JP5463195B2 - セラミック電子部品及び配線基板 - Google Patents

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Description

この発明は、セラミック電子部品及びこのセラミック電子部品を内蔵して成る配線基板に関する。
従来、配線基板の低背化及び実装時のスペースの狭小化等により、コンデンサ等の電子部品を内蔵させた配線基板が開発されている。このような部品として、複数のセラミック層の間に内部電極層が設けられて成る積層部品が知られており、代表的な積層部品として積層セラミックコンデンサが挙げられる。積層セラミックコンデンサの中でも、複数のビア電極が格子状に配置されたビアアレイ型積層セラミックコンデンサは、多数の端子電極を有し、広範囲にわたってその外表面が端子電極に覆われるので、端子電極(表面電極と称することもある。)と端子電極が設けられている誘電体層とが十分に密着している必要がある。
特に、近年、ICチップの高速化、高機能化に伴って発熱量が増大する傾向にあり、誘電体層の表面に突出して形成されている端子電極に加わる熱応力の影響が増大傾向にあることから、端子電極が剥離(デラミネーションと称されることもある。)し易い状況にある。
特許文献1に記載の積層セラミック電子部品は、内部電極とセラミック層とが交互に積層され、この積層体の互いに対向する端面に内部電極が交互に引き出され、これらの内部電極が引き出された積層体の端面に外部電極が形成されている。特許文献1の請求項1には、「・・前記外部電極(2)、(2)は、積層体(3)の焼成と同時に焼き付けられたものであり、その外部電極(2)、(2)を形成する導体層(21)の厚さ方向に連なる柱状のチタン酸バリウムを含むセラミック部(22)が導体膜(21)に散在していることを特徴とする積層セラミック電子部品」が記載されている。この発明によると、「積層体3の端面における外部電極2、2と内部電極5、6との密着性だけでなく、外部電極2、2とセラミック層7との密着性も良好となる。」と記載されている。
特許第3535998号
特許文献1に記載されているように、積層体の端面における外部電極と内部電極との密着性だけでなくセラミック層との密着性を良好にするために、外部電極にセラミック層の主成分と同じ組成を有する共材料を特定の割合で含有させることが行なわれている。そして、外部電極における共材料の割合を増加させれば、外部電極とセラミック層との密着性をさらに向上させることができると考えられる。しかし、共材料は絶縁体であるため、外部電極における共材料の割合が増加すると外部電極全体の電気抵抗が上昇してしまい、電子部品としての電気的特性が低下してしまう。
本発明は、誘電体基体とこの誘電体基体上に設けられている表面電極との密着性が良好であると共に、電気的特性の優れたセラミック電子部品を提供すること、及び前記特性を有するセラミック電子部品を備えた配線基板を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1)主面と裏面とを有する誘電体基体と、前記誘電体基体の内部に配置される複数の内部電極層と、前記複数の内部電極層の少なくとも一部と接続するように前記誘電体基体内に延在するビア導体と、前記主面及び前記裏面のうちの少なくとも前記主面上に形成され、前記ビア導体に接続する表面電極とを備え、
前記表面電極は内側層と前記内側層を被覆する外側層とを有し、前記内側層は前記誘電体基体の主成分と同じ成分を含むセラミック部を含み、平面から見て前記内側層の前記誘電体基体と重なる部分である誘電体上内側層におけるセラミック部の体積割合が、前記内側層の前記ビア導体と重なる部分であるビア導体上内側層におけるセラミック部の体積割合よりも大きいことを特徴とするセラミック電子部品である。
前記(1)の好ましい態様は、
(2)前記誘電体上内側層におけるセラミック部が、樹枝状であり、その少なくとも一部が前記外側層との界面から前記誘電体基体との界面まで延在することを特徴とし、
(3)前記誘電体上内側層におけるセラミック部の体積割合が10%以上60%以下であることを特徴とし、
(4)前記セラミック電子部品は、前記ビア導体が平面から見て、格子状に配置して成るビアアレイ型積層コンデンサであることを特徴とする。
前記別の課題を解決するための手段は、
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のセラミック電子部品をコア主面及びコア裏面を有する樹脂コア基板内、または、樹脂絶縁層及び導体層を積層した配線積層部内に内蔵して成ることを特徴とする配線基板である。
この発明に係るセラミック電子部品は、表面電極における内側層が誘電体基体の主成分と同じ成分を含むセラミック部を含み、平面から見て前記内側層の前記誘電体基体と重なる部分である誘電体上内側層におけるセラミック部の体積割合が、前記内側層の前記ビア導体と重なる部分であるビア導体上内側層におけるセラミック部の体積割合よりも大きいので、表面電極と誘電体基体との密着性に優れると共に、表面電極の電気抵抗が低く、電気的特性の優れたセラミック電子部品を提供することができる。
また、この発明に係るセラミック電子部品は、さらに誘電体上内側層におけるセラミック部が、樹枝状であり、その少なくとも一部が前記外側層との界面から前記誘電体基体との界面まで延在し、誘電体上内側層に特定の割合でセラミック部が含有されていると、より一層表面電極と誘電体基体との密着性に優れると共に、表面電極の電気抵抗が低く、電気的特性の優れたセラミック電子部品を提供することができる。
