JP5869335B2 - 積層コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、内部電極層と絶縁層とを交互に積層して構成される積層コンデンサに関する。
従来、複数の第1内部電極層と複数の第2内部電極層とを絶縁層を介して交互に積層して構成された積層コンデンサが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
このような積層コンデンサは、第1内部電極層と第2内部電極層との間に絶縁層が挟まれてなる複数のコンデンサを並列接続した構造を有し、小型で大容量のコンデンサとして広く利用されている。
特開2007−81351号公報
近年、積層コンデンサの小型化および大容量化により積層コンデンサの耐電圧性が低下し、積層コンデンサの故障確率が高くなってしまうという問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、耐電圧性に起因した故障の発生を抑制する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明は、複数の第1内部電極層と複数の第1絶縁層とを交互に積層して構成される第1積層部分と、第1積層部分の積層方向に沿って第1積層部分を貫通する第1ビア導体とを有する第1電極積層部と、積層方向に直交する方向に沿って第1電極積層部に隣接し、複数の第2内部電極層と複数の第2絶縁層とを積層方向に沿って交互に積層して構成される第2積層部分と、積層方向に沿って第2積層部分を貫通する第2ビア導体とを有する第2電極積層部と、積層方向に沿って互いに隣接する2つの第1内部電極層間において第1内部電極層と対向するように配置されるとともに、積層方向に沿って互いに隣接する2つの第2内部電極層間において第2内部電極層と対向するように配置されるとともに積層方向に直交する面において全体に亘って形成され、且つ、第1内部電極層および第2内部電極層と電気的に接続されない内部電極層である第1非接続電極層とを備え、積層方向に直交する列方向および行方向のそれぞれに沿って第1電極積層部と第2電極積層部が交互に配置される二次元格子状配列されていることを特徴とする積層コンデンサである。
このように構成された積層コンデンサは、第1非接続電極層が第1内部電極層および第2内部電極層に対向しているため、第1内部電極層と第1非接続電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第1コンデンサという)と、第1非接続電極層と第2内部電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第2コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
これにより、本発明の積層コンデンサは、第1内部電極層と第2内部電極層との間に印加される電圧を第1コンデンサと第2コンデンサにより分割することができる。このため、本発明の積層コンデンサは、1つのコンデンサ当りに印加される電圧を小さくすることができ、耐電圧性が向上する。これにより、本発明の積層コンデンサによれば、耐電圧性に起因した故障の発生を抑制することができる。
また、本発明の積層コンデンサにおいて、積層方向に直交する方向に沿って第2電極積層部に隣接し、複数の第3内部電極層と複数の第3絶縁層とを積層方向に沿って交互に積層して構成される第3積層部分と、積層方向に沿って第3積層部分を貫通する第3ビア導体とを有する第3電極積層部を備えている場合には、第1非接続電極層が、積層方向に沿って第3内部電極層と非対向となるように配置されるようにしてもよい。
このように構成された積層コンデンサでは、第1非接続電極層が第3内部電極層と非対向となっているため、第1非接続電極層は、第3内部電極層との間でコンデンサを形成しない。すなわち、第1コンデンサおよび第2コンデンサと第3電極積層部とは分割されている。これにより、第1コンデンサまたは第2コンデンサで故障が発生した場合に、その故障の影響が第3電極積層部に及ぶのを抑制することができる。
また、本発明の積層コンデンサにおいて、第3内部電極層は、複数の第1内部電極層と電気的に接続され、積層方向に直交する方向に沿って第3電極積層部に隣接し、第2内部電極層と電気的に接続される複数の第4内部電極層と複数の第4絶縁層とを積層方向に沿って交互に積層して構成される第4積層部分と、積層方向に沿って第4積層部分を貫通する第4ビア導体とを有する第4電極積層部を備える場合には、積層方向に沿って互いに隣接する2つの第3内部電極層間において第3内部電極層と対向するように配置されるとともに、積層方向に沿って互いに隣接する2つの第4内部電極層間において第4内部電極層と対向するように配置され、且つ、第1内部電極層、第2内部電極層、および第1非接続電極層と電気的に接続されない内部電極層である第2非接続電極層を備え、第1ビア導体から第2ビア導体へ向う方向を第1配置方向とし、第2ビア導体から第3ビア導体へ向う方向を第2配置方向とし、第3ビア導体から第4ビア導体へ向う方向を第3配置方向として、第2配置方向が第1配置方向と直交するように第3電極積層部は配置されるとともに、第3配置方向が第1配置方向と逆になるように第4電極積層部は配置され、第2非接続電極層は、積層方向に沿って第1内部電極層と非対向となるとともに、積層方向に沿って第2内部電極層と非対向となるように配置されるようにしてもよい。
このように構成された積層コンデンサでは、第2非接続電極層が第3内部電極層および第4内部電極層に対向しているため、第3内部電極層と第2非接続電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第3コンデンサという)と、第2非接続電極層と第4内部電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第4コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
そして、第2非接続電極層は第1内部電極層および第2内部電極層と非対向となっているため、第1,2コンデンサと第3,4コンデンサとは分割されている。
さらに、第2配置方向が第1配置方向と直交するとともに第3配置方向が第1配置方向と逆になっている。このため、第1,3内部電極層に所定の第1電圧を印加するともに、第2,4内部電極層に第1電圧と異なる第2電圧を印加すると、第1,2コンデンサで流れる電流の向きと、第3,4コンデンサで流れる電流の向きとを逆にすることができる。そして、第1,2コンデンサは第3,4コンデンサと隣接しているため、第1,2コンデンサで発生する磁束と第3,4コンデンサで発生する磁束が互いに打ち消しあい、これにより、第1,2コンデンサと第3,4コンデンサが配置されている領域でインダクタンスを低減することができる。この場合、第1,3内部電極層は同極性となり、第2,4内部電極層は同極性となる一方、第1内部電極層と第2内部電極層は異極性となる。
