JP2005280033A - 射出成形品の変形解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製品の反り変形を少ない演算量で正確に予測する。
【解決手段】 製品のCADデータに基づいて作成されたシェル要素から成る有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って当該製品各部の温度分布を予測し、前記製品のCADデータに基づいて作成された前記製品の角部の断面形状の2次元平面ひずみ要素から成る有限要素モデルに対し、当該予測された温度分布を初期条件として変形解析を行って当該断面形状の形状変化を演算し、前記シェル要素から成る有限要素モデルを前記断面形状の形状変化に基づいて修正し、修正後の有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って前記製品の反り変形を演算し、当該反り変形が反映された前記製品の最終的な形状を表示する。
【選択図】 なし
【解決手段】 製品のCADデータに基づいて作成されたシェル要素から成る有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って当該製品各部の温度分布を予測し、前記製品のCADデータに基づいて作成された前記製品の角部の断面形状の2次元平面ひずみ要素から成る有限要素モデルに対し、当該予測された温度分布を初期条件として変形解析を行って当該断面形状の形状変化を演算し、前記シェル要素から成る有限要素モデルを前記断面形状の形状変化に基づいて修正し、修正後の有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って前記製品の反り変形を演算し、当該反り変形が反映された前記製品の最終的な形状を表示する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、たとえば樹脂などの射出成形品の反り変形を少ない演算量で正確に予測することができる、射出成形品の変形解析方法に関する。
射出成形樹脂部品の反り変形を予測する一般的な手法としては、2.5D(2.5次元)反り変形解析手法および3D(3次元)反り変形解析手法がある。
2.5D反り変形解析手法は、製品の肉厚中心の基準平面にメッシュ状のシェルモデルを作成し、2.5D反り変形解析ソフトを用いて、樹脂流動解析によりその製品を射出成形型から取り出した時の温度分布を求め、温度が低下して行く過程でそのシェルモデル各部の応力がどのように変化するのかを求め、製品が常温まで低下したときの最終形状を予測する手法である。なお、2.5D反り変形解析ソフトは、シェルモデルの形状が厚みを考慮しない2次元モデルではあるが、その厚み方向の温度などを考慮できるようにした解析手法を採用している数値シミュレーションソフトである。
3D反り変形解析手法は、製品の3Dソリッドモデルを作成し、樹脂流動解析の結果、射出成形型から取り出した時の温度分布を求め、温度が低下して行く過程でその3Dソリッドモデル各部の応力がどのように変化するのかを求め、製品が常温まで低下したときの最終形状を予測する手法である。
上記いずれの手法を用いてもある程度の精度で反り変形の予測は可能である。下記特許文献1では、上記の2.5D反り解析手法を用いて製品の反り変形予測を行っているが、コーナー部の反り変形の予測精度を向上させるために、コーナー部の表面と裏面とで異なる熱伝達係数を適用し、熱収支の改善を図っている。
特開2002−292707号公報
しかしながら、2.5D反り変形解析手法を用いた場合には、コーナー部、R部における内側および外側の熱収支の演算を正確に行うことができないため、コーナー部、R部の内側と外側の収縮率の差による反り変形を正確に把握することができず、結果として反り変形の予測精度が悪化する。上記特許文献1では、この不具合を解消するためにコーナー部の表面と裏面とで異なる熱伝達係数を用いている。
さらに、2.5D反り変形解析手法を用いた場合には、コーナー部、R部の剛性と平板部の剛性との差別化ができないため、応力によるコーナー部、R部の変形量を正確に演算することができず、結果として反り変形の予測精度が悪化する。
一方、3D反り変形解析手法を用いた場合には、2.5D反り変形解析手法とは異なり、コーナー部、R部の熱収支や剛性の差別化を正確に計算することができるため、反り変形の予測精度としては高精度となる。ところが、3D反り変形解析手法を用いた場合には、要求精度に応じて製品の厚み方向の細かな要素分割を行う必要があり、その結果要素数が増加して、特にバンパーなどの薄肉大型部品の反り変形の予測には膨大な量の演算を行う必要がある。
