JP2006290723A - 層間化合物及びその製造方法並びに複合材料 - Google Patents

層間化合物及びその製造方法並びに複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の機能性有機化合物が挿入された層間化合物、及び種々の機能性有機化合物を効率的に層間挿入することができる層間化合物の製造方法、並びに層間化合物による機能性を十分に発揮することができる複合材料を提供する。
【解決手段】層間化合物は、層状粘土鉱物と機能性有機化合物とを共粉砕して得られるものである。層間化合物の製造方法は、層状粘土鉱物と、機能性有機化合物とを共粉砕する共粉砕工程を含む。共粉砕工程は、接触工程の後に行われる工程であることが好ましい。接触工程は、層状粘土鉱物と層状粘土鉱物に電子を供与する電子供与体とを接触する工程である。複合材料は、樹脂材料と層間化合物とを含有して構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在する層間化合物及びその製造方法並びに複合材料に関するものである。
従来、層状粘土鉱物と樹脂材料と複合化した複合材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。こうした層状粘土鉱物は合成樹脂の機械的特性、熱的特性等の性質を改善する役割を果たす。特許文献1に記載の複合材料は、層状粘土鉱物の層間に合成樹脂の単量体を挿入した後、その単量体を重合することによって得られるものである。この製造方法においては、層状粘土鉱物の層間に単量体を挿入するに際し、層状粘土鉱物が分散媒に分散された分散液中にて、層状粘土鉱物とオニウムイオンとを接触させることにより、層状粘土鉱物の層間を拡張することが行われている。そして、層間の拡張した層状粘土鉱物の分散液中に単量体を混合することによって、層状粘土鉱物の層間に単量体が効率的に挿入されるようになる。
また、こうした層状粘土鉱物の層間に有機化合物を挿入する方法として、水や有機溶媒等の溶媒に有機化合物を溶解させた溶液を層状粘土鉱物と混合することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特公平7−78089号公報 特開平10−297917号公報
ところで、上記従来技術では、層状粘土鉱物の層間に存在するイオンと、有機化合物のイオンとのイオン交換反応を利用して、層状粘土鉱物の層間に有機化合物を挿入している。すなわち、層状粘土鉱物の分散媒は、層状粘土鉱物の層間に挿入される有機化合物の溶媒としての機能を果たす必要があり、その有機化合物は、層状粘土鉱物の分散液中において、イオン化する必要がある。仮に、層間に挿入しようとする有機化合物が特定の分散媒中においてイオン化したとしても、その分散媒に対する有機化合物の溶解度が低ければ、層状粘土鉱物と接触する有機化合物の量は少なくなる。従って、層状粘土鉱物の層間に効率的に挿入することができる有機化合物の種類は限られるという問題があった。
一方、樹脂材料に、層状粘土鉱物及び減衰性付与剤を単純に配合した複合材料では、樹脂材料中における層状粘土鉱物及び減衰性付与剤の分散性は十分に得られない。そのため、こうした複合材料において、層状粘土鉱物及び減衰性付与剤の配合量を増大させても、その配合量に見合った機能性は発現されにくい。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、種々の機能性有機化合物が挿入された層間化合物、及び種々の機能性有機化合物を効率的に層間挿入することができる層間化合物の製造方法、並びに層間化合物による機能性を十分に発揮することができる複合材料を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の層間化合物は、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在する層間化合物であって、前記層状粘土鉱物と、前記機能性有機化合物とを共粉砕して得られることを要旨とする。
この構成によれば、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物に対して共粉砕による外力を加えることにより、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在した層間化合物が得られる。そのため、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物を挿入するに際し、機能性有機化合物の溶解度やイオン性等に対する依存度は低くなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の層間化合物において、前記機能性有機化合物は、樹脂材料に減衰性を付与する減衰性付与剤であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の層間化合物において、前記減衰性付与剤は、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ベンゾチアジル基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種であることを要旨とする。
請求項2及び請求項3の構成によれば、樹脂材料に配合して使用することにより、樹脂材料に減衰性を付与する層間化合物を提供することができる。すなわち、こうした層間化合物は、樹脂材料中において、振動エネルギー、音のエネルギー、衝撃エネルギー等のエネルギー(但し、光エネルギー及び電気エネルギーを除く)を熱エネルギーに変換する作用を奏する減衰性付与剤としての機能を十分に発揮することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の層間化合物において、前記機能性有機化合物は、樹脂材料に難燃性を付与する難燃剤であることを要旨とする。
この構成によれば、樹脂材料に難燃性を付与する層間化合物を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の層間化合物において、前記層状粘土鉱物は、膨潤性雲母、スメクタイト族粘土鉱物、及びバーミキュライト族粘土鉱物から選ばれる少なくとも一種であることを要旨とする。
この構成によれば、層状粘土鉱物の層間が容易に拡張されるため、層状粘土鉱物に対する機能性有機化合物の層間挿入量を十分に確保することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の層間化合物において、樹脂材料に配合されることを要旨とする。
この構成によれば、層間化合物を樹脂材料に対する機能性付与剤として利用することができる。
請求項7に記載の発明の層間化合物の製造方法は、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在する層間化合物の製造方法において、前記層状粘土鉱物と前記機能性有機化合物とを共粉砕する共粉砕工程を含むことを要旨とする。
この方法によれば、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物に対して共粉砕による外力を加えることにより、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に挿入される。従って、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物を挿入するに際し、その機能性有機化合物の溶解度やイオン性等に対する依存度は低くなる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の層間化合物の製造方法において、前記共粉砕工程は、前記層状粘土鉱物と同層状粘土鉱物に電子を供与する電子供与体とを接触する接触工程の後に行われる工程であることを要旨とする。
この方法によれば、接触工程では、電子供与体から層状粘土鉱物へ電子が供与されることにより、層状粘土鉱物の表面や層間が機能性有機化合物に対して活性化される。すなわち、層状粘土鉱物と電子供与体との親和性が高まると推測される。そして、共粉砕工程において、表面や層間が活性化された層状粘土鉱物、及び機能性有機化合物に対して共粉砕による外力を加えることにより、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に効率的に挿入されるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の層間化合物の製造方法において、前記接触工程は、前記電子供与体を前記層状粘土鉱物に接触させつつ前記層状粘土鉱物を粉砕する工程であることを要旨とする。
この方法によれば、電子供与体と層状粘土鉱物との接触効率を高めることができるようになる。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の層間化合物の製造方法において、前記電子供与体として少なくともテトラヒドロフランを用いることを要旨とする。
この方法によれば、層状粘土鉱物の表面や層間を効率的に活性化することができるようになる。
請求項11に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の層間化合物の製造方法において、前記電子供与体として少なくともブチロラクトンを用いることを要旨とする。
この方法によれば、層状粘土鉱物の表面や層間を効率的に活性化することができるようになる。
請求項12に記載の発明は、請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の層間化合物の製造方法において、前記共粉砕工程では、有機オニウム塩の存在下で前記層状粘土鉱物及び前記機能性有機化合物を共粉砕することを要旨とする。
