JP6077329B2 - 溶接変形の計算システム及び計算プログラム - Google Patents

溶接変形の計算システム及び計算プログラム Download PDF

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Description

本発明は、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形を有限要素法を用いた解析(FEM解析)によって計算する溶接変形の計算システム及び計算プログラムに関し、コンピュータを用いた計算の技術分野に属する。
複数の板状部材を溶接して構造体を製造する場合、溶接時の熱によって構造体が全体としてどのように変形するかを予め予測しておくことが重要であり、これを、コンピュータを用いて行おうとする試みがなされている。例えば特許文献1には、溶接構造体を基本的な溶接継手の集合体とみなし、各継手における溶接線の固有変形を溶接順序に従って構造体に与えることにより、構造体全体としての溶接変形を予測する方法が開示されている。
このようにして溶接線の固有変形を用いて構造体の溶接変形を予測することが可能であるが、予測した構造体の溶接変形と実際に溶接した構造体の溶接変形とが相違する場合がある。この1つの原因として、構造体を構成する各部材について溶接前の成形プロセスに応じて生じる初期応力の影響が考えられる。
したがって、構造体の初期応力を考慮して構造体の溶接変形を予測することで、構造体の溶接変形を精度良く予測することができるものと考えられる。構造体の初期応力を考慮したものとして、例えば非特許文献1には、プレス加工によって生じた初期応力を考慮して熱弾塑性FEM解析を用いて構造体の溶接変形を予測するものが開示されている。
特開平06−180271号公報
Ninshu Ma, etc, ''Simulation of Welding Deformation of Automobile Part Considering Stamping Results using Explicit Solver in LS-DYNA'', Proceedings of the 8th International Welding Symposium organized by Japan Welding Society, (2008), pp161
しかしながら、非特許文献1に記載されるように、構造体の初期応力を考慮して熱弾塑性FEM解析を用いて構造体の溶接変形を計算する場合、構造体の溶接変形を精度良く予測することが可能であるが、構造体を構成する各部材について熱依存性を有する材料物性データを用意する必要がある。また、熱弾塑性FEM解析を用いて構造体の溶接変形を計算する場合、熱依存性を考慮して計算することから計算量が非常に多く計算時間が長くなる。
そこで、本発明は、構造体の溶接変形を比較的簡素な計算で短時間に精度良く計算することができる溶接変形の計算システム及び計算プログラムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形を弾性FEM解析によって計算する溶接変形の計算システムであって、前記構造体の初期形状を取得する初期形状取得手段と、前記構造体の初期応力を取得する初期応力取得手段と、前記構造体の剛性を取得する剛性取得手段と、前記構造体の溶接線に対応する応力解放領域を取得する応力解放領域取得手段と、前記構造体の応力解放領域における応力解放率を取得する応力解放率取得手段と、前記構造体の溶接線に対応する固有変形データを取得する固有変形データ取得手段と、前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性を応力解放率に基づいて補正した補正剛性とを適用し、前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出する応力解放変形算出手段と、前記応力解放変形算出手段によって算出した前記構造体の応力解放変形後の解析モデルに、固有変形データを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の溶接変形を算出する溶接変形算出手段と、を有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記応力解放変形算出手段は、前記応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力をゼロに補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性をゼロに補正した補正剛性とを適用し、前記応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記初期形状取得手段は、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状を取得し、前記初期応力取得手段は、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期応力を取得することを特徴とする。
さらに、請求項に記載の発明は、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形を弾性FEM解析によって計算する溶接変形の計算プログラムであって、コンピュータを、前記構造体の初期形状を取得する初期形状取得手段、前記構造体の初期応力を取得する初期応力取得手段、前記構造体の剛性を取得する剛性取得手段、前記構造体の溶接線に対応する応力解放領域を取得する応力解放領域取得手段、前記構造体の応力解放領域における応力解放率を取得する応力解放率取得手段、前記構造体の溶接線に対応する固有変形データを取得する固有変形データ取得手段、前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性を応力解放率に基づいて補正した補正剛性とを適用し、前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出する応力解放変形算出手段、及び、前記