また、本発明の積層コンデンサにおいて、積層方向に沿って、1つの第1内部電極層を挟んで第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに、1つの第4内部電極層を挟んで第2非接続電極層とは反対側に配置され、且つ、第1内部電極層および第2内部電極層と電気的に接続されない内部電極層である第3非接続電極層と、積層方向に沿って、1つの第2内部電極層を挟んで第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに、1つの第3内部電極層を挟んで第2非接続電極層とは反対側に配置され、且つ、第1内部電極層、第2内部電極層、および第3非接続電極層と電気的に接続されない内部電極層である第4非接続電極層とを備えるようにしてもよい。
このように構成された積層コンデンサでは、第3非接続電極層が第1内部電極層および第4内部電極層に対向しているため、第1内部電極層と第3非接続電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第5コンデンサという)と、第3非接続電極層と第4内部電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第6コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
さらに、本発明の積層コンデンサでは、第4非接続電極層が第2内部電極層および第3内部電極層に対向しているため、第2内部電極層と第4非接続電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第7コンデンサという)と、第4非接続電極層と第3内部電極層との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第8コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
さらに、第1電極積層部から第2電極積層部へ向う方向は、第1電極積層部から第4電極積層部へ向う方向、および第2電極積層部から第3電極積層部へ向う方向と直交する。このため、第1,3内部電極層に所定の第1電圧を印加するとともに、第2,4内部電極層に第1電圧と異なる第2電圧を印加すると、第1,2コンデンサで流れる電流の向きは、第5,6コンデンサで流れる電流および第7,8コンデンサで流れる電流の向きと直交する。すなわち、第5,6コンデンサで流れる電流および第7,8コンデンサで流れる電流について、第1,2コンデンサで流れる電流と同じ向きの成分はない。このため、第1,2コンデンサで発生する磁束と、第5,6コンデンサおよび第7,8コンデンサで発生する磁束とが互いに強め合うということがなく、第1,2コンデンサ、第5,6コンデンサ、および第7,8コンデンサが配置されている領域におけるインダクタンスの増大を抑制することができる。
また、本発明の積層コンデンサにおいて、積層方向に直交する方向に沿って第2電極積層部に隣接して配置され、複数の第3内部電極層と複数の第3絶縁層とを積層方向に沿って交互に積層して構成される第3積層部分と、積層方向に沿って第3積層部分を貫通する第3ビア導体とを有する第3電極積層部を備えている場合には、積層方向に沿って、1つの第1内部電極層を挟んで第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに、1つの第2内部電極層を挟んで第1非接続電極層とは反対側に配置され、且つ、第1内部電極層および第2内部電極層と電気的に接続されない内部電極層である第5非接続電極層を備え、第1非接続電極層は、積層方向に沿って第3内部電極層と対向するように配置され、第5非接続電極層は、積層方向に沿って第3内部電極層と非対向となるように配置されるようにしてもよい。
このように構成された積層コンデンサでは、第1非接続電極層が、積層方向に沿って第3内部電極層と対向するように配置され、第5非接続電極層が、積層方向に沿って第3内部電極層と非対向となるように配置される。このため、第2電極積層部と第3電極積層部との間の領域において、積層方向に沿って第1非接続電極層と同じ高さの箇所には電極層が配置されており、積層方向に沿って第5非接続電極層と同じ高さの箇所には電極層が配置されていない。
また第1非接続電極層が、第1内部電極層および第2内部電極層に対向しており、第5非接続電極層が、1つの第1内部電極層を挟んで第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに1つの第2内部電極層を挟んで第1非接続電極層とは反対側に配置されている。このため、第1電極積層部と第2電極積層部との間の領域において、積層方向に沿って第1非接続電極層と同じ高さの箇所には電極層が配置されており、積層方向に沿って第5非接続電極層と同じ高さの箇所には電極層が配置されている。
このため、第1電極積層部と第2電極積層部との間の領域(以下、第1,2積層部間領域という)と、第2電極積層部と第3電極積層部との間の領域(以下、第2,3積層部間領域という)とを比較すると、第1,2積層部間領域の方が第2,3積層部間領域よりも非接続電極層が多くなる。つまり、第1,2積層部間領域と第2,3積層部間領域との間で、1層分の非接続電極層の粗密差がある。
一方、第5非接続電極層に加えて、第1非接続電極層も、積層方向に沿って第3内部電極層と非対向となるように配置されている場合には、第1,2積層部間領域と第2,3積層部間領域との間で、2層分の非接続電極層の粗密差がある。なお、非接続電極層の粗密差があると、非接続電極層の積層数に差が生じるため、第1,2積層部間領域と第2,3積層部間領域との間で、積層方向の長さ(すなわち、積層コンデンサの厚さ)が変化して段差が発生し、積層コンデンサが変形(反りなど)し易くなる。
従って、本発明の積層コンデンサによれば、第1非接続電極層も積層方向に沿って第3内部電極層と非対向となるように配置されている場合と比較して、上記の粗密差を低減することができ、積層コンデンサの変形を抑制することができる。
また、本発明の積層コンデンサにおいて、第1ビア導体と第2ビア導体と間に配置されて積層方向に沿って貫通し、且つ、第1内部電極層および第2内部電極層と電気的に接続されない第5ビア導体を備えるようにしてもよい。
このように構成された積層コンデンサでは、第1ビア導体と第2ビア導体と間に第5ビア導体が配置されている。このため、第1コンデンサ(第2コンデンサ)でクラックが発生し、このクラックが第5ビア導体に向かって伸展した場合に、この伸展を第5ビア導体で阻止することができるため、第1コンデンサ(第2コンデンサ)で発生したクラックにより第1コンデンサと第2コンデンサの両方が故障してしまうという事態の発生を抑制することができる。
また、本発明の積層コンデンサにおいて、積層方向に沿って貫通するとともに、第1非接続電極層と電気的に接続され、かつ第1内部電極層および第2内部電極層と電気的に接続されない第1非接続ビア導体を備えるようにしてもよい。
このように構成された積層コンデンサでは、第1非接続ビア導体により第1非接続電極層の電位を検出することができるため、積層コンデンサが故障した場合に、第1非接続電極層の電位に基づいて、故障検知を行うことができる。
