JP4004914B2 - 差動送りミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、差動送りミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、袖つけ等を行う際にいせ込み(縮緬込み)を施しながら縫製を行う差動送りミシンが知られている。
なお、「いせ込みを施す」とは、例えば、洋服の袖の肩口等、立体形状の部分を縫い付ける際に、2枚重ねで縫う生地のうち外側となる生地(上布、袖側の生地)の送り量を、内側となる生地(下布、身頃側の生地)の送り量より多くすることで、外側の生地に余裕を持たせることである。図10は、下布の送り量2.0mmに対し、上布の送り量を2.2mmとし、上布が下布に対していせ込み長0.2mmのいせ込みが施された状態を示している。このようないせ込みによって、洋服の袖の肩口等に所定の立体形状が施される。いせ込みは、一連の縫製部の全体で均一に施すとは限らず、例えば、袖つけの場合には、袖山部分となるほどいせ込み量を多くし、逆に袖下部分となるほどいせ込み量を少なくして縫製することが一般的である。
なお、「いせ込み量」とは、一針(一縫目、1ピッチ)あたりの上布と下布の送り量の差を示すものであり、
【0003】
このような袖つけを行う差動送りミシンとしては、袖の肩口周り1周を、例えば、袖山部分、袖下部分等の複数の縫製区間(ステップ)に区分し、各ステップ毎に種々の縫製条件(送りピッチ(送り量、縫いピッチ)、針数(縫目数)、いせ込み量、縫製進度・速度、糸調子等)を設定し、一つの縫製パターンとしての設定が行われるものが知られている。例えば、全縫製区間における送りピッチとしての下布の下送り量と、各ステップ毎の上布の上送り量とが設定され、上送り量と下送り量の差として各ステップのいせ込み量が設定されるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−236088号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の場合、送りピッチとしての下送り量と、いせ込み量の基準となる上送り量とは、独立したデータであるため、送りピッチとしての下送り量を変更しても、いせ込み量は変更されないという問題があった。
【0006】
具体的には、様々な生地に対して縫製を行う際に、その生地毎に異なる生地物性(厚み、風合い、伸縮性等)に応じて、縫い上がり等を考慮し、送りピッチを変更する場合がある。
上述の従来技術では、送りピッチとしての下送り量を大きく(長く)した場合、袖つけを行う洋服の身頃側の生地(下布)の縫い長さは一定であるので、全体の針数が減ることになる。よって、一針あたりのいせ込み量が変わらずに針数が減るので、全体のいせ込み量が減ることになる。従って、当初の全体のいせ込み量に基づいている袖側の生地(上布)の縫い代が余ってしまうという縫製トラブルが生じる。また、送りピッチとしての下送り量を小さく(短く)した場合、袖つけを行う洋服の身頃側の生地(下布)の縫い長さは一定であるので、全体の針数が増えることになる。よって、一針あたりのいせ込み量が変わらずに針数が増えるので、全体のいせ込み量が増えることになる。従って、当初の全体のいせ込み量に基づいている袖側の生地(上布)の縫い代が足りなくなってしまうという縫製トラブルが生じる。
以上のような縫製トラブルを避けるため、上述の従来技術では、送りピッチとしての下送り量を変更する場合、各ステップ毎の上送り量を変更し、各ステップのいせ込み量の設定変更を行わなければならず、煩雑であった。
【0007】
本発明は、差動ミシンにおいて、好適に送りピッチ量といせ込み量とを調整し、良好な縫製を行うことを、目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、下布を送る下送り機構部(12,120)と、下送り機構部と連動して上布を送る上送り機構部(11,110)と、所定の縫いピッチ量及びいせ込み量の設定値を記憶する記憶手段(10d)と、記憶手段に記憶された縫いピッチ量に基づく送り量で下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御する下送り制御部(10)と、記憶手段に記憶された縫いピッチ量といせ込み量を加算した量に基づく送り量で上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御する上送り制御部(10)とを備え、下布と上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行う差動送りミシン(1)において、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の新たな設定値を入力する設定値入力手段(16)と、記憶手段に記憶されている所定の設定値と設定値入力手段により入力された設定値との変更率を算出する算出手段(10)と、算出手段により算出された変更率に基づき他方の設定値を補正する第1の補正手段(10)とを備え、下送り制御部及び上送り制御部は、設定値入力手段により新たに入力された設定値と第1の補正手段により補正された他方の設定値に基づいて、下送り機構部及び上送り機構部とを制御することを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、差動送りミシンにおいて、下布は下送り機構部により縫いピッチ量に基づく送り量で送られるとともに、上布は上送り機構部により縫いピッチ量といせ込み量とを加算した量に基づく送り量で送られ、下布と上布の送り量に差を設けて縫製される。
そして、設定値入力手段により縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の新たな設定値が入力されると、記憶手段に記憶されている所定の設定値と、設定値入力手段により入力された新たな設定値との変更率が算出手段により算出される。さらに、算出手段により算出された変更率に基づき、設定値が変更されていない他方の設定値が第1の補正手段により補正され、設定値の変更が行われる。