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みて成されたものであり、製品の反り変形を少ない演算量で正確に予測することができる、射出成形品の変形解析方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る射出成形品の変形解析方法は、製品のCADデータに基づいて作成されたシェル要素から成る有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って当該製品各部の温度分布を予測する段階と、前記製品のCADデータに基づいて作成された前記製品の角部の断面形状の2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルに対し、当該予測された温度分布を初期条件として変形解析を行って当該断面形状の形状変化を演算する段階と、前記シェル要素から成る有限要素モデルを前記断面形状の形状変化に基づいて修正し、修正後の有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って前記製品の反り変形を演算する段階と、当該反り変形が反映された前記製品の最終的な形状を表示する段階と、を含むことを特徴とする。
以上のような構成の本発明に係る射出成形品の変形解析方法によれば、一般的に用いられている2.5次元の流動解析では考慮できない製品の角部における熱収支の影響および角部と平板部との剛性の差異の影響を考慮することができるため、2.5次元の流動解析を単に用いた場合よりも反り変形の解析精度が向上する。
また、2.5次元の流動解析をベースとして製品の断面の変形解析を追加するだけで反り変形の解析をすることができるため、演算量は2.5次元の流動解析を行う場合と変わらず、3次元の流動解析よりも少ない演算量で反り変形解析をすることができる。
以下に、本発明に係る射出成形品の変形解析方法について詳細に説明する。
本発明に係る射出成形品の変形解析方法は、従来から用いられている2.5D反り変形解析手法を用いて製品コーナー部の反りを正確に再現できるようにし、結果的に3D反り変形解析手法を用いた場合よりも少ない演算量で3D反り変形解析手法を用いた場合と同程度の解析精度を得ることができるものである。
図1は、本発明に係る射出成形品の変形解析方法を実行する装置の概略構成を示すブロック図である。この装置は、製品CADデータ記憶部10、製品形状作成部12、2D断面モデル作成部14、製品シェルモデル作成部16、2.5D流動解析部18、熱伝達解析部20、モデル修正用データベース22、製品シェルモデル修正部24、2.5D熱変形解析部26および表示部28を備えている。
製品CADデータ記憶部10は、たとえば射出成形品であるバンパーの形状データを記憶している。製品形状作成部12は、製品CADデータ記憶部10に記憶されている形状データに基づいて製品形状、すなわちバンパーの形状を作成する。
2D断面モデル作成部14は、製品形状作成部12によって作成されたバンパーの形状のうち、角部の断面形状のみを取り出し、その断面形状に基づいて2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルを作成する。製品シェルモデル作成部16は、製品形状作成部12によって作成されたバンパーの形状に基づいてバンパーの肉厚中心の基準平面にシェル要素から成る有限要素モデルを作成する。
2.5D流動解析部18は、製品シェルモデル作成部16によって作成されたシェル要素から成る有限要素モデルに対して2.5次元の流動解析を行ってバンパー各部の温度分布を予測する。熱伝達解析部20は、2D断面モデル作成部14によって作成された2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルに対し、2.5D流動解析部18によって予測されたバンパー各部の温度分布を初期条件として変形解析を行い、バンパーの角部の断面形状の形状変化を演算する。演算結果、すなわちバンパーの角部の断面形状の形状変化はモデル修正用データベース22に記憶される。
モデル修正用データベース22が記憶するバンパーの角部の断面形状の形状変化は、バンパーの角部の断面の縦の長さt1、横の長さt2、バンパーを射出成形する金型の温度Tm、バンパーの角部の熱伝導率λに対するバンパーの角部の断面形状の角度変化である。なお、バンパーの角部の断面の縦の長さt1、横の長さt2、バンパーの角部の熱伝導率λは製品CADデータ記憶部10に記憶されているデータから、金型の温度Tmは2.5D流動解析部18によって行われた2.5次元の流動解析の結果から、バンパーの角部の断面形状の角度変化は熱伝達解析部20によって行われた変形解析の結果から、それぞれ取得される。