第1実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。 第1実施形態の積層コンデンサ1の平面図とA−AおよびB−B断面部を示す図である。 第2実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図とA−A断面部を示す図である。 第3実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図と平面図と底面図である。 第3実施形態の積層コンデンサ1のA−AおよびB−B断面部を示す図である。 第4実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図とA−AおよびB−B断面部を示す図である。 第5実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。 第5実施形態の積層コンデンサ1の平面図とA−AおよびB−B断面部を示す図である。 第6実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図と平面図と底面図である。 第6実施形態の積層コンデンサ1のA−A断面部を示す図である。
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面とともに説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。
積層コンデンサ1は、図1に示すように、例えばチタン酸バリウム等の誘電体セラミックを材料とする誘電体層(以下、セラミック層という)2と内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層されて構成される。
また、本実施形態の積層コンデンサ1は、ビアアレイ型の積層コンデンサであり、所定の第1電圧が印加される複数の電極積層部10と、第1電圧と異なる第2電圧が印加される複数の電極積層部20とを、積層方向SDに直交する方向に沿って交互に配置して構成される。
電極積層部10,20は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。また電極積層部10,20は、積層された複数の内部電極層3を互いに電気的に接続するために電極積層部10,20を積層方向SDに沿って貫通するビア導体4を備える。
なお以下、電極積層部10を構成するセラミック層2をセラミック層12、電極積層部10を構成する内部電極層3を内部電極層13、電極積層部10を構成するビア導体4をビア導体14という。同様に、電極積層部20を構成するセラミック層2をセラミック層22、電極積層部20を構成する内部電極層3を内部電極層23、電極積層部20を構成するビア導体4をビア導体24という。
さらに積層コンデンサ1は、電極積層部10,20に電気的に接続されていない電極積層部30を、電極積層部10と電極積層部20との間に配置して構成される。
電極積層部30は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。以下、電極積層部30を構成する内部電極層3を内部電極層33という。
そして内部電極層33は、積層方向SDに沿って互いに隣接する2つの内部電極層13間において内部電極層13と対向するとともに、積層方向SDに沿って互いに隣接する2つの内部電極層23間において内部電極層23と対向するように配置されている。
また積層コンデンサ1は、複数のビア導体14,24毎に設けられた表面電極5,6を備えている。表面電極5,6は、積層コンデンサ1の表面側と裏面側において、ビア導体14,24の端部に配置されている。
図2(a)は、積層コンデンサ1の平面図である。図2(b)は、図1のA−A断面部を示す図である。図2(c)は、図1のB−B断面部を示す図である。
積層コンデンサ1は、図2に示すように、平面視で矩形状に形成されている。
そして、図2(a)に示すように、複数の表面電極5,6は、矩形を構成する一辺に平行な方向RD(以下、列方向RDという)と、列方向RDに直交する方向(以下、行方向CDという)のそれぞれに沿って、表面電極5と表面電極6とが交互に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。
また、複数のビア導体14,24は、図2(b)に示すように、列方向RDと行方向CDのそれぞれに沿って、ビア導体14とビア導体24とが交互に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。さらに内部電極層33は、積層方向SDに直交する面の略全体に亘る矩形状に形成され、ビア導体14,24が形成されている領域に、ビア導体14,24の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH1が設けられている。
また、複数の内部電極層13,23は、図2(c)に示すように、矩形状に形成されており、ビア導体14,24毎に設けられている。そして、複数の内部電極層13,23は、積層方向SDに直交する面に沿って、内部電極層13と内部電極層23とが交互に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。さらに複数の内部電極層13,23は、矩形を構成する辺が対向している状態で隣接する内部電極層23,13に対して、互いに所定の間隔離間して配置されている。
次に、本発明が適用された積層コンデンサ1の製造方法について説明する。
(1)スラリーの調製
まず、チタン酸バリウム粉末と、MgO,CaO,SiO2,MnO2,Y23などが混合されている誘電体セラミック粒子粉末と、分散剤と、可塑剤とを、エタノールおよびトルエンの混合溶媒中で湿式混合した。その後、ブチラール系バインダを添加して更に混合することにより、グリーンシート用スラリーを調製した。
(2)セラミックグリーンシートの形成
調製したグリーンシート用スラリーを、ドクターブレード法などの汎用の方法により、所望の厚さとなるように塗工し乾燥させて、未焼成セラミックグリーンシートを得た。
(3)内部電極用ペーストの調製
導電性粒子(ニッケル粉末)と共材粉末(チタン酸バリウム粉末)と有機ビヒクル成分とを所定の体積割合で湿式混合して、内部電極用ペーストを得た。また本実施形態において、共材とは、グリーンシートを構成する材料と共通の成分を含む材料である。
(4)ビア導体用ペーストの調製
導電性粒子(ニッケル粉末)と共材粉末(チタン酸バリウム粉末)と有機ビヒクル成分とを、内部電極用ペーストの調製とは異なる所定の体積割合で湿式混合して、ビア導体用ペーストを得た。
(5)表面電極用ペーストの作製
ニッケル粉末と所定量の共材粉末とを混合して表面電極用ペーストを得た。共材には、チタン酸バリウム粉末と、チタン酸バリウムを主材とする誘電体磁器組成物(MgO,CaO,SiO2,MnO2,Y23等の希土類を主に含んでいる)の粉末を使用した。
(6)未焼成積層体形成工程
上記(1)で得られたセラミックグリーンシートの表面に、上記(3)で得られた内部電極用ペーストをスクリーン印刷により印刷した。
