JP2006278565A - 積層電子部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電層に起因した段差を解消することが可能でありながら、脱バイガスの円滑な排出を促進することができる、積層電子部品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】バインダを含むセラミックペースト23から構成したグリーンシート25上に内部電極層5、7及び段差吸収層6を形成した単位シート35を複数積層して積層セラミックコンデンサ1などの積層電子部品を製造する。その際、少なくとも一つの単位シートにおいて、段差吸収層を、一チップ領域43a〜43dでみて内部電極層の全周に形成し、且つ、その段差吸収層には、内部電極層の周囲に脱バイガススリット45が少なくとも一つ設けられているようにする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、積層電子部品及びその製造方法に関するものである。
一般に、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品は、次のような工程によって製造されている。まず、原料となるセラミック粉末、有機バインダ、溶剤等を含むセラミックペーストにより、いわゆるグリーンシートを形成する。次に、このグリーンシートに、導電性ペーストにより複数の内部電極をスクリーン印刷法などで形成する。そして、内部電極を有するグリーンシートを、内部電極の位置が交互にずれて重なるように複数枚積層し、シート積層体を作る。次に、かかるシート積層体をプレスし、電子部品単位に対応する大きさに切断して、積層チップ体を得る。さらに、その積層チップ体に対して、バインダ等を除去する脱バインダ処理を行い、所定条件で焼成した後、積層チップ体の両端部に外部電極を形成して、積層セラミック電子部品を得る。
また、このようにして製造される積層セラミック電子部品においては、積層数が多層になるほど内部電極の厚みによる他の部位との段差が無視できなくなる。すなわち、内部電極が印刷されていない余白部分を含む積層領域と、内部電極を含んだ積層領域との間で、内部電極の有無による段差が生じる。かかる段差は、焼成時のクラックやデラミネーションなどを誘発させ、製品の特性の劣化や歩留まりの低下を招く原因となり得る。そこで、内部電極の周囲に段差吸収用のセラミックペーストを印刷することで、上記段差の問題を解消するものもある(特許文献1参照)。
特開2001−358036号公報
しかしながら、上述した特許文献1のように内部電極の周囲に段差吸収用のセラミックペーストを印刷しても依然として、焼成時のクラックやデラミネーションが生じることが分かっている。本出願人の鋭意研究によると、脱バインダ処理においてバインダが気化したガス、いわゆる脱バイガスが積層チップ体内に滞留され又は突発的に排出されることがクラックやデラミネーションの発生要因でもあると考えることができる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、内部電極などの導電層に起因した段差を解消することが可能でありながら、脱バイガスの円滑な排出を促進することができる、積層電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、バインダを含む誘電体ペーストから構成したグリーン層上に導電層及び段差吸収層を形成した単位層を複数積層して積層電子部品を製造する方法において、少なくとも一つの前記単位層において、前記段差吸収層を、一チップ領域でみて前記導電層の全周に形成し、且つ、その段差吸収層には、該導電層の周囲に脱バイガススリットが少なくとも一つ設けられていることを特徴とする。
好適には、前記単位層として、前記誘電体ペーストから構成し複数チップ領域を有するグリーンシート上に前記導電層と前記段差吸収層とを形成したもの、を複数枚用意する工程と、それら複数の単位層を、前記導電層の位置が交互にずれる態様で積層し、シート積層体を得る工程と、前記シート積層体を、一チップ領域毎に裁断して積層チップ体を得る工程と、前記積層チップ体に対し脱バインダ処理を行う工程とを備える。
一チップ領域は平面視長方形であり、前記導電層の引き出し部は一チップ領域の一側面に形成されており、一チップ領域の他の三側面のそれぞれには、少なくとも一つずつ前記脱バイガススリットが設けられていると好適である。
一チップ領域において、前記脱バイガススリットは、その一端が前記導電層に連通し、他端が一チップ領域の側面に達していると好適である。
一チップ領域内に関し、積層される少なくとも一対の層においてみて、一方の層の前記脱バイガススリットを、他方の層の前記脱バイガススリットが設けられていない部分と重なるように形成すると好適である。
