JP2006306704A - 炭素膜の製造方法および炭素膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素膜の成膜効率、成膜速度、膜厚制御、膜質制御を容易に向上し、また、メンテナンスに手間がかからない炭素膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】本炭素膜の製造方法は、熱エネルギが付与されている雰囲気内に炭素を含むガスを触媒金属に接触させて炭素膜を製造する方法であって、前記雰囲気内に電気的エネルギを付与して前記炭素膜の成膜効率を向上する方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノファイバ等の炭素膜を製造する方法、およびこの製造方法により製造する炭素膜に関するものである。
電子放出材料にカーボンナノファイバ等の炭素膜を用いることが行われている(特許文献1参照。)。このような炭素膜を製造する方法としては、熱エネルギが付与されている雰囲気中に、基板上に炭素の成膜を促進する物質である触媒金属を配置し、この触媒金属に炭素を含むガスを接触させることによりそのガスを分解して炭素膜を成膜する熱CVD法が提案されている。このような熱CVD法で基板上に炭素膜として例えばカーボンナノチューブを成長させる場合、数十μm程度が成長の限界とされているうえに、そのカーボンナノチューブの長さを制御することは困難とされている。そこで、熱CVD法をアシストするために、熱エネルギ雰囲気中にプラズマを発生させて炭素膜の品質向上、成膜温度の低温化を図る、いわゆるプラズマアシスト熱CVD法が提案されている。基板上に炭素膜を成膜する場合、その基板にアルミニウム等からなる電気配線があると、熱CVD法で700℃から900℃にも温度が達すると、アルミニウムの融点を越え、また、ガラス基板の軟化点を越えてしまい、成膜することができなくなる。一方、単に低温化するだけでは、成膜しにくく、また、品質も悪い炭素膜に成膜される。そこでプラズマアシストにおいては、成膜し易い条件を与えてガラス基板や電気配線等に影響しない低温化例えば650℃以下での成膜を可能にするとともに、かつ、成膜の品質例えばエミッション特性も向上することができるようにしている。
しかしながら、プラズマアシストの場合、室温でもガスが分解するのでチャンバ内壁が付着炭素膜で汚染されてしまい易く、かつ、絶縁体であるべき箇所に炭素膜が付着して電気的に導通され易いことなどによりそのメンテナンスに手間がかかること、また、プラズマは維持させることそのものに技術的な困難性があること、さらに、ガス流路制御やチャンバ内の圧力制御等が難しいこと、成膜効率が低く、成膜速度の制御、膜厚の制御、膜質の制御等が困難であった。
特開2003−16912
そこで、本発明は、炭素膜の成膜効率の向上、ならびに成膜速度、膜厚、膜質の制御を可能とし、かつ、メンテナンスに手間がかからない炭素膜の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
本発明による炭素膜の製造方法は、熱エネルギが付与されている雰囲気内に炭素を含むガスを触媒金属に接触させて炭素膜を製造する方法において、熱エネルギが付与されている雰囲気内に放電現象が発生しない領域の電気的エネルギを付与して炭素膜の成膜をアシストすることを特徴とするものである。
本発明によると、炭素膜の上記アシストにより成膜効率が向上し、成膜速度、膜厚、膜質を制御することができるようになった。
すなわち、本発明によると、プラズマアシストとは異なって、チャンバ等の内壁が付着炭素膜で汚染されにくくなるなど、によりそのメンテナンスに手間がかからずに済むようになり、プラズマ維持のための熱ガス流路の制御やチャンバ内の圧力制御等が不要となる上に、高い成膜効率、成膜速度、膜厚および膜質を容易に制御することができるようになった。
通常の熱CVD時には、チャンバ内壁に炭素の付着が起こり、供給された原料ガスがこの炭素分の成長によって消費されることによって、触媒基板上の炭素系ナノファイバの生成効率の著しい悪化が起こるが、特に、本発明では、前記雰囲気内に電気的エネルギを印加していることによりチャンバの内壁に炭素分が付着した後も触媒金属上の炭素膜(炭素系ナノファイバ)の成長は阻害されることがなく、炭素膜の成膜操作を継続することができ、炭素膜の生産性を向上することができる。