この発明に係るセラミック電子部品は、ビアアレイ型積層コンデンサとして好適に用いられ、また、前記特性を有するセラミック電子部品を内蔵しているので、信頼性の高い配線基板を提供することができる。
図1は、この発明のセラミック電子部品の一例であるビアアレイ型積層コンデンサの一例を示す概略断面図である。 図2は、表面電極の一例である表面電極の平面形状を説明する概略平面図である。 図3は、表面電極の他の例である表面電極の平面形状を説明する概略平面図である。 図4は、この発明のセラミック電子部品の一例である積層コンデンサの主要部を示す説明図である。図4(a)は、この発明のセラミック電子部品の一例であるビアアレイ型積層コンデンサの主要部を示す要部概略断面図である。図4(b)は、図4(a)に示すビアアレイ型積層コンデンサにおけるBB´断面における要部概略断面図である。 図5は、この発明のセラミック電子部品の一例である積層コンデンサの製造工程の一例を示す説明図である。 図6は、内側層を形成する工程を示す説明図である。図6(a)は、内側層を形成する工程を示す説明図である。図6(b)は、内側層を形成する工程の他の例を示す説明図である。 図7は、この発明のセラミック電子部品の一例である積層コンデンサが内蔵された配線基板の一例を示す概略断面図である。
この発明に係るセラミック電子部品は、主面と裏面とを有する誘電体基体と前記誘電体基体の内部に配置される複数の内部電極層と、前記複数の内部電極層の少なくとも一部と接続するように前記誘電体基体内に延在するビア導体と、前記主面及び前記裏面のうちの少なくとも前記主面上に形成され、前記ビア導体に接続する表面電極とを備える。この発明に係るセラミック電子部品は、このような構成を有するセラミック電子部品であれば、その他の構成は特に限定されず、公知の種々の構成を採ることができる。
前記セラミック電子部品の具体例としては、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、デュプレクサ、共振器、カプラ及び誘電体アンテナ等の部品を挙げることができる。これらの部品としては、複数のビア電極が格子状に配置されたビアアレイ型積層コンデンサが多くの用途において使用されている。
以下においては、セラミック電子部品の一例として、ビアアレイ型積層コンデンサについて説明する(以下において、積層コンデンサと称する。)。
図1は、この発明のセラミック電子部品の一例である積層コンデンサの概略断面図である。この積層コンデンサ1は、主面2aと裏面2bとを有する誘電体基体2と前記誘電体基体2の内部に配置される複数の内部電極層3a、3bと、前記複数の内部電極層3a、3bの少なくとも一部と接続するように前記誘電体基体2内に延在するビア導体4a、4bと、前記主面2a及び前記裏面2bのうちの少なくとも前記主面2a上に形成され、前記ビア導体4a、4bに接続する表面電極5a,5bとを備える。
前記積層コンデンサ1の外形は特に限定されないが、通常、直方体形状であり、特に板状であることが好ましい。また、前記主面2aと前記裏面2bとは対向する面であり、これらの面は基板に搭載する際にいずれの面が上方、下方、又は側方に向いて配置されてもよい。
前記誘電体基体2は、複数の誘電体層8が積層された構造を有しており、積層コンデンサ1の主面2a側の外表面を形成する誘電体層8と、裏面2b側の外表面を形成する誘電体層8と、内部電極層3a,3bの層間に配置された複数の誘電体層8とにより構成される。この誘電体層8は、非還元性誘電体磁器組成物で形成された高誘電率セラミックからなり、非還元性誘電体磁器組成物の主成分としては各種のチタン酸塩が挙げられる。このチタン酸塩としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム等が挙げられる。非還元性誘電体磁器組成物は、この他に希土類酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マンガン、及びガラス等から選択される1種以上を含有する。さらに、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化コバルト等を含有してもよい。主成分として含有されるチタン酸塩は誘電体基体全量に対して95体積%以上99体積%以下(95%以上99質量%%以下)含有するのが好ましい。
前記誘電体層8の厚さ及び全積層数は特に限定されず、基板内臓用の積層コンデンサであれば、例えば、内部電極層3a,3b間の誘電体層8の厚さは1〜10μm、特に1〜5μmとすることができる。また、主面2a側及び裏面2b側に配置される誘電体層8の厚さは、内部電極層3a,3b間の誘電体層8の厚さと同じでもよく、機械的ストレスによる破損を防止し、環境からの水分の浸入及びめっき時の水分の浸入を防止するため、それぞれ20〜200μm、特に40〜100μmと他の誘電体層よりも厚くすることもできる。この誘電体層8の全積層数は、例えば30〜200層、特に50〜160層とすることができる。
