しかし、外方部102bの軸方向外方には、幅W101の隙間が存在する。すると半田リフロー時に、幅W101の範囲内で、チップ部品103が軸方向(紙面左右方向)に位置ずれを起こす事態が発生し得るため問題である。また軸方向の位置ずれ発生により、チップ部品103の両電極部においてリフローした半田の表面張力が異なることによるチップ立ちが発生する場合があるため問題である。
本発明は前記従来技術の課題を解消するためになされたものであり、回路実装基板に表面実装部品を半田接合する際に、表面実装部品の接合位置に位置ずれが発生することを抑制し、表面実装部品を所定位置に正確に半田接合することで、均等かつ良好な形状を有するフィレットを形成することが可能な回路実装基板のランドを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係るランドは、表面実装部品の電極が半田接合される回路実装基板のランドであって、電極の底面の少なくとも一部が半田接合される第1ランド部と、第1ランド部の表面実装部品の軸方向内方に、該第1ランド部と一体に備えられる第2ランド部とを備え、該第2ランド部の軸方向に対する幅は、電極の幅以上から電極の幅方向端辺をまたいで電極の幅未満となるように、第1ランド部との接合部から軸方向内方に沿って変化することを特徴とする。
回路実装基板のランドは、第1ランド部と第2ランド部とを備える。第1ランド部には、表面実装部品の電極の底面の少なくとも一部が半田接合される。第2ランド部は、第1ランド部の表面実装部品の軸方向内方に、該第1ランド部と一体に備えられる。第2ランド部の軸方向に対する幅は、軸方向に沿って変化する。そして第2ランド部の幅は、電極の幅以上の値から、電極の幅方向端辺をまたいで電極の幅未満となるように変化する。よって、第2ランド部の表面実装部品の軸方向に対する側辺のうち少なくとも一方が、表面実装部品の底面側辺をまたぐ構成となる。このとき第2ランド部の側辺は、軸方向および幅方向の両方向の成分を有して備えられる。
電極の底面から見て、第2ランド部の側辺から軸方向内方側の領域、および幅方向の外方の領域にはランドが存在しない。ここで、ランドが存在しない領域には半田が濡れないため半田が存在しない。また電極底面は、半田の存在しない領域へは移動することができない。すると電極底面は、第2ランド部の側辺によって、軸方向内方および幅方向外方へ移動することが物理的に制限されることになる。
これにより、第2ランド部の側辺によって、表面実装部品の軸方向および幅方向への電極の移動を物理的に規制することができる。よって表面実装部品は、幅方向へ位置ずれが発生しないため、幅方向へ均等なすそ野を有する、良好な半田フィレットを形成することが可能となる。
また表面実装部品の載置時に、幅方向の位置ずれが発生すると、第2ランド部の両側辺近傍に存在する、表面実装部品が存在しない領域の面積差が発生する。そして当該面積差に応じて、リフローした半田の表面張力の差が発生する。すると表面張力の差を解消するように、表面実装部品の位置を幅方向の中央に戻す力が表面実装部品に働く。特に第2ランド部の幅方向の幅は、第1ランド部の幅方向の幅に比して狭いため、半田による表面張力が分散しにくい。すると第1ランド部によって得られるセルフアライメント効果に比して、第2ランド部によって得られるセルフアライメント効果の方が、より正確に幅方向の中心へ表面実装部品を移動させる効果を有している。これにより、第2ランド部によって得られるセルフアライメント効果によって、表面実装部品を幅方向の中心位置へ正確に半田接合することが可能とされる。
また、第2ランド部が、軸方向内方側に備えられることにより、第1ランド部の軸方向外方の形状には制限が課されない。これにより、第1ランド部の軸方向外方において、自由なフィレット形状を形成することが可能とされる。例えば、電極の外方端面の軸方向外方であって、かつ電極の幅方向外方に存在する領域にランドを確保し、当該領域と電極の外方端面との間にフィレットを形成することができる。これにより、側面に電極がない表面実装部品においてもフィレットの応力緩和効果を確保でき、フィレットの応力に対するクラック耐性を高めることが可能となる。
また請求項2に係るランドは、請求項1に記載のランドにおいて、ランドは、表面実装部品の軸方向の両端に備えられる電極の位置に応じて、対向配置されることを特徴とする。
