JP2005292801A - 液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができるとともに、基板に反りを発生させることなく液晶表示素子を製造することができる液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子を提供する。
【解決手段】不飽和二重結合を有する硬化性化合物、光重合開始剤及び着色剤を含有する液晶表示素子用遮光シール剤であって、前記着色剤は、チタンブラックであり、前記光重合開始剤は、370〜450nmの波長領域のいずれかにおいて、アセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)がε=100〜3万M−1・cm−1である液晶表示素子用遮光シール剤。
【選択図】 なし
【解決手段】不飽和二重結合を有する硬化性化合物、光重合開始剤及び着色剤を含有する液晶表示素子用遮光シール剤であって、前記着色剤は、チタンブラックであり、前記光重合開始剤は、370〜450nmの波長領域のいずれかにおいて、アセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)がε=100〜3万M−1・cm−1である液晶表示素子用遮光シール剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができるとともに、基板に反りを発生させることなく液晶表示素子を製造することができる液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法は、タクトタイム短縮を目的として、従来の真空注入方式から、硬化型の樹脂組成物からなるシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式にかわりつつある。滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、必要に応じて液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができる。今後はこの滴下工法が液晶表示装置の製造方法の主流となると期待されている。
これに伴い、液晶表示素子の製造に使用されるシール剤は、熱硬化型から光・熱併用硬化型にかわってきている。
これに伴い、液晶表示素子の製造に使用されるシール剤は、熱硬化型から光・熱併用硬化型にかわってきている。
ところで、光硬化性を有するシール剤は、可視光領域の波長の光で反応を開始するものであると、作業環境下での貯蔵安定性が悪く取り扱い性に劣るという問題があり、特に、波長450nmを超える光で感光する開始剤を用いるとその問題は著しかった。これに対して、シール剤が紫外線領域の波長の光で反応を開始するものであるとこのような問題は生じない。
また、波長450nmを超える光で感光するシール剤は貯蔵安定性の問題だけではなく、450nmを超える光を発するランプからの発熱作用が大きく、このような波長の光が基板に照射されると、基板が発熱し、たわみが生じることがあった。このように基板にたわみが生じた状態でシール剤を完全に硬化させると、基板に反りが生じてしまうという問題があった。
このため、光硬化性を有するシール剤としては、波長が450nm以下の発熱作用の小さな光が照射されることにより反応を開始するものが望まれていた。
また、波長450nmを超える光で感光するシール剤は貯蔵安定性の問題だけではなく、450nmを超える光を発するランプからの発熱作用が大きく、このような波長の光が基板に照射されると、基板が発熱し、たわみが生じることがあった。このように基板にたわみが生じた状態でシール剤を完全に硬化させると、基板に反りが生じてしまうという問題があった。
このため、光硬化性を有するシール剤としては、波長が450nm以下の発熱作用の小さな光が照射されることにより反応を開始するものが望まれていた。
また、従来、シール剤は、液晶表示素子の表示領域の外側に位置する周辺部に形成されたブラックマスクと呼ばれる遮光性部材が形成された箇所に形成されていたが、滴下工法では、光・熱併用硬化型のシール剤が使用されることから、従来ブラックマスクの直下に配置されていたシール剤が光を照射するために、その直下からブラックマスクの外側にでてくるようになった。
更に、近年、液晶表示素子は、従来のモニター用途だけでなくTV用途にも需要が広がってきており、高いコントラストが求められており、バックライトの光はより高い輝度になってきている。
更に、近年、液晶表示素子は、従来のモニター用途だけでなくTV用途にも需要が広がってきており、高いコントラストが求められており、バックライトの光はより高い輝度になってきている。
しかしながら、従来シール剤は透明又は乳白色であったため、シール剤がブラックマスクの直下から外側にはみ出していると、このシール剤部分よりバックライトの光が漏れだし、コントラストを下げてしまうという問題があった。
このような問題に対し、シール剤自体に遮光性を持たせる方法が考えられる。例えば、特許文献1には、粒状遮光剤を含む密着性に優れたシール材料が開示されており、特許文献
2には、光漏れを防止できる遮光性微粒子を含有したシール剤が開示されており、特許文献3には、チタン系黒色顔料を含有する黒色液晶シール剤が開示されている。
しかしながら、これらの遮光性を有するシール剤は、いずれも加熱することにより硬化する熱硬化性であり、滴下工法に用いることができる光硬化性を有するものではなかった。
2には、光漏れを防止できる遮光性微粒子を含有したシール剤が開示されており、特許文献3には、チタン系黒色顔料を含有する黒色液晶シール剤が開示されている。
しかしながら、これらの遮光性を有するシール剤は、いずれも加熱することにより硬化する熱硬化性であり、滴下工法に用いることができる光硬化性を有するものではなかった。
そこで、光硬化性を有するシール剤に遮光剤等を添加することで遮光性を持たせる方法も考えられる。しかしながら、このような遮光性を有する光硬化性のシール剤を用いて液晶表示素子の製造を行うと、光を照射してシール剤を硬化させる際に、シール剤が遮光性を有するため、その内部まで光が到達せずシール剤の硬化が不充分となるという問題があった。このようにシール剤の硬化が不充分となると、滴下工法により液晶表示素子の製造を行うと、未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出して液晶汚染を引き起こすという問題があった。
特開平10−60397号公報
特開平10−197880号公報
特開平11−133443号公報
本発明は、上記現状に鑑み、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができるとともに、基板に反りを発生させることなく液晶表示素子を製造することができる液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、不飽和二重結合を有する硬化性化合物、光重合開始剤及び着色剤を含有する液晶表示素子用遮光シール剤であって、前記着色剤は、チタンブラックであり、前記光重合開始剤は、370〜450nmの波長領域のいずれかにおいて、アセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)がε=100〜3万M−1・cm−1である液晶表示素子用遮光シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、着色剤として、可視光領域の波長の光に対する透過率が充分に低く、シール剤を着色して遮光性を付与することができるとともに、可視光領域以外、例えば、紫外線領域等のある特定の波長領域の光に対する透過率が高いものを用い、併せて、当該着色剤の透過率の高くなる波長領域の光により反応を開始可能な光重合開始剤と反応性二重結合を有する化合物とを用いることで、シール剤に充分な遮光性と光硬化性とを付与することができ、滴下工法による液晶表示素子の製造が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
