JP2006317520A - 液晶滴下工法用シール剤、液晶滴下工法用遮光性シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶滴下工法用シール剤、液晶滴下工法用遮光性シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子 Download PDF

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満 谷川
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貴志 渡邉
Yuichi Oyama
雄一 尾山
Takuya Yamamoto
拓也 山本
Hideyasu Nakajima
秀康 中嶋
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Abstract

【課題】液晶表示素子の製造において、光が直接照射されない部分であっても、充分に硬化させることができ、その成分が液晶中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示素子の製造に最適である液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供する。
【解決手段】環状エーテル基を有する硬化性化合物、光カチオン開始剤、及び、熱カチオン開始剤を含有する液晶滴下工法用シール剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示素子の製造において、光が直接照射されない部位であっても充分に硬化させることができ、その成分が液晶中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示素子の製造に最適である液晶滴下工法用シール剤、液晶滴下工法用遮光性シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子に関する。
従来、液晶表示セル等の液晶表示素子は、2枚の電極付き透明基板を、所定の間隔をおいて対向させ、その周囲を硬化性樹脂組成物からなるシール剤で封着してセルを形成し、その一部に設けられた液晶注入口からセル内に液晶を注入し、その液晶注入口をシール剤又は封口剤を用いて封止することにより作製されていた。
この方法では、まず、2枚の電極付き透明基板のいずれか一方に、スクリーン印刷により熱硬化性シール剤を用いた液晶注入口を設けたシールパターンを形成し、60〜100℃でプリベイクを行いシール剤中の溶剤を乾燥させる。次いで、スペーサを挟んで2枚の基板を対向させてアライメントを行い貼り合わせ、110〜220℃で10〜90分間熱プレスを行いシール近傍のギャップを調整した後、オーブン中で110〜220℃で10〜120分間加熱しシール剤を本硬化させる。次いで、液晶注入口から液晶を注入し、最後に封口剤を用いて液晶注入口を封止して、液晶表示素子を作製していた。
しかし、この作製方法によると、熱歪により位置ズレ、ギャップのバラツキ、シール剤と基板との密着性の低下等が発生する;残留溶剤が熱膨張して気泡が発生しキャップのバラツキやシールパスが発生する;シール硬化時間が長い;プリベイクプロセスが煩雑;溶剤の揮発によりシール剤の使用可能時間が短い;液晶の注入に時間がかかる等の問題があった。とりわけ、近年の大型の液晶表示装置にあっては、液晶の注入に非常に時間がかかることが大きな問題となっていた。
これに対して、硬化型の樹脂組成物からなるシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶表示素子の製造方法が検討されている。滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、スクリーン印刷等により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール剤に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、必要に応じて液晶アニール時に加熱して更に硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができる。今後はこの滴下工法が液晶表示装置の製造方法の主流となると期待されている。
このような滴下工法に用いる液晶表示素子用シール剤としては、例えば、特許文献1に、紫外線を照射することで発生したラジカルで光硬化させ、更に、含有する熱硬化剤で熱硬化させる光熱硬化併用シール剤が開示されている。
しかし、近年、液晶パネルの狭額縁化の進行に伴って、透明基板上に形成する液晶表示素子用シール剤パターンが、ブラックマトリックス(BM)や配線と重なる位置になる場合が多くなっている。このようにBMや配線と重なった部分のシール剤は、仮硬化を行う際の紫外線が直接に照射されないため、シール剤中に未硬化の部分ができるという問題があった。
滴下工法により液晶表示素子を製造する場合、液晶表示素子用シール剤中に紫外線照射によって硬化しない部位が存在すると、(1)加熱硬化に長時間を要するとともに、加熱によりシール剤中の成分が液晶へ拡散・溶出しやすくなる、(2)液だれや基板間のギャップ精度不良の原因となる、(3)光硬化後に接着性の全くない部位が存在することとなるため、上下基板の位置ずれが発生するといった問題があった。
特開2001−133794号公報
本発明は、上記現状に鑑み、液晶表示素子の製造において、光が直接照射されない部分であっても、充分に硬化させることができ、その成分が液晶中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示素子の製造に最適である液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、環状エーテル基を有する硬化性化合物、光カチオン開始剤、及び、熱カチオン開始剤を含有する液晶滴下工法用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、滴下工法により液晶表示素子製造する際に使用するシール剤を、環状エーテル基を有する硬化性化合物、光カチオン開始剤及び熱カチオン開始剤とを含有するカチオン重合性のものとすることで、シール剤に紫外線等の光が直接に照射されない部分が存在していても、該部分を充分に光硬化させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、光カチオン開始剤は、光が当たるとプロトン酸又はルイス酸を発生するものであり、それらによって環状エーテル基を有する硬化性化合物を硬化させるものである。また、プロトン酸又はルイス酸は、一旦発生すれば塩基性化合物と塩を形成しなければ失活することはなく、少量でも存在すれば充分に環状エーテル基を有する硬化性化合物を硬化させることが可能になる。また、上記光カチオン開始剤から発生したプロトン酸又はルイス酸によって環状エーテル基を有する硬化性化合物が硬化する際には熱が発生し、この発生した熱が上記熱カチオン開始剤を分解してプロトン酸又はルイス酸を発生させ、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物を硬化させる。そして、この熱カチオン開始剤による上記硬化性化合物の硬化反応によっても熱が発生し、更に上記熱カチオン開始剤が分解してプロトン酸又はルイス酸が発生し、上記硬化性化合物の硬化反応が連続的に進行する。これに対して、ラジカル系開始剤を用いたものでは、光が当たってラジカルが発生すれば、反応自体は早いが、ラジカル自体はすぐに失活してしまい、硬化反応が連続的に進行することができない。