好適には、複数の前記単位層に亙って、前記段差吸収層を同一パターンによって形成する。
同目的を達成するための本発明に係る積層電子部品は、バインダを含む誘電体ペーストから構成された誘電体基体と、積層方向に所定の間隔をあけて前記誘電体基体内に埋設された複数の導電層と、少なくとも一つの前記導電層の側方に設けられた少なくとも一つの脱バイガススリットとを備える。
前記誘電体基体は四側面を有しており、前記導電層の引き出し部は前記誘電体基体の一側面に形成されており、前記脱バイガススリットは前記誘電体基体の他の三側面のそれぞれに少なくとも一つずつ設けられていると好適である。
好適には、前記脱バイガススリットは、その一端が前記導電層に連通し、他端が前記誘電体基体の側面に達している。
前記脱バイガススリットは、複数の前記導電層の側方に設けられており、積層方向に相互に重ならないようにずれていると好適である。
本発明によれば、導電層の有無による段差を緩和しつつも、脱バイスリットを介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。
また、複数の単位層を用意する工程と、それら複数の単位層を積層してシート積層体を得る工程と、シート積層体を一チップ領域毎に裁断して積層チップ体を得る工程と、積層チップ体に対し脱バインダ処理を行う工程とを備える場合には、上記のように段差吸収層及び脱バイスリットを形成するに際して、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる。
また、前記脱バイガススリットが前記誘電体基体における導電層の引き出されていない三側面のそれぞれに少なくとも一つずつ設けられている場合には、脱バイ処理時に脱バイガスを効率よく排気できる。
また、一チップ領域内に関し、脱バイガススリットが積層方向に相互に重ならないようにずれている場合には、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とがバランスよく獲得できる。
また、脱バイガススリットは、その一端が前記導電層に連通し、他端が前記誘電体基体の側面に達している場合、段差吸収層において生じた脱バイガスは勿論、導電層において生じた脱バイガスまで確実に排出することができる。
また、段差吸収層が複数の単位層に亙って同一パターンによって形成される場合には、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層と脱バイスリットとの双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる。
なお、本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、実施の形態によって更に詳しく説明する。
以下、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した場合の実施の形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
図1は、本発明の実施の形態1に係る積層セラミックコンデンサの一例を示す断面図である。図示の積層セラミックコンデンサ1は、誘電体基体3の内部に、複数の内部電極層(導電層)5、7が埋設されている。隣り合う2つの内部電極層5、7は誘電体からなる層を介して向き合っている。内部電極層5、7の層数は、要求される静電容量に応じて決定される。さらに、内部電極層5、7に関し上下に隣り合う同極の部分の間には、誘電体からなる段差吸収層6が設けられている。
誘電体基体3の対向する側面には外部電極部9、11が設けられている。内部電極層5は、このうちの外部電極部9に導通されており、内部電極層7は外部電極部11に導通されている。
次に、このような構成の積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。まず、図2に示されるように、可撓性のあるPETフィルム21の上面に、セラミック粉末、バインダ及び溶剤などを少なくとも含むセラミックペースト(誘電体ペースト)23を塗布し、いわゆるグリーンシート(グリーン層)25が得られる。セラミックペースト23の塗布は、ドクターブレード又は押出ヘッド等を用い、塗布後に乾燥処理を行う。また、グリーンシート25の厚みは1.0〜3.0μm(焼成後は1.0μm)に設定されており、所定角のシートとして構成されている。
続いて、グリーンシート25を乾燥させた後、シート上面に、内部電極層5、7を構成すべく導電体ペースト27を複数、分離して配置する。導電体ペースト27は、例えばスクリーン印刷法やグラビア印刷法によって形成することができる。導電体ペースト27の厚みは1.0〜3.0μmに設定されている。
