JP2016120856A - 車両用衝突検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアバッグECU2内に設けられたフロアセンサ3は、車両前後方向Xに対して略45°だけ傾いた右検出軸R方向の加速度を検出する右センシング部3aと、右検出軸Rに対して90°だけ傾いた左検出軸L方向の加速度を検出する左センシング部3bとを含んでいる。右センシング部3aおよび左センシング部3bによって形成された検出信号GR、GLは、制御部4に送信される。制御部4の加速度合成部4bは、検出信号GR、GLに基づき、双方の加速度をベクトル合成し、合成加速度Combを形成する。衝突有無判定部4dは、合成加速度Combが所定の合成加速度閾値CombTh以上であって、検出信号GR、GLが、ともに最小右加速度閾値GRTh1または最小左加速度閾値GLTh1以上である場合に、車両7が衝突したと判定する。
【選択図】図2
Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で車両における衝突判定の信頼性を向上させることが可能な車両用衝突検出装置を提供することにある。
図1乃至図7に基づき、本発明の実施形態1による車両用衝突検出装置1について説明する。図1に示した車両7には、車両用衝突検出装置1が搭載されており、車両用衝突検出装置1は、エアバッグECU2とフロアセンサ3により形成されている。本実施形態において、エアバッグECU2は、車室内のフロアトンネル上に取り付けられており、フロアセンサ3はエアバッグECU2に内蔵されている。
本実施形態において、右検出軸Rと左検出軸Lとは、互いに90°に交差しており、右検出軸Rと左検出軸Lとによって、車両7の前端部を車両左右方向Yに挟んでいる。図1に示したように、右検出軸Rおよび左検出軸Lは、車両7の前端部に形成されたフロントバンパー7a(バンパーに該当する)の両側端部よりもそれぞれ外側に位置しており(右検出軸Rは、フロントバンパー7aの右側端部よりも右側に位置しており、左検出軸Lは、フロントバンパー7aの左側端部よりも左側に位置している)、右検出軸Rと左検出軸Lとにより、フロントバンパー7aは車両左右方向Yに挟まれている。右検出軸Rと左検出軸Lとが交差する角度は、必ずしも90°でなければならないわけではなく、フロアセンサ3から車両7の前端部までの距離に応じて、車両7の前端部を双方により挟むことができるような値に調整し、設定することが可能である。
A/D変換部3c1およびA/D変換部3c2には、送信部3dが接続されている。送信部3dは、エアバッグECU2の制御部4と接続され、制御部4から受信した要求信号に基づいて、A/D変換部3c1およびA/D変換部3c2が形成した検出信号GR、GLを制御部4に対し送信する。
判定禁止部4cは、右センシング部3aおよび左センシング部3bのうちの、少なくとも一方によって形成された検出信号GR、GLに基づいて、車両7において衝突が発生したと判定されることを禁止している。
衝突有無判定部4dは、加速度合成部4bによって算出された合成加速度Combおよび判定禁止部4cからの指示信号に基づいて、車両7の外周面上において、右検出軸Rおよび左検出軸Lとで挟まれた範囲(図1において、破線にて示す)における衝突の有無を判定する。衝突有無判定部4dによる衝突有無判定処理については、後述する。
衝突形態判定部4eは、右センシング部3aおよび左センシング部3bによって形成された検出信号GR、GLに基づいて、車両7の衝突形態を判定する。衝突形態判定部4eによる衝突形態判定処理については、後述する。
図3に示した衝突有無判定処理8aにおいては、検出信号GR、GLに基づいて最小閾値判定8bが実行される。最小閾値判定8bにおいて、右センシング部3aによって形成された右検出信号GRは、所定の最小右加速度閾値GRTh1(最小加速度閾値に該当する)と比較される。また、最小閾値判定8bにおいて、左センシング部3bによって形成された左検出信号GLは、所定の最小左加速度閾値GLTh1(最小加速度閾値に該当する)と比較される。最小右加速度閾値GRTh1および最小左加速度閾値GLTh1は、合成加速度Combを算出するために、右センシング部3aおよび左センシング部3bにおいて加速度が検出される際に、それぞれ発生するノイズよりも大きい値に設定されている。具体的には、最小右加速度閾値GRTh1および最小左加速度閾値GLTh1は、右センシング部3aおよび左センシング部3bにおいて、定常状態における電流や電圧の不安定性、電磁波等の影響により変動する不安定性、さらには、通常の道路または砂利道等を走行する際に発生する加速度に起因した信号の変動等を原因とするノイズよりも大きい値に設定されている。最小右加速度閾値GRTh1および最小左加速度閾値GLTh1は、同一の値であってもよいし、互いに異なる値に設定されていてもよい。