これに対して、従来の遮光性を有するシール剤は、熱硬化性であったため、光を照射することで硬化させることができず、直接熱硬化過程に進まなければならない。そのため、従来の遮光性を有するシール剤を用いて滴下工法により液晶表示素子の製造を行うと、加熱することによってシール剤の粘度が低下しシール剤成分が液晶中に溶出してしまい、更に、液晶が膨張することによりシールパターンの形状を保持できなくなり、シールパスが発生し、液晶が漏れてしまうものであった。
これに対して、従来の遮光性を有するシール剤は、熱硬化性であったため、光を照射することで硬化させることができず、直接熱硬化過程に進まなければならない。そのため、従来の遮光性を有するシール剤を用いて滴下工法により液晶表示素子の製造を行うと、加熱することによってシール剤の粘度が低下しシール剤成分が液晶中に溶出してしまい、更に、液晶が膨張することによりシールパターンの形状を保持できなくなり、シールパスが発生し、液晶が漏れてしまうものであった。
本発明の液晶表示素子用遮光シール剤(以下、本発明の遮光シール剤ともいう)は、着色剤として、チタンブラックを含有する。
本発明者らの研究によると、チタンブラックは、波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮
蔽することで本発明の遮光シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する着色剤である。従って、後述する光重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370〜450nm)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の遮光シール剤は、充分な遮光性と光硬化性とを併せ持つこととなり、滴下工法による液晶表示素子の製造に好適に用いることができる。また、製造した液晶表示素子は、ブラックマスク上に形成したシール剤が充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。更に、本発明の遮光シール剤は、発熱作用の小さい波長370〜450nmの波長領域の光で硬化させることができるため、液晶表示素子を製造する際に基板に反りを発生させることもない。
本発明者らの研究によると、チタンブラックは、波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮
蔽することで本発明の遮光シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する着色剤である。従って、後述する光重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370〜450nm)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の遮光シール剤は、充分な遮光性と光硬化性とを併せ持つこととなり、滴下工法による液晶表示素子の製造に好適に用いることができる。また、製造した液晶表示素子は、ブラックマスク上に形成したシール剤が充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。更に、本発明の遮光シール剤は、発熱作用の小さい波長370〜450nmの波長領域の光で硬化させることができるため、液晶表示素子を製造する際に基板に反りを発生させることもない。
上記チタンブラックとしては特に限定されないが、具体的な市販品としては、例えば、「12S」、「13M」、「13MC」、「13R−N」(いずれも三菱マテリアル社製)、「ティラックD」(赤穂化成社製)等が挙げられる。
また、上記チタンブラックの表面がカップリング剤処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等も用いることができる。
上記チタンブラックの配合量としては特に限定されないが、後述する不飽和二重結合を有する硬化性化合物100重量部に対して、好ましい下限は15重量部、好ましい上限は100重量部である。15重量部未満であると、本発明の遮光シール剤の遮光性が不充分となることがあり、100重量部を超えると、本発明の遮光シール剤の基板に対する密着性や硬化後の強度が低下することがあり、また、描画性も劣ることがある。
本発明の遮光シール剤は、不飽和二重結合を有する硬化性化合物及び光重合開始剤を含有する。上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物及び光重合開始剤を含有することにより、本発明の遮光シール剤は、光によって反応を開始するものであり、光を照射することにより硬化させることができる。即ち、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物と光重合開始剤とを含有する本発明の遮光シール剤を用いることにより、滴下工法による液晶表示素子の製造が可能となる。
上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物としては、光・熱により反応を開始するものであれば特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、マレイミド基、(メタ)アクリル基等を有する樹脂が挙げられ、なかでも、反応性の面から、(メタ)アクリル基を有する樹脂が好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル基とは、アクリル基又はメタクリル基のことをいう。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル基とは、アクリル基又はメタクリル基のことをいう。
また、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、液晶汚染を防止する観点から水素結合性官能基を有する化合物であることが好ましく、なかでも、水素結合性官能基と(メタ)アクリル基とを有する樹脂であることが好ましい。
上記水素結合性官能基とは、水素結合性を有する官能基又は残基等であれば特に限定されず、例えば、−OH基、−NH2基、−NHR基(Rは、芳香族又は脂肪族炭化水素、及び、これらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONH2基、−NHOH基等の官能基を有するものや、分子内に−NHCO−結合、−NH−結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基を有するもの等が挙げられる。上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物中に上記水素結合性官能基が存在することによって、硬化前に本発明の遮光シール剤が液晶に接したときに液晶中に不飽和二重結合を有する硬化性化合物が溶出しにく
くなり液晶汚染を起こさなくなる。
くなり液晶汚染を起こさなくなる。
このような水素結合性官能基と(メタ)アクリル基とを有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