【0010】
所定のいせ込みを施すように設定されている縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方のみの設定変更を行うと、上布と下布との送り量のバランスが崩れてしまい、縫い代に過不足が生じることがある。そのため、一方の設定変更に合わせた他方の設定変更を行う必要がある。
本発明においては、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の新たな設定値が入力されたことに伴い、その入力された設定値と元の設定値との変更率に基づき、他方の設定値の補正が行われることにより、容易に上布と下布との送り量のバランスをとった、新たな縫いピッチ量といせ込み量の設定を行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の差動送りミシンと同様の構成を備えるとともに、第1の補正手段を実行するか否かの設定を行う設定切替入力手段(16)と、設定切替入力手段により設定された設定に基づき、第1の補正手段の実行の有無を切り替える補正実行切替手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の作用を奏するとともに、第1の補正手段を実行するという設定が設定切替入力手段により入力されると、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の設定値の変更が入力された場合に、前述と同様に他方の設定値が第1の補正手段により変更される。また、第1の補正手段は実行しないという設定が設定切替入力手段により入力されると、例えば、一方の設定値の変更が行われてもそれに伴って他方の設定値の変更は行われない。この第1の補正手段の実行を実行するか否かが補正実行切替手段により切り替えられる。
【0013】
つまり、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の新たな設定値が入力されたことに伴い、その入力された設定値と元の設定値との変更率に基づき、他方の設定値の補正を連動して行うことと、一方の変更に伴う他方の補正変更を行わないことが切り替えられる。
本発明においては、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の設定値変更に伴う変更率に基づき、他方の設定値変更を連動して行うこととは勿論、一方の変更率による一律な補正変更を望まない場合には、一方の変更に伴う他方の補正変更を行わず、所望する変更率等による設定変更を行うことができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、下布を送る下送り機構部(12,120)と、下送り機構部と連動して上布を送る上送り機構部(11,110)と、所定の縫いピッチ量及びいせ込み量の設定値を記憶する記憶手段(10d)と、記憶手段に記憶された縫いピッチ量に基づく送り量で下布を繰り返し送るように下送り機構部を制御する下送り制御部(10)と、記憶手段に記憶された縫いピッチ量といせ込み量を加算した量に基づく送り量で上布を繰り返し送るように上送り機構部を制御する上送り制御部(10)とを備え、下布と上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行う差動送りミシン(1)において、縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値の変更率を入力する変更率入力手段(16)と、変更率入力手段に入力された変更率に基づき縫いピッチ量及びいせ込み量の双方の設定値を補正する第2の補正手段(10)とを備え、下送り制御部及び上送り制御部は、第2の補正手段により補正された設定値に基づいて、下送り機構部及び上送り機構部とを制御することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、差動送りミシンにおいて、下布は下送り機構部により縫いピッチ量に基づく送り量で送られるとともに、上布は上送り機構部により縫いピッチ量といせ込み量とを加算した量に基づく送り量で送られ、下布と上布の送り量に差を設けて縫製される。
そして、変更率入力手段により縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率が入力されると、その入力された変更率に基づき、縫いピッチ量及びいせ込み量の双方の設定値が第2の補正手段により補正され、設定値の変更が行われる。
【0016】
所定のいせ込みを施すように設定されている縫いピッチ量といせ込み量とが、それぞれ異なる変更率で設定変更が行われると、上布と下布との送り量のバランスが崩れてしまう。
本発明においては、縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率が入力されたことに伴い、その入力された変更率に基づき、縫いピッチ量及びいせ込み量の双方の設定値の補正変更が行われることにより、容易に上布と下布との送り量のバランスをとった、新たな縫いピッチ量といせ込み量の設定を行うことができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の差動送りミシンと同様の構成を備えるとともに、いせ込み量の設定値は、所定の縫製領域が複数に分割された区間(例えば、区間図形31〜37、縫製領域S1〜S7)毎に割り当てられて、記憶手段に記憶されていることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、所定の縫製領域は複数に分割されているとともに、その複数に分割された区間毎にいせ込み量の設定値が割り当てられている。
つまり、所定の縫製領域を縫製する際、複数に分割された区間毎に設定されているいせ込み量に基づき縫製を行うことができる。例えば、洋服の身頃生地と袖生地とを縫い合わせ、立体的な肩口を形成するような袖つけミシンにおいても、容易に袖生地(上布)と身頃生地(下布)との送り量のバランスをとるように、縫いピッチ量やいせ込み量の設定変更を行うことができる。