最小閾値判定8bにおいて、右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1以上の場合にはH(ハイ)信号が、右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1未満の場合にはL(ロー)信号が、第1AND回路8cの一方の入力端子に入力される。また、左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1以上の場合にはH信号が、左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1未満の場合にはL信号が、第1AND回路8cの他方の入力端子に入力される。したがって、右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1以上であって、かつ、左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1以上である場合のみに、第1AND回路8cの出力端子からH信号が出力される。第1AND回路8cからの出力信号は、第2AND回路8dの一方の入力端子に入力される。
換言すれば、判定禁止部4cによって、右センシング部3aおよび左センシング部3bのうちの、少なくとも一方によって形成された検出信号Gr、GLの値が最小右加速度閾値GRTh1または最小左加速度閾値GLTh1未満(最小加速度閾値未満に該当する)である場合には、合成加速度Combと合成加速度閾値CombThとの比較結果にかかわらず、衝突有無判定部4dによって、車両7において衝突が発生したと判定することが禁止されている。
これまで説明した内容から分かるように、衝突有無判定部4dは、検出信号GR、GLおよび合成加速度Combの大きさを示す座標位置のすべてが、図4に示したマップ上において、ハッチングによって表された範囲内にある場合に、車両7において衝突が発生したと判定している。
また、衝突形態判定部4eは、右検出信号GRの値が形態右加速度閾値GRTh2以上(形態加速度閾値以上に該当する)であり、かつ、左検出信号GLの値が形態左加速度閾値GLTh2以上(形態加速度閾値以上に該当する)である場合には、車両7において高速によるフルラップ衝突(高速フルラップ衝突)が発生したと判定する。
また、衝突形態判定部4eは、右検出信号GRの値が形態右加速度閾値GRTh2未満であり、かつ、左検出信号GLの値が形態左加速度閾値GLTh2以上である場合には、車両7の前端部左方においてオフセット衝突(左オフセット衝突)が発生したと判定する。
また、衝突形態判定部4eは、右検出信号GRの値が形態右加速度閾値GRTh2以上であり、かつ、左検出信号GLの値が形態左加速度閾値GLTh2未満である場合には、車両7の前端部右方においてオフセット衝突(右オフセット衝突)が発生したと判定する。
一方、合成加速度Combが合成加速度閾値CombTh以上である場合、車両7において前後方向に衝突が発生したと判定され、右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1と比較される(ステップS203)。右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1未満である場合、合成加速度Combが合成加速度閾値CombTh以上であるにもかかわらず、右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1未満であるため、右センシング部3aに何らかの異常があったと判断され、乗員保護装置は非作動とされる(ステップS206)。右検出信号GRが最小右加速度閾値GRTh1以上である場合、左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1と比較される(ステップS204)。左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1未満である場合、合成加速度Combが合成加速度閾値CombTh以上であるにもかかわらず、左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1未満であるため、左センシング部3bに何らかの異常があったと判断され、乗員保護装置は非作動とされる(ステップS206)。左検出信号GLが最小左加速度閾値GLTh1以上である場合は、車両7において衝突が発生したと判定され乗員保護装置が作動された後、図5に示したジェネリックフローへと戻る(ステップS205)。また、ステップS206において、乗員保護装置が非作動とされた場合、図7に示した衝突形態判定処理は行わず、エアバッグECU2による衝突制御は終了する。
尚、上記した衝突形態判定処理はあくまで一例であって、図7に示した衝突形態の分類方法について、いかなる変更を加えてもよい。
