JP2006306779A - ジチオスルフェート化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ジハロゲン化合物とチオ硫酸アルカリ金属塩とを水性有機媒体を反応媒体として用いて反応させて、ジチオスルフェート化合物を製造するにおいて、副生成物の生成を抑えて、目的のジチオスルフェート化合物を連続的に収率良く得ることができる製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ジハロゲン化合物とチオ硫酸アルカリ金属塩とを水性有機媒体を反応媒体として用いて反応させて、ジチオスルフェート化合物を製造するにおいて、アルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩の存在下で反応させることにより上記課題を解決した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、式(II)
Figure 2006306779
(式中、nは4〜12の整数を表し、Mはアルカリ金属を表す。)
で表されるジチオスルフェート化合物の製造方法に関する。ジチオスルフェート化合物は加硫生成物の安定剤としての用途が知られており、例えば、ジエンゴムを加硫する際に硫黄及び加硫促進剤とともに使用される。
前記ジチオスルフェート化合物の製造方法としては、式(I)
Figure 2006306779
(式中、nは4〜12の整数を表し、Xはハロゲン元素を表す。)
で表されるジハロゲン化合物(式(1))とチオ硫酸アルカリ金属塩とを水性アルコール媒体を反応媒体に用いて反応させる方法が知られているが(特許文献1)、この方法は、目的物を分離回収して高収率で得るために、煩雑且つ多大のエネルギーを要する操作が必要であり問題があった。即ち、この方法では、生成するハロゲン化アルカリ金属塩が反応の進行とともに反応液中に析出してくるため、目的のジチオスルフェート化合物は、析出したハロゲン化アルカリ金属塩を熱時濾過により除去した後、濾液を冷却して、析出物として濾取されるが、目的のジチオスルフェート化合物が濾液中に多量に残存する。このため、該濾液から目的のジチオスルフェート化合物を充分かつ純度良く回収する為には、同様に濾液中に残存しているハロゲン化アルカリ金属塩を分離除去しなければならい。
斯かる問題を解決する方法として、特許文献1には、反応液を冷却して目的のジチオスルフェート化合物を含む沈殿物として濾過分離した後、これを再結晶にて精製する方法や、反応液を乾固させて、これを熱メタノールで抽出して、目的のジチオスルフェート化合物を得る方法が記載されているが、何れも煩雑且つ多大のエネルギーを要するものであった。
その他、ジハロゲン化合物(式(1))とチオ硫酸アルカリ金属塩とを、水を反応媒体として反応させた後、その反応液からメチル−tert−ブチルエーテルで目的のジチオスルフェート化合物を抽出する方法(特許文献2)も知られているが、抽出溶媒を別途用いなければならず、更に、その溶媒の除去操作が必要となるなど、前記の方法と同様に煩雑且つ多大なエネルギーを要するものであった。
これらの問題の解決法として、目的のジチオスルフェート化合物を分離した後に得られる母液を反応媒体として再利用することが考えられるが、ジハロゲン化合物(式(1))とチオ硫酸アルカリ金属塩との反応では、反応の進行に伴って硫酸が生成し、反応液のpH値が低下してくる為、その母液のpH値は低く、これを再利用した場合、チオ硫酸アルカリ金属塩及び生成するジチオスルフェート化合物の分解が促進され、悪臭物質であるメルカプタン類(ビスチオールなど)などの副生成物が生成し、悪臭を放つとともに、取得したジチオスルフェート化合物の品質に影響を与え問題であった(比較例1)。
ジハロゲン化合物(式(1))とチオ硫酸アルカリ金属塩との反応は、上記のような反応媒体のリサイクルを行わない場合においても、反応液のpH値が低下してくることはもとより、生成するジチオスルフェート化合物が一部分解して、悪臭物質であるメルカプタン類等の副生成物が生成する。この為、反応終了後、取得したジチオスルフェート化合物の品質に悪影響をもたらすが、該ジチオスルフェート化合物を水溶液に調整した場合、そのpH値も低く(比較例1)、加硫促進剤等として用いる場合には問題があった。
斯かる品質の問題を解決する方法として、特許文献1には、チオ硫酸アルカリ金属塩1モルに対し0.05〜0.2モルの亜硫酸ナトリウムを加えることで、副生成物の生成を抑制できることが記載されているが、本発明者が追試したところ、悪臭物質であるメルカプタン類等の副生成物が生成し、得られたジチオスルフェート化合物の品質を向上させるには至らなかった。また、目的のジチオスルフェート化合物を濾取した後に得られた濾液のpH値は低く、反応媒体として、そのまま再利用できるものではなかった。更に、得られたジチオスルフェート化合物の水溶液のpH値は低い値であった(比較例2)。
