JP4884840B2 - プレス金型修正形状データの作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スプリングバックを矯正するプレス金型修正形状データの作成方法に関する。
板材を、成形金型を用いてプレス成形したとき、プレス成形後に成形金型から取り出した成形部品は、プレス成形時に発生する残留応力が開放されることにより弾性変形(スプリングバック)する。このために、成形部品は成形金型と異なった形状になってしまい、部品図と同じ形状で作成した成形金型では正しい形状の成形部品を成形することはできない。このために、設計図と同一形状の成形部品を成形するためには、上記のスプリングバック量を考慮した形状を成形金型に織り込む必要がある。
成形金型を、スプリングバック量を織り込んだ形状に作成する方法として、従来は以下のような方法を取っている。
プレス成形した成形部品であるパネルの形状を三次元的に形状測定し、その形状データを基に成形金型に修正形状を織り込む方法。この方法は、三次元形状測定機を使用し、プレス成形した成形部品の形状を測定する。その測定結果得られた点群データと成形部品形状データを比較し、その誤差量から修正量を算出し、成形部品形状データを変形することにより、成形金型の修正形状を求める方法である。
成形シミュレーションを用いてスプリングバック量を予測し、そこで発生する応力値を用いて成形金型に修正形状を織り込む方法。この方法は、成形シミュレーションにより、プレス成形時の下死点で発生する残留応力を求め、その応力値を±反転し、その応力を用いて、成形部品形状の板材モデルをスプリングフォワード(弾性回復)させることにより、成形金型の修正形状を求める方法である(特許文献1参照)。
特開2003−33828号公報
上記した前者の従来のプレス金型修正形状データの作成方法では、測定した形状(成形部品であるパネルの形状)と部品図形状を比較し、その誤差量から修正量を求めているが、成形部品は三次元的な面で構成されているために、これらの方法で修正を行った場合、修正後の成形金型でプレス成形すると、成形部品には、前回とは異なった残留応力が発生し、部品図形状と新たな差が生じる。このために、成形金型の修正、プレス部品成形のサイクルを何度も行って徐々に部品図形状に近づける必要があり、時間、コストの損失を生じている。
又、捩れ、開き等が複合したプレス部品(成形部品)の場合、誤差量から修正量を求める方法は、人為的判断に依存するため、人による判断の差や人為的な判断ミスを生じる場合が多い。
また、上記した後者の従来のプレス金型修正形状データの作成方法では、スプリングバックの起動力となるプレス成形時の残留応力を成形シミュレーションで計算し、その量に基づき金型修正形状を求めている。このため、残留応力が正しく求められた場合、成形金型の修正形状は正しく求められる可能性があるが、大きな塑性変形を受けるプレス部品成形の過程を成形シミュレーションした後、弾性変形の起動力となる残留応力を正確に求めることは、現状の技術レベルでは困難であるため、正しい金型形状を求めるのは困難である。
本発明は上記の課題を解決するものであり、その目的とするところは、ねじれ,ソリ開きといった複合的な変形全体を同時に総合的に対策でき、金型修正形状を、格段に精度の高いものにするプレス金型修正形状データの作成方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明のプレス金型修正形状データの作成方法は、初期の金型設計を行い、金型形状を定義して金型を加工し、この金型で成形部品の成形を行い、かかる成形後にスプリングバックした前記成形部品を正規部品形状との比較において測定することにより求めた成形部品形状データと記金型の形状データを使用して成形シミュレーションを行うことにより、前記成形時の前記スプリングバックによって前記成形実部品に生じた前記正規部品形状との誤差分を残留応力によって生じる変形応力として求め、この変形応力に対する逆応力を与えて変形させたときの変形量を前記金型形状の修正量とした金型修正形状データを作成するようにしたものである。
したがって、従来の技術である形状差から見込み形状を作成するという作業において、スプリングバックによる製品モデル形状との差が発生する原因となる変形応力に基づき見込み値を決めているために、ねじれ,反り開きといった複合的な変形全体を同時に総合的に対策することができる。また、人の判断の必要が無く、成形後の部品形状と成形シミュレーションにより、最適な金型修正形状データを求めることができて、人による判断の差や人為的な判断ミスを無くすことができる。
