JP2006311759A - 交流交流直接電力変換器の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電圧検出手段61と、入力電流制御手段62と、入力電流指令に基づいて出力電圧を制御する手段63〜65と、を備えた制御装置に関する。入力電流制御手段62は、入力電圧検出値から入力電圧ベクトルを演算する手段101と、入力電圧ベクトルの任意の周波数成分を抽出するハイパスフィルタ102と、前記周波数成分の大きさを調節するゲイン調節手段103と、入力電圧検出値の直交2軸の静止座標上の各成分から入力電圧位相の三角関数を演算する除算手段104,105と、各手段103,104,105の出力をそれぞれ乗算して前記周波数成分に起因した入力電流の振動を抑制する補正量を演算する乗算手段106,107と、前記補正量を用いて前記入力電流指令を補正する加算手段109,110とを備える。
【選択図】図1
Description
一方、マトリクスコンバータでは、入力電圧に高調波が含まれる場合に入力電流を正弦波に制御すると、有効電力が脈動する。この有効電力脈動は、大形のエネルギーバッファを有する電力変換器では吸収可能であるが、エネルギーバッファのないマトリクスコンバータでは、入力電圧の歪みが出力電圧を歪ませる原因となる。この出力電圧の歪みは、負荷として電動機が接続されている場合に電動機の脈動や騒音を生じさせるだけでなく、高調波電流により銅損が増加し、効率を低下させるため好ましくない。
図3はこの先願発明の構成を示しており、10は三相交流電源、20は系統インピーダンス、30はLCフィルタ等からなる入力フィルタ、40は双方向に電流を制御可能な複数の交流スイッチSからなるマトリクスコンバータ、50は交流電動機等の負荷、60はいわゆる仮想AC/DC/AC方式を用いた制御装置である。
これにより、入力電圧に高調波が含まれていても常に瞬時有効電力が一定となるように入力電流を制御することができ、原理的に出力電圧の歪みは発生せず、負荷50としての電動機に脈動や騒音等を生じさせることなく高効率に運転することが可能である。
図4は、図3の系統インピーダンス20及び入力フィルタ30の構成を詳細に示したものであり、Lsは上記インダクタンス成分、Lf,Cf,Rfは入力フィルタ30の各インピーダンスを示す。
更に、瞬時値制御以外でも、入力電流の歪みや不平衡が存在すると出力電圧も歪み、騒音や効率低下などが問題となる。
以下、この特願2005−73233に記載された先願発明を略述する。
すなわち、入力電流制御手段62は、図3の電圧検出手段61により検出された静止座標上の入力電圧検出値vα,vβに基づいて入力電流指令を補正する機能を持つ。
図6において、演算手段62aは、電圧検出値vα,vβから、前述した数式1に基づいて静止座標上の入力電流指令iα *,iβ *を演算する。なお、演算手段62aには、規格化された瞬時有効電力指令p*(=1)が入力されている。
一方、電圧検出値vα,vβをハイパスフィルタ62bに入力して入力電圧の高調波成分vαrip,vβripを抽出し、ゲイン乗算手段62cにより補償ゲインKdを乗じて電流の補正項iαrip,iβripを得る。そして、加算手段62d,62eにおいて、電流指令iα *,iβ *に補正項iαrip,iβripをそれぞれ加えることにより、最終的な入力電流指令iα **,iβ **を求める。すなわち、入力電流指令iα **,iβ **は数式2により与えられる。なお、数式3はハイパスフィルタ62bにより抽出される高調波成分vαrip,vβripである。
この実施形態は、回転座標上の瞬時値制御により入力電流指令を補正するものであり、前述した電圧検出手段61の出力から求めた入力電圧位相θinが入力電流制御手段62に入力されている。
ここで、入力電圧位相θinは、入力電圧検出値vα,vβから数式4を用いて求める。なお、この位相θinは、PLLを用いて検出してもよい。
図8は、この実施形態における入力電流制御手段62のブロック図であり、入力電流制御手段62が、入力電圧検出値vα,vβ、入力電圧位相θin及び入力力率指令φin *を用いて入力電流指令iα **,iβ **を求める。入力電流制御手段62以後の構成は、先願発明の第1,第2実施形態と同様である。