このような硬化メカニズムにより、本発明の滴下工法用シール剤は、光を照射することで、環状エーテル基を有する硬化性化合物の硬化反応が連続的に伝播するため、BMや配線と重なって光が直接照射されない部分であっても、充分に硬化させることが可能となる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤(以下、単に本発明のシール剤ともいう)は、環状エーテル基を有する硬化性樹脂を含有する。
上記環状エーテル基を含有する化合物としては特に限定されず、例えば、エポキシ基を有するエポキシ化合物、脂環式エポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、オキセタン基を有するオキセタン化合物、フラン化合物等が挙げられる。なかでも、反応速度の観点からエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物が好適である。
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等のノボラック型;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、水添ビスフェノール型、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型等のビスフェノール型等が挙げられる。また、その他にグリシジルアミン等も挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物の市販品としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、エピクロンN−740、N−770、N−775(以上、いずれも大日本インキ化学社製)、エピコート152、エピコート154(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。クレゾールノボラック型としては、例えば、エピクロンN−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−695、N−665−EXP、N−672−EXP(以上、いずれも大日本インキ化学社製);ビフェニルノボラック型としては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製);トリスフェノールノボラック型としては、例えば、EP1032S50、EP1032H60(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製);ジシクロペンタジエンノボラック型としては、例えば、XD−1000−L(日本化薬社製)、HP−7200(大日本インキ化学社製);ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン850、エピクロン860、エピクロン4055(以上、いずれも大日本インキ化学工業社製);ビスフェノールF型エポキシ化合物の市販品としては、例えば、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン830(大日本インキ化学工業社製);2,2’−ジアリルビスフェノールA型としては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製);水添ビスフェノール型としては、例えば、ST−5080(東都化成社製);ポリオキシプロピレンビスフェノールA型としては、例えば、EP−4000、EP−4005(以上、いずれも旭電化工業社製)等が挙げられる。
また、上記グリシジルアミンの市販品としては、例えば、エピクロン430(大日本インキ化学工業社製)、TETRAD−C、TETRAD−X(以上、いずれも三菱ガス化学社製)、エピコート604、エピコート630(以上、いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
上記オキセタン化合物の市販品として、例えば、エタナコールEHO、エタナコールOXBP、エタナコールOXTP、エタナコールOXMA(以上、いずれも宇部興産社製)等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、セロキサイド2021、セロキサイド2080、セロキサイド3000(以上、いずれもダイセル・ユーシービー社製)等が挙げられる。
本発明のシール剤において、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物は、1分子中にエポキシ基やオキセタン基等のカチオン重合性の環状エーテル基を2以上有することが好ましい。カチオン重合性の環状エーテル基を1分子中に2以上有することにより、重合反応又は架橋反応後の残存未反応化合物量が極めて少なくなり、残存未反応化合物による液晶の汚染を抑制できる。ただし、1分子中に含まれるカチオン重合性の環状エーテル基数は6以下であることが好ましい。6を超えると、硬化収縮が大きくなり、接着力低下の原因となることがある。
本発明のシール剤において、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物は、更に1分子中に水素結合性官能基を有することが好ましい。このような環状エーテル基を有する硬化性化合物を含有する本発明のシール剤は、低液晶汚染性に優れることになる。
上記水素結合性官能基としては、水素結合性を有する官能基又は残基等であれば特に限定されず、例えば、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONH基、−NHOH基等や、分子中に存在する−NHCO−結合、−NH−結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基を有する基等が挙げられる。なかでも、接着性の点から、水酸基及び/又はウレタン基が好適である。
このような水素結合性官能基を有することにより、上記水素結合性官能基を有する環状エーテル基を有する硬化性化合物は、硬化前に液晶に接したときにも液晶中に溶出しにくく、液晶を汚染することがない。
上記1分子中に水素結合性官能基と環状エーテル基とを有する硬化性化合物としては特に限定されず、例えば、上記環状エーテル基としてオキセタン基を有する場合、ポリオールと二官能以上のイソシアネートとを反応させてウレタン化合物を生成し、該ウレタン化合物の末端のイソシアネート基と水酸基を持つオキセタン化合物とを反応させたもの等が挙げられる。
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
上記二官能以上のイソシアネートとしては、二官能以上であれば特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
上記水酸基を有するオキセタン化合物としては特に限定されず、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が挙げられる。このような水酸基を有するオキセタン化合物のうち市販されているものとしては、例えば、宇部興産社製「エタナコールEHO」等が挙げられる。
また、上記1分子中に水素結合性官能基とオキセタン基とを有する硬化性化合物としては、例えば、イソシアネートと水酸基を持つオキセタン化合物とを反応させたものであってもよい。
上記イソシアネートとしては特に限定されず、例えば、上述した二官能以上のイソシアネートと同様のものが挙げられ、更に単官能のイソシアネートであってもよい。