第2ランド部を備えるランドが対向して配置される。表面実装部品は、一方の第2ランド部によって、その第2ランド部の軸方向内方への移動が規制される。また他方の第2ランド部によって、その第2ランド部の軸方向内方への移動が規制される。よって電極は、対向する各々の第2ランド部によって、軸方向へ移動することが制限される。これにより、表面実装部品の軸方向への位置ずれ発生を抑制することができる。
また請求項3に係るランドは、請求項2に記載のランドにおいて、第1ランド部の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離は、電極の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離に比して大きくされ、第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離は、電極の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離に比して小さくされることを特徴とする。
第2ランド部の軸方向に対する幅は、軸方向に沿って変化する際に、変化の前後において、電極の幅以上から電極の幅方向端辺をまたいで電極の幅未満となるように変化する。そしてこのような端辺間距離の関係を有することで、電極の軸方向内方に存在する端辺の両角部は、第2ランド部内に位置することになる。これにより、電極の角部の軸方向および幅方向の移動を、第2ランド部の側辺によって制限することができる。
また請求項4に係るランドは、請求項1に記載のランドにおいて、第2ランド部の軸方向に対する幅は、軸方向内方に向かって外に凸の曲線状に変化することを特徴とする。
これにより、ランドと電極底面との対向部に各種応力が加えられた場合においても、電極の軸方向内方に存在する端辺の両角部に応力集中することを抑制することができる。よって、応力に対する半田接合部のクラック耐性を高めることが可能となる。
また請求項5に係るランドは、請求項1に記載のランドにおいて、第2ランド部の軸方向に対する幅は、直線状に変化することを特徴とする。
第2ランド部の軸方向に対する幅が、直線状に変化することで、第2ランド部の軸方向の側辺は、軸方向内方に向かってテーパ状に狭くなる。すると第2ランド部の側辺は、表面実装部品の軸方向および幅方向の両方向の成分を備えることになる。これにより電極底面は、第2ランド部の側辺によって、軸方向内方および幅方向外方へ移動することが物理的に制限されるため、表面実装部品の位置ずれ発生を抑制することができる。
また請求項6に係るランドは、表面実装部品の電極が半田接合され、電極の位置に応じて対向配置される回路実装基板のランドであって、電極の底面の少なくとも一部が半田接合される第1ランド部と、第1ランド部の表面実装部品の軸方向内方に、該第1ランド部と一体に備えられる第2ランド部とを備え、該第2ランド部の軸方向に対する幅は、第1ランド部の軸方向に対する幅に比して狭く、かつ一定の幅とされ、第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離は、電極の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離以下とされ、一方のランドに備えられる第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺と、他方のランドに備えられる第1ランド部の軸方向内方に存在する端辺との端辺間距離は、電極の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離以上とされることを特徴とする。
第2ランド部の幅は、第1ランド部の軸方向に対する幅に比して狭い幅とされ、かつ一定値の幅とされる。よって第2ランド部の形状は、第1ランド部との接合部から電極の幅方向の端辺に沿って、軸方向内方へ延びた形状とされる。すると第2ランド部の軸方向の側辺は、表面実装部品の電極における軸方向の側辺に沿うように配置される。すると電極の底面から見て、第2ランド部の側辺から幅方向の外方の領域にはランドが存在せず、半田が濡れない。よって電極底面は、第2ランド部の側辺によって、幅方向外方へ移動することが物理的に制限されることになる。
また、第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離を、第2ランド部端辺間距離とする。また、一方のランドに備えられる第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺と、他方のランドに備えられる第1ランド部の軸方向内方に存在する端辺との距離を、第1ランド部−第2ランド部端辺間距離とする。また、表面実装部品の電極の軸方向内方に存在する端辺の端辺間距離を、電極端辺間距離とする。第2ランド部端辺間距離は、電極端辺間距離以下の値にされる。そして第1ランド部−第2ランド部端辺間距離は、電極端辺間距離以上の値とされる。