応力解放変形算出手段によって算出した前記構造体の応力解放変形後の解析モデルに、固有変形データを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の溶接変形を算出する溶接変形算出手段として機能させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、コンピュータを、前記応力解放変形算出手段として機能させるときは、前記応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力をゼロに補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性をゼロに補正した補正剛性とを適用し、前記応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出するように機能させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項又は請求項に記載の発明において、コンピュータを、前記初期形状取得手段として機能させるときは、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状を取得するように機能させ、前記初期応力取得手段として機能させるときは、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期応力を取得するように機能させることを特徴とする。
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
まず、本願の請求項1に記載の発明によれば、構造体の初期形状、初期応力、剛性、溶接線に対応する応力解放領域、応力解放領域における応力解放率、及び溶接線に対応する固有変形データが取得され、構造体の初期形状の応力解放領域に初期応力と剛性を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と補正剛性を適用すると共に応力解放領域を除く領域に初期応力と剛性を適用して、弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出され、算出した構造体の応力解放変形後の解析モデルに固有変形データを適用して、弾性FEM解析によって構造体の溶接変形が算出される。
これにより、構造体の初期応力を考慮して構造体の溶接変形を計算することができるので、構造体の溶接変形を精度良く計算することができる。また、熱弾塑性FEM解析を用いることなく、固有変形データを用いた弾性FEM解析によって構造体の溶接変形を計算することができるので、熱弾塑性FEM解析を用いた場合に比して比較的簡素な計算で短時間に計算することができる。加えて、構造体の溶接時における溶接部の状態に応じて応力解放率を適宜設定することができ、構造体の溶接変形をより精度良く計算することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、構造体の初期形状の応力解放領域に初期応力をゼロに補正した補正初期応力と剛性をゼロに補正した補正剛性とを適用し、応力解放領域を除く領域に初期応力と剛性とを適用し、弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出されることにより、構造体の溶接時に、溶接部において初期応力及び剛性がゼロとなる場合について構造体の溶接変形を精度良く短時間に計算することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状と初期応力が取得されることにより、構造体を構成する各板状部材についてプレス成形シミュレーションなどの弾性FEM解析を用いたシミュレーションを行う場合、そのシミュレーション結果を用いることができるので、構造体の初期形状及び初期応力を容易に取得することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
そして、請求項に記載の溶接変形の計算プログラムに関する発明によれば、これをコンピュータで実行することにより、溶接変形の計算システムに関する請求項1〜に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
本発明の第1実施形態に係る溶接変形の計算を説明するための説明図である。 応力解放変形の計算を説明するための説明図である。 固有変形を説明するための説明図である。 本発明の第1実施形態に係る溶接変形の計算に用いる構造物を説明するための説明図である。 前記構造物の板厚方向における外面及び内面の初期応力を示す図である。 前記構造物の中心点について板厚方向における初期応力を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。 図7に示す記憶装置の構成を示す図である。 前記システムにおいて溶接変形を計算する動作を示すフローチャートである。 応力解放変形解析の動作を示すフローチャートである。 剛性データ入力画面を示す図である。 応力解放領域・応力解放率データ入力画面を示す図である。 固有変形データ入力画面を示す図である。 初期応力を考慮した場合に弾性FEM解析による変形図である。 初期応力を考慮しない場合に弾性FEM解析による変形図である。 熱弾塑性FEM解析に用いた材料物性データを示すグラフである。 初期応力を考慮した場合に熱弾塑性FEM解析による変形図である。 初期応力を考慮しない場合に熱弾塑性FEM解析による変形図である。 応力解放領域・応力解放率データ入力画面の別の画面を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る溶接変形の計算を説明するための説明図である。 本発明の第2実施形態に係るシステムにおいて溶接変形を計算する動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る溶接変形の計算を説明するための説明図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る溶接変形の計算では、複数の板状部材を溶接してなる構造体に生じる溶接時の変形を、溶接時に入力される熱による溶接部の軟化に伴って溶接部の初期応力が解放されて構造体が変形することを模擬した応力解放変形と、応力解放変形後の構造体に適用する固有変形を用いた溶接変形とを合わせたものとして計算する。