導電体ペースト27が配置されると、導電体ペースト27の間には、導電体ペースト27自体の厚みに起因した段差部29が生じる。したがって、それら段差部29を段差吸収用セラミックペースト31によって埋める余白印刷を行う。段差吸収用セラミックペースト31の印刷は、スクリーン印刷法によって行われ、後述する印刷パターンを実現するスクリーン製版33を使用する。また、段差吸収用セラミックペースト31は、基本的には、前述したセラミックペースト23と同様な構成であり、セラミック粉末、バインダ及び溶剤などを少なくとも構成要素として含む。
このようにして、グリーンシート25上に内部電極層5、7及び段差吸収層6を形成した単位シート(単位層)35を、本実施の形態では400層以上積層し、シート積層体37を得る(後述の図4参照)。かかる積層は、内部電極層5、7の位置が交互にずれる態様で行われる。なお、シート積層体37の最上部と最下部には、誘電体のみからなるシートを積層して構成した保護層を設けることもできる。
次に、かかるシート積層体37をプレスした後、一チップ領域(単位層)に裁断して、積層チップ体39を得る。さらに、積層チップ体39から有機バインダ等をバーンアウトする脱バインダ処理を行った後、焼成を行って、最後に、積層チップ体の対向する側面に、外部電極部9、11を焼付し、積層セラミックコンデンサ1を得る。
次に、図3〜図6に基づいて、本実施の形態における導電体ペースト27及び段差吸収用セラミックペースト31の印刷パターンについて説明する。導電体ペースト27及び段差吸収用セラミックペースト31はそれぞれ、内部電極層5、7及び段差吸収層6を構成する。また、図において、斜線部分は導電体ペースト27(内部電極層5、7)を示し、ドット部分は段差吸収用セラミックペースト31(段差吸収層6)を示すものとする。また、点線は、一チップ領域(一部品単位の大きさ、すなわちコンデンサ1個分)の境界すなわち裁断工程の切断ラインを示すものとする。本実施の形態では、一チップ領域は平面視長方形に設定されている。また、図3及び図4については、説明の便宜上、多層積層されるうちの四層部分のみを抜き出して説明するものとする。
図3及び図4に示されるように、第1単位シート35a、第2単位シート35b、第3単位シート35c、第4単位シート35dのそれぞれにおいて、導電体ペースト27は、二チップ領域毎にその二チップ領域に跨るように配置されていると共に、当該二チップ領域と隣り合う二チップ領域との境界で分断するように配置されている。
また、段差吸収用セラミックペースト31は、導電体ペースト27の全周に配置されている。さらに、段差吸収用セラミックペースト31には、導電体ペースト27の周囲に少なくとも一つ、本実施の形態では、一チップ領域につき三つのスリット状のペースト無印刷部41が形成されている。ペースト無印刷部41が脱バイガススリット45として構成される。
本実施の形態では、スリット状のペースト無印刷部41は、一チップ領域における導電体ペースト27の端部が達していない三側面のそれぞれに一つずつ配置されている。また、各ペースト無印刷部41の一端は、導電体ペースト27に連通し、他端は一チップ領域の境界に達している。
このように、第1〜第4単位シート35a〜35dにおいては、同一形状の導電体ペースト27と段差吸収用セラミックペースト31とが長手方向及び幅方向に繰り返される印刷パターンが用いられる。すなわち、これらの第1〜第4単位シート35a〜35dを含むすべての単位シート35は、積層位置をずらすものの、印刷パターンとしては同一の態様を採用している。
また、相互の積層位置は、図3及び図4に示すとおりであり、導電体ペースト27の二チップ領域に跨る部分と導電体ペースト27が分断している部分とは一層毎に交互に重なるように、長手方向及び幅方向の位置をずらして積層される。
上記のような単位シート35の積層態様によって、積層位置を同じくする一チップ領域に着目すると次のような構成を備える。平面視四辺からなる本実施の形態の一チップ領域においては、4種類の構成が存在している。図5及び図6の(a)に、4種類の一チップ領域43a、43b、43c、43dを示す。四層重ねて一チップ領域の構成は一巡し、五層目の一チップ領域には、一層目と同じ構成の一チップ領域が配置される。
図5には、第1〜第4単位シート35a〜35dにおいて積層位置を同じくする第1〜第4一チップ領域43a〜43dを示すが、全ての一チップ領域43a〜43dにおいて、内部電極層5、7と、段差吸収層6と、脱バイスリット45とが形成されている。脱バイスリット45は、ペースト無印刷部41が残存されていることによって存在する部分である。
図5から分かるように、各一チップ領域43a〜43d内でみて、段差吸収層6は、内部電極層5、7の全周に設けられており、平面視コ字状に形成されている。また、脱バイスリット45は、内部電極層5、7の端部が露出していない三側面のそれぞれに一つずつ配置されている。脱バイスリット45の一端は、内部電極層5、7に連通し、他端は一チップ領域の境界に達している。
