JP2006294450A - X線装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 過大な安全係数をもたせずにX線管にオーバーロードプロテクトをかけること。
【解決手段】 X線管1の温度を測定する温度センサ5と、X線管に設定される管電圧と管電流およびX線の曝射時間に基づき、X線管の温度上昇値を予測演算する演算器6と、この演算器で予測された温度上昇値と温度センサで測定される現在のX線管温度との和が、X線管の使用限界温度を越えないように、X線管のX線曝射休止時間を制御するX線制御装置7とを具備した。
これにより、X線管が限界温度に達するか否かを、実際に稼動中のX線管の温度と、X線の曝射条件に基づき演算した温度上昇値とから判定するので、過大な安全係数を加味せずに、X線管の実力ぎりぎりまで稼動させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 X線管1の温度を測定する温度センサ5と、X線管に設定される管電圧と管電流およびX線の曝射時間に基づき、X線管の温度上昇値を予測演算する演算器6と、この演算器で予測された温度上昇値と温度センサで測定される現在のX線管温度との和が、X線管の使用限界温度を越えないように、X線管のX線曝射休止時間を制御するX線制御装置7とを具備した。
これにより、X線管が限界温度に達するか否かを、実際に稼動中のX線管の温度と、X線の曝射条件に基づき演算した温度上昇値とから判定するので、過大な安全係数を加味せずに、X線管の実力ぎりぎりまで稼動させることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばX線撮影装置やX線CT装置などの医療用や工業用として用いられるX線装置に係り、そこに備えられているX線管の保有する能力を最大限に発揮できるようにX線曝射を制御するようにしたX線装置に関する。
X線装置は、そこに備えられているX線管から曝射されるX線を被検体へ照射することによって、透過像を得たりX線の吸収データを得たりしている。例えばX線CT装置では、回転陽極型X線管が一般に使用されているが、この回転陽極型X線管は、高速回転させている陽極の表面ターゲットへ陰極から放出する電子ビームを当てることによって、X線を曝射させるものである。このとき、陽極の表面ターゲットは極めて高温となり、その熱がX線管全体に伝わり蓄積されることになる。また、X線の曝射時間が長くなる程発熱量も多くなり、それがX線管の陽極材料の蒸発や溶融さらには変形をもたらし、或いは接合部を損傷させることにもなる。
そこで、X線管を保護するために、X線管を絶縁油の充填された容器に封入しておき、この絶縁油を冷却器へ循環させることによってX線管を常時冷却するようにしている。さらに、X線管を過負荷状態で使用し続けるのを防止するために、オーバーロードプロテクトが施されている。このオーバーロードプロテクトは、X線の曝射条件(管電圧、管電流、X線曝射時間)および曝射休止時間とから、加熱量と冷却量を計算することによって、加熱量がX線管の許容範囲を越えないようにするものである。すなわち、あるシーケンスに従ってX線の曝射と休止を継続しているときに、次の曝射に入ると加熱量が許容範囲を越えると予測されるときには、自動的に加熱量が許容範囲を越えなくなるまで休止時間を長くとるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−335092号公報
ところで、従来のオーバーロードプロテクトの計算では、管電圧、管電流、X線曝射時間による加熱量や周囲温度による冷却量などの誤差を考慮して、プロテクトを実際のX線管が備えている実力の8割程度でかけている。例えば、加熱量を10%増しで計算しておき、さらに限界熱量を実際の90%で計算するようにしていた。これにより、実際のX線管の実力ではX線の曝射が可能なときでも、オーバーロードになると判断してプロテクトがかかってしまい、X線を曝射できず余計な休止時間(待ち時間)が発生することになっていた。そのため、撮影時間が長引いて診断が遅れる原因ともなっていた。
また、オーバーロードプロテクトの計算は、あくまでもコンピュータで予測計算したものであり、実際のX線管が発生する熱量を測定したものではないので、いろいろな環境条件(例えば、室温、途中で電源を遮断したことによる冷却ファンの停止など。)の変化に伴い、実際の発熱量とずれが生じてくることになっていた。この場合も、実際のX線管の実力ではX線曝射が可能なのにプロテクトがかかって曝射できなかったり、逆に、実際のX線管の実力ではX線曝射ができない状態であるにも拘わらずX線を曝射させてしまってX線管を壊す要因になったりもしていた。