これにより、第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺は、表面実装部品の電極の軸方向内方に存在する端辺から軸方向内方側の位置に、当該電極の端辺に沿うように配置される。すると電極から見て、第2ランド部の軸方向内方に存在する端辺から軸方向内方の領域においては、ランドが存在しない。よって電極の底面は、第2ランド部の軸方向内方端辺によって、軸方向へ移動することが物理的に制限されることになる。
また第1ランド部−第2ランド部端辺間距離が、電極端辺間距離以上の値とされている。すると、表面実装部品が軸方向の何れか一方へ最大限に移動した場合(第2ランド部の軸方向内方端辺と電極の軸方向内方端辺とが干渉する位置まで移動した場合)においても、移動方向側の表面実装部品の電極の少なくとも一部は、第2ランド部内に存在することになる。これにより、電極の軸方向および幅方向の移動を、第2ランド部の軸方向内方端辺および側辺によって、物理的に制限することが可能とされる。
本発明に係る回路実装基板のランドによれば、回路実装基板に表面実装部品を半田接合する際に、表面実装部品の接合位置に位置ずれが発生することを抑制し、表面実装部品を所定位置に正確に半田接合することができる。よって、均等かつ良好な形状を有し、高いクラック耐性を備える半田フィレットを形成することが可能となる。
以下、本発明の回路実装基板のランドおよび表面実装部品が搭載された回路実装基板について具体化した実施形態を詳細に説明する。図1は、ランドと表面実装部品との関係を示す斜視図である。図1に示すように、回路実装基板2上には、一対のランド1Lおよび1Rが一定間隔をおいて対向配置されている。このランド1L、1R上には平面長方形状のチップ抵抗3が載置される。チップ抵抗3の両端部には、電極4L、4Rが備えられ、ランド1L、1Rと電気的に接続されるようになっている。
チップ抵抗3の電極4L、4Rは、チップ抵抗側面部5に電極が存在しない構成である。よって電極4L、4Rは、縦断面形状が略コ字状に形成される。これは、チップ抵抗3の仕様上および製造上の観点から、チップ抵抗においては一般的に採用されている構成である。
図2に、ランド1L、1Rを示す平面図を示す。ランド1L、1Rは、チップ抵抗3の電極4L、4Rの位置に応じて対向配置される。ランド1Lは、第1ランド部11Lと第2ランド部12L(図中斜線部)とを備える。またランド1Rは、第1ランド部11Rと第2ランド部12R(図中斜線部)とを備える。
図2の紙面左右方向をチップ抵抗3の軸方向Xとする。また紙面上下方向を幅方向Yとする。ランド1Lにおいて、第2ランド部12Lは、第1ランド部11Lの軸方向X内方に、第1ランド部11Lと一体に備えられる。第2ランド部12Lの幅方向Yの幅は、第1ランド部11Lとの接合部では幅W4とされ、軸方向X内方における端辺30Lでは、幅W1とされる。よって、第2ランド部12Lの軸方向Xに対する幅は、軸方向X内方に向かって、幅W4から幅W1へ変化する。すると第2ランド部12Lは、軸方向X内方に向かってテーパ状に狭くなる側辺31a、31bを備える。またランド1Rにおける第2ランド部12Rにおいても同様の構成を有するため、ここでは説明を省略する。
図3に、ランド1L、1Rとチップ抵抗3との関係を示す平面図を示す。電極4Lは、幅方向Yに幅W2を有する。またチップ抵抗3の電極4Lの幅W2は、第2ランド部12の幅W1より広く、幅W4よりも狭くされている。このような幅の関係を有することで、第2ランド部12Lの幅は、幅W2をまたぐように、軸方向Xの内方に向かって幅W4から幅W1へ変化することになる。そして第2ランド部12の軸方向の側辺31aは、チップ抵抗3の底面側辺41aをまたいで構成され、また第2ランド部12の側辺31bは、チップ抵抗3の底面側辺41bをまたいで構成される。
