JP2006273033A - 乗員保護装置用起動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 衝突初期検出部3は車室内側の加速度センサ1で検出した衝撃レベルが所定の閾値に達する衝突初期タイミングをで検出し、この衝突初期タイミングを検出したときにはワンショットタイマ4をタイマ設定する。一方、衝撃判定部5はフロント側の加速度センサ2で検出した衝撃レベルが所定の閾値に達する大衝撃発生タイミングを検出する。この大衝撃発生タイミングが前記衝突初期タイミングから前記タイマ設定した時間内のときには、論理積回路6はエアバッグ10を起動する起動信号が駆動部8へ出力する。
【選択図】 図1
Description
従来例その1として、この技術は、複数のインフレータで1つのエアバッグを展開させる方式のエアバッグ装置に関するもので、衝突の初期の段階において、衝突の激しさを容易に判断できる方式の提供と、更に、衝突の激しさの程度に応じて、インフレータの作動の最適化が容易に行える作動制御装置の提供とを目的とし、これにより、エアバッグの最適な展開形態の実現を図ったものであり、その構成として、車室内に配置され、該車室部の加速度を常時検出する加速度センサとは別に、衝突時に最初に変形を受けるクラッシュゾーンに、衝突の程度を判断するための、スイッチ機能を有するクラッシュゾーンセンサを配置し、これによって衝突の程度を判断して前記複数インフレータの作動の要否と、作動及び作動タイミング等の作動形態を制御する様にしたものである(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記車室内加速度センサにおいては、この加速度センサへの衝撃の入力タイミングが遅く、また、衝撃自身が車両の様々な部材を介して伝達されるため、複雑な衝撃の入力となっていた。従って、このような入力に従い検出した加速度値を基に衝突の大小を判定した場合、判定が微妙なケースについては衝撃伝達系の部材を変更したときには感度設定にずれが生じるケースが発生し、このことより衝突判定が不安定になるという問題があった。
また、前記従来例その1または従来例その2等のような複数のインフレータで1つのエアバッグを展開させる方式のエアバッグ装置(アドバンストエアバッグ)においては、エアバッグを低速衝突時には非展開とし、中速衝突時には減圧展開(1段目点火)し、高速衝突時には通常展開(2段目点火)させるというアドバンストエアバッグの本来的機能を衝突時の衝撃レベルを基準に達成するようにした場合、この本来的機能が必ずしも適切に作動しない場合があるという問題があった。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による乗員保護装置用起動制御装置の構成を示すブロック図である。なお、以下においては乗員保護装置を「エアバッグ」として説明する。
図1において、この乗員保護装置用起動制御装置は車室内側加速度センサ1(以下、「加速度センサ1」とする)、車両フロント側加速度センサ2(以下、「加速度センサ2」とする)、衝突初期検出部3、ワンショットタイマ4、衝撃判定部5、論理積(AND)回路6、駆動部8およびエアバッグ展開制御部9とで構成される。
加速度センサ2は車両フロント側の所定位置に設置され、この設置位置に加わる衝撃レベルを検出するもので、車両衝突時に発生する衝撃が入力され、この衝撃のレベルに応じた電圧信号に変換して出力する。この加速度センサ2への衝撃入力は前記加速度センサ1に比し比較的単純な入力となる。
衝突初期検出部3は加速度センサ1からの信号をもとに、加速度センサ1で検出された衝撃レベルが予め設定した第1の閾値に達する車両の衝突初期タイミングを検出する。
衝撃判定部5は加速度センサ2からの信号をもとに、加速度センサ2で検出された衝撃レベルが予め設定した第2の閾値に達する大きな衝撃が発生したかについて判定し、その大衝撃発生タイミングを検出する。ここで、第2の閾値は大きな衝撃(大衝撃)の検出を可能にするために前記第1の閾値より大きく設定する。