滴下工法により液晶表示素子を製造する場合、未硬化のシール剤が直接液晶と接するため、シール剤により液晶を汚染し、表示品質に問題を与える場合が多い。従って、上記シール剤を構成する硬化性化合物は、液晶に相溶しないものであることが好ましく、具体的には、上記エポキシ(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、エベクリル3700、エベクリル3600、エベクリル3701、エベクリル3703、エベクリル3200、エベクリル3201、エベクリル3600、エベクリル3702、エベクリル3412、エベクリル860、エベクリルRDX63182、エベクリル6040、エベクリル3800(いずれもダイセル・ユーシービー社製)、EA−1020、EA−1010、EA−5520、EA−5323、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、これらのほかに、例えば、エポキシ化合物の一部分を(メタ)アクリル酸酸変性したものを用いてもよい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、これらのほかに、例えば、エポキシ化合物の一部分を(メタ)アクリル酸酸変性したものを用いてもよい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、エベクリル230、エベクリル270、エベクリル4858、エベクリル8402、エベクリル8804、エベクリル8803、エベクリル8807、エベクリル9260、エベクリル1290、エベクリル5129、エベクリル4842、エベクリル210、エベクリル4827、エベクリル6700、エベクリル220、エベクリル2220(いずれもダイセル・ユーシービー社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I等が挙げられる。
本発明の遮光シール剤において、上記光重合開始剤は、370〜450nmの波長領域のいずれかにおいて、アセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)の下限が100M−1・c
m−1、上限が3万M−1・cm−1である。100M−1・cm−1未満であると充分な硬化性が得られ ず、3万M−1・cm−1を超えると、本発明の遮光シール剤の作業
環境下での貯蔵安定性が悪くなる。
m−1、上限が3万M−1・cm−1である。100M−1・cm−1未満であると充分な硬化性が得られ ず、3万M−1・cm−1を超えると、本発明の遮光シール剤の作業
環境下での貯蔵安定性が悪くなる。
なお、上記光重合開始剤は、370〜450nmの波長領域の光が照射されることで感光可能であり、上記モル吸光係数が100〜3万M−1・cm−1であれば、370nm未満の波長の光や450nmを超える波長の光で感光可能なものであってもよいが、波長450nmで感光性が高いと作業環境下での貯蔵安定性が悪くなることがあるので、上記光重合開始剤は450nmを超える波長域でアセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)が100M−1・cm−1未満であることが好ましい。また、本発明の遮光シール剤は、着色剤として上述したチタンブラックを含有するため、370nm未満の波長の光はほとんど透過することがない。従って、本発明の遮光シール剤に370nm未満の波長の光が照射された場合であっても、該光が本発明の遮光シール剤内部の光重合開始剤に到達することがなく感光することはない。
このような光重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、「イルガキュア369」、「イルガキュア379」、「イルガキュア784」、「イルガキュア819」、「イルガキュア1700」、「イルガキュア1800」、「イルガキュアOXE01」、「CGI242」(いずれもチバ・スペシャリティケミカルズ社製)、「ルシジンTPO」(BASF社製)、「Speedcure3010」、「Speedcure3060」、「Speedcure3070」(いずれもシイベルヘグナー社製)、「N−1414」(旭電化工業社製)、「ビイミダゾール」(黒金化成社製)等が挙げられる。
上記光重合開始剤の配合量としては特に限定されないが、上記硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。0.1重量部未満であると、光重合を開始する能力が不足して効果が得られないことがあり、10重量部を超えると、未反応の光重合開始剤が多く残ることがあり、耐候性が悪くなることがある。より好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の遮光シール剤は、より遮光性を持たせるために、上記チタンブラックの他に別の黒色顔料を含有してもよい。
このような黒色顔料としては特に限定されず、例えば、酸化鉄、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック等が挙げられる。これらの黒色顔料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記カーボンブラックは、遮光性が優れるので好ましく用いられる。しかし、カーボンブラックは紫外領域付近の光の吸収が大きく、本発明の遮光シール剤の光硬化性を大きく低下させることがある。そのため、上記カーボンブラック単体での使用で、本発明の遮光シール剤の遮光性と光硬化性とを両立させることは困難であるが、上記チタンブラックに少量のカーボンブラックを添加すると、より遮光性に優れ、光硬化が可能な遮光シール剤が可能になる。
このような黒色顔料としては特に限定されず、例えば、酸化鉄、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック等が挙げられる。これらの黒色顔料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、上記カーボンブラックは、遮光性が優れるので好ましく用いられる。しかし、カーボンブラックは紫外領域付近の光の吸収が大きく、本発明の遮光シール剤の光硬化性を大きく低下させることがある。そのため、上記カーボンブラック単体での使用で、本発明の遮光シール剤の遮光性と光硬化性とを両立させることは困難であるが、上記チタンブラックに少量のカーボンブラックを添加すると、より遮光性に優れ、光硬化が可能な遮光シール剤が可能になる。
上記カーボンブラックとしては、液晶中への不純物の溶出が少ないものであれば特に限定されないが、例えば、チャンネルブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。なかでも、絶縁性の観点から、表面がグラフト化されたグラフト化カーボンブラック、表面が絶縁無機物で被覆された被覆カーボンブラック及び/又は表面に酸化処理が施された酸性カーボンブラックが好ましい。このようなカーボンブラックは、未処理のカーボンブラックと比較して導電性が低いことから本発明の遮光シール剤に用いると、電流のリークが少なく信頼性の高い液晶表示素子を得ることができる。
上記グラフト化カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、エポキシ基、チオエ
ポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、イソシアネート基等の反応性基を有する化合物をカーボンブラック表面のカルボキシル基等と反応させたものが挙げられる。グラフト化カーボンに用いられるカーボンブラックとしては特に限定されないが、カルボキシル基等の酸性官能基が表面に多く存在するものが好ましく、pHが7以下のカーボンブラックがより好ましい。
また、上記グラフト化カーボンのグラフト率は、非導電性の観点から好ましい下限は5重量%であり、より好ましい下限は10重量%である。ここで、上記「グラフト率」とは、グラフト化カーボン全体に占めるグラフト化合物の割合を示す。
ポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、イソシアネート基等の反応性基を有する化合物をカーボンブラック表面のカルボキシル基等と反応させたものが挙げられる。グラフト化カーボンに用いられるカーボンブラックとしては特に限定されないが、カルボキシル基等の酸性官能基が表面に多く存在するものが好ましく、pHが7以下のカーボンブラックがより好ましい。
また、上記グラフト化カーボンのグラフト率は、非導電性の観点から好ましい下限は5重量%であり、より好ましい下限は10重量%である。ここで、上記「グラフト率」とは、グラフト化カーボン全体に占めるグラフト化合物の割合を示す。
上記被覆カーボンブラックの表面を被覆する絶縁無機物としては特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