第1ランド部11Lの軸方向X内方に存在する端辺32Lと、第1ランド部11Rの軸方向X内方に存在する端辺32Rとの端辺間距離を距離L1とする。また、第2ランド部12Lの軸方向X内方に存在する端辺30Lと、第2ランド部12Rの軸方向X内方に存在する端辺30Rとの端辺間距離を距離L2とする。また、電極4Lの軸方向X内方に存在する端辺34Lと、電極4Rの軸方向X内方に存在する端辺34Rとの端辺間距離を距離L3とする。距離L1は距離L3に比して大きくされ、距離L2は距離L3に比して小さくされる。このような距離の関係を有することで、電極4の底面における内方側の角部42a乃至42dは、全て第2ランド部12Lおよび12R内に位置することになる。本実施形態では、図3に示すように、角部42a乃至42dが、側辺31a乃至31dに略接するように構成されている。
本発明に係るランドの作用を説明する。まず図8(A)を用いて、第2ランド部を備えないランドにおける問題点を説明する。図8(A)に示すランド111Lは、電極104Lの幅W102に対して十分に広い幅W103を有している。そして電極104Lの外方端面106の軸方向外方であって、電極104Lの幅方向外方の位置に、領域R101(図中斜線部)を備えている。領域R101を備えることによって、半田接合時に、半田フィレットを外方端面106から領域R101にかけて形成することで、フィレットのすそ野の形状を幅方向Yへも拡げることができるため、熱応力に対する応力緩和効果を向上させ、クラック耐性を向上できるメリットがある。しかしランド111Lでは、領域R101を備えることで、チップ抵抗113の幅方向Yへの移動自由度が高くなっている。
半田リフロー時においては、例えば半田量の違い、位置の差、リフロー炉での温度の加え方の差などの様々な要因により、表面張力差が発生する場合がある。すると図8(A)に示すように、半田リフロー時に、表面張力差によって幅方向Yへチップ抵抗113の位置ずれが発生する場合があるため問題である。また、幅方向Yへの位置ずれを抑制するために領域R101の面積を減少させたり、幅W103を狭めると、半田フィレットのすそ野の形状を幅方向Yへ拡げることができず、熱応力に対する十分な応力緩和効果が得られない場合があるため問題である。
また図8(B)を用いて、第2ランド部を備えないランドにおける別の問題点を説明する。ランド111L、111Rは、軸方向X外方に対して十分に面積を備えている。これは、半田接合時において、電極104L、104Rから軸方向Xの外方に延びる半田フィレットのすそ野の長さを確保することで、十分な応力緩和効果を有するフィレットを得るためである。しかしランド111L、111Rでは、軸方向X外方に十分な面積を備えることで、チップ抵抗113の軸方向Xへの移動自由度が高くなっている。
すると半田リフロー時においては、半田の表面張力差により、図8(B)に示すように、軸方向Xへチップ抵抗113の位置ずれが発生する場合があるため問題である。また、軸方向Xへ位置ずれが発生すると、チップ抵抗113の両電極部においてリフローした半田の表面張力が異なることによるチップ立ち(マンハッタン現象)が発生する場合があるため問題である。
一方、本実施形態に係る第2ランド部をそなえたランドにおける、チップ抵抗3の位置ずれ抑制効果を、図3を用いて説明する。図3において、電極4Lの底面における角部42aと、第2ランド部12Lの側辺31aとの関係に着目する。角部42aから見て、幅方向Yの正方向、および軸方向Xの正方向にはランドが存在しない。ここで、ランドが存在しない領域には半田が濡れないため半田が存在しない。また電極4Lは、半田の存在しない領域へは移動することができない。すると角部42aは、側辺31aによって、幅方向Yの正方向および軸方向Xの正方向への両方向への移動が、物理的に制限されることになる。ここで軸方向Xおよび幅方向Yの両方向への移動を制限することができるのは、側辺31aが、軸方向Xに対して角度を持ったテーパ形状を有していることで、軸方向Xおよび幅方向Yの成分を備えていることに起因して得られる効果である。
同様に、電極4Lの角部42bと、第2ランド部12Lの側辺31bとの関係に着目すると、角部42bから見て幅方向Yの負方向および軸方向Xの正方向にはランドが存在しない。よって角部42bは、側辺31bによって、幅方向Yの負方向および軸方向Xの正方向へ移動することが物理的に制限される。
以上より電極4Lは、第2ランド部12Lの側辺31aおよび31bによって、幅方向Yの正方向および負方向の移動が制限される。すなわち第2ランド部12Lによって、電極4Lの幅方向Yへの移動を物理的に規制することができる。よってチップ抵抗3は、幅方向Yへ位置ずれが発生しないため、幅方向Yへ均等なすそ野を有する、良好な半田フィレットを形成することが可能となる。