従って、数式11に基づいて入力電流指令ベクトルを補正し、直交二軸の入力電流指令が数式2と同一であれば、先願発明の第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
以上より、数式11の入力電流指令ベクトルの大きさ|Iin **|から求めた直交二軸の入力電流指令iα **’,iβ **’が、数式2のiα **,iβ **と等価になればよい。
まず、数式11を、数式13のように直交二軸の入力電流指令iα **’,iβ **’によって表す。なお、数式13における|Iin *|は数式14の通りである。
また、図8において、62pは|Vin|から振動成分の大きさ|Vrip|を抽出するためのハイパスフィルタ、62qは|Vrip|に補償ゲインKdを乗じて|Irip|を求めるためのゲイン乗算手段、62rはvα,vβからvαrip,vβripを求めるためのハイパスフィルタ、62s,62tは数式16を演算する除算手段、62u,62vは数式13の演算に必要な補正項を演算するための乗算手段、62wは加算手段である。
(1)静止座標上のvα,vβをハイパスフィルタ62b,62rに入力するため、ハイパスフィルタの時定数が大きいと基本波位相が変化し、出力電圧の制御性能が悪化する。
(2)上記の(1)の制約によりハイパスフィルタの時定数を大きくできないため、系統リアクタンスが大きくなると安定化に限界がある。
(3)上記先願発明の第2実施形態(図7)、第3実施形態(図8)では、電源からの入力電圧位相θiを検出する必要がある。この位相θiを検出するためには、PLLまたは数式4のアークタンジェント演算を用いているが、PLLの場合は、一定に収束するまで最低でも電源半周期以上はかかる。従って、電源が確立したとしても半周期以上は運転を待機する必要があり、例えば、負荷に電動機が接続されている状態で、瞬間的な停電が発生し、復帰後に高速にトルクを出力する用途には不利となる。また、アークタンジェント演算は、マイクロプロセッサなどの演算装置に負荷がかかるだけでなく、不連続点などが存在するため演算精度に問題がある。
このシミュレーションでは、系統リアクタンスを5%とし、図9の領域Aでは、入力電流指令iα *,iβ *を数式1(特願2004−80302による)のみにより制御し、領域Bでは、数式2により補正した入力電流指令iα **,iβ **を用いた。
つまり、特願2005−73233に係る先願発明の第1実施形態のように、静止座標上で入力電流指令を補正すると、交流成分の基本周波数とハイパスフィルタのカットオフ周波数が近くなり、基本周波数成分の位相が変化するため、入力電流指令にひずみが生じて、結果として出力電圧制御性能を悪化させることになる。
上記の理由により、系統リアクタンスが大きくなるにつれて出力電圧制御性能の悪化を招くため、ハイパスフィルタのカットオフ時定数に制約が存在する。
そこで、本発明は、前記(1),(2),(3)の課題を解決し、出力電圧制御性能の悪化も招かず、入力電圧位相の検出を必要としない安価な制御装置を提供しようとするものである。
電力変換器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、この手段により得た入力電圧検出値から電力変換器の入力電流指令を演算する入力電流制御手段と、前記入力電流指令に基づいて電力変換器の出力電圧を制御する手段と、を備えた制御装置において、
前記入力電流制御手段は、
前記入力電圧検出値から入力電圧ベクトルを演算する演算手段と、
前記入力電圧ベクトルに含まれる任意の周波数成分を抽出する抽出手段と、
前記周波数成分の大きさを調節するゲイン調節手段と、
このゲイン調節手段の出力を用いて、前記周波数成分に起因した入力電流の振動を抑制するための補正量を演算する補正量生成手段と、
前記補正量を用いて前記入力電流指令を補正する補正手段と、
を備えたものである。
前記入力電流制御手段は、前記入力電圧検出値の直交2軸の静止座標上で表した各成分から入力電圧位相の三角関数を演算する手段を備え、
前記補正量生成手段は、前記三角関数と前記ゲイン調節手段の出力とを用いて前記補正量を演算するものである。
また、特願2005−73233に係る先願発明のように、PLLやアークタンジェント演算によって入力電圧位相を直接演算する必要がないので、運転待機時間の短縮、演算負荷の軽減が可能である。