上記水酸基を有するオキセタン化合物としては特に限定されず、例えば、上述したものと同様のものが挙げられる。
また、上記1分子中に水素結合性官能基と環状エーテル基とを有する硬化性化合物が環状エーテル基としてエポキシ基を有する場合には、例えば、多価アルコールのアルコール部位を部分エポキシ化したもの;グリシドールとイソシアネートとを反応させたもの;エポキシ樹脂の自己付加体等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコール等が挙げられる。
また、上記イソシアネートとしては特に限定されず、例えば、上述した二官能以上のイソシアネートと同様のものが挙げられ、更に単官能のイソシアネートであってもよい。
また、上記1分子中に水素結合性官能基と環状エーテル基とを有する硬化性化合物は、1分子中の水素結合性官能基数を重量平均分子量で除した値の下限が3.5×10−3であることが好ましい。3.5×10−3未満であると、上記硬化性化合物の1分子中に含まれる水素結合性官能基の量が少なく、上記硬化性樹脂の極性が低くなり、本発明のシール剤を用いて滴下工法による液晶表示素子の製造を行った場合、未硬化の硬化性樹脂成分が液晶に溶出して液晶を汚染してしまうことがある。より好ましい下限は4.0×10−3mol/gである。
なお、上記水素結合性官能基数とは、上記水素結合性官能基を有する化合物が1種類からなる場合、下記式(1)により算出される値である。
水素結合性官能基数(H)=(化合物Xの1分子中の水素結合性官能基数)/(化合物 Xの重量平均分子量) (1)
また、上記水素結合性官能基と環状エーテル基とを有する硬化性化合物が複数の樹脂の混合物からなる場合、上記水素結合性官能基数は、各々の水素結合性官能基と環状エーテル基とを有する硬化性化合物の単位重量あたりの含有量(重量分率)により分配して算出することができる。例えば、水素結合性官能基と環状エーテル基とを有する硬化性化合物が、化合物A、化合物B及び化合物Cから構成されている場合、水素結合性官能基数は、各化合物の水素結合性官能基数をそれぞれH、H及びHとすると、下記式(2)で算出される。
水素結合性官能基数(HABC)=H+H+H (2)
なお、式(2)中、Pαは、化合物αの重量分率を表す。
また、本発明のシール剤において、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物は、軟化点が50℃以上及び/又は重量平均分子量が300以上であることが好ましい。
滴下工法による液晶表示素子の製造方法では、シール剤の本硬化工程において加熱を開始してから環状エーテル基を有する硬化性化合物が完全に硬化するまでの間に若干のタイムラグが生じ、その間は加熱により液状の環状エーテル基を有する硬化性化合物の流動性が増し、これが液晶に流出してしまうものと考えられる。検討の結果、軟化点が50℃以上である環状エーテル基を有する硬化性化合物を用いれば、このような液晶汚染を最小限に抑制できる。
なお、本明細書において、「軟化点」とは、固形の環状エーテル基を有する硬化性化合物が加熱されることによって軟化した時の温度を意味し、JIS K 7234の環球法に基づいて測定し、その試験法で規定の状態になった時の温度を表すものである。
上記環状エーテル基を有する硬化性化合物の軟化点が50℃未満であると、本発明のシール剤を用いて滴下工法により液晶表示素子を製造した場合に、得られる液晶表示素子に環状エーテル基を有する硬化性化合物による液晶の汚染に起因する色むら等が認められることがある。軟化点のより好ましい下限は80℃であり、上限としては特に限定されないが、120℃であることが好ましい。120℃を超えると、他の構成成分との混合時の作業性が低下することがある。
また、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物の重量平均分子量が300未満であると、滴下工法により液晶表示素子を製造した場合に、得られる液晶表示素子に環状エーテル基を有する硬化性化合物による液晶の汚染に起因する色むら等が認められることがある。より好ましい下限は600であり、上限として特に限定されないが、5万であることが好ましい。5万を超えると、本発明のシール剤の粘度の調整が困難になることがある。
本発明のシール剤は、光カチオン開始剤を含有する。
上記光カチオン重合開始剤としては、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム、アルミニウム錯体/シラノール塩、ハロゲン化アルキル置換トリアジン誘導体、トリフルオロメタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、ベンゼンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、メタンスルホン酸−N−イミドエステル誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。
これらのカチオン開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、オプトマ−SP−151、オプトマ−SP−170、オプトマ−SP−171(以上、いずれも旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、イルガキュア−261(チバガイギー社製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI−103、MPI−103、TPS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(以上、いずれもミドリ化学社製)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481(以上、いずれも日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローヌ・プーラン社製)、CD−1012(サートマー社製)等が挙げられる。これらの光カチオン開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のシール剤は、熱カチオン開始剤を含有する。
上記熱カチオン開始剤としては特に限定されず、例えば、サンエイドSI−60、サンエイドSI−80、サンエイドSI−100、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイドSI−160、サンエイドSI−110、サンエイドSI−180、(以上、いずれも三新化学工業社製)、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(以上、いずれも旭電化工業社製)等が挙げられる。これらの熱カチオン開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、本発明のシール剤は、不飽和二重結合を有する硬化性樹脂及び熱ラジカル開始剤を含有してもよい。このような不飽和二重結合を有する硬化性樹脂及び熱ラジカル開始剤を含有することで、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物の硬化反応時に発生した熱により熱ラジカル開始剤が分解可能となり、上記不飽和二重結合を有する硬化性樹脂の硬化が可能となる。
本発明のシール剤が不飽和二重結合を有する硬化性樹脂及び熱ラジカル開始剤を含有すると、上述したカチオン反応よりもより速硬化可能なラジカル反応を併用することとなり、本発明のシール剤は、紫外線照射後すぐに硬化が起こり、製造プロセスにおける衝撃等での基板ずれや剥がれを起こすことがなくなる。