特許文献2には、チオ硫酸ナトリウム五水和物の水溶液に、1,6−ジクロルヘキサンを加え、これに5%の苛性ソーダを添加して、pH値を7〜8に調整した後、加熱反応させるジチオスルフェート化合物の製法が記載されているが、本発明者が追試したところ、反応液のpH値は反応の進行に伴って低下し、悪臭物質であるメルカプタン類等の副生成物が生成し、取得した目的のジチオスルフェート化合物の品質低下を招いた。また、ジチオスルフェート化合物を濾取した後の母液のpH値は低く、そのまま反応媒体として再利用できるものではなかった(比較例4)。
特開平3−115259号公報 特開平6−234734号公報
本発明は、式(I)で表されるジハロゲン化合物とチオ硫酸アルカリ金属塩とを水性有機媒体を反応媒体として用いて反応させて、式(II)で表されるジチオスルフェート化合物を製造するにおいて、煩雑且つ多大のエネルギーを要する操作を行うことなく、また、メルカプタン類等の副生成物の生成を抑えて、目的のジチオスルフェート化合物を連続的に収率良く得ることができる、ジチオスルフェート化合物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩の存在下で反応させることにより、悪臭物質であるメルカプタン類等の副生成物の生成を抑え、更には、反応液のpH値の低下を防ぎ、目的のジチオスルフェート化合物を濾取した後の母液を反応媒体として再利用しても、反応中に存在するチオ硫酸アルカリ金属塩や、生成するジチオスルフェート化合物(式(II))の分解を生じないジチオスルフェート化合物の収率の良い、連続的な製造方法を見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(a)第1工程で、水性有機媒体を反応媒体に用いて、式(I)で表されるジハロゲン化合物とチオ硫酸アルカリ金属塩とをアルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩の存在下に反応させて、式(II)で表されるジチオスルフェート化合物を生成させ、(b)第2工程で、第1工程の反応液中に析出したハロゲン化アルカリ金属塩を熱時濾過により除去し、(c)第3工程で、第2工程の母液を冷却して生成したジチオスルフェート化合物を晶析分離し、(d)第3工程のジチオスルフェート化合物の晶析分離で得られた母液を第1工程の反応媒体として用いることを特徴とするジチオスルフェート化合物の製造方法に関する。
本発明により、前記課題を解決して、悪臭物質であるメルカプタン類等の副生成物の生成を抑え、更には、反応液のpH値の低下を防ぎ、目的のジチオスルフェート化合物を高収率で連続的に製造することができる。
即ち、本発明は、従来技術(例えば、反応液を乾固させた後、これを熱メタノールで抽出するなど)のような煩雑で多大のエネルギーを要する操作を必要とせず、目的のジチオスルフェート化合物を反応液から容易に分離でき、しかも、反応液のpH値の低下を防ぐことから、目的のジチオスルフェート化合物を分離して得られるジチオスルフェート化合物を含有する母液を反応媒体として再利用でき、目的のジチオスルフェート化合物を収率良く連続的に製造できる。
また、メルカプタン類の生成を抑えて、悪臭原因物質の混入等による目的のジチオスルフェート化合物の品質低下を防ぐことができ、更に廃液処理に起因する環境への影響も回避することもできる。
更に、得られたジチオスルフェート化合物を水溶液に調整した場合、そのpH値の低下も無く、加硫促進剤等として用いるのに好適な性状を有していた。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用されるジハロゲン化合物は式(I)で表される。式中、Xは、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン元素を表す。ジハロゲン化合物(式(I))の具体的な態様としては、1,4−ジクロロブタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,8−ジクロロオクタン、1,12−ジクロロドデカン等のジクロロアルカンや;1,4−ジブロモブタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,8−ジブロモオクタン、1,12−ジブロモドデカン等のジブロモアルカンや;1,4−ジヨードブタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,8−ジヨードオクタン、1,12−ジヨードドデカン等のジヨードアルカンなどが挙げられるが、ジクロロアルカンが好ましい。
本発明で使用されるチオ硫酸アルカリ金属塩としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムが挙げられるが、チオ硫酸ナトリウムが好ましい。