前記内部電極層3a,3bは、誘電体層8の間に設けられた導電層である。この内部電極層3a,3bの主成分は金属であり、この金属としては、ニッケル、銅、金、白金、銀、パラジウム、タングステン及びモリブデン等を挙げることができる。また、内部電極層3a,3bを構成する金属は、誘電体基体2を構成する高誘電率セラミックと同時焼成をすることができる金属が好ましく、このような観点から、通常ニッケルが用いられる。ニッケルの含有量は、内部電極層3a,3b全量に対して60〜99体積%(69.0〜99.3質量%)であるのが好ましく、70〜95体積%(77.6〜96.6質量%)であるのが特に好ましい。その他に内部電極層3a,3bに含有される金属は、1種のみ含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。また、合金の形態で含有されていてもよい。また、誘電体層8との密着性及び接合強度等を良好にするために、誘電体層8に含有される非還元性誘電体磁器組成物又はその主成分であるチタン酸塩(以下において、セラミック成分と称することもある。)が含有されるのが好ましく、前記セラミック成分を焼成することにより形成されるセラミック部の含有量は、内部電極層3a,3b全量に対して1〜40体積%(0.7〜31.0質量%)であるのが好ましく、5〜30体積%(3.4〜22.4質量%)であるのが特に好ましい。
前記内部電極層3a,3bの平面形状及び厚さは特に限定されないが、平面形状は、正方形及び長方形等の形状をとることができる。また、厚さは内部電極層3a,3b間に配置される誘電体層8より薄いことが好ましく、具体的には、0.5〜5μm、特に0.5〜2μmであることが好ましい。内部電極層3a,3bの層数は、例えば誘電体層8と同程度の層数とすることができる。
前記ビア導体4aは、複数の内部電極層3a同士、ビア導体4bは、複数の内部電極層3b同士をそれぞれ電気的に接続している導電体である。ビア導体4a,4bは、通常、複数の誘電体層8と複数の内部電極層3a,3bとを積層方向に貫通するように配置される。それぞれのビア導体4a,4bの端面は、表面電極5a,5bの内側層6と接続される。ビア導体4aは、その側面において内部電極層3aと電気的に接続され、内部電極層3bと所定の間隔を介して電気的に絶縁される。同様にビア電極4bは、その側面において内部電極層3bと電気的に接続され、内部電極層3aとは絶縁される。ビア導体4a,4bは、内部電極層3a,3bと同様の金属で形成されることができ、上述した内部電極層における記載をそのまま適用することができる。なお、ビア導体4a,4bの組成は、内部電極層3a,3b及び後述する表面電極5a,5bのビア導体上内側層11の組成と同じでもよく、異なっていてもよい。
ビア導体4a,4bの直径は、特に限定されないが、50〜200μmであるのが好ましい。これらのビア導体4a,4bは平面から見て格子状(アレイ状)に配列され、450〜700μmのピッチで配列されるのが好ましい。
前記表面電極5a,5bは、ビア導体4a,4bの端面と電気的に接続された内側層6と内側層6を被覆する外側層7とを有する。この表面電極5a,5bは、誘電体基体2の主面2a及び裏面2bのうちの少なくとも一方の面に配設されている導電体である。
表面電極5a,5bの形態は特に限定されず、図2に示すように、それぞれのビア導体4a,4bに対応して個別に形成された電極とすることができる。それぞれの表面電極の平面形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形等の多角形、及び十字形等とすることができる。これらの形状は、1個の積層コンデンサにおいて同じであってもよく、異なっていてもよい。また、ビア導体4a,4bと誘電体基体2とに接触する表面電極5a,5bの面積は、ビア導体4a,4bと接触している部分の面積の2.0倍以上であるのが好ましい。また、図3に示すように、表面電極5aは、複数のビア導体4bに共用される電極とすることもできる。この場合も、表面電極5aの平面形状は特に限定されず、例えば絶縁させるべき一群のビア導体4aとの接続を避けるためのクリアランスホール15を備える連続した一体の表面電極5aとすることができる。
前記内側層6は、図4に示すように、ビア導体4a,4bの端面と誘電体基体2の主面2aとに接合される。内側層6は、ビア導体4a,4bを構成する金属、例えばニッケルだけでなく、誘電体層8を構成する非還元性誘電体磁器組成物又はその主成分であるチタン酸塩からなるセラミック成分が焼成されて成るセラミック部9を含有する。内側層6がセラミック部9を含有すると、内側層6の誘電体基体2への密着性が向上する。したがって、内側層6におけるセラミック部9の含有量を増大させれば、さらに内側層6の誘電体基体2への密着性が向上すると考えられる。しかし、一方で表面電極5a,5bの電気抵抗が増加して積層コンデンサ1の電気的特性が劣ってしまう。
そこで、発明者らは、誘電体基体2上にある内側層6とビア導体4a,4b上にある内側層とで、セラミック部9の含有割合を変えることで、表面電極5a,5bと誘電体基体2との密着性と表面電極5a,5bの低電気抵抗とを両立させることができることを見出した。すなわち、図4に示すように、平面から見て内側層6の誘電体基体2と重なる部分である誘電体上内側層10におけるセラミック部9の体積割合(A)を、内側層6のビア導体4a,4bと重なる部分であるビア導体上内側層11におけるセラミック部9の体積割合(B)よりも大きくする。このように、内側層6におけるセラミック部9の体積割合を、誘電体基体2の主面2aに接触する部分では大きくし、ビア導体4a,4bと接触する部分では小さくすることで、表面電極5a,5bと誘電体基体2との密着性を良好にすると共に、表面電極5a,5bの電気抵抗を低く抑えることができる。