【0019】
なお、縫いピッチ量の変更があると、第1の補正手段により各いせ込み量は、その変更率で全て変更される。また、逆にいせ込み量に変更がある場合、変更を行う区間のいせ込み量の変更率に応じて全ての区間のいせ込み量が変更されるとともに、縫いピッチ量のその変更率に基づき変更がされるようにしてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1から図9に基づいて説明する。本実施形態たる差動送りミシン1は、下布としての身頃生地に対し、上布としての袖生地をいせ込んで縫いつけるための縫製装置である。
かかる差動送りミシン1は、図1、図2に示すように、所定の送り量で上布を送る上送り機構部と、所定の送り量で下布を送る下送り機構部と、所定の送り量でそれぞれ送られる上布と下布とを縫製する運針機構部等を有している。
【0021】
上送り機構部は、後述する上送りモータ11と、その上送りモータ11の回転運動が図示しないプーリ等を介し伝達され、駆動される上送りベルト110等により構成されている。そして、上送りベルト110の駆動に従い、図2における矢印Aの方向に上布が送られる。
下送り機構部は、後述する下送りモータ12と、その下送りモータ12の回転運動が図示しないプーリ等を介し伝達され、駆動される下送りベルト120等により構成されている。そして、下送りベルト120の駆動に従い、図2における矢印Aの方向に下布が送られる。
運針機構部は、後述するミシンモータ13と、そのミシンモータ13の回転駆動に従い上下動する針棒130と、針棒130に着脱自在に備えられたミシン針131等により構成されている。そして、ミシン針131等を介し供給されるミシン糸(図示省略)により、上布と下布を縫い合わせる。
【0022】
また、かかる差動送りミシン1は、図3に示すように、上送りベルト110を駆動する上送りモータ11とその上送りモータ11に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路11aと、下送りベルト120を駆動する下送りモータ12とその下送りモータ12に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路12aと、針棒130を駆動するミシンモータ13とそのミシンモータ13に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路13aと、図示しないミシン糸に張力を与える糸張力ソレノイド14とその糸張力ソレノイド14に後述する制御部10からの駆動制御信号を送る駆動回路14aと、差動送りミシン1を操作する起動ペダル15とその起動ペダル15が操作されたことに基づく駆動入力信号を後述する制御部10に送る入力回路15aと、各種設定スイッチ等を表示する表示装置16aとタッチ指示された各種設定スイッチの座標に基づき位置信号を検出するタッチパネル16bにより構成される操作パネル16と、上記各構成の動作・処理制御を行う制御部10とを備えている。
【0023】
上送りモータ11は、起動ペダル15の操作に基づいて、後述する制御部10(MPU10a)から駆動回路11aを介して送られる駆動制御信号に基づき駆動制御される。そして、上送りモータ11は、その駆動制御に基づき上布を送る上送りベルト110を駆動する。また、下送りモータ12は、起動ペダル15の操作に基づいて、後述する制御部10(MPU10a)から駆動回路12aを介して送られる駆動制御信号に基づき駆動制御される。そして、下送りモータ12は、その駆動制御に基づき下布を送る下送りベルト120を駆動する。
このように、上送りベルト110及び下送りベルト120により、上布及び下布がそれぞれの所定の送り量で送られ、縫製が行われる。ここで、上布の送り量を下布の送り量よりも多くして縫製することで、上布をいせ込ませることができる。つまり、上下の布地の送り量の差を変化させることによりいせ込み量を調節することができ、上布の送り量を下布の送り量より多くすればするほどいせ込み量を多くすることができる。
また、下送り量の変更により、縫いピッチ量を変更することも可能である。
【0024】
ミシンモータ13は、起動ペダル15の操作に基づいて、後述する制御部10(MPU10a)から駆動回路13aを介して送られる駆動制御信号に基づき、図示しないミシン主軸を回転させる。このミシン主軸は、回転運動を往復運動に変換する変換機構を介して針棒130と連結されている。そして、ミシンモータ13によりミシン主軸が回転されると、針棒130に伴い針棒130の先端に備えられたミシン針131が往復移動して被縫製物(上布及び下布)を縫製する運針駆動する。
【0025】
糸張力ソレノイド14は、糸を挟みこんで糸に張力を付与する図示しない糸狭持部の駆動源であり、後述する制御部10(MPU10a)から駆動回路14aを介して送られる駆動制御信号に基づき動作することにより、その糸狭持部に狭持された糸に所定の大きさの張力を加える。
【0026】
起動ペダル15は、作業者が差動送りミシン1を操作するための操作スイッチである。起動ペダル15は、起動ペダル15が操作された動きを電気信号に変換する入力回路15aを介し、作業者のペダルの踏み込み操作に応じた、起動、駆動速度、停止等の指令を駆動入力信号として後述する制御部10(MPU10a)に出力し、差動送りミシン1を駆動させる。
【0027】
操作パネル16は、LCDなどの表示装置16aと、表示装置16aの表面に設けられたタッチパネル16bとを備えている。
表示装置16aは、後述する制御部10(MPU10a)から出力される種々の縫製情報(例えば、縫いピッチ量、縫製区間毎に設定されるいせ込み量、縫製区間を図形で示す区間図形(表示図形)、縫製形状、縫製位置等)や各種設定スイッチを表示する。タッチパネル16bは、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として後述する制御部10(MPU10a)に出力する。
【0028】
