JP2006274167A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも2個の原料投入口3,4又は5と樹脂出口6を有し、原料投入口3とその次に位置する原料投入口4の間および最下流の原料投入口5と樹脂出口との間に混練部7を有し、最上流の混練部8または9とその次に位置する原料投入口との間に設置された第1の真空ベント10および最下流の混練部と樹脂出口との間に設置された第2の真空ベント11を有する混練機を用いて、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、最上流の投入口からポリプロピレン系樹脂と、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と、有機過酸化物とを投入し、第1の真空ベントを減圧し、最下流の投入口から針状フィラーを投入し、第2の真空ベントを減圧して、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法。
【選択図】図1
Description
例えば、特開昭53−102948号公報には、ガラス繊維で補強する場合に変性ポリプロピレンを用い、加工時の発泡やボイドの発生を防止する方法として、
ポリプロピレン、ガラス繊維、アミノシラン系カップリング剤およびエポキシ樹脂で処理したガラス繊維からなる混合物に、アクリル酸または無水マレイン酸を含む変性ポリオレフィンを添加した混合物を、ベント型押出機で減圧状態で押出し加工して、ポリプロピレン成形材料を得る方法が記載されている。
すなわち、本発明は、
シリンダの上流から下流へ設置された少なくとも2個の原料投入口と、シリンダ末端に位置する樹脂出口を有し、
それぞれの原料投入口とその次に位置する原料投入口の間および最下流に位置する原料投入口と樹脂出口との間に混練部を有し、
最上流に位置する混練部とその次に位置する原料投入口との間に設置された第1の真空ベントおよび最下流に位置する混練部と樹脂出口との間に設置された第2の真空ベントを有する混練機を用いて、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
最上流の投入口からポリプロピレン系樹脂(A)と、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(B)と、有機過酸化物(C)とを投入し、最上流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第1の真空ベントを介して、−40cmHg以下で減圧し、
最下流の投入口から針状フィラー(D)を投入し、最下流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第2の真空ベントを介して、−40cmHg以下で減圧して、
熱可塑性樹脂組成物を製造する方法、その方法によって製造された熱可塑性樹脂組成物、および、その組成物からなる成形体に係るものである。
シリンダの上流から下流へ設置された少なくとも2個の原料投入口と、シリンダ末端に位置する樹脂出口を有し、
それぞれの原料投入口とその次に位置する原料投入口の間および最下流に位置する原料投入口と樹脂出口との間に混練部を有し、
最上流に位置する混練部とその次に位置する原料投入口との間に設置された第1の真空ベントおよび最下流に位置する混練部と樹脂出口との間に設置された第2の真空ベントを有する混練機である。
具体的な混練機としては、シリンダ(1)の上流から下流へ第1の原料投入口(3)と、第2の原料投入口(4)と、第3の原料投入口(5)と、第1の原料投入口(3)と第2の原料投入口(4)の間に第1の真空ベント(10)及び第3の原料投入口(5)と樹脂出口(6)の間に第2の真空ベント(11)を有する混練機で、それぞれの原料投入口の下流側に第1〜第3のニィーディングディスクと逆方向フライトで構成された混練部(第1混練部(7)、第2混練部(8)、第3混練部(9))及び第1の混練部(7)と第2の原料投入口(4)の間に設置された逆方向フライト(12)からなるスクリュー構成(2)のものが例示される。
最上流の投入口からポリプロピレン系樹脂(A)と、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(B)と、有機過酸化物(C)とを投入し、最上流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第1の真空ベントを介して、−40cmHg以下で減圧し、
最下流の投入口から針状フィラー(D)を投入し、最下流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第2の真空ベントを介して、−40cmHg以下で減圧して、
熱可塑性樹脂組成物を製造する方法である。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系等が挙げられ、また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒を用いてもよい。
多段階の製造方法としては、例えば、特開平5−194685号公報、特開2002−12719号公報に記載の多段階の重合法による製造方法等が挙げられる。
なお、重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量、重合時間等)は、目的とするポリプロピレン系樹脂(A)に応じて、適宜、変更し、決定すればよい。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)には、一般に市販されている上記のポリプロピレン系樹脂を用いることができる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(B)としては、一般に市販の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を使用することができる。
なお、本発明の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(B)は、スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族炭化水素と一緒に用いた方が更に好ましい場合がある。
具体的には、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチルパーオキシカルボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ベルオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルベルオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α−α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
有機過酸化物(C)としては、半減期が1分になる温度が50〜230℃であるものが、反応温度を制御する上で好ましい。有機過酸化物は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