また、このような絶縁無機物の被覆方法としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの表面に絶縁無機物である酸化ケイ素を被覆する場合、溶媒中に分散させたカーボンブラックに、テトラエトキシシランを加水分解させることによって酸化ケイ素の被膜を作製する方法等が挙げられる。
また、このような絶縁無機物の被覆方法としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラックの表面に絶縁無機物である酸化ケイ素を被覆する場合、溶媒中に分散させたカーボンブラックに、テトラエトキシシランを加水分解させることによって酸化ケイ素の被膜を作製する方法等が挙げられる。
上記酸性カーボンブラックとしては特に限定されないが、例えば、カーボンブラックを空気酸化法、硝酸、窒素酸化物と空気との混合ガス、オゾン等の酸化剤を用いる酸化処理法等により処理したもの等が挙げられる。なお、カーボンブラックが上記チャンネルブラックである場合、その製造過程でカーボンブラックの表面が酸化されているため、公知のものをそのまま使用することが可能である。
上記カーボンブラックの粒径としては特に限定されず、液晶表示素子の基板間の距離以下であればよく、好ましくは上限が2μmである。なお、上記カーボンブラックの粒径とは、カーボンブラックが1次粒子の凝集したストラクチャーを形成している場合は、このストラクチャーの大きさのことをいう。
本発明の遮光シール剤に上記カーボンブラックが配合されている場合、その配合量としては特に限定されないが、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。0.1重量部未満であると、充分な配合効果が得られず、20重量部を超えると、本発明の遮光シール剤の光硬化性が悪くなることがある。
本発明の遮光シール剤は、補助着色成分として有機顔料や染料等を添加してもよい。例えば、上記チタンブラックは、青みがかった黒色であるため、青色の補色である赤色を呈する補助着色成分を添加することにより、上記着色剤をより好ましい黒色を呈するようにすることができる。
上記補助着色成分の配合量としては特に限定されないが、上記チタンブラック100重量部に対して好ましい下限は1重量部、好ましい上限は30重量部である。1重量部未満であると、補助着色成分を添加する効果がほとんど得られず、30重量部を超えると、上記着色剤が補色着色成分の色味を呈することがある。より好ましい下限は3重量部であり、より好ましい上限は20重量部である。
上記混合すると黒色になる補色関係にある複数の有機顔料としては特に限定されないが、例えば、アゾ系顔料;不溶アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニン系顔料;銅フタロシアニンブルー顔料、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、スルホン化銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、異種金属フタロシアニン顔料、縮合多環顔料;アミノアントラキノン顔料、インダンスロン顔料、イソインドリノン顔料、キナクリドン顔料、ジオ
キサジン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。なかでも、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料や縮合多感顔料が好適に用いられる。これらの有機顔料は、上記黒色顔料の補助着色成分としても使用可能である。
キサジン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。なかでも、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料や縮合多感顔料が好適に用いられる。これらの有機顔料は、上記黒色顔料の補助着色成分としても使用可能である。
上記混合すると黒色になる補色関係にある複数の染料としては特に限定されないが、例えば、シアニン系染料、メタシアニン系染料、ローダシアニン系染料、オキソノール系染料、スチリル系染料、ベーススチリル系染料、ベンゾピラン系染料、キノリジン系染料、クマリン系染料、チアゾール系染料、インダントロン系染料、ピラントロン系染料、アントラキノンカルバゾール系染料、アントラキノンオキサゾール系染料、インジゴ、チオインジゴ、ピラゾロンアゾ系染料、γ−酸アゾ系染料、H−酸アゾ系染料、トリアリルメタン系染料、オキサジン系染料等が挙げられる。これらの染料は、上記黒色顔料の補助着色成分としても使用可能である。
本発明の遮光シール剤には、上記着色剤等の固形成分の分散性を向上させるために分散剤が含有されていてもよい。上記分散剤は、着色剤等の固形成分の表面に電気的、化学的に吸着し、粒子間で電気的な反発や立体的な反発を引き起こさせることで、分散性や分散安定性を向上させる機能を有する。
このような分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルフォン酸型高分子活性剤等のアニオン系分散剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロックポリマー等のノニオン系分散剤、アミン塩類活性剤、4級アンモニウム塩類活性剤等のカチオン系分散剤、その他、ポリウレタンポリマー、セルロース誘導体等の分散剤等が挙げられる。
このような分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルフォン酸型高分子活性剤等のアニオン系分散剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロックポリマー等のノニオン系分散剤、アミン塩類活性剤、4級アンモニウム塩類活性剤等のカチオン系分散剤、その他、ポリウレタンポリマー、セルロース誘導体等の分散剤等が挙げられる。
本発明の遮光シール剤が上記分散剤を含有する場合、その配合量としては特に限定されないが、上記チタンブラック等の固形成分100重量部に対して、好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。0.1重量部未満であると、分散剤を添加する効果を充分に得ることができないことがあり、20重量部を超えると、本発明の遮光シール剤の耐熱性が低下することがある。
また、本発明の遮光シール剤は、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。上記エポキシ樹脂が添加されている場合、本発明の遮光シール剤を光硬化と熱硬化との併用タイプとすることができる。このような光硬化、熱硬化併用タイプの本発明の遮光シール剤は、光照射により仮硬化させた後、加熱により本硬化させることができるため、滴下工法による液晶表示素子の製造に好適に用いることができる。
上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂;エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂;YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂;YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂;EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製
