JP2001246655A - 射出成形時の挙動予測方法及び装置、金型設計方法 - Google Patents

射出成形時の挙動予測方法及び装置、金型設計方法

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JP2001246655A
JP2001246655A JP2000057519A JP2000057519A JP2001246655A JP 2001246655 A JP2001246655 A JP 2001246655A JP 2000057519 A JP2000057519 A JP 2000057519A JP 2000057519 A JP2000057519 A JP 2000057519A JP 2001246655 A JP2001246655 A JP 2001246655A
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JP2000057519A
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Yasuo Nakajima
靖夫 中島
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Canon Inc
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型による射出成形品成形時の樹脂の挙動予
測の精度を向上することができる射出成形時の挙動予測
方法及び装置、金型設計方法を提供する。 【解決手段】 金型製造時と成形時との温度差を考慮し
て、金型の熱変形を加味し、金型の熱膨張量をもパラメ
ータとして、モデル作成部51により3次元モデルが作
成される。このモデルに基づいて、演算部60により成
形時の樹脂の挙動が予測され、予測された挙動に基づい
て、成形収縮率が、成形収縮率=(モデルの寸法+熱膨
張量−成形品寸法)/(モデルの寸法+熱膨張量)によ
り算出、予測される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、作成したモデル
を用いて有限要素法によって射出成形時の金型内におけ
る溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の挙動を予測す
る射出成形時の挙動予測方法及び装置、金型設計方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有限要素法によって射出成形時の
金型内における溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の
挙動を予測する射出成形時の挙動予測方法、装置が知ら
れている。これらの方法等では、例えば射出成形品のモ
デルを作成し、該作成したモデルを用いて、有限要素法
によって定式化された基礎式を使用し、射出成形時の金
型内における溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の挙
動を予測し、さらに成形品の成形収縮率や変形量を予測
するシミュレーション手法が採用されている。
【0003】この手法では、まず、有限要素法の計算が
行えるようにメッシュ分割された3次元モデルを作成す
る。そして成形条件、樹脂物性データを与え、プラスチ
ック樹脂が金型のキャビティ内を充填する過程におい
て、運動方程式、エネルギー保存の式、連続の式を有限
要素法に定式化することにより、溶融樹脂の充填、保
圧、冷却の各過程の挙動を予測することができる。その
結果、各過程での温度分布、圧力分布、応力分布等が求
められるのに加え、成形品取り出し時における成形品の
収縮率や反り量等も予測することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の射出成形時の挙動予測方法では、モデルは、多くの
場合、成形品の製品寸法で作成されるか、あるいは金型
製造時の寸法で作成されていたため、シミュレーション
による解析結果が実成形と必ずしも正確に一致しない場
合があるという問題があった。この原因として、金型の
熱収縮や熱膨張等の熱変形が考えられる。
【0005】すなわち、金型は一般に20°C前後の恒
温室で製作されるが、実際の成形では例えば水、油、エ
ア等の媒体によって冷却され、金型製造時より低い温度
下で使用されたり、逆に成形時に水、油またはヒータ等
によって加熱され、金型製造時より高い温度下で使用さ
れたりする場合がある。金型材料としては、鋼材、銅系
材料が使用されるが、これらは熱によって変形するた