さらに、最近のX線CT装置で被曝低減のために行われる、X線曝射中に管電流を変化させるいわゆる管電流変動曝射の場合には、そのときの最大管電流値を用いてオーバーロードプロテクトの計算をしている。例えば、管電流を100mAから500mAまで変化させて10秒間X線を曝射させる管電流変動曝射の手法を実施するような場合、10秒間の曝射時間の内9秒は管電流を100mAとし、残り1秒だけを500mAの管電流にするとしても、オーバーロードプロテクトの計算では、計算を単純化するために、500mAの管電流で10秒間X線を曝射するものとして計算しているため、マージンを多く取り過ぎる結果となっている。なお、この不都合を解消するために、実際の管電流値と曝射時間の組み合せを逐一オーバーロードプロテクトの計算に反映させようとすると、計算量が膨大になってコンピュータへの負担が大きくなるため、実用上無理が生ずることになる。
従って、従来はX線管が備えている実力よりもかなり低いレベルでしか使用できなかった。
本発明はこのような事情から、X線管が備えている実力を十分発揮する状態での稼動を可能にしたオーバーロードプロテクトをかけることを目的としてなされたものである。
上述の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、X線管の温度を測定する温度測定手段と、前記X線管の使用限界温度を越えないように、前記X線管のX線曝射休止時間を制御するX線曝射制御手段と、前記X線管に設定されるX線の曝射時間に基づき、当該X線管の温度上昇値を予測演算するX線管温度演算手段とを備え、前記X線曝射制御手段は、前記X線管温度演算手段で予測された温度上昇値と前記温度測定手段による現在のX線管温度とに基づいて、当該X線管の使用限界温度を越えないように、前記X線管のX線曝射休止時間を制御することを特徴とするX線装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線装置において、前記X線曝射制御手段は、前記X線管温度演算手段で予測された温度上昇値と前記温度測定手段による現在のX線管温度との和が、当該X線管の使用限界温度を越えないように、前記X線管のX線曝射休止時間を制御することを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のX線装置において、前記温度測定手段によって測定するX線管の温度は、X線管の表面温度またはX線管を収納しているハウジングの表面温度もしくは前記ハウジングに充填されている絶縁油の温度のうちいずれか1または2以上であることを特徴とする。
上記課題を解決するための手段の項にも示したとおり、本発明の特許請求の範囲に記載する各請求項の発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、X線管が限界温度に達するか否かを、実際に稼動中のX線管の温度を測定するとともに、X線の曝射条件に基づく温度上昇値を演算することによって判定するので、過大な安全計数を取り入れることなく、X線管の持っている実力をぎりぎりまで存分に発揮させた状態で稼動させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、X線管が限界温度に達するか否かを、実際に測定した稼動中のX線管の温度と、X線の曝射条件に基づき予測した温度上昇値との和によって判定するので、過大な安全計数を取り入れることなく、X線管の持っている実力を限界ぎりぎりまで存分に発揮させた状態で稼動させることが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、X線管の温度として、X線管自体の表面温度、
X線管を収納しているハウジングの温度、さらにハウジングに充填されている絶縁油の温度などの内、測定のし易い測定手段を選択することができるので、計測の自由度が広がり発明の実施を容易にすることができる。さらに複数箇所での測定値を使用すればより測定精度を上げることができる。
X線管を収納しているハウジングの温度、さらにハウジングに充填されている絶縁油の温度などの内、測定のし易い測定手段を選択することができるので、計測の自由度が広がり発明の実施を容易にすることができる。さらに複数箇所での測定値を使用すればより測定精度を上げることができる。
以下、本発明に係るX線装置の一実施例について、図1および図2を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るX線装置の一実施例の概略的な構成を示した系統図である。X線装置の心臓部ともいえるX線管1は、絶縁油2の充填されたハウジング3に収納されている。X線管1は、陽極1aと陰極1bを備えており、この電極1a、1bは高電圧発生装置4に接続され、管電圧、管電流が供給される。また、ハウジング3の表面に温度センサ5が設けられている。
