JPH06180271A - 残留応力と変形の予測法 - Google Patents

残留応力と変形の予測法

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JPH06180271A
JPH06180271A JP33466092A JP33466092A JPH06180271A JP H06180271 A JPH06180271 A JP H06180271A JP 33466092 A JP33466092 A JP 33466092A JP 33466092 A JP33466092 A JP 33466092A JP H06180271 A JPH06180271 A JP H06180271A
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welding
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JP33466092A
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Masato Mochizuki
望月正人
Sadao Umezawa
梅沢貞夫
Tasuku Shimizu
翼 清水
Kunio Enomoto
榎本邦夫
Shinji Sakata
坂田信二
Yukio Ueda
上田幸雄
Hidekazu Murakawa
村川英一
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 残留応力及び変形の予測技術として、現状で
は溶接エキスパートの経験に頼るか、大型計算機を用い
て熱粘弾塑性問題として溶接部の応力・変形解析を行う
ことが一般的であるが、前者は定量的でなく、後者は多
大な計算時間と費用が必要である。そこで、従来の技術
では困難であった上記予測を、固有ひずみ理論及び固有
変形理論を用いて簡易的に求めようとするものである。 【構成】 溶接構造物に残留応力及び変形が存在する場
合、それぞれその生成源である固有ひずみ及び固有変形
が存在する。本発明は、溶接構造物を基本的な形状の溶
接継手の集合体として、それぞれ各々の溶接継手に対し
て測定あるいは計算した固有ひずみ及び固有変形を用い
て、溶接構造物全体の残留応力及び変形を簡易的に、か
つ、精度良く推定することを特徴とする。 【効果】 本発明によれば、残留応力及び変形を簡易的
に、かつ、精度良く求めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は残留応力及び変形の予測
法に係り、特に形状の複雑な溶接構造物の残留応力(溶
接構造物中に外力を加えていないときでも存在する応
力)及び変形溶接構造物の形状(外力を加えていないと
き)と溶接前の形状との差であり、残留変形といっても
よい)の予測に好適な予測法に関する。
【0002】ここに、予測とは、溶接前に、溶接の結果
生じるであろうところの残留応力、変形を予測すること
をいう。
【0003】
【従来の技術】溶接構造物などに生じた残留応力と変形
は構造物の疲労寿命あるいは溶接割れなどに大きく影響
する。したがって、残留応力と変形の把握は構造物の設
計及び製作上有用な指針を与えるものである。従来、残
留応力と変形を予測するためには、溶接学会論文集vo
l.2,no.1(1984),pp.75−82のよ
うに、大形計算機を用いて有限要素法による熱弾塑性解
析を行った。計算結果を基に、残留応力と変形が設計許
容値内に入るように、溶接順序や入熱量などの溶接方案
を決定する。
【0004】一方、日本造船学会論文集vol.145
(1979),pp.203−211では、実際に溶接
継手を切断することにより固有ひずみを測定し、その固
有ひずみ分布から簡易的に残留応力を推定する方法が考
案されている。この方法では、固有ひずみ分布が求まる
と線形弾性計算により溶接継手の残留応力を求めること
ができる。
【0005】また、溶接学会全国大会講演概要vol.
46(1990),pp.222−223では、基本溶
接継手に関する溶接残留応力変形解析システムを開発し
ているが、この方式では基本溶接継手に関してはデータ
ベース化できるものの、複雑な形状の溶接構造物に関し
てはデータベース化することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在の大形計算機の計
算速度と記憶容量を考えれば、実際の3次元溶接構造物
の溶接による熱粘弾塑性現象を忠実に再現することは不
可能に近い。そのため、上記従来技術のうち、第1の方
法では、溶接構造物を2次元にモデル化することにより
近似計算を行っていた。しかも、近似計算を行う場合で
も多大な時間と費用を要する。