また同様に電極4Rにおいて、電極4Rの角部42cは、テーパを有する側辺31cによって軸方向Xの負方向へ移動することが制限される。また角部42dは、側辺31dによって軸方向Xの負方向へ移動することが制限される。するとチップ抵抗3は、第2ランド部12Lによって軸方向Xの正方向への移動が規制され、第2ランド部12Rによって軸方向Xの負方向への移動が規制されるため、軸方向X方向の位置が完全に固定される。すなわち第2ランド部12Lを備えるランド1Lと、第2ランド部12Rを備えるランド1Rとが対向配置されることで、チップ抵抗3の軸方向X方向への移動を物理的に規制することができる。よって、軸方向Xへ均等なすそ野を有する良好な半田フィレットを形成すると共に、チップ抵抗3のマンハッタン現象の発生を防止することができる。
また、本実施形態に係るランドにおけるセルフアライン効果について説明する。マウンタ等を用いて、チップ抵抗3をランド1Lおよび1Rの所定位置(図3)に載置する際には、誤差が存在し、完全にランドの中心に載置することは困難である。そして幅方向Y方向の載置ずれが発生すると、第2ランド部12Lの側辺31a側と31b側との間で、チップ抵抗3が存在しない領域の面積差が発生する。そして当該面積差に応じて、リフローした半田の表面張力の差が発生する。すると表面張力の差を解消するように、チップ抵抗3の位置を幅方向Yの中央に戻す力がチップ抵抗3に働く。いわゆるセルフアライメント効果である。
ここで第2ランド部12Lの幅方向Yの幅(幅W1、幅W4)は、第1ランド部11Lの幅方向Yの幅(幅W3)に比して狭いため、半田による表面張力が分散しにくい。すると第1ランド部11Lによって得られるセルフアライメント効果に比して、第2ランド部12Lによって得られるセルフアライメント効果の方が、より正確に幅方向Yの中心へチップ抵抗3を移動させる効果を有している。これにより、第2ランド部12Lおよび12Rを備えることによって、チップ抵抗3をより正確に幅方向Yの所定位置へ位置させることが可能となる。よって幅方向Yへ均等なすそ野を有する、良好な半田フィレットを形成することが可能となる。
また、第2ランド部が、軸方向X外方側ではなく、軸方向X内方側に備えられることによる利点を説明する。まず比較として、第2ランド部を第1ランド部の軸方向X外方側に作成する場合を、図9を用いて説明する。図9に示すランド121Lは、軸方向X外方に第2ランド部112Lを備える。第2ランド部112Lは、軸方向X外方に向かってテーパ状に狭くなる側辺131a、131bを備える。側辺131aおよび131bは、電極104Lの底面の角部142aおよび142bの、軸方向Xの負方向への移動を規制する。しかしランド121Lでは、側辺131aおよび131bを形成したことによって、電極104Lの外方端面106の軸方向外方であって、電極104Lの幅方向外方の位置に、領域R100(図中斜線部)を備えることができない。よって電極104Lの外方端面106と、領域R100との間に半田フィレットを形成することができない。すると、チップ抵抗側面部に電極がないチップ抵抗113の半田接合時においては、十分な応力緩和効果が得られず、半田フィレットのクラック耐性が不足するおそれがある。
しかし本実施形態では、図3に示すように、第2ランド部12Lおよび12Rは、第1ランド部11Lおよび11Rの軸方向X内方側に備えられる。これにより、第1ランド部11Lおよび11Rの軸方向X外方の形状には制限が課されないため、領域Rを確保することができる。よって、領域Rにフィレットを形成することが可能とされ、十分な応力緩和効果を確保できる。そして側面に電極がないチップ抵抗3においても、フィレットのクラック耐性を高めることが可能となる。
以上詳細に説明したとおり、第1実施形態に係るランドは、第2ランド部12Lの側辺31aおよび31bが、底面側辺41aおよび41bに対して角度を持ったテーパ形状を有している。よって側辺31aおよび31bにより、角部42aおよび42bの幅方向Yへの移動が物理的に制限される。これによりチップ抵抗3は、幅方向Yへ位置ずれが発生しないため、幅方向Yへ均等なすそ野を有する、良好な半田フィレットを形成することが可能となる。
また第2ランド部12Lを備えるランド1Lと、第2ランド部12Rを備える第2ランド部12Rとが、対向して配置される。チップ抵抗3は、第2ランド部12Lによって軸方向Xの正方向への移動が規制され、第2ランド部12Rによって軸方向Xの負方向への移動が規制される。これにより、電極は、第2ランド部12Lおよび12Rによって、軸方向Xへ移動することが制限され、軸方向Xへの位置ずれを抑制することができる。また、リフローした半田の表面張力がチップ抵抗3の両電極部において異なることによる、チップ立ちの発生を防止することができる。