前記誘電体上内側層10におけるセラミック部9の含有割合は、ビア導体上内側層11におけるセラミック部9の含有割合よりも大きく、かつ、誘電体上内側層10の全体積に対して10〜60体積%(誘電体上内側層10全質量に対して7.0〜50.3質量%)であるのが好ましく、20〜50体積%(10.6〜40.3質量%)であるのが特に好ましい。ニッケルの含有割合は、誘電体上内側層10の全体積に対して40〜90体積%(誘電体上内側層10全質量に対して49.7〜93.0質量%)であるのが好ましく、50〜80体積%(59.7〜85.6質量%)であるのが特に好ましい。また、ニッケルとセラミック部9との合計割合は、99.8体積%以上(99.8質量%以上)であるのが好ましく、内部電極層3a,3bに含まれるニッケル以外の金属等を含有してもよい。
セラミック部9及びニッケルの含有割合が前記範囲内にあると、内側層6と誘電体基体2の主面2aとの密着性が良好になると共に、表面電極5a,5bの電気抵抗を低く抑えることができる。セラミック部9の含有割合が前記範囲より小さいと、焼成時の収縮量が大きくなり、他の部材とのマッチングが取れなくなるおそれがある。また、セラミック部9の含有量が前記範囲より大きいと、外側層7との密着性が低下するおそれがある。
前記ビア導体上内側層11におけるセラミック部9の含有割合は、誘電体上内側層10におけるセラミック部9の含有割合よりも少なく、かつ、ビア導体上内側層11全体積に対して40体積%以下(ビア導体上内側層11全質量に対して31質量%以下)であるのが好ましく、30体積%以下(22.4質量%以下)であるのが特に好ましい。ニッケルの含有割合は、60体積%以上(69.0質量%以上)であるのが好ましく、70体積%以上(77.6質量%以上)であるのが特に好ましい。また、ニッケルとセラミック部9との合計割合は、99.8体積%以上(99.8質量%以上)であるのが好ましく、内部電極層3a,3bに含まれるニッケル以外の金属等を含有してもよい。
誘電体上内側層10におけるセラミック部9の体積割合(A)に対するビア導体上内側層11におけるセラミック部9の体積割合(B)の比(B)/(A)は、1より小さく、0.8より小さいのが好ましい。
前記体積割合(B)/(A)は、次のようにして求めることができる。すなわち、図4(a)に示すように、積層コンデンサ1を主面2aに垂直な断面で切断し、この切断面における内側層6をSEM(300倍)又はデジタルマイクロスコープ(300倍)で写真撮影し、誘電体上内側層10における、セラミック部9とニッケル粉末等の導電体により形成される導体部14との合計面積に対するセラミック部9の面積比(C)を画像解析により求める。同様にして、ビア導体上内側層11におけるセラミック部9と導体部14の合計面積に対するセラミック部9の面積比(D)を画像解析により求める。次いで、面積比(C)に対する面積比(D)の割合(D/C)を算出する。面積比は体積比に等しいと推定し、この算出値(D/C)を、誘電体上内側層10におけるセラミック部9の体積割合(A)に対するビア導体上内側層11におけるセラミック部9の体積割合(B)の比(B)/(A)とする。
また、誘電体上内側層10におけるセラミック部9が、樹枝状であり、その少なくとも一部が外側層7との界面12から誘電体基体2との界面13まで延在すると、より一層内側層6と誘電体基体2との密着性が良好になる。樹枝状と判断される形態としては、球状、楕円形状、及び棒状等の形態を有するセラミック部9が連なった結果、5μm以上の長さの枝が1箇所以上で分岐している枝状体が複数存在し、誘電体上内側層10内に分散している状態、セラミック部9がスポンジ状又は網目状に連なっている状態等を挙げることができる。このようなセラミック部9の形態は、積層コンデンサ1を主面2aに垂直な断面で切断し、この切断面における内側層6をSEMで観察することにより確認することができる。
前記樹枝状のセラミック部9は、誘電体上内側層11を形成する誘電体上内側層用ペースト中のセラミック成分の含有量を調整すること、及び誘電体上内側層用ペースト中のセラミック成分の平均粒径をニッケル粉末等の導電性を有する導電性粒子の平均粒径よりも特定の比率で小さくすること、の少なくとも一方により形成することができる。誘電体上内側層用ペーストが所定量のセラミック成分を含むこと、及びその平均粒径が導電性粒子の平均粒径よりも小さいこと、の少なくとも一方が達成されていると、焼成中にセラミック成分が導電性粒子同士の間隙を移動して樹枝状に連なり易くなり、また外側層7との界面12と誘電体層8との界面13との間を延在し易くなる。
前記外側層7は、内側層6を被覆するように形成されており、表面電極5a,5bの最外層になる。外側層7は、銅を含有し、銅の含有量は、外側層7全体積に対して99.9体積%以上であるのが好ましく、100体積%であるのが特に好ましい。外側層7が前記範囲内で銅を含有すると、表面粗化が容易となり、この積層コンデンサを内蔵する配線基板における銅配線と容易に接続することができる。また、配線基板における樹脂絶縁層等との密着性を向上させることができる。
前記誘電体基体2、前記内部電極3a,3b、ビア導体4a,4b、及び表面電極5a,5bにおける組成は、EPMAのWDXにより定量分析して測定することができる。
次に、本発明のセラミック電子部品の一例である積層コンデンサの製造方法について説明する。積層コンデンサ1は、図5に示すように、未焼成積層体形成工程(P1)と、貫通孔形成工程(P2)と、未焼成ビア導体形成工程(P3)と、未焼成内側層形成工程(P4)と、焼成工程(P5)と、未焼成外側層形成工程(P6)とを有する方法によって製造することができる。
