設定する。
ノーマル1倍モードS3、ノーマル1.5倍モードS4、ノーマル2倍モードS5において、LED50を駆動する最中に、図1に図示しない異常検出回路によって、負荷の短絡などの異常を検出すると、ステートマシン22はエラーモードS6へと遷移する(T36、T46、T56)。エラーモードS6は、例えばLED端子のショート状態等の機械的な異常や、出力端子104が地絡した等のエラーが発生したと判断した場合のモードであり、チャージポンプ回路10の昇圧動作を停止する。エラーモードS6から、所定の時間、たとえば100ms経過後に、ステートマシン22は、スタンバイモードS1に遷移する(T61)。
ノーマル1倍モードS3または、ノーマル1.5倍モードS4において動作中に、電子機器200のユーザがカメラ220を起動したとする。このとき、制御回路240は、フラッシュとして動作するLED50dを発光させるために、制御信号CNTをハイレベルとする。制御信号CNTがハイレベルとなると、監視回路24の監視結果にかかわらず、ステートマシン22はチャージポンプ回路10の昇圧率CPxを2倍に切り替える(T35、T45’)。制御信号CNTは、カメラのシャッターのタイミングと同期して生成されるため、撮影時に制御信号CNTにより発光スイッチSW20がオンし、LED50dに大きな駆動電流Idrv2が流れ、フラッシュとして動作させることができる。
その後、制御信号CNTがローレベルとなると、ノーマル2倍モードS5からノーマル1倍モードS3に遷移する(T53)。ノーマル1倍モードS3に遷移し、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxが1倍に設定されると、監視回路24は、再びLED電圧Vled1a〜Vled1cの監視を開始し、最適な昇圧率に再設定される。
以上、本実施の形態に係る電子機器200の動作について説明した。この電子機器200によれば、以下の効果を得ることができる。
一般に、チャージポンプ回路10は、昇圧率が低いほど高効率に負荷に電力を供給できる一方、負荷に対する電流の供給能力は低下する。したがって、LED50dを大電流を流して発光させる際に、チャージポンプ回路10の昇圧率が低いと、出力電圧Voutが降下してしまう。出力電圧Voutが降下すると、LED端子106a〜106cのLED電圧Vled1a〜Vled1cも降下してしまうため、定電流回路20a〜20cが安定に駆動電流Idrv1を生成できなくなってしまい、液晶パネル210のバックライトの輝度が変動することになる。
逆に、チャージポンプ回路10の昇圧率が高い場合、効率は低下する反面、負荷に対して多くの電流を安定に供給することができる。そこで、本実施の形態に係る定電流駆動回路100は、LED50dを大電流で駆動する前に、昇圧率を監視回路24の監視結果にかかわらず、無条件で2倍に設定する。その結果、チャージポンプ回路10から大電流を供給しても、出力電圧Voutが降下するのを防止することができ、撮影の間にも液晶パネル210のバックパネルの輝度を一定に保つことができる。
また、LED50dの発光後、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxを最も効率の高い1倍に設定し、その後、監視回路24およびステートマシン22によって、LED50a〜50cを所定の第1電流Idrv1で駆動できるように、昇圧率を必要に応じて1.5倍、あるいは2倍に設定することにより、最も効率の高い状態に戻すことができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、チャージポンプ回路10の昇圧率が1倍、1.5倍、2倍の3つを切り替え可能の場合について説明したが、1倍と2倍のみを切り替え可能な構成であってもよいし、あるいは4つ以上の昇圧率が切り替え可能に構成されてもよい。
また、2倍以上の昇圧率が選択可能なチャージポンプ回路10の場合、LED50dを大電流で駆動する際に、負荷に対して十分な電流供給能力を有する昇圧率に設定すればよい。すなわち、大電流が必要とされる場合、高い昇圧率に設定すればよいし、それほど大きくない電流の場合、低い昇圧率に設定すればよい。
実施の形態では、複数のLEDを負荷として駆動する場合について説明したが、これには限定されず、定電流駆動回路100は単一のLEDを、第1電流Idrv1と、第2電流Idrv2で切り替えて駆動してもよい。この場合、第1電流Idrv1で駆動する際には、ステートマシン22は、監視回路24による監視結果にもとづいて昇圧率を上昇させる一方、第2電流Idrv2で駆動する際には、監視回路24による監視結果に関わらず、チャージポンプ回路10の昇圧率CPxを所定値の2倍に設定してもよい。さらにこの場合、第2電流Idrv2による駆動後、昇圧率を1倍に再設定してもよい。
実施の形態では、定電流駆動回路100に接続する負荷としてLED50を例に挙げたが、これは当然、定電流駆動回路100を電力源として動作する機器であればよく、例えばファン、ヒーター、モータや通信ユニットなどであってもよい。
実施の形態において、定電流駆動回路100を構成する回路素子、各ブロックはすべて一体集積化されていてもよく、あるいは複数の集積回路に分けて集積化されていてもよい。さらに、その一部がディスクリート部品で構成されていてもよい。どの部分を集積化するかは、コストや占有面積などによって決めればよい。