チオ硫酸アルカリ金属塩の使用量は、ジハロゲン化合物(式(I))1モルに対して1.6〜2.4モルが好ましく、更に好ましくは1.8〜2.2モルである。なお、チオ硫酸アルカリ金属塩は結晶水を含有していても無水物でもよい。
本発明で反応媒体として使用される水性有機媒体とは、水と均一の混合物を形成できる有機溶媒と水との混合物である。ここで、有機溶媒としては、水と均一の混合物を形成できるものであって、目的のジチオスルフェート化合物(式(II))の濾取操作において、容易に分離除去できる低沸点(沸点100℃以下程度)のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールや;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド化合物;N−メチルピロリドン(NMP)などの環状アミド化合物;N,N−ジメチルイミダジリジノン(DMI)などの尿素類;アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、低級アルコールが好ましく、更にはメタノールが好ましい。
反応媒体である水性有機媒体の前記有機媒体と水との混合割合は、均一系の反応を維持できる量であって、かつ、後述の熱時濾過において目的のジチオスルフェート化合物は全量溶解するが、反応で生成したハロゲン化アルカリ金属塩ができるだけ多く析出する混合割合が好ましく、反応のスケールや反応温度により異なるが、水性有機媒体中の前記有機溶媒の濃度が15〜90重量%であることが好ましく、更には20〜80重量%であることが好ましい。
また、反応媒体の使用量は、均一系の反応を維持できる量であって、かつ、後述の熱時濾過において、目的のジチオスルフェート化合物は全量溶解するが、反応で生成したハロゲン化アルカリ金属塩はできるだけ多く析出する量とすることが好ましい。具体的には、反応のスケールや反応温度によって異なるが、ジハロゲン化合物(式(I))1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは2〜20gの範囲で適宜選択される。
ジハロゲン化合物(式(I))とチオ硫酸アルカリ金属塩との反応(第1工程)において、反応温度は40〜150℃が好ましく、更に好ましくは50℃〜120℃である。反応温度が低すぎると反応が遅く反応完結までに多大な時間を費やし、反応温度が高すぎると副生物が増加する。
また、反応圧は通常は常圧であるが、反応温度が水性有機媒体の沸点以上の場合は加圧となる。反応雰囲気は特に制限されず、大気中、或いは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス存在下でも行うことができる。
更に、この反応は、例えば、チオ硫酸アルカリ金属塩を溶解した反応媒体に前記ジハロゲン化合物を滴下して行うこともできる。
本発明のアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等を挙げることができる。
また、炭酸水素金属塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等を挙げることができる。。
なお、これらのアルカリ金属炭酸塩及び炭酸水素金属塩は、単独又は2種以上を混合して使用することもできる。
アルカリ金属の炭酸塩及び/又は炭酸水素金属塩の使用量は、チオ硫酸アルカリ金属塩1モルに対して、好ましくは0.001モル〜0.50モル、更に好ましくは0.01モル〜0.1モルである。使用量が少ない場合は、チオ硫酸アルカリ金属塩が分解し硫酸および硫酸塩が生成し、目的のジチオスルフェート化合物(式(II))の分解により、例えば、式(II)においてn=6であれば、ヘキサメチレンビスチオール、クロルヘキシルチオール等のメルカプタン類や、1,2−ジチオカン等の環状ジスルフィドなどが生成する。特にメルカプタン類は微量で強い悪臭を持っている。
第1工程の反応終了後、反応液中に析出した不要なハロゲン化アルカリ金属塩は、熱時濾過により除去される(第2工程)。このとき、熱時濾過は、ジチオスルフェート化合物が全量溶解してハロゲン化アルカリ金属塩ができるだけ多く析出する温度で行うことが好ましく、50〜100℃、更に好ましくは60〜80℃である。
次いで、第2工程の母液を冷却して目的のジチオスルフェート化合物(式(I))を晶析させて、濾過又は遠心分離などにより分離する(第3工程)。この晶析分離において、冷却温度は、目的のジチオスルフェート化合物(式(I))は充分に析出するが、ハロゲン化アルカリ金属塩は析出しない温度であることが好ましく、−20〜20℃、更に好ましくは−10〜10℃である。