論理積(AND)回路6はワンショットタイマ4の出力と衝撃判定部5の出力とを論理積演算するものであり、具体的動作としては、衝撃判定部5において検出された大衝撃発生タイミングがワンショットタイマ4に対しタイマ処理された一定時間内であるときにはエアバッグ起動信号を出力する。
駆動部8は衝突判定制御部7から入力されたエアバッグ起動信号を後段のエアバッグ展開制御部9によるエアバッグ10の展開制御に要する形態の駆動信号にして出力する。
エアバッグ展開制御部9は駆動部8からの駆動信号に従いエアバッグ10を展開制御する。
上記駆動部8およびエアバッグ展開制御部9とで乗員保護装置制御手段を形成する。
加速度センサ1で検出された車室内側の衝撃レベルおよび加速度センサ2で検出されたフロント側の衝撃レベルの各信号が衝突判定制御部7の衝突初期検出部3および衝撃判定部5へそれぞれ入力する。
衝突初期検出部3は加速度センサ1で検出した衝撃レベルが第1の閾値に達する衝突初期タイミングを検出し、この衝突初期タイミングを検出したときには、衝突初期タイミングから一定時間だけ衝撃判定部5による衝撃判定を許可するようにワンショットタイマ4に対しタイマ処理する。
一方、衝撃判定部5は加速度センサ2で検出した衝撃レベルが第2の閾値に達する大衝撃発生タイミングを検出する。この衝撃判定部5で検出された大衝撃発生タイミングがワンショットタイマ4に対しタイマ処理された一定時間内のときには論理積回路6よりエアバッグ起動信号が駆動部8へ出力される。
駆動部8はエアバッグ展開制御部9に対しエアバッグ10の展開制御に要する駆動信号を出力し、エアバッグ展開制御部9はエアバッグ10を展開制御する。
図2は図1における衝突初期検出部3または衝撃判定部5の基本構成図である。
図2において、衝突初期検出部3または衝撃判定部5は、いずれも、A/D変換部11、演算処理部12および比較部13とで構成され、構成ブロック図としては共通である。ただし、処理対象の信号自体は別個であることは云うまでもない。以下、衝突初期検出部3または衝撃判定部5等の説明においてはこの図2を共用することとする。
上記構成において、A/D変換部11は加速度センサ1または加速度センサ2で検出された衝撃レベルに応じたアナログ形態の電圧信号をディジタル信号へ変換する。
演算処理部12はA/D変換部11からのディジタル信号を基に衝撃の大小を注出する処理(=積分処理+LPF「Low Pass Filter」実施する。
比較部13は演算処理部12で積分処理された信号を予め設定されている閾値(Gthr)と比較し、その比較結果を検出出力または判定出力として出力する。上記閾値(Gthr)は衝突初期検出部3の場合は第1の閾値(Gthr1)であり、衝撃判定部5の場合は第2の閾値(Gthr2)である。
図3はこの発明の実施の形態1による乗員保護装置用起動制御装置を構成する主要構成部分の車両上における設置位置関係の説明図である。
図3に示すように、車両フロントの左右の所定位置に加速度センサ2(L)および加速度センサ2(R)が設置され、運転席および助手席には前面衝突時に乗員を保護するエアバッグ10が設置されている。また、車両中央部車室内にはメインECU21が設置され、このメインECU21に加速度センサ1および各種コントロールユニット(衝突判定制御部7等)が設置されている。
図4は車両前面衝突が発生した場合の図1の衝突判定制御部7における衝突判定動作の説明図である。なお、この図4においては図4(e)等に示すように、加速度センサについては車室内側の加速度センサ31、車両フロント中央部の加速度センサ32の2箇所の設置で説明する。この加速度センサ31は図1の加速度センサ1に対応し、加速度センサ32は図1の加速度センサ2に対応する。