)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂;NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂;YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂;デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物;エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂;その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂;NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂;YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂;デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物;エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂;その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
本発明の遮光シール剤に上記エポキシ樹脂が添加されている場合、上記硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。5重量部未満であるとエポキシ樹脂を添加する効果を充分に得られないことがあり、80重量部を超えると光硬化時に充分に硬化しないことがある。
本発明の遮光シール剤は、更に、熱硬化剤、フィラー及びカップリング剤等を含有してもよい。
上記熱硬化剤は、加熱により上記硬化性化合物中の不飽和二重結合やエポキシ基等を反応させ、架橋させるためのものであり、硬化後の硬化物の接着性、耐湿性を向上させる役割を有する。上記熱硬化剤としては、融点が100℃以上の潜在性硬化剤が好適に用いられる。融点が100℃未満の硬化剤を使用すると保存安定性が著しく悪くなることがある。
このような熱硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジ、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等のヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、変性脂肪族ポリアミン、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記熱硬化剤としては、固体硬化剤粒子の表面が微粒子により被覆されている被覆硬化剤も好適である。このような被覆硬化剤を用いれば、予め熱硬化剤を配合していても高い保存安定性を有する遮光シール剤が得られる。
本発明の遮光シール剤が上記熱硬化剤を含有する場合、その配合量としては、上記硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。この範囲外であると、硬化物の接着性、耐薬品性が低下し、高温高湿動作試験での液晶
の特性劣化が早まることがある。より好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は30重量部である。
の特性劣化が早まることがある。より好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記フィラーは、本発明の遮光シール剤に機械的強度を付与するものであり、このようなフィラーとしては特に限定されないが、例えば、含水硅酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の無機充填材が好適である。これらのフィラーの粒子径は、1.5μm以下であることが好ましい。
本発明の遮光シール剤が上記フィラーを含有する場合、その配合量としては、上記硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限は3重量部、好ましい上限は40重量部である。3重量部未満であると、上記フィラーを含有させた充分な効果が得られないことがあり、40重量部を超えると、本発明の遮光シール剤の粘度の調整が困難となる。
上記シランカップリング剤は、主に本発明の遮光シール剤とガラス基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。また、本発明の遮光シール剤が、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等の目的に、少量の非導電性フィラーを含有する場合においては、非導電性フィラーと樹脂との相互作用を向上させるために、非導電性フィラーの表面をシランカップリング剤で処理する方法に用いられることもある。
上記シランカップリング剤としては、下記一般式においてA群で示される少なくとも1つの官能基と下記B群で示される少なくとも1つの官能基とを有するものが好適である。
具体的には、上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような構造のシランカップリング剤として用いることにより、本発明の遮光シール剤は、基板等との接着性を向上させることができる。
本発明の遮光シール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、チクソ性を調整する揺変剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサ、3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素等の硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他添加剤等を含有してもよい。
本発明の遮光シール剤は、E型粘度計を用いて25℃で測定した粘度が1万mPa・s以
上であることが好ましい。1万mPa・s未満であると、滴下工法により液晶表示素子を製造した際に、透明基板上に形成したシール剤パターンの形状を保持できず、液晶中にシール剤成分が溶け出して液晶汚染が生じてしまうことがある。より好ましい下限は10万mPa・sであり、より好ましい上限は50万mPa・sである。50万mPa・sを超えると、本発明の遮光シール剤の描画性が充分でなく、滴下工法による液晶表示素子の製造が困難となることがある。
上であることが好ましい。1万mPa・s未満であると、滴下工法により液晶表示素子を製造した際に、透明基板上に形成したシール剤パターンの形状を保持できず、液晶中にシール剤成分が溶け出して液晶汚染が生じてしまうことがある。より好ましい下限は10万mPa・sであり、より好ましい上限は50万mPa・sである。50万mPa・sを超えると、本発明の遮光シール剤の描画性が充分でなく、滴下工法による液晶表示素子の製造が困難となることがある。
本発明の遮光シール剤の粘度を測定するE型粘度計としては特に限定されず、例えば、ブルックフィールド社製「DV−III」等が挙げられる。
本発明の遮光シール剤は、硬化させた硬化体の体積抵抗率が107Ω・cm以上であることが好ましい。107Ω・cm未満であると、硬化後の本発明の遮光シール剤の絶縁性悪くなり、製造する液晶表示素子がショートすることがある。
また、本発明の遮光シール剤は、硬化させた硬化体の光学濃度(OD値)は、硬化体の厚さが2〜7μmである場合において、2.0以上であることが好ましい。2.0未満であると、本発明の遮光シール剤の遮光性が不充分となり、滴下工法により製造した液晶表示素子に光の漏れ出しが発生し、高いコントラストとすることができないことがある。より好ましくは2.5以上であり、更に好ましくは3.0以上である。
本発明の遮光シール剤を製造する方法としては特に限定されず、上記硬化性化合物、光重合開始剤及び着色剤と、必要に応じて配合される上記熱硬化剤、フィラー、カップリング剤等の所定量とを、従来公知の方法により混合する方法等が挙げられる。この際、含有するイオン性不純物を除去するために、イオン吸着性固体と接触させてもよい。