この実施形態に係る交流交流直接電力変換器の主回路及び制御装置の全体構成は図3に示したものと実質的に同一であるが、この実施形態では、入力電流制御手段62の構成、機能に特徴がある。
前述した数式2から補正項Kdvαrip,Kdvβripを抜き出し、これらをiαrip,iβripとして表すと、数式17、数式18となる。なお、数式17、数式18において、HPFはハイパスフィルタの伝達関数を示す。
ここで、入力電圧位相θiの三角関数は、数式22、数式23に基づいてvα,vβから四則演算により演算できるため、入力電圧位相θiを直接検出する必要はない。
(2)上記(1)より、系統リアクタンスが大きくなっても安定した制御を行うことができる、
(3)入力電圧位相角θiを検出する必要がないため、その検出にPLLを用いる場合に比べて運転待機時間を短くでき、また、アークタンジェント演算等に伴う演算負荷の大幅な増大を防ぐことができる。
図1において、図3の電圧検出手段61により検出した直交二軸成分の入力電圧検出値vα,vβはベクトルの大きさ演算手段101に入力され、この演算手段101により数式21を用いて入力電圧ベクトルVi(の大きさ)を演算する。次に、この入力電圧ベクトルViをハイパスフィルタ102及びゲイン調節手段103に順次入力し、数式26、数式27における三角関数cosθi,sinθiを除いた振動成分を抽出する。
この瞬時値制御手段108から出力された入力電流指令iα *,iβ *と前記補正項iαrip,iβripとを、補正手段としての加算手段109,110にてそれぞれ加算することにより、最終的な入力電流指令iα **,iβ **が求められる。以降の構成及び動作は、図6と同一である。
更に、数式26、数式27をそれぞれ数式28、数式29のように置き換えて入力電圧ベクトルの二乗の値から振動成分を抽出し、演算してもよい。この場合には、ルート演算を行わずに実現できるため、更なる演算負荷の低減が見込めることになる。
また、上記実施形態において説明した入力電流指令演算手段はあくまで一例であり、入力電圧を検出し、入力電圧位相を用いずに入力電圧情報に基づいて入力電流指令を演算するものであれば、いかなる構成も本発明に包含されるものである。
20:系統インピーダンス
30:入力フィルタ
40:マトリクスコンバータ
50:負荷
60:制御装置
61:電圧検出手段
62:入力電流制御手段
63:整流器制御手段
64:インバータ制御手段
65:PWMパルス合成手段
101:ベクトルの大きさ演算手段
102:ハイパスフィルタ
103:ゲイン調節手段
104,105:除算手段
106,107:乗算手段
108:瞬時値制御手段
109,110:加算手段
Claims (2)
- 大形のエネルギーバッファを用いずに交流電源電圧を任意の大きさ及び周波数の交流電圧に直接変換する交流交流直接電力変換器の制御装置であって、
電力変換器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、この手段により得た入力電圧検出値から電力変換器の入力電流指令を演算する入力電流制御手段と、前記入力電流指令に基づいて電力変換器の出力電圧を制御する手段と、を備えた制御装置において、
前記入力電流制御手段は、
前記入力電圧検出値から入力電圧ベクトルを演算する演算手段と、
前記入力電圧ベクトルに含まれる任意の周波数成分を抽出する抽出手段と、
前記周波数成分の大きさを調節するゲイン調節手段と、
このゲイン調節手段の出力を用いて、前記周波数成分に起因した入力電流の振動を抑制するための補正量を演算する補正量生成手段と、
前記補正量を用いて前記入力電流指令を補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とする交流交流直接電力変換器の制御装置。 - 請求項1に記載した交流交流直接電力変換器の制御装置において、
前記入力電流制御手段は、前記入力電圧検出値の直交2軸の静止座標上で表した各成分から入力電圧位相の三角関数を演算する手段を備え、
前記補正量生成手段は、前記三角関数と前記ゲイン調節手段の出力とを用いて前記補正量を演算することを特徴とする交流交流直接電力変換器の制御装置。
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