その後、印刷済みのセラミックグリーンシートを1枚ずつ積み重ねて圧着することにより、複数枚のセラミックグリーンシートを積層して未焼成積層体を得た。
(7)ビアホール形成工程
上記(6)で得られた未焼成積層体に、レーザ成形機を用いて、ビアホールを穿孔した。
(8)未焼成ビア導体形成工程
上記(7)で得られた未焼成積層体のビアホール内に、上記(4)で得られたビア導体用ペーストをスクリーン印刷により充填して、未焼成ビア電極を形成した。
(9)高圧圧着工程
上記(8)で得られた積層体を、80℃、100PMaの条件にて熱圧着を行った。
(10)未焼成表面電極形成工程
上記(9)で得られた未焼成積層体をスクリーン印刷装置にセットし、メッシュマスクを、未焼成積層体の上に重ね合わせるようにして配置する。このメッシュマスクは、表面電極を形成すべき箇所にメッシュ部が形成されている。そして、メッシュマスクの上面に、上記(5)で得られた表面電極用ペーストを供給し、スキージの移動によって表面電極用ペーストを刷り込む。これにより、メッシュ部に表面電極パターンが形成される。その後、メッシュマスクを未焼成積層体から引き離すとともに、未焼成積層体をスクリーン印刷装置から取り外し、取り外した未焼成積層体を乾燥することにより、表面電極パターンをある程度固化させる。
(11)焼成工程
上記(10)で得られた未焼成積層体を、大気中300℃で15時間脱脂した後、還元雰囲気中1300℃で焼成することにより、焼成積層体を得た。その後、焼成積層体を個片に分割して、複数個のビアアレイ型積層セラミックコンデンサを得た。
このように構成された積層コンデンサ1は、内部電極層33が内部電極層13および内部電極層23に対向しているため、内部電極層13と内部電極層33との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第1コンデンサという)と、内部電極層33と内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第2コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
これにより積層コンデンサ1は、内部電極層13と内部電極層23との間に印加される電圧を第1コンデンサと第2コンデンサにより分割することができる。このため積層コンデンサ1は、1つのコンデンサ当りに印加される電圧を小さくすることができ、耐電圧性が向上する。これにより、耐電圧性に起因した故障の発生を抑制することができる。
また、第1コンデンサと第2コンデンサの両方が故障しなければ部品として故障しないため、信頼性が向上する。
以上説明した実施形態において、内部電極層13は本発明における第1内部電極層、セラミック層12は本発明における第1絶縁層、ビア導体14は本発明における第1ビア導体、電極積層部10は本発明における第1電極積層部、内部電極層23は本発明における第2内部電極層、セラミック層22は本発明における第2絶縁層、ビア導体24は本発明における第2ビア導体、電極積層部20は本発明における第2電極積層部、内部電極層33は本発明における第1非接続電極層である。
(第2実施形態)
以下に本発明の第2実施形態を図面とともに説明する。なお第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
図3(a)は、第2実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A断面部を示す図である。
第2実施形態の積層コンデンサ1は、図3(a)に示すように、電極積層部30の代わりに電極積層部40を設けた点以外は第1実施形態と同じである。
電極積層部40は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。以下、電極積層部40を構成する内部電極層3を内部電極層43という。
そして内部電極層43は、図3(b)に示すように、矩形状に形成されており、行方向CDに沿って隣接する1対のビア導体14,24毎に設けられている。このため、複数の内部電極層43は、行方向CDと列方向RDのそれぞれに沿って二次元格子状に配列されている。さらに、複数の内部電極層43は、矩形を構成する辺が対向している状態で隣接する内部電極層43に対して、互いに所定の間隔離間して配置されている。また内部電極層43には、ビア導体14,24が形成されている領域に、ビア導体14,24の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH1が設けられている。
このように構成された積層コンデンサ1において、図3(a),(b)に示すように、或る1つの内部電極層43aが対向するように配置されている電極積層部10および電極積層部20をそれぞれ、電極積層部10aおよび電極積層部20aとするとともに、電極積層部20aに隣接する電極積層部10を電極積層部10bとすると、内部電極層43aは、積層方向SDに沿って、電極積層部10bの内部電極層13と非対向となるように配置される。
このため、内部電極層43aは、電極積層部10bの内部電極層13との間でコンデンサを形成しない。すなわち、電極積層部10aの内部電極層13と内部電極層43aとの間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(第1コンデンサ)、および内部電極層43aと電極積層部20aの内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(第2コンデンサ)と電極積層部10bとは分割されている。これにより、第1コンデンサまたは第2コンデンサで故障が発生した場合に、その故障の影響が電極積層部10bに及ぶのを抑制することができる。
また、積層コンデンサ1において、図3(b)に示すように、電極積層部20aが列方向RDに沿って隣接する電極積層部10を電極積層部10cとするとともに、電極積層部10aが列方向RDに沿って隣接する電極積層部20を電極積層部20cとすると、電極積層部10c,20cに対応した内部電極層43cが設けられている。
すなわち、この内部電極層43cは、電極積層部10c,20cの内部電極層13,23に対向している。このため積層コンデンサ1は、電極積層部10cの内部電極層13と内部電極層43cとの間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第3コンデンサという)と、内部電極層43cと電極積層部20cの内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第4コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
そして、内部電極層43cは電極積層部10a,20aの内部電極層13,23と非対向となっているため、第1,2コンデンサと第3,4コンデンサとは分割されている。