この温度センサ5はハウジング3の表面温度を測定するものであり、その測定結果は演算器6へ供給される。演算器6はX線装置全体の動作を制御するためのX線制御装置7の一部を構成するものであるが、ハウジング3の表面温度をX線管1の温度とみなして、現在のX線管1の温度と、X線管1に設定される管電圧と管電流およびX線の曝射時間(これらをX線曝射条件という。)とそのX線管に固有の特性とから、X線管の温度上昇値を予測演算する。
この演算器6で予測されたX線管1の温度上昇値とX線曝射条件に基づき、X線制御装置7では、次のX線曝射ができるか否かを判断する。また、X線制御装置7は、高電圧発生装置4へ制御信号を供給して、管電流、管電圧を設定したり、X線の曝射時間や曝射休止時間などを設定したりする。
なお、ハウジング3はオイルクーラ8との間に閉回路を形成する管路9で結合されており、絶縁油2をオイルクーラ4に循環させて冷却させることによって、X線管1が発生する熱を除去するようにしている。
次に、このように構成された本発明に係るX線装置の動作について説明する。
X線管1の使用限界温度Tmaxは個々のX線管の特性から決められており、現在のX線管温度Tnowを温度センサ5で実測することにより、使用限界温度Tmaxと現在温度Tnowとの差から、余裕温度△Tが(1)式のように求められる。
△T=Tmax−Tnow ・・・ (1)
また、X線管を動作させることによって生ずるX線管の上昇温度△T`は、加熱量HUに係数kを乗じて求められ、数式で示すと(2)式のようになる。
また、X線管を動作させることによって生ずるX線管の上昇温度△T`は、加熱量HUに係数kを乗じて求められ、数式で示すと(2)式のようになる。
△T`=HU*k ・・・ (2)
ここで従来の加熱量HUの計算では、管電圧、管電流、曝射時間、換算係数、安全係数の積として求めており、安全係数は経験的に1を超える数値としていたが、本発明では、安全係数を1.0とする。従って加熱量HUは(3)式のとおりとなる。
ここで従来の加熱量HUの計算では、管電圧、管電流、曝射時間、換算係数、安全係数の積として求めており、安全係数は経験的に1を超える数値としていたが、本発明では、安全係数を1.0とする。従って加熱量HUは(3)式のとおりとなる。
HU=管電圧*管電流*曝射時間*換算係数 ・・・ (3)
ここで、(2)式と(3)式とから、X線管の上昇温度△T`は(4)式のとおり
△T`=管電圧*管電流*曝射時間*換算係数*k ・・・ (4)
として求められる。
ここで、(2)式と(3)式とから、X線管の上昇温度△T`は(4)式のとおり
△T`=管電圧*管電流*曝射時間*換算係数*k ・・・ (4)
として求められる。
よって、実測値を基に算出される余裕温度△Tに対して予測されるX線管の上昇温度△T`を比較することによって、次のX線曝射が可能か否かが明瞭になり、かつX線管の冷却特性から、次にX線の曝射を可能にするまでの休止時間(待ち時間)も明らかとなる。
図2は、この様子を説明するために示したものであり、縦軸をX線管の温度、横軸を時間として、X線管の使用限界温度Tmaxを越えないように曝射と休止を交互に繰り返すように制御する様子を示している。
すなわち、時刻t1で最初の曝射を開始し、時刻t2で曝射を停止する。その間X線管の温度はT1まで上昇するが休止時間中に温度はT2まで低下する。次に時刻t3で再度曝射を開始し、時刻t4で曝射を停止する。そして、時刻t5で3度目の曝射を開始しようとしたときに、このときのX線管の温度T3が使用限界温度Tmaxよりも低い温度であっても、演算器6での予測演算の結果が所定時間X線を曝射することによってその温度が、図中に二重丸印で示すように、使用限界温度Tmaxを超える温度になるということであれば、X線制御装置7はX線の曝射を阻止して休止時間を継続させる。
そして、温度センサ5から得られる現在温度Tnowが、X線曝射によって使用限界温度Tmaxを越えない温度T4まで低下したときに、次の曝射が許可される。このときの時間がt6である。同様に、次の曝射も使用限界温度Tmaxを超えない温度になる時間t8まで休止時間がとられ、その後X線の曝射が可能になる。
以上詳述したように本発明によれば、X線管が使用限界温度に達するか否かを、実際に稼動中のX線管の温度を測定するとともに、X線の曝射条件に基づく温度上昇値を演算することによって判定するので、従来のような安全計数を大きくとって加熱量を予測して、折角持っているX線管の実力よりも大幅に低い状態でX線管を動作させる必要はなく、X線管の持っている実力をぎりぎりまで存分に発揮させた状態で稼動させることができる。