同一形状及び同一物性を有する板状の第1部材M1と第2部材M2とを突合せ溶接によって接合して構造体1を形成する場合、図1(a)に示すように、第1部材M1と第2部材M2とを突き合わせた構造体1aに溶接線L1で突合せ溶接すると、構造体1aから構造体1bに溶接時に変形する。
この溶接時の変形を、図1(b)に示すように、溶接線L1に対応する溶接部を模擬した応力解放領域R1の初期応力が解放されて構造体1aから構造体1cに変形する応力解放変形と、図1(c)に示すように、応力解放変形後の構造体1cに対して溶接線L1で突合せ溶接することにより構造体1cから構造体1bに変形する固有変形を用いた溶接変形とからなるものとして計算する。
図2は、応力解放変形の計算を説明するための説明図である。図2(a)に示すように、第1部材M1と第2部材M2とを突き合わせた構造体1aは、溶接前の成形プロセスなどに応じて初期応力σ12を有している。また、構造体1aは、剛性、具体的にはヤング率E12を有している。なお、図2では、第1部材M1と第2部材M2とは、これに限定するものではないが、同一形状及び同一物性を有するものとして示している。
応力解放変形の計算では先ず、図2(b)に示すように、溶接線に対応する溶接部を模擬した応力解放領域R1の初期応力σ12及び剛性E12を所定の応力解放率に基づいて補正して補正初期応力σ12´及び補正剛性E12´を算出し、応力解放領域R1の初期応力σ12及び剛性E12を補正初期応力σ12´及び補正剛性E12´に代える。応力解放率として、例えば50%や100%などの種々の値を設定することができる。応力解放率して100%を設定した場合は、補正初期応力σ12´及び補正剛性E12´は共にゼロのときの変形が算出される。
そして、構造体1aの応力解放領域R1に補正初期応力σ12´及び補正剛性E12´を適用し、構造体1aの応力解放領域R1を除く領域に初期応力σ12及び剛性E12を適用し、既知の弾性FEM解析を用いて、図2(c)に示すように、構造体1aから構造体1cに変形する構造体の応力解放変形を算出する。応力解放変形後の構造体1cは、算出された応力σ12´´と剛性E12とを有している。
本実施形態では、このようにして算出された応力解放変形後の構造体1cに対して、前述したように、溶接線に対応する固有変形を適用し、既知の弾性FEM解析を用いて構造体の溶接変形を算出する。
図3は、固有変形を説明するための説明図であり、突合せ溶接時の固有変形を模式的に示している。複数の板状部材を溶接する際には溶接時の熱によって溶接線近傍の所定の領域に固有ひずみが生じることとなるが、固有変形とは、この固有ひずみを固有ひずみが生じる領域で積分したものであり、縦収縮、横収縮、縦曲げ、横曲げの4つの基本変形によって規定したものである。
図3では、第1部材M1と第2部材M2を溶接線L1で突合せ溶接によって接合する場合について固有変形ひずみ領域の溶接線方向に単位長さを有する部分を部分的に取り出して示している。縦収縮は、図3(a)に示すように、溶接線方向の収縮であり、横収縮は、図3(b)に示すように、溶接線方向と直交する幅方向の収縮であり、縦曲げは、図3(c)に示すように、溶接線方向の曲げであり、横曲げは、図3(d)に示すように、溶接線方向と直交する方向の曲げである。
以下、本発明の実施形態に係る溶接変形の計算について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る溶接変形の計算に用いる構造物を説明するための説明図である。図4に示すように、本実施形態に係る溶接変形の計算では、構造体2として、半円筒状に成形された板状部材M11を用いた。構造体2について、板状部材M11の外面に溶接線L11で板状部材M12が溶接されることを模擬して、板状部材M11の外面に溶接線L11の溶接を行うときの溶接変形を計算した。
構造体2、具体的には板状部材M11は初期応力を有するものを用いた。構造体2の初期形状及び初期応力としては、プレス成形金型を用いて鋼板(ブランク)を半円筒状に成形するプレス成形を既知の弾性FEM解析を用いてプレス成形シミュレーションして算出したプレス成形後の形状及び応力を用いた。
図5は、前記構造物の板厚方向における外面及び内面の初期応力を示す図である。図5(a)は、構造物2としての板状部材M11の外面の初期応力を示し、図5(b)は、板状部材M11の内面の初期応力を示している。図5では、斜線ハッチングを用いて初期応力を表示している。
また、図6は、前記構造物の中心点について板厚方向における初期応力を示すグラフである。図6では、図4に示す構造物2の中心点P1について板厚方向における初期応力を実線で示し、構造体2をプレス成形金型を用いて成形するときにプレス成形金型の下死点における構造物2の中心点P1についての板厚方向における応力を二点鎖線で示している。なお、図5及び図6に示す構造体2の初期応力は、プレス成形シミュレーションを用いて算出したものであるため、図6では中心点P1の板厚方向位置を積分点を用いて示している。
溶接変形の計算に用いる構造体2は、図5及び図6に示すような初期応力を有し、図5(a)に示すように、板状部材M11の外面では初期応力として圧縮応力を有し、板状部材M11の内面では初期応力として引張応力を有している。また、構造体2の中心点P1では、外面において圧縮応力を有し、内面において引張方向を有し、図6の実線に示す初期応力を有している。本実施形態では、このように初期応力を有する構造体の溶接変形を計算する。