上記不飽和二重結合を有する硬化性樹脂としては、光・熱により反応を開始するものであれば特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、マレイミド基、(メタ)アクリル基、水素結合性官能基等を有する樹脂が挙げられ、なかでも液晶汚染を防止する観点から、(メタ)アクリル基及び/又は水素結合性官能基を有する樹脂が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル基とは、アクリル基又はメタクリル基のことをいう。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
滴下工法により液晶表示素子を製造する場合、未硬化のシール剤が直接液晶と接するため、シール剤により液晶を汚染し、表示品質に問題を与える場合が多い。従って、上記シール剤を構成する硬化性樹脂は、液晶に相溶しないものであることが好ましく、具体的には、上記エポキシ(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、エベクリル3700、エベクリル3600、エベクリル3701、エベクリル3703、エベクリル3200、エベクリル3201、エベクリル3600、エベクリル3702、エベクリル3412、エベクリル860、エベクリルRDX63182、エベクリル6040、エベクリル3800(いずれもダイセル・ユーシービー社製)、EA−1020、EA−1010、EA−5520、EA−5323、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、これらのほかに、例えば、エポキシ化合物の一部分を(メタ)アクリル酸酸変性したものを用いてもよい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、エベクリル230、エベクリル270、エベクリル4858、エベクリル8402、エベクリル8804、エベクリル8803、エベクリル8807、エベクリル9260、エベクリル1290、エベクリル5129、エベクリル4842、エベクリル210、エベクリル4827、エベクリル6700、エベクリル220、エベクリル2220(いずれもダイセル・ユーシービー社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I等が挙げられる。
上記水素結合性官能基とは、水素結合性を有する官能基又は残基等であれば特に限定されず、例えば、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族又は脂肪族炭化水素、及び、これらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONH基、−NHOH基等の官能基を有するものや、分子内に−NHCO−結合、−NH−結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基を有するもの等が挙げられる。上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物中に上記水素結合性官能基が存在することによって、硬化前に本発明のシール剤が液晶に接したときに液晶中に不飽和二重結合を有する硬化性化合物が溶出しにくくなり液晶汚染を起こさなくなる。
このような水素結合性官能基と(メタ)アクリル基とを有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明のシール剤が上記不飽和二重結合を有する硬化性樹脂を含有する場合、その含有量の好ましい下限は、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物100重量部に対して1重量部、好ましい上限は40重量部である。1重量部未満であると、仮止めのための硬化が不充分となることがあり、40重量部を超えると、接着力が低下することがある。
上記熱ラジカル発生剤としては特に限定されず、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のシール剤が上記不飽和二重結合を有する硬化性樹脂を含有する場合、光ラジカル開始剤を含有していてもよい。上記光ラジカル開始剤としては特に限定されないが、反応性二重結合と光反応開始部とを有するものが好適である。このような光ラジカル開始剤を用いれば、本発明のシール剤に充分な反応性を付与することができるとともに、液晶中に溶出して液晶を汚染することがない。なかでも、反応性二重結合と水酸基及び/又はウレタン結合とを有するベンゾイン(エーテル)類化合物が好適である。なお、ベンゾイン(エーテル)類化合物とは、ベンゾイン類及びベンゾインエーテル類を表す。
上記反応性二重結合としては、アリル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリル基等の残基が挙げられるが、反応性の高さから(メタ)アクリル残基が好適である。このような反応性二重結合を有することにより、本発明のシール剤の耐候性が向上する。
上記ベンゾイン(エーテル)類化合物は、水酸基とウレタン結合とのどちらか1つを有していればよく、両方を有していてもよい。上記ベンゾイン(エーテル)類化合物が水酸基とウレタン結合のいずれも有していない場合には、液晶に溶出してしまうことがある。
上記ベンゾイン(エーテル)類化合物において、上記反応性二重結合及び水酸基及び/又はウレタン結合は、ベンゾイン(エーテル)骨格のどの部分に位置していてもよいが、下記一般式(1)で表される分子骨格を有するものが好適である。かかる分子骨格を有する化合物を、光ラジカル開始剤として用いれば、残存物が少なくなり、アウトガスの量を少なくすることができる。
Figure 2006317520
式(1)中、Rは水素、炭素数4以下の脂肪族炭化水素残鎖を表す。Rが炭素数4を超える脂肪族炭化水素残鎖であると、光ラジカル重合開始剤を配合したときの保存安定性は増加するものの、置換基の立体障害により反応性が低下することがある。
一般式(1)で表される分子骨格を有するベンゾイン(エーテル)類化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006317520
式(2)中、Rは水素又は炭素数4以下の脂肪族炭化水素残基を表し、Xは炭素数13以下の2官能イソシアネート誘導体の残基を表し、Yは炭素数4以下の脂肪族炭化水素残基又は残基を構成する炭素と酸素の原子数比が3以下の残基を表す。Xが炭素数13を超える2官能イソシアネート誘導体の残基であると、液晶に溶解しやすくなることがあり、Yが炭素数4を超える脂肪族炭化水素残基又は炭素と酸素の原子数比が3を超える残基であると、液晶に溶解しやすくなることがある。
上記光ラジカル開始剤としては、他にも例えば、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン等を用いることができる。これらの光ラジカル開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のシール剤における上記光ラジカル開始剤の配合量の好ましい下限は上記不飽和二重結合を有する硬化性樹脂100重量部に対して0.5重量部、好ましい上限は15重量部である。0.5重量部未満であると本発明のシール剤の硬化性が不充分になることがあり、15重量部を超えると、得られた硬化物の吸湿性が高くなってしまうことがある。
本発明のシール剤は、更に、熱硬化剤、フィラー及びシランカップリング剤等を含有してもよい。