め、金型製造時と射出成形時との温度差に起因して金型
が熱収縮や熱膨張を起こす。この場合は、金型製造時の
寸法とは異なった寸法にて成形が行われることになる。
【0006】金型自体の設計には、一般に、射出成形時
の成形品の収縮率が考慮される。ここで、一般に金型の
設計で用いられる成形収縮率は、成形収縮率=(金型製
造時の寸法−成形品寸法)/(金型製造時の寸法)であ
るのに対し、金型製造時より高い温度で成形が行われる
場合は、実際の成形収縮率は、成形収縮率=(金型製造
時の寸法+熱膨張量−成形品寸法)/(金型製造時の寸
法+熱膨張量)となる。わかりやすくするため、上記各
式による成形収縮率のうち、前者を見かけの収縮率、後
者を本来の(真の)収縮率と呼称する。
【0007】一方、上記従来の射出成形時の挙動予測方
法でシミュレーションを行う場合、金型の熱変形は考慮
していないから、金型の設計で用いられる成形収縮率
は、成形収縮率=(モデルの寸法−成形品寸法)/(モ
デルの寸法)で算出され、金型製造時より高い温度で成
形が行われる場合でも同式が適用される。この式による
成形収縮率をCAE(Computer-Aided Engineering)の
収縮率と呼称する。実成形とシミュレーション結果を比
較した場合、本来の収縮率とCAEの収縮率とはほぼ同
様の定義であるが、金型設計で一般に用いられる見かけ
の収縮率とCAEの収縮率とは同様の定義とはいえな
い。
【0008】その結果、成形時の金型温度が製造時の温
度より高い場合に成形収縮率を比較すると、実成形の見
かけの収縮率に比べシミュレーションにおけるCAEの
収縮率の方が大きい成形収縮率となってしまう。同様
に、成形時の金型温度が製造時の温度より低い場合に成
形収縮率を比較すると、実成形の見かけの収縮率に比べ
シミュレーションにおけるCAEの収縮率の方が小さい
成形収縮率となってしまう。
【0009】このように、シミュレーションによる解析
結果が実成形と一致しない場合があるため、射出成形時
の金型内における溶融樹脂の挙動を精度よく予測し、成
形品の収縮率の予測精度を向上する上で、改善の余地が
あった。
【0010】本発明は上記従来技術の問題を解決するた
めになされたものであり、その目的は、金型による射出
成形品成形時の樹脂の挙動予測の精度を向上することが
できる射出成形時の挙動予測方法及び装置、金型設計方
法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1の射出成形時の挙動予測方法は、射
出成形品のモデルを作成するモデル作成工程と、該モデ
ル作成工程により作成された射出成形品のモデルを用い
て、有限要素法によって射出成形時の金型内における溶
融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の挙動を予測する挙
動予測工程とを含む射出成形時の挙動予測方法におい
て、前記モデル作成工程は、前記金型の熱変形を加味し
て前記射出成形品のモデルを作成することを特徴とす
る。
【0012】同じ目的を達成するために本発明の請求項
2の射出成形時の挙動予測方法は、射出成形品のモデル
を作成するモデル作成工程と、該モデル作成工程により
作成された射出成形品のモデルを用いて、有限要素法に
よって定式化された基礎式を使用し、射出成形時の金型
内における溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の挙動
を予測する挙動予測工程とを含む射出成形時の挙動予測
方法において、前記モデル作成工程は、前記金型の熱変
形を加味して前記射出成形品のモデルを作成することを
特徴とする。
【0013】同じ目的を達成するために本発明の請求項
3の射出成形時の挙動予測方法は、上記請求項1または
2記載の構成において、前記モデル作成工程によるモデ
ル作成時に加味される前記金型の熱変形は、前記金型自
体の製造時と該金型による射出成形品の成形時との温度
差によって生じる変形であることを特徴とする。
【0014】同じ目的を達成するために本発明の請求項
4の射出成形時の挙動予測方法は、上記請求項3記載の
構成において、前記モデル作成工程による前記金型の熱
変形の加味は、前記金型の熱変形以外の要素に基づき作
成したモデルの寸法に前記金型の熱膨張量を加算するこ
とによりなされることを特徴とする。
【0015】同じ目的を達成するために本発明の請求項
5の射出成形時の挙動予測方法は、上記請求項1〜4の
いずれか1項に記載の射出成形時の構成において、前記
挙動予測工程は、前記予測した射出成形時の前記各過程
の挙動に基づいて前記射出成形品の成形時の収縮率を予