図7は、本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。図7に示すように、本発明の第1実施形態に係るシステムは、コンピュータ10を中心として構成され、コンピュータ10は、中央処理装置11と、溶接変形の計算に必要なデータなどを入力するためのキーボードなどの入力装置12と、溶接変形の計算結果などを表示するためのディスプレイなどの表示装置13と、溶接変形を計算するためのプログラムなどを記憶するメモリなどの記憶装置14と、溶接変形の計算結果などを出力するプリンタなどの出力装置15とを有し、固有変形データを保存する固有変形データベース20に接続されている。
中央処理装置11は、入力装置12、表示装置13及び出力装置15を制御すると共に、記憶装置14及び固有変形データベース20にアクセス可能に構成されている。中央処理装置11は、入力装置12を介して入力された情報と、記憶装置14に記録されているプログラムやデータと、固有データベース20に保存されている固有変形データとを用いて、溶接変形の計算をすると共に、溶接変形の計算結果を記憶装置14に保存するように構成されている。
図8は、図7に示す記憶装置の構成を示す図である。図8に示すように、記憶装置14は、プログラム記憶部とデータ記憶部とを有しており、プログラム記憶部には、構造体の形状データを有限要素分割して解析モデルを作成するための解析モデル作成プログラムと、構造体の解析モデルの応力解放領域に構造体の初期応力及び剛性を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力及び補正剛性を適用すると共に構造体の解析モデルの応力解放領域以外の領域に構造体の初期応力及び剛性を適用し、既知の弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形を計算するための応力解放変形計算プログラムと、構造体の応力解放変形後の解析モデルに固有変形データを適用し、既知の弾性FEM解析によって構造体の溶接変形を計算するための溶接変形計算プログラムと、入力画面や解析結果などを表示するための表示プログラムとが記憶されている。
一方、データ記憶部には、構造体の初期形状が記録される形状データファイルと、構造体の初期応力が記録される応力データファイルと、構造体の剛性が記録される剛性データファイルと、構造体の溶接線に応じて設定された応力解放領域及び該応力解放領域における応力解放率が記録される応力解放領域・応力解放率データファイルと、構造体に対する応力解放変形の計算結果が記録される応力解放変形結果ファイルと、応力解放変形後の構造体に対する固有変形を用いた溶接変形の計算結果が記録される溶接変形結果ファイルとが備えられている。
図9は、前記システムにおいて溶接変形を計算する動作を示すフローチャートである。構造体の溶接変形を計算する前に、コンピュータ10には先ず、ユーザによって入力装置12を介して構造体の初期形状の形状データ、及び構造体の初期応力データが登録され、データ記憶部の形状データファイル、及び応力データファイルに登録される。
構造体の初期形状及び初期応力として、図5及び図6に示すプレス成形シミュレーションの計算結果のように、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状及び初期応力を用いることができる。また、構造体の初期形状及び初期応力として、実際に構造体の形状及び応力を測定した実験結果を用いることも可能である。
また、コンピュータ10には、ユーザによって入力装置12を介して構造体の剛性データ、構造体の溶接線に対応する応力解放領域及び応力解放領域における応力解放率が登録され、データ記憶部の剛性データファイル、応力解放領域・応力解放率データファイルに登録される。
図11は、剛性データ入力画面を示す図である。図11に示すように、構造体の剛性データを入力する際には、表示装置13に剛性データ入力画面30が表示され、該画面30には、溶接線番号入力部31と剛性データ入力部32とが設けられると共に、登録ボタン33が設けられている。
溶接線番号入力部31には、構造体の溶接線番号を入力することができるようになっている。剛性データ入力部32には、剛性データとしてのヤング率を入力することができるようになっている。そして、剛性データ入力画面30において、剛性データが入力された後に、ユーザによって登録ボタン33が押されると、剛性データが、データ記憶部の剛性データファイルに記録される。
図12は、応力解放領域・応力解放率データ入力画面を示す図である。図12に示すように、構造体の溶接線に対応する応力解放領域と応力解放領域における応力解放率を入力する際には、表示装置13に応力解放領域・応力解放率データ入力画面40が表示され、該画面40には、溶接線番号入力部41と応力解放領域・応力解放率データ入力部42とが設けられると共に、登録ボタン43が設けられている。
溶接線番号入力部41には、構造体の溶接線番号を入力することができるようになっている。応力解放領域・応力解放率データ入力部42には、構造体の溶接線に対応する初期応力を解放させる応力解放領域の幅と深さを入力することができると共に、構造体の応力解放領域における初期応力を解放させる応力解放率を入力することができるようになっている。
図12に示す画面40では、応力解放領域として幅20mm、深さ1.6mmである断面矩形状の応力解放領域を設定し、応力解放率として100%、すなわち初期応力をすべて解放させて補正初期応力をゼロにするように設定したものが示されている。応力解放領域としては、断面矩形状に限らず、種々の断面形状を設定することが可能である。応力解放率についても、種々の応力解放率を設定することが可能である。
応力解放領域・応力解放率データ入力画面40において、応力解放領域データと応力解放率データが入力された後に、ユーザによって登録ボタン43が押されると、応力解放領域データ及び応力解放率データが、データ記憶部の応力解放領域・応力解放率データファイルに記録される。
また、コンピュータ10に接続される固有変形データベース20には、予め種々の溶接線に対応する固有変形データが保存されているが、固有変形データベース20に保存されていない溶接線に対応する固有変形データを記録する場合は、ユーザによって入力装置12を介して構造体の溶接線に対応する固有変形データが登録され、固有変形データベース12に登録される。