上記熱硬化剤は、加熱により上記環状エーテル基を有する硬化性化合物等の硬化性樹脂中の不飽和二重結合やエポキシ基等を反応させ、架橋させるためのものであり、硬化後の硬化物の接着性、耐湿性を向上させる役割を有する。上記熱硬化剤としては、融点が100℃以上の潜在性硬化剤が好適に用いられる。融点が100℃未満の硬化剤を使用すると保存安定性が著しく悪くなることがある。
このような熱硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジ、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等のヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、変性脂肪族ポリアミン、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記熱硬化剤としては、固体硬化剤粒子の表面が微粒子により被覆されている被覆硬化剤も好適である。このような被覆硬化剤を用いれば、予め熱硬化剤を配合していても高い保存安定性を有するシール剤が得られる。
本発明のシール剤が上記熱硬化剤を含有する場合、その配合量としては、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。この範囲外であると、硬化物の接着性、耐薬品性が低下し、高温高湿動作試験での液晶の特性劣化が早まることがある。より好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記フィラーは、本発明のシール剤に機械的強度を付与するものであり、このようなフィラーとしては特に限定されないが、例えば、含水硅酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の無機充填材が好適である。これらのフィラーの粒子径は、1.5μm以下であることが好ましい。
本発明のシール剤が上記フィラーを含有する場合、その配合量としては、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限は3重量部、好ましい上限は50重量部である。3重量部未満であると、上記フィラーを含有させた充分な効果が得られないことがあり、50重量部を超えると、本発明のシール剤の粘度の調整が困難となる。
上記シランカップリング剤は、主に本発明のシール剤とガラス基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。また、本発明のシール剤が、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等の目的に、少量の非導電性フィラーを含有する場合においては、非導電性フィラーと樹脂との相互作用を向上させるために、非導電性フィラーの表面をシランカップリング剤で処理する方法に用いられることもある。
上記シランカップリング剤としては、下記一般式においてA群で示される少なくとも1つの官能基と下記B群で示される少なくとも1つの官能基とを有するものが好適である。
Figure 2006317520
具体的には、上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような構造のシランカップリング剤として用いることにより、本発明のシール剤は、基板等との接着性を向上させることができる。
本発明のシール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、チクソ性を調整する揺変剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサ、3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素等の硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他添加剤等を含有してもよい。
本発明のシール剤は、E型粘度計を用いて25℃で測定した粘度の好ましい下限が1万mPa・sである。1万mPa・s未満であると、滴下工法により液晶表示素子を製造する場合に、透明基板上に形成したシール剤パターンの形状を保持できず、液晶中にシール剤成分が溶け出して液晶汚染が生じてしまうことがある。より好ましい下限は10万mPa・sであり、好ましい上限は50万mPa・sである。50万mPa・sを超えると、シール剤の描画性が充分でなく、滴下工法による液晶表示素子の製造が困難となる。
本発明のシール剤の粘度を測定するE型粘度計としては特に限定されず、例えば、ブルックフィールド社製「DV−III」等が挙げられる。
また、本発明のシール剤は、硬化させた硬化体の体積抵抗率が10Ω・cm以上であることが好ましい。10Ω・cm未満であると、硬化後の本発明のシール剤の絶縁性悪くなり、製造する液晶表示素子がショートすることがある。
本発明のシール剤を製造する方法としては特に限定されず、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物、光カチオン開始剤、及び、熱カチオン開始剤と、必要に応じて配合される上記光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤、熱硬化剤、フィラー、シランカップリング剤等の所定量とを、従来公知の方法により混合する方法等が挙げられる。この際、含有するイオン性不純物を除去するために、イオン吸着性固体と接触させてもよい。
本発明のシール剤は、環状エーテル基を有する硬化性化合物、光カチオン開始剤及び熱カチオン開始剤を含有するため、光が当たることで上記光カチオン開始剤から発生したプロトン酸又はルイス酸は、途中で失活することなく上記環状エーテル基を有する硬化性化合物を硬化させ、この環状エーテル基を有する硬化性化合物の硬化反応時に発生する熱により、上記熱カチオン開始剤が分解してプロトン酸又はルイス酸を発生させて、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物を硬化させる。そして、この熱カチオン開始剤による上記硬化性化合物の硬化反応によっても熱が発生するため、更に上記熱カチオン開始剤が分解してプロトン酸又はルイス酸が発生し、上記硬化性化合物の硬化反応が連続的に進行する。即ち、本発明のシール剤は、光を照射することで、環状エーテル基を有する硬化性化合物の硬化反応が連続的に伝播し、ブラックマトリックスや配線等と重なって光が直接照射されない部分であっても、充分に硬化させることができる。
従って、本発明のシール剤によると、滴下工法による液晶表示素子の製造において、光硬化させた後、液晶アニールのための加熱を行っても、シール剤成分が液晶中に溶出して液晶を汚染することがない。
また、本発明の液晶滴下工法用シール剤に遮光性着色剤を配合することにより、液晶滴下工法用遮光シール剤(以下、単に遮光シール剤ともいう)を製造することができる。このような遮光シール剤は遮光性を有するため、製造した液晶表示素子にシール剤部分を通してバックライトの光が漏れ出すことがなく、高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有するものとすることができる。また、上記遮光シール剤は、滴下工法により液晶表示素子を製造した際に、BMや配線等と重なる部分に加えて、上記遮光性着色剤に起因して、例えば、遮光シール剤の内部や紫外線照射面の反対側面のように、照射された紫外線等の光が弱められる部分や充分に届かない部分が存在することとなるが、本発明のシール剤と同様に、上記遮光シール剤は、上記のような部分が存在しても充分に硬化させることができる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤と遮光性着色剤とを含有する液晶滴下工法用遮光シール剤もまた、本発明の1つである。