段差吸収層6の形成方向は、一層隔てた第1及び第3一チップ領域43a、43cは同じ態様を有しており、また、第2及び第4一チップ領域43b、43dも同じ態様を有している。また、構成パターンが一巡する第1〜第4一チップ領域43a〜43dに関して、全ての脱バイスリット45が、他の脱バイスリット45と積層状態で平面的にみて重ならないように配置されている。
構成パターンが一巡する第1〜第4一チップ領域43a〜43dは、図6の(a)に示されるような配置をもって、最小パターン領域を構成し、さらにそのような複数の最小パターン領域が図6の(b)に示されるように配置される(便宜上、四つ分のみ図示)。そして、説明を明瞭にするため最小パターン領域を四つ分且つシート数を四枚分のみ着目して示すと、これら四つ分の最小パターン領域を図3及び図4に示す態様で長手方向及び幅方向に順にずらした状態で、第1〜第4単位シート35a〜35dを積層することによって、一チップ領域でみて図5に示した順序で積層が繰り返される積層セラミックコンデンサ1が得られる。
以上のように構成された本実施の形態に係る積層セラミックコンデンサ1においては、各チップ領域において、内部電極層5、7の周囲に脱バイスリット45を残存するように、段差吸収層6を内部電極層5、7の全周に設けるため、内部電極層5、7の有無による段差を緩和しつつも、脱バイスリット45を介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。特に、グリーンシート25及び内部電極層5、7の合計厚みが3μm以下であって、シート積層体37の厚みが400μm以上の薄層多層品に有効である。
また、段差吸収層6がチップ領域において内部電極層5、7の全周に設けられているため、一つのチップ領域レベルにおいて矩形の四つの側端のすべてにおいて段差解消効果が得られており、一つのチップ領域でみてその全体が均一な高さになる。よって、これらのチップ領域を積層するため積層体全体もまた均一な高さになる。
また、脱バイスリット45は、チップ領域の内部電極層5、7が引き出された側面を除く三側面のそれぞれに少なくとも一つは設けられているため、脱バイ処理時に脱バイガスを効率よく排気できる。
また、脱バイスリット45の一端は、内部電極層5、7に連通し、他端は一チップ領域の側面に開口しているので、段差吸収用セラミックペースト31(段差吸収層6)において生じた脱バイガスは勿論、導電体ペースト27(内部電極層5、7)において生じた脱バイガスまで確実に排出することができる。
さらに、各脱バイスリット45は、隣接する層の脱バイスリット45とは積層状態で平面的にみて重ならないように配置され、段差吸収層6と重なるので、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とがバランスよく得られるようになっている。また、複数の単位シート35に亙って、段差吸収層6や脱バイスリット45が同一パターンに形成されるため、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層6と脱バイスリット45との双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる。
さらに、脱バイスリット45と段差吸収層6との双方は、積層後の裁断処理によって形成されていく。よって、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる。
次に、図7及び図8に基づいて、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、導電体ペースト及び段差吸収用セラミックペーストの印刷パターンが上記実施の形態1と異なり、他の構成や製造過程は実施の形態1と同様であるものとする。図7及び図8は、図5及び図6と同態様・同意味で図示されている。
本実施の形態では、二層重ねて一チップ領域の構成は一巡し、三層目の一チップ領域には、一層目と同じ構成の一チップ領域が配置される。よって、二層分にのみ着目して説明する。図8に示されるように、導電体ペースト27は、二チップ領域毎にその二チップ領域に跨るように配置されていると共に、当該二チップ領域と隣り合う二チップ領域との境界で分断するように配置されている。
また、段差吸収用セラミックペースト131は、導電体ペースト27の全周に配置されている。さらに、段差吸収用セラミックペースト131には、導電体ペースト27の周囲に複数のスリット状のペースト無印刷部141が形成されている。これらのペースト無印刷部141が脱バイガススリット145として構成される。
積層位置を同じくする一チップ領域に着目すると、全ての一チップ領域143a及び143bにおいて、内部電極層5、7と、段差吸収層106と、脱バイスリット145とが形成されている。