図13は、固有変形データ入力画面を示す図である。構造体の溶接線に対応する固有変形データを入力する際には、表示装置13に固有変形データ入力画面50が表示され、該画面50には、溶接線入力部51と材料物性入力部52と固有変形入力部53とが設けられると共に、登録ボタン54が設けられている。
溶接線入力部51には、アーク溶接などの溶接方法を入力することができると共に突合せ溶接などの溶接タイプを入力することができるようになっている。溶接線入力部51にはまた、溶接条件としての電流、電圧、速度及び熱効率を入力することができるようになっている。
材料物性入力部52には、鉄などの材料を入力することができると共に、板厚、密度、比熱及び熱膨張係数を入力することができるようになっている。また、固有変形入力部53には、構造体の溶接線に対応する固有変形データ、具体的には縦収縮量、横収縮量、縦曲げ量、横曲げ量を入力することができるようになっている。そして、固有変形データ入力画面50において、溶接線、材料物性及び固有変形のデータが入力された後に、ユーザによって登録ボタン54が押されると、溶接線に対応する固有変形が固有変形データベース20に記録される。
このようにして、構造体の初期形状、初期応力、剛性、溶接線に対応する応力解放領域、応力解放領域における応力解放率、及び溶接線に対応する固有変形データが登録された状態で、図9に示すように、構造体の溶接変形の計算が行われる。
構造体の溶接変形を計算する際には先ず、構造体の溶接変形を計算するための各種データが取得される。具体的には、構造体の初期形状データが取得され(ステップS1)、構造体の初期応力データが取得され(ステップS2)、構造体の剛性データが取得され(ステップS3)、構造体の溶接線に対応する応力解放領域データ及び応力解放領域における応力解放率データが取得され(ステップS4)、構造体の溶接線に対応する固有変形データが取得される(ステップS5)。そして、構造体の応力解放変形解析が行われる(ステップS6)。
図10は、応力解放変形解析の動作を示すフローチャートである。ステップS6における構造体の応力解放変形解析では、図10に示すように、ステップS4において取得した構造体の応力解放領域についてステップS2において取得した構造体の初期応力をステップS4において取得した応力解放率に基づいて補正して補正初期応力が算出されると共に、ステップS4において取得した構造体の応力解放領域についてステップS3において取得した構造体の剛性をステップS4において取得した応力解放率に基づいて補正して補正剛性が算出される(ステップS11)。
図12に示すように、応力解放領域における応力解放率として100%が設定されている場合、ステップS11では、構造体の応力解放領域における初期応力をゼロに補正した補正初期応力が算出され、構造体の応力解放領域における剛性をゼロに補正した補正剛性が算出される。
そして、ステップS1において取得した構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域に、ステップS11において算出した補正初期応力及び補正剛性が適用され、構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、ステップS2及びステップS3において取得した構造体の初期応力及び剛性が適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出される(ステップS12)。
図12に示すように、応力解放領域における応力解放率として100%が設定されている場合、ステップS12では、構造体の初期形状の応力解放領域に初期応力をゼロに補正した補正初期応力と剛性をゼロに補正した補正剛性とが適用され、構造体の初期形状の応力解放領域を除く領域に構造体の初期応力及び剛性が適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出される。
ステップS12において構造体の応力解放変形が算出されると、算出した構造体の応力解放変形が応力解放変形結果ファイルに記録される。構造体の応力解放変形の計算結果として、構造体の応力解放変形後の形状及び応力が算出され、これらが応力解放変形結果ファイルに記録される。
ステップS6において応力解放変形解析が行われると次に、固有変形を用いた溶接変形解析が行われる(ステップS7)。ステップ7では、ステップS6において算出した構造体の応力解放変形後の解析モデルに、具体的には応力解放変形後の形状及び応力を有する解析モデルに、ステップS5において取得した溶接線に対応する固有変形データが適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の溶接変形が算出される。
ステップS7において固有変形を用いた構造体の溶接変形が算出されると、算出した構造体の溶接変形の解析結果が、溶接変形結果ファイルに記録されると共に表示装置13に出力される(ステップS8)。溶接変形結果ファイルには、構造体の溶接変形の解析結果として算出した構造体の溶接変形後の形状及び応力が記録される。一方、表示装置13には、構造体の溶接変形後の形状が構造体の初期形状からのたわみ量と共に表示される。
図14は、初期応力を考慮した場合に弾性FEM解析による変形図である。図14に示すように、解析結果を表示する際には、表示装置13に解析結果画面60が表示され、該画面60には、解析結果表示部61が設けられると共に、終了ボタン62が設けられている。
解析結果表示部61には、構造体の溶接変形の解析結果が表示され、構造体の溶接変形後の形状が構造体の初期形状からの変形量であるたわみ量と共に表示されるようになっている。構造体のたわみ量は、たわみ量の大小が色の濃淡で表示されると共にたわみ量の最大値が表示される。なお、構造体のたわみ量は、構造体の板厚方向の各積分点におけるたわみ量を平均化して示される。
図14は、図5及び図6に示す初期応力を有する構造体2について、図4に示す溶接線L11で溶接する場合について、図11に示す剛性データ、図12に示す応力解放領域及び応力解放率などを適用し、応力解放変形解析及び固有変形を用いた溶接変形解析を行って算出した構造体2の溶接変形の解析結果を示している。