この方法によれば、層状粘土鉱物の層間は、有機オニウム塩によって拡張されるため、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が容易に挿入されるようになる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の層間化合物の製造方法において、前記共粉砕工程は、前記層状粘土鉱物と有機オニウム塩とを共粉砕する第1の共粉砕工程と、同第1の共粉砕工程で得られた混合物と前記機能性有機化合物とを共粉砕する第2の共粉砕工程と、を含むことを要旨とする。
この方法によれば、第2の共粉砕工程では、第1の共粉砕工程によって層間が拡張された層状粘土鉱物と、機能性有機化合物とが共粉砕されるため、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間にさらに容易に挿入されるようになる。
請求項14に記載の発明の複合材料は、樹脂材料と、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の層間化合物とを含有してなることを要旨とする。
この構成によれば、層間化合物の層間には、共粉砕による外力によって機能性有機化合物が挿入されているため、層状粘土鉱物に機能性有機化合物をイオン交換によって挿入された従来の化合物と比べて、層間化合物は、層間剥離し易い状態となっている。そのため、樹脂材料中において、層間化合物を容易に層間剥離させることができる結果、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物の分散性が良好な複合材料を得ることができるようになる。
本発明によれば、種々の機能性有機化合物が層間に挿入された層間化合物を提供することができる。また、種々の機能性有機化合物を効率的に層間挿入することができる層間化合物の製造方法を提供することができる。さらに、層間化合物による機能性を十分に発揮することができる複合材料を提供することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の層間化合物について詳細に説明する。
本実施形態における層間化合物は、層状粘土鉱物と機能性有機化合物とを含有し、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在してなるものである。この層間化合物は、層状粘土鉱物と機能性有機化合物とを共粉砕して得られるものである。層間化合物は、層状粘土鉱物に対する機能性有機化合物の層間挿入量を増大させるという観点から、好ましくは層状粘土鉱物とその層状粘土鉱物に電子を供与する電子供与体とを接触した後、その層状粘土鉱物と機能性有機化合物とを共粉砕して得られるものである。
層状粘土鉱物は、層状をなす粘土鉱物であって、天然粘土鉱物及び合成粘土鉱物のいずれであってもよい。この層状粘土鉱物としては、層間が拡張し易いため、機能性有機化合物の挿入量を増加させ易いという観点から、下記一般式(1)で示される膨潤性層状珪酸塩が好ましい。
〔A(X)(Si4−dAl)O10(OH2−e)〕 ・・・(1)
一般式(1)中におけるaの値は0.2≦a≦1.0、bの値は0≦b≦3、cの値は0≦c≦2、dの値は0≦d≦4、及びeの値は0≦e≦2である。
一般式(1)中のAは、交換性金属イオンを示し、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1個の陽イオンである。Aで示される交換性金属イオンの金属原子としては、例えばLi、Na等が挙げられる。
一般式(1)中におけるX及びYは、層状粘土鉱物の構造内における八面体シートに入るカチオンであって、XはMg、Fe、Mn、Ni、Zn及びLiから選ばれる少なくとも一つの金属原子が構成する陽イオンであり、YはAl、Fe、Mn及びCrから選ばれる少なくとも一つの金属原子が構成する陽イオンである。
層状粘土鉱物の具体例としては、膨潤性雲母(膨潤性マイカ)、スメクタイト族粘土鉱物、バーミキュライト族粘土鉱物、ゼオライト、セピオライトを含む。
膨潤性雲母としては、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等が挙げられる。
スメクタイト族粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトナイト、スティブンサイト等が挙げられる。バーミキュライト族粘土鉱物としては、3八面体型バーミキュライト、2八面体型バーミキュライト等が挙げられる。
層状粘土鉱物は単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。層状粘土鉱物の中でも、層間が拡張し易く、機能性有機化合物の層間挿入量を十分に確保することができるという観点から、好ましくは膨潤性雲母、スメクタイト族粘土鉱物、及びバーミキュライト族粘土鉱物から選ばれる少なくとも一種、より好ましくは膨潤性雲母、さらに好ましくはテトラシリシックフッ素雲母である。
層状粘土鉱物の電荷密度は、好ましくは70×10〜250×10[nm/charge]、より好ましくは70×10〜200×10[nm/charge]である。この電荷密度が70×10〜250×10[nm/charge]であると、層間が拡張し易く、機能性有機化合物の層間挿入量を十分に確保することができる。
層状粘土鉱物の電荷密度は、例えば、カラム浸透法(「粘土ハンドブック」第二版 日本粘土学会編、第576〜577項、技法堂出版)やメチレンブルー吸着法(日本ベントナイト工業会標準試験法、JBAS−107−91)等の方法によって、まず層状粘土鉱物の陽イオン交換容量(Cation−Exchange Capacity,CEC)を測定する。続いて、透過型電子顕微鏡観察による構造解析の結果、又は粉末X線回折のリーベルト法による構造解析の結果から格子定数を決定する。CEC及び格子定数から単位格子当りに存在するイオンの電荷を求め、電荷密度を算出する。
層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は、好ましくは25〜195ミリグラム当量/100g、より好ましくは50〜150ミリグラム当量/100gである。この陽イオン交換容量が25〜195ミリグラム当量/100gである場合、層間が拡張し易く、機能性有機化合物の層間挿入量を十分に確保することができるようになる。層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は、平衡法にて測定することができる。平衡法は、以下の(手順1)〜(手順4)による方法である。
(手順1)遠心分離器を用いて、所定量の層状粘土鉱物を塩溶液(例えば、1Nの塩化カルシウム溶液)で飽和させる。
(手順2)飽和処理した層状粘土鉱物を同じ種類、かつ低濃度(例えば、0.05Nの塩化カルシウム溶液)の塩溶液によって洗浄し、この濃度で層状粘土鉱物を平衡にする。この平衡時における上澄み液のpHを平衡pHとして記録する。
(手順3)上澄み液を除き、残液を含んだ層状粘土鉱物の質量を測定する。
(手順4)層状粘土鉱物を他の塩溶液によって洗浄し、抽出される陽イオン(手順1及び2において塩化カルシウム溶液を使用した場合は、カルシウムイオン)を定量し、(手順3)の残液中の陽イオンを差し引いてCECとする。
機能性有機化合物は、減衰性能、芳香性能、除菌性能、消臭性能、洗浄性能等の機能を発現する有機化合物であって、層間化合物の主たる機能を発現するために配合される化合物である。
機能性有機化合物としては、減衰性付与剤、芳香剤、抗菌剤等が挙げられる。
減衰性付与剤は、樹脂材料中で減衰性を発揮する有機化合物を示す。すなわち、減衰性付与剤は、樹脂材料中において、振動エネルギー、音のエネルギー、衝撃エネルギー等のエネルギーを熱エネルギーに変換する性質を示すものである。減衰性付与剤としては、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ベンゾチアジル基を有する化合物、ジフェニルアクリレート基を有する化合物、フェノール系化合物、グアニジン類等が挙げられる。
ベンゾチアジル基を有する化合物としては、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−t−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール基を有する化合物としては、ベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合したものであって、2−[2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−(2′−ハイドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−(2′−ハイドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−(2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)、2−(2′−ハイドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2HOPB)等が挙げられる。
ジフェニルアクリレート基を有する化合物としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(ECDPA)、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(OCDPA)等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス−(4−エチル−6−ノニルフェノール)、テトラキス(メチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート)、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロ−2−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