本発明の遮光シール剤は、着色剤として波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなるチタンブラックを含有するため、可視光領域の波長の光に対して好適な遮光性を有する一方、紫外線領域付近の光に対する好適な透過性を有し、370〜450nmの波長領域のいずれかにおいて、アセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)がε=100〜3万M−1・cm−1である光重合開始剤と不飽和二重結合を有する硬化性化合物とを含有するため、上記紫外線領域付近の波長の光を照射することで、本発明の遮光シール剤を内部まで充分に硬化させることができる。従って、本発明の遮光シール剤は、可視光領域の波長の光によって反応を開始することがなく作業環境下での貯蔵安定性に優れたものとなるとともに、製造した液晶表示素子は、バックライトの光がシール剤部分から漏れることによるコントラストの低下が生じることがなく画像表示品質に優れたものとなる。
また、上記光重合開始剤を感光させる光が発熱作用の小さい紫外線波長領域付近の波長であるため、本発明の遮光シール剤を硬化させる際に基板が発熱してたわみが生じたり、製造した液晶表示素子の基板に反りが生じたりすることもない。
従って、本発明の遮光シール剤は、特に滴下工法により液晶表示素子を製造する場合に好適に用いることができる。
また、上記光重合開始剤を感光させる光が発熱作用の小さい紫外線波長領域付近の波長であるため、本発明の遮光シール剤を硬化させる際に基板が発熱してたわみが生じたり、製造した液晶表示素子の基板に反りが生じたりすることもない。
従って、本発明の遮光シール剤は、特に滴下工法により液晶表示素子を製造する場合に好適に用いることができる。
また、本発明の遮光シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような上下導通材料を用いれば、液晶を汚染することなく透明基板の電極を導電接続することができる。
本発明の液晶表示素子用遮光シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子用遮光シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形
成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶表示素子用遮光シール剤及び/又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができるとともに、基板に反りを発生させることなく液晶表示素子を製造することができる液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(1)エポキシアクリレート(A)の合成
反応フラスコにレゾルシンジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製:EX201)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸610重量部を、空気を送り込みながら、90℃で攪拌しながら5時間反応させ、エポキシアクリレート(A)を得た。
反応フラスコにレゾルシンジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製:EX201)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸610重量部を、空気を送り込みながら、90℃で攪拌しながら5時間反応させ、エポキシアクリレート(A)を得た。
(2)部分アクリル化エポキシ化合物(B)の合成
反応フラスコにフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ社製:N−770)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸200重量部を、空気を送り込みながら、90℃で攪拌しながら5時間反応させ、部分アクリル化エポキシ化合物(B)[アクリル化率50%]を得た。
反応フラスコにフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ社製:N−770)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸200重量部を、空気を送り込みながら、90℃で攪拌しながら5時間反応させ、部分アクリル化エポキシ化合物(B)[アクリル化率50%]を得た。
(実施例1)
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)40重量部、及び、ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービー社製、EB4858)20重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)40重量部、及び、ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービー社製、EB4858)20重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
(実施例2)
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、合成したエポキシアクリレート(A)20重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)20重量部、及び、部分アクリル化エポキシ化合物(B)20重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、合成したエポキシアクリレート(A)20重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)20重量部、及び、部分アクリル化エポキシ化合物(B)20重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
(実施例3)
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、合成したエポキシアクリレート(A)20重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)20重量部、及び、部分アクリル化エポキシ化合物(B)20重量部を配合し、これを120℃に加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、チャンネルブラック(デグサ社製、スペシャルブラック4[表面酸化カーボンブラック])5重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、合成したエポキシアクリレート(A)20重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)20重量部、及び、部分アクリル化エポキシ化合物(B)20重量部を配合し、これを120℃に加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、チャンネルブラック(デグサ社製、スペシャルブラック4[表面酸化カーボンブラック])5重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
(比較例1)
