JP2009271781A - 成形品の変形形状の予測方法とその装置、変形形状の予測プログラムとその記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成形品の変形形状の予測方法であって、
変形形状の予測を行う前の準備段階において、予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて算出された形状特徴と、実測収縮率とを関連づけた収縮率テーブルデータを算出する工程と、
前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて形状特徴を算出し、これに対応する実測収縮率を前記準備段階の収縮率テーブルデータから読み込み、これらを元にして収縮歪データを算出する工程と、
前記算出された収縮歪データを用い、成形品の変形形状を予測する工程と、を有する構成とする。
【選択図】 図2
Description
これらのソフトウエアでは、樹脂物性を表すために近似モデルを用いたり、あるいは成形プロセスをシミュレートするため収縮挙動をモデル化して表現していることから、実際の現象とは差異がある。
すなわち、実際のそり量や収縮量等と予測値には差異が発生するため、高精度な変形形状の予測には限界がある。
ここでは、収縮率データが、肉厚やゲートからの流動長、あるいは射出温度、金型温度、保圧、等による成形条件との関係において表わされるものとして扱われ、このような成形条件による収縮率データに基づいて、変形形状の予測をする方法が開示されている。
実際には、上記予測方法で用いられる成形条件だけでは表すことのできない成形品の形成材料等による収縮挙動に影響される。
したがって、特許文献1のように、収縮率データを、肉厚やゲートからの流動長、あるいは射出温度、金型温度、保圧、等による成形条件との関係だけで捉えても、変形形状の予測をより高精度に行う上で、必ずしも満足の得られるものではない。
変形形状の予測を行う前の準備段階において、予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて算出された形状特徴と、実測収縮率とを関連づけた収縮率テーブルデータを算出する工程と、
前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて形状特徴を算出し、これに対応する実測収縮率を前記準備段階の収縮率テーブルデータから読み込み、これらを元にして収縮歪データを算出する工程と、
前記算出された収縮歪データを用い、成形品の変形形状を予測する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の成形品の変形形状の予測方法は、
前記収縮率テーブルデータを算出する工程において、前記特定の形態における形状データとして、複数の異なる形態による形状データが、それらの形態による形状データ毎に形状分類され、該形状分類毎に収縮率テーブルデータを登録または管理する工程を含み、
前記収縮歪データを算出する工程は、前記形状分類から選択された一つの形態における形状データに対応する収縮率テーブルデータを、前記形状分類毎に登録または管理されている収縮率テーブルデータの中から読み込み、
これらを元にして収縮歪データを算出する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の成形品の変形形状の予測方法は、前記形状特徴が、板厚、偏肉比、板厚差のうちの、いずれかによることを特徴とする。
また、本発明の成形品の変形形状の予測プログラムは、上記したいずれかに記載の成形品の変形形状の予測方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明の記憶媒体は、上記した予測プログラムを記憶したことを特徴とする。
また、本発明の成形品の変形形状の予測装置は、
変形形状の予測を行う前の準備段階において、予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて形状特徴を算出すると共に、前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて形状特徴を算出する形状特徴算出部と、
前記予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて算出された形状特徴と、実測収縮率とを関連づけ収縮率テーブルデータを算出するデータ分析部と、
前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて算出された形状特徴と、これに対応する実測収縮率を前記収縮率テーブルデータから読み込み、これらを元にした収縮歪データを算出する収縮率算出部と、
前記収縮率算出部による収縮歪データに基づいて変形形状を予測する変形形状予測部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の成形品の変形形状の予測装置は、
前記特定の形態における形状データとして、複数の異なる形態による形状データが、それらの形態による形状データ毎に形状分類され、該形状分類毎に収縮率テーブルデータを登録または管理する収縮率登録・管理部と、