図4において、図4(a)は衝突速度が速く大きな衝突の場合のタイミングチャート、図4(b)は衝突速度が遅い場合のタイミングチャート、図4(c)は時間(横軸)対するフロント側加速度センサ32に入力される衝撃G(縦軸)の関係図、図4(d)は時間(横軸)対する車室内(フロア等)側加速度センサ31に入力される衝撃G(縦軸)の関係図、図4(e)は車両33が衝突対象物34に前面衝突した状態図、図4(f)は車両33が前面衝突したときに車室内側の加速度センサ31へ入力される衝撃の説明図、図4(g)は車両33が前面衝突したときにフロント側の加速度センサ32へ入力される衝撃の説明図である。なお、上記図4(c),(d)の衝撃G(縦軸)は図2で説明した演算処理部12で処理した演算値である。
さらに衝突が進行すると、図4(g)に示すように、その後、車両33の前方部が変形し、直接大きな衝撃G(Gc)がフロント側の加速度センサ32に入力される。この入力大衝撃G(Gc)は図4(c)に示すように、衝撃判定部5の比較部(図2)において前述の第2の閾値(Gthr2)と比較され、この入力大衝撃G(Gc)が第2の閾値を超える(達した)タイミングを検出する。検出されたタイミングを大衝撃発生タイミング(Tpeak)とする。
T=Tpeak−Tstart=L/V…………(1)
ここで、Lは図4(e)[または図3]に示すように、車両33の前方端からフロント側の加速度センサ32までの距離、Vは車両33の衝突速度である。
上記(1)式から理解できるように、距離Lを一定とすれば、衝突速度Vが小さい(遅い)場合は時間Tは大きく(遅く)、逆に、衝突速度Vが大きい(速い)場合は時間Tは小さい(速い)。
また、図4(a)(2)は直接衝撃がフロント側の加速度センサ32に入力され、前記大衝撃発生タイミング(Tpeak)が衝撃判定部5により検出された状態を示している。この状態はハイ「H」レベルとなる。このハイ「H」レベル状態の図4(a)(2)の信号は論理積ゲート6の他端へ入力する。このTpeakが上記図(1)のタイマ時間Twの範囲内の場合には、論理積ゲート6からは図4(a)(3)に示すように、エアバッグを起動させる起動信号が出力される。
以上説明のように、検出した衝突初期タイミング(Tstart)から一定時間(Tw)の間で、フロント側の加速度センサ32に大きな衝撃が発生した場合、エアバッグは起動される。
図4(b)において、図4(b)(1)は図4(a)(1)と同様であり、衝突が発生して衝突初期タイミング(Tstart)が衝突初期検出部3により検出され、この検出に基づきワンショットタイマ4がタイマセット(Tw)された状態である。
衝突速度が遅い場合、フロント側の加速度センサ32への衝撃の入力タイミングが遅くなり、衝撃判定部5からの衝撃発生タイミングの出力は図4(b)(2)のようになる。この図4(b)(2)に示す出力は図4(b)(1)の一定時間(Tw)の範囲外であり、この結果、論理積回路6による図4(b)(1)の信号と図4(b)(2)の信号との論理積演算の出力はLOW(非作動)となり、図4(b)(3)に示す信号出力となる。この信号出力により、エアバッグは起動されないこととなる。
図5は前面衝突発生時の図1の衝突判定制御部7における衝突判定の処理を示すフロ−チャートである。
主にマイクロコンピュータで構成される衝突判定制御部7においては、数百マイクロ秒ごとにサンプリングされた加速度信号情報に基づいて、エアバッグ10の展開・非展開の判定を実施している。
図5において、ステップST1では、衝突判定制御部7の衝突初期検出部3は加速度センサ1から入力される衝撃レベルと第1の閾値(Gthr1)とを比較し、衝突の始まりか否かを判定する。この判定において、前面衝突の始まりではない場合は(ステップST1―No)、ステップST2へ進み、衝突の始まりである場合は(ステップST1―Yes)、ステップST3へ進む。