図7から分かるように、各一チップ領域143a及び143b内でみて、段差吸収層106は、内部電極層5、7の全周に設けられており、平面視コ字状に形成されている。また、脱バイスリット145は、内部電極層5、7の端部が露出していない三側面のそれぞれに複数ずつ配置されている(図示例として2〜3個)。脱バイスリット145の一端は、内部電極層5、7に連通し、他端は一チップ領域の境界に達している。
構成パターンが一巡する第1一チップ領域143a及び第2一チップ領域143bにおいては、全ての脱バイスリット145が、他の脱バイスリット145と積層状態で平面的にみて重ならないように配置されている。
さらに、構成パターンが一巡する第1一チップ領域143a及び第2一チップ領域143bは、図8の(a)に示されるように、最小パターン領域を構成し、さらにそのような複数の最小パターン領域が図8の(b)に示されるように配置される(便宜上、四つ分のみ図示)。そして、これらの最小パターン領域が長手方向及び幅方向に繰り返される単位シートを長手方向及び/又は幅方向に順にずらしながら積層していくことにより、図7に示した順序で積層が繰り返される積層セラミックコンデンサが得られる。
以上のように構成された本実施の形態に係る積層セラミックコンデンサにおいても、各チップ領域において、内部電極層5、7の周囲に脱バイスリット145を残存するように、段差吸収層106を内部電極層5、7の全周に設けるため、内部電極層5、7の有無による段差を緩和しつつも、脱バイスリット145を介して脱バイガスの円滑な排気を促進することができ、クラックやデラミネーションをより確実に防止することができる。特に、薄層多層品に有効であることも前述の実施の形態と同様である。
また、段差吸収層106がチップ領域において内部電極層5、7の全周に設けられているため、一つのチップ領域レベルにおいて矩形の四つの側端のすべてにおいて段差解消効果が得られており、一つのチップ領域でみて、さらにそれらの積層体としてみても、全体として均一な高さになる。
また、脱バイスリット145は、チップ領域の内部電極層5、7が引き出された側面を除く三側面のそれぞれに少なくとも一つは設けられているため、脱バイ処理時に脱バイガスを効率よく排気できる。
また、脱バイスリット145の一端は、内部電極層5、7に連通し、他端は一チップ領域の側面に開口しているので、段差吸収用セラミックペースト(段差吸収層106)において生じた脱バイガスは勿論、導電体ペースト(内部電極層5、7)において生じた脱バイガスまで確実に排出することができる。
さらに、各脱バイスリット145は、隣接する層の脱バイスリット145とは積層状態で平面的にみて重ならないように配置され、段差吸収層6と重なるので、段差吸収効果と脱バイガス排気効果とがバランスよく得られるようになっている。
また、単一の印刷パターンを用いて段差吸収層6と脱バイスリット145との双方を有する態様を簡単且つ大量に製造できる点や、積層セラミックコンデンサの既存のプロセスにのせて実施することができる点も上記実施の形態と同様である。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
まず、上記実施の形態では、積層セラミックコンデンサ1において内部電極層が設けられている全ての単位シートで、一チップ領域でみて内部電極層の全周に段差吸収層及び脱バイスリットが設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一つの一チップ領域でみて、上述した態様で段差吸収層及び脱バイスリットを設けていればよい。
また、単位層の構成に関しては、上記実施の形態のように四層又は二層で一巡するパターンを用いることには限定されない。また、積層に際して内部電極層(導電層)をずらしながら配置する態様としては、上記実施の形態のように単位シートを長手方向や幅方向に直線的にシフトさせる態様には限定されず、180度回転させながら重ねていく態様であってもよい。
脱バイスリットは、チップ領域の内部電極層が引き出された側面を除く三側面のそれぞれに少なくとも一つは設けられていたが、本発明はこれに限定されず、チップ領域の内部電極層が引き出された側面を除く少なくとも一側面に少なくとも一つ設けられていればよい。
また、上記実施の形態では、シート積層体を得る積層工程後に積層チップ体への裁断工程を行うプロセスであったが、本発明はこの順序に限定されるものではない。よって、単位シートから一チップ領域分を取り出す裁断工程の後に、それを重ねる積層工程を行う態様も含まれる。