さらに、電極積層部10aから電極積層部20aへ向う方向が電極積層部10cから電極積層部20cへ向う方向と逆になっている。このため、第1,2コンデンサで流れる電流の向きと、第3,4コンデンサで流れる電流の向きとを逆にすることができる。そして、第1,2コンデンサは第3,4コンデンサと隣接しているため、第1,2コンデンサで発生する磁束と第3,4コンデンサで発生する磁束が互いに打ち消しあい、これにより、第1,2コンデンサと第3,4コンデンサが配置されている領域でインダクタンスを低減することができる。
以上説明した実施形態において、電極積層部10aは本発明における第1電極積層部、電極積層部20aは本発明における第2電極積層部、電極積層部10b,10cは本発明における第3電極積層部、内部電極層43aは本発明における第1非接続電極層、電極積層部20cは本発明における第4電極積層部、内部電極層43cは本発明における第2非接続電極層である。
(第3実施形態)
以下に本発明の第3実施形態を図面とともに説明する。なお第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
図4(a)は、第3実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。図4(b)は、積層コンデンサ1の平面図である。図4(c)は、積層コンデンサ1の底面図である。図5(a)は、図4(a)のA−A断面部を示す図である。図5(b)は、図4(a)のB−B断面部を示す図である。
第3実施形態の積層コンデンサ1は、図4(a)に示すように、電極積層部30の代わりに電極積層部50を設けた点と、電極積層部10,20の形状が変更された点以外は第1実施形態と同じである。
まず電極積層部50は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。以下、電極積層部50を構成する内部電極層3を内部電極層53という。
次に、第3実施形態の電極積層部10,20は、表面電極5,6の形状が変更された点以外は、第1実施形態の電極積層部10,20と同じである。
そして、積層コンデンサ1の上面と下面のそれぞれに設けられている表面電極5のうち、下面側の表面電極5は、第1実施形態の表面電極5と同じである。また、積層コンデンサ1の上面と下面のそれぞれに設けられている表面電極6のうち、上面側の表面電極6は、第1実施形態の表面電極6と同じである。
そして、積層コンデンサ1における上面側の表面電極5は、図4(b)に示すように、積層コンデンサ1の上面の略全体に亘る矩形状に形成され、表面電極6が形成されている領域に、表面電極6の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH5が設けられている。
また、積層コンデンサ1における下面側の表面電極6は、図4(c)に示すように、積層コンデンサ1の下面の略全体に亘る矩形状に形成され、表面電極5が形成されている領域に、表面電極5の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH6が設けられている。
さらに電極積層部50は、図4(a)および図5(a)に示すように、行方向CDに沿って隣接する1対のビア導体14,24毎に設けられる内部電極層531と、図4(a)および図5(b)に示すように、列方向RDに沿って隣接する1対のビア導体14,24毎に設けられる内部電極層532とを積層方向SDに沿って交互に積層されて構成される。
そして内部電極層531は、図5(a)に示すように、矩形状に形成されており、行方向CDに沿って隣接する1対のビア導体14,24毎に設けられている。このため、複数の内部電極層53は、行方向CDと列方向RDのそれぞれに沿って二次元格子状に配列されている。さらに、複数の内部電極層531は、矩形を構成する辺が対向している状態で隣接する内部電極層531に対して、互いに所定の間隔離間して配置されている。また内部電極層531には、ビア導体14,24が形成されている領域に、ビア導体14,24の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH1が設けられている。
また内部電極層532は、図5(b)に示すように、矩形状に形成されており、列方向RDに沿って隣接する1対のビア導体14,24毎に設けられている。このため、複数の内部電極層53は、行方向CDと列方向RDのそれぞれに沿って二次元格子状に配列されている。さらに、複数の内部電極層532は、矩形を構成する辺が対向している状態で隣接する内部電極層532に対して、互いに所定の間隔離間して配置されている。また内部電極層532には、ビア導体14,24が形成されている領域に、ビア導体14,24の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH1が設けられている。
このように構成された積層コンデンサ1において、図5(a)に示すように、或る1つの内部電極層531aが対向するように配置されている電極積層部10および電極積層部20をそれぞれ、電極積層部10aおよび電極積層部20aとすると、積層コンデンサ1は、電極積層部10aの内部電極層13と内部電極層531aとの間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第1コンデンサという)と、内部電極層531aと電極積層部20aの内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第2コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
また、積層コンデンサ1において、電極積層部20aが列方向RDに沿って隣接する電極積層部10を電極積層部10cとするともに、電極積層部10aが列方向RDに沿って隣接する電極積層部20を電極積層部20cとすると、電極積層部10c,20cに対応した内部電極層531cが設けられている。
すなわち、この内部電極層531cは、電極積層部10c,20cの内部電極層13に対向している。このため積層コンデンサ1は、電極積層部10cの内部電極層13と内部電極層531cとの間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第3コンデンサという)と、内部電極層531cと電極積層部20cの内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第4コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
そして、内部電極層531cは電極積層部10a,20aの内部電極層13と非対向となっているため、第1,2コンデンサと第3,4コンデンサとは分割されている。
さらに、積層コンデンサ1において、図5(b)に示すように、電極積層部10a,20cに対応した内部電極層532aと、電極積層部20a,10cに対応した内部電極層532bとが設けられている。
すなわち、内部電極層532aは、積層方向SDに沿って、電極積層部10aの内部電極層13を挟んで内部電極層531aとは反対側に配置されるとともに、電極積層部20cの内部電極層23を挟んで内部電極層531cとは反対側に配置されている。また、内部電極層532bは、積層方向SDに沿って、電極積層部20aの内部電極層23を挟んで内部電極層531aとは反対側に配置されるとともに、電極積層部10cの内部電極層13を挟んで内部電極層531cとは反対側に配置されている。