芳香剤としては、各種天然香料、各種合成香料を主成分とする芳香剤が挙げられ、香料素材としてはオリバナム、ミルラ、アンバーグリス、ムスク、スパイクナード等が挙げられる。抗菌剤としては、ジヨードメチルp−トルイルスルホン、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N−ジメチル−N′−フェニル−N′(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド等が挙げられる。
機能性有機化合物としては、さらに難燃剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤、誘引剤等が挙げられる。難燃剤としては、トリアジン系化合物及びその誘導体、リン化合物、ハロゲン縮合リン酸エステル類、リン系難燃剤、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
トリアジン系化合物としては、メラミン化合物、シアヌル酸化合物等が挙げられる。メラミン化合物としては、メラミン、N−エチレンメラミン、N,N′,N″−トリフェニルメラミン、硫酸メラミン、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等が挙げられる。シアヌル酸化合物としては、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリスメチルイソシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリスエチルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、トリス(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルシアヌレート、N,N′−ジエチルイソシアヌレート、メチルシアヌレート、メチルイソシアヌレート等が挙げられる。
リン化合物としては、芳香族リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ハロゲンリン酸エステル類、ハロゲン縮合リン酸エステル類、赤リン等が挙げられる。芳香族リン酸エステル類としては、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t−ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(i−プロピル化フェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。芳香族縮合リン酸エステル類としては、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。ハロゲンリン酸エステル類としては、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等が挙げられる。ハロゲン縮合リン酸エステル類としては、2,2−ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2−クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等が挙げられる。有機ハロゲン化合物としては、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、トリブロモフェノール(TBP)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、TBAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBAエポキシオリゴマー、エチレンビスペンタブロモジフェニル等の臭素系化合物、塩素化パラフィン等の塩素系化合物等が挙げられる。
機能性有機化合物として減衰性付与剤を適用する場合には、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ベンゾチアジル基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。こうした減衰性付与剤が層間に挿入された層間化合物を、樹脂材料に配合して使用することにより、樹脂材料中における層状粘土鉱物及び機能性有機化合物の分散性が改善される結果、樹脂材料に優れた減衰性を付与することができる。
また、機能性有機化合物として難燃剤を適用する場合には、環境負荷が低いという観点から、ハロゲン原子を有しない難燃剤(ハロゲンフリーの難燃剤)が好ましい。
層状粘土鉱物に対する機能性有機化合物の配合量は、層状粘土鉱物100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜70質量部、さらに好ましくは0.1〜50質量部である。この配合量が0.1質量部未満であると、機能性有機化合物の層間挿入量を十分に確保することが困難となるおそれがある。一方、100質量部を超えて配合しても、それ以上の層間挿入量が得られず、不経済となるおそれがある。
次に、層間化合物の製造方法について説明する。
本実施形態における層間化合物の製造方法は、接触工程、第1の共粉砕工程及び第2の共粉砕工程を含む。接触工程は、層状粘土鉱物とその層状粘土鉱物に電子を供与する電子供与体とを接触する工程である。第1の共粉砕工程は、層状粘土鉱物と有機オニウム塩とを共粉砕する工程である。第2の共粉砕工程は、第1の共粉砕工程で得られた混合物と、機能性有機化合物とを共粉砕する工程である。
接触工程では、電子供与体を層状粘土鉱物に接触させることにより、層状粘土鉱物の表面や層間を活性化する。すなわち、この接触工程では、電子供与体から層状粘土鉱物に電子が供与されることで、機能性有機化合物との親和性が高まると推測される。この接触工程では、電子供与体に層状粘土鉱物を所定時間含浸することによって電子供与体を層状粘土鉱物に接触させてもよいし、層状粘土鉱物と電子供与体とを所定時間混合することによって電子供与体を層状粘土鉱物に接触させてもよい。電子供与体と層状粘土鉱物との接触効率を高めるという観点から、接触工程では、電子供与体を層状粘土鉱物に接触させつつ層状粘土鉱物を粉砕することが好ましい。層状粘土鉱物を粉砕するには、ボールミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を使用することができる。
この電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、有機酸エステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類、カルボン酸類、有機酸ハライド類、炭化水素類、アンモニア類、アミン類、ニトリル類等に分類される他に、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の各種界面活性剤、水等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール等が挙げられる。
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノン、ラクトン、ピロリドン等が挙げられる。有機酸エステル類としては、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチル等が挙げられる。
エーテル類としては、メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル等の脂肪族エーテル、アニソール等の芳香族エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルが挙げられる。酸アミド類としては、ジフェニル酸N,N−ジメチルアミド等が挙げられる。酸無水物類としては、無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸等が挙げられる。カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等が挙げられる。
有機酸ハライド類としては、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、安息香酸クロライド、トルイル酸クロライド、アニス酸クロライド、コハク酸クロライド、マロン酸クロライド、マレイン酸クロライド、イタコン酸クロライド、フタル酸クロライド等を挙げることができる。炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、キシレン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。
アンモニア類としては、アンモニア、水酸化アンモニウム等が挙げられる。アミン類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。ニトリル類としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリニトリル等が挙げられる。
電子供与体は単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。電子供与体の中でも、層状粘土鉱物の層間を効率的に活性化するという観点から、好ましくはエーテル類又はアルコール類、より好ましくはテトラヒドロフラン、ジオキサン及びメタノールから選ばれる少なくとも一種である。
層状粘土鉱物に対する電子供与体の配合量は、層状粘土鉱物100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。この配合量が0.01質量部未満であると、層状粘土鉱物の層間を効率的に活性化することが困難となるおそれがある。一方、20質量部を超えると、かえって活性化を妨げるおそれがある。