ステップST3では、衝突判定制御部7の衝突初期検出部3は衝突の始まりとして判定したときにはタイマリセットし(ワンショットタイマ4)、衝突発生タイミングが前記図4(a)(1)で説明した時間0(衝突初期タイミングTstart)となるようにタイマ時間をリセットする。このタイマリセットにより、前記図4(a)(1)のタイマ時間Twがセットされたこととなる。上記タイマリセットの処理後、ステップST5へ進む。
ステップST4では、衝突判定制御部7はタイマ時間を加算し、ステップST5へ進む。
ステップST6では、衝突判定制御部7は大きな衝撃の発生の判定に従いエアバッグ起動信号を駆動部8へ出力し(論理積回路6)、この衝突判定をリターン処理する。
エアバッグ起動信号が入力された駆動部8はエアバッグ展開制御部9を介しエアバッグ10を展開させる。
なお、上記のようにフロント側加速度センサ2(32)を電気機械式加速度センサをした場合、衝突初期タイミング(Tstart)の検出は車室内側の加速度センサ31により検出することとなる。
図6はこの発明の実施の形態2による乗員保護装置用起動制御装置の構成を示すブロック図であり、(a)は1段目点火判定の構成を示すブロック図、(b)は2段目点火判定の構成を示すブロック図である。なお、以下においては実施の形態1と同様に乗員保護装置を「エアバッグ」として説明する。
前述の実施の形態1による乗員保護装置用起動制御装置は、前面衝突が発生した場合、その衝突初期タイミングから一定時間内にフロント側に大きな衝撃が発生したときにはエアバッグを起動するようにしたものであるが、この起動によるエアバッグの展開は、エアバッグの作動状態(=膨張力)を100%作動状態に展開するものであった。
これに対し、この実施の形態2による乗員保護装置用起動制御装置は、乗員の体格等に適合させる「アドバンストエアバッグ」または「スマートエアバッグ」と称される形式の起動制御装置であり、エアバッグの作動状態(膨張力)を100%作動状態以下の予め設定した割合(例えば略50%)で作動させる1段目作動と、この1段目作動状態から100%作動状態にさせる2段目作動の2段階に分けてエアバッグを起動制御するようにしたものである。尚、1段目作動は中速衝突を前提とした1段目点火判定に基づく減圧展開であり、2段目作動は高速衝突を前提とした2段目点火判定に基づく通常展開を意味する。
上記構成において、加速度センサ41(車室内側センサ)は車両中央部車室内(フロア等)のメインECU内に設置され、この設置位置に加わる衝撃レベルを検出するもので、車両衝突時に発生する衝撃が入力され、この衝撃のレベルに応じた電圧信号に変換して出力する。
電子式フロント左加速度センサ42(フロント側センサ)は車両フロント左側の所定位置に設置され、この設置位置に加わる衝撃レベルを検出するもので、車両衝突時に発生する衝撃が入力され、この衝撃のレベルに応じた電圧信号に変換して出力する。
電子式フロント右加速度センサ43(フロント側センサ)は車両フロント右側の所定位置に設置されるもので、機能は上記電子式フロント左加速度センサ42と同様である。
駆動部45は衝突判定制御部44から入力されたエアバッグ2段制御の起動信号を後段のエアバッグ展開制御部46によるエアバッグ47の2段点火制御に要する形態の駆動信号にして出力する。
エアバッグ展開制御部46は駆動部8からの駆動信号に従いエアバッグ47を2段点火制御する。
上記駆動部45及びエアバッグ展開制御部46とで乗員保護装置制御手段を形成する。
加速度センサ41で検出された車室内側の衝撃レベルおよび電子式フロント左加速度センサ42または電子式フロント右加速度センサ43で検出されたフロント側の衝撃レベルの各信号が衝突判定制御部44へ入力する。この衝突判定制御部44は加速度センサ41、電子式フロント左加速度センサ42および電子式フロント右加速度センサ43で検出された各衝撃レベルの信号を基にエアバッグ2段点火制御の衝突判定の処理を行い、この衝突判定の処理に基づき、エアバッグ1段目点火用の起動信号、さらに2段目点火用の起動信号を駆動部45へ出力する。この衝突判定制御部44による衝突判定制御処理の詳細については後述する。