未焼成積層体形成工程(P1)では、誘電体層8となる未焼成誘電体層108と内部電極層3a,3bとなる未焼成内部電極層103a、103bとを積層して、未焼成積層体201を形成する。まず、前述した非還元性誘電体磁器組成物の粉末、脂肪酸、リン酸エステル、合成界面活性剤、ベンゼンスルホン酸、ポリカルボン酸、ポリアミン等の分散剤、及びグリセリン、ポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等の可塑剤を所定の割合で、エタノール及びトルエン等の溶媒中で湿式混合し、次いで、バインダを添加して更に混合し、得られたスラリーをドクターブレード法等によりシート状に成形して未焼成誘電体層108となるグリーンシートを作製する。次いで、ニッケル粉末、前述した非還元性誘電体磁器組成物の粉末、有機ビヒクル、及び所望により他の金属の粉末を所望の割合で湿式混合して、未焼成内部電極層103a,103bになる内部電極用ペーストを調製する。なお、有機ビヒクルはペーストの性状の調製を目的として含有される。
前記未焼成誘電体層108になるグリーンシートの一面に前記内部電極用ペーストをスクリーン印刷により印刷して未焼成内部電極層103a、103bを形成する。次いで、未焼成内部電極層103a,103bが形成された各未焼成誘電体層108を適宜の枚数積層して圧着して、各未焼成誘電体層108を一体化して未焼成積層体201を得る。この際、内部電極用ペーストは、一部のビア導体4a,4bとの絶縁を図るために、クリアランスホールが形成されるように印刷される。このクリアランスホールの平面形状は特に限定されないが、通常円形である。
貫通孔形成工程(P2)では、未焼成積層体201の主面102aと裏面102bとの間を貫通する貫通孔116を形成して、未焼成貫通積層体202を形成する。貫通孔116の形成方法としては、レーザ光照射による穿孔及びパンチングによる穿孔等を採用することができる。貫通孔116の直径は、特に限定されないが、70〜200μmであるのが好ましい。この貫通孔116の直径は、実質的にビア導体の直径に相当する。これらの貫通孔116は未焼成貫通積層体202を平面から見て格子状に配列され、500〜800μmのピッチで形成するのが好ましい。
未焼成ビア導体形成工程(P3)では、前記貫通孔116内にビア導体4a,4bとなるビア導体用ペーストを充填して未焼成ビア導体104a,104bを形成して、未焼成ビア積層体203を形成する。ビア電極用ペーストを貫通孔116内に充填する方法は特に限定されず、スクリーン印刷法等による印刷法、ディスペンサーを用いる方法等を採用することができる。ビア導体用ペーストは、ニッケル粉末、前述した非還元性誘電体磁器組成物の粉末、有機ビヒクル、及び所望により他の金属の粉末を所定の割合で湿式混合して、調製する。
未焼成内側層形成工程(P4)では、図5及び図6(a)に示すように、未焼成ビア積層体203の主面102a及び裏面102bのうち少なくとも一方の面に、誘電体上内側層用ペーストとビア導体上内側層用ペーストとを印刷して、未焼成ビア導体104a,104bと接続する未焼成内側層106を形成する。まず、ニッケル粉末とチタン酸バリウムの粉末又は前述した非還元性誘電体磁器組成物の粉末と有機ビヒクルと所望により他の金属の粉末を所定の割合で湿式混合して、未焼成誘電体上内側層110となる誘電体上内側層用ペーストとビア導体上内側層111となるビア導体上内側層用ペーストとを、調製する。前述したように、ビア導体上内側層用ペーストよりも誘電体上内側層用ペーストの方が焼成後にセラミック部の体積割合が多くなるように調製する。
誘電体上内側層用ペースト中のセラミック成分の割合は、誘電体上内側層用ペースト全体積に対して10〜60体積%(誘電体上内側層用ペースト全質量に対して7.0〜50.3質量%)であるのが好ましく、20〜50体積%(10.6〜40.3質量%)であるのが特に好ましい。ビア導体上内側層用ペースト中のセラミック成分の割合は、ビア導体上内側層用ペースト全体積に対して40体積%以下(ビア導体上内側層11全質量に対して31質量%以下)であるのが好ましく、30体積%以下(22.4質量%以下)であるのが特に好ましい。
誘電体上内側層用ペースト内及びビア導体上内側層用ペースト内に含まれる導電性を有する導電性粒子、例えばニッケル粉末の平均粒径は、0.6〜10.0μmであるのが好ましく、1.0〜5.0μmであるのが特に好ましい。導電性粒子の平均粒径が前記範囲内にあると、未焼成誘電体層108と未焼成内側層106との間に間隙が形成されるのが防止されて、未焼成内側層106を印刷により確実に形成することができる。また、焼成後における誘電体層8と内側層6との間の密着性に優れる。さらに、後述する微細なチタン酸バリウムの粉末又は非還元性誘電体磁器組成物の粉末が比較的大きな導電性粒子の間を連なり、樹枝状のセラミック部が形成されやすくなる。この平均粒径は、SEM観察により100個の導電性粒子を観察してその直径を測定し、加算平均を求めることにより算出することができる(以下において、この平均粒径をDSEMと称することがある。)。
誘電体上内側層用ペースト内及びビア導体上内側層用ペースト内に含まれるチタン酸バリウムの粉末又は非還元性誘電体磁器組成物の粉末の平均粒径は、0.05〜1.0μmであるのが好ましく、0.1〜0.8μmであるのが特に好ましい。チタン酸バリウムの粉末又は非還元性誘電体磁器組成物の粉末の平均粒径が前記範囲内にあると、焼成時における、未焼成誘電体層108、未焼成内部電極層103a,103b、未焼成ビア導体104a,104b及び未焼成内側層の収縮挙動の差異が小さくなるので、得られる内側層6と誘電体層8との密着性に優れる。