有機過酸化物(C)としては、一般に市販の有機過酸化物を使用することができる。
針状フィラー(D)としては、一般に市販の針状フィラーを使用することができる。
曲げ強度や疲労強度等の強度や、耐加水分解性低下を防止するという観点から、好ましくは、無水マレイン酸変性ポリオレフィン収束剤の重量が、収束剤の全重量の略半分以上である収束剤である。
ガラス繊維としては、一般に、市販のガラス繊維を使用することができる。
本発明の成形体の成形方法は、射出成形、押出成形、圧縮成形、中空成形等の一般に行われている成形方法が挙げられ、成形方法によって制約されることはない。
(1)ポリプロピレン系樹脂
(PP−1)
ポリプロピレンにプロピレン−エチレン共重合部をブロック的に重合した、以下の構造を有するプロピレンブロック共重合体の住友化学株式会社製パウダー
MFRが0.5g/10分で、エチレン含量は7.5重量%であった。又、プロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレン共重合体成分の重合比は、最終的に得られたプロピレンブロック共重合体の重量とプロピレン単独重合体成分の量から算出したところ、重量比で79/21であった。したがってプロピレン−エチレン共重合体成分中のエチレンの含有量は35.7重量%であり、プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度[η]は2.8dl/gであった。
(PP−2)
住友化学株式会社製 ノーブレンW101 230℃、21N荷重におけるメルトフローレイトが8.5g/10分、ペレット形状であるホモタイプのポリプロピレン。
(MAH)
日本触媒社製 無水マレイン酸
(PO−1)
化薬アクゾ社製 パーカドックス24
(PO−2)
化薬アクゾ社製 パーカドックス14
共同薬品製 ステアリン酸カルシウム
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 Irganox1010
松原産業株式会社製 Songnox6260
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(GF)
日本電気硝子社製 チョップドストランド ESC03T−480H/PL、繊維径は10μmであり、繊維長は3mmであり、カップリング剤がアミノシラン系カップリング剤であり、収束剤が無水マレイン酸変性ポリオレフィン系収束剤に極少量のウレタン系収束剤を併用した収束剤であった。
シリンダ(1)の上流から下流へ設置された3個の原料投入口(3、4、5)と、シリンダ末端に位置する樹脂出口(6)を有し、それぞれの原料投入口とその次に位置する原料投入口の間および最下流に位置する原料投入口(5)と樹脂出口(6)との間に混練部(7、8、9)を有し、最上流に位置する混練部(7)とその次に位置する原料投入口(4)との間に設置された第1の真空ベント(10)および最下流に位置する混練部(5)と樹脂出口(6)との間に設置された第2の真空ベント(11)を有する図1に示す東芝機械製TEM50A混練機を用いて、表1に示した割合で最上流の第1原料投入口(3)からPP−1、MAH、PO−1、PO−2、Cast、Irg1010及びSong6260を、下流側中間の第2原料投入口(4)からPP−2を、最下流側の第3原料投入口(5)からGFをそれぞれ投入し、第1の原料投入口(3)から投入され最上流に位置する混練部(7)で混練された樹脂組成物を、第1の真空ベント(10)を介し、また最下流の第3原料投入口(5)から無機フィラー(D)を投入し最下流に位置する混練部(9)で混練された樹脂組成物を、第2の真空ベント(11)を介して、それぞれ表2に示した圧力に減圧する製造方法で行った。
(1)引張強度(YS、単位:MPa)
ASTM D638 に準拠し、1/8インチ厚さの試験片を使用して23℃における引張り強度を測定した。
ASTM D790 に準拠し、1/8インチ厚さの試験片を使用して23℃における曲げ強度を測定した。
ASTM D256 に準拠し、1/8インチ厚さの試験片を使用して23℃におけるノッチ付きのIzod衝撃強度を測定した。
ASTM D671−71T METHOD B に準拠し、1/8インチ厚さのTYPE A 試験片を使用して、23℃における繰り返し曲げ応力26MPaでの破断までの繰り返し回数を測定した。測定は、東洋精機(株)製繰り返し振動試験機B70型を使用し、繰り返し速度30Hzで行った。
混練機に設置された第1の真空ベントに設置された圧力計で読み取ったベント圧力が−73cmHg、第2の真空ベントに設置された圧力計で読み取ったベント圧力が−76cmHgで樹脂組成物の製造を行った。
混練機に設置された第1の真空ベントに設置された圧力計で読み取ったベント圧力が0cmHg、第2の真空ベントに設置された圧力計で読み取ったベント圧力が−76cmHgで樹脂組成物の製造を行った。
混練機に設置された第1の真空ベントに設置された圧力計で読み取ったベント圧力が−37cmHg、第2の真空ベントに設置された圧力計で読み取ったベント圧力が−76cmHgで樹脂組成物の製造を行った。
これに対して、本発明の要件である最上流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第1の真空ベントを介して減圧するときの圧力を満足しない比較例1および2は、引張強度、曲げ強度、衝撃強度および疲労強度が不充分であることが分かる。
2 スクリュー
3 最上流第1原料投入口
4 第1原料投入口
5 最下流第3原料投入口
6 樹脂出口
7 最上流第1混練部
8 第2混練部
9 最下流第3混練部
10 第1真空ベント
11 第2真空ベント
12 逆フライト
Claims (4)
- シリンダの上流から下流へ設置された少なくとも2個の原料投入口と、シリンダ末端に位置する樹脂出口を有し、
それぞれの原料投入口とその次に位置する原料投入口の間および最下流に位置する原料投入口と樹脂出口との間に混練部を有し、
最上流に位置する混練部とその次に位置する原料投入口との間に設置された第1の真空ベントおよび最下流に位置する混練部と樹脂出口との間に設置された第2の真空ベントを有する混練機を用いて、熱可塑性樹脂組成物を製造する方法であって、
最上流の投入口からポリプロピレン系樹脂(A)と、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(B)と、有機過酸化物(C)とを投入し、最上流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第1の真空ベントを介して、−40cmHg以下で減圧し、
最下流の投入口から針状フィラー(D)を投入し、最下流に位置する混練部で混練された樹脂組成物を、第2の真空ベントを介して、−40cmHg以下で減圧して、
熱可塑性樹脂組成物を製造する方法。 - 針状フィラー(D)が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の方法によって製造された熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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