第1の共粉砕工程は、層状粘土鉱物と有機オニウム塩とを共粉砕することにより、層状粘土鉱物の層間を拡張させる工程である。
有機オニウム塩は、その有機オニウム塩から生じる有機オニウムと、層状粘土鉱物の層間に存在する無機イオンとをイオン交換させることによって、層状粘土鉱物の層間を拡張するために配合される。有機オニウム塩としては、アミノカルボン酸塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。アミノカルボン酸塩を構成するアミノカルボン酸としては、12−アミノラウリン酸(12−アミノドデカン酸)、4−アミノ−n−酪酸、6−アミノ−n−カプロン酸、ω−アミノカプリル酸、10−アミノデカン酸、14−アミノテトラデカン酸、16−アミノヘキサデカン酸、18−アミノオクタデカン酸等が挙げられ、アミノカルボン酸塩としてはアミノカルボン酸の塩酸塩、アンモニウム塩、硫酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
これらの有機オニウム塩の中でも、層状粘土鉱物の層間を拡張させ易いという観点から、12−アミノラウリン酸塩又はジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
層状粘土鉱物に対する有機オニウム塩の配合量は、層状粘土鉱物100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.5〜95質量部、さらに好ましくは1〜90質量部である。この配合量が0.1質量部未満であると、層状粘土鉱物の層間を効率的に拡張することが困難となるおそれがある。一方、100質量部を超えると、機能性有機化合物の挿入を妨げるおそれがある。
また、層状粘土鉱物100gに対する有機オニウム塩の配合量を陽イオン交換容量で表すと、好ましくは0.1〜100[meq/100g]、より好ましくは5〜60[meq/100g]、さらに好ましくは10〜50[meq/100g]、最も好ましくは20〜40[meq/100g]である。この配合量が0.1[meq/100g]未満であると、層状粘土鉱物の層間を効率的に拡張することが困難となるおそれがある。一方、100[meq/100g]を超えると、機能性有機化合物の挿入を妨げるおそれがある。
第2の共粉砕工程では、第1の共粉砕工程で得られた混合物と機能性有機化合物とを共粉砕することにより、機能性有機化合物が層状粘土鉱物の層間に挿入される。この共粉砕工程では、表面や層間が活性化された層状粘土鉱物、及び機能性有機化合物に対して共粉砕による外力が加わる。このとき、層状粘土鉱物における層同士のずれが繰り返し発生するとともに、層状粘土鉱物と機能性有機化合物とが擦れ合うことにより、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に挿入されると推測される。共粉砕工程には、上述した粉砕装置を使用することができる。温度上昇に伴って機能性有機化合物が溶融する場合には、機能性有機化合物を固体状態で維持するために、冷却装置を備えた粉砕機を使用することが好ましい。
こうして得られる層間化合物は、機能性有機化合物として例えば減衰性付与剤を用いた場合、樹脂材料の添加剤として使用することができる。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。この層間化合物は、層状粘土鉱物の層間に減衰性付与剤が挿入されているものである。そのため、樹脂材料中における層間化合物の分散性が向上すると推測される。すなわち、この層間化合物は、層間に減衰性付与剤が介在しているため、樹脂材料との混合に伴って層状粘土鉱物が層間剥離し易くなる。従って、層状粘土鉱物及び減衰性付与剤の分散性が向上すると推測される。
機能性有機化合物として難燃剤を用いた場合にも同様に、樹脂材料の添加剤として使用することができる。この場合、難燃剤を層間化合物として樹脂材料に配合することにより、樹脂材料中における難燃剤の分散性の改善に寄与すると推測される。
また、機能性有機化合物として例えば芳香剤等の除放性薬剤を用いた層間化合物は、除放性薬剤と、その基材となる層状粘土鉱物とを含む除放性組成物として利用することができる。こうした層間化合物では、層状粘土鉱物の層間に除放性薬剤が挿入されているため、除放性薬剤の除放性がコントロールされるようになる。
次に、層間化合物を含有する複合材料について説明する。
複合材料は、樹脂材料と層間化合物とを含有してなる。樹脂材料は複合材料の母材として含有され、樹脂材料としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に分類される。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン・アクリロニトリル系樹脂の他、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。オレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、各種ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、非晶性ポリアミド、ポリメタクリルイミド等が挙げられる。スチレン・アクリロニトリル系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂材料は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせたポリマーアロイやブロック共重合体として使用してもよい。
複合材料中における層間化合物の配合量は、樹脂材料100質量部に対して、好ましくは0.1〜200質量部、より好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜60質量部である。この配合量が0.1質量部未満であると、複合材料に十分な機能性を付与することが困難となるおそれがある。一方、200質量部を超えて配合すると、成形性が十分に得られないおそれがある。
複合材料中における層状粘土鉱物の含有量は、樹脂材料及び層間化合物の合計量に対して、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは1〜60質量%、さらに好ましくは3〜50質量%である。この含有量が0.1質量%未満であると、複合材料に十分な機能性を付与することが困難となるおそれがある。一方、80質量%を超えて配合すると、成形性が十分に得られないおそれがある。
複合材料中における機能性有機化合物の含有量は、樹脂材料及び層間化合物の合計量に対して、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。この含有量が0.1質量%未満であると、複合材料に十分な機能性を付与することが困難となるおそれがある。一方、30質量%を超えて配合すると、成形性が十分に得られないおそれがある。
この複合材料には、層間化合物以外の成分として充填剤、難燃剤、腐食防止剤、着色剤、制電剤、湿潤剤等を必要に応じて含有させることもできる。
複合材料は、樹脂材料に層間化合物を配合し、樹脂材料と層間化合物とを混合することによって得られる。樹脂材料と層間化合物との混合には、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、グレンミル、ニーダー等の公知の混合機の他、ディゾルバー、各種押出機を使用することが可能である。
樹脂材料と層間化合物とが混合されることにより、樹脂材料中に層間化合物が分散された複合材料が得られる。このとき、層間化合物の層間には、共粉砕による外力によって機能性有機化合物が挿入されているため、層間化合物は層間剥離し易い状態となっている。そのため、樹脂材料中において、層間化合物を容易に層間剥離させることができる結果、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物の分散性が良好な複合材料を得ることができるようになる。
減衰性を付与する減衰性付与剤が層間挿入された層間化合物を樹脂材料に適用した場合、樹脂材料中における層状粘土鉱物及び減衰性付与剤の分散性が向上することにより、減衰性能を十分に発揮する減衰性材料を提供することができる。こうして得られる減衰性材料は、振動エネルギー、衝撃エネルギー、音のエネルギー等のエネルギー(但し、光エネルギー及び電気エネルギーを除く)を熱エネルギーに変換する機能を発現する。すなわち、減衰性材料は、樹脂材料を構成する高分子の分子鎖と有効成分の分子との摩擦によって、振動等のエネルギーを熱エネルギーに変換することができると推測される。また、樹脂材料中に剥離分散し、板状をなした粘土鉱物にずれが生じると、それら粘土鉱物の間に存在する樹脂材料はせん断変形すると推測される。つまり、この減衰性材料は、その内部に粘土鉱物からなる拘束層と、樹脂材料及び減衰性付与剤を含む制振層とが多数存在するモデルとして考えることができるため、層状粘土鉱物の分散性が向上すれば、減衰性能も向上すると推測される。
この減衰性材料は、振動エネルギーを吸収する制振材料として、例えば自動車、内装材、建材、家電機器等に適用され、モータ等の被制振箇所に適用することができる。この減衰性材料を制振材料として利用する場合、減衰性材料をシート状に成形することにより、非拘束型制振シートとして利用することができる。この非拘束型制振シートは、適用箇所に貼り合わせることによって、制振シートの一側面が拘束されていない状態で使用される。
また、この減衰性材料を制振材料として利用する場合、減衰性材料をシート状に成形することにより得られる制振シートを制振層とし、同制振層の表面に制振層を拘束するための拘束層を貼り合わせることによって拘束型制振シートを得ることができる。拘束層としては、アルミニウム、鉛等の金属箔、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂から形成されるフィルム、不織布等が挙げられる。この拘束型制振シートは、制振層側を適用箇所に貼り合わせることによって制振層の両面が拘束されている状態で使用される。