すなわち操作パネル16は、操作パネル16における、表示装置16aに表示された各種設定スイッチの位置情報と、タッチパネル16bにおいてタッチ指示により検出された座標の位置情報とを対応させることにより入力された入力指示を、後述する制御部10(MPU10a)に出力する。
例えば、操作パネル16において、設定値入力手段としての後述する増減キー50を介し、縫いピッチ量又はいせ込み量の新たな設定値の入力が行われる。
また、操作パネル16において、設定切替入力手段としての後述する変更連動キー60を介し、後述する第1の補正手段としての制御に基づく補正(例えば、縫いピッチ量の設定値の変更率に基づくいせ込み量の設定値の補正や、いせ込み量の設定値の変更率に基づく縫いピッチ量の設定値の補正)を実行するか否かの設定切替の入力が行われる。
このような、操作パネル16を介して入力される各種入力データ、入力指示を後述する制御部10(MPU10a)に出力する。
【0029】
制御部10は、MPU(Micro Processor Unit)10aと、ROM(Read Only Memory)10bと、RAM(Random Access Memory)10cと、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)10dと、を備えている。
【0030】
MPU10aは、起動ペダル15、操作パネル16から入力される各データに応じて、ROM10bに格納されている差動送りミシン用の各種制御プログラムに従って各部の動作を集中制御し、その処理結果をRAM10c内のワークエリアに格納するとともに、表示データを生成して、表示装置16aに表示させる。そして、RAM10cに格納した処理結果を記憶手段としてのEEPROM10dに記憶させる。このように、MPU10aは、差動送りミシン1を構成する各種アクチュエータの駆動を制御する機能と共に、表示装置16aの表示内容を変更する本発明の表示制御手段としての機能も備える。
【0031】
ROM10bには、差動送りミシン1の制御プログラムや制御データ、または各種縫製データが書き込まれている。
RAM10cには、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、縫製動作中のワークエリアとして使用され、いせ込み量設定処理、いせ込み縫製処理に関する各種データもRAM10cに記憶される。
EEPROM10dには、縫製区間(ステップ)毎に設定される各種縫製条件の設定値(例えば、縫製区間長さ、いせ込み量、糸張力、針数等)や、各縫製区間(ステップ)に共通して設定される各種縫製条件の設定値(例えば、縫いピッチ量等)を記憶する。
【0032】
そして、制御部10は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量に基づき、その縫いピッチ量を送り量として下布が下送りベルト120により送られるように、下送りモータ12の駆動を行う下送り制御部としての制御を行う。
また、制御部10は、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量といせ込み量に基づき、その縫いピッチ量といせ込み量を加算した量を送り量として上布が上送りベルト110により送られるように、上送りモータ11の駆動を行う上送り制御部としての制御を行う。
【0033】
また、制御部10は、操作パネル16を介して入力された縫いピッチ量(又はいせ込み量)を新たな設定値として、EEPROM10dに記憶されている縫いピッチ量(又はいせ込み量)の設定変更を行う設定値変更手段としての制御を行う。
また、制御部10は、EEPROM10dに記憶されていた設定変更前の設定値である縫いピッチ量(又はいせ込み量)と、新たな設定値としての縫いピッチ量(又はいせ込み量)との変更率を算出する算出手段としての制御を行う。例えば、変更率は、(変更率)=(新たな設定値)/(設定変更前の設定値)のように、設定値の増減率として算出される。
【0034】
また、制御部10は、制御部10(算出手段)により算出された縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の変更率に基づき、設定変更が行われていない他方の設定値を補正する第1の補正手段としての制御を行う。例えば、縫いピッチ量の設定変更が行われた場合、算出された縫いピッチ量の変更率を設定変更されていないいせ込み量に掛け合わせ、新たないせ込み量に補正される。また、いせ込み量の設定変更が行われた場合、算出されたいせ込み量の変更率を設定変更されていない縫いピッチ量に掛け合わせ、新たな縫いピッチ量に補正される。
【0035】
また、制御部10は、操作パネル16を介して入力された、第1の補正手段としての制御に基づく補正(例えば、縫いピッチ量の設定値の変更率に基づくいせ込み量の設定値の補正や、いせ込み量の設定値の変更率に基づく縫いピッチ量の設定値の補正)を実行するか否かの設定切替に基づき、その補正の実行の可否の切り替えを行う補正実行切替手段としての制御を行う。例えば、第1の補正手段としての制御に基づく補正の実行が設定されている場合、縫いピッチ量(又はいせ込み量)の設定値の変更率に基づき、いせ込み量(又は縫いピッチ量)の設定値の補正変更を連動して行う。また、第1の補正手段としての制御に基づく補正を行わない設定がされている場合、縫いピッチ量(又はいせ込み量)の設定値の変更が行われても、いせ込み量(又は縫いピッチ量)の設定値の補正変更を連動して行わずに、一方の変更率に基づく連動とは異なる、新たないせ込み量(又は縫いピッチ量)として変更した設定値の入力を行うなどする。
【0036】
次に、本実施形態たる差動送りミシン1における縫製パターン(動作条件)設定について、図4〜図9に基づき説明する。なお、図4、図6〜図9に示す表示画面例は、差動送りミシン1における操作パネル16に表示される。
図4に示される表示画面の略中央には、略円形の袖形状を模した表示図形30が表示されており、本実施の形態においては7つの領域(区間、縫製領域)に応じた7つの区間図形31〜37により表示図形30が構成されている。また、縫いピッチ量の設定値の変更入力を行う、後述するピッチ変更画面に切り替えるためのピッチ変更キー40が表示されている。