また、本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法は、上記した本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法において、初期の金型設計を行い、金型加工形状を定義して前記金型を加工し、この金型で成形部品の成形を行い、この成形部品の三次元形状測定を行う金型加工・実部品成形・形状測定工程と、この金型加工・実部品成形・形状測定工程で測定された前記成形部品形状と正規部品形状との比較を行う形状比較工程と、この形状比較工程で前記成形部品形状が前記正規部品形状に一致しない場合に、前記成形部品の三次元形状測定結果に基づいて成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成し、この成形シミュレーション用金型メッシュデータを用いて成形シミュレーションを行った後に、前記三次元形状測定した前記成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータを作成する第1のデータ作成工程と、前記正規部品形状の成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成する第2のデータ作成工程と、前記第2のデータ成形工程で作成した前記金型メッシュデータで前記第1のデータ成形工程で作成した前記部品形状メッシュデータをプレス成形するシミュレーションを行い、このシミュレーションの結果の板材モデルの各メッシュ上の応力値を±反転する第1の成形解析工程と、前記実部品成形・形状測定工程における金型加工形状のシミュレーション用メッシュデータを作成する第3のデータ作成工程と、この第3のデータ作成工程で作成した前記シミュレーション用メッシュデータを使用し、前記第1のデータ作成工程で作成した前記部品形状メッシュデータを成形シミュレーションして下死点における成形解析の結果の応力を除去して初期金型形状における部品形状メッシュデータを作成する第2の成形解析工程と、前記第2の成形解析工程の前記部品形状メッシュデータに、前記第1の成形解析工程における前記板材モデルの対応する各メッシュ上の応力データをマッピングし、この部品形状メッシュデータの応力開放シミュレーションを行って残留応力を開放して前記金型修正形状データを求める金型修正形状作成工程を備え、この金型修正形状作成工程により作成された前記金型修正形状データに基づき前記金型加工・実部品成形・形状測定工程に織り込み部品成形して部品形状測定を行い、前記形状比較工程で前記成形部品形状が前記正規部品形状に一致しない場合に前記第1のデータ作成工程に移行するサイクルを繰り返し行うようにして、前記正規部品形状の測定データに基づく前記金型修正形状データを作成するようにしたものである。
したがって、従来の技術である形状差から見込み形状を作成するという作業を無くすことができ、人為的判断の差や、ミスを無くすことができる。また、スプリングバックによる製品モデル形状との差が発生する原因となる変形応力に基づき見込み値を決めているために、ねじれ,反り開きといった複合的な変形全体を同時に総合的に対策することができる。また、人の判断の必要が無く、成形後の部品形状と成形シミュレーションにより、最適な金型修正形状データを求めることができる。特に、人の判断の必要が無く、形状変更とシミュレーションのサイクル(閉ループ)を構成することができ、自動計算で最適な金型修正形状データを求めることができる。
本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法によれば、従来の技術である形状差から見込み形状を作成するという作業において、スプリングバックによる製品モデル形状との差が発生する原因となる変形応力に基づき見込み値を決めているために、ねじれ,反り開きといった複合的な変形全体を同時に総合的に対策することができる。また、人の判断の必要が無く、成形後の部品形状と成形シミュレーションにより、最適な金型修正形状データを求めることができる。また、人の判断の必要が無く、シミュレーションのサイクル(閉ループ)を構成することができ、自動計算で最適な金型修正形状データを求めることができて、人による判断の差や人為的な判断ミスを無くすことができる。
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法を実施するのに用いる支援システムの構成を示すブロック図、図2は図1のCPUの構成を描画したブロック図、図3は本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法における動作を示すフローチャート、図4は同プレス金型修正形状データの作成方法における動作順序の説明図である。
本発明に係る金型形状データの作成方法は、あらゆる機器のプレス部品などの塑性変形を伴う成形部品を製造する成形金型の修正形状データを作成する。そして、本発明は、プレス部品の測定結果から正しい金型形状修正データを作成するものである。