この発明の積層コンデンサ1における未焼成内側層106の製造方法としては、次の2つの方法を挙げることができる。第1の方法としては、図5及び図6(a)に示すように、まず、未焼成ビア積層体203をスクリーン印刷装置にセットして、メッシュマスクを未焼成ビア積層体203の上に重ね合わせるようにして配置する。このメッシュマスクは、未焼成ビア導体104a,104bが露出している部分がメッシュ部になっている。このメッシュマスクの上面にビア導体上内側層用ペーストを供給し、スキージ等の移動によってこのビア導体上内側層用ペーストを刷り込み、各メッシュ部に未焼成ビア導体上内側層111を形成する。印刷後、メッシュマスクを取り外す。次いで、予定されている表面電極5a,5bの大きさのメッシュ部を有するメッシュマスクを、未焼成ビア導体上内側層111が形成されているパターンに合わせて、未焼成ビア積層体203の上に重ね合わせるようにして配置する。このメッシュマスクの上面に誘電体上内側層用ペーストを供給し、スキージ等の移動によってこの誘電体上内側層用ペーストを刷り込み、各メッシュ部に未焼成誘電体上内側層110を形成する。印刷後、メッシュマスクを取り外して、乾燥を行い、形成された未焼成内側層106をある程度固化させて、未焼成内側層積層体204を形成する。
第2の方法としては、図5及び図6(b)に示すように、前記未焼成ビア導体形成工程(P3)において、未焼成ビア導体104a,104bを未焼成誘電体基体102の主面102aから突出するように形成して、この突出部117を未焼成ビア導体上内側層111の代わりとする。次いで、第1の方法において未焼成誘電体上内側層110を製造したのと同様にして、未焼成ビア導体上内側層111に接触するように未焼成誘電体上内側層110を形成する。第2の方法によると、工程数を少なくすることができ、コストを低減させることができるので、好ましい。
焼成工程(P5)では、未焼成ビア積層体203と未焼成内側層106とを一体に焼成して、焼成体205を得る。まず、未焼成内側層形成工程(P4)で得られた未焼成内側層積層体204を、大気中250〜300℃で10〜20時間脱脂した後、還元雰囲気下で1200〜1300℃で1〜3時間焼成する。
外側層形成工程(P6)では、内側層6を被覆する外側層7を形成する。この外側層7の形成方法としては、めっき法、銅粉末を含有する外側層用ペーストを印刷して焼き付ける方法等を挙げることができる。めっき法の場合には、めっき処理をする前にウェットブラストにより酸化層の除去をして、内側層6の表面を清浄化するのが好ましい。
このようにして、積層コンデンサ1が得られる。
次に、この発明のセラミック電子部品、特に積層コンデンサを内蔵する配線基板について説明する。
図7は、この発明のセラミック電子部品の一例である積層コンデンサを内蔵する配線基板の一例を示す概略断面図である。この発明の一例である配線基板50は、コア主面51a及びコア裏面51bとを有する樹脂コア基板53と、樹脂コア基板53のコア主面51a上に形成される配線積層部54aと、樹脂コア基板53のコア裏面51b上に形成される配線積層部54bと、前記樹脂コア基板53内、又は、配線積層部54a、54b内に収容される積層コンデンサ1とを備える。
樹脂コア基板53は、積層コンデンサ1を収容し、配線基板50全体を支持するコア基板である。樹脂コア基板53は、通常、積層コンデンサ1を収容する収容部55を有する。収容部55は、樹脂コア基板53に設けられた貫通穴及び有底穴のうちの少なくとも一方により形成される。樹脂コア基板53を構成する材料は、特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリフェ二レンエーテル樹脂等の耐熱性を有する高分子材料を用いることが好ましい。さらに、より優れた強度及び熱特性を有する樹脂コア基板53とするために、ガラス繊維、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、ポリアミド繊維、ポリアミド繊維不織布、ポリアミド繊維織布等を芯材として備えてもよい。
また、樹脂コア基板53には、コア主面51aとコア裏面51bとを導通するスルーホール導体56を設けることができる。このスルーホール導体56は、スルーホールの内部全体に充填されていてもよいが、スルーホール壁面に形成されたスルーホール導体56を除く他の部分が絶縁性硬化体57により閉塞された形態であってもよい。
積層コンデンサ1は、通常、樹脂コア基板53が有する収容部55内に収容された状態で、エポキシ樹脂等の樹脂材料等の充填剤58によって収容部55内に固定されている。
配線積層部54a、54bは、通常、樹脂コア基板53及び樹脂コア基板53に収容された積層コンデンサ1の両面に積層され、導体層59a、59bと樹脂絶縁層60a、60b、61a、61bとが交互に積層して形成され、かつ、最外層にはレジスト層62a、62bを備える。この配線積層部54a、54bは、配線基板50の一面側にのみ形成されてもよいが、通常、両面側に形成され、さらに積層方向に対称形状に形成されることが好ましい。一般に、積層コンデンサ1等のセラミック電子部品を内蔵する配線基板50の半導体素子70側の接続端子63aの端子間ピッチと配線基板50のマザーボード側の接続端子63bの端子間ピッチとには大きな差がある。そのため、配線積層部54a、54bを設けることで、この配線積層部54a、54b内でピッチを自在に調製して配線基板50の上面側から下面側へ異なる端子端ピッチの出力を行なうようにすることができる。
さらに、配線積層部54a、54bの樹脂絶縁層60a、60b、61a、61bを構成する材料は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリフェ二レンエーテル樹脂等の耐熱性を有する高分子材料を用いることが好ましい。また、配線積層部54a、54bの導体層59a、59bは、必要に応じて、他の層の導体層とビア等を通じて導通してもよい。
