JP2006272928A - 射出成型品の形状予測方法、形状予測装置、形状予測プログラム及び記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る
流動解析により繊維強化樹脂を材料とする射出成型品の繊維配向データを求め、その繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換し、この構造解析用に変換された繊維配向データを用いて構造解析を行うことにより、繊維強化樹脂を考慮した構造解析が可能となり、形状予測の精度向上、データ処理時間の短縮化を達成する。
【選択図】 図2
Description
射出成型では、溶融樹脂を金型に充填し、適正な圧力環境下で冷却した後、型抜きして成型品を得る、というプロセスをたどる。この成型プロセスには、材料の物性、金型の特性、樹脂の充填口(ゲート)の数と位置、圧力、温度等の様々な要因が作用するため、必ずしも設計時に意図した形状精度が得られるとは限らない。
従来、金型内で起こる構造上の解析行う技術として、流動解析システムと構造解析システムとをリンクすることにより、成型状態での金型の流動挙動、変形量、温度分布等を容易に且つ精度良く予測できる金型の統合解析システムが公知である(例えば、特許文献1参照)。
一方、品質評価を行う場合、樹脂の流動解析を合わせて行うことにより予測精度の向上が期待できる。樹脂流動解析においては、樹脂の充填位置とそれに伴う樹脂の流れ(繊維配向)を材料特性として評価することが樹脂の不均一性を把握する上で重要である。
形状予測装置100は、CPU1と、ROM2と、RAM3と、データ格納手段4、5及び6と、入力装置7と、出力装置8を備え、それぞれシステムバス9に接続されている。CPU1は、中央処理装置である。CPU1は、ROM2に格納された基本動作プログラムに従ってデータ格納手段4に格納された構造解析プログラムP1、樹脂流動解析プログラムP2、データ変換プログラムP3を実行し、本発明に係る形状予測動作を統括的に制御する。
本発明に係る形状予測方法は、大別して、樹脂流動解析処理A、データ変換処理B及び構造解析処理Cからなる。樹脂流動解析処理Aは、前処理A1、解析処理A2、解析結果出力A3の順序で実行される。
図3(a)に示すように、入力された樹脂流動解析モデルは、ステップS2において有限個の要素に分割される。この要素分割に際し、成型品の素材にガラス繊維等の繊維で強化された樹脂を用いる場合、樹脂内に混入された繊維配向(図3(a)矢印参照)が樹脂の流れに与える影響を細かく知る必要がある。そのため、要素分割は、計算処理上において許される誤差の範囲において、極力細かく行うことが好ましい。要素分割数を増大させると、樹脂流動解析では、後述する構造解析の場合よりも多量のデータ数となる。例えば、樹脂流動解析では数百万要素となり、構造解析のそれは数十万要素である。
従って、樹脂流動解析の解析結果を構造解析に組み込むためには、形状予測精度を適度な水準に維持しつつ、樹脂流動解析結果の要素数(データ数)を間引いて構造解析の要素数(データ数)と同じ要素数に変換する必要がある。この変換処理については、ステップS6で詳述する。
次に、樹脂流動解析処理Aの解析処理A2・解析結果出力A3については、上記設定された境界条件下で、樹脂流動解析プログラムP2が起動され、樹脂流動解析が実行され(ステップS5)、その解析結果が出力される(ステップS5)。その解析結果は繊維配向データであり、データ格納手段6に格納される。
次に、データ変換処理Bについては、処理はステップSデータ格納手段6に進み、得られた繊維配向データは構造解析用要素に変換される。この変換の必要性については、先に述べた。 繊維配向データの変換処理(ステップS6)は、マッチング処理により行われる。
図4(a)に示すように、樹脂流動解析要素Ef1〜Ef4の各節点Nf1〜Nf9には、ステップS3で設定された材料物性データ(物理量)が付与されている。
まず、図5、ステップS10で、樹脂流動解析要素1〜Ef4の各要素ごとに節点Nf (X−Y)の総和Σを求め、各樹脂流動解析要素Ef1〜Ef4毎のベクトルV1〜V4を
求める。
Vn(X−Y)=Σnn(X−Y) ・・・(1)
で与えられる。例えば、要素Ef1の場合、ベクトルは
V1(X−Y)=Nf1,2,3,4(X−Y) ・・・(2)
である。
以下同様にして各要素Ef2〜Ef4について算出することで、全要素Ef1〜Ef4の各ベクトルV1〜V4が求められる(図4(b))。
次いで、ステップS12において、各要素Ef1〜Ef4(構造解析要素E0の1要素のサイズ)における各ベクトルV1〜V4の平均値Nnを求める。平均値Nnは、樹脂流動解析要素Ef1〜Ef4の各ベクトルV1〜V4の総和を節点の数nで除算した値であるから
Nfn=ΣEfn・Nf(X−Y)/n ・・・(3)
で与えられる。そのベクトルV0は構造解析要素E0の重心に位置する(図4(c))。そして、ベクトルV0を構造解析要素E0の各節点節点N1〜N4のそれぞれに分配する(図4(d))。
Ncom=Σ(Efn、Ncom(X−Y)) ・・・(4)
で与えられる。隣接要素が存在しない場合は、処理は終了する。
次いで、境界条件の設定が行われる(ステップS10)。境界条件の設定において、樹脂流動解析Aで求められ、構造解析用に変換された要素数の繊維配向データ(図4(d)参照)がRAM3から読み出され、材料物性データとして設定される。その他の境界条件は、荷重条件、拘束条件である。ここで前処理C1が終了し、処理はステップS11に移る。
次に、構造解析処理Cのうち解析処理C2・解析結果出力C3について、ステップS11で構造解析Cが実行されて、その解析結果には、樹脂流動解析Aで求められた繊維配向項データが反映されることになる。その解析結果はデータ格納手段5に送られ、保存される。