【0007】また、固有ひずみを測定して簡易的に残留
応力を求める前記第2の手法では、基本的な形状の溶接
継手についての適用は可能であるが、実際の3次元溶接
構造物の残留応力を推定するには、切断方法を理論的に
導出するのが非常に難しく、また、拘束(外力)による
応力、ひずみとの区別も難しい。実際の切断作業も困難
を極め、実製品を切断するためその製品価値が失われる
ため、実際には不可能である。
【0008】本発明の目的は、溶接構造物に生じる残留
応力及び変形を溶接構造物を切断せずに簡易的に、か
つ、精度良く求めることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】溶接構造物に残留応力が
存在する場合、この残留応力分布を生成している応力の
発生源が溶接構造物内に存在する。この残留応力の発生
源を固有ひずみと言う。これは溶接部材について言う
と、溶接によって溶接部近傍の母材部分に生じる残留塑
性ひずみと、溶着金属に生じる収縮ひずみを一括したも
のであり、通常固有ひずみが残留応力を生じせしめる応
力源となる。例えば、一次元で一様な溶接残留応力場を
考えると、現れるみかけのひずみε(これは直接測定で
きるひずみである)は次式で表される。
【0010】ε=εe +εi ここに、εe は弾性ひずみ、εi は固有ひずみである。
この時、固有ひずみの存在しない母材部分にも応力が残
留し、次式となる。
【0011】ε=εe 一次元残留応力場であると、残留応力をσとして次式で
与えられる。
【0012】εe =σ/E ここに、Eは縦弾性係数である。したがって、残留応力
を求めるには弾性ひずみの大きさを知ればよいことにな
る。
【0013】溶接変形に対しても同様に、固有変形が定
義される。
【0014】溶接構造物に対する固有ひずみあるいは固
有変形が決定すると、溶接構造物の形状と、溶接構造物
を構成する材料の弾性挙動を示す範囲での応力−ひずみ
関係式から求めることができる残留応力と固有ひずみ、
あるいは変形と固有変形の関係を表す弾性応答マトリク
スを用いて、簡易的に溶接構造物の残留応力あるいは変
形をそれぞれ求めることが可能になる。
【0015】以上の固有ひずみあるいは固有変形を用い
て残留応力及び変形を求める方法をそれぞれ固有ひずみ
理論、固有変形理論と言う。
【0016】また、本発明の前記の目的は、溶接構造物
を基本的な形状の溶接継手の集合体として、各々の基本
的な形状の溶接継手に対する固有ひずみあるいは固有変
形を各々の溶接継手に与え、溶接構造物全体での残留応
力と固有ひずみ、あるいは変形と固有変形の関係を表す
弾性応答マトリクスを用いて溶接構造物全体の残留応力
及び変形を簡易的に求めることにより達成される。
【0017】
【作用】固有ひずみ分布と残留応力分布は、溶接構造物
の形状と、溶接構造物を構成する材料の弾性挙動を示す
範囲での応力−ひずみ関係式から求めることができる弾
性応答マトリクスによって関係づけられる。したがっ
て、溶接構造物全体の固有ひずみ分布が求まれば、残留
応力も決定される。同様に、溶接構造物全体の固有変形
分布が求めることができれば、変形も決定される。
【0018】
【実施例】前述したように、溶接構造物に残留応力が存
在する場合、この残留応力分布を生成している応力の発
生源が溶接構造物内に存在する。この残留応力の発生源
を固有ひずみと言う。これは溶接部材について言うと、
溶接によって溶接部近傍の母材部分に生じる残留塑性ひ
ずみと、溶着金属に生じる収縮ひずみを一括したもので
あり、通常固有ひずみが残留応力を生じせしめる応力源
となる。例えば、一次元で一様な溶接残留応力場を考え
ると、現れるみかけのひずみεは次式で表される。
【0019】ε=εe +εi ここに、εe は弾性ひずみ、εi は固有ひずみである。
この時、残留固有ひずみの存在しない母材部分にも応力
が残留し、次式で表される。
【0020】ε=εe 一次元残留応力場であると、残留応力をσとして次式で
与えられる。
【0021】εe =σ/E ここに、Eは縦弾性係数である。したがって、残留応力
を求めるには弾性ひずみの大きさを知ればよいことにな
る。
【0022】溶接変形に対しても同様に、固有変形が定
義される。
【0023】溶接構造物に対する固有ひずみあるいは固
有変形が決定すると、溶接構造物の形状と、溶接構造物
を構成する材料の弾性挙動を示す範囲での応力−ひずみ
関係式から求めることができる残留応力と固有ひずみ、
あるいは変形と固有変形の関係を表す弾性応答マトリク
スを用いて、簡易的に溶接構造物の残留応力あるいは変
形をそれぞれ求めることが可能になる。
【0024】以上の固有ひずみあるいは固有変形を用い
て残留応力及び変形を求めることができる。
【0025】以下本発明の実施例を図面によって具体的
に説明する。
【0026】図1は、本発明の残留応力及び変形予測法