このように構成された積層コンデンサ1では、内部電極層532aが電極積層部10aの内部電極層13および電極積層部20cの内部電極層23に対向しているため、電極積層部10aの内部電極層13と内部電極層532aとの間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第5コンデンサという)と、内部電極層532aと電極積層部20cの内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第6コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
さらに、積層コンデンサ1では、内部電極層532bが電極積層部20aの内部電極層23および電極積層部10cの内部電極層13に対向しているため、電極積層部20aの内部電極層23と内部電極層532bとの間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第7コンデンサという)と、内部電極層532bと電極積層部10cの内部電極層13との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第8コンデンサという)とを直列接続した構造を有する。
さらに、電極積層部10aから電極積層部20aへ向う方向は、電極積層部10aから電極積層部20cへ向う方向、および電極積層部20aから電極積層部10cへ向う方向と直交する。このため、第1,2コンデンサで流れる電流の向きは、第5,6コンデンサで流れる電流および第7,8コンデンサで流れる電流の向きと直交する。すなわち、第5,6コンデンサで流れる電流および第7,8コンデンサで流れる電流について、第1,2コンデンサで流れる電流と同じ向きの成分はない。このため、第1,2コンデンサで発生する磁束と、第5,6コンデンサおよび第7,8コンデンサで発生する磁束とが互いに強め合うということがなく、第1,2コンデンサ、第5,6コンデンサ、および第7,8コンデンサが配置されている領域におけるインダクタンスの増大を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、内部電極層531aは本発明における第1非接続電極層、内部電極層531cは本発明における第2非接続電極層、内部電極層532aは本発明における第3非接続電極層、内部電極層532bは本発明における第4非接続電極層である。
(第4実施形態)
以下に本発明の第4実施形態を図面とともに説明する。なお第4実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
図6(a)は、第4実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。図6(b)は、図6(a)のA−A断面部を示す図である。図6(c)は、図6(a)のB−B断面部を示す図である。
第4実施形態の積層コンデンサ1は、図6(a)に示すように、電極積層部30の代わりに電極積層部60を設けた点以外は第1実施形態と同じである。
電極積層部60は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。以下、電極積層部60を構成する内部電極層3を内部電極層63という。
そして電極積層部60は、第1実施形態の内部電極層33と同様にして形成される内部電極層631(図6(b)を参照)と、第3実施形態の内部電極層531と同様にして形成される内部電極層632(図6(c)を参照)とを積層方向SDに沿って交互に積層されて構成される。
このように構成された積層コンデンサ1において、図6(c)に示すように、或る1つの内部電極層632aが対向するように配置されている電極積層部10および電極積層部20をそれぞれ、電極積層部10aおよび電極積層部20aとするとともに、電極積層部20aに隣接する電極積層部10を電極積層部10bとすると、内部電極層632aは、積層方向SDに沿って、電極積層部10bの内部電極層13と非対向となるように配置される。また内部電極層631は、図6(b)に示すように、積層方向SDに沿って電極積層部10bの内部電極層13と対向するように配置される。このため、電極積層部20aと電極積層部10bとの間の領域において、積層方向SDに沿って内部電極層631と同じ高さの箇所には電極層が配置されており、積層方向SDに沿って内部電極層632と同じ高さの箇所には電極層が配置されていない。
また内部電極層631が、電極積層部10aの内部電極層13および電極積層部20aの内部電極層23に対向しており、内部電極層632が、電極積層部10aの内部電極層13を挟んで内部電極層631とは反対側に配置されるとともに電極積層部20aの内部電極層23を挟んで内部電極層631とは反対側に配置されている。このため、電極積層部10aと電極積層部20aとの間の領域において、積層方向SDに沿って内部電極層631と同じ高さの箇所には電極層が配置されており、積層方向SDに沿って内部電極層632と同じ高さの箇所には電極層が配置されている。
このため、電極積層部10aと電極積層部20aとの間の領域(以下、第1,2積層部間領域という)と、電極積層部20aと電極積層部10bとの間の領域(以下、第2,3積層部間領域という)とを比較すると、第1,2積層部間領域の方が第2,3積層部間領域よりも電極層が多くなる。つまり、第1,2積層部間領域と第2,3積層部間領域との間で、内部電極層632の積層数分の電極層の粗密差がある。
一方、内部電極層632に加えて、内部電極層631も、積層方向SDに沿って電極積層部10bと非対向となるように配置されている場合には、第1,2積層部間領域と第2,3積層部間領域との間で、内部電極層631と内部電極層632の積層数分の電極層の粗密差がある。なお、電極層の粗密差があると、電極層の積層数に差が生じるため、第1,2積層部間領域と第2,3積層部間領域との間で、積層方向SDの長さ(すなわち、積層コンデンサ1の厚さ)が変化して段差が発生し、積層コンデンサ1が変形(反りなど)し易くなる。
従って、本実施形態の積層コンデンサ1によれば、内部電極層631も積層方向SDに沿って電極積層部10bと非対向となるように配置されている場合(第2実施形態の積層コンデンサ1)と比較して、上記の粗密差を低減することができ、積層コンデンサ1の変形を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、内部電極層631は本発明における第1非接続電極層、内部電極層632は本発明における第5非接続電極層である。
(第5実施形態)
以下に本発明の第5実施形態を図面とともに説明する。なお第5実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみを説明する。