<積層コンデンサの製造>
(1)未焼成誘電体層となるグリーンシートの作製
チタン酸バリウム粉末(97質量%)、MgO、SiO、MnO、及びYを含む非還元性誘電体磁器組成物の粉末(レーザ回折式粒度分布計による平均粒径0.5μm)、分散剤としてポリカルボン酸系分散剤及び可塑剤としてフタル酸ジオクチルを、エタノール及びトルエンの混合溶媒中で湿式混合して混合粉末とし、この混合粉末にブチラール系バインダを添加してさらに混合してスラリーを調整した。得られたスラリーをドクターブレード法によりシートを成形し、このシートを加熱して溶剤を除去し、内層用の厚み7μmのグリーンシート及び表層用の厚み30μmのグリーンシートを作製した。
(2)内側層用ペーストの調整
ニッケル粉末(導電性粒子,DSEM=0.6〜10μm)と、チタン酸バリウム粉末(レーザ回折式粒度分布計による平均粒径0.05〜0.1μm)と、セルロース系樹脂、テルピネオール及びブチルカルビトール系溶剤を含む有機ビヒクルとを三本ロールにより混練し、ペーストIを調整した。このペーストIは、ペーストIを100質量%とした場合に、ニッケル粉末とチタン酸バリウム粉末とからなる無機固形分を80質量%と有機ビヒクルを20質量%とを含有する。また、チタン酸バリウム粉末は、無機固形分を100体積部とした場合に、表1に示す割合で含有される。
前記ペーストIにおいて、チタン酸バリウム粉末(97質量%)に、さらにMgO、SiO、MnO、及びYを含む非還元性誘電体磁器組成物の粉末を用いたこと以外は、ペーストIと同様にしてペーストIIを調整した。
(3)内部電極層用ペーストの調整
ニッケル粉末(平均粒径DSEM=0.2μm)と、チタン酸バリウム粉末(レーザ回折式粒度分布計による平均粒径0.1μm)と、ペーストIで用いた有機ビヒクルと同じ有機ビヒクルとを三本ロールにより混練し、内部電極層用ペーストを調整した。なお、ニッケル粉末とチタン酸バリウム粉末と有機ビヒクルとの体積割合は、それぞれ12体積%、3体積%、85体積%であった。
(4)ビア導体用ペーストの調整
ニッケル粉末(平均粒径DSEM=2.5μm)と、チタン酸バリウム粉末(レーザ回折式粒度分布計による平均粒径0.5μm)と、ペーストIで用いた有機ビヒクルと同じ有機ビヒクルとを三本ロールにより混練し、ビア導体層用ペーストを調整した。なお、ニッケル粉末とチタン酸バリウム粉末と有機ビヒクルとの体積割合は、それぞれ40体積%、16体積%、44体積%であった。
(5)未焼成積層体形成工程(P1)
上記(3)で得られた内部電極層用ペーストの粘度を、溶剤で11Pa・sに調整し、この内部電極層用ペーストを、上記(1)で作製した内層用のグリーンシートと表層用のグリーンシートとの一面に、スクリーン印刷により印刷し、未焼成内部電極層を形成した。この際、未焼成内部電極層のクリアランスホールの直径は約400μmとした。次いで、未焼成内部電極層が形成された内層用の未焼成誘電体層100枚を積層し、この積層体の両面に表層用の未焼成誘電体層を積層し、圧着(60〜80℃、約300kgf/cm)して、厚み1200μmの未焼成積層体を作製した。
(6)貫通孔形成工程(P2)
上記(5)で得られた未焼成積層体に、レーザにより口径約120μmの貫通孔を450〜700μmのピッチで格子状に穿孔して、未焼成貫通積層体を形成した。
(7)未焼成ビア導体形成工程(P3)
上記(4)で得られたビア導体用ペーストを、溶剤を用いて粘度が2500Pa・sになるように調整し、粘度の調整されたビア導体用ペーストを上記(6)で得られた未焼成貫通積層体の貫通孔内に、スクリーン印刷により充填して未焼成ビア導体を形成して、未焼成ビア積層体を作製した。
(8)未焼成内側層形成工程(P4)
上記(7)で得られた未焼成ビア積層体をスクリーン印刷機にセットし、メッシュマスクを未焼成ビア積層体の上に重ね合わせるようにして配置した。なお、このメッシュマスクは、未焼成ビア導体が露出している部分がメッシュ部になっている。次いで、このメッシュマスクの上面に上記(2)で得られた表1に示す特性を有するビア導体上内側層用ペーストを、溶剤を用いて粘度が約100Pa・sとなるように調整して供給し、スキージの移動によって刷り込み、各メッシュ部に未焼成ビア導体上内側層を形成した。印刷後、メッシュマスクを取り外す。次いで、予定されている表面電極の大きさのメッシュ部を有するメッシュマスクを、未焼成ビア導体上内側層が形成されているパターンに合わせて、未焼成ビア積層体の上に重ね合わせるようにして配置する。このメッシュマスクの上面に上記(2)で得られた表1に示す特性を有する誘電体上内側層用ペーストを供給し、スキージの移動によって刷り込み、各メッシュ部に未焼成誘電体上内側層を形成した。印刷後、メッシュマスクを引き離し、スクリーン印刷機から未焼成ビア導体上内側層が形成された未焼成ビア積層体を取り出して乾燥を行い、未焼成内側層をある程度固化させて、未焼成内側層積層体を形成した。
(9)焼成工程(P5)
上記(8)で得られた未焼成内側層積層体を、大気中で250〜300℃で10〜20時間脱脂した後、還元雰囲気下で1200〜1300℃で2時間焼成して、焼成体を形成した。
(10)外側層形成工程(P6)
上記(9)で得られた焼成体をウェットブラストにより酸化層の除去をして、内側層の表面を清浄化した。次いで、ピロ燐酸銅浴による電解銅めっきにより内側層の全表面に外側層を形成した。外側層の厚みは10〜20μmであった。