上記遮光性着色剤としては、硬化後の本発明の遮光シール剤に遮光性を付与し、液晶への不純物が少ないものであれば特に限定されない。なお、本明細書において、「遮光性」とは、波長370〜800nmの光を80%以上遮光することを意味する。
上記遮光性着色剤としては特に限定されないが、黒色顔料や混合すると黒色になる補色関係にある複数の顔料及び/又は染料であることが好ましい。
上記黒色顔料としては特に限定されず、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。上記黒色顔料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、本発明の遮光シール剤では、絶縁性、作業性の面より、チタンブラック、フラーレン及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記チタンブラックとしては特に限定されず、具体的な市販品としては、例えば、12S、13M、13MC、13R−N(以上、いずれも三菱マテリアル社製)、ティラックD(赤穂化成社製)等が挙げられる。
また、上記チタンブラックの表面がカップリング剤処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等も用いることができる。
上記カーボンブラックとしては、液晶中への不純物の溶出が少ないものであれば特に限定されないが、例えば、チャンネルブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。なかでも、絶縁性の観点から、表面がグラフト化されたグラフト化カーボンブラック、表面が絶縁無機物若しくは絶縁性有機物で被覆された被覆カーボンブラック及び/又は表面に酸化処理が施された酸性カーボンブラックが好ましい。このようなカーボンブラックは、未処理のカーボンブラックと比較して導電性が低いことから本発明の遮光シール剤に用いると、電流のリークが少なく信頼性の高い液晶表示素子を得ることができる。
上記グラフト化カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、イソシアネート基等の反応性基を有する化合物をカーボンブラック表面のカルボキシル基等と反応させたものが挙げられる。グラフト化カーボンに用いられるカーボンブラックとしては特に限定されないが、カルボキシル基等の酸性官能基が表面に多く存在するものが好ましく、pHが7以下のカーボンブラックがより好ましい。
また、上記グラフト化カーボンのグラフト率は、非導電性の観点から好ましい下限は5重量%であり、より好ましい下限は10重量%である。ここで、上記「グラフト率」とは、グラフト化カーボン全体に占めるグラフト化合物の割合を示す。
上記被覆カーボンブラックの表面を被覆する絶縁無機物としては特に限定されず、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
また、このような絶縁無機物の被覆方法としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの表面に絶縁無機物である酸化ケイ素を被覆する場合、溶媒中に分散させたカーボンブラックに、テトラエトキシシランを加水分解させることによって酸化ケイ素の被膜を作製する方法等が挙げられる。
上記酸性カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、カーボンブラックを空気酸化法、硝酸、窒素酸化物と空気との混合ガス、オゾン等の酸化剤を用いる酸化処理法等により処理したもの等が挙げられる。なお、カーボンブラックが上記チャンネルブラックである場合、その製造過程でカーボンブラックの表面が酸化されているため、公知のものをそのまま使用することが可能である。
本発明の遮光シール剤において、上記遮光性着色剤の粒径としては特に限定されず、液晶表示素子の基板間の距離以下であればよく、好ましくは上限が2μmである。なお、上記遮光性着色剤の粒径とは、遮光性着色剤が1次粒子の凝集したストラクチャーを形成している場合は、このストラクチャーの大きさのことをいう。
また、本発明の遮光シール剤は、上記遮光性着色剤に加えて補助着色成分として顔料(有機顔料、無機顔料)や染料等を添加してもよい。例えば、上記黒色顔料が赤みがかった黒色である場合、赤色の補色である青色を呈する補助着色成分を添加することにより、上記遮光性着色剤をより好ましい黒色を呈するようにすることができる。
上記補助着色成分の配合量としては、使用する黒色顔料等に合わせて適宜決定され特に限定されないが、上記黒色顔料100重量部に対して好ましい下限は1重量部、好ましい上限は30重量部である。1重量部未満であると、補助着色成分を添加する効果がほとんど得られず、30重量部を超えると、上記遮光性着色剤が補色着色成分の色味を呈することがある。より好ましい下限は3重量部であり、より好ましい上限は20重量部である。
上記混合すると黒色になる補色関係にある複数の有機顔料としては特に限定されないが、例えば、アゾ系顔料;不溶アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニン系顔料;銅フタロシアニンブルー顔料、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、スルホン化銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、異種金属フタロシアニン顔料、縮合多環顔料;アミノアントラキノン顔料、インダンスロン顔料、イソインドリノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。なかでも、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料や縮合多感顔料が好適に用いられる。これらの有機顔料は、上記黒色顔料の補助着色成分としても使用可能である。
上記混合すると黒色になる補色関係にある複数の染料としては特に限定されないが、例えば、シアニン系染料、メタシアニン系染料、ローダシアニン系染料、オキソノール系染料、スチリル系染料、ベーススチリル系染料、ベンゾピラン系染料、キノリジン系染料、クマリン系染料、チアゾール系染料、インダントロン系染料、ピラントロン系染料、アントラキノンカルバゾール系染料、アントラキノンオキサゾール系染料、インジゴ、チオインジゴ、ピラゾロンアゾ系染料、γ−酸アゾ系染料、H−酸アゾ系染料、トリアリルメタン系染料、オキサジン系染料等が挙げられる。これらの染料は、上記黒色顔料の補助着色成分としても使用可能である。
本発明の遮光シール剤における上記遮光性着色剤の含有量としては特に限定されないが、上記環状エーテル基を有する硬化性化合物100重量部に対して、好ましい下限は3重量部であり、好ましい上限は100重量部である。3重量部未満であると、本発明の遮光シール剤の遮光性が不充分となることがあり、100重量部を超えると、本発明の遮光シール剤の基板に対する密着性や硬化後の強度が低下することがあり、また、描画性も劣ることがある。より好ましい下限は5重量部、より好ましい上限は50重量部である。
本発明の遮光シール剤には、上記遮光性着色剤等の固形成分の分散性を向上させるために分散剤が含有されていてもよい。上記分散剤は、上記遮光性着色剤等の固形成分の表面に電気的、化学的に吸着し、粒子間で電気的な反発や立体的な反発を引き起こさせることで、分散性や分散安定性を向上させる機能を有する。