製品シェルモデル修正部24は、モデル修正用データベース22によって記憶されている、熱伝達解析部20による変形解析の結果から得られたバンパーの角部の断面形状の角度変化に基づいて、製品シェルモデル作成部16で作成されたシェル要素から成る有限要素モデルを修正する。2.5D熱変形解析部26は、製品シェルモデル修正部24によって修正された有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行ってバンパーの反り変形を演算する。表示部28は、2.5D熱変形解析部26によって演算された、反り変形が反映されたバンパーの最終的な形状を表示する。
図2および図3は、本発明に係る射出成形品の変形解析方法の手順を示すフローチャートである。図2は、製品の角部の断面形状の角度変化を求めて、これをモデル修正用データベースとして記憶させるまでの処理を示している。図3は、モデル修正用データベースの記憶内容を参照して製品の完成形状を表示するまでの処置を示している。
まず、製品形状作成部12は、製品CADデータ記憶部10に記憶されている製品の形状データを取り出して製品形状を作成する。たとえば、図4に示すような製品形状を作成する(S1)。
次に、製品シェルモデル作成部16は、製品形状作成部12によって作成された図4に示すような製品形状に基づいてバンパーの肉厚中心の基準平面に図5に示すようなシェル要素から成る有限要素モデルを作成する(S2)。
そして、2.5D流動解析部18は、製品シェルモデル作成部16によって作成された図5に示すようなシェル要素から成る有限要素モデルに対して2.5次元の流動解析を行って製品各部の温度分布を予測する。つまり、ある温度の樹脂を射出成形金型に注入し、図4に示すような製品をその金型から取り出した時の製品各部の温度がどのような温度になっているのかを予測する(S3)。
一方、2D断面モデル作成部14は、製品形状作成部12によって作成された製品形状のうち、角部の断面形状のみを取り出し、その断面形状に基づいて2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルを作成する。製品形状が図4に示すような形状であれば、2D断面モデル作成部14は、製品の両側に存在する断面形状がL字形状となっているコーナー部を抽出し、そのコーナー部の断面から図6A、Bに示すような形状の有限要素モデルを作成する(S4)。
熱伝達解析部20は、2D断面モデル作成部14によって作成された有限要素モデルに対し、S3のステップで予測された製品各部の温度分布を初期条件として、変形解析を行い、抽出したコーナー部の形状がどのように変化するのかを予測する。たとえば、コーナー部の断面が図7に示すような形状である場合、コーナー部が初期条件として与えられた温度から常温になるまでに、その形状がどのように変化するのかを予測する。形状の変化は図8に示すように、コーナー部の断面における角度変化として演算される(S5)。
熱伝達解析部20は、形状解析の結果をモデル修正用データベース22に記憶させる。記憶されるデータは、コーナー部の断面の縦の長さt1、横の長さt2(図7参照)、射出成形金型の温度Tm、コーナー部の熱伝導率λに対するコーナー部の断面における角度変化である(S6)。
次に、製品シェルモデル修正部24は、モデル修正用データベース22によって記憶されている形状解析の結果の中から適合するデータ、すなわち角度変化を取得する。たとえば、形状解析しようとする製品のコーナー部の断面の縦の長さがt11、横の長さがt12であり、射出成形金型の温度Tm1、コーナー部の熱伝導率λ1であったとし、モデル修正用データベース22に記憶されているこれらの条件(コーナー部の断面の縦の長さがt11、横の長さがt12であり、射出成形金型の温度Tm1、コーナー部の熱伝導率λ1)に対応するコーナー部の断面における角度変化が3°であったとすれば、製品シェルモデル修正部24は、この角度変化の3°のデータを取得する(S7)。
そして、製品シェルモデル修正部24は、この取得したデータに基づいて製品シェルモデル作成部16で作成された有限要素モデルの形状を修正する。たとえば、図9に示すように、製品シェルモデル作成部16で作成された有限要素モデルAを、取得したデータに基づいて有限要素モデルBのように修正する(S8)。
2.5D熱変形解析部26は、製品シェルモデル修正部24によって修正された有限要素モデル(図9の有限要素モデルB)に対し2.5次元の流動解析を行って製品の反り変形を演算する(S9)。そして最後に、表示部28は、2.5D熱変形解析部26によって演算された、反り変形が反映された製品の最終的な完成形状を表示する(S10)。
なお以上の実施の形態では、モデル修正用データベース22に記憶させるデータを作成する処理も本発明に係る射出成形品の変形解析方法に含めたが、モデル修正用データベース22があらかじめ作成されている場合には、本発明に係る射出成形品の変形解析方法は図3のフローチャートに示した手順となる。
