JP2006288939A - 差動送りミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操作パネル上に表示切替手段としての位置切替表示ボタン36を設け、表示画面17a上で円周に沿って表示される複数の縫製区間F1〜F8のうち、選択された縫製区間を円周の頂上部に切り替えて表示することができるようにした。これにより、袖山となる縫製区間が表示画面17a上で円周の頂上部となるように表示することができ、表示画面17aを確認しながら実際の縫製を行う差動送りミシン1のオペレータが表示画面17aで認識する縫製のイメージと実際の縫製イメージとの比較認識を容易とすることができ、袖山位置の誤認識による縫製ミスを防ぐとともに、作業の効率化を図ることができるようになった。
【選択図】図11
Description
また、いせ込みは、一連の縫製部の全体で均一に施すとは限らず、例えば、紳士用スーツの袖つけの場合には、袖山部分となるほどいせ込み量を多くし、逆に袖下部分となるほどいせ込み量を少なくして縫製を行うと共に、仕上がり具合の要求から、一般に袖山部分はいせ込み量を「0」とし、いせ込みを施さずに縫製が行われる。なお、「いせ込み量」とは、一針(一縫い目、1ピッチ)あたりの上布と下布の送り量の差を示すものである。
かかる差動送りミシンは、上述した各縫製区間毎の縫製条件を画面上に図形表示する表示手段を備えている。そして、差動送りミシンのオペレータは、表示手段の画面上に表示される各縫製区間毎の縫製条件等を確認しながら実際の縫製を行うものである。
また、差動送りミシンのオペレータは、実際に行われる縫製動作において施すべき縫製パターンを、表示手段の画面上に表示される縫製パターンを確認することで視覚的に容易に認識することができる。これにより、袖山の位置が表示手段の画面上において円周の頂上部に表示されないことで生じるオペレータの誤認識を防止することができ、実際の縫製動作における縫製ミスを未然に防止することができる。また、縫製パターンの認識が容易となり、作業効率を向上させることができる。
さらに、請求項2及び請求項3に記載の発明によれば、選択された縫製区間が表示されている位置から切替えて表示する位置までの回転移動量が少ない回転方向を選択するため、仮に縫製区間の回転移動表示を行う場合には、表示切替を迅速に行うことが可能となる。
差動送りミシン1は、ミシンベッド2、ミシン立胴部3、ミシンアーム4、上送り装置5、下送り装置6、ミシン針7等を備えて構成されている。
即ち、上送りモータ11の駆動により所定速度で上送りベルト5aが搬送され、上送りベルト5aを支持するアームの下端部はミシン針7に同期して上下動を行い、一針ごとにベルト搬送速度に応じた送り量で間欠的に布送りを行うようになっている。
差動送りミシン1は、図4に示すように、制御部10、上送りモータ11とその駆動回路11a、下送りモータ12とその駆動回路12a、糸張力ソレノイド13とその駆動回路13a、ミシンモータ14とその駆動回路14a、ミシン起動ペダル15とその入力回路15a、切替スイッチ16とその入力回路16a、操作パネル17、等を備えている。
そして、縫製データの各縫製区間は縫製を行う順番が決められており、各縫製区間の順番に従ってそれぞれの縫製区間に設定されたいせ込み量となるように切り替えられながら縫製が行われる。
また、各縫製区間に設定された縫製長さは、自動切り替えモードでの縫製時に参照され、各縫製区間で設定された縫製長さの縫製が行われると、順次次の縫製区間に切り替えが行われるようになっている。
また、下送りモータ12は、MPU10aの制御の下で駆動回路12aを介して回転駆動され、この下送りモータ12の回転駆動により、下布を送る下送りローラ6a(図2参照)が駆動される。そして、駆動された上送りベルト5a及び下送りローラ6aにより、上布及び下布が各々所定の送り量(ピッチ)で送られ、縫製が行なわれる。
即ち、MPU10aの制御により、下送りモータ12は、縫製データに設定された送りピッチに対応する速度で回転駆動され、上送りモータ11は、下送りモータ12の送りピッチからいせ込み量を減じたピッチに対応する速度で回転駆動が行われる。
切替スイッチ16は、前述した手動切り替えモードで縫製を行う際に、作業者が縫製区間の切替えを行うためのスイッチである。
そして、本実施形態におけるMPU10aは、ROM10bに記憶された所定のプログラムに従って、表示手段による縫製パターンの円周表示において、上述した選択手段としての操作パネル17により選択された任意の縫製区間が円周の頂上部となるように回転移動させた表示状態に切り替える制御を行う。つまり、MPU10aは、本発明における表示切替手段として機能する。