前記形状分類から一つの特定の形態による形状を選択する形状分類選択部と、 を、更に備え、前記形状分類選択部によって前記形状分類から一つの特定の形態による形状を選択し、
これに対応する収縮率テーブルデータを、前記形状分類毎に登録または管理されている収縮率テーブルデータの中から読み込み可能とされていることを特徴とする。
すなわち、前述したように、実際の収縮率は従来例のような成形条件たけでは表すことのできない成形品の形成材料等による収縮挙動に影響される。
このようなことから、実測した収縮率を元に成形品の変形形状の予測を行うことで、高精度な形状予測が可能であるという知見に基づき、本発明に至ったものである。
その際、このような収縮率の実測を全ての成形品に対して行うことは、時間や労力を要することとなる。
そのため、本発明においては、変形形状の予測を行う前の準備段階において、実測収縮率を形状特徴と関連づけて算出された収縮率テーブルデータが準備される。
そして、変形形状の予測を行う際に、予測の対象とされる形状特徴と対応した収縮率データを、上記準備段階で準備され収縮率テーブルデータから読み出し、これらを元にして変形形状を予測する。
また、この成形品の変形形状の予測プログラムを記憶するようにしたコンピュータが読み取り可能の記憶媒体を構成することができる。
また、この成形品の変形形状の予測方法は、特に、射出成形加工用金型の設計を行う際、キャビティ等の形状を決定するための設計支援に好適に適用することができる。
実施例1では、本発明を適用した成形品の変形形状の予測方法とその装置について説明する。
図1に、本実施例における成形品の変形形状の予測装置の構成例を説明するブロック図を示す。
図1において、1は入出力装置であり、入力装置としてはマウス、キーボード、出力装置としてはディスプレイ、プリンター、プロッター、等を含み構成される。
これらの入出力装置を通じ、コンピュータ上のプログラムへのデータ入力および出力が行われる。
また、2はコンピュータであり、このコンピュータ2により形状特徴算出部11、データ分析部12、収縮率算出部13、変形形状予測部14、変形形状表示部15のプログラムをロードし、演算処理が行われる。
また、3はコンピュータの補助記憶装置であり、この補助記憶装置3には、形状データ4、実測収縮率データ5、形状特徴データ6、収縮率テーブルデータ7、成形条件データ8、収縮歪データ9、変形形状データ10、等が記憶され格納されている。
まず、予め準備された成形品形状につき、予測の対象とされる成形品形状と類似する特定された一つの形態による形状に関する形状データ(以下、これを形状データ4−1と記す)が記憶(登録)されている。
ここで、特定された形態による形状としては、例えば、図5に示すような細長形状、図12に示すような片面がそれぞれ凹凸とされた軸対称形状、図13に示すような両面が突とされた形状、等により特定された形態による形状を挙げることができる。
本実施例における上記した一つの特定の形態とは、これらの特定された形態による形状のうちの、いずれか一つの形態による形状を指している。
また、補助記憶装置3には、上記形状データ4−1における各形状を備えた成形品を、所定の成形条件に基づいて成形を行った際の、実測による実測収縮率データが記憶(登録)されている。
また、補助記憶装置3には、データ分析部12によって上記実測収縮率と上記形状データ4−1における形状に対する形状特徴との関連を分析し、これら実測収縮率と形状特徴を関連づけて算出した収縮率テーブルデータ7が記憶(登録)されている。
なお、ここで、上記形状特徴は、形状特徴算出部11によって、メッシュ分割された上記形状データ4−1を元に、その各部の形状特徴が算出され、補助記憶装置3に形状特徴データ6として記憶(登録)されている。
このような形状特徴として、例えば、板厚、偏肉比、板厚差、等が挙げられる。
まず、形状特徴算出部11において、予測の対象とされる形状データが読み込まれる。
この形状データは、上記した予め準備された成形品形状についての形状データ4−1とは異なり、これから変形形状を予測するための予測の対象とされる形状データ(以下、これを形状データ4−2と記す)である。
そして、この形状データ4−2に基づいた形状特徴データ6−2(図2参照)を算出する。
これらと対応した収縮率データを、形状予測前準備部の収縮率テーブルデータ7から読み出す。
そして、これらを元にして収縮歪データ9を算出する。
次に、変形形状予測部14において、収縮歪みデータ9を読み込んで変形形状を予測する。
図2に、本実施例における成形品の形状予測方法の手順について説明するフローチャートを示す。
図2において、S1は形状予測前準備部であり、S2は形状予測部である。
この形状予測前準備部S1は、形状予測を行う前の準備段階であり、実測収縮率と形状データ4−1に対する形状特徴データ6−1とを関連づけて算出し、収縮率テーブルデータ7を得るためのステップである。
また、形状予測部S2は、形状データ4−2に対する形状特徴データ6−2、収縮率テーブルデータ7、成形条件データ8−2に基づいて、収縮歪データ9を算出して変形形状を予測するためのステップである。