図10に示すように、CADデータから作成した2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデル(図10では細い実線で示されているCADデータから作成したメッシュ)は角部の角度が直角であるが、角部の歪みを考慮してそれを修正した有限要素モデル(図10では太い実線で示されている2D熱変形解析の結果を反映したモデル)はその角部の角度が小さくなっている。さらに、修正した有限要素モデルに2.5次元の形状解析を行うと、図10では点線で示されるような形状が得られる。
以上のように、本発明では、射出成形を行って型から取り出した製品が常温まで冷却されたときの製品の完成形状を、複雑な演算を行うことなく、高精度で予測することができる。
本発明に係る射出成形品の変形解析方法は、演算量を抑えつつ高精度の解析が可能であるので、成形品の形状予測分野において有用である。
10 製品CADデータ記憶部、
12 製品形状作成部、
14 2D断面モデル作成部、
16 製品シェルモデル作成部、
18 2.5D流動解析部、
20 熱伝達解析部、
22 モデル修正用データベース、
24 製品シェルモデル修正部、
26 2.5D熱変形解析部、
28 表示部。
12 製品形状作成部、
14 2D断面モデル作成部、
16 製品シェルモデル作成部、
18 2.5D流動解析部、
20 熱伝達解析部、
22 モデル修正用データベース、
24 製品シェルモデル修正部、
26 2.5D熱変形解析部、
28 表示部。
Claims (4)
- 製品のCADデータに基づいて作成されたシェル要素から成る有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って当該製品各部の温度分布を予測する段階と、
前記製品のCADデータに基づいて作成された前記製品の角部の断面形状の2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルに対し、当該予測された温度分布を初期条件として変形解析を行って当該断面形状の形状変化を演算する段階と、
前記シェル要素から成る有限要素モデルを前記断面形状の形状変化に基づいて修正し、修正後の有限要素モデルに対し2.5次元の流動解析を行って前記製品の反り変形を演算する段階と、
当該反り変形が反映された前記製品の最終的な形状を表示する段階と、
を含むことを特徴とする射出成形品の変形解析方法。 - 前記製品各部の温度分布を予測する段階は、
前記製品のCADデータに基づいて前記製品の肉厚中心の基準平面にシェル要素から成る有限要素モデルを作成する段階と、
当該シェル要素から成る有限要素モデルに対して2.5次元の流動解析を行って前記製品各部の温度分布を予測する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の射出成形品の変形解析方法。 - 前記断面形状の形状変化を演算する段階は、
前記製品のCADデータに基づいて前記製品の角部の断面形状の2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルを作成する段階と、
前記2次元の平面ひずみ要素から成る有限要素モデルに対して前記製品各部の温度分布を予測する段階で予測された温度分布を初期条件として変形解析を行って前記製品の角部の断面形状の形状変化を演算する段階と、
演算された形状変化をデータベースとして記憶する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の射出成形品の変形解析方法。 - データベースとして記憶される形状変化は、前記製品の角部の断面の縦の長さt1、横の長さt2、成形金型の温度Tm、前記製品の角部の熱伝導率λに対する前記製品の角部の断面形状の角度変化であることを特徴とする請求項3に記載の射出成形品の変形解析方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009234029A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Mazda Motor Corp | 射出成形品の設計支援方法及び装置 |
JP2013176929A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-09 | Sanko Gosei Ltd | 成形品そり変形予測装置、成形品そり変形予測方法及び成形品そり変形予測プログラム |
US11580282B2 (en) | 2020-03-23 | 2023-02-14 | Hasl Co., Ltd. | Multilayer fluid analysis program, and multilayer fluid analysis system |
CN116001230A (zh) * | 2023-01-13 | 2023-04-25 | 江苏环亚喷雾塑业有限公司 | 一种乳液泵注塑成型系统 |
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