【0037】
表示図形30(区間図形31〜37)は最下部が袖下、最上部が袖山とに対応しており、区間図形31〜37の周方向における長さは、各縫製ステップ(縫製領域)の縫製長さ(縫い代長)に応じた比率で表示されている。
そして、最下部から縫製を開始し、半時計回りに縫製領域S1(縫製ステップ1)から縫製領域S7(縫製ステップ7)の順に縫製を行うように、区間図形が区間図形31から区間図形37の順に表示されており、縫製領域S1(区間図形31)から縫製領域S7(区間図形37)に対し、いせ込み量が、2、8、10、0、12、6、4(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7)と設定されている状態を示している。
【0038】
いせ込み量は、前述したように、下布の送り量に対する上布の送り量の超過量、つまり、上布の送り量と下布の送り量の差分であるが、操作パネル16の画面上では、上布の送り量と下布の送り量の差が0.1ミリの時、いせ込み量を「1」と表示している。つまり、1針で下布を2ミリ縫い進み、上布を2.2ミリ縫い進むように設定した場合、上送り量と下送り量の差は0.2ミリであるから、操作パネル16上では区間図形内に「2」と表示される。
【0039】
まず、前述の図4に示される表示画面に対応した縫製パターンの初期条件、初期設定を行うに際して前提となる原理説明を行う。
所望するデザインの洋服を仕立てるため裁断された身頃の生地と袖の生地における身頃生地と袖生地を縫い合わせる縫い代において、例えば、身頃生地の縫い代の寸法は630mmであり、袖生地の縫い代の寸法は804mmとする。
そして、所望するデザインとするため、下布である身頃生地と、上布である袖生地の縫い代を、例えば、それぞれ以下の7つの領域(S1〜S7)に分割した場合、各領域毎のいせ込み量で、いせ込みを行い縫製することにより、所定の立体形状の肩口が形成されることとなる。
(下布)身頃生地の縫い代長:(全縫い代長=630mm)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
150mm−90mm−60mm−30mm−60mm−90mm−150mm」・・・(1)
(上布)袖生地の縫い代長:(全縫い代長=804mm)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
165mm−126mm−90mm−30mm−96mm−117mm−180mm」・・・(2)
【0040】
よって、各領域において、身頃生地に対し袖生地をいせ込むいせ込み長は、各領域毎における、袖生地の縫い代の長さと身頃生地の縫い代の長さの差分であるので、以下のようになる。
いせ込み長:(全いせ込み長=174mm)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
15mm−36mm−30mm−0mm−36mm−27mm−30mm」・・・(3)
【0041】
また、当該洋服を仕立てるためには、そのデザインや、身頃生地や袖生地の素材に基づく物性等により、ミシン目・縫目の大きさを決定する縫いピッチ量が、例えば、2.0mmが好適である場合、各領域における針数は、(針数)=(身頃生地の縫い代長)/(縫いピッチ量)であるので、以下のようになる。
針数:(縫いピッチ量=2.0mm)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
75針−45針−30針−15針−30針−45針−75針」・・・(4)
そして、いせ込み量とは、1針あたりのいせ込み長(袖生地と身頃生地の差分長)であり、(いせ込み量)=(いせ込み長(3))/(針数(4))であるので、以下のようになる。
いせ込み量:
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
0.2mm−0.8mm−1.0mm−0.0mm−1.2mm−0.6mm−0.4mm」・・・(5)
そして、操作パネル16における表示の手法に従えばいせ込み量は、以下のようになる。
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
2−8−10−0−12−6−4」・・・(5)
【0042】
このように求められた初期条件のうち、上記各領域毎の縫い代長といせ込み量と、好適とされる2.0mmの縫いピッチ量とが、各縫製領域毎の身頃生地の縫い代長(1)といせ込み量(5)と、全縫製領域における縫いピッチ量(2.0mm)の初期条件として、所定の入力手続きに従い作業者により入力され、初期設定されたものが、図4に示される表示画面に対応した縫製パターンである。また、このような縫製パターンは基本パターンとして予め設定されていてもよい。
【0043】
このように初期設定された縫製パターンに基づいて所望する洋服を仕立てるが、異なる生地を用いて同じデザインの洋服を仕立てる場合がある。この際、生地毎に異なる素材の物性に応じた縫製を行うために、生地毎に好適な縫いピッチ量に変更する必要が生じる場合がある。
前述のように、初期設定された縫製パターンにおいて、縫いピッチ量を変更する制御例を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
制御部10が、操作パネル16において表示されている図4の表示画面におけるピッチ変更キー40が押下された信号を検出しない場合、制御部10はこの初期設定に基づく状態を維持する(ステップS10;No)。一方、制御部10が、操作パネル16において表示されている図4の表示画面におけるピッチ変更キー40が押下された信号を検出すると(ステップS10;Yes)、制御部10は、図6に示すピッチ変更画面の表示を行う(ステップS11)。
このピッチ変更画面における操作パネル16には、設定値入力手段として、設定する縫いピッチ量の設定値を増減するための増減キー50と、設定切替入力手段として、縫いピッチ量の変更に伴いいせ込み量を連動するか否かを切り替えるための変更連動キー60と、ピッチ変更画面における設定の変更を確定するための設定変更確定キー70等が表示されている。