形状特徴算出部11で形状データ4−1を読み込み、形状特徴データ6−1を出力する。
この形状特徴の一例として、2つの形状を元にして、板厚を計算した図を、図5(a)に示す。
図5(a)の例では、1つが4mm、他方1つが8mmの板厚を備え、それらが計算された濃淡図により表示されている。
これらの形状特徴としては、偏肉比として板厚を最大板厚で除した値、板厚差として最大板厚部との差、板厚の変化率等が計算され、これらの値は12のデータ分析部において使用される。
実際の成形では1つの形状に対し、成形条件を変え成形を行うことで成形条件に対応した複数の成形品形状が得られる。
したがって、1つの形状においても、複数の成形条件データ8−1に対応した、複数の実測収縮率データ5が得られる。
実測した収縮率の一例を図6に示す。
図6(a)は、図5(a)の形状をした金型を用い、成形条件として成形圧力を変更し、X,Y,Z方向の各方向の収縮率を測定した結果、得られたテーブルデータを形状特徴である板厚と関連づけ、表として示した図である。
図5(b)は、成形条件および収縮率の測定結果は同じであるが、形状特徴として、偏肉比と収縮率を関連づけ、表として示した図である。
例えば、形状は異なるが類似形状に分類される形状の形状特徴を計算した一例を図5(b)に示す。
図5(b)の例では板厚が5mmから10mmの部分があるため、それらが計算され濃淡図にて表示されている。
一例として、図5(b)の形状の金型を用いて成形条件を変えて成形を行い、成形品および金型の寸法を元に各方向の収縮率を算出した結果を、形状特徴の1つである板厚と関連づけた表を図7に示す。
一例として、図5(a),図5(b)に示した形状について測定した実測収縮率データを、形状特徴の1つである板厚に関連づけテーブルデータにし、表にしたものを図8に示す。
この例では収縮率は成形圧および板厚に依存するものとして示している。
なお、収縮率と成形条件、形状特徴依存の関連は必ずしもテーブルデータである必要はなく関数として表しても良い。
以上のフォローに沿って収縮率テーブルデータ7が得られれば、形状予測の前準備は終了する。
まず、形状特徴算出部11により、形状データ4−2を読み込み、形状特徴データ6−2を算出する。
ここでいう形状データ4−2は、前述したように前準備の際に用いた形状データ4−1と異なり、これから変形形状を予測するための予測の対象とされる形状のデータを示している。
そして、更に上記形状特徴データ6−2およびこれに適用する成形条件データ8−2を元に、収縮歪データ9が算出される。
一例として、上記予測の対象とされる形状を、図5(b)に示した収縮率の実測を行った形状とした場合について説明する。
適用する成形条件を図9に示す。適用する成形圧は75MPaであるが、実測の成形圧は60,80,100MPaであるため、これらの成形圧の収縮率データを元に内挿して、形状特徴6である板厚に依存する収縮率を、変形形状の予測を計算する際に使用する。
図5(b)の形状特徴を元に収縮ひずみを算出した結果を図10に示す。
図10(a),(b),(c)はそれぞれX,Y,Z方向の歪を示している。
次に、変形形状表示部15において、変形形状データ10を読み込み、変形後の形状を表示する。
このような手順により、実測の収縮率を元に、形状予測をすることができる。
形状の外表面をメッシュで示したものが、金型形状であり、その内部にシェーディング表示した形状が変形量を30倍にした成形品の形状を示している。
実施例2においては、実施例1の構成に、形状分類選択部と、収縮率DBMS(収縮率登録・管理部)を付加した構成例について説明する。
図3に、本実施例の構成例について説明するブロック図を示す。
図3において、S101は形状分類選択部、S102は収縮率DBMSである。本実施例において、形状分類選択部(S101)と収縮率DBMS(S102)を除いて、他の構成は基本的に実施例1の構成と同じである。
ここで、形状分類とは、例えば、図5に示すような細長形状、図12に示すような片面がそれぞれ凹凸とされた軸対称形状、
図13に示すような両面が凸とされた形状、等による複数の異なる形態による形状が、それらの形態による形状データ毎に分類されていることを指している。
より具体的には、この形状分類選択部(S101)により、変形予測を行う前準備部において、予め登録された上記複数の異なる形態による形状データ4−1に基づく形状分類の中から、予測の対象とされる成形品の形状と類似する形状が選択される。
この収縮率DBMS(S102)では、つぎのようにして、上記形状分類毎に収縮率テーブルデータを登録または管理される。
まず、同じ形状分類の中で、各寸法を変えた形状4−1において、成形条件データ8−1を変え、金型および成形品の寸法を実測し、実測収縮率5が算出される。
算出された収縮率は、データ分析部12において、収縮率を形状特徴に関連づけた収縮率テーブルデータ7が算出される。
算出された収縮率テーブルデータ7は、形状分類毎に収縮率DBMS(S102)において登録または管理される。
図4に、本実施例における成形品の形状予測の手順について説明するフローチャートを示す。
つぎに、上記形状分類が選択されると、収縮率DBMS(S102)に登録された収縮率テーブルデータの中から対応する収縮率テーブルデータ7が決定される。