図5に示す操作入力画面10に、樹脂流動解析結果ファイルの指定窓11に樹脂流動解析結果に指定入力を行う(ステップS20)。この指定により、樹脂流動解析結果すなわち繊維配向データが選択され、データ格納手段6から読み出される(ステップS20)。
次いで、解析要素の間引き(データ変換処理B)の設定を行う(ステップS22)。間引きの設定は、チェックボックス13により選択的に行うことを特徴とするができる。設定は、例えば%単位で設定可能であるし、自動設定も可能である。
次いで、表示された解析時間予測値がユーザの希望する時間と一致するか否かを判断する(ステップS24)。
判断の結果、解析時間がユーザの希望する時間に適合する場合(ステップS24:OK)、解析実行ボタン15を押下することにより、構造解析が実行される(ステップS25)。その解析結果は、表示部16、17に表示される(ステップS26)。
前記樹脂流動解析工程で得られた繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換するデータ変換工程と、
前記射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた構造解析要素及び前記データ変換工程で変換された構造解析用の繊維配向データを用いて前記射出成型品の構造解析を行う構造解析工程とを含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測方法。
前記データ変換工程は前記繊維配向データの解析要素の数を間引くことにより
前記構造解析要素の数に適合させるマッチング処理を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測方法。
前記マッチング処理は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向ベクトルの合成ベクトルを求め、その求めた合成ベクトルを前記一つの構造解析要素の各節点に対応させて分配し、その分配ベクトル成分を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測方法。
前記マッチング処理は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向データの値を当該複数の流動解析要素の前節点数で除算することにより、流動解析結果である繊維配向データの平均値を求め、求められた繊維配向データの平均値を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測方法。
前記樹脂流動解析工程で得られた繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換するデータ変換手段と、
前記射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた構造解析要素及び前記データ変換工程で変換された構造解析用の繊維配向データを用いて前記射出成型品の構造解析を行う構造解析手段とを含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測装置。
前記データ変換手段は、前記繊維配向データの解析要素の数を間引くことにより前記構造解析要素の数に適合させるマッチング処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測装置。
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向ベクトルの合成ベクトルを求め、その求めた合成ベクトルを前記一つの構造解析要素の各節点に対応させて分配し、その分配ベクトル成分を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測装置。
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向データの値を、当該複数の流動解析要素の前節点数で除算することにより、流動解析結果である繊維配向データの平均値を求め、求められた繊維配向データの平均値を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測装置。
繊維強化樹脂を材料とする射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた樹脂流動解析要素を用いて当該射出成型品の繊維配向データを求める樹脂流動解析手段と、
前記樹脂流動解析工程で得られた繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換するデータ変換手段と、
前記射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた構造解析要素及び前記データ変換工程で変換された構造解析用の繊維配向データを用いて前記射出成型品の構造解析を行う構造解析手段として機能させることを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。
前記データ変換手段は、前記繊維配向データの解析要素の数を間引くことにより前記構造解析要素の数に適合させるマッチング処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向ベクトルの合成ベクトルを求め、その求めた合成ベクトルを前記一つの構造解析要素の各節点に対応させて分配し、その分配ベクトル成分を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向データの値を、当該複数の流動解析要素の前節点数で除算することにより、流動解析結果である繊維配向データの平均値を求め、求められた繊維配向データの平均値を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。