実施の形態に係る定電流駆動回路の構成を示す回路図である。 図1の定電流駆動回路を搭載する電子機器の構成を示す図である。 チャージポンプ回路の構成を示す回路図である。 図1の定電流駆動回路の状態遷移図である。
符号の説明
100 定電流駆動回路、 200 電子機器、 210 液晶パネル、 220 カメラ、 230 電池、 240 制御回路、 10 チャージポンプ回路、 20 定電流回路、 22 ステートマシン、 24 監視回路、 30 レギュレータ、 50 LED。

Claims (12)

  1. 第1負荷を所定の第1電流で駆動し、前記第1負荷と並列に設けられた第2負荷を前記第1電流より大きな第2電流で駆動する定電流駆動回路であって、
    前記第1、第2負荷に駆動電圧を供給する複数の昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路と、
    前記第1、第2負荷の駆動経路上にそれぞれ設けられる第1、第2定電流回路と、
    前記第1定電流回路の両端の電圧を監視する監視回路と、
    前記監視回路による監視結果にもとづき前記チャージポンプ回路の昇圧率を制御する昇圧制御回路と、を備え、
    前記昇圧制御回路は、前記第1負荷を前記第1電流で駆動する際、前記監視回路による監視対象の電圧が所定の設定電圧を下回ったとき、前記昇圧率を上昇させる一方、前記第2負荷を前記第2電流で駆動する際、その駆動に先立ち、前記監視回路による監視結果に関わらず、前記チャージポンプ回路の昇圧率を所定値に設定することを特徴とする定電流駆動回路。
  2. 前記昇圧制御回路は、前記第2負荷を前記第2電流で駆動する際、前記チャージポンプ回路の昇圧率を2倍以上に設定することを特徴とする請求項1に記載の定電流駆動回路。
  3. 前記昇圧制御回路は、前記第2負荷を前記第2電流で駆動した後、前記チャージポンプ回路の昇圧率を1倍に再設定することを特徴とする請求項1に記載の定電流駆動回路。
  4. 前記昇圧制御回路は、前記監視電圧が前記設定電圧を所定の時間継続して下回ったとき、前記チャージポンプ回路の昇圧率を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の定電流駆動回路。
  5. 前記昇圧制御回路は、前記所定の時間が時定数として設定されたデジタルフィルタを備えることを特徴とする請求項4に記載の定電流駆動回路。
  6. 前記第1、第2負荷は発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の定電流駆動回路。
  7. ひとつの半導体基板上に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の定電流駆動回路。
  8. 所定の第1電流、または前記第1電流より大きい第2電流を切り替えて負荷を駆動する定電流駆動回路であって、
    前記負荷に駆動電圧を供給する複数の昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路と、
    前記負荷の駆動経路上に設けられた定電流回路と、
    前記定電流回路の両端の電圧を監視する監視回路と、
    前記監視回路による監視結果にもとづき前記チャージポンプ回路の昇圧率を制御する昇圧制御回路と、を備え、
    前記昇圧制御回路は、前記負荷を前記第1電流で駆動する際、前記監視回路による監視対象の電圧が所定の設定電圧を下回ったとき前記昇圧率を上昇させる一方、前記第2電流で駆動する際、前記監視回路による監視結果に関わらず、前記チャージポンプ回路の昇圧率を所定値に設定することを特徴とする定電流駆動回路。
  9. 電池と、
    第1発光ダイオードと、第2発光ダイオードと、
    前記第1、第2発光ダイオードを前記第1、第2負荷とし、前記電池の電圧を昇圧して駆動する請求項6に記載の定電流駆動回路と、
    を備えることを特徴とする電子機器。
  10. カメラをさらに備え、
    前記定電流駆動回路は、前記カメラの撮像時に前記第2発光ダイオードをフラッシュとして発光させることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
  11. 液晶パネルをさらに備え、
    前記第1発光ダイオードは、前記液晶パネルのバックライトとして機能することを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
  12. 昇圧率が切り替え可能なチャージポンプ回路による発光ダイオードの駆動方法であって、
    発光ダイオードを所定のしきい値電流以上の電流で駆動する際、その駆動に先立ち、前記チャージポンプ回路の昇圧率を所定値に設定するステップと、
    前記発光ダイオードを前記所定のしきい値電流以上の電流で駆動する駆動ステップと、
    前記発光ダイオードの駆動後、前記チャージポンプ回路の昇圧率を1倍に再設定するステップと、
    を備えることを特徴とする発光ダイオードの駆動方法。
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