さらに、本発明に関する積層電子部品は、積層セラミックコンデンサに限定されるものではなく、例えば、インダクタ、LCフィルタ、アレイ部品に適用することも可能であり、よって、導電層もコンデンサにおける内部電極層に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る積層セラミックコンデンサを示す断面図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法を説明する図である。 本発明の一実施の形態におけるシートの積層態様を平面的に示す図である。 本発明の一実施の形態におけるシートの積層態様を側方から示す図である。 本発明の一実施の形態における導電層、段差吸収層及び脱バイスリットの構成パターンを示す図である。 本発明の一実施の形態における導電層、段差吸収層及び脱バイスリットの印刷パターンを示す図である。 本発明の別の実施の形態における図5と同態様の図である。 本発明の別の実施の形態における図6と同態様の図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ(積層電子部品)
5、7 内部電極層(導電層)
6、106 段差吸収層
25 グリーンシート(グリーン層)
35 単位シート(単位層)
37 シート積層体
39 積層チップ体
43a〜43d 一チップ領域(単位層)
45、145 脱バイスリット
143a、143b 一チップ領域(単位層)

Claims (10)

  1. バインダを含む誘電体ペーストから構成したグリーン層上に導電層及び段差吸収層を形成した単位層を複数積層して積層電子部品を製造する方法において、
    少なくとも一つの前記単位層において、前記段差吸収層を、一チップ領域でみて前記導電層の全周に形成し、且つ、その段差吸収層には、該導電層の周囲に脱バイガススリットが少なくとも一つ設けられていることを特徴とする積層電子部品の製造方法。
  2. 前記単位層として、前記誘電体ペーストから構成し複数チップ領域を有するグリーンシート上に前記導電層と前記段差吸収層とを形成したもの、を複数枚用意する工程と、
    それら複数の単位層を、前記導電層の位置が交互にずれる態様で積層し、シート積層体を得る工程と、
    前記シート積層体を、一チップ領域毎に裁断して積層チップ体を得る工程と、
    前記積層チップ体に対し脱バインダ処理を行う工程と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の積層電子部品の製造方法。
  3. 一チップ領域は平面視長方形であり、前記導電層の引き出し部は一チップ領域の一側面に形成されており、
    一チップ領域の他の三側面のそれぞれに少なくとも一つずつ前記脱バイガススリットを設けておく
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層電子部品の製造方法。
  4. 一チップ領域において、前記脱バイガススリットは、その一端が前記導電層に連通し、他端が一チップ領域の側面に達していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の積層電子部品の製造方法。
  5. 一チップ領域内に関し、積層される少なくとも一対の層においてみて、一方の層の前記脱バイガススリットを、他方の層の前記脱バイガススリットが設けられていない部分と重なるように形成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の積層電子部品の製造方法。
  6. 複数の前記単位層に亙って、前記段差吸収層を同一パターンによって形成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の積層電子部品の製造方法。
  7. バインダを含む誘電体ペーストから構成された誘電体基体と、
    積層方向に所定の間隔をあけて前記誘電体基体内に埋設された複数の導電層と、
    少なくとも一つの前記導電層の側方に設けられた少なくとも一つの脱バイガススリットと
    を備えたことを特徴とする積層電子部品。
  8. 前記誘電体基体は四側面を有しており、
    前記導電層の引き出し部は前記誘電体基体の一側面に形成されており、
    前記脱バイガススリットは前記誘電体基体の他の三側面のそれぞれに少なくとも一つずつ設けられている
    ことを特徴とする請求項7に記載の積層電子部品。
  9. 前記脱バイガススリットは、その一端が前記導電層に連通し、他端が前記誘電体基体の側面に達していることを特徴とする請求項7又は8に記載の積層電子部品。
  10. 前記脱バイガススリットは、複数の前記導電層の側方に設けられており、積層方向に相互に重ならないようにずれていることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載の積層電子部品。
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