この減衰性材料は、衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収材料として、例えば靴、グローブ、各種防具、グリップ、ヘッドギア等のスポーツ用品、ギプス、マット、サポーター等の医療用品、壁材、床材、フェンス等の建材、各種緩衝材、各種内装材等に適用することができる。この減衰性材料を衝撃吸収材料として利用する場合、減衰性材料をシート状に成形することにより、衝撃吸収シートとして利用することができる。この衝撃吸収シートは、適用箇所に貼り合わせる等して使用される。
難燃剤が層間挿入された層間化合物を樹脂材料に適用した場合、難燃性に優れる難燃性複合材料を得ることができる。すなわち、この難燃性複合材料中において層間化合物として分散している難燃剤は、層状粘土鉱物に保護されているため、その難燃剤の熱分解は、樹脂材料が燃焼を開始するまで抑制されると考えられる。そして、燃焼を開始した樹脂材料に対して難燃剤が好適に作用することで、この難燃性複合材料は優れた難燃性能を発揮すると考えられる。この難燃性複合材料は、各種成形品として難燃性が要求される分野、例えば電気・電子分野、自動車分野等に適用することができる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) この実施形態の層間化合物は、層状粘土鉱物と機能性有機化合物とを共粉砕して得られるものである。この構成によれば、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物を挿入するに際し、機能性有機化合物の溶解度やイオン性等に対する依存度は低くなるため、種々の機能性有機化合物を層状粘土鉱物の層間に挿入することができるようになる。その結果、種々の機能性有機化合物が挿入された層間化合物を提供することができる。
(2) 機能性有機化合物が、樹脂材料に減衰性を付与する減衰性付与剤である場合、層間化合物は、樹脂材料に配合して使用することにより、樹脂材料に減衰性を付与することができる。また、機能性有機化合物が、樹脂材料に難燃性を付与する難燃剤である場合、そうした層間化合物を樹脂材料に配合して使用することにより、樹脂材料中において難燃剤の機能を十分に発揮させることができる。
すなわち、難燃剤が層間挿入された層間化合物を樹脂材料に配合(分散)することにより、難燃性複合材料を得ることができる。この難燃性複合材料では、難燃剤と層状粘土鉱物との樹脂材料に対する相互作用により、優れた難燃性が付与される。ところで、上記メラミン化合物、シアヌル酸化合物等に代表されるハロゲンフリーの難燃剤はハロゲン系難燃剤よりも、環境負荷が低いといった優位性がある一方で、一般に難燃性を付与する効果が低い。そうしたハロゲンフリーの難燃剤を使用する場合でも、樹脂材料に対する難燃剤の配合量を削減しつつ、所望の難燃性を発揮させることができる。よって、樹脂材料に対する難燃剤の配合量を削減することができるようになるため、樹脂材料自体の流動性や比重等の物性を十分に確保することができる。このように、ハロゲンフリーの難燃剤を配合することで、環境負荷を低減させた難燃性複合材料を得る場合であっても、樹脂材料自体の物性を確保しつつ、所望の難燃性を発揮させることができる。また、ハロゲン系難燃剤を配合した難燃性複合材料を得る場合であっても、難燃剤の配合量を削減することが可能となるため、樹脂材料自体の物性を確保することができる。
さらに、難燃剤が層間挿入された層間化合物を樹脂材料に混合すると、その層間化合物の一部を構成する層状粘土鉱物が樹脂材料中においてナノオーダーレベルで分散(ナノ分散)する結果、機械的特性や熱的特性の改善された難燃性複合材料を得ることができる。具体的には、剛性や耐熱性に優れる難燃性複合材料を得ることができる。すなわち、難燃剤が層間挿入された層間化合物によれば、樹脂材料自体の物性を維持することができるとともに、機械的特性や熱的特性を改善することができる。また、こうして得られる難燃性複合材料は、樹脂材料自体の流動性が発揮され易いため、射出成形、押出成形、ブロー成形等の各種成形方法によって電気・電子部品、自動車部品等の各種成形品に成形することが容易である。従って、この難燃性複合材料は機能材料としての利用価値が非常に高い。
(3) 減衰性付与剤がベンゾトリアゾール基を有する化合物、ベンゾチアジル基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種である場合、減衰性を付与する機能に優れる層間化合物を提供することができる。
(4) 層状粘土鉱物が膨潤性雲母、スメクタイト族粘土鉱物、及びバーミキュライト族粘土鉱物から選ばれる少なくとも一種である場合、層状粘土鉱物の層間は容易に拡張されるため、機能性有機化合物の層間挿入量を十分に確保することができる。また、この層間化合物では、層状粘土鉱物の層間が機能性有機化合物によって十分に拡張されているため、樹脂材料中における分散性がさらに良好となる。従って、樹脂材料に機能性を十分に付与することができる。
(5) 層間化合物を樹脂材料に配合した場合、層間化合物は樹脂材料に対する機能性付与剤として利用することができる。その結果、樹脂材料と層間化合物とを複合化した複合材料を得ることができる。
(6) この実施形態の層間化合物の製造方法では、第2共粉砕工程にて層状粘土鉱物と機能性有機化合物とを共粉砕している。この方法によれば、第2共粉砕工程において、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物に対して外力を加えることにより、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に挿入される。従って、層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物を挿入するに際し、その機能性有機化合物の溶解度やイオン性等に対する依存度は低くなる。その結果、種々の機能性有機化合物を効率的に層間挿入することができる。
さらに、機能性有機化合物を溶媒に溶解する工程、及びその溶媒を除去する工程を省くことが可能となる。加えて、層状粘土鉱物を水等の分散媒に分散させる必要がないため、その分散媒を除去する工程、及びその分散媒を廃棄したり再利用したりする処理工程を省くことが可能となる。その結果、層間化合物の製造工程を簡略化することができる。
(7) 第2の共粉砕工程は、接触工程の後に行われている。この方法によれば、接触工程では、電子供与体から層状粘土鉱物へ電子が供与されることにより、層状粘土鉱物の表面や層間が機能性有機化合物に対して活性化される。すなわち、層状粘土鉱物と電子供与体との親和性が高まると推測される。そして、共粉砕工程において、表面や層間が活性化された層状粘土鉱物、及び機能性有機化合物に対して共粉砕による外力を加えることにより、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に効率的に挿入されるようになる。その結果、層状粘土鉱物に対する機能性有機化合物の層間挿入量を増大させることができる。
(8) 接触工程において、電子供与体を前記層状粘土鉱物に接触させつつ層状粘土鉱物を粉砕する場合、電子供与体と層状粘土鉱物との接触効率を高めることができるため、層間化合物の製造効率を向上することができる。さらに、電子供与体の配合量を削減することが可能となる。
(9) 電子供与体として少なくともテトラヒドロフランを使用した場合、優れた電子供与性が発揮され、層状粘土鉱物の層間を効率的に活性化することができるようになる。その結果、層間化合物の製造効率を高めることができるようになる。また、電子供与体として少なくともブチロラクトンを使用した場合、優れた電子供与性が発揮され、層状粘土鉱物の層間を効率的に活性化することができるようになる。その結果、層間化合物の製造効率を高めることができるようになる。
(10) 共粉砕工程において、有機オニウム塩の存在下で層状粘土鉱物及び機能性有機化合物を共粉砕する場合、有機オニウム塩によって層状粘土鉱物の層間は拡張されるようになる。そのため、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に挿入され易くなる結果、機能性有機化合物をより効率的に層間挿入することができる。さらに、層状粘土鉱物に対する機能性有機化合物の層間挿入量を増大させることができる。
(11) 共粉砕工程は、第1の共粉砕工程と第2の共粉砕工程とを含む工程である場合、第2の共粉砕工程では、第1の共粉砕工程によって層間が拡張された層状粘土鉱物と、機能性有機化合物とが共粉砕される。そのため、機能性有機化合物は層状粘土鉱物の層間に挿入され易くなる結果、機能性有機化合物をより効率的に層間挿入することができる。さらに、層状粘土鉱物に対する機能性有機化合物の層間挿入量を増大させることができる。
(12) この実施形態の複合材料は、樹脂材料と層間化合物とを含有して構成される。層間化合物の層間には、共粉砕による外力によって機能性有機化合物が挿入されているため、層間化合物は、層間剥離し易い状態となっている。そのため、樹脂材料中において、層間化合物を容易に層間剥離させることができる結果、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物の分散性が良好な複合材料を得ることができるようになる。従って、層状粘土鉱物によって付与される機能性(例えば、減衰性、機械的特性、耐熱性、ガスバリア性等)、及び機能性有機化合物によって付与される機能性(例えば、減衰性、耐熱性等)を十分に発揮させることができる。すなわち、層状粘土鉱物及び機能性有機化合物の配合量に見合った機能性が発現されるようになるため、それらの配合量を削減することが可能になるとともに、より優れる機能性を発現する複合材料を提供することも可能になる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 接触工程を省略してもよい。