分離されたジチオスルフェート化合物(式(I))は、更に、冷却温度と同じ温度で反応媒体と同じ組成の洗浄液を用いて洗浄され乾燥される。洗浄後の洗浄液はそのまま晶析母液と共に次工程に供してもよく、ジチオスルフェート化合物(式(I))の洗浄に再使用してもよい。
ジチオスルフェート化合物(式(I))の晶析分離後の母液は、第1工程に循環され、繰り返し第1工程から第3工程の反応媒体として使用される。この一連の操作は、必要に応じて何回でも繰り返して行ってもよい。
また、本発明では、繰り返しの工程で、原料(前記ジハロゲン化合物及びチオアルカリ硫酸塩)仕込み量を、晶析後の母液中に溶存するジチオスルフェート化合物の量に相当する量(化学量論量)以下の範囲で(好ましくその相当量分だけ)減少させて、再度第1〜第3工程を繰り返して行う事もできる。
例えば、原料仕込み量を最初の仕込み量の10%程度減少させて繰り返しの工程を行うことができる。この結果、各繰り返しの工程では、原料仕込み量に基づく収率を超えて目的のジチオスルフェート化合物を得ることになる。
本発明の製造方法で得られるジチオスルフェート化合物(式(I))の具体的な態様としては、ブタンビスチオスルフェート、ヘキサメチレンビスチオスルフェート、オクタメチレンビスチオスルフェート、ドデカメチレンビスチオスルフェートなどの2ナトリウム塩・2水和物、2ナトリウム塩・1水和物、及び2ナトリウム塩無水和物が挙げられる。
本発明の製造方法で生成したジチオスルフェート化合物(式(I))は、第3工程で晶析分離した後、減圧乾燥(温度20〜110℃、0.1〜760torr、0.5〜24時間)して得られる。
以下、実施例及び比較例に挙げて本発明を具体的に説明する。なお、目的物の収率は仕込みのジハロゲン化合物(式(I))基準で求めた。
実施例1
(1巡目)
攪拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた1L(リットル)の丸底フラスコに水158.58gとメタノール273.26gを仕込み、25℃で攪拌しながら、チオ硫酸ナトリウム105.72g(0.64モル)を加え、更に炭酸ナトリウム1.69g(0.016モル)を加えた後、1,6−ジクロルヘキサン50g(0.32モル)を攪拌下で添加した。溶媒が還流するまで温度を上げ、還流下(液温73〜75℃)で15時間反応を行った(1巡目の第1工程)。
反応終了後、反応液を65℃に冷却し、析出した結晶(塩化ナトリウム)を加圧濾過により分離した(1巡目の第2工程)。得られた母液を更に2℃まで冷却して1時間後に析出物を減圧濾過により分離した(1巡目の第3工程)。ここで得られた母液は293.43gであり、pH値は11.1であった。(以下、第3工程の析出物の濾取により得られた母液を母液Aとする。)一方、得られた濾取物は、2℃の洗浄液(メタノール/水(重量比)=65/35)で2回洗浄して濾過により分離した後(1回目の洗浄液:119.68g、2回目の洗浄液:75.94g)、減圧乾燥して(45℃、2torr、4時間)、目的のヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物197.3gを得た。なお、同化合物はメルカプタン類の臭気は全くなく、同化合物を水に溶かした溶液のpH値は9.5であった。濾取物の2回目の洗浄液75.94gと先の母液Aとの混合液は368.40gであり、そのpH値は11.3であった。(以下、濾取物の2回目の洗浄液と母液Aとの混合液を母液Bとする。)
(2巡目:1巡目の濾液Bの再利用)
母液B(368.40g)を丸底フラスコに仕込み、水43.54g、メタノール80.42g、チオ硫酸ナトリウム98.38g(1.024モル)と炭酸ナトリウム1.58gを攪拌下で添加した後、1,6−ジクロルヘキサン46.54g(0.58モル)を攪拌下で添加した。次いで、溶媒が還流するまで温度を上げ、還流下(液温73〜75℃)に15時間反応を行った(2巡目の第1工程)。
反応終了後、1巡目と同様な操作を行った。2巡目の第3工程で、析出物を濾過した後に得られた母液Aは307.02g(pH値は10.9)であった。析出物を1巡目と同様に2回洗浄し、2回目の洗浄液と母液A(2巡目)を混合した濾液B(2巡目)は392.26gであり、目的のヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物は197.3g得られた。このとき母液および目的のヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物にメルカプタン類の臭気は全くなかった。
以降、2巡目と同様の操作を更に2回繰り返した。
原料の仕込み量、濾液のpH値、ヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物の取得量は表1に記載の通りである。また、これら4回の繰り返しの反応によって得られた目的のヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物の総量は、417.75gであり、仕込んだ1,6−ジクロルヘキサンの総和を基準とした収率は87%であった。