【0045】
次いで、表示されたピッチ変更画面において、制御部10が、増減キー50が押下された信号を検出しなければ、ステップS14へ移行する(ステップS12;No)。一方、制御部10が、設定値入力手段としての増減キー50が押下された信号を検出すると(ステップS12;Yes)、制御部10は、検出された押下信号に基づく縫いピッチ量の変更設定値を登録し(本実施の形態においては3.0mm、図7参照)(ステップS13)、ステップS14へ移行する。
次いで、ピッチ変更画面において、制御部10が、縫いピッチ量の変更に伴いいせ込み量の変更を行うか否かの設定を行うための、変更連動キー60の押下信号を検出すると(ステップS14;Yes)、変更連動を設定し(本実施の形態においては、第1の補正手段に基づく制御の実行設定、図7参照)(ステップS15)、ステップS16へ移行する。
なお、変更連動キー60は、押下を行う毎に、一方の設定値の変更に伴い他方の設定値の変更を連動して行う実行設定(ON)と、他方の変更を行わない設定(OFF)とが切り替えられる。
【0046】
そして、ピッチ変更画面において、制御部10が、設定変更確定キー70が押下信号を検出しなければ、ステップS12へ戻る(ステップS16;No)。
一方、ピッチ変更画面において、制御部10が、設定変更確定キー70の押下信号を検出すると(ステップS16;Yes)、設定入力された条件(縫いピッチ量の変更値(S13)及び第1の補正手段に基づく制御の実行設定(S15))に基づき、制御部10は、縫いピッチ量の設定値の変更率を算出し(本実施の形態においては、変更率1.5(=3.0/2.0)(ステップS17)、算出した変更率に基づきいせ込み量の補正を行い(新いせ込み量=元いせ込み量×変更率1.5)、初期設定の補正変更を行う(ステップS18)そして、設定値変更後の表示画面(図8参照)を表示し(ステップS19)、終了する。
【0047】
また、ピッチ変更画面において、制御部10が、縫いピッチ量の変更に伴いいせ込み量の変更を行うか否かの設定を行うための、変更連動キー60の押下信号を検出しなければ、ステップS20へ移行する(ステップS14;No)。
そして、ピッチ変更画面において、制御部10が、設定変更確定キー70が押下信号を検出しなければ、ステップS12へ戻る(ステップS20;No)。
一方、ピッチ変更画面において、制御部10が、設定変更確定キー70の押下信号を検出すると(ステップS20;Yes)、縫いピッチ量の変更値が設定入力されていれば(S13)、縫いピッチ量の設定変更のみを行った表示画面の表示、縫いピッチ量の変更値が設定入力されていなければ(S12;No)、初期設定のままの表示画面の表示を行い(ステップS21)、終了する。
【0048】
このように、縫いピッチ量を2.0mmから3.0mmに変更した場合、変更率は1.5と算出され、縫製パターンにおける各領域に対して補正変更されたいせ込み量は、
補正変更いせ込み量:
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
0.3mm−1.2mm−1.5mm−0.0mm−1.8mm−0.9mm−0.6mm;
3−12−15−0−18−9−6」・・・(5a)
と、縫いピッチ量の変更率と連動し変更される。
このように、縫いピッチ量を変更したことに基づき、容易にその縫いピッチ量に応じたいせ込み量に補正変更することができる。
【0049】
ここで、縫いピッチ量を2.0mmから3.0mmに変更すると、各縫製領域における針数が変化することとなり、縫いピッチ量が3.0mmである場合の針数は、
針数:(縫いピッチ量=3.0mm)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
50針−30針−20針−10針−20針−30針−50針」・・・(4’)
であり、この場合(縫いピッチ量=3.0mm)の変更いせ込み量は、(いせ込み量)=(いせ込み長;(3))/(針数(4’))から、以下のように求められる。
変更いせ込み量:
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
0.3mm−1.2mm−1.5mm−0.0mm−1.8mm−0.9mm−0.6mm;
3−12−15−0−18−9−6」・・・(5b)
この針数を求めて算出した変更いせ込み量(5b)は、前述した縫いピッチ量を変更する制御に基づき、縫いピッチ量の変更に連動し算出された補正変更いせ込み量(5a)と同値であるので、前述した縫いピッチ量を変更する制御は、より簡便であると言える。
つまり、縫いピッチ量を変更した場合でも、縫いピッチ量の変更率と同率にいせ込み量を補正、変更する制御により、容易にその縫いピッチ量に応じたいせ込み量に補正変更することができる。
【0050】
(比較例)
本実施の形態における補正を実施しない場合について説明する。
縫いピッチ量が2.0mmから3.0mmに変更されたことにより、各領域(S1〜S7)における針数は、
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
50針−30針−20針−10針−20針−30針−50針」・・・(4’)
となるが、いせ込み量の変更は行わず、
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
0.2mm−0.8mm−1.0mm−0.0mm−1.2mm−0.6mm−0.4mm
(2−8−10−0−12−6−4)」・・・(5)
である元のままであると、各領域毎におけるいせ込み長は、(いせ込み長)=(針数)×(いせ込み量)により
比較いせ込み長:(全比較いせ込み長=116mm)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
10mm−24mm−20mm−0mm−24mm−18mm−20mm」・・・(3’)
となり、全比較いせ込み長は116mmと、初期設定条件における全いせ込み長174mmより短くなってしまい、縫い代が58mm余ってしまうこととなる。