図7は、本発明が適用された第5実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。
第5実施形態の積層コンデンサ1は、図7に示すように、複数の電極積層部10と、複数の電極積層部20とを、積層方向SDに直交する方向に沿って交互に配置するとともに、電極積層部10,20に電気的に接続されていない電極積層部70を、電極積層部10と電極積層部20との間に配置して構成される。
電極積層部70は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。また電極積層部70は、積層された複数の内部電極層3を互いに電気的に接続するために電極積層部70を積層方向SDに沿って貫通するビア導体74を備える。なお以下、電極積層部70を構成する内部電極層3を内部電極層73という。
図8(a)は、第5実施形態の積層コンデンサ1の平面図である。図8(b)は、図7のA−A断面部を示す図である。図8(c)は、図6のB−B断面部を示す図である。
第5実施形態の積層コンデンサ1は、図8に示すように、平面視で矩形状に形成されている。
そして、図8(a)に示すように、複数の表面電極5,6は、矩形を構成する一辺に平行な方向RD(列方向RD)と、列方向RDに直交する方向(行方向CD)のそれぞれに沿って、表面電極5と表面電極6とが交互に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。さらに、複数のビア導体74は、列方向RDと行方向CDのそれぞれに沿って、表面電極5と表面電極6との間に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。
また、複数のビア導体14,24は、図8(b)に示すように、列方向RDと行方向CDのそれぞれに沿って、ビア導体14とビア導体24とが交互に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。さらに内部電極層73は、積層方向SDに直交する面の略全体に亘る矩形状に形成され、ビア導体14,24が形成されている領域に、ビア導体14,24の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH1が設けられている。
また、複数の内部電極層13,23は、図8(c)に示すように、矩形状に形成されており、ビア導体14,24毎に設けられている。そして、複数の内部電極層13,23は、積層方向SDに直交する面に沿って、内部電極層13と内部電極層23とが交互に配置されるようにして二次元格子状に配列されている。さらに複数の内部電極層13,23は、矩形を構成する辺が対向している状態で隣接する内部電極層23,13に対して、互いに所定の間隔離間して配置されている。また、複数の内部電極層13,23は、ビア導体74が形成されている領域にビア導体74の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH2を形成できる形状に成形されている。
このように構成された積層コンデンサ1では、内部電極層73と電気的に接続されたビア導体74により内部電極層73の電位を検出することができるため、積層コンデンサ1が故障した場合に、内部電極層73の電位に基づいて、故障検知を行うことができる。
以上説明した実施形態において、ビア導体74は本発明における第1非接続ビア導体である。
(第6実施形態)
以下に本発明の第6実施形態を図面とともに説明する。なお第6実施形態では、第5実施形態と異なる部分のみを説明する。
図9(a)は、第6実施形態の積層コンデンサ1の概略構成を示す断面図である。図9(b)は、積層コンデンサ1の平面図である。図9(c)は、積層コンデンサ1の底面図である。図10は、図9(a)のA−A断面部を示す図である。
第6実施形態の積層コンデンサ1は、図9(a)に示すように、電極積層部70の代わりに電極積層部80を設けた点と、電極積層部10,20の形状が変更された点以外は第5実施形態と同じである。
まず電極積層部80は、複数のセラミック層2と複数の内部電極層3とが積層方向SDに沿って交互に積層された構造を有している。また電極積層部80は、電極積層部80を積層方向SDに沿って貫通するビア導体84を備える。なお以下、電極積層部80を構成する内部電極層3を内部電極層83という。
次に、第6実施形態の電極積層部10,20は、表面電極5,6の形状が変更された点以外は、第5実施形態の電極積層部10,20と同じである。
そして、積層コンデンサ1の上面と下面のそれぞれに設けられている表面電極5のうち、下面側の表面電極5は、第5実施形態の表面電極5と同じである。また、積層コンデンサ1の上面と下面のそれぞれに設けられている表面電極6のうち、上面側の表面電極6は、第5実施形態の表面電極6と同じである。
そして、積層コンデンサ1における上面側の表面電極5は、図9(b)に示すように、積層コンデンサ1の上面の略全体に亘る矩形状に形成され、表面電極6が形成されている領域に、表面電極6の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH5が設けられるとともに、ビア導体84が形成されている領域に、ビア導体84の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH7が設けられている。
また、積層コンデンサ1における下面側の表面電極6は、図9(c)に示すように、積層コンデンサ1の下面の略全体に亘る矩形状に形成され、表面電極5が形成されている領域に、表面電極5の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH6が設けられるとともに、ビア導体84が形成されている領域に、ビア導体84の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH7が設けられている。
さらに内部電極層83は、図10に示すように、積層方向SDに直交する面の略全体に亘る矩形状に形成され、ビア導体14,24が形成されている領域に、ビア導体14,24の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH1が設けられている。また内部電極層83は、ビア導体84が形成されている領域にビア導体84の断面積より大きい開口面積を有するクリアランスホールCH2が設けられている。
このように構成された積層コンデンサ1では、ビア導体14とビア導体24と間にビア導体84が配置されている。このため、電極積層部10の内部電極層13と内部電極層83との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第1コンデンサという)でクラックが発生し、このクラックがビア導体84に向かって伸展した場合に、この伸展をビア導体84で阻止することができるため、第1コンデンサで発生したクラックにより、第1コンデンサと、内部電極層83と電極積層部20の内部電極層23との間に絶縁層が挟まれてなるコンデンサ(以下、第2コンデンサという)の両方が故障してしまうという事態の発生を抑制することができる。同様に、第2コンデンサで発生したクラックにより、第1コンデンサと第2コンデンサの両方が故障してしまうという事態の発生を抑制することができる。