この電気的エネルギを付与する好ましい態様は、前記触媒金属を配置した基板に電圧を印加することである。
この印加電圧は、プラズマ等の放電現象が発生しない負電圧であることが金属触媒の触媒性能が向上して成膜効率が向上すること、成膜速度が向上することにおいて好ましい。
この印加電圧は正電圧であってもアモルファスカーボンの取り込みが減少して電子放出特性が向上するなどにより膜質が向上することにおいて好ましい。
炭素膜には、炭素を主成分とする柱状物質、あるいは、炭素を主成分とする線状物質を含むことができる。
この炭素膜には、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、カーボンナノバンブ、グラファイトナノファイバを含むことができる。
触媒金属には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の金属がある。この触媒金属は鉄、ニッケル、コバルト等の単一金属だけに限定されるものではなく、鉄とアルミニウムなど種類が異なる金属からなる合金も含む。
炭素を含むガスであれば特に限定されないが、このガスには例えば、アセチレン、エチレン、メタン、プロパン、プロピレン等がある。また、常温・常圧下においては気体でなくともカーボンファイバの成膜条件(圧力・温度など)において気体であれば良く、メタノールやエタノールをはじめとするアルコール類やアセトンやベンゼンなどの有機溶剤などを用いることができる。
本発明によれば、炭素膜の成膜効率が向上し、かつ成膜速度、膜厚および膜質の制御が可能となり、さらには、メンテナンスに手間がかからない炭素膜の製造方法を提供することができる。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る炭素膜の製造方法を説明する。
炭素膜の用途には、補強材料、電気配線等に用いる電気材料、電子エミッタ等に用いる電子材料がある。補強材料は多少の不純物が混入してもよい場合が多いのに対して、電気材料、電子材料は不純物が混入されないことが好ましく、また、直径や長さ、および性能を制御可能であることが重要である。そして、これに電気材料や電子材料では量よりも質であるとしても、工業的には量産性も要求される。
本実施の形態では炭素膜として量産性に優れかつ質的にも優れた炭素膜を製造することができる方法を提供するものである。
まず、図1(a)にシリコンウエハ、石英ガラス、等からなる基板10上にアルミニウムやクロム等からなる非触媒金属膜10aを形成し、この非触媒金属膜10a上に鉄からなる触媒金属10bを薄膜状あるいは微粒子状に形成して配置した状態と、基板10上に触媒金属10bを直接形成して配置した状態を示している。
また、図1(b)にアルミニウムからなる基板10上に鉄からなる触媒金属10bを薄膜状あるいは微粒子状に形成して配置した状態を示している。
図1(b)で示すように、基板10を導電性の基板、例えば、アルミニウム板で構成する場合は、基板10上に直接、触媒金属10bを配置しても構わないが、図1(a)で示すように、基板10をシリコンウエハや石英ガラス等の絶縁性の基板で構成する場合は、シリコン、石英、アルミニウム、クロム等の非触媒金属10aを助触媒下地層として配置している。
図2に示す実施の形態1においては、電気炉30等の熱エネルギ源から熱エネルギが付与された雰囲気内に一対の電極22,24を対向配置し、一方の電極24に直流電源32の負極側を接続し、該直流電源32の正極側を接地するとともに、他方の電極22を接地する。
上記電気炉30を駆動して上記雰囲気内に熱エネルギ付与するとともに該雰囲気内を常圧以下に減圧して、炭素を含むガスとして、アセチレン、エチレン、メタン、プロパン、プロピレン、一酸化炭素等のガスを導入する。
一方、電極24上に図1の基板10を搭載して該基板10に負電圧を印加しておく。この場合、上記雰囲気内にはプラズマ等の放電が発生しない条件とする。そのため、減圧圧力、雰囲気温度、印加電圧値が調整される。
以上の過程により、上記ガスを基板10上の触媒金属10bに接触させて当該ガスを分解することにより基板10上に炭素膜を成膜することができる。