このように、縫いピッチ量のみ変更し、いせ込み量が元のままであると、縫い代に過不足が生じてしまい、所定の製品(例えば、洋服)としての形に縫製できず、商品価値を落としてしまうことになる。
【0051】
なお、前述の本実施の形態の制御におけるステップS14において、縫いピッチ量の変更に連動していせ込み量の変更を行わない場合は、このように縫い代に過不足が生じてしまうことになるが、通常このような場合は、縫いピッチ量の変更率により一律に各領域のいせ込み量を変更するのでなく、各領域毎に異なる好適な変更率によるいせ込み量の変更が行われることとなり、新たないせ込み量が設定入力されることとなる。
【0052】
なお、上記本実施の形態においては、縫いピッチ量の設定値を変更し、その設定値の変更率に基づいて、いせ込み量を補正変更する例を説明したが、いせ込み量の設定値を変更し、その変更率に基づき縫いピッチ量を補正変更するという方式であってもよい。
この場合、複数の領域毎に異なるいせ込み量が設定されている際には、変更する領域のいせ込み量の変更率に基づき、他の領域のいせ込み量を補正変更するとともに、縫いピッチ量を補正変更すればよい。
【0053】
(別の実施例)
前述の実施の形態においては、縫いピッチ量の設定値を変更し、その設定値の変更率に基づきいせ込み量を補正変更する例を説明したが、縫いピッチ量といせ込み量の変更率は、同率であってもよいので、縫いピッチ量といせ込み量とに共通する変更率を直接入力して、縫いピッチ量といせ込み量の設定値を補正変更してもよい。
【0054】
例えば、図4に示される操作パネル16における表示画面には、縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率の入力を行う、後述する変更率入力画面に切り替えるための変更率キー80が表示されている。
操作パネル16において、この変更率キー80が押下されると、図9に示される変更率入力画面が表示される。この変更率入力画面における操作パネル16には、変更率入力手段として、縫いピッチ量又はいせ込み量の変更率を増減するための増減キー55と、変更率入力画面における設定の変更を確定するための設定変更確定キー77等が表示されている。
【0055】
そして、例えば、操作パネル16における変更率入力画面おいて、変更率入力手段としての増減キー55を介し、縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率の入力が行われる。
また、制御部10は、操作パネル16を介して入力された縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率に基づき、縫いピッチ量及びいせ込み量の設定値を補正する第2の補正手段としての制御を行う。例えば、縫いピッチ量(又はいせ込み量)を変更する変更率が入力、設定された場合、その変更率を縫いピッチ量及びいせ込み量に掛け合わせ、新たないせ込み量に補正される。
【0056】
具体的には、図4に示される操作パネル16における表示画面に対応した縫製パターンの初期条件、初期設定として、
いせ込み量:(元設定値)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
0.2mm−0.8mm−1.0mm−0.0mm−1.2mm−0.6mm−0.4mm;
2−8−10−0−12−6−4」・・・(5)
と、縫いピッチ量2.0mmが設定されている。
ここで、変更率キー80が押下されて表示された図9に示される変更率入力画面において、例えば、縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率としいて変更率=1.5が入力され、設定変更確定キー77による変更率入力画面における設定の変更が確定されると、(新設定値)=(元設定値)×(変更率)に基づき、
いせ込み量:(新設定値)
「S1−S2−S3−S4−S5−S6−S7;
0.3mm−1.2mm−1.5mm−0.0mm−1.8mm−0.9mm−0.6mm;
3−12−15−0−18−9−6」・・・(5c)
と、新縫いピッチ量3.0mmとが補正変更される。
このように本別の実施例においても、容易に縫いピッチ量といせ込み量とを変更する変更補正、変更調整を容易に行うことができる。
【0057】
なお、以上の実施の形態においては、元の設定値と設定変更後の新たな設定値との変更率で修正変更するとしたが、縫製を行う生地の種類や物性に基づく係数(=K)を用いて、例えば、(新いせ込み量)=(元いせ込み量)×(変更率(新縫いピッチ量/元縫いピッチ量))×K、のように縫製を行う生地に応じた補正を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、全縫製区間を7つの領域に区分した例において説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、領域数は任意のステップ数でよい。また、その他設定値は所望の設定値を設定し、動作制御すればよい。
また、具体的な細部構造、細部表示例等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の新たな設定値が入力されたことに伴い算出された、その新たな設定値と元の設定値との変更率に基づき、他方の設定値の補正変更を行うことができる。特に、縫いピッチ量といせ込み量の変更率を同率にする補正変更を行うことにより、容易に上布と下布との送り量のバランスをとった、新たな縫いピッチ量といせ込み量としての設定を行うことができる。
従って、縫いピッチ量やいせ込み量の設定値の変更が行われた場合に、好適に縫いピッチ量といせ込み量とを調整し、例えば、上布の余りや不足を効果的に防止することにより、縫製作業の適正化を図り、良好な縫製を行うことができる。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の設定値変更に伴う変更率に基づき、他方の設定値変更を連動して行うことは勿論、一方の変更率による一律な補正変更を望まない場合には、一方の変更に伴う他方の補正変更を行わず、所望する変更率等による設定変更も行うことができ、設定に自由度を持たせることが可能である。