本実施形態によれば、エアバッグECU2の制御部4は、判定禁止部4cを備えている。判定禁止部4cは、フロアセンサ3の右センシング部3aおよび左センシング部3bのうちの、少なくとも一方によって形成された検出信号GR、GLの値が、所定の最小右加速度閾値GRTh1または最小左加速度閾値GLTh1未満である場合には、衝突有無判定部4dにより車両7において衝突が発生したと判定されることを禁止している。これにより、右検出信号GRおよび左検出信号GLの双方の値が、ともに最小右加速度閾値GRTh1または最小左加速度閾値GLTh1以上である場合のみに、車両7において衝突が発生したと判定することが許可される。これにより、右センシング部3aおよび左センシング部3bのうちの一方が、故障等により加速度を出力せず、かつ、右センシング部3aおよび左センシング部3bの他方が、故障等により高い加速度を出力したような、信頼性の低い検出信号GR、GLの出力を衝突判定から排除することができる。したがって、これによる車両7の衝突に関する誤判定を防止することができる。
また、右センシング部3aおよび左センシング部3bは、車両前後方向Xおよび車両左右方向Yのいずれとも異なる方向に延びた右検出軸Rまたは左検出軸Lに沿った方向の加速度を検出して、検出信号GR、GLを形成している。これにより、右センシング部3aおよび左センシング部3bによって検出された検出信号GR、GLに基づき、車両7の外周面上において、右検出軸Rおよび左検出軸Lにより挟まれた部位への衝突を確実に検出することができる。このため、フロアセンサ3以外の加速度センサがない場合であっても、車両前方への衝突を検出することができる。
また、右検出軸Rおよび左検出軸Lは、フロントバンパー7aの両側端部よりもそれぞれ外側に位置しており、右検出軸Rと左検出軸Lとにより、フロントバンパー7aは車両左右方向Yに挟まれている。このため、右検出軸Rと左検出軸Lとにより挟まれたフロントバンパー7aへの衝突を検出することにより、乗員保護装置または歩行者保護装置を作動させる状況を確実に検出することができる。これにより、乗員保護装置または歩行者保護装置をタイミングよく作動させることができる。
また、衝突形態判定部4eは、右検出信号GRの値が形態右加速度閾値GRTh2以上であり、かつ、左検出信号GLの値が形態左加速度閾値GLTh2以上である場合には、車両7において高速による高速フルラップ衝突が発生したと判定する。
また、衝突形態判定部4eは、右検出信号GRの値が形態右加速度閾値GRTh2未満であり、かつ、左検出信号GLの値が形態左加速度閾値GLTh2以上である場合には、車両7の前端部左方において左オフセット衝突が発生したと判定する。
また、衝突形態判定部4eは、右検出信号GRの値が形態右加速度閾値GRTh2以上であり、かつ、左検出信号GLの値が形態左加速度閾値GLTh2未満である場合には、車両7の前端部右方において右オフセット衝突が発生したと判定している。
以上説明したように、車両7において、車両前後方向Xおよび車両左右方向Yに対し、傾いた右検出軸Rおよび左検出軸Lに沿った方向の加速度を検出するフロアセンサ3を設けていることにより、種々の衝突形態を検出することができる。具体的には、衝突形態判定部4eが、車両7の衝突形態を、低速フルラップ衝突、高速フルラップ衝突、左オフセット衝突および右オフセット衝突という4つの形態に分類して判定することができる。したがって、非常通報等において、管理センターに対し具体的な衝突情報を送信することができる。
また、最小右加速度閾値GRTh1および最小左加速度閾値GLTh1は、合成加速度Combを算出するために、右センシング部3aおよび左センシング部3bにおいて加速度が検出される際に、それぞれ発生するノイズよりも大きい値に設定されている。これにより、エアバッグECU2に発生した電気的ノイズ、車両7の急制動、悪路上の走行等に起因した検出信号GR、GLに基づいて、車両衝突の有無を誤判定することを防ぐことができる。
また、右検出軸Rと左検出軸Lとは、互いに90°に交差していることにより、フロアセンサ3として、車両前後方向Xおよび車両左右方向Yの加速度を検出するために使用されている通常の加速度センサを用いることができる。したがって、本実施形態を実行する場合において、市場流通性の高い加速度センサを使用することができる。
図8に基づいて、実施形態1の変形例1による車両用衝突検出装置1に関して、実施形態1との相違点について説明する。本変形例において、エアバッグECU2は、車両7のフロアの略中央部に取り付けられており、エアバッグECU2内には、フロアセンサ3Aが設けられている。フロアセンサ3Aは、実施形態1のものと同様に、右センシング部3aおよび左センシング部3bを含んでいる(図8において図示せず)。