繊維強化樹脂を材料とする射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた樹脂流動解析要素を用いて当該射出成型品の繊維配向データを求める樹脂流動解析手段と、
前記樹脂流動解析工程で得られた繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換するデータ変換手段と、
前記射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた構造解析要素及び前記データ変換工程で変換された構造解析用の繊維配向データを用いて前記射出成型品の構造解析を行う構造解析手段と、して機能させることを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
前記データ変換手段は、前記繊維配向データの解析要素の数を間引くことにより前記構造解析要素の数に適合させるマッチング処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向ベクトルの合成ベクトルを求め、その求めた合成ベクトルを前記一つの構造解析要素の各節点に対応させて分配し、その分配ベクトル成分を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向データの値を、当該複数の流動解析要素の前節点数で除算することにより、流動解析結果である繊維配向データの平均値を求め、求められた繊維配向データの平均値を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
2 ROM
3 RAM
4 データ格納手段
5 データ格納手段
6 データ格納手段
7 入力装置
8 出力装置
10 操作入力画面
11 樹脂流動解析結果ファイルの指定窓
12 構造解析用変換メッシュタイプの指定窓
13 間引き設定チェックボックス
14 解析時間予測表示部
15 解析実行ボタン
16 解析結果表示画面
17 解析結果表示画面
18 キャンセルボタン
A 樹脂流動解析
A1 前処理
A2 動解析
A3 解析結果出力
B データ変換
C 構造解析
C1 前処理
C2 解析処理
C3 解析結果出力
Ef1〜Ef15 樹脂流動解析要素
Es 構造解析要素
Nf1〜Nf9 節点
Ns1〜Ns4 節点
P1 構造解析プログラム
P2 樹脂流動解析プログラム
P3 データ変換プログラム
Claims (5)
- 繊維強化樹脂を材料とする射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた樹脂流動解析要素を用いて当該射出成型品の繊維配向データを求める樹脂流動解析工程と、
前記樹脂流動解析工程で得られた繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換するデータ変換工程と、
前記射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた構造解析要素及び前記データ変換工程で変換された構造解析用の繊維配向データを用いて前記射出成型品の構造解析を行う構造解析工程とを含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測方法。 - コンピュータを、
繊維強化樹脂を材料とする射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた樹脂流動解析要素を用いて当該射出成型品の繊維配向データを求める樹脂流動解析手段と、
前記樹脂流動解析工程で得られた繊維配向データを構造解析用の繊維配向データに変換するデータ変換手段と、
前記射出成型品の解析モデルを要素分割して得られた構造解析要素及び前記データ変換工程で変換された構造解析用の繊維配向データを用いて前記射出成型品の構造解析を行う構造解析手段として機能させることを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。 - 前記請求項9に記載の射出成型品の形状予測プログラムおいて、
前記データ変換手段は、前記繊維配向データの解析要素の数を間引くことにより前記構造解析要素の数に適合させるマッチング処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。 - 前記請求項9に記載の射出成型品の形状予測プログラムにおいて、
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向ベクトルの合成ベクトルを求め、その求めた合成ベクトルを前記一つの構造解析要素の各節点に対応させて分配し、その分配ベクトル成分を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。 - 前記請求項9に記載の射出成型品の形状予測プログラムおいて、
前記マッチング処理手段は、一つの構造解析要素と等価なサイズに含まれる複数の流動解析要素がもつ繊維配向データの値を、当該複数の流動解析要素の前節点数で除算することにより、流動解析結果である繊維配向データの平均値を求め、求められた繊維配向データの平均値を前記一つの構造解析要素の各節点に再度振分ける処理手段を含むことを
特徴とする射出成型品の形状予測プログラム。
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