すなわち、初期の金型設計を行い、金型形状を定義して金型を加工し、この金型で成形部品の成形を行い、成形後に、スプリングバックした成形部品を測定して求めた成形部品形状データと、金型の形状データを使用して成形シミュレーションを行うことにより、その形状差を生じる変形応力を求め、この変形応力から金型修正形状データを作成するようにしたものである。
本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法を実施するのに用いる支援システムは、図1に示すように、所定の演算処理能力を有するCPU(演算部)11と、所定の記憶容量を有するハードディスク12とを備えたコンピュータ1を用いている。
コンピュータ1は、ワークステーションやサーバコンピュータ、パソコン等のコンピュータである。
そして、コンピュータ1には、上述したCPU11や、ハードディスク12、あるいは、処理対象となる所定のデータを一時的に保持するRAM13や、所定のデータをオペレータが入力するためのキーボード(入力装置)14、処理結果等をオペレータに表示するディスプレイ(出力装置)15など、一般的なコンピュータが備えている装備を有している。
従って、図示しないが、当該コンピュータ1にて頻繁に利用されるプログラムを記憶するROMや、他の記憶媒体(例えば、CD−ROM)から所定のデータを読み出すドライブ(例えば、CD−ROMドライブ)なども備えている。
また、このコンピュータ1は、三次元形状測定機や、後述するようにFEMモデルを作成する他のコンピュータに接続されている。
本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法では、図3に示すように、実部品成形・形状測定工程Aを有しており、この実部品成形・形状測定工程Aは、初期の金型設計を行い、金型形状を定義して金型を加工し、この金型で成形部品(プレス部品)の成形を行う。そして、初期金型設計による形状を定義し金型を加工する金型加工手段と、この金型加工手段で加工された金型を用いて成形部品の成形を行う成形部品成形手段を用いている。
そして、上記したコンピュータ1のCPU11は、図2に示すように、三次元形状測定手段11aと、形状比較手段11bと、三次元面データ作成手段11cと、金型形状定義手段11dと、成形シミュレーション用金型メッシュデータ作成手段11eと、成形シミュレーション手段11fと、応力除去手段11gと、金型メッシュデータ作成手段11hと、成形解析手段11iと、応力反転手段11jと、シミュレーション用メッシュデータ作成手段11kと、成形シミュレーション手段11lと、応力除去手段11mと、応力マッピング手段11nと、応力開放シミュレーション手段11oを備えて構成してある。
三次元形状測定手段11aは、成形部品を三次元形状測定する機能を有する。
すなわち、コンピュータ1のCPU11は、実際に成形金型でプレス成形された成形部品の形状の測定データを求める。この場合、コンピュータ1に接続された三次元形状測定機により成形部品を点群データとして測定する。
三次元測定機は、例えば、一方向からレーザ光を用いて被測定物である成形部品の曲面の反射光から各ポイントの点座標を得る。これら各ポイントの点座標は面の実測点群データとなる。
そして、成形部品又はレーザスキャナのいずれか一方を90°回転させて、この方向からレーザ光で、曲面の実測点群データをサンプリングし、順次各方向からも実測点群データをサンプリングして成形部品の全面に対しサンプリングを行い三次元の実測点群データを得る。この実測点群データをCADシステムに取り込み、実測点群データにマッチする曲面を形成することでCADシステム上に三次元モデルを構築する。
また、形状比較手段11bは、実部品成形・形状測定工程Aで測定された成形部品形状と正規部品形状との比較を行う機能を有する。
また、三次元面データ作成手段11cは、三次元形状測定手段11aで測定した成形部品の三次元形状測定デ−タを基に三次元面データを作成する機能を有する。
また、金型形状定義手段11dは、三次元面データ作成手段11cで作成した三次元面データを基に金型形状を定義する機能を有する。
また、成形シミュレーション用金型メッシュデータ作成手段11eは、金型形状定義手段11dで作成した三次元面データを基に、成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成する機能を有する。
また、成形シミュレーション手段11fは、部品成形に使用したのと同形状のシミュレーション用材料メッシュデータを作成し、成形シミュレーション用金型メッシュデータ作成手段11eで作成した成形シミュレーション用金型メッシュデータを用いて成形シミュレーションを行う機能を有する。
また、応力除去手段11gは、成形シミュレーションの下死点状態の成形結果を求め、その材料メッシュから全ての応力を除去し、三次元形状測定した成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータを得る機能を有する。