測する収縮率予測工程を含むことを特徴とする。
【0016】同じ目的を達成するために本発明の請求項
6の金型設計方法は、請求項5記載の収縮率予測工程に
より予測された射出成形品の収縮率に基づいて、該成形
品を射出成形するための金型を設計することを特徴とす
る。
【0017】同じ目的を達成するために本発明の請求項
7の射出成形時の挙動予測装置は、射出成形品のモデル
を作成するモデル作成手段と、該モデル作成手段により
作成された射出成形品のモデルを用いて、有限要素法に
よって射出成形時の金型内における溶融樹脂の充填、保
圧、冷却の各過程の挙動を予測する挙動予測手段とを備
えた射出成形時の挙動予測装置において、前記モデル作
成手段は、前記金型の熱変形を加味して前記射出成形品
のモデルを作成することを特徴とする。
【0018】同じ目的を達成するために本発明の請求項
8の射出成形時の挙動予測装置は、射出成形品のモデル
を作成するモデル作成手段と、該モデル作成手段により
作成された射出成形品のモデルを用いて、有限要素法に
よって定式化された基礎式を使用し、射出成形時の金型
内における溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の挙動
を予測する挙動予測手段とを備えた射出成形時の挙動予
測装置において、前記モデル作成手段は、前記金型の熱
変形を加味して前記射出成形品のモデルを作成すること
を特徴とする。
【0019】同じ目的を達成するために本発明の請求項
9の射出成形時の挙動予測装置は、上記請求項7または
8記載の構成において、前記モデル作成手段によるモデ
ル作成時に加味される前記金型の熱変形は、前記金型自
体の製造時と該金型による射出成形品の成形時との温度
差によって生じる変形であることを特徴とする。
【0020】同じ目的を達成するために本発明の請求項
10の射出成形時の挙動予測装置は、上記請求項9記載
の構成において、前記モデル作成手段による前記金型の
熱変形の加味は、前記金型の熱変形以外の要素に基づき
作成したモデルの寸法に前記金型の熱膨張量を加算する
ことによりなされることを特徴とする。
【0021】同じ目的を達成するために本発明の請求項
11の射出成形時の挙動予測装置は、上記請求項7〜1
0のいずれか1項に記載の構成において、前記挙動予測
手段は、前記予測した射出成形時の前記各過程の挙動に
基づいて前記射出成形品の成形時の収縮率を予測する収
縮率予測手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0023】図1は、本発明の一実施の形態に係る射出
成形時の挙動予測シミュレーションを行う挙動予測装置
の概略構成を示すブロック図である。本装置は、不図示
の金型により後述するプラスチック成形品を射出成形す
る場合に適用される。
【0024】同図に示すように、本挙動予測装置は入力
部50に演算部60(挙動予測手段)が接続されて構成
される。入力部50において、モデル作成部51(モデ
ル作成手段)は解析対象となる成形品の3次元(3D)
モデルを作成する。その際、モデル作成部51は、金型
熱変形条件部52から、金型の製造時と金型による成形
品加工成形時との金型温度差に起因する金型の熱変形量
のデータを入力し、これをも加味してモデルを作成す
る。金型の熱変形については後述する。
【0025】また、モデル作成部51は、作成したモデ
ルを有限要素法の計算が行えるようにメッシュ分割す
る。さらに、実際に用いる樹脂データをデータベース5
3から選択して、成形条件部54と荷重・拘束条件部5
5とから所望データを入力設定して演算部60に出力す
る。
【0026】演算部60は、流動解析61により樹脂の
金型内での挙動を計算してから、その結果に基づき樹脂
の圧縮性を考慮した保圧過程の樹脂の挙動を保圧解析6
2により行い、その後の冷却段階での樹脂挙動を冷却解
析63により計算する。そして、金型内での予測された
樹脂の挙動に基づき、型から取り出された後の成形品の
縮小率や反り量を変形解析64(収縮率予測手段)によ
り算出、予測する。
【0027】演算部60から出力される成形品の縮小率
等の予測データは、例えば金型の設計に供することがで
きる。
【0028】図2は、本実施の形態において成形される
成形品1を示す図である。同図(a)は正面図を示し、
同図(b)は平面図を示す。
【0029】成形品1はプラスチック成形品であり、例
えばプリンタ等のOA機器の部品である。なお、溶融樹
脂を成形して成る成形品であればその他各種物品に広く
適用可能である。
【0030】射出成形時には、ゲート2、3の2箇所か
ら樹脂がバルブゲートを介して注入される。成形品1