・ 有機オニウム塩を配合せずに共粉砕工程を行ってもよい。
・ 共粉砕工程における共粉砕は、湿式、乾式のいずれの方式でもよい。すなわち、この共粉砕工程において、機能性有機化合物は、その一部が溶媒に溶解していてもよく、分散媒に分散した状態であってもよい。また一方、この共粉砕工程において、層状粘土鉱物は分散媒に分散した状態であってもよい。しかし、層状粘土鉱物と機能性有機化合物との接触効率を向上することができ、機能性有機化合物を効率的に層間挿入することができることから、共粉砕工程は乾式で行われることが好ましい。さらに、乾式で共粉砕することにより、溶媒や分散媒の除去工程を省略することができる。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ) 前記層状粘土鉱物100質量部に対し、前記機能性有機化合物を0.1〜100質量部配合する請求項7から請求項13のいずれか一項に記載の層間化合物の製造方法。
(ロ) 前記層状粘土鉱物100質量部に対し、前記電子供与体を0.1〜20質量部配合する請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の層間化合物の製造方法。
(ハ) 前記層状粘土鉱物100質量部に対し、前記有機オニウム塩を0.1〜100質量部配合する請求項12又は請求項13に記載の層間化合物の製造方法。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
<1.層間化合物>
表1及び表2に基づいて層間化合物についての実施例及び比較例を説明する。
(実施例1)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を3質量部配合し、ステンレス製ボールミル(S−1A、(株)テラオカ製)にて合成マイカを室温で1時間粉砕した(接触工程)。次いで、機能性有機化合物として2−(2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)を120ミリグラム当量数(meq)/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカ及び2HDBPCBを室温で17時間共粉砕した(共粉砕工程)。接触工程及び共粉砕工程で使用したボールミルは以下のとおりである。
ステンレス製ボールミルポット:直径99mm、高さ93mm
ボール:小(直径9.5mm、質量3.6g)100個
なお、機能性有機化合物における配合量の単位である「ミリグラム当量数(meq)/100g」とは、陽イオン交換容量(Cation−Exchange Capacity,CEC)を示す単位であって、層状粘土鉱物100gに対する2HDBPCBのミリグラム当量数(meq)を示している。すなわち、2HDBPCBは1価の陽イオンであり、2HDBPCB(分子量357.5)の1ミリグラム当量数は、357.5ミリグラムであるため、層状粘土鉱物100gに対する2HDBPCBの配合量は42.9gとなる。
(実施例2)
電子供与体であるTHFの配合量を15質量部とした以外は実施例1と同様にして層間化合物を調製した。
(実施例3)
電子供与体であるTHFの配合量を15質量部とし、共粉砕工程における共粉砕の時間を23時間とした以外は実施例1と同様にして層間化合物を調製した。
(実施例4)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、電子供与体としてメタノール(試薬特級、和光純薬工業(株)製)を3質量部配合し、上記ステンレス製ボールミルにて層状粘土鉱物を室温で1時間粉砕した(接触工程)。次いで、有機オニウム塩として12−アミノラウリン酸塩酸塩を合成マイカ100質量部に対して30meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカと有機オニウム塩とを1時間共粉砕した(第1の共粉砕工程)。続いて、機能性有機化合物として2HDBPCBを120meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカ及び2HDBPCBを室温で17時間共粉砕することにより、層間化合物を調製した(第2の共粉砕工程)。
なお、有機オニウム塩における配合量の単位は、上記機能性有機化合物における配合量の単位と同じである。すなわち、12−アミノラウリン酸イオンは、1価の陽イオンであり、12−アミノラウリン酸塩酸塩(分子量251.8)の1ミリグラム当量数は、251.8ミリグラムであるため、層状粘土鉱物100gに対する12−アミノラウリン酸塩酸塩の配合量は7.55gとなる。
(実施例5)
メタノールの代わりに電子供与体としてジオキサン(試薬特級、和光純薬工業(株)製)を用いた以外は実施例4と同様にして層間化合物を調製した。
(実施例6)
メタノールの代わりに電子供与体としてTHFを用いた以外は実施例4と同様にして層間化合物を調製した。
(実施例7)
2HDBPCBの代わりに機能性有機化合物としてN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)を用いた以外は実施例4と同様にして層間化合物を調製した。なお、DCHBSA(分子量346.6)の1ミリグラム当量数は、346.6ミリグラムであるため、層状粘土鉱物100gに対するDCHBSAの配合量は41.6gとなる。
(実施例8)
2HDBPCBの配合量を240meq/100gとした以外は実施例4と同様にして層間化合物を調製した。
(実施例9)
メタノールの代わりに電子供与体としてジオキサンを用いるとともに、12−アミノラウリン酸塩酸塩の代わりにジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドを用いた以外は実施例4と同様にして層間化合物を調製した。なお、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(分子量585.5)の1ミリグラム当量数は、585.5ミリグラムであるため、層状粘土鉱物100gに対するジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドの配合量は17.6gとなる。
(実施例10)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を3質量部配合し、上記ステンレス製ボールミルにて層状粘土鉱物を室温で1時間粉砕した(接触工程)。次いで、有機オニウム塩としてジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドを合成マイカ100質量部に対して60meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカと有機オニウム塩とを1時間共粉砕した(第1の共粉砕工程)。続いて、機能性有機化合物として2−[2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(2HPMMB)を120meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカ及び2HPMMBを室温で17時間共粉砕することにより、層間化合物を調製した(第2の共粉砕工程)。
(実施例11)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、THFを3質量部配合すると同時に、機能性有機化合物である2HDBPCBを120meq/100g配合した。次いで、合成マイカ、THF及び2HDBPCBの混合物を上記ステンレス製ボールミルにて18時間共粉砕し、層間化合物を調製した。
(実施例12)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、12−アミノラウリン酸塩酸塩30meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて1時間共粉砕した。次いで、機能性有機化合物である2HDBPCBを120meq/100g配合した。合成マイカ及び2HDBPCBの混合物を上記ステンレス製ボールミルにて17時間共粉砕し、層間化合物を調製した。
(実施例13)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド60meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて1時間共粉砕した。次いで、機能性有機化合物である2HPMMBを120meq/100g配合した。合成マイカ及び2HDBPCBの混合物を上記ステンレス製ボールミルにて17時間共粉砕し、層間化合物を調製した。
(層間距離の測定)
実施例1〜13に用いた合成マイカについて、X線回折装置(RINT/1500V、(株)リガク製)を用いて照射したX線が回折される角度を測定し、ブラッグの式に基づいて層間距離を算出した。さらに実施例6の層間化合物について、同様に層間距離を算出した。合成マイカの層間距離は0.95nm、実施例6の層間化合物における層間距離は1.44nmであった。合成マイカに対し、実施例6の層間化合物の層間距離が拡大していることから、層間化合物の層間には2HDBPCBが挿入されていることがわかる。
(層間挿入量の測定)
実施例1〜13の層間化合物について、洗浄液としてTHFを用いて洗浄を行った。まず、層状粘土鉱物100質量部に対してTHF100mlの割合で使用する洗浄を、3回繰り返し、予備洗浄とした。次いで、層間化合物をアスピレータで吸引しながら層状粘土鉱物100質量部に対してTHF100mlの割合で使用する洗浄を、3回繰り返し、本洗浄とした。その後、実施例1〜13の層間化合物を真空乾燥し、層間挿入量測定用の試料とした。