駆動部45は入力されたエアバッグ2段制御の起動信号を後段のエアバッグ展開制御部46によるエアバッグ47の2段点火制御に要する形態の駆動信号にして出力する。
エアバッグ展開制御部46は上記駆動信号に従いエアバッグ47を1段目点火、さらに2段目点火の2段展開制御をする。
この衝突判定制御部44の構成は1段目点火判定と2段目点火判定とで異なる。
このうち、1段目点火判定の構成は図6(a)に示すように、ECU1段目判定部441、フロント1段目判定部442、および論理和(OR)回路443とで構成される。
上記構成において、ECU1段目判定部441は加速度センサ41で検出された衝撃レベルが予め設定した第4の閾値以上の大きな衝撃が発生したかについて判定し、大きな衝撃の発生を判定したときにはその旨の判定信号(ハイ「H」レベル信号)を出力する。このECU1段目判定部441の内部の基本構成は前記図2で説明した構成であり、加速度センサ41からの衝撃レベルの信号について、A/D変換処理、積分処理および第4の閾値を基準にした衝撃レベルとの比較処理が行われ、この衝撃レベルが第4の閾値以上のときに前記判定信号(ハイ「H」レベル信号)を出力する。
また、フロント1段目判定部442を形成するアビュース判定部442a、フロント左判定部(1段目)442bおよびフロント右判定部(1段目)442cのそれぞれの内部の基本構成は前記図2で説明した構成であり、アビュース判定部442aは加速度センサ41からの衝撃レベルの信号について、A/D変換処理、積分処理および第5の閾値を基準にした衝撃レベルとの比較処理が行われ、この衝撃レベルが第5の閾値以上のときに判定信号(ハイ「H」レベル信号)を出力する。
論理和回路443は、ECU1段目判定部441からの判定信号とフロント1段目判定部442からの判定信号との論理和を演算する。この論理和回路443の出力が1段目点火判定における衝突判定制御部44の出力となり、上述の各判定処理に基づき、エアバッグ1段目点火用の起動信号が駆動部45へ出力される。
上記構成において、ECU2段目判定部444の基本機能は前記1段目点火判定のECU1段目判定部441と同じであり、前記第4の閾値については共通としてよいが、別個の閾値を設定してもよい。
フロント2段目判定部445は、アビュース判定部445a、タイマ処理部445b、フロント左判定部(2段目)445c、フロント右判定部(2段目)445d、論理和(OR)回路445eおよび論理積(AND)回路445fとを備えている。
上記フロント左判定部(2段目)445cおよびフロント右判定部(2段目)445dの各構成および基本機能は前記1段目点火判定のフロント左判定部(1段目)442b、フロント右判定部(1段目)442cと同じであり、その説明は省略する。
この他、論理和(OR)回路445eおよび論理積(AND)回路445fの各基本機能についても前記1段目点火判定の論理和(OR)回路442d、論理積(AND)回路442eと同じであり、その説明は省略する。
論理和回路446の機能は前記1段目点火判定の論理和回路443と同様であり、ECU2段目判定部444からの判定信号とフロント2段目判定部445からの判定信号との論理和を演算する。即ち、論理和回路446はECU2段目判定部444またはフロント2段目判定部445の一方より大衝撃レベル発生の判定信号(ハイ「H」レベル信号)が出力されたときにはその旨の判定信号(ハイ「H」レベル信号)を出力する。この論理和回路446の出力がエアバッグ2段目点火を決定付ける信号となる。この論理和回路443の出力は論理積(AND)回路447へ入力する。
図7はアドバンストエアバッグに関する説明図である。