次に、形状特徴算出部11において、予測の対象となる形状データ4−2を読み込み、この読み込まれた形状データに対する形状特徴データ6−2が計算される。
次に、収縮歪算出部13において、変形予測を行う前準備部の収縮率テーブルデータ7を読み込み、更に上記形状特徴データ6−2およびこれに適用する成形条件データ8−2を元に、収縮歪データ9が算出される。
次に、変形形状予測部14において、収縮歪データを読み込み、変形形状10が出力される。
本実施例では、このような手順を経て変形形状を予測することが可能となる。
2:コンピュータ
3:補助記憶装置
4−1:形状予測前準備部における形状データ
4−2:測の対象とされる形状に対する形状データ
5:実測収縮率データ
6−1:形状予測前準備部における形状特徴データ
6−2:予測の対象とされる形状に対する形状特徴データ
7:収縮率テーブルデータ
8−1:形状予測前準備部における成形条件データ
8−2:測の対象とされる形状に対する成形条件データ
9:収縮歪データ
10:変形形状データ
11:形状特徴算出部
12:データ分析部
13:収縮率算出部(収縮歪み算出部)
14:変形形状予測部
15:変形形状表示部
Claims (7)
- 成形品の変形形状の予測方法であって、
変形形状の予測を行う前の準備段階において、予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて算出された形状特徴と、実測収縮率とを関連づけた収縮率テーブルデータを算出する工程と、
前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて形状特徴を算出し、これに対応する実測収縮率を前記準備段階の収縮率テーブルデータから読み込み、これらを元にして収縮歪データを算出する工程と、
前記算出された収縮歪データを用い、成形品の変形形状を予測する工程と、
を有することを特徴とする成形品の変形形状の予測方法。 - 前記収縮率テーブルデータを算出する工程において、前記特定の形態における形状データとして、複数の異なる形態による形状データが、それらの形態による形状データ毎に形状分類され、該形状分類毎に収縮率テーブルデータを登録または管理する工程を含み、
前記収縮歪データを算出する工程は、前記形状分類から選択された一つの形態における形状データに対応する収縮率テーブルデータを、前記形状分類毎に登録または管理されている収縮率テーブルデータの中から読み込み、
これらを元にして収縮歪データを算出する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の成形品の変形形状の予測方法。 - 前記形状特徴が、板厚、偏肉比、板厚差のうちの、いずれかによることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形品の変形形状の予測方法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の成形品の変形形状の予測方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする成形品の変形形状の予測プログラム。
- 請求項4に記載の成形品の変形形状の予測プログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能の記憶媒体。
- 成形品の変形形状の予測装置であって、
変形形状の予測を行う前の準備段階において、予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて形状特徴を算出すると共に、前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて形状特徴を算出する形状特徴算出部と、
前記予測の対象とされる成形品形状と類似する特定の形態における形状データに基づいて算出された形状特徴と、実測収縮率とを関連づけ収縮率テーブルデータを算出するデータ分析部と、
前記予測の対象とされる成形品形状の形状データに基づいて算出された形状特徴と、これに対応する実測収縮率を前記収縮率テーブルデータから読み込み、これらを元にした収縮歪データを算出する収縮率算出部と、
前記収縮率算出部による収縮歪データに基づいて変形形状を予測する変形形状予測部と、
を有することを特徴とする成形品の変形形状の予測装置。 - 前記特定の形態における形状データとして、複数の異なる形態による形状データが、それらの形態による形状データ毎に形状分類され、該形状分類毎に収縮率テーブルデータを登録または管理する収縮率登録・管理部と、
前記形状分類から一つの特定の形態による形状を選択する形状分類選択部と、 を、更に備え、前記形状分類選択部によって前記形状分類から一つの特定の形態による形状を選択し、
これに対応する収縮率テーブルデータを、前記形状分類毎に登録または管理されている収縮率テーブルデータの中から読み込み可能とされていることを特徴とする請求項6に記載の成形品の変形形状の予測装置。
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