JP5737059B2 - プレス成形シミュレーション解析方法及び装置 - Google Patents
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Description
「…
s3=−(σ1+σ2−2σ3)/3 ・・(3)
を利用して面品質を表す評価値を算出する。ここで、添字3は面に垂直な方向を表すものとする。なお、薄板においてはσ3の大きさがσ1やσ2の大きさに比べて十分小さい場合には、
s3=−(σ1+σ2)/3 ・・(4)
と近似表現することができる。」(段落[0021]参照)とある。すなわち、下死点以降の面外変形(すなわちスプリングバックに影響する面外偏差応力)を解析する際に、応力σ3を0と仮定(垂直方向応力が十分小さいので上記(3)式を上記(4)式で近似)しており近似的に解析を行っている。
また、特許文献3では、プレス成形解析プログラムにおいて板厚方向を考慮したプレス成形解析、スプリングバック解析が提案されている。
また、特許文献3にも記載されている市販ソフト(たとえばLS-DYNA)でも板厚方向応力を考慮したシェル要素によるプレス成形解析が可能となってきており、下死点における応力状態は板厚方向を考慮した応力状態になっている。
しかし、このような処理方法では、スプリングバック解析の計算精度が低下するという問題があった。
本発明はかかる知見をもとになされたものであり、具体的には以下のような構成を備えてなるものである。
前記プレス成形解析演算処理部の結果をもとに、離型前の形状の応力状態のうち、板厚方向応力を0にするとともに面内応力の変化量を計算し、この計算結果をもとに離型前の応力状態を補正する板厚方向応力解放演算処理部と、
前記板厚方向応力解放演算処理部の結果をもとに、スプリングバック解析を行い、離型後の形状の応力状態やひずみなどを計算するスプリングバック解析演算処理部と、
前記スプリングバック解析演算処理部の結果をもとに、離型後の形状の応力状態などを表示装置に表示する表示処理部とを備えたことを特徴とする。
〔プレス成形シミュレーション解析装置〕
まず、図1に示すブロック図に基づき、プレス成形におけるプレス成形シミュレーション解析装置1(以下、単に「プレス成形シミュレーション解析装置1」という)の構成について説明する。
また、演算処理部11には、表示装置3と入力装置5と主記憶装置7および補助記憶装置9が接続され、演算処理部11の指令によって各機能を行う。
表示装置3は計算結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。
入力装置5は構造体モデルファイルの表示指示、オペレータの条件入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。
主記憶装置7は、演算処理部11で使用するデータの一時保存や演算等に用いられ、RAM等で構成される。
補助記憶装置9は、ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。補助記憶装置9内には、少なくとも、成形対象物情報ファイル13等の各種の情報が格納される。
演算処理部11はPCのCPUによって構成され、以下に説明する各処理部はCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される。
演算処理部11内には、プレス成形解析演算処理部15と、板厚方向応力解放演算処理部17と、スプリングバック解析演算処理部19と、表示処理部21とを有する。
以下、演算処理部11内の各処理部についてさらに詳細に説明する。
本発明では、スプリングバック解析を行う前に、板厚方向応力解放演算処理において、板厚方向応力を0にするとともに、板厚方向のひずみを変化させ、その変化に伴う板厚方向以外の応力の変化量を求め、その求めた応力の変化量と、板厚方向のひずみの変化量で下死点における応力状態を補正する板厚方向応力解放演算処理を本演算処理部において行う。
ここで、3次元弾性体の一般的な応力−ひずみ関係は、下記の式(1)に示す通りである。
つまり、式(2)に対して、Z方向のひずみε33のみを変化させ、ε33以外は一定とすることから、Δε11=Δε22=Δγ23=Δγ31=Δγ12=0とし、またZ方向の応力の変化量は、下死点で作用している応力σ33を解放して0にするために、Δσ33=−σ33を代入すれば下記の式(3)となる。