また、構造体2について、応力解放変形解析を行うことなく、固有変形を用いた溶接変形解析のみによる構造体2の溶接変形についても算出した。具体的には、構造体2の初期形状の解析モデルに、溶接線L11に対応する固有変形データを適用して既知の弾性FEM解析によって構造体の溶接変形を算出した。
図15は、初期応力を考慮しない場合に弾性FEM解析による変形図であり、図15は、構造体2の初期形状の解析モデルに、溶接線L11に対応する固有変形データを適用して既知の弾性FEM解析によって構造体の溶接変形を算出した解析結果を示している。図14及び図15に示す解析結果から、構造体の初期応力を考慮しない構造体の溶接変形の計算では、構造体の初期応力を考慮した構造体の溶接変形の計算に比してたわみ量が大きく算出されることが分かる。
本実施形態ではまた、本実施形態に係る構造体の溶接変形の計算結果を、熱弾塑性FEM解析を用いた構造体の溶接変形の計算結果と比較するために、構造体2について、初期応力を考慮する場合と初期応力を考慮しない場合について熱弾塑性FEM解析を用いて構造体の溶接変形を算出した。
熱弾塑性FEM解析を用いた構造体2の溶接変形の計算では、溶接時に加えられる熱によって、構造体2における溶接線L11について、幅20mmで板厚方向において外面から三分の二の深さまで1800度の温度(初期温度)になるものとして、熱弾塑性FEM解析を用いて構造体の溶接変形を算出した。
図16は、熱弾塑性FEM解析に用いた材料物性データを示すグラフである。熱弾塑性FEM解析を用いた溶接変形の計算では、熱依存性を有する材料物性データとして、図16に示す材料物性データを用いた。構造体2について、図16に示すポアソン比、降伏応力、ヤング率、熱膨張係数及び塑性硬化係数を用いた。また、構造体2の初期形状及び初期応力としては、本実施形態に係る構造体2の溶接変形の計算と同様の初期形状及び初期応力を用いた。
図17は、初期応力を考慮した場合に熱弾塑性FEM解析による変形図である。図18は、初期応力を考慮しない場合に熱弾塑性FEM解析による変形図である。
図17及び図18についても、構造体の溶接変形後の形状を構造体の初期形状からの変形量であるたわみ量と共に表示している。構造体のたわみ量は、たわみ量の大小が色の濃淡で表示すると共にたわみ量の最大値を表示し、構造体のたわみ量は、構造体の板厚方向の各積分点におけるたわみ量を平均化して示している。
図17に示すように、初期応力を考慮した場合について熱弾塑性FEM解析を用いた溶接変形の解析結果は、図14に示す溶接変形の解析結果とたわみ量の最大値が略等しく略同様の解析結果が得られた。図18に示すように、初期応力を考慮しない場合についても熱弾塑性FEM解析を用いた溶接変形の解析結果は、図15に示す溶接変形の解析結果とたわみ量の最大値が略等しく略同様の解析結果が得られた。これら解析結果から分かるように、本実施形態に係る溶接変形の計算では、熱弾塑性FEM解析を用いた溶接変形の計算と同様に、初期応力を考慮して構造体の溶接変形を精度良く計算することができる。
このように、本実施形態に係る溶接変形の計算では、構造体の初期形状、初期応力、剛性、溶接線に対応する応力解放領域、応力解放領域における応力解放率、及び溶接線に対応する固有変形データが取得され、構造体の初期形状の応力解放領域に初期応力と剛性を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と補正剛性を適用すると共に応力解放領域を除く領域に初期応力と剛性を適用して、弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出され、算出した構造体の応力解放変形後の解析モデルに固有変形データを適用して、弾性FEM解析によって構造体の溶接変形が算出される。
これにより、構造体の初期応力を考慮して構造体の溶接変形を計算することができるので、構造体の溶接変形を精度良く計算することができる。また、熱弾塑性FEM解析を用いることなく、固有変形データを用いた弾性FEM解析によって構造体の溶接変形を計算することができるので、熱弾塑性FEM解析を用いた場合に比して比較的簡素な計算で短時間に計算することができる。加えて、構造体の溶接時における溶接部の状態に応じて応力解放率を適宜設定することができ、構造体の溶接変形をより精度良く計算することができる。
また、構造体の初期形状と初期応力として、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状と初期応力が取得されることにより、構造体を構成する各板状部材についてプレス成形シミュレーションなどの弾性FEM解析を用いたシミュレーションを行う場合、そのシミュレーション結果を用いることができるので、構造体の初期形状及び初期応力を容易に取得することができる。
前述した実施形態では、図12に示すように、応力解放領域として幅と深さを入力する際に、応力解放領域の深さは、寸法を用いて入力するようになっているが、応力解放領域の深さを、深さの割合として入力するようにすることも可能である。
図19は、応力解放領域・応力解放率データ入力画面の別の画面を示す図である。図19に示すように、応力解放領域・応力解放率データ入力画面40における応力解放領域・応力解放率データ入力部42において、応力解放領域の深さを、深さの割合(%)で入力するようにすることも可能である。
また、前述した実施形態では、構造体の初期形状及び初期応力として、図5及び図6に示すプレス成形シミュレーションの計算結果を用いているが、構造体が複数の溶接線を有する場合、1つの溶接線について溶接変形を計算するために応力解放変形解析及び固有変形を用いた溶接変形解析を行った後に、その解析結果を、次の溶接線についての溶接変形の計算に用いることも可能である。
図20は、本発明の第2実施形態に係る溶接変形の計算を説明するための説明図である。図20に示すように、本発明の第2実施形態に係る溶接変形の計算では、板状部材M21と板状部材M22とを溶接線L21で溶接すると共に板状部材M21と板状部材M23とを溶接線L22で溶接して製造される構造体3のように複数の溶接線を有する構造体の溶接変形を計算する。