また、金型メッシュデータ作成手段11hは、正規形状の成形シミュレーション用の金型メッシュデータを作成する機能を有する。
なお、金型メッシュデータ作成手段11hにより成形された金型メッシュデータと、応力除去手段11gにおいて応力を除去された部品形状メッシュデータ(三次元形状測定した成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータ)の形状差は、初期の金型設計時に定義した形状の不良分に相当する。この誤差は、プレス成形時のスプリングバック(成形完了時の残留応力開放による弾性変形)により生じているために、誤差分を生じる残留応力を求め、逆応力を与えて弾性変形させたときの変形量が金型の修正量となる。
成形解析手段11iは、金型メッシュデータ作成手段11hで作成した正規部品形状の金型メッシュデータで応力除去手段11gにより作成した部品形状メッシュデータをプレス成形するシミュレーションを行う機能を有する。この機能によって、シミュレーションの下死点の状態におけるメッシュ上の応力が誤差分を生じるための残留応力に相当する。すなわち、スプリングバック分の残留応力が求まるようになる。
また、応力反転手段11jは、成形解析手段11iで求められた残留応力を±反転する機能を有する。
また、シミュレーション用メッシュデータ作成手段11kは、金型加工・実部品成形・形状測定工程Aにおける金型加工形状のシミュレーション用メッシュデータを作成する機能を有する。
また、成形シミュレーション手段11lは、シミュレーション用メッシュデータ作成手段11kのシミュレーション用メッシュデータを使用し、応力除去手段11gにおいて応力を除去された部品形状メッシュデータを成形解析する機能を有する。
また、応力除去手段11mは、成形シミュレーション手段11lにより成形解析された部品形状メッシュデータ上の応力を除去する機能を有する。この応力除去手段11mの操作により金型加工形状における部品形状メッシュデータが作成される。
また、応力マッピング手段11nは、応力除去手段11mより応力が除去された部品形状メッシュデータに、応力反転手段11jで残留応力を反転された部品形状メッシュ上の応力をマッピングする機能を有する。
また、応力開放シミュレーション手段11oは、応力マッピング手段11nにより応力マッピングされた部品形状メッシュデータの応力開放シミュレーションを行う機能を有する。
この機能により、部品形状の応力が開放され、修正後の板材モデル形状が求まる。ここで求めた板材モデル21の形状に整合するように金型モデルを構成する各メッシュを修正、即ち金型モデルを構成する各メッシュの節点を修正する処理を行い、成形金型の修正形状をデータ化する。
次に、本発明方法の動作を、図3に示すフローチャート及び図4に示す動作順序の説明図に基づいて説明する。
初期の金型設計を行い、金型形状を定義する(ステップS100)。そして、ステップS100により金型形状の定義により、金型形状データを定義し(S100−1)、金型を加工し(ステップS101)、この金型で成形部品(プレス部品)の成形を行う(ステップS102)。
処理が開始されると、コンピュータ1のCPU11は、三次元形状測定手段11aにより成形部品を三次元形状測定する(ステップS103)。
そして、形状比較手段11bにより成形部品形状と正規部品形状を比較し(ステップS104)、成形部品が正規部品形状に一致すれば(OKとなれば)、そこでプレス金型修正形状データの作成動作は完了する(ステップS105)。
プレス成形の場合、スプリングバック等の影響で成形部品が正規部品形状に一致しない場合が多く、この場合には、三次元面データ作成手段11cによりステップS103で測定した成形部品の三次元形状測定デ−タを基に三次元面データを作成する(ステップS106)。
次に、この三次元面データを基に金型形状を定義し(ステップS107)、三次元面データを基に、成形シミュレーション用金型メッシュデータ作成手段11eにより成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成する(ステップS108)。
次に、ステップS102でプレス成形に使用したものと同形状のシミュレーション用材料メッシュデータを作成し、ステップS108の成形シミュレーション用金型メッシュを用いて成形シミュレーション手段11fにより成形シミュレーションを行う(ステップS109)。
次に、ステップS109の下死点状態の成形結果を求め、応力除去手段11gにより、その材料メッシュから全ての応力を除去する(ステップS110)。このことにより、ステップS103で三次元形状測定した成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータができる。
一方、金型メッシュデータ作成手段11hにより正規部品形状の成形シミュレーション用の金型形状メッシュデータを作成する(ステップS200)。