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、合成したエポキシアクリレート(A)20重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)20重量部、及び、部分アクリル化エポキシ化合物(B)20重量部を配合し、これを120℃に加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チャンネルブラック(デグサ社製、スペシャルブラック4[表面酸化カーボンブラック])30重量部、無機充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、SE1050)15重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 369)3重量部、合成したエポキシアクリレート(A)20重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)20重量部、及び、部分アクリル化エポキシ化合物(B)20重量部を配合し、これを120℃に加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チャンネルブラック(デグサ社製、スペシャルブラック4[表面酸化カーボンブラック])30重量部、無機充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、SE1050)15重量部、熱硬化剤(大塚化学社製、ADH)5重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
(比較例2)
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 651)3重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)40重量部、及び、ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービー社製、EB4858)20重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
光重合開始剤(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE 651)3重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂(ダイセル・ユーシービー社製、EB3700)40重量部、及び、ウレタンアクリレート(ダイセル・ユーシービー社製、EB4858)20重量部を配合し、これを加熱して固形物を溶解させた後、遊星式攪拌装置を用いて攪拌し混合物を得た。
チタンブラック(三菱マテリアル社製、13MC)50重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、KBM403)2重量部を配合し遊星式攪拌装置にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に分散させて遮光シール剤を得た。
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた液晶表示素子用遮光シール剤の物性について、以下の方法により測定した。
(液晶表示パネルの作製)
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた遮光シール剤100重量部に、スペーサ微粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSI−H050、5μm)1重量部を分散させて液晶滴下工法用シール剤とし、2枚のラビング済み配向膜、及び、透明電極付き基板の一方に液晶滴下工法用シール剤の線幅が1mmになるようにディスペンサーで塗布した。
続いて液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴を透明電極付き基板のシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の透明電極付きカラーフィルター基板を貼り合わせ、シール剤部分に450nmを超える波長の光をカットしたメタルハライドランプを用いて150mW/cm2で30秒照射して硬化させ、更に、120℃で1時間加熱して液晶表示パネルを作製した。
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた遮光シール剤100重量部に、スペーサ微粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSI−H050、5μm)1重量部を分散させて液晶滴下工法用シール剤とし、2枚のラビング済み配向膜、及び、透明電極付き基板の一方に液晶滴下工法用シール剤の線幅が1mmになるようにディスペンサーで塗布した。
続いて液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴を透明電極付き基板のシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の透明電極付きカラーフィルター基板を貼り合わせ、シール剤部分に450nmを超える波長の光をカットしたメタルハライドランプを用いて150mW/cm2で30秒照射して硬化させ、更に、120℃で1時間加熱して液晶表示パネルを作製した。
(液晶表示パネル評価(色ムラ評価))
作製した液晶表示パネルについて、表示パネル作製直後、65℃95%RHの条件下で1
000時間後(高温高湿試験)、5Vの電圧を印可80℃条件下で1000時間後(高温通電試験)の駆動動作試験における遮光シール剤付近の液晶配向乱れを目視によって確認した。
なお、配向乱れは表示部の色ムラより判断しており、色ムラの程度に応じて、
◎(色むらが全くない)
○(色むらが微かにある)
△(色むらが少しある)
×(色むらがかなりある)
の4段階で評価を行った。なお、評価が◎、○の液晶パネルは実用に全く問題のないレベルである。その結果を表1に示した。
作製した液晶表示パネルについて、表示パネル作製直後、65℃95%RHの条件下で1
000時間後(高温高湿試験)、5Vの電圧を印可80℃条件下で1000時間後(高温通電試験)の駆動動作試験における遮光シール剤付近の液晶配向乱れを目視によって確認した。
なお、配向乱れは表示部の色ムラより判断しており、色ムラの程度に応じて、
◎(色むらが全くない)
○(色むらが微かにある)
△(色むらが少しある)
×(色むらがかなりある)
の4段階で評価を行った。なお、評価が◎、○の液晶パネルは実用に全く問題のないレベルである。その結果を表1に示した。
(光学特性試験)
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた黒色の遮光シール剤100gにスペーサとして直径5μmのシリカスペーサ(積水化学工業社製、ミクロパールSI)1gを添加して混合撹拌を行った。この遮光シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせ、荷重をかけ、遮光シール剤をスペーサの直径まで押しつぶして厚さを均一にした。450nmを超える波長の光をカットしたメタルハライドランプを用いて150mW/cm2で30秒照射した。その後120℃オーブンにて1時間硬化を行い、遮光シール剤の測定サンプルを得た。
次に、この測定サンプルを分光スペクトル測定装置にセットし、JIS Z 8722に
準拠し、透過光Yの値を測定し、次の式で定義される式から光学濃度(OD値)を計算した。その結果を表1に示した。
光学濃度=log(100/Y)
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた黒色の遮光シール剤100gにスペーサとして直径5μmのシリカスペーサ(積水化学工業社製、ミクロパールSI)1gを添加して混合撹拌を行った。この遮光シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせ、荷重をかけ、遮光シール剤をスペーサの直径まで押しつぶして厚さを均一にした。450nmを超える波長の光をカットしたメタルハライドランプを用いて150mW/cm2で30秒照射した。その後120℃オーブンにて1時間硬化を行い、遮光シール剤の測定サンプルを得た。
次に、この測定サンプルを分光スペクトル測定装置にセットし、JIS Z 8722に
準拠し、透過光Yの値を測定し、次の式で定義される式から光学濃度(OD値)を計算した。その結果を表1に示した。
光学濃度=log(100/Y)
(体積抵抗特性試験)