また第2ランド部12Lおよび12Rの幅方向Yの幅は、第1ランド部11Lおよび11Rの幅方向の幅に比して狭いため、半田による表面張力が幅方向Yへ分散しにくい。すると第1ランド部11Lおよび11Rによって得られるセルフアライメント効果に比して、第2ランド部12Lおよび12Rによって得られるセルフアライメント効果の方が、より正確に幅方向Yの中心へチップ抵抗3を移動させる効果を有している。これにより、第2ランド部12Lおよび12Rによって得られるセルフアライメント効果によって、チップ抵抗3を幅方向Yの中心位置へより正確に半田接合することが可能となる。
また、第2ランド部12Lおよび12Rは、軸方向X内方側に備えられる。よって第1ランド部11Lおよび11Rの軸方向X外方の形状には制限が課されない。これにより、自由な半田フィレット形状を形成することが可能となる。特に、ランド上に領域R(電極4Lの外方端面の外方であって電極4Lの幅方向外方に存在する領域)を確保し、領域Rと電極4Lの外方端面との間にフィレットを形成することが可能となる。そしてチップ抵抗側面部に電極がないチップ抵抗3においても、半田フィレットの応力に対するクラック耐性を高めることが可能となる。
また本発明に係る第2実施形態を、図4を用いて説明する。図4に、第2実施形態に係るランド71L、71Rを示す平面図を示す。ランド71L、71Rは、チップ抵抗3の電極4L、4Rの位置に応じて対向配置される。ランド71Lは、第1ランド部11Lと第2ランド部72Lとを備える。またランド71Rは、第1ランド部11Rと第2ランド部72Rとを備える。
第2ランド部72Lの幅W11は、第1ランド部11Lの幅W13に比して狭い幅とされる。また第2ランド部72Lの幅は、幅W11で一定とされる。よって第2ランド部72Lの形状は、第1ランド部11Lとの接合部73Lから電極の幅方向の端辺に沿って、軸方向X内方へ延びた形状とされる。すると第2ランド部72Lの軸方向の側辺81aおよび81bは、チップ抵抗3の電極4Lの底面における軸方向の側辺84aおよび84bに沿うように配置される。すると電極4Lの底面から見て、第2ランド部の側辺81aから幅方向Yの正方向、および側辺81bから幅方向Yの負方向の領域には第2ランド部72Lが存在せず、半田が濡れない。よって電極4Lは、第2ランド部72Lの側辺81aおよび81bによって、幅方向Yの外方へ移動することが物理的に制限されることになる。また第2ランド部72Rについても同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、第2ランド部72L、72Rの軸方向内方に存在する端辺75L、75Rの端辺間距離を、第2ランド部端辺間距離L13とする。また、ランド71Lに備えられる第2ランド部72Lの軸方向X内方に存在する端辺75Lと、ランド71Rに備えられる第1ランド部11Rの軸方向X内方に存在する端辺76Rとの距離を、第1ランド部−第2ランド部端辺間距離L12とする。また、電極4L、4Rの軸方向X内方に存在する端辺34L、34Rの端辺間距離を、電極端辺間距離L11とする。第2ランド部端辺間距離L13は、電極端辺間距離L11以下の値にされる。そして第1ランド部−第2ランド部端辺間距離L12は、電極端辺間距離L11以上の値とされる。
よって第2ランド部72Lの軸方向X内方に存在する端辺75Lは、電極4Lの底面の軸方向X内方に存在する端辺34Lから軸方向Xの内方(正方向)側の位置に、端辺34Lに沿うように配置される。すると電極4Lの底面から見て、第2ランド部72Lの端辺75Lから軸方向Xの正方向の領域においては、第2ランド部72Lが存在しない。よって電極4Lは、第2ランド部72Lの端辺75Lによって、軸方向Xの内方(正方向)へ移動することが物理的に制限されることになる。また第2ランド部72Rについても同様であるため、ここでは説明を省略する。