通常、ミシンの作業者は、縫製区間選択ボタン31、32を操作して、袖山となる縫製区間の選択を入力する。
図7に示す切替確認画面の画面上には、決定ボタン37が表示されている。また、この切替確認画面においては、図6で選択された第4縫製区間F4が、他の縫製区間と識別できるように濃いグレーで表示される。そして、作業者によって決定ボタン37が押下されると、選択された第4縫製区間F4、つまり、本実施形態における袖山部分が頂上部に表示切り替えされた後の詳細設定画面が表示される(図8参照)。
そして、縫製区間切替後の詳細設定画面の右上には閉じるボタン39が表示されており、作業者によってこの閉じるボタン39が押下されると、図9に示すように、選択縫製区間が頂上部に配置された切替後の編集画面が表示されるようになっている。
なお、上記選択縫製区間が表示画面17aにおいて頂上部となるように配置され、切替表示された画面は、制御部10のEEPROM10dに記憶され、格納される。従って、ここで書き換えられたデータ、即ち、選択された縫製区間を表示画面17a上における頂上部に表示させるためのデータは、上記EEPROM10dに一括書き込みされることにより、更新された制御データとして記憶される。また、当該選択縫製区間切替表示設定後に差動送りミシン1の電源を投入すると、当該設定時のデータに基づいて各縫製区間が表示画面17aに配置され、表示される。
また、再度、所望の縫製区間を選択して位置切替表示を行った際には、当該新たに選択された縫製区間が頂上部となるように配置を切替えて表示する制御データがEEPROM10d内に上書きされ、記憶されるようになっている。
なお、本実施形態においては、上記初期状態における編集画面中で、スタート位置すなわち縫製開始位置が、略円形に模した表示図形における最下点位置に設定されると共に、当該最下点位置から反時計回りに第1縫製区間F1、第2縫製区間F2、・・・第8縫製区間F8の順に配置されている。
次いで、作業員によるパネルスイッチ17b上での縫製区間選択ボタン31,32の操作に基づき、袖山とすべき任意の縫製区間が選択され、る(ステップS4)。本実施形態では、いせ込み量「0」即ち、いせ込みを施さない袖山部分を頂上部に表示するために、第4縫製区間F4を選択するものとする。なお、選択された第4縫製区間F4は、他の縫製区間と区別するために表示画面17a上の表示色が反転した状態で表示される。
そして、選択縫製区間(袖山部分)が頂上部に配置された詳細設定画面において、閉じるボタン39が押下されると(ステップS9;Yes)、図9に示すように、選択された縫製区間が頂上部に配置された切替後の編集画面が表示され(ステップS10)、位置切替表示処理が終了する。
なお、本実施形態においては、各縫製区間の縫製長さが、例えば、第1縫製区間F1(50.0mm)、第2縫製区間F2(100.0mm)、第3縫製区間F3(80.0mm)、第4縫製区間F4(20.0mm)、第5縫製区間F5(50.0mm)、第6縫製区間F6(100.0mm)、第7縫製区間F7(100.0mm)、第8縫製区間F8(60.0mm)と設定されているものとする。
次に、ステップS81で算出した各縫製区間の合計長さ(L1)を2で除した値(L2とする)がRAM10cに記憶される(ステップS82)。すなわち、560.0mm÷2=280.0mmという値がL2としてRAM10cに記憶される。
次に、表示画面17aにおいて略円形に模して表示されると共に、その円周に沿って各縫製区間が配置された表示図形のうち、上述した初期状態においてスタート位置とされた最下点位置を原点とし、ここから袖山指定された縫製区間(本実施形態では第4縫製区間F4)の直前の縫製区間(第3縫製区間F3)までの合計長さ(L3とする。)が算出される(ステップS83)。つまり、第1縫製区間F1〜第3縫製区間F3までの縫製長さの合計は、(50.0mm)+(100.0mm)+(80.0mm)=230.0mmとなる。
また、このステップS83で算出された値(L3=230.0mm)に、袖山指定された縫製区間、つまり本実施形態では第4縫製区間F4の長さを2で除した値を加算した値(L5とする。)を算出する(ステップS84)。つまり、(230.0mm)+(20.0mm÷2)=240.0mmがL5となる。
そして、L2>L5の場合(ステップS85;No)、L2−L5で算出された長さ分、即ち、本実施形態においては(280.0mm)−(240.0mm)=40.0mm分だけ反時計回り方向に回転させる表示を行うように表示画面17aに対して制御が行われる(ステップS86)。その結果、図8に示す袖山位置切替表示後の詳細設定画面が表示され、選択縫製区間の頂上部切替表示処理が終了する。