以上説明した実施形態において、ビア導体84は本発明における第5ビア導体である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば、上記第5実施形態では積層コンデンサ1が複数のビア導体74を備える一方、上記第6実施形態では積層コンデンサ1が複数のビア導体84を備えるものを示した。しかし積層コンデンサ1が、ビア導体74(すなわち、内部電極層と電気的に接続されたビア導体)とビア導体84(すなわち、内部電極層と電気的に接続されていないビア導体)とを混在させて備えるようにしてもよい。
1…積層コンデンサ、2,12,22…セラミック層、3,13,23,33,43,53,63,73,83,531,532,631,632…内部電極層、4,14,24,74,84…ビア導体、5,6…表面電極、10,20,30,40,50,60,70,80…電極積層部

Claims (7)

  1. 複数の第1内部電極層と複数の第1絶縁層とを交互に積層して構成される第1積層部分と、前記第1積層部分の積層方向に沿って前記第1積層部分を貫通する第1ビア導体とを有する第1電極積層部と、
    前記積層方向に直交する方向に沿って前記第1電極積層部に隣接し、複数の第2内部電極層と複数の第2絶縁層とを前記積層方向に沿って交互に積層して構成される第2積層部分と、前記積層方向に沿って前記第2積層部分を貫通する第2ビア導体とを有する第2電極積層部と、
    前記積層方向に沿って互いに隣接する2つの前記第1内部電極層間において該第1内部電極層と対向するように配置されるとともに、前記積層方向に沿って互いに隣接する2つの前記第2内部電極層間において該第2内部電極層と対向するように配置されるとともに前記積層方向に直交する面において全体に亘って形成され、且つ、前記第1内部電極層および前記第2内部電極層と電気的に接続されない内部電極層である第1非接続電極層とを備え、
    前記積層方向に直交する列方向および行方向のそれぞれに沿って前記第1電極積層部と前記第2電極積層部が交互に配置される二次元格子状配列されている
    ことを特徴とする積層コンデンサ。
  2. 前記積層方向に直交する方向に沿って前記第2電極積層部に隣接し、複数の第3内部電極層と複数の第3絶縁層とを前記積層方向に沿って交互に積層して構成される第3積層部分と、前記積層方向に沿って前記第3積層部分を貫通する第3ビア導体とを有する第3電極積層部を備え、
    前記第1非接続電極層は、前記積層方向に沿って前記第3内部電極層と非対向となるように配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
  3. 前記第3内部電極層は、前記第1内部電極層と電気的に接続され、
    前記積層方向に直交する方向に沿って前記第3電極積層部に隣接し、前記第2内部電極層と電気的に接続される複数の第4内部電極層と複数の第4絶縁層とを前記積層方向に沿って交互に積層して構成される第4積層部分と、前記積層方向に沿って前記第4積層部分を貫通する第4ビア導体とを有する第4電極積層部と、
    前記積層方向に沿って互いに隣接する2つの前記第3内部電極層間において該第3内部電極層と対向するように配置されるとともに、前記積層方向に沿って互いに隣接する2つの前記第4内部電極層間において該第4内部電極層と対向するように配置され、且つ、前記第1内部電極層、前記第2内部電極層、および前記第1非接続電極層と電気的に接続されない内部電極層である第2非接続電極層とを備え、
    前記第1ビア導体から前記第2ビア導体へ向う方向を第1配置方向とし、前記第2ビア導体から前記第3ビア導体へ向う方向を第2配置方向とし、前記第3ビア導体から前記第4ビア導体へ向う方向を第3配置方向として、
    前記第2配置方向が前記第1配置方向と直交するように前記第3電極積層部は配置されるとともに、前記第3配置方向が前記第1配置方向と逆になるように前記第4電極積層部は配置され、
    前記第2非接続電極層は、前記積層方向に沿って前記第1内部電極層と非対向となるとともに、前記積層方向に沿って前記第2内部電極層と非対向となるように配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の積層コンデンサ。
  4. 前記積層方向に沿って、1つの前記第1内部電極層を挟んで前記第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに、1つの前記第4内部電極層を挟んで前記第2非接続電極層とは反対側に配置され、且つ、前記第1内部電極層および前記第2内部電極層と電気的に接続されない内部電極層である第3非接続電極層と、
    前記積層方向に沿って、1つの前記第2内部電極層を挟んで前記第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに、1つの前記第3内部電極層を挟んで前記第2非接続電極層とは反対側に配置され、且つ、前記第1内部電極層、前記第2内部電極層、および前記第3非接続電極層と電気的に接続されない内部電極層である第4非接続電極層とを備える
    ことを特徴とする請求項3に記載の積層コンデンサ。
  5. 前記積層方向に直交する方向に沿って前記第2電極積層部に隣接して配置され、複数の第3内部電極層と複数の第3絶縁層とを前記積層方向に沿って交互に積層して構成される第3積層部分と、前記積層方向に沿って前記第3積層部分を貫通する第3ビア導体とを有する第3電極積層部と、
    前記積層方向に沿って、1つの前記第1内部電極層を挟んで前記第1非接続電極層とは反対側に配置されるとともに、1つの前記第2内部電極層を挟んで前記第1非接続電極層とは反対側に配置され、且つ、前記第1内部電極層および前記第2内部電極層と電気的に接続されない内部電極層である第5非接続電極層とを備え、
    前記第1非接続電極層は、前記積層方向に沿って前記第3内部電極層と対向するように配置され、
    前記第5非接続電極層は、前記積層方向に沿って前記第3内部電極層と非対向となるように配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
  6. 前記第1ビア導体と前記第2ビア導体と間に配置されて前記積層方向に沿って貫通し、且つ、前記第1内部電極層および前記第2内部電極層と電気的に接続されない第5ビア導体を備える
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の積層コンデンサ。
  7. 前記積層方向に沿って貫通するとともに、前記第1非接続電極層と電気的に接続され、かつ前記第1内部電極層および前記第2内部電極層と電気的に接続されない第1非接続ビア導体を備える
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の積層コンデンサ。
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