ステップS200における金型メッシュデータと、ステップS110における、応力除去手段11gにおいて応力を除去された部品形状メッシュデータ(三次元形状測定した成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータ)の形状差は、初期の金型設計時に定義した形状の不良分に相当する。この誤差は、プレス成形時のスプリングバック(成形完了時の残留応力開放による弾性変形)により生じているために、誤差分を生じる残留応力を求め、逆応力を与えて弾性変形させたときの変形量が金型の修正量となる。
そこで、成形解析手段11iにより、ステップS200で作成した正規部品形状の金型メッシュデータでステップS110の材料メッシュデータをプレス成形するシミュレーションを行う(ステップS201)。このシミュレーションの下死点の状態におけるメッシュ上の応力が誤差分を生じるための残留応力に相当する。すなわち、スプリングバック分の残留応力が求まる。
次に、応力反転手段11jによりステップS201の残留応力を±反転する(ステップS202)。
この反転された応力分布が板材モデル21に作用している場合の応力開放による変形量を演算する処理である。図7は、成形部品20のスプリングバック後の形状20−1と±反転した応力開放後の形状20−2を例示する図である。
スプリングバックは、板材内の残留応力分布の不均一により生じるから板材モデル21内に作用する残留応力を反転させ応力開放させると、図7に20−2に示すように、内側に弾性回復した形状が得られることになる。
次に、シミュレーション用メッシュデータ作成手段11kによりステップS100−1により定義した金型加工形状データのシミュレーション用メッシュデータを作成する(ステップS300)。
次に、ステップS300のシミュレーション用メッシュデータを使用し、ステップS110で作成した部品形状メッシュデータを成形シミュレーション手段11lにより成形シミュレーションする(ステップS301)。
次に、応力除去手段11mにより、ステップS301の下死点におけるメッシュ上の応力を除去する(ステップS302)。この操作により金型加工形状における部品形状メッシュデータが作成される。
次に、ステップS202とステップS302の部品形状メッシュデータはステップS110で作成した同一の部品形状メッシュデータを使用しているために、各メッシュは一対一で対応している。そこで、応力マッピング手段11nにより、ステップS202のメッシュ上の応力データをステップS302のメッシュ上の対応するメッシュ上にマッピングする(ステップS304)。
次に、応力開放シミュレーション手段11oにより、ステップS304の部品形状メッシュデータの応力開放シミュレーションを行う(ステップS305)。
このことにより、部品形状の応力が開放され、修正後の板材モデル形状が求まる。ここで求めた板材モデル21の形状に整合するように金型モデルを構成する各メッシュを修正、即ち金型モデルを構成する各メッシュの節点を修正する処理を行い、成形金型の修正形状をデータ化する。
次に、この金型の修正形状データをステップS101−1に織り込み、金型修正形状データに基づく金型を、金型加工・実部品成形・形状測定工程Aに織り込み部品成形して部品形状測定を行い、形状比較手段11bで成形部品形状が正規部品形状に一致しない場合に、後述する第1のデータ作成工程Bに移行するサイクルを繰り返し行うようにして、正規部品形状の測定データに基づく金型修正形状データを作成する。
そして、上記したステップS100−1からステップS103の工程が、金型加工形状を定義して、金型の加工し、この金型で成形部品の成形を行い、この成形部品の三次元形状測定を行う実部品成形・形状測定工程Aを構成しており、また、ステップS104は、実部品成形・形状測定工程Aで形状測定された成形部品形状と正規部品形状との比較を行う形状比較工程Bを構成している。
また、上記したステップS106からステップS110の工程が、形状比較工程Bで成形部品形状が正規部品形状に一致しない場合に、成形部品の三次元形状測定結果に基づいて成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成し、この成形シミュレーション用金型メッシュデータを用いて成形シミュレーションを行った後に、三次元形状測定した成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータを作成する第1のデータ作成工程Cを構成している。
また、上記したステップS200は、正規部品形状の成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成する第2のデータ作成工程Dを構成しており、ステップS201とステップS202は、第2のデータ成形工程Dで作成した金型メッシュデータで第1のデータ成形工程Cで作成した部品形状メッシュデータをプレス成形するシミュレーションを行い、このシミュレーションの結果の板材モデルの各メッシュ上の応力値を±反転する第1の成形解析工程Eを構成している。