ちなみに、Δσ23、Δσ31、Δσ12の値は0なのでσ23、σ31、σ12に対して補正は不要である。
次に、図2に示すフローチャートに基づいてプレス成形シミュレーション解析方法の処理の流れを、図3に示す矩形状の板をゆるく山なりに折り曲げた形状の成形対象物31についてプレス成形シミュレーション解析をする場合を例に挙げて説明する。なお、必要な図は適宜参照する。
プレス成形解析演算処理部15は、成形対象物情報とプレス成形解析条件をもとに、プレス成形解析を行い、プレス成形解析データ[データD1]を算出し、主記憶装置7に記憶させる(ステップS1)。
本実施例におけるプレス成形シミュレーション解析は、成形対象物31の決め押し領域33に対し、300tonfの決め押し荷重をかけるような成形条件によってプレス成形解析を行い、離型前の形状を求める(図4(b)参照)。さらに、プレス成形金型離型後の形状をスプリングバック解析を行って求める(図4(c)参照)。このような単純な形状である成形対象物31の場合にはスプリングバック後の形状が想定できるので、このような成形対象物31について、市販ソフトを用いてプレス成形シミュレーション解析行った場合と、本発明を適用したプレス成形シミュレーション解析を行った場合と、いずれが想定される形状を再現しているかを比較する。市販ソフトの場合、決め押し荷重をかけるプレス成形解析の後、スプリングバック解析を行うにあたり、板厚方向応力を単に0にしたのみである。
まず、比較例として市販ソフトを用いて前記プレス成形シミュレーション解析を行った結果について考察する。比較例で行ったスプリングバック解析の結果は、図5(a)に示すように、スプリングバック量は成形対象物31の中心点から複数の楕円を描くように分布している。これは、成形対象物31がスプリングバックによって、成形対象物31の中心点に対して四隅が最も下がり、中心に向かって楕円状に盛り上がっていることを示している。しかしながら、実際に成形対象物31の決め押し領域33に決め押し荷重をかけるような、単純なプレス成形を行えば、離型後、成形対象物31は幅方向に均一にスプリングバック変形することから、比較例のプレス成形シミュレーション解析の結果は、明らかに間違った結果となっている。
これに対して、本発明を適用して前記プレス成形シミュレーション解析を行った結果であるスプリングバック量をコンター表示した図5(b)をみると、全体的に幅方向に均一にスプリングバックが発生しており、実際のプレス成形に近い結果が出ており、前記比較例より明らかに計算精度が向上したことがわかる。
3 表示装置
5 入力装置
7 主記憶装置
9 補助記憶装置
11 演算処理部
13 成形対象物情報ファイル
15 プレス成形解析演算処理部
17 板厚方向応力解放演算処理部
19 スプリングバック解析演算処理部
21 表示処理部
31 成形対象物
33 決め押し領域
Claims (2)
- コンピュータを用いて行う有限要素法に基づいたプレス成形シミュレーション解析方法であって、
プレス成形解析演算処理部が、板厚方向応力を考慮したシェル要素によるプレス成形解析を行うプレス成形解析演算処理工程と、
板厚方向応力解放演算処理部が、前記シェル要素の節点は固定した上で板厚方向応力を変化させてその値を0にするとともに、その変化に伴う板厚方向以外の応力の変化量を求め、この求めた応力の変化量で下死点での応力状態を補正する板厚方向応力解放演算処理工程と、
スプリングバック解析演算処理部が、前記板厚方向応力解放演算処理工程で補正した応力状態をもとにスプリングバック解析を行うスプリングバック解析演算処理工程とを備えたことを特徴とするプレス成形シミュレーション解析方法。 - 成形対象物に対してプレス成形解析を行い、離型前の形状の応力状態やひずみなどを計算するプレス成形解析演算処理部と、
前記プレス成形解析演算処理部の結果をもとに、離型前の形状の応力状態のうち、板厚方向応力を0にするとともに面内応力の変化量を計算し、この計算結果をもとに離型前の応力状態を補正する板厚方向応力解放演算処理部と、
前記板厚方向応力解放演算処理部の結果をもとに、スプリングバック解析を行い、離型後の形状の応力状態やひずみなどを計算するスプリングバック解析演算処理部と、
前記スプリングバック解析演算処理部の結果をもとに、離型後の形状の応力状態などを表示装置に表示する表示処理部とを備えたことを特徴とするプレス成形シミュレーション解析装置。
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