なお、図2には図解の簡略のためチャンバ等の図示は省略している。
なお、上記ガスに加えて、ヘリウム、アルゴン、水素等のキャリアガスあるいは希釈ガスを導入しても構わない。
以上の製造においては、熱エネルギが付与された雰囲気内に直流電源32からプラズマ等の放電が発生しない条件下で基板10に負電圧を印加することにより、触媒金属10bの触媒性能が向上し、炭素膜の成膜効率、成膜速度、膜厚、膜質が向上するようになった。
直流電源32からの基板10に印加する電圧のモードとしてはパルス波形の電圧印加モード、直流電圧の印加モードのいずれでもよく、プラズマが発生しない電圧以下であればよい。例えば、−450V程度で放電現象が発生するガス、圧力環境にして行う場合、その放電現象が発生しない電圧以下の環境に設定するとよい。
その電圧範囲としては成長速度を考慮すると高電圧に設定したり、メンテナンス、コスト、設備等を考慮すると低電圧に設定したりすることができる。
チャンバの減圧圧力は生産性、品質、設備等から常圧、常圧以上、常圧以下等の圧力に適宜に設定することができる。
炭素膜の成膜時間は、電圧−200Vでは30分程度で、電圧0Vで5分程度である。
プラズマ等の放電が発生しない領域の電圧としてはパッシェンの法則に従うことが好ましい。この法則は、平行な電極間で火花放電の生じる電圧はガス圧pと電極の間隔dとの積pdの関数であるというものである。
したがって、上記電気的エネルギとして基板に印加する電圧は、チャンバの圧力との関係で決定することができるものであり、実験等により適宜に設定することができる。
すなわち、電気的エネルギの付与形態としては、チャンバの雰囲気内に放電現象が発生しない領域の電気的エネルギを用いることであるが、その電気的エネルギを付与する形態の一つとして、実施の形態では基板に電圧を印加する。
この電圧は、プラズマ等の放電が発生しない電圧であり、チャンバ内の圧力により決定することができる。
基板に印加する電圧は、負電圧である。
基板に負電圧をガスを熱分解している過程で印加することにより金属触媒の触媒性能を向上して成長しにくい炭素膜でも成長し易くなり、また、炭素膜も成膜速度が向上してその長さがより長く成長することができる。
また、基板に印加する電圧は、負電圧に限定されず、図3で示すように正電圧であってもよい。
図3で示す実施の形態2において、図2と相違する構成は、図2では直流電源32の負極側が基板10に接続されているのに対して、図3では直流電源32の正極側が基板10に接続されている。正電圧を基板に印加する場合、炭素膜の膜質を向上することができる。
電圧を印加する形態として、図4の実施の形態3で示すように、熱エネルギが付与されている雰囲気内に矢印で示す方向にガスを流し込んで熱ガス流路11を形成し、この熱ガス流路11中に一対の対向電極22,24を配置し、これら電極22,24に上記のように電圧を印加して電界を発生させてその雰囲気内に電気的エネルギを付与するようにしてもよい。
そして、この雰囲気内に基板10を配置するという熱エネルギと電気的エネルギとの付与形態においても、金属触媒の触媒性能を向上して成長しにくい炭素膜でも成長し易くなり、また、炭素膜も成膜速度が向上してその長さがより長く成長することができる。以上のような電気的エネルギの付与形態では、金属触媒の触媒性能が向上して成膜効率が向上するとともに成膜速度が向上するようになって好ましい。
さらに、図5の実施の形態4で示すように上下に開口したチャンバ20内にガス導入管26からガスを導入するとともに、チャンバ20内に一対の電極22,24を対向配置し、チャンバ20内を減圧と所定の温度雰囲気下として、チャンバ20内に触媒金属(図示せず)を浮遊させ、この浮遊させた触媒金属に炭素を含むガスが接触分解を繰り返すことにより、様々な形状の炭素体を得ることができるが、このような形状の炭素体も実施の形態の炭素膜に含めてもよい。
この場合、炭素体は自重によりチャンバ20の下方に落下してくる。この落下してきた炭素体を炭素膜として回収することができる。
なお、基板に印加する電圧を制御することにより、炭素膜の成膜速度を制御したり、炭素膜の膜厚を制御したり、炭素膜の膜質を制御することができる。
図6を参照して炭素膜の製造の具体例を説明する。図6は上記製造に用いる装置の概念的な構成図である。