また、上記したステップS300は、実部品成形・形状測定工程Aにおける金型加工形状のシミュレーション用メッシュデータを作成する第3のデータ作成工程Fを構成しており、ステップS301とステップS302とは、第3のデータ作成工程Fで作成したシミュレーション用メッシュデータを使用し、第1のデータ作成工程Cで作成した部品形状メッシュデータを成形シミュレーションして下死点における成形解析の結果の応力を除去して初期金型形状における部品形状メッシュデータを作成する第2の成形解析工程Gを構成している。
また、上記したステップS304とステップS305は、第2の成形解析工程Gの部品形状メッシュデータに、第1の成形解析工程Eにおける板材モデルの対応する各メッシュ上の応力データをマッピングし、この部品形状メッシュデータの応力開放シミュレーションを行って金型修正形状データを求める金型修正形状作成工程Hを構成している。
そして、この金型修正形状作成工程Hにより作成された金型修正形状データに基づく金型加工形状を、金型加工・実部品成形・形状測定工程Aに織り込み部品成形して部品形状測定を行い、形状比較工程Bで成形部品形状が正規部品形状に一致しない場合に第1のデータ作成工程Cに移行するサイクルを繰り返し行うようにしてある。
以上、説明したように本発明の実施の形態では、初期の金型設計を行い、金型加工形状を定義して金型を加工し、この金型で成形部品の成形を行い、この成形部品の三次元形状測定を行う実部品成形・形状測定工程Aと、この実部品成形・形状測定工程Aで測定された成形部品形状と正規部品形状との比較を行う形状比較工程Bと、この形状比較工程Bで成形部品形状が正規部品形状に一致しない場合に、成形部品の三次元形状測定結果に基づいて成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成し、この成形シミュレーション用金型メッシュデータを用いて成形シミュレーションを行った後に、三次元形状測定した成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータを作成する第1のデータ作成工程Cと、正規部品形状の成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成する第2のデータ作成工程Dと、第2のデータ成形工程Dで作成した金型メッシュデータで第1のデータ成形工程Cで作成した部品形状メッシュデータをプレス成形するシミュレーションを行い、このシミュレーションの結果の板材モデルの各メッシュ上の応力値を±反転する第1の成形解析工程Eと、金型加工・実部品成形・形状測定工程Aにおける金型加工形状のシミュレーション用メッシュデータを作成する第3のデータ作成工程Fと、この第3のデータ作成工程Fで作成したシミュレーション用メッシュデータを使用し、第1のデータ作成工程Cで作成した部品形状メッシュデータを成形シミュレーションして下死点における成形解析の結果の応力を除去して初期金型形状における部品形状メッシュデータを作成する第2の成形解析工程Gと、第2の成形解析工程Gの部品形状メッシュデータに、第1の成形解析工程Eにおける板材モデルの対応する各メッシュ上の応力データをマッピングし、この部品形状メッシュデータの応力開放シミュレーションを行って残留応力を開放して金型修正形状データを求める金型修正形状作成工程Hを備え、この金型修正形状作成工程Hにより作成された金型修正形状データに基づく金型加工形状を、金型加工・実部品成形・形状測定工程Aに織り込み部品成形して部品形状測定を行い、形状比較工程Bで成形部品形状が正規部品形状に一致しない場合に第1のデータ作成工程Cに移行するサイクルを繰り返し行うようにしたために、正規部品形状の測定データに基づく最適な金型修正形状データを作成することができる。
本発明は、従来の技術である形状差から見込み形状を作成するという作業において、スプリングバックによる製品モデル形状との差が発生する原因となる変形応力に基づき見込み値を決めているために、ねじれ,反り開きといった複合的な変形全体を同時に総合的に対策することができ、また、人の判断の必要が無く、成形後の部品形状と成形シミュレーションにより、最適な金型修正形状データを求めることができ、しかも、人の判断の必要が無く、シミュレーションのサイクル(閉ループ)を構成することができ、自動計算で最適な金型修正形状データを求めることができ、人による判断の差や人為的な判断ミスを無くすことができために、格段に精度の高いプレス金型修正形状データの作成方法等として有用である。