この実施の形態2によるアドバンストエアバッグは、乗員の体格等に適合させてエアバッグによる加害性を低減するとともに、衝突速度に応じてエアバッグの膨張力を適切に制御するようにしたものであり、図7(a)に示すように、例えば図6のエアバッグ展開制御部46に含められ、エアバッグ展開用のガスを発生するインフレータを1段のみ点火する減圧展開と、2段とも点火する通常展開の2段化したものである。この減圧展開と通常展開それぞれの場合における時間対膨張力の関係を図7(b)に示す。2段とも点火する通常展開は2段化しない場合の従来の膨張力レベルに相当し、減圧展開の膨張力は図示のように、通常展開の約半分程度(略50%)としている。また、車両の衝突速度とエアバッグ展開との関係を図7(c)に示す。図示のように、2段化しない従来のエアバッグ展開は高速衝突および中速衝突では同一に展開(通常展開)し、低速衝突では非展開としている。これに対し、アドバンストエアバッグのエアバッグ展開は高速衝突で通常展開、中速衝突で減圧展開とし、低速衝突では非展開としている。これら通常展開または減圧展開のいずれの展開にするかについてはそのための判定が必要であり、減圧展開とするのが1段目判定であり、通常展開とするのが2段目判定である。これら通常展開、減圧展開及び非展開の状態を乗員およびエアバッグ膨張状態の関係で描けば図7(d)のようになる。
図8は車両33が衝突対象物34に前面衝突したときに、車両33のフロント側に設置した加速度センサ32(フロント加速度センサ)に入力される時間に対する衝撃Gと衝突速度との関係図である。図中の「GthrL」および「GthrH」は予め設定するロー(L)側の閾値およびハイ(H)側の閾値である。なお、図8の加速度センサ32は図6の電子式フロント左加速度センサ42または電子式フロント右加速度センサ43に対応する。
図8において、衝突が低速衝突の場合には閾値GthrL未満であり加速度センサ32の取り付け部まで変形が及ばず、大きな衝撃Gは発生しない。これに対し、中速衝突および高速衝突では閾値GthrLを超えて閾値GthrHに接近し、加速度センサ32の取り付け部まで変形が及び、大きな衝撃Gが発生する。
従って、加速度センサ32に入力される衝撃Gのレベルを基準にして高速衝突と中速衝突とを適切に区別することは難しく、図7(c)で説明したような、高速衝突で通常展開させ、中速衝突で減圧展開さることが困難な場合がある。
しかし、図8の中速衝突と高速衝突とを対比すると理解できるように、GthrLを超える大きな衝撃Gが加速度センサ32に入力されるタイミングが中速衝突と高速衝突とで差があり、中速衝突時の入力タイミングTmに対し、高速衝突時の入力タイミングThの方が早い。この入力タイミングTm,Thの差を利用することで高速衝突と中速衝突とを適切に区別することが可能となる。図6はこの加速度センサ32に入力される衝撃Gの入力タイミングの差を利用し、高速衝突と中速衝突とを適切に区別するように構成したものである。
図9はこの発明の実施の形態3による乗員保護装置用起動制御装置の構成を示すブロック図であり、(a)は1段目点火判定の構成を示すブロック図、(b)は2段目点火判定の構成を示すブロック図である。なお、以下においては実施の形態1と同様に乗員保護装置を「エアバッグ」として説明する。
図9において、この実施の形態3による乗員保護装置用起動制御装置は、前記実施の形態2によるアドバンストエアバッグ方式の乗員保護装置用起動制御装置(図6)のうちで、電子式フロント左加速度センサ42および電子式フロント右加速度センサ43に代る電気機械式(電気機械式)フロント左加速度センサ51および電気機械式フロント右加速度センサ52と、この電気機械式フロント加速度センサ51,52を前提とした衝突判定制御部53とを設けて構成したものである。なお、図6と同一のものについては同一符号を付し、その説明は省略する。