この熱CVD装置において、20は石英管チャンバである。石英管チャンバ20の内部には一対の平行平板電極22,24が対向配置されている。下側の平行平板電極24は、アルミナ24aの上面に電極24bが埋設されている。
26はガス導入管、28は排気管、30は電気炉、32は直流電源である。
直流電源32の負極側が下側平行平板電極24に接続され、直流電源32の正極側は接地されている。上側平行平板電極22は接地されている。
チャンバ20に導入するガスはアセチレンとアセトンの混合ガスである。
下側平行平板電極24のアルミナ24a上にはシリコン基板10が搭載されている。このシリコン基板10は10nmの膜厚のアルミニウムからなる非触媒金属膜10aと1nmの膜厚の鉄からなる触媒金属微粒子10bとの2層が積層されている。
以上の構成において、この実施例ではシリコン基板10には電気配線等が無い状態なので、石英管チャンバ20を、電気炉30にて700℃に加熱し、排気管28に接続した真空ポンプで一旦排気して石英管チャンバ内圧を1×10-3Paに減圧し、流量100SCCMで上記ガスを石英管チャンバ20に導入してチャンバ20の内圧を200Paに保存した状態で、直流電源32によりシリコン基板10に0Vの電圧を30分間印加する。
この電圧印加ではプラズマ等の放電は発生しない。
その後、石英管チャンバ20内部を排気管28を介して真空引きし室温まで冷却する。石英管チャンバ20の内圧を常圧に戻した後、基板10を石英管チャンバ20から取り出す。その結果、基板10上に炭素膜であるカーボンナノチューブが形成される。このカーボンナノチューブが形成された基板と、蛍光体を塗布した透明電極付きのガラス基板とを、500μmの対向間隔に設定してDC3kVを印加したところ、蛍光体が発光したことを確認することができた。
次に、図7ないし図11を参照して実施形態について更に説明する。
この実施形態では、基板に電界を印加することにより、均一な径でかつ均一な長さのカーボンナノチューブを製造するものである。
この実施の形態では、好ましくは電極24と基板10との間に絶縁部材、特に好ましくは耐熱性の絶縁部材を挟み込むことにより、基板10に高い電界を印加しても基板10にグロー放電やアーク放電等の異常放電が発生しにくいようにするのが好ましい。
以下、説明する。
図7に実施の形態の熱CVD装置を示す。この実施の形態においては、基板10と電極24との間に絶縁部材である石英板34を挟み込むことにより基板10を電極24から電気的に絶縁した状態におき、この絶縁状態で基板10に異常放電を発生させずに高電界、例えば基板10と電極22との距離を短く設定したり、および/あるいは直流電源32の電圧を高く設定したりして高電界、を印加することができるようになっている。
図7に示す熱CVD装置の他の構成は図6に示す熱CVD装置と同様であるので上記他の構成の説明は略する。
基板10には触媒金属として鉄が膜状に成膜されている。この触媒金属の図示は略している。
以上の構成において、この実施の形態では、電極22,24間に電界を印加しない場合(電界非印加モード)と、電界を印加する場合(電界印加モード)とでカーボンナノチューブの成長状態を比較した。
図8にカーボンナノチューブの製造工程において基板10に対する熱処理温度と熱処理時間との関係を示す。図8において横軸に熱処理時間(分)、縦軸に熱処理温度(℃)をとる。この製造工程は、熱アニール工程と成膜工程とを含んでいる。
この実施形態では、電極24に負電圧を印加し、基板10に電界をかけてカーボンナノチューブを製造するものである。
熱アニール工程は、電極24に負電圧を印加しつつ、基板10に対して熱アニールを実施するものであり、石英管チャンバ20を10-3Pa程度の真空を保った状態で基板10全体を700℃程度の温度にまで徐々に昇温しその温度に達するとその状態に放置する。熱アニールの工程時間は30分間であるが、この工程時間は30分間に限定されず、必要に応じて任意の工程時間に設定することができる。熱処理はこの工程時間において基板10の加熱温度を室温から700℃に昇温する。加熱雰囲気は好ましくは真空であるが、真空中に限定されない。上記熱アニールにより、触媒金属は膜状から微粒子状になり基板10上に触媒金属の微粒子が生成される。