実施例1〜13の層間化合物を熱重量測定装置(SSC5200、セイコーインスツルメンツ(株)製)にて、室温から10℃/分の昇温速度にて600℃まで加熱した際の重量変化を測定し、機能性有機化合物の層間挿入量を算出した。なお、有機オニウム塩を用いて得られた層間化合物については、測定結果から有機オニウム塩の配合量を差し引いた重量変化量を、機能性有機化合物の層間挿入量として算出した。実施例1〜13における層間挿入量の測定結果を表1に併記する。
Figure 2006290723
なお、表1中において、電子供与体の濃度単位を示すphrは層状粘土鉱物100質量部に対する電子供与体の配合量を示し、その他の略号は以下のとおりである。
2HDBPCB:2−(2′−ハイドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
DCHBSA:N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド
2HPMMB:2−[2′−ハイドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール
(※1):12−アミノラウリン酸アンモニウム
(※2):ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド
表1の結果から明らかなように、実施例1〜13の層間挿入量は8meq/100g以上の値を示している。すなわち、これらの実施例から機能性有機化合物を溶媒に溶解しなくても、層状粘土鉱物の層間に対して機能性有機化合物が挿入できることが立証される。その結果、種々の機能性有機化合物を層間挿入することができることがわかる。このことは、実施例6、実施例7及び実施例10において、異なる化学構造を有する機能性有機化合物でも、層間挿入されていることによって示されている。
実施例10では、実施例12よりも層間挿入量の値が高い結果となっている。この結果から、接触工程によって、層間挿入量が増大することがわかる。
実施例6では、実施例1よりも層間挿入量の値が高い結果となっている。この結果から、有機オニウム塩を用いることによって、より効率的に層間挿入することができることがわかる。
(実施例14)
表2に示すように、層状粘土鉱物として合成マイカ(実施例1に記載の合成マイカを43meq/100gに相当する有機オニウム塩にて変性した合成マイカ)を80℃の恒温槽で24時間以上乾燥したものを使用した。この合成マイカに対し、機能性有機化合物として難燃剤であるメラミン(試薬特級、和光純薬工業(株)製、分子量126.12)を80ミリグラム当量数(meq)/100g配合し、ボールミルにて合成マイカ及びメラミンを室温で1時間共粉砕することにより、層間化合物を調製した(共粉砕工程)。なお、メラミンの1ミリグラム当量数は、126.1ミリグラムであるため、層状粘土鉱物100gに対するメラミンの配合量は、10.01gとなる。共粉砕工程で使用したボールミルは以下のとおりである。
ステンレス製ボールミルポット:直径99mm、高さ93mm、(株)テラオカ製
ボール:大(直径19.0mm、質量28.7g)25個、及び小(直径9.5mm、質量3.6g)25個を併用。
(実施例15)
実施例14に記載の乾燥処理を施した合成マイカ100質量部に対し、電子供与体としてγ−ブチロラクトン(試薬、東京化成工業(株)製、分子量86.09)を0.1質量部配合し、ボールミルにて合成マイカを室温で1時間粉砕した(接触工程)。この接触工程で得られた合成マイカに対し、実施例14と同様に難燃剤であるメラミンを配合して共粉砕工程を行い、層間化合物を調製した。なお、接触工程及び共粉砕工程におけるボールミルは、実施例14と同じものを使用した。
(実施例16)
実施例14に記載の乾燥処理を施した合成マイカ100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を0.1質量部配合し、ボールミルにて合成マイカを室温で1時間粉砕した(接触工程)。この接触工程で得られた合成マイカに対し、実施例14に記載の難燃剤であるメラミンを150ミリグラム当量数(meq)/100g配合し、実施例14と同じ条件で共粉砕工程を行い、層間化合物を調製した。なお、接触工程及び共粉砕工程におけるボールミルは、実施例14と同じものを使用した。
(実施例17)
実施例14に記載の乾燥処理を施した合成マイカ100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を0.1質量部配合し、ボールミルにて合成マイカを室温で1時間粉砕した(接触工程)。この接触工程で得られた合成マイカに対し、実施例14に記載の難燃剤であるメラミンを300ミリグラム当量数(meq)/100g配合し、実施例14と同じ条件で共粉砕工程を行い、層間化合物を調製した。なお、接触工程及び共粉砕工程におけるボールミルは、実施例14と同じものを使用した。
(層間挿入量の測定)
実施例14〜17の層間化合物について、洗浄液として80℃のイオン交換水を用いて洗浄を行った。その洗浄は、層間化合物をアスピレータで吸引しながら、層状粘土鉱物1質量部に対してイオン交換水100mlの割合で使用することにより行った。その後、実施例14〜17の層間化合物を真空乾燥し、層間挿入量測定用の試料とした。
実施例14〜17の層間化合物について、上記実施例1〜13と同様にして層間挿入量を算出した結果を表2に併記する。
Figure 2006290723
表2の結果から明らかなように、機能性有機化合物として難燃剤であるメラミンであっても層状粘土鉱物の層間に挿入できることがわかる。
さらに、実施例14の層間挿入量の値に対し、実施例15の層間挿入量の値が高い結果となっている。すなわち、実施例15の層間挿入量の値は、実施例14の層間挿入量の値よりも23%向上している。この結果から、接触工程を行うことによって、層間挿入量が増大することがわかる。
<2.複合材料>
表3、表4及び図1に基づいて複合材料の実施例及び比較例について説明する。
(実施例18)
樹脂材料としてポリアミド12(UBESTA(商品名)−PA12、宇部興産(株)製)65質量部に対し、実施例10で得られた層間化合物を層状粘土鉱物の質量を基準に35質量部配合し、二軸押出機(PCM46/2−30、(株)池貝製)を用いて、加熱温度230℃、スクリュー回転数130回転/分の条件で混練することによって複合材料を調製した。なお、配合した層間化合物における2HPMMBの層間挿入量は、15.0[meq/100g]であるため、複合材料中における2HPMMBの含有量は、2質量%である。
(比較例1)
樹脂材料としてポリアミド12(UBESTA−PA12、宇部興産(株)製)65質量部に対し、層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]を25質量部配合し、二軸押出機(PCM46/2−30(株)池貝製)を用いて、加熱温度230℃、スクリュー回転数130回転/分の条件で混練することによって複合材料を調製した。
(比較例2)
樹脂材料60質量部に対し、2HPMMBを5質量部配合した以外は、比較例1と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、5質量%である。
(比較例3)
樹脂材料55質量部に対し、2HPMMBを10質量部配合した以外は、比較例1と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、10質量%である。
(比較例4)
樹脂材料としてポリアミド12(UBESTA−PA12、宇部興産(株)製)75質量部に対し、層状粘土鉱物として天然マイカ(クラライトマイカMC−60、(株)クラレ製)を25質量部配合し、上記二軸押出機を用いて、加熱温度230℃、スクリュー回転数130回転/分の条件で混練することによって複合材料を調製した。
(比較例5)
樹脂材料70質量部に対し、2HPMMBを5質量部配合した以外は、比較例4と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、5質量%である。
(比較例6)
樹脂材料65質量部に対し、2HPMMBを10質量部配合した以外は、比較例4と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、10質量%である。
(比較例7)
層状粘土鉱物として合成マイカ[ソマシフ(商品名)MAE、コープケミカル(株)製:Na型テトラシリシックフッ素雲母、ジオクタデシルアンモニウムクロリド120meq/100g]100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を3質量部配合し、上記ステンレス製ボールミルにて層状粘土鉱物を室温で1時間粉砕した。樹脂材料としてポリアミド12(UBESTA−PA12、宇部興産(株)製)65質量部に対し、この層状粘土鉱物を25質量部配合し、上記二軸押出機を用いて、加熱温度230℃、スクリュー回転数130回転/分の条件で混練することによって複合材料を調製した。
(比較例8)
樹脂材料60質量部に対し、2HPMMBを5質量部配合した以外は、比較例7と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、5質量%である。
(比較例9)
樹脂材料55質量部に対し、2HPMMBを10質量部配合した以外は、比較例7と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、10質量%である。