本変形例によれば、車両7の前端部および後端部は、右検出軸Rと左検出軸Lとによって、車両左右方向Yに挟まれている。これにより、フロアセンサ3Aのみによって、車両7の前端部および後端部(図8において、破線にて示す)への衝突を確実に検出することができ、前端部左右および後端部左右に設けられる各々一対のサテライトセンサがない場合であっても、乗員保護装置または歩行者保護装置の作動判定を確実に行うことができる。
図9に基づいて、実施形態1の変形例2による車両用衝突検出装置1に関して、実施形態1との相違点について説明する。本変形例において、エアバッグECU2は、車両7のフロアの略中央部に取り付けられており、エアバッグECU2内には、フロアセンサ3Bが設けられている。フロアセンサ3Bは、実施形態1のものと同様に、右センシング部3aおよび左センシング部3bを含んでいる(図9において図示せず)。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
右センシング部3aおよび左センシング部3bは、必ずしもエアバッグECU2内に設けられていなければならないわけではなく、車両7において、エアバッグECU2外の部位に形成されていてもよい。
また、右センシング部3aおよび左センシング部3bとして、互いに異なる方向に発生した加速度を検出可能な単一の加速度センサを使用してもよい。
Claims (5)
- 車両前後方向(X)および車両左右方向(Y)のいずれとも異なる方向に延びた第1検出軸(R)を有し、車両(7)において、前記第1検出軸に沿った方向の加速度を検出して第1検出信号(GR)を形成する第1加速度検出手段(3a)と、
前記第1検出軸に対して所定角度だけ傾き、かつ、前記車両前後方向および前記車両左右方向のいずれとも異なる方向に延びた第2検出軸(L)を有し、車両において、前記第2検出軸に沿った方向の加速度を検出して第2検出信号(GL)を形成する第2加速度検出手段(3b)と、
前記第1検出信号および前記第2検出信号に基づいて、前記第1検出軸に沿った方向の加速度と前記第2検出軸に沿った方向の加速度をベクトル合成し、合成加速度(Comb)を算出する加速度合成手段(4b)と、
前記加速度合成手段によって算出された前記合成加速度が、所定の合成加速度閾値(CombTh)以上である場合に、前記車両において衝突が発生したと判定する衝突有無判定手段(4d)と、
を備えた車両用衝突検出装置(1)であって、
前記第1検出信号および前記第2検出信号のうちの、少なくとも一方の値が、前記合成加速度閾値よりも小さい所定の最小加速度閾値(GRTh1、GLTh1)未満である場合には、前記衝突有無判定手段により前記車両において衝突が発生したと判定されることを禁止する衝突判定禁止手段(4c)を備えた車両用衝突検出装置。 - 前記最小加速度閾値は、前記合成加速度を算出するために、前記第1加速度検出手段および前記第2加速度検出手段において加速度が検出される際に、それぞれ発生するノイズよりも大きい値に設定されている請求項1記載の車両用衝突検出装置。
- 前記第1検出軸および前記第2検出軸は、前記車両の前端部または後端部に形成されたバンパー(7a、7b)の両側端部よりもそれぞれ外側に位置しており、前記第1検出軸と前記第2検出軸とにより、前記バンパーは前記車両左右方向に挟まれている請求項1または2に記載の車両用衝突検出装置。
- 前記衝突有無判定手段により、前記車両において衝突が発生したと判定された場合に、前記第1検出信号および前記第2検出信号に基づいて、前記車両の衝突形態を判定する衝突形態判定手段(4e)を備えた請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の車両用衝突検出装置。
- 前記第1検出軸は、前記バンパーの右側端部よりも右側に位置しており、前記第2検出軸は、前記バンパーの左側端部よりも左側に位置しており、
前記衝突形態判定手段は、
前記第1検出信号および前記第2検出信号の双方の値が、それぞれ前記最小加速度閾値よりも大きい所定の形態加速度閾値(GRTh2、GLTh2)未満である場合には、前記車両において低速によるフルラップ衝突が発生したと判定し、
前記第1検出信号および前記第2検出信号の双方の値が、それぞれ前記形態加速度閾値以上である場合には、前記車両において高速によるフルラップ衝突が発生したと判定し、
前記第1検出信号の値が、前記形態加速度閾値未満であり、かつ、前記第2検出信号の値が、前記形態加速度閾値以上である場合には、前記車両の前端部左方においてオフセット衝突が発生したと判定し、
前記第1検出信号の値が、前記形態加速度閾値以上であり、かつ、前記第2検出信号の値が、前記形態加速度閾値未満である場合には、前記車両の前端部右方においてオフセット衝突が発生したと判定する請求項4記載の車両用衝突検出装置。
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