Figure 2006306779
注:表中、DCHはジクロロへキサンを表わし、HMTSはヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物を表わす。
HMTSの水溶液は、取得したHMTS0.15gを水10mLに溶解して調整した。
実施例2〜4
実施例1の1巡目の反応におけるアルカリ金属塩を表2記載のものに代えて、実施例1の1巡目と同様にして反応を行った。その結果を表2に示す。
なお、これらの反応で得られたヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物にメルカプタン類の臭気は全くなかった。
Figure 2006306779
注:表中、HMTSはヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物を表わす。
HMTSの水溶液は、取得したHMTS0.15gを水10mLに溶解して調整した。
比較例1
実施例1の1巡目の反応におけるアルカリ金属塩を使用しなかった以外は実施例1の1巡目と同様の条件で反応を行った。その結果、母液AのpH値は4.7であり、母液からはメルカプタン類の臭気があった。また、高速液体クロマトグラフィーで分析を行ったところ実施例1では認められなかった副生成物由来のピークが検出された。
取得したヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物0.15gを水10mLに溶解して、そのpH値を測定したところ4.5であった。また、メルカプタン類の臭気も認められた。
比較例2〜4
実施例1の1巡目の反応におけるアルカリ金属塩に代えて表3記載のアルカリ金属塩並びに使用量で、実施例1の1巡目と同様な条件で反応を行った。実施例1の1巡目の反応の母液Aに対応する各反応の母液AのpH値を表3に示す。
なお、これらの反応で得られたヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物にメルカプタン類の臭気が認められた。
Figure 2006306779
注:表中、HMTSはヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物を表わす。
HMTSの水溶液は、取得したHMTS0.15gを水10mLに溶解して調整した。
比較例5
比較例1の母液B(pH値=5.0)を反応媒体として用いて、アルカリ金属塩を新たに添加する事無く2巡目の反応を行った。その結果、目的のヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物の濾取後の母液Aをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、ヘキサメチレンビスチオールが検出され、取得したヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物にはメルカプタン類の強い臭気が認められた。また、高速液体クロマトグラフィーで取得したヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物の結晶の分析を行ったところ、比較例1同様に実施例1では見られなかった大きなピークが検出された。

Claims (2)

  1. (a)第1工程で、水性有機媒体を反応媒体に用いて、式(I)で表されるジハロゲン化合物
    Figure 2006306779
    (式中、nは4〜12の整数を表し、Xはハロゲン元素を表す。)
    とチオ硫酸アルカリ金属塩とをアルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩の存在下に反応させて、式(II)で表されるジチオスルフェート化合物を生成させ、
    Figure 2006306779
    (式中、nは4〜12の整数を表し、Mはアルカリ金属を表す。)
    (b)第2工程で、第1工程の反応液中に析出したハロゲン化アルカリ金属塩を熱時濾過により除去し、(c)第3工程で、第2工程の母液を冷却して生成したジチオスルフェート化合物を晶析分離し、(d)第3工程のジチオスルフェート化合物の晶析分離で得られた母液を第1工程の反応媒体として用いることを特徴とするジチオスルフェート化合物の製造方法。
  2. ジチオスルフェート化合物がヘキサメチレンビスチオスルフェート2ナトリウム塩・2水和物である請求項1記載のジチオスルフェート化合物の製造方法。
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