これに対し、この実施の形態3による乗員保護装置用起動制御装置は前記図6の構成と同様に、車室内側の加速度センサ41に入力される衝撃レベルの立上りを衝突初期タイミング(Tstart)とし、この衝突初期タイミングから電気機械式フロント左加速度センサ51または電気機械式フロント右加速度センサ52がHI(作動)するまでの時間を識別することで、中速衝突または高速衝突の区別が可能となる。
また、図9(b)の2段目点火判定におけるフロント2段目判定部532の動作についても同様に、論理和回路445eは電気機械式フロント左加速度センサ51または電気機械式フロント右加速度センサ52から「HI(作動)信号」が入力したときにはこの「HI(作動)信号」を論理積回路445fへ送出する。以下の動作については図6(b)と同様であり、その説明は省略する。
以上により、電気機械式フロント左加速度センサ51および電気機械式フロント右加速度センサ52を前提とした衝突判定制御部53からは、1段目点火判定に基づくエアバッグ1段目点火用の起動信号、さらに2段目点火判定に基づく2段目点火用の起動信号が駆動部45へ出力されることとなる。
Claims (4)
- 車両の車室内所定位置に設置され、該設置位置に加わる衝撃レベルを検出する車室内側加速度センサと、
車両のフロント部所定位置に設置され、該設置位置に加わる衝撃レベルを検出するフロント側加速度センサと、
乗員保護装置を作動制御する乗員保護装置制御手段と、
前記車室内側加速度センサで検出された衝撃レベルが予め設定した第1の閾値に達する衝突初期タイミングを検出する一方、前記フロント側加速度センサで検出された衝撃レベルが前記第1の閾値より大きく予め設定した第2の閾値に達する大衝撃発生タイミングを検出し、該大衝撃発生タイミングが前記衝突初期タイミングから予め設定した時間内であるときには乗員保護装置を起動させる起動信号を前記乗員保護装置制御手段へ出力する衝突判定制御部とを備えた乗員保護装置用起動制御装置。 - 衝突判定制御部は、車室内側加速度センサに代えてフロント側加速度センサを兼用し、該フロント側加速度センサで検出された衝撃レベルが予め設定した第3の閾値に達するタイミングを衝突初期タイミングとして検出することを特徴とする請求項1記載の乗員保護装置用起動制御装置。
- 車両の車室内所定位置に設置され、該設置位置に加わる衝撃レベルを検出する車室内側加速度センサと、
車両のフロント部所定位置に設置され、該設置位置に加わる衝撃レベルを検出するフロント側加速度センサと、
乗員保護装置で部分的に作動させる1段目作動と2段階作動とに分けて前記乗員保護装置を制御する乗員保護装置制御手段と、
前記車室内側加速度センサで検出された衝撃レベルが予め設定した第4の閾値以上のとき、または、前記車室内側加速度センサで検出された衝撃レベルが予め設定した第5の閾値以上で、かつ、フロント側加速度センサで検出された衝撃レベルが前記第5の閾値より大きく予め設定した第6の閾値以上のときには前記1段目作動状態にする起動信号を前記乗員保護装置制御手段へ出力し、
さらに、前記1段目作動の起動後において、前記車室内側加速度センサで検出された衝撃レベルが前記第4の閾値以上のとき、または、前記車室内側加速度センサで検出された衝撃レベルが前記第5の閾値に達する衝突初期タイミングを検出する一方、前記フロント側加速度センサで検出された衝撃レベルが前記第6の閾値に達する大衝撃発生タイミングを検出し、該大衝撃発生タイミングが前記衝突初期タイミングから予め設定した時間内であるときには前記2段目作動状態にする起動信号を前記乗員保護装置制御手段へ出力する衝突判定制御部とを備えた乗員保護装置用起動制御装置。 - フロント側加速度センサとして、電気機械式の加速度センサを使用することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の乗員保護装置用起動制御装置。
Priority Applications (5)
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