またこのような端辺間距離の関係を有することで、チップ抵抗3が軸方向Xの正方向へ最大限に移動した場合(第2ランド部72Lの端辺75Lと、電極4Lの端辺34Lとが干渉する位置まで移動した場合)においても、電極4Rの端辺34Rは、接合部73Rを超えて軸方向Xの正方向へ移動することがない。すなわち、電極4Rの底面の少なくとも一部は、必ず第2ランド部72R内に存在することになる。よって、半田リフロー時にチップ抵抗3が軸方向Xの正方向へ最大限に移動した場合においても、第2ランド部72Rの側辺81cおよび81dによって、電極4Rの幅方向Yへの移動を制限することが可能とされる。またチップ抵抗3が、軸方向Xの負方向へ最大限に移動した場合における第2ランド部72Lの作用についても同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上詳細に説明したとおり、第2実施形態に係るランド71L、71Rにおいて、第2ランド部72L、72Rの側辺81a乃至81dによって、電極4Lおよび4Rの幅方向Yの正、負方向の移動が制限される。よってチップ抵抗3は、幅方向Yへの位置ずれ発生が抑制されるため、幅方向Yへ均等なすそ野を有する、良好な半田フィレットを形成することが可能となる。
またチップ抵抗3は、第2ランド部72Lの端辺75Lによって軸方向Xの正方向への移動が規制され、第2ランド部72Rの端辺75Rによって軸方向Xの負方向への移動が規制される。よってチップ抵抗3の軸方向Xへの位置ずれを抑制することができるため、チップ立ちの発生を防止することができる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。第1実施形態では、図3に示すように、角部42a乃至42dが、側辺31a乃至31dに略接するように構成されるとしたが、この形態に限られない。角部42a乃至42dは、側辺31a乃至31dに対して軸方向X外方側の位置に存在していればよい。そして、角部42a乃至42dと側辺31a乃至31dとの距離は、ランド1Lおよび1Rを備える回路実装基板2の製造歩留まりや、チップ抵抗3をランドに載置するマウンタの位置決め精度などに応じて適宜定めればよい。ここで角部と側辺との距離を近づけるように設計するほど、チップ抵抗3の位置決め精度を上昇させることができる。また角部と側辺との距離を離すように設計するほど、ランド1Lおよび1Rの製造マージンやチップ抵抗3の載置時の位置決め余裕が広くなり、コスト低減効果を得ることができる。
また第2実施形態では、図4に示すように、第2ランド部72Lと電極4Lとの位置関係において、側辺81aと側辺84aとの間、側辺81bと側辺84bとの間、端辺75Lと端辺34Lとの間に所定量の間隙を有するように構成されるとしたが、この形態に限られない。第2ランド部72Lと電極4Lとの側辺が略一致する形態や、端辺が略一致する形態としても良いことは言うまでもない。そして当該間隙が小さくなるように設計するほど、チップ抵抗3の位置決め精度を向上させることが可能となる。
また第1実施形態では図3に示すように、ランド1Lおよび1Rは幅W3を有するとしたが、この形態に限られない。図5に示すランド51Lおよび51Rのように、チップ抵抗3の幅W2に近い幅W5を有する形態としてもよい。この場合においても、第2ランド部12Lおよび12Rの側辺31a乃至31dによって、チップ抵抗3は、軸方向Xおよび幅方向Yへ位置ずれが発生することが抑制される。よってより高精度なチップ抵抗3の位置決めを行うことが可能となる。
また第1実施形態では図3に示すように、側辺31a乃至31dは直線状のテーパ形状を有するとしたが、この形態に限られず、物理的に電極4L、4Rの角部42a乃至42dを規制する形状であればよい。例えば図6に示す第2ランド部52Lおよび52Rの側辺33a乃至33dのように、外に凸の曲線状の形状を有し、軸方向X内方に向かって狭くなる形態としてもよい。これにより、ランド61L、61Rと電極4L、4Rの底面との対向部に各種応力が加えられた場合においても、角部42a乃至42dに応力集中することを防止することができる。
また側辺31a乃至31dが有するテーパの角度は、マウンタの載置精度などに応じて適宜定めればよいことは言うまでもない。例として、側辺31b(図3)について説明する。側辺31bの軸方向Xに対する角度を考える。当該角度は、45度を境界とし、45度よりも大きくする(軸方向Xに対して垂直に近づける)ほど、軸方向Xへの位置ずれ抑制効果が大きくなると共に、幅方向Yへの位置ずれ抑制効果が小さくなる。よって、チップ立ちの発生をより効果的に防止することが出来る。一方、45度よりも小さくする(軸方向Xに対して平行に近づける)ほど、幅方向Yへの位置ずれ抑制効果が大きくなると共に、軸方向Xへの位置ずれ抑制効果が小さくなる。よって、ランド1Lおよび1Rの幅方向Yを拡げる場合においては、チップ抵抗3の幅方向Yへの位置ずれを有効に抑制できる。
また本実施形態では、表面実装部品としてチップ抵抗を用いたが、これに限られず、チップコンデンサ等の各種表面実装部品に対して本発明が適用可能であることは言うまでもない。