成膜工程においては、熱アニール工程で基板10上に生成した触媒金属の微粒子をカーボンナノチューブの成長起点として該カーボンナノチューブを成長させるものである。
成膜工程においては、電極24に負電圧を印加しつつ、200Paの減圧で700℃の温度で炭素を含むガスとして例えばC22(アセチレンガス)を所要の流量例えば100SCCM以下の流量で導入しそのガス雰囲気内でその温度をさらに約30分間程度維持して化学的気相蒸着(CVD)を行う。
成膜工程後は、冷却(自然冷却、強制冷却)する。成膜工程では触媒微粒子にアセチレンガスが接触して分解され、その触媒微粒子を成長起点としてカーボンナノチューブが基板10上に成長する。
以上の製造工程において、電極24に印加される負電圧が0(ゼロ)Vで基板10に電界が印加されない比較例としての電界非印加モードの場合と、電極24に300Vの負電圧が印加されて基板10に電界が印加される実施例としての電界印加モードの場合とを比較する。
図9は比較例である電界非印加モードで製造したカーボンナノチューブ束の側面のSEM写真像である。図9(a)のSEM写真像からは基板10上に直径250μm、高さ70μmのカーボンナノチューブ束が製造されていることを確認することができる。また、図9(a)の点線矩形枠部分を拡大して示す図9(b)のSEM写真像からカーボンナノチューブ束を構成するカーボンナノチューブが粗な間隔で個々に成長していることを確認することができる。
図10は実施例である電界印加モードで製造したカーボンナノチューブ束の側面のSEM写真像である。図10(a)のSEM写真像からは基板10上に直径250μm、高さ290μmのカーボンナノチューブ束が製造されていることを確認することができ、図10(a)の点線矩形枠部分を拡大して示す図10(b)のSEM写真像からはカーボンナノチューブ束を構成するカーボンナノチューブが密な間隔でほぼ均一に成長していることを確認することができる。
図9と図10の両SEM写真像を比較して明らかであるように電界印加モードで製造されたカーボンナノチューブは、電界非印加モードで製造されたカーボンナノチューブよりも、垂直配向性および成長密度が飛躍的に増加し、成膜速度および膜厚が向上していることが判る。
このように、基板に電圧を印加してカーボンナノチューブを製造することにより、カーボンナノチューブの成膜速度および膜厚を向上させることができ、基板に印加する電圧を制御することにより、カーボンナノチューブの成膜速度や膜厚を制御することができる。
次に、基板10上に非触媒金属として例えばアルミニウムからなる下地層を形成し、この下地層上に触媒金属として例えば鉄を積層した場合の電界印加効果を説明する。
基板10は低抵抗P型シリコン基板を用いる。基板10上にカーボンナノチューブを成長させるに際して、電界非印加モードでカーボンナノチューブを製造した場合と、電界印加モードでカーボンナノチューブを製造した場合とを比較する。
図11(a)(b)は、電界非印加モードでカーボンナノチューブを製造した基板と、電界印加モードでカーボンナノチューブを製造した基板とをそれぞれ電子エミッタとし、これら基板上にそれぞれ成長したカーボンナノチューブから電界電子放出された電子の衝突により発光している各蛍光体基板の写真である。
図11(a)の蛍光体基板の発光点数よりも図11(b)の蛍光体基板の発光点数が多いことを確認することができる。
この蛍光体基板のサイズは10×10mm角であり、カーボンナノチューブ束のパターンサイズは250μm径の円形ドットが蛍光体基板の縦横の辺に等間隔に並びかつこの円形ドット間の縦横最短間隔が250μmである。
以上から、蛍光体基板の1辺上に形成されるカーボンナノチューブ束数は蛍光体基板サイズとカーボンナノチューブ束のパターンサイズとから約20本である。
したがって、図11(a)の電界非印加モードでカーボンナノチューブを製造した基板による場合、蛍光体基板上の発光点数はカーボンナノチューブ束1本当たり1〜2点であると考えられる。一方、図11(b)の電界印加モードでカーボンナノチューブを製造した基板による場合、蛍光体基板上の発光点数はカーボンナノチューブ束1本当たり5〜6点であると考えられる。