このような分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルフォン酸型高分子活性剤等のアニオン系分散剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロックポリマー等のノニオン系分散剤、アミン塩類活性剤、4級アンモニウム塩類活性剤等のカチオン系分散剤、その他、ポリウレタンポリマー、セルロース誘導体等の分散剤等が挙げられる。
本発明の遮光シール剤が上記分散剤を含有する場合、その配合量としては特に限定されないが、上記遮光性着色剤等の固形成分100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は50重量部である。0.1重量部未満であると、分散剤を添加する効果を充分に得ることができないことがあり、50重量部を超えると、本発明の遮光シール剤の耐熱性が低下することがある。より好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は20重量部である。
また、本発明の液晶表示素子用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような上下導通材料を用いれば、紫外線等の光が直接照射されない部分が存在しても、電極を充分に導電接続ことができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤と、導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶表示素子用シール剤、本発明の液晶表示素子用遮光シール剤及び/又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、例えば、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、本発明の液晶滴下工法用シール剤等をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する工程、本発明の液晶滴下工法用シール剤等が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせる工程、及び、本発明の液晶滴下工法用シール剤等のシールパターン部分に紫外線を照射して硬化させる工程を有する方法等が挙げられる。
このような本発明の液晶表示素子の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子の製造方法によると、シールパターンを形成する工程において形成したシールパターンに、BMや配線等と重なることで紫外線を照射する工程で直接紫外線が照射されない部分が存在する場合であっても、本発明の液晶滴下工法用シール剤等は、光が照射されることで環状エーテル基を有する化合物の硬化反応が連続的に伝播するため、上記紫外線が直接照射されない部分も充分に硬化させることができ、得られる液晶表示素子のシール剤等には未硬化の部分が存在しない。そのため、本発明の液晶表示素子の製造方法により製造される本発明の液晶表示素子は、液晶滴下工法用シール剤成分等が液晶中に溶出して液晶汚染を引き起こすことがなく、液晶表示において色むらが生じることがない。
本発明によれば、液晶表示素子の製造において、光が直接照射されない部位であっても、充分に硬化させることができ、その成分が液晶中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示素子の製造に最適である液晶表示素子用シール剤、液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(エポキシ樹脂(A)の合成)
乾燥エア雰囲気下、反応フラスコに2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(5モル)、及び、ジブチルチンジラウレート(5ミリモル)を入れて攪拌し、グリシドール(10モル)を、60℃を超えないようにゆっくりと滴下し、滴下し終わってから更に60℃で赤外吸収スペクトル分析によりイソシアネート基(2270cm−1付近)が残存しなくなるまで60℃で反応させて、エポキシ樹脂(A)を得た。得られたエポキシ樹脂(A)の1分子中の水素結合性官能基数を重量平均分子量で除した値は5.58×10−3であった。
(エポキアクリレート(B)の合成)
反応フラスコにレゾルシンジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製:EX201)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸610重量部を、空気を送り込みながら、90℃で攪拌しながら5時間反応させ、エポキシアクリレート(B)を得た。
(部分アクリル化エポキシ化合物(C)の合成)
下記一般式(3)で表される結晶性エポキシ樹脂(新日鐵化学社製:YSLV−80XY、融点78℃)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸200重量部を、空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させ、部分アクリル化エポキシ化合物(C)(50%部分アクリル化物)を得た。なお、一般式(3)中Gは、グリシジル基を表す。
Figure 2006317520
(実施例1)
光カチオン重合開始剤(旭電化工業社製、オプトマー SP−170)1重量部、熱カチオン開始剤(三新化学社製、サンエイドSI−8OL)1重量部、エポキシ樹脂(A)30重量、エポキシ樹脂(大日本インキ社製、エピクロンN−770)30重量部を入れ遊星式攪拌装置を用いて攪拌して混合物を得た。この混合物に無機フィラーとしてシリカ(アドマテックス社製、SE2050)15重量部、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて分散させてシール剤を得た。
(実施例2)
光カチオン重合開始剤(旭電化工業社製、オプトマー SP−170)1重量部、熱カチオン開始剤(三新化学社製、サンエイドSI−8OL)1重量部、熱ラジカル開始剤として1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(日本油脂社製)0.5重量部、エポキシアクリレート(B)20重量部、部分アクリル化エポキシ化合物(C)20重量部、エポキシ樹脂(大日本インキ社製、エピクロンN−770)20重量部を入れ遊星式攪拌装置を用いて攪拌して混合物を得た。この混合物に無機フィラーとしてシリカ(アドマテックス社製、SE2050)15重量部、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて分散させてシール剤を得た。
(比較例1)
光ラジカル重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、IRGACURE 907)1重量部、エポキシアクリレート(B)30重部、部分アクリル化エポキシ化合物(C)30重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌して混合物を得た。
この混合物に無機フィラーとしてシリカ(アドマテックス社製、SE2050)15重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて分散させてシール剤を得た。
(液晶表示パネルの作製)
得られたシール剤100重量部にスペーサ微粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSI−H050、5μm)1重量部を分散させ、液晶滴下工法用シール剤として、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付き基板の一方にシール剤の線幅が1mmになるようにディスペンサーで塗布した。