こうして、積層コンデンサを製造した。
<誘電体上内側層及びビア導体上内側層におけるセラミック部の体積割合の測定方法>
図4に示すように、上記(10)で得られた積層コンデンサを主面に垂直な断面で切断して鏡面研磨して、この切断面における内側層6をSEM(300倍)で写真撮影し、内側層6における誘電体層8上にある部分(誘電体上内側層10)における、非還元性誘電体磁器組成物又はチタン酸バリウムからなるセラミック部9とニッケル粉末により形成される導体部14の合計面積に対するセラミック部9の面積比(C)を画像解析により求めた。同様にして、内側層6におけるビア導体4上にある部分(ビア導体上内側層11)における、セラミック部9と導体部14の合計面積に対するセラミック部9の面積比の面積比(D)を画像解析により求めた。次いで、前記面積比(C)に対する前記面積比(D)の割合(D/C)を算出した。結果を表2に示す。
求めた面積比(D/C)は、誘電体上内側層におけるセラミック部の体積割合(A)とビア導体上内側層におけるセラミック部の体積割合(B)との比(B/A)に等しいと推定される。
<評価方法>
(1)電気抵抗値の測定
上記(5)で得られた積層コンデンサにおける近接する2つの表面電極に、それぞれ2本のプローブをあてて、4端子法により電気抵抗値を測定した。近接する2つの表面電極の電気抵抗値を10箇所測定し、これらの相加平均を算出した。なお、この電気抵抗値は、ビア導体2本分の電気抵抗値である。結果を表2に示す。
(2)表面電極の密着性評価
上記(10)で得られた積層コンデンサの主面側に短冊状の切り込みを入れ(縦12mm×横3mm×深さ0.03mm)、0.5mm径のニッケル線を横方向の中心部に全長さ(すなわち、12mm)に亘ってはんだ付けし、ニッケル線のはんだ付けされていない側の端部をクランプで挟持して、積層コンデンサの主面に対して直角方向に20mm/分の速度で引っ張り、最大50N測定可能なロードセルにより剥離加重を測定した。なお、はんだ付けの長さが12mmと長いため、一部に表面電極が形成されていない部分、すなわちクリアランスホールに対応する部分もある。また、剥離界面は、目視により確認した。結果を表2に示す。
(3)セラミック部の形態観察
上記(10)で得られた積層コンデンサを主面に垂直な断面で切断して鏡面研磨し、この切断面における内側層をSEMにより観察し、セラミック部の形態について調べた。セラミック部が連なって5μm以上の長さになり、枝状に分かれている場合を樹枝形状があると判断した。結果を表2に示す。
Figure 0005463195
Figure 0005463195
この発明の範囲内にある実施例1〜15の積層コンデンサは、剥離荷重が大きく、内側層の誘電体基体に対する密着性が良好であり、さらに電気抵抗値が低かった。一方、この発明の範囲外にある比較例1及び2の積層コンデンサは、低電気抵抗及び密着性の少なくとも一方の性能が劣っていた。
1 ビアアレイ型積層コンデンサ
2 誘電体基体
2a 主面
2b 裏面
3a、3b 内側電極層
4a,4b ビア導体
5a,5b 表面電極
6 内側層
7 外側層
8 誘電体層
9 セラミック部
10 誘電体上内側層
11 ビア導体上内側層
12、13 界面
14 導体部
15 クリアランスホール
50 配線基板
51a コア主面
51b コア裏面
53 樹脂コア基板
54a,54b 配線積層部
55 収容部
56 スルーホール導体
57 絶縁性硬化体
58 充填剤
59a,59b 導体層
60a,60b、61a,61b 樹脂絶縁層
62a,62b レジスト層
63a,63b 接続端子
70 半導体素子

Claims (5)

  1. 主面と裏面とを有する誘電体基体と、前記誘電体基体の内部に配置される複数の内部電極層と、前記複数の内部電極層の少なくとも一部と接続するように前記誘電体基体内に延在するビア導体と、前記主面及び前記裏面のうちの少なくとも前記主面上に形成され、前記ビア導体に接続する表面電極とを備え、
    前記表面電極は内側層と前記内側層を被覆する外側層とを有し、前記内側層は前記誘電体基体の主成分と同じ成分を含むセラミック部を含み、平面から見て前記内側層の前記誘電体基体と重なる部分である誘電体上内側層におけるセラミック部の体積割合が、前記内側層の前記ビア導体と重なる部分であるビア導体上内側層におけるセラミック部の体積割合よりも大きいことを特徴とするセラミック電子部品。
  2. 前記誘電体上内側層におけるセラミック部が、樹枝状であり、その少なくとも一部が前記外側層との界面から前記誘電体基体との界面まで延在することを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品。
  3. 前記誘電体上内側層におけるセラミック部の体積割合が10%以上60%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック電子部品
  4. 前記セラミック電子部品は、前記ビア導体が平面から見て、格子状に配置して成るビアアレイ型積層コンデンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミック電子部品。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミック電子部品をコア主面及びコア裏面を有する樹脂コア基板内、または、樹脂絶縁層及び導体層を積層した配線積層部内に内蔵して成ることを特徴とする配線基板。
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