本発明の第2実施形態に係る溶接変形の計算においても、前述した第1実施形態に係る溶接変形と同様のシステムが用いられるが、第2実施形態に係る溶接変形の計算では、複数の溶接線に対応して、各溶接線に対応する応力解放領域及び各応力解放領域における応力解放率が登録されるようになっている。
図21は、本発明の第2実施形態に係るシステムにおいて溶接変形を計算する動作を示すフローチャートである。本発明の第2実施形態に係るシステムにおいても、本発明の第1実施形態に係るシステムにおける溶接変形の計算動作と同様に、構造体の溶接変形を計算する際には先ず、構造体の溶接変形を計算するための各種データが取得される。
構造体の初期形状データが取得され(ステップS21)、構造体の初期応力データが取得され(ステップS22)、構造体の剛性データが取得され(ステップS23)、構造体の各溶接線に対応する応力解放領域データ及び応力解放領域における応力解放率データが取得され(ステップS24)、構造体の各溶接線に対応する固有変形データが取得される(ステップS25)。そして、構造体の応力解放変形解析が行われる(ステップS26)。
ステップS26における構造体の応力解放変形解析では、最初の溶接線における応力解放変形算出時には、構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域に、ステップS22において取得した構造体の初期応力をステップ24において取得した応力解放率に基づいて補正した補正初期応力とステップ23において取得した構造体の剛性をステップ24において取得した応力解放率に基づいて補正した補正剛性とが適用され、構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、ステップS22及びステップS23において取得した構造体の初期応力及び剛性が適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出される。
ステップS26において応力解放変形解析が行われると次に、固有変形を用いた溶接変形解析が行われる(ステップS27)。ステップ27では、ステップS26において算出した構造体の応力解放変形後の解析モデルに、具体的には応力解放変形後の形状及び応力を有する解析モデルに、ステップS25において取得した溶接線に対応する固有変形データが適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の溶接変形が算出される。
そして、複数の溶接線のすべてについて溶接変形の解析が終了したか否かが判定される(ステップS28)。ステップS28での判定結果がノー(NO)の場合、すなわち、全溶接線の解析が終了していない場合は、次の溶接線についてステップS26及びステップS28が繰り返される。
次の溶接線についてのステップS26における構造体の応力解放変形解析では、前の溶接線についてステップS27において算出した溶接変形後の形状及び応力を用い、構造体の溶接変形後の形状の解析モデルの応力解放領域に、構造体の溶接変形後の応力をステップ24において取得した応力解放率に基づいて補正した補正応力とステップS23において取得した構造体の剛性をステップ24において取得した応力解放率に基づいて補正した補正剛性とが適用され、構造体の溶接変形後の形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、構造体の溶接変形後の応力とステップS23において取得した剛性が適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出される。
このように、最初の溶接線以降の溶接線における応力解放変形算出時には、当該溶接線の前の溶接線について算出した構造体の溶接変形後の形状及び応力を用い、構造体の溶接変形後の形状の解析モデルの応力解放領域に、構造体の溶接変形後の応力を応力解放率に基づいて補正した補正応力と構造体の剛性を応力解放率に基づいて補正した補正剛性とが適用され、構造体の溶接変形後の形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、構造体の溶接変形後の応力と構造体の剛性とが適用され、弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出される。
次の溶接線についても、ステップS26において応力解放変形解析が行われると次に、固有変形を用いた溶接変形解析が行われ(ステップS27)、ステップS26において算出した構造体の応力解放変形後の解析モデルに、具体的には応力解放変形後の形状及び応力を有する解析モデルに、ステップS25において取得した溶接線に対応する固有変形データが適用され、既知の弾性FEM解析によって構造体の溶接変形が算出される。
そして、複数の溶接線のすべてについて溶接変形の解析が終了するまで、ステップS26及びステップS27が繰り返され、ステップS28での判定結果がイエス(YES)になると、すなわち、全溶接線の解析が終了すると、算出した構造体の溶接変形の解析結果が、溶接変形結果ファイルに記録されると共に表示装置13に出力される(ステップS29)。
このように、本発明の第2実施形態に係る溶接変形の計算では、構造体が複数の溶接線を有する場合、最初の溶接線における応力解放変形算出時には、構造体の初期形状の応力解放領域に初期応力と剛性を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と補正剛性とを適用し、応力解放領域を除く領域に初期応力と剛性とが適用され、最初の溶接線以降の溶接線における応力解放変形算出時には、前の溶接線について算出した構造体の溶接変形後の形状及び応力を用い、構造体の溶接変形後の形状の応力解放領域に、構造体の溶接変形後の応力と剛性を応力解放率に基づいて補正した補正応力と補正剛性とが適用され、応力解放領域を除く領域に、構造体の溶接変形後の応力と剛性とを適用し、弾性FEM解析によって構造体の応力解放変形が算出される。