続いて液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴を透明電極付き基板のシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の透明電極付きカラーフィルター基板を貼り合わせ、シール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmで30秒照射して硬化させ、更に、120℃で1時間加熱して液晶表示パネルを得た。
液晶表示パネルは、ディスペンサーでシール剤の塗布位置をコントロールし、シール剤に完全に光が当たるパネル(シール剤に遮光部なし)と、シール剤がカラーフィルター基板のブラックマトリックスに線幅の50%がかかるように塗布したパネル(シール剤に遮光部あり)の2種類を作製した。図1に示すように、シール剤に遮光部が無いものは完全にシール剤1が光に当たる状態であり、一方シール剤に遮光部があるパネルは、図2に示すように、液晶と接する部分のシール剤1は、ブラックマトリックス2で遮蔽されて全く光が当たらない。
(液晶表示パネル評価(色むら評価))
得られた液晶表示パネルについて、表示パネル製直後、及び、65℃95%RHの条件下で1000時間の動作試験後、電圧印加状態で80℃×1000時間後のシール剤付近の液晶配向乱れを目視によって確認した。
配向乱れは表示部の色ムラより判断しており、色ムラの程度に応じて以下の4段階の基準により評価を行った。
◎:色むらが全くない
○:色むらが微かにある
△:色むらが少しある
×:色むらがかなりある
なお、評価が◎、○の液晶パネルは実用に全く問題のないレベルである。結果を表1に示した。
(紫外線照射後パターン下エポキシ基転化率等の測定)
まず、厚さ0.7mmのコーニングガラスの半面をクロム蒸着した基板10と、前面をクロム蒸着した基板11とを別途準備した(図3参照)。
次に、基板10の中央部(クロム蒸着部と非蒸着部との境界)に得られたシール剤100重量部にスペーサ微粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSI−H050、5μm)1重量部を分散させたシール剤12を塗布し、基板11を貼り合わせてからシール剤12を充分に押し潰し、基板10側からメタルハライドランプを用いて100mW/cmで30秒照射した(図4参照)。
その後、カッターを用いて基板10及び11を剥がし、顕微IR法によってUV直接照射部(場所1)と直接照射部の際から100μm離れた点(場所2)、250μm離れた点(場所3)及び50μm離れた点(場所4)上のシール剤のスペクトルを測定し(図5参照)、それぞれのスペクトルからシール剤中のアクリル基の転化率を以下の方法により求めた。
即ち、アクリル基のピーク面積(815〜800cm−1)、エポキシ基のピーク面積(920〜900cm−1)をリファレンスピーク面積(845〜820cm−1)として比較することにより転化率を下記式により算出した。
アクリル基の転化率={1−(硬化後のアクリル基のピーク面積/硬化後のリファレンスピーク面積)/(硬化前のアクリル基のピーク面積/硬化前のリファレンスピーク面積)}×100
エポキシ基の転化率={1−(硬化後のエポキシ基のピーク面積/硬化後のリファレンスピーク面積)/(硬化前のエポキシ基のピーク面積/硬化前のリファレンスピーク面積)}×100
Figure 2006317520
表1に示した結果から明らかなように、比較例1で得られたシール剤の紫外線照射後パターン下アクリル基転化率は、光が照射された場所1においては、実施例2で得られたシール剤と同等であるが、光が直接照射されない場所2では、実施例2で得られたシール剤よりも転化率の低下が大きく、特に、場所3、4においては、いずれも0%であった。また、実施例1で得られたシール剤は、エポキシ転化率が高く、実施例2で得られたシール剤は、エポキシ転化率及びアクリル転化率のいずれも高かった。
また、実施例1、2で得られた液晶パネルは、遮光部の有り無しにかかわらず色むらは、全く確認されなかったのに対し、比較例1で得られた液晶パネルは、遮光部無しにおいては、色むらが全く確認されないか、わずかに確認されたものであったが、遮光部有りにおいては、色むらが確認された。
本発明によれば、液晶表示素子の製造において、光が直接照射されない部位であっても充分に硬化させることができ、その成分が液晶中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少ないことから、特に滴下工法による液晶表示素子の製造に最適である液晶滴下工法用シール剤、液晶滴下工法用遮光性シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子を提供できる。
実施例及び比較例で得られたシール剤を用いて遮光部有りの状態で作製した液晶表示パネルを模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例で得られたシール剤を用いて遮光部無しの状態で作製した液晶表示パネルを模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例で得られたシール剤の紫外線照射後パターン下エポキシ基転化率等の測定に用いた基板を示す平面図である。 実施例及び比較例で得られたシール剤の紫外線照射後パターン下エポキシ基転化率の測定方法を説明する斜視図である。 実施例及び比較例で得られたシール剤の紫外線照射後パターン下エポキシ基転化率の測定方法を説明する平面図である。
符号の説明
1 シール剤
2 ブラックマトリックス
10 基板
11 基板
13 シール剤

Claims (8)

  1. 環状エーテル基を有する硬化性化合物、光カチオン開始剤、及び、熱カチオン開始剤を含有することを特徴とする液晶滴下工法用シール剤。
  2. 環状エーテル基を有する硬化性樹脂は、更に1分子中に水素結合性官能基を有し、1分子中の前記水素結合性官能基数を重量平均分子量で除した値が3.5×10−3以上であることを特徴とする請求項1記載の液晶滴下工法シール剤。
  3. 環状エーテル基を有する硬化性樹脂は、軟化点が50℃以上及び/又は重量平均分子量が300以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶滴下工法シール剤。
  4. 更に、不飽和二重結合を有する硬化性樹脂及び熱ラジカル開始剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶滴下工法用シール剤。
  5. 不飽和二重結合を有する硬化性樹脂は、(メタ)アクリレート樹脂であることを特徴とする請求項4記載の液晶滴下工法用シール剤。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の液晶滴下工法用シール剤と遮光性着色剤とを含有することを特徴とする液晶滴下工法用遮光シール剤。
  7. 請求項1、2、3、4又は5記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
  8. 請求項1、2、3、4若しくは5記載の液晶表示素子用シール剤、請求項6記載の液晶滴下工法用遮光シール剤及び/又は請求項7記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
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