は、中央部に設けられた中央穴4により、ゲート側5と
反ゲート側6とに分かれている。ゲート2、3から注入
された樹脂は、側面7、8に沿って流れ、反ゲート側6
の略中央で会合する。ゲート側5には穴9、10が設け
られ、これら穴9、10の中心間距離は234mmに設
定されている。一方、反ゲート側6のエッジ部端面1
3、14間の距離は259.5mmに設定されている。
【0031】図3は、成形品1の成形条件の組み合わせ
パターンを示す図である。
【0032】同図に示すように、成形品1の成形条件の
要素としては、金型に流す媒体の媒体流量15、媒体温
度16、充填時間17、保持圧力18、保持時間19、
冷却時間20、型開から成形品取り出し及び型締完了ま
での中間時間21がある。成形条件の組み合わせパター
ンは01〜18まで18パターンある。成形条件の各組
み合わせは、媒体流量15を6L未満及び6L以上の2
通り、媒体温度16を15、30、45°Cの3通り、
充填時間17を0.9、1.4、1.9秒(sec)の
3通り、保持圧力18を400、550、700(Kg
/cm2)の3通り、保持時間19を3、5、7秒(s
ec)の3通り、冷却時間20を6、11、16秒(s
ec)の3通りにそれぞれ変化させ、中間時間21を1
0秒(sec)と一定にして設定される。各組み合わせ
によってサイクル34が異なる。
【0033】図4は、穴9、10の中心間距離(234
mm)についての実験計画法による要因効果を示す図で
ある。同図(a)は実成形の結果による要因効果図22
を示し、同図(b)は、媒体温度16の違いによる金型
の熱変形(熱収縮または熱膨張)を考慮しない同一形状
のモデルを用いて、樹脂流動解析用の所定のアプリケー
ションによりシミュレーション解析を行ったとき(以
下、「CAE型寸未考慮」と称する)の要因効果図23
を示す。同図(c)は、媒体温度16の違いによる金型
の熱変形(熱収縮または熱膨張)を考慮した3タイプの
モデル(3次元モデル)を用いて上記所定のアプリケー
ションによりシミュレーション解析を行ったとき(以
下、「CAE型寸考慮」と称する)の要因効果図24を
示す。
【0034】なお上記所定のアプリケーションとして
は、本実施の形態では、射出成形CAEシステム用のC
APLAS(Canon Plastic Analysis System)を採用し
た。
【0035】図5は、エッジ部端面13、14間距離
(259.5mm)についての実験計画法による要因効
果を示す図である。同図(a)は実成形の結果による要
因効果図25を示し、同図(b)は、「CAE型寸未考
慮」の場合の要因効果図26を示し、同図(c)は、
「CAE型寸考慮」の場合の要因効果図27を示す。
【0036】図4、図5に示す要因効果図22〜27で
は、いずれも横軸に媒体流量15、媒体温度16、充填
時間17、保持圧力18、保持時間19及び冷却時間2
0がとられ、縦軸に成形品収縮率がとられる。なお、金
型設計時の使いやすさを考慮して、成形品収縮率には1
/(1−収縮率)の値が代用され、さらに実験計画法の
精度を向上させるために1000倍した値で示されてい
る。
【0037】図6は、穴9、10の中心間距離(234
mm)についての実験計画法による要因分析の結果を示
す図である。図7は、エッジ部端面13、14間距離
(259.5mm)についての実験計画法による要因分
析の結果を示す図である。図6、図7はいずれも、媒体
流量15、媒体温度16、充填時間17、保持圧力1
8、保持時間19及び冷却時間20の各因子の要因分析
を行った結果を示し、成形品1の収縮率への寄与率を表
している。なお、寄与率5%以下の因子は誤差項として
省略した。
【0038】図6では、各要因について、実成形の結果
による要因分析28、「CAE型寸未考慮」の場合の要
因分析29、「CAE型寸考慮」の場合の要因分析30
が上から順に示され、図7では同様に、実成形の結果に
よる要因分析31、「CAE型寸未考慮」の場合の要因
分析32、「CAE型寸考慮」の場合の要因分析33が
上から順に示されている。なお、「CAE型寸考慮」及
び「CAE型寸未考慮」の場合の要因分析はいずれも、
上記と同様の所定のアプリケーション(CAPLAS)
によりシミュレーション解析を行った結果である。
【0039】図4〜図7について考察する。プラスチッ
ク成形品1のシミュレーションに用いる3Dモデルを製
作する際、まず、金型製作寸法でモデリングを行う。例
えば金型が室温20°C下で製造され、成形時の媒体温
度16が30°Cであると予想される場合、金型温度は
製造時と成形時とでは10°Cの差が生じる。金型材質
が例えばHR750である場合、線膨張係数αは17.