これにより、複数の溶接線を有する構造体の溶接変形を予測する際に前の溶接線についての溶接変形結果を用いて溶接線ごとに応力解放変形解析と溶接変形解析を順次行うことができ、構造体の溶接変形を精度良く短時間に計算することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、構造体の溶接変形を比較的簡素な計算で短時間に精度良く計算することができるので、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形を有限要素法を用いて予測する場合に、好適に利用される可能性がある。
10 コンピュータ
11 中央処理装置
12 入力装置
13 表示装置
14 記憶装置
15 出力装置
20 固有変形データベース

Claims (6)

  1. 複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形を弾性FEM解析によって計算する溶接変形の計算システムであって、
    前記構造体の初期形状を取得する初期形状取得手段と、
    前記構造体の初期応力を取得する初期応力取得手段と、
    前記構造体の剛性を取得する剛性取得手段と、
    前記構造体の溶接線に対応する応力解放領域を取得する応力解放領域取得手段と、
    前記構造体の応力解放領域における応力解放率を取得する応力解放率取得手段と、
    前記構造体の溶接線に対応する固有変形データを取得する固有変形データ取得手段と、
    前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性を応力解放率に基づいて補正した補正剛性とを適用し、前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出する応力解放変形算出手段と、
    前記応力解放変形算出手段によって算出した前記構造体の応力解放変形後の解析モデルに、固有変形データを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の溶接変形を算出する溶接変形算出手段と、
    を有することを特徴とする溶接変形の計算システム。
  2. 前記応力解放変形算出手段は、前記応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力をゼロに補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性をゼロに補正した補正剛性とを適用し、前記応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶接変形の計算システム。
  3. 前記初期形状取得手段は、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状を取得し、
    前記初期応力取得手段は、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期応力を取得する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶接変形の計算システム。
  4. 複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形を弾性FEM解析によって計算する溶接変形の計算プログラムであって、
    コンピュータを、前記構造体の初期形状を取得する初期形状取得手段、
    前記構造体の初期応力を取得する初期応力取得手段、
    前記構造体の剛性を取得する剛性取得手段、
    前記構造体の溶接線に対応する応力解放領域を取得する応力解放領域取得手段、
    前記構造体の応力解放領域における応力解放率を取得する応力解放率取得手段、
    前記構造体の溶接線に対応する固有変形データを取得する固有変形データ取得手段、
    前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力を応力解放率に基づいて補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性を応力解放率に基づいて補正した補正剛性とを適用し、前記構造体の初期形状の解析モデルの応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出する応力解放変形算出手段、及び、
    前記応力解放変形算出手段によって算出した前記構造体の応力解放変形後の解析モデルに、固有変形データを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の溶接変形を算出する溶接変形算出手段として機能させる、
    ことを特徴とする溶接変形の計算プログラム。
  5. コンピュータを、前記応力解放変形算出手段として機能させるときは、前記応力解放領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力をゼロに補正した補正初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性をゼロに補正した補正剛性とを適用し、前記応力解放領域を除く領域に、前記初期応力取得手段によって取得した初期応力と前記剛性取得手段によって取得した剛性とを適用し、弾性FEM解析によって前記構造体の応力解放変形を算出するように機能させる、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶接変形の計算プログラム。
  6. コンピュータを、前記初期形状取得手段として機能させるときは、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期形状を取得するように機能させ、前記初期応力取得手段として機能させるときは、弾性FEM解析を用いて算出した構造体の初期応力を取得するように機能させる、
    ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の溶接変形の計算プログラム。
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