なお、本発明は上述の実施例に限定されることなく、要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様で実施することが可能である。例えば、温度センサ5は、ハウジング3の表面温度を測定することに限らず、X線管1の表面に取りつけて、X線管自体の表面温度を測定するようにしても良い。また、絶縁油2の温度を測定するようにしてもよい。そして、これらのうちいずれか1ヶ所の温度をX線管1の温度とするか、2ヶ所或いは3ヶ所の温度の最大値または平均値をX線管1の温度としてもよい。
1 X線管
2 絶縁油
3 ハウジング
4 高電圧発生装置
5 温度センサ
6 演算器
7 X線制御装置
8 オイルクーラ
2 絶縁油
3 ハウジング
4 高電圧発生装置
5 温度センサ
6 演算器
7 X線制御装置
8 オイルクーラ
Claims (3)
- X線管の温度を測定する温度測定手段と、
前記X線管の使用限界温度を越えないように、前記X線管のX線曝射休止時間を制御するX線曝射制御手段と、
前記X線管に設定されるX線の曝射時間に基づき、当該X線管の温度上昇値を予測演算するX線管温度演算手段とを備え、
前記X線曝射制御手段は、前記X線管温度演算手段で予測された温度上昇値と前記温度測定手段による現在のX線管温度とに基づいて、当該X線管の使用限界温度を越えないように、前記X線管のX線曝射休止時間を制御することを特徴とするX線装置。 - 前記X線曝射制御手段は、前記X線管温度演算手段で予測された温度上昇値と前記温度測定手段による現在のX線管温度との和が、当該X線管の使用限界温度を越えないように、前記X線管のX線曝射休止時間を制御することを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
- 前記温度測定手段によって測定するX線管の温度は、X線管の表面温度またはX線管を収納しているハウジングの表面温度もしくは前記ハウジングに充填されている絶縁油の温度のうちいずれか1または2以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のX線装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005114266A JP2006294450A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | X線装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005114266A JP2006294450A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | X線装置 |
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JP2006294450A true JP2006294450A (ja) | 2006-10-26 |
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JP2005114266A Withdrawn JP2006294450A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | X線装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103315755A (zh) * | 2012-03-23 | 2013-09-25 | 上海西门子医疗器械有限公司 | X射线管组件、x射线设备及告警方法 |
CN112822829A (zh) * | 2020-12-31 | 2021-05-18 | 苏州博思得电气有限公司 | 一种x射线高压发生器曝光功率参数确定方法及装置 |
CN113347770A (zh) * | 2020-02-18 | 2021-09-03 | 苏州博思得电气有限公司 | 一种球管保护方法、装置及电子设备 |
EP4201332A1 (en) * | 2021-12-23 | 2023-06-28 | Koninklijke Philips N.V. | Dynamic imaging system workflow optimization |
WO2023117751A1 (en) * | 2021-12-23 | 2023-06-29 | Koninklijke Philips N.V. | Dynamic imaging system workflow optimization |
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2005
- 2005-04-12 JP JP2005114266A patent/JP2006294450A/ja not_active Withdrawn
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