0×10-6(1/°C)であるから、金型寸法は製造時
の寸法に比較して単位長さ当たりα×10°C、すなわ
ち17.0×10-6×10だけ熱膨張することになる。
よって、金型製作寸法でモデリングされた3Dモデルを
(1+17.0×10-6×10)倍してシミュレーショ
ンを行うようにする。
【0040】同様に、成形時の媒体温度16が45°C
であると予想される場合は、温度差が25°Cであるた
め、3Dモデルを(1+17.0×10-6×25)倍し
てシミュレーションを行うようにする。
【0041】このような方法により、図3に示す成型条
件の組み合わせに基づきシミュレーションを行い、実成
形との比較をl18実験計画法によって行った。
【0042】まず、穴9、10の中心間距離(234m
m)については、図4に示すように、要因効果図24の
方が要因効果図23よりも全体的に要因効果図22に近
い。特に、媒体温度16の折れ線の傾きに注目してみる
と、要因効果図23では要因効果図22と逆向きになっ
ているのに対し、要因効果図24では要因効果図22と
同じ向きになっている。すなわち、媒体温度16に関し
ては、「CAE型寸考慮」の場合の方が「CAE型寸未
考慮」の場合よりも実成形に近似しているといえる。
【0043】一方、エッジ部端面13、14間距離(2
59.5mm)については、図5に示すように、要因効
果図27の方が要因効果図26よりも全体的に要因効果
図25に近い。特に媒体温度16の折れ線の傾きに注目
してみると、要因効果図26よりも要因効果図27の方
が要因効果図25に近く、すなわち、媒体温度16に関
しては、「CAE型寸考慮」の場合の方が「CAE型寸
未考慮」の場合よりも実成形に近似しているといえる。
【0044】次に、図6、図7で、媒体流量15、媒体
温度16、充填時間17、保持圧力18、保持時間19
及び冷却時間20の各因子の要因分析を比較してみる。
【0045】まず、穴9、10の中心間距離(234m
m)については、図6に示すように、保持圧力18の成
形品1の収縮率への寄与率は、「CAE型寸未考慮」の
場合の要因分析29では著しく高くなっており、要因分
析29よりも「CAE型寸考慮」の場合の要因分析30
の方が、実成形の結果による要因分析28の値に近い。
【0046】一方、エッジ部端面13、14間距離(2
59.5mm)については、図7に示すように、保持圧
力18の成形品1の収縮率への寄与率は、「CAE型寸
未考慮」の場合の要因分析32では著しく高くなってお
り、要因分析32よりも「CAE型寸考慮」の場合の要
因分析33の方が、実成形の結果による要因分析31の
値に近い。
【0047】このように、要因分析の結果からみても、
「CAE型寸考慮」の場合の方が「CAE型寸未考慮」
の場合よりも実成形に近似しているといえる。そこで、
本実施の形態では、モデル作成部51により3次元モデ
ルを作成する際、金型製造時と成形時との温度差を考慮
して、金型の熱膨張量をもパラメータとすることにし
た。作成された3次元モデルをシュミレーションに使用
し、射出成形時の金型内における溶融樹脂の充填、保
圧、冷却の各過程の挙動を予測する。そして、予測され
た挙動に基づいて、成形品1の成形収縮率を予測する。
この成形収縮率は、成形収縮率=(モデルの寸法+熱膨
張量−成形品寸法)/(モデルの寸法+熱膨張量)によ
り算出される。すなわち、金型の熱変形以外の要素に基
づき作成したモデルの寸法に金型の熱膨張量を加算する
ことにより、金型の熱変形が加味されている。この式に
よる成形収縮率をCAE見かけの収縮率と呼称する。
【0048】なお、この式の微少項を単純化し、成形収
縮率=(モデルの寸法+熱膨張量−成形品寸法)/(モ
デルの寸法)によりCAE見かけの収縮率を算出するよ
うにしてもよい。
【0049】本実施の形態によれば、金型製造時と成形
時との温度差に起因する金型の熱膨張量を考慮して3次
元モデルを作成し、これに基づいて、射出成形時の金型
内における溶融樹脂の挙動を予測するようにしたので、
実成形に近い高精度な挙動予測を行い、樹脂の挙動予測
の精度を向上することができる。
【0050】また、予測した溶融樹脂の挙動に基づいて
成形収縮率を予測するようにしたので、成形収縮率につ
いてシュミレーション結果を実成形に近づけることがで
き、射出成形品の収縮率を精度よく予測することができ