【0060】
請求項3記載の発明によれば、縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値を変更する変更率が入力されたことに伴い、その入力された変更率に基づき、縫いピッチ量及びいせ込み量の双方の設定値の補正変更が行われることにより、容易に上布と下布との送り量のバランスをとった、新たな縫いピッチ量といせ込み量の設定を行うことができる。
【0061】
請求項4記載の発明によれば、所定の縫製領域を縫製する際、複数に分割された区間毎に設定されているいせ込み量に基づき縫製を行うことができるので、例えば、洋服の身頃生地と袖生地とを縫い合わせ、立体的な肩口を形成するような袖付けミシンにおいても、容易に袖生地(上布)と身頃生地(下布)との送り量のバランスをとるように、縫いピッチ量やいせ込み量の設定変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施の形態における差動送りミシンの概観図である。
【図2】図1におけるII部分の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態における差動送りミシンの構造を示すブロック図である。
【図4】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における補正処理を示すフローチャートである。
【図6】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図7】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図8】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図9】操作パネルにおける表示画面例を示す図である。
【図10】下布に対する上布のいせ込みを説明する模式図である。
【符号の説明】
1 差動送りミシン
10 制御部(上送り制御部、下送り制御部、算出手段、第1の補正手段、補正実行切替手段、第2の補正手段)
10d EEPRROM(記憶手段)
11 上送りモータ(上送り機構部)
110 上送りベルト(上送り機構部)
12 下送りモータ(下送り機構部)
120 下送りベルト(下送り機構部)
13 ミシンモータ
15 起動ペダル
16 操作パネル(設定値入力手段、設定切替入力手段、変更率入力手段)
30 表示図形
31〜37 区間図形
40 ピッチ変更キー
50、55 増減キー(設定値入力手段)
60 変更連動キー(設定切替入力手段)
70、77 設定変更確定キー
80 変更率入力キー(変更率入力手段)

Claims (4)

  1. 下布を送る下送り機構部と、
    前記下送り機構部と連動して上布を送る上送り機構部と、
    所定の縫いピッチ量及びいせ込み量の設定値を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記縫いピッチ量に基づく送り量で、下布を繰り返し送るように前記下送り機構部を制御する下送り制御部と、
    前記記憶手段に記憶された前記縫いピッチ量と前記いせ込み量を加算した量に基づく送り量で、上布を繰り返し送るように前記上送り機構部を制御する上送り制御部とを備え、
    下布と上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行う差動送りミシンにおいて、
    縫いピッチ量といせ込み量の何れか一方の新たな設定値を入力する設定値入力手段と、
    前記記憶手段に記憶されている所定の設定値と、前記設定値入力手段により入力された設定値との変更率を算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された前記変更率に基づき、他方の設定値を補正する第1の補正手段とを備え、
    前記下送り制御部及び上送り制御部は、前記設定値入力手段により新たに入力された設定値と、前記第1の補正手段により補正された他方の設定値に基づいて、前記下送り機構部及び上送り機構部とを制御することを特徴とする差動送りミシン。
  2. 前記第1の補正手段を実行するか否かの設定を行う設定切替入力手段と、
    前記設定切替入力手段により設定された設定に基づき、前記第1の補正手段の実行の有無を切り替える補正実行切替手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の差動送りミシン。
  3. 下布を送る下送り機構部と、
    前記下送り機構部と連動して上布を送る上送り機構部と、
    所定の縫いピッチ量及びいせ込み量の設定値を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記縫いピッチ量に基づく送り量で、下布を繰り返し送るように前記下送り機構部を制御する下送り制御部と、
    前記記憶手段に記憶された前記縫いピッチ量と前記いせ込み量を加算した量に基づく送り量で、上布を繰り返し送るように前記上送り機構部を制御する上送り制御部とを備え、
    下布と上布の各々の送り量に差を設けて縫製を行う差動送りミシンにおいて、
    縫いピッチ量又はいせ込み量の設定値の変更率を入力する変更率入力手段と、
    前記変更率入力手段に入力された前記変更率に基づき、縫いピッチ量及びいせ込み量の双方の設定値を補正する第2の補正手段とを備え、
    前記下送り制御部及び上送り制御部は、前記第2の補正手段により補正された設定値に基づいて、前記下送り機構部及び上送り機構部とを制御することを特徴とする差動送りミシン。
  4. 前記いせ込み量の設定値は、所定の縫製領域が複数に分割された区間毎に割り当てられて、前記記憶手段に記憶されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の差動送りミシン。
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