本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法を実施するのに用いる支援システムの構成を示すブロック図である。 図1のCPUの構成を示すブロック図である。 本発明に係るプレス金型修正形状データの作成方法における動作を示すフローチャートである。 同プレス金型修正形状データの作成方法における動作順序の説明図である。 成形部品の斜視図である。 板材モデルの板厚方向に作用する応力分布を反転する過程を説明する説明図である。 成形部品のスプリングバック後の形状と応力開放後の形状を例示する図である。
符号の説明
1 コンピュータ
11 CPU(演算部)
11a 三次元形状測定手段
11b 形状比較手段
11c 三次元面データ作成手段
11d 金型形状定義手段
11e 成形シミュレーション用金型メッシュデータ作成手段
11f 成形シミュレーション手段
11g 応力除去手段
11h 金型メッシュデータ作成手段
11i 成形解析手段
11j 応力反転手段
11k シミュレーション用メッシュデータ作成手段
11l 成形シミュレーション手段
11m 応力除去手段
11n マッピング手段
11o 応力開放シミュレーション手段
12 ハードディスク
13 RAM
14 キーボード(入力装置)
15 ディスプレイ(出力装置)
A 実部品成形・形状測定工程
B 形状比較工程
C 第1のデータ作成工程
D 第2のデータ作成工程
E 第1の成形解析工程
F 第3のデータ作成工程
G 第2の成形解析工程
H 金型修正形状作成工程

Claims (2)

  1. 初期の金型設計を行い、金型形状を定義して金型を加工し、この金型で成形部品の成形を行い、かかる成形後にスプリングバックした前記成形部品を正規部品形状との比較において測定することにより求めた成形部品形状データと記金型の形状データを使用して成形シミュレーションを行うことにより、前記成形時の前記スプリングバックによって前記成形実部品に生じた前記正規部品形状との誤差分を残留応力によって生じる変形応力として求め、この変形応力に対する逆応力を与えて変形させたときの変形量を前記金型形状の修正量とした金型修正形状データを作成するようにしたことを特徴とするプレス金型修正形状データの作成方法。
  2. 初期の金型設計を行い、金型加工形状を定義して前記金型を加工し、この金型で成形部品の成形を行い、この成形部品の三次元形状測定を行う金型加工・実部品成形・形状測定工程と、
    この金型加工・実部品成形・形状測定工程で測定された前記成形部品形状と正規部品形状との比較を行う形状比較工程と、
    この形状比較工程で前記成形部品形状が前記正規部品形状に一致しない場合に、前記成形部品の三次元形状測定結果に基づいて成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成し、この成形シミュレーション用金型メッシュデータを用いて成形シミュレーションを行った後に、前記三次元形状測定した前記成形部品と同形状で応力の無い部品形状メッシュデータを作成する第1のデータ作成工程と、
    前記正規部品形状の成形シミュレーション用金型メッシュデータを作成する第2のデータ作成工程と、
    前記第2のデータ成形工程で作成した前記金型メッシュデータで前記第1のデータ成形工程で作成した前記部品形状メッシュデータをプレス成形するシミュレーションを行い、このシミュレーションの結果の板材モデルの各メッシュ上の応力値を±反転する第1の成形解析工程と、
    前記実部品成形・形状測定工程における金型加工形状のシミュレーション用メッシュデータを作成する第3のデータ作成工程と、
    この第3のデータ作成工程で作成した前記シミュレーション用メッシュデータを使用し、前記第1のデータ作成工程で作成した前記部品形状メッシュデータを成形シミュレーションして下死点における成形解析の結果の応力を除去して初期金型形状における部品形状メッシュデータを作成する第2の成形解析工程と、
    前記第2の成形解析工程の前記部品形状メッシュデータに、前記第1の成形解析工程における前記板材モデルの対応する各メッシュ上の応力データをマッピングし、この部品形状メッシュデータの応力開放シミュレーションを行って残留応力を開放して前記金型修正形状データを求める金型修正形状作成工程を備え、
    この金型修正形状作成工程により作成された前記金型修正形状データに基づき前記金型加工・実部品成形・形状測定工程に織り込み部品成形して部品形状測定を行い、前記形状比較工程で前記成形部品形状が前記正規部品形状に一致しない場合に前記第1のデータ作成工程に移行するサイクルを繰り返し行うようにして、前記正規部品形状の測定データに基づく前記金型修正形状データを作成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のプレス金型修正形状データの作成方法。
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