また、各縫製区間の縫製長さが上記具体例と異なる数値に設定されていたり、或いは、袖山指定する縫製区間が、例えば、図6における第6縫製区間F6の場合などである場合のように、L2<L5となった場合(ステップS85;Yes)には、L5−L2で算出される長さ分、時計回り方向に回転させた図を表示画面17aに表示する制御が行われる(ステップS87)。その結果、図8に示す袖山位置切替表示後の詳細設定画面が表示され、選択縫製区間の頂上部切替表示処理は終了する。
また、差動送りミシン1のオペレータは、実際に行われる縫製動作において施すべき縫製パターンを、表示画面17a上に表示される縫製パターンを確認することで視覚的に容易に認識することができる。これにより、袖山の位置が表示画面17a上において円周の頂上部に表示されないことで生じるオペレータの誤認識を防止することができ、実際の縫製動作における縫製ミスを未然に防止することができる。また、縫製パターンの認識を容易とすることで、作業効率を向上させることができる。
なお、「選択縫製区間の頂上部切替表示処理」は、各縫製区間の縫製長さを基準とした演算により算出することとしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、縫製データ中に、表示画面17a上に表示される各縫製区間の円の中心に対する中心角度が縫製区間ごとに記憶されている場合には、各中心角度の値を基準として演算処理を行い、選択した縫製区間を頂上部に表示するようにしてもよい。すなわち、「選択縫製区間の頂上部切替表示処理」は、表示画面17a上に表される環状の表示図形の中心に対する各縫製区間毎の円周角度データに基づき演算処理を行うことで、選択手段によって選択された縫製区間を前記円周の頂上部に移動表示する制御を行うことも可能である。これにより、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは言うまでもない。
2 ミシンベッド
3 ミシン立胴部
4 ミシンアーム
5 上送り機構
5a 上送りベルト
6 下送り装置
7 ミシン針
10a MPU(縫製区間切替制御手段、表示制御手段、選択手段、表示切替え手段)
10b ROM
10c RAM
10d EEPROM(記憶手段)
11 上送りモータ
11a 駆動回路
12 下送りモータ
12a 駆動機構
13 糸張力ソレノイド
13a 駆動回路
14 ミシンモータ
15 ミシン起動ペダル
15a 入力回路
16 切替スイッチ
16a 入力回路
17 操作パネル
17a 表示画面(表示手段)
17b パネルスイッチ(入力手段)
21 いせ込み量設定ボタン
22 詳細設定ボタン
31、32 縫製区間選択ボタン
36 位置切替表示ボタン
39 閉じるボタン
F1〜F8 縫製区間(ステップ)
Claims (3)
- 順番が決められた複数の縫製区間毎に設定された、いせ込み量に関するいせ込み量データ及びその縫製区間の縫製長さに関する縫製長さデータを含む縫製パターンデータを記憶する記憶手段と、
いせ込み縫いの動作を行う縫製手段と、
前記縫製手段に、前記記憶手段に記憶された縫製パターンデータに基づいて、各縫製区間毎に設定されたいせ込み量で、前記各縫製区間毎に設定された縫製長さの縫製を順番に実行させる縫製区間切替制御手段と、
前記縫製パターンデータの各縫製区間を、縫製を行う順番で円周に沿って配置表示すると共に、周方向について各縫製区間を各縫製長さに比例した範囲で表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記複数の縫製区間から一つの縫製区間を選択する選択手段と、
を備え、
前記表示手段による前記縫製パターンの円周表示について、前記選択手段により選択された縫製区間が前記円周の頂上部となるように回転移動させた表示状態に切り替える表示切替手段を備えることを特徴とする差動送りミシン。 - 前記表示切替手段は、
前記各縫製区間における前記縫製長さデータに基づく演算処理を行うことで、前記選択手段によって選択された縫製区間の前記頂上部までの回転移動量を算出し、これに基づいて正回転と逆回転の回転移動量が少ない回転方向で表示切替を行うことを特徴とする請求項1に記載の差動送りミシン。 - 前記縫製パターンデータは、各縫製区間の円周表示角度データを含み、
前記表示切替手段は、
前記環状の図の中心に対する前記各縫製区間毎の円周角度データに基づき演算処理を行うことで、前記選択手段によって選択された縫製区間の前記頂上部までの回転移動量を算出し、これに基づいて正回転と逆回転の回転移動量が少ない回転方向で表示切替を行うことを特徴とする請求項1に記載の差動送りミシン。
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