る。さらに、金型設計に先立ちシュミレーションを行え
ば、より実成形に近い成形収縮率を求めることができ、
その収縮率を金型の設計に反映することにより、金型の
熱変形を考慮してより実成形に近い収縮率による金型設
計を行うことができる。また、予測した成形収縮率を、
不図示の金型設計装置に設計パラメータとして入力すれ
ば、適切な金型設計を行うことができる。
【0051】なお、本実施の形態ではシュミレーション
においてアプリケーションCAPLASを使用したが、
他のアプリケーションを採用してもよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係る射出成形時の挙動予測方法または請求項7に係る
射出成形時の挙動予測装置によれば、金型による射出成
形品成形時の樹脂の挙動予測の精度を向上することがで
きる。
【0053】本発明の請求項2に係る射出成形時の挙動
予測方法または請求項8に係る射出成形時の挙動予測装
置によれば、金型による射出成形品成形時の樹脂の挙動
予測の精度を向上することができる。
【0054】本発明の請求項3に係る射出成形時の挙動
予測方法または請求項9に係る射出成形時の挙動予測装
置によれば、金型製造時と射出成形時の金型温度差を考
慮してより実成形に近い挙動予測を行うことができる。
【0055】本発明の請求項4に係る射出成形時の挙動
予測方法または請求項10に係る射出成形時の挙動予測
装置によれば、金型製造時と成形時の金型の熱膨張量を
考慮してより実成形に近い高精度な挙動予測を行うこと
ができる。
【0056】本発明の請求項5に係る射出成形時の挙動
予測方法または請求項11に係る射出成形時の挙動予測
装置によれば、射出成形品の収縮率を精度よく予測する
ことができる。
【0057】本発明の請求項6に係る射出成形時の金型
設計方法によれば、金型の熱変形を考慮し実成形に近い
収縮率を反映した金型設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る射出成形時の挙動
予測シミュレーションを行う挙動予測装置の概略構成を
示すブロック図である。
【図2】本実施の形態において成形される成形品を示す
図である。
【図3】成形品の成形条件の組み合わせパターンを示す
図である。
【図4】ゲート側の穴の中心間距離(234mm)につ
いての実験計画法による要因効果を示す図である。
【図5】反ゲート側のエッジ部端面間距離(259.5
mm)についての実験計画法による要因効果を示す図で
ある。
【図6】ゲート側の穴の中心間距離(234mm)につ
いての実験計画法による要因分析の結果を示す図であ
る。
【図7】反ゲート側のエッジ部端面間距離(259.5
mm)についての実験計画法による要因分析の結果を示
す図である。
【符号の説明】
9 穴 10 穴 13 エッジ部端面 14 エッジ部端面 15 媒体流量 16 媒体温度 17 充填時間 18 保持圧力 19 保持時間 20 冷却時間 50 入力部 51 モデル作成部(モデル作成手段) 52 金型熱変形条件部 53 データベース 54 成形条件部 55 荷重・拘束条件部 60 演算部(挙動予測手段) 61 流動解析 62 保圧解析 63 冷却解析 64 変形解析(収縮率予測手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 101:00 B29K 101:00 Fターム(参考) 2G040 AB07 AB08 BA08 BA25 CA02 CA10 CA18 EB02 GB01 HA16 4F202 AK01 AK02 AM23 AR06 CA11 CD03 CK06 CK15 CK18 CN01 CN05 4F206 AK01 AK02 AM23 AR064 JA07 JL09 JN25 JN37 JP13 JP18 JQ81 5B046 AA05 JA09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形品のモデルを作成するモデル作
    成工程と、該モデル作成工程により作成された射出成形
    品のモデルを用いて、有限要素法によって射出成形時の
    金型内における溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の
    挙動を予測する挙動予測工程とを含む射出成形時の挙動