(比較例10)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を3質量部配合し、上記ステンレス製ボールミルにて層状粘土鉱物を室温で1時間粉砕した。次いで、有機オニウム塩としてジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドを合成マイカ100質量部に対して60meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカと有機オニウム塩とを1時間共粉砕することによって、電子供与体及び有機オニウム塩によって処理した層状粘土鉱物を得た。樹脂材料としてポリアミド12(UBESTA−PA12、宇部興産(株)製)65質量部に対し、この層状粘土鉱物を25質量部、及び2HPMMBを10質量部配合し、上記二軸押出機を用いて、加熱温度230℃、スクリュー回転数130回転/分の条件で混練することによって複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、10質量%である。
(比較例11)
層状粘土鉱物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対し、電子供与体としてテトラヒドロフラン(THF、試薬一級、和光純薬工業(株)製)を3質量部配合し、上記ステンレス製ボールミルにて層状粘土鉱物を室温で1時間粉砕した。次いで、有機オニウム塩としてジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリドを合成マイカ100質量部に対して30meq/100g配合し、上記ステンレス製ボールミルにて合成マイカと有機オニウム塩とを1時間共粉砕することによって、電子供与体及び有機オニウム塩によって処理した層状粘土鉱物を得た。樹脂材料としてポリアミド12(UBESTA−PA12、宇部興産(株)製)75質量部に対し、この層状粘土鉱物を25質量部配合し、上記二軸押出機を用いて、加熱温度230℃、スクリュー回転数130回転/分の条件で混練することによって複合材料を調製した。
(比較例12)
樹脂材料65質量部に対し、2HPMMBを10質量部配合した以外は、比較例11と同様にして複合材料を調製した。なお、複合材料中における2HPMMBの含有量は、10質量%である。
(損失係数の測定)
基板として鋼板(155×15×1mm)に各例の複合材料(厚さ1mm)を両面テープで貼り合わせることにより、試験片を作製した。中央加振法損失係数測定装置(CF5200タイプ、小野測器(株)製)を用いて、加振の周波数150Hz、測定温度範囲0℃〜50℃、昇温速度5℃/minの条件にて、各試験片の損失係数(η)を測定した。各例における損失係数のピーク値を表3に併記する。また、各例の複合材料における機能性有機化合物の含有量[質量%]と損失係数との関係を図1に示す。
Figure 2006290723
表3及び図1の結果から明らかなように、実施例18の損失係数は、比較例2、5、8の損失係数よりも高い値を示している。すなわち、実施例18では、比較例2、5、8よりも機能性有機化合物の含有量が少ないにもかかわらず、損失係数が高い値を示していることから、樹脂材料中における層状粘土鉱物及び機能性有機化合物の分散性が改善され、それらの機能性が十分に発揮されることがわかる。
詳述すると、各比較例では、機能性有機化合物の含有量の増加に伴って、損失係数が向上する傾向にある。しかしながら、実施例18の損失係数は、比較例9の損失係数とほぼ同等の値を示している。この実施例18では、機能性有機化合物を2質量%含有しているのに対し、比較例9では機能性有機化合物を10質量%含有している。すなわち、この実施例18では、比較例9における1/5の量に相当する機能性有機化合物を含有するのみで、比較例9と同等の機能性が発現されることがわかる。
(実施例19)
樹脂材料としてポリアミド6(1011FB、宇部興産(株)製)92質量部に対し、実施例16で得られた層間化合物3質量部、さらにメラミンの助剤としてメラミンシアヌレート5質量部を配合し、二軸押出機(TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて樹脂温度260℃、スクリュー回転数50回転/分の条件で混練することによって難燃性複合材料を調製した。この難燃性複合材料に含まれるメラミンの含有量は0.5質量%であるとともに層状粘土鉱物の含有量は2.5質量%である。
(実施例20)
樹脂材料としてポリアミド6(1011FB、宇部興産(株)製)97質量部に対し、実施例17で得られた層間化合物3質量部を配合し、二軸押出機(TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて樹脂温度260℃、スクリュー回転数50回転/分の条件で混練することによって難燃性複合材料を調製した。この難燃性複合材料に含まれるメラミンの含有量は1.0質量%であるとともに層状粘土鉱物の含有量は2.0質量%である。
(比較例13)
ポリアミド6(1011FB、宇部興産(株)製)単体を比較例13とした。
(比較例14)
メラミン系難燃剤含有ポリアミド6(市販品、A社製)を比較例14とした。
(比較例15)
メラミン系難燃剤含有ポリアミド6(市販品、B社製)を比較例15とした。
(物性の測定)
実施例19及び実施例20の難燃性複合材料、及び比較例13〜15の難燃性材料について、以下の物性を測定した。各物性の測定結果を表4に示す。
難燃性について、米国アンダー・ライターズ・ラボラトリーズ・インク(Under Writers Laboratories Inc)によって制定された規格であるUL94に準拠した垂直燃焼試験を行った。
引張強度及び引張弾性率を、JIS K 7113−1995に準拠して測定した。
曲げ強さ及び曲げ弾性率を、JIS K 7171−1994に準拠して測定した。
耐衝撃性について、ノッチ付きの試験片(厚み1/32インチ)を作製するとともにJIS K 7110−1999に準拠してアイゾット衝撃試験を行った。
熱変形温度(曲げ応力0.45MPa)を、JIS K 7191−1996に準拠して測定した。
比重を、JIS K 7112−1999に準拠して測定した。
Figure 2006290723
表4の結果から明らかなように、実施例19及び20では、難燃性の規格であるUL94のV−0を達成する難燃性が付与されている。さらに、実施例19及び20では、機械的特性について実施例13よりも優れていることから、層間化合物を配合した複合材料では、機械的特性が向上されることがわかる。加えて、実施例19及び20の難燃性複合材料は、比較例14及び15の難燃性材料と、機械的特性及び比重についても同等又は優れることから、各種分野において利用価値の高い機能材料であることがわかる。
複合材料における機能性有機化合物の含有量と損失係数との関係を示すグラフ。

Claims (14)

  1. 層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在する層間化合物であって、
    前記層状粘土鉱物と、前記機能性有機化合物とを共粉砕して得られることを特徴とする層間化合物。
  2. 前記機能性有機化合物は、樹脂材料に減衰性を付与する減衰性付与剤であることを特徴とする請求項1に記載の層間化合物。
  3. 前記減衰性付与剤は、ベンゾトリアゾール基を有する化合物、ベンゾチアジル基を有する化合物及びジフェニルアクリレート基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の層間化合物。
  4. 前記機能性有機化合物は、樹脂材料に難燃性を付与する難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載の層間化合物。
  5. 前記層状粘土鉱物は、膨潤性雲母、スメクタイト族粘土鉱物、及びバーミキュライト族粘土鉱物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の層間化合物。
  6. 樹脂材料に配合されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の層間化合物。
  7. 層状粘土鉱物の層間に機能性有機化合物が介在する層間化合物の製造方法において、
    前記層状粘土鉱物と前記機能性有機化合物とを共粉砕する共粉砕工程を含むことを特徴とする層間化合物の製造方法。
  8. 前記共粉砕工程は、前記層状粘土鉱物と同層状粘土鉱物に電子を供与する電子供与体とを接触する接触工程の後に行われる工程であることを特徴とする請求項7に記載の層間化合物の製造方法。
  9. 前記接触工程は、前記電子供与体を前記層状粘土鉱物に接触させつつ前記層状粘土鉱物を粉砕する工程であることを特徴とする請求項8に記載の層間化合物の製造方法。
  10. 前記電子供与体として少なくともテトラヒドロフランを用いることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の層間化合物の製造方法。
  11. 前記電子供与体として少なくともブチロラクトンを用いることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の層間化合物の製造方法。
  12. 前記共粉砕工程では、有機オニウム塩の存在下で前記層状粘土鉱物及び前記機能性有機化合物を共粉砕することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の層間化合物の製造方法。
  13. 前記共粉砕工程は、前記層状粘土鉱物と有機オニウム塩とを共粉砕する第1の共粉砕工程と、同第1の共粉砕工程で得られた混合物と前記機能性有機化合物とを共粉砕する第2の共粉砕工程と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の層間化合物の製造方法。
  14. 樹脂材料と、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の層間化合物とを含有してなることを特徴とする複合材料。
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