このように電界印加モードでカーボンナノチューブを製造した基板は、電界非印加モードでカーボンナノチューブを製造した基板に比べて、膜質が向上してエミッション特性が向上していることが判る。
なお、図11(a)(b)それぞれの写真中に見られる蛍光体基板上で特に明るく発光している発光点(図中矢印)は基板を測定治具に固定する際に受けた傷(凹凸箇所)や基板端部での電界集中による電界電子放出によると考えられる。
以上のように、基板に電圧を印加してカーボンナノチューブを製造することにより、触媒金属の触媒性能が向上し、カーボンナノチューブの成膜速度、膜厚および膜質が向上する。
図1は基板の構成を説明するための断面図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る製造方法の説明に用いる概念図である。 図3は本発明の実施の形態2に係る製造方法の説明に用いる概念図である。 図4は本発明の実施の形態3に係る製造方法の説明に用いる概念図である。 図5は本発明の実施の形態4に係る製造方法の説明に用いる概念図である。 炭素膜の製造に用いる熱CVD装置の概略構成を示す図である。 図7は本発明の実施の形態5に係る製造方法の実施に用いる熱CVD装置の概略構成を示す図である。 図8はカーボンナノチューブの製造における熱処理工程を示す図である。 図9は電界非印加モードで図8の熱処理工程に従い製造したカーボンナノチューブのSEM写真像である。 図10は電界印加モードで図8の熱処理工程に従い製造したカーボンナノチューブのSEM写真像である。 図11(a)は電界非印加モードで製造したカーボンナノチューブにより放出される電子により発光している蛍光体基板の写真像、図11(b)は電界印加モードで製造したカーボンナノチューブにより放出される電子により発光している蛍光体基板の写真像である。
符号の説明
10 基板
20 石英管チャンバ
22,24 平行平板電極
24a アルミナ
24b 電極
26 ガス導入管
28 排気管
30 電気炉
32 直流電源
34 石英板

Claims (10)

  1. 熱エネルギが付与されている雰囲気内に炭素を含むガスを触媒金属に接触させて炭素膜を製造する方法において、
    前記雰囲気内に放電現象が発生しない領域の電気的エネルギを付与して前記炭素膜の成膜をアシストする、ことを特徴とする炭素膜の製造方法。
  2. 前記電気的エネルギの付与を、前記触媒金属を配置した基板に対する電圧の印加により行う、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素膜の製造方法。
  3. 前記電圧が、放電現象が発生しない負電圧以下の電圧である、ことを特徴とする請求項2に記載の炭素膜の製造方法。
  4. 前記電圧が、正電圧である、ことを特徴とする請求項2に記載の炭素膜の製造方法。
  5. 前記雰囲気内の熱ガス流路中に電圧を印加して電界を発生させて前記雰囲気内に電気的エネルギを付与する、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素膜の製造方法。
  6. 前記電圧を制御して前記炭素膜の成膜速度を制御する、ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
  7. 前記電圧を制御して前記炭素膜の膜厚を制御する、ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
  8. 前記電圧を制御して前記炭素膜の膜質を制御する、ことを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
  9. バイアス電圧によって炭素膜の成長長さを制御する、ことを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の炭素膜の製造方法。
  10. 放電現象が発生しない領域の熱エネルギが付与されている雰囲気内で炭素を含むガスを触媒金属に接触させて製造される炭素膜であって、前記熱エネルギ雰囲気内に成膜のアシストとして電気的エネルギが付与されて製造されている、ことを特徴とする炭素膜。
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