    予測方法において、 前記モデル作成工程は、前記金型の熱変形を加味して前
    記射出成形品のモデルを作成することを特徴とする射出
    成形時の挙動予測方法。
  2. 【請求項2】 射出成形品のモデルを作成するモデル作
    成工程と、該モデル作成工程により作成された射出成形
    品のモデルを用いて、有限要素法によって定式化された
    基礎式を使用し、射出成形時の金型内における溶融樹脂
    の充填、保圧、冷却の各過程の挙動を予測する挙動予測
    工程とを含む射出成形時の挙動予測方法において、 前記モデル作成工程は、前記金型の熱変形を加味して前
    記射出成形品のモデルを作成することを特徴とする射出
    成形時の挙動予測方法。
  3. 【請求項3】 前記モデル作成工程によるモデル作成時
    に加味される前記金型の熱変形は、前記金型自体の製造
    時と該金型による射出成形品の成形時との温度差によっ
    て生じる変形であることを特徴とする請求項1または2
    記載の射出成形時の挙動予測方法。
  4. 【請求項4】 前記モデル作成工程による前記金型の熱
    変形の加味は、前記金型の熱変形以外の要素に基づき作
    成したモデルの寸法に前記金型の熱膨張量を加算するこ
    とによりなされることを特徴とする請求項3記載の射出
    成形時の挙動予測方法。
  5. 【請求項5】 前記挙動予測工程は、前記予測した射出
    成形時の前記各過程の挙動に基づいて前記射出成形品の
    成形時の収縮率を予測する収縮率予測工程を含むことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成
    形時の挙動予測方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の収縮率予測工程により予
    測された射出成形品の収縮率に基づいて、該成形品を射
    出成形するための金型を設計することを特徴とする金型
    設計方法。
  7. 【請求項7】 射出成形品のモデルを作成するモデル作
    成手段と、該モデル作成手段により作成された射出成形
    品のモデルを用いて、有限要素法によって射出成形時の
    金型内における溶融樹脂の充填、保圧、冷却の各過程の
    挙動を予測する挙動予測手段とを備えた射出成形時の挙
    動予測装置において、 前記モデル作成手段は、前記金型の熱変形を加味して前
    記射出成形品のモデルを作成することを特徴とする射出
    成形時の挙動予測装置。
  8. 【請求項8】 射出成形品のモデルを作成するモデル作
    成手段と、該モデル作成手段により作成された射出成形
    品のモデルを用いて、有限要素法によって定式化された
    基礎式を使用し、射出成形時の金型内における溶融樹脂
    の充填、保圧、冷却の各過程の挙動を予測する挙動予測
    手段とを備えた射出成形時の挙動予測装置において、 前記モデル作成手段は、前記金型の熱変形を加味して前
    記射出成形品のモデルを作成することを特徴とする射出
    成形時の挙動予測装置。
  9. 【請求項9】 前記モデル作成手段によるモデル作成時
    に加味される前記金型の熱変形は、前記金型自体の製造
    時と該金型による射出成形品の成形時との温度差によっ
    て生じる変形であることを特徴とする請求項7または8
    記載の射出成形時の挙動予測装置。
  10. 【請求項10】 前記モデル作成手段による前記金型の
    熱変形の加味は、前記金型の熱変形以外の要素に基づき
    作成したモデルの寸法に前記金型の熱膨張量を加算する
    ことによりなされることを特徴とする請求項9記載の射
    出成形時の挙動予測装置。
  11. 【請求項11】 前記挙動予測手段は、前記予測した射
    出成形時の前記各過程の挙動に基づいて前記射出成形品
    の成形時の収縮率を予測する収縮率予測手段を備えたこ
    とを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の
    射出成形時の挙動予測装置。
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