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた遮光シール剤100gにスペーサとして直径5μmのシリカスペーサ(積水化学工業社製、ミクロパールSI)1gを添加して混合撹拌を行った。この遮光シール剤を50mm×50mmのITO基板上にディスペンサーで塗布し、その基板に同サイズのITO基板を重ね合わせ、荷重をかけ、遮光シール剤をスペーサの直径まで押しつぶした。450nmを超える波長の光をカットしたメタルハライドランプを用いて150mW/cm2で30秒照射し、その後120℃オーブンにて1時間硬化を行い、遮光シール剤の測定サンプルを得た。
遮光シール剤の面積(S)平方センチメートルを測定した。
対向するITO基板間に、定電圧発生装置(ケンウッド社製、PA36−2A レギュレ
ーテッドDC パワーサプライ)を用いて一定の電圧(V)ボルトを印加し、膜に流れる
電流(A)アンペアを電流計(アドバンテスト社製、R644C デジタルマルチメータ
ー)にて測定した。
次に、遮光シール剤の膜厚は、5×10−4cmであったので、次式にて抵抗率を計算した。その結果を表1に示した。
体積抵抗(Ω・cm)=(V・S)/(A・5×10−4)
[式中、Vは電圧(ボルト)、Sは遮光シール剤の面積(平方センチメートル)、Aは膜に流れる電流(アンペア)である。]
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた遮光シール剤100gにスペーサとして直径5μmのシリカスペーサ(積水化学工業社製、ミクロパールSI)1gを添加して混合撹拌を行った。この遮光シール剤を50mm×50mmのITO基板上にディスペンサーで塗布し、その基板に同サイズのITO基板を重ね合わせ、荷重をかけ、遮光シール剤をスペーサの直径まで押しつぶした。450nmを超える波長の光をカットしたメタルハライドランプを用いて150mW/cm2で30秒照射し、その後120℃オーブンにて1時間硬化を行い、遮光シール剤の測定サンプルを得た。
遮光シール剤の面積(S)平方センチメートルを測定した。
対向するITO基板間に、定電圧発生装置(ケンウッド社製、PA36−2A レギュレ
ーテッドDC パワーサプライ)を用いて一定の電圧(V)ボルトを印加し、膜に流れる
電流(A)アンペアを電流計(アドバンテスト社製、R644C デジタルマルチメータ
ー)にて測定した。
次に、遮光シール剤の膜厚は、5×10−4cmであったので、次式にて抵抗率を計算した。その結果を表1に示した。
体積抵抗(Ω・cm)=(V・S)/(A・5×10−4)
[式中、Vは電圧(ボルト)、Sは遮光シール剤の面積(平方センチメートル)、Aは膜に流れる電流(アンペア)である。]
(モル吸光係数の測定)
実施例1〜3及び比較例1、2で用いた光重合開始剤と、紫外部吸光スペクトル用アセトニトリル(同仁化学社製)とを用いて試料濃度が1.0×10−4Mになるように光重合開始剤溶液を調製し、光路長(1cm)の石英セルに入れて分光光度計(UV−2450、島津製作所社製)を用いて吸光度の測定を行った。モル吸光係数は、測定された吸光度を溶液のモル濃度(M)とセルの厚み(cm)で割った値とした。その結果を表1に示した。
実施例1〜3及び比較例1、2で用いた光重合開始剤と、紫外部吸光スペクトル用アセトニトリル(同仁化学社製)とを用いて試料濃度が1.0×10−4Mになるように光重合開始剤溶液を調製し、光路長(1cm)の石英セルに入れて分光光度計(UV−2450、島津製作所社製)を用いて吸光度の測定を行った。モル吸光係数は、測定された吸光度を溶液のモル濃度(M)とセルの厚み(cm)で割った値とした。その結果を表1に示した。
表1に示したように、実施例1〜3で得られた遮光シール剤を用いて得られた液晶表示パネルは、初期及び高温高湿試験後においても色ムラが全くないか、又は、微かに色ムラがある程度であり、いずれも実用に全く問題がないレベルであった。また、光学濃度(OD値)は3.5〜3.8と非常に高く、充分な遮光性を有するものであり、体積抵抗は、いずれも1.0×1013Ω・cmと高く、充分な絶縁性を示すものであった。更に、実施例1〜3で用いた光重合開始剤は、モル吸光係数は700M−1・cm−1であり、充分な光硬化性を示した。
これに対して、比較例1で得られた遮光シール剤は、光重合開始剤のモル吸光係数は70
0M−1・cm−1であったが、使用した着色剤が波長370〜450nmの光を充分に透過させないものであったため、光照射により内部まで充分に硬化させることができず、高温高湿試験後に色むらが少し見られ、高温通電試験後に色むらがかなり見られた。また、比較例2で用いた光重合開始剤は、モル吸光係数が50M−1・cm−1と低く、比較例2で得られた遮光シール剤は、光硬化性に劣るものであり、高温通電試験後に色むらが少し見られた。
なお、実施例及び比較例のいずれの場合も、液晶表示パネルの製造時に光照射によって透明電極付き基板は発熱しておらず、作製した液晶表示パネルの透明電極付き基板に反りは発生していなかった。
0M−1・cm−1であったが、使用した着色剤が波長370〜450nmの光を充分に透過させないものであったため、光照射により内部まで充分に硬化させることができず、高温高湿試験後に色むらが少し見られ、高温通電試験後に色むらがかなり見られた。また、比較例2で用いた光重合開始剤は、モル吸光係数が50M−1・cm−1と低く、比較例2で得られた遮光シール剤は、光硬化性に劣るものであり、高温通電試験後に色むらが少し見られた。
なお、実施例及び比較例のいずれの場合も、液晶表示パネルの製造時に光照射によって透明電極付き基板は発熱しておらず、作製した液晶表示パネルの透明電極付き基板に反りは発生していなかった。
本発明によれば、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができるとともに、基板に反りを発生させることなく液晶表示素子を製造することができる液晶表示素子用遮光シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
Claims (9)
- 不飽和二重結合を有する硬化性化合物、光重合開始剤及び着色剤を含有する液晶表示素子用遮光シール剤であって、前記着色剤は、チタンブラックであり、前記光重合開始剤は、370〜450nmの波長領域のいずれかにおいて、アセトニトリル中でのモル吸光係数(ε)がε=100〜3万M−1・cm−1であることを特徴とする液晶表示素子用遮光シール剤。
- 不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリル基を有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、水素結合性官能基を有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 更に、カーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 更に、エポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- E型粘度計を用いて25℃で測定した粘度が1万mPa・s以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 硬化させた後の硬化体の体積抵抗率が107Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の液晶表示素子用遮光シール剤。
- 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液晶表示素子用遮光シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
- 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の液晶表示素子用遮光シール剤及び/又は請求項8記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
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