の手順を示す。溶接構造物を基本的な形状の溶接継手の
集合体とみなして仮想的に基本的形状の溶接継手に分解
する。各々の基本的な形状の溶接継手に対して、測定あ
るいは計算により求めた固有ひずみ及び固有変形分布を
用意する。この固有ひずみあるいは固有変形の分布を、
各々の基本的な形状の溶接継手それぞれに重ね合わせて
溶接構造物全体に分布させる。そして、溶接構造物全体
での残留応力と固有ひずみ、あるいは変形と固有変形の
関係を表す弾性応答マトリクスを用いて、溶接構造物全
体に固有ひずみ、固有変形が分布した状態で、拘束条件
(外力条件)を代入し、線形弾性解析することにより残
留応力及び変形を求めることができる。
【0027】図2は、実際に溶接構造物の残留応力を求
めるための手順を示す。溶接構造物1は上下のフランジ
板101と2枚のウェブ板102を半自動溶接によって
溶接することにより、組み立られる。フランジ板101
は長さ800mm、巾500mm、ウェブ板102は高
さ500mm、板厚30mmで、巾500mmであり、
溶接部の両側に開先加工を施す。ウェブ板102は、フ
ランジ板101を長さ方向に1:2:1に分けるように
取り付ける。また、フランジ板101、ウェブ板10
2、溶接棒の材質は13Cr−5Ni鋼である。溶接前
にフランジ板101とウェブ板102をそれぞれ2ヵ所
ずつ仮止めし、この状態で応力状態を弛緩するため、6
00℃、2時間で焼きなまし処理を行う。溶接時の電流
は300A、電圧は35Vで、ウェブ板102の両側を
それぞれ10パス5層盛りの状態で左右対称に4か所を
同時に溶接する。
【0028】この溶接構造物1の残留応力分布を求める
ために、溶接構造物1を4個のT型溶接継手2の組合せ
により構成された構造物であると考える。
【0029】T型溶接継手2の固有ひずみ分布は、別に
用意したT型溶接継手3から求める。T型溶接継手3の
寸法は母板103の長さ400mm、巾50mm、立板
104の高さ250mm、板厚30mmで、巾500m
mである。立板は母板の中心線上に取り付ける。母板1
03、立板104、溶接棒の材質は13Cr−5Ni鋼
である。T型溶接継手3も、溶接前に母板103と立板
104を仮止めし、この状態で応力状態を弛緩するた
め、600℃、2時間で焼きもどし処理を行う。溶接時
の電流は300A、電圧は35Vで、両側をそれぞれ1
0パス5層盛りで左右対称に溶接する。このT型溶接継
手3の固有ひずみ分布を、日本造船学会論文集vol.
145(1979),203−211と同様の手順によ
り求める。一例として、母板の中心線上での溶接線方向
への固有ひずみ分布σyiの分布4を示す。
【0030】T型溶接継手2とT型溶接継手3は、どち
らも母板、立板ともに無限板と見なすことができ、ま
た、溶接条件も同じである。よって、板端部をそれぞれ
一致させることにより、T型溶接継手3の固有ひずみ分
布をT型溶接継手2の固有ひずみ分布として置換するこ
とができる。
【0031】このようにして求めたT型溶接継手2の固
有ひずみ分布を、4個のT型溶接継手2の組合せにより
構成された構造物であると考えた溶接構造物1の4箇所
にそれぞれ分布させる。そして、溶接構造物1を固有ひ
ずみが分布した状態で、拘束条件を代入し、線形弾性解
析することにより、溶接構造物1全体の残留応力分布を
求めることができる。
【0032】また、図3に示すように、ウェブ板102
の高さが500mmから300mmに変化しただけで、
そのほかの条件は全く同じにして、溶接構造物を製作し
た場合、この溶接構造物の残留応力分布は、基本溶接継
手としてT型溶接継手3を選択することにより、新たに
実験をすることなしに求めることができる。具体的に
は、高さ方向の固有ひずみ分布を溶接構造物に分布させ
る際に、寸法の変化の影響を考慮した新たな固有ひずみ
分布を設定した後に、その固有ひずみ分布を使用し、上
下の固有ひずみ分布を2つのT型溶接継手2に重ねあわ
せることにより、線形弾性解析によって溶接構造物全体
の溶接残留応力分布を求めることができる。
【0033】同様に、寸法、形状、溶接条件とも溶接構
造物1と同じで、鋼種がSUS309鋼の場合、図4に
示すように、13Cr−5Ni鋼とSUS309鋼の降
伏応力の違いから、SUS309鋼に対するT型溶接継
手3の固有ひずみ分布を、SUS309鋼のT型溶接継
手3の固有ひずみを測定することなしにパラメータ解析
により計算することができる。溶接部の固有ひずみの大
きさは降伏応力の値によって一義的に決定することがで
きる。T型溶接継手3の溶接線方向の固有ひずみ分布
は、簡易的には固有ひずみの最大値の大きさεMy、最大
値の存在領域YH、固有ひずみ全体の存在領域bを用い
て、直線的に表現することができる。13Cr−5Ni
鋼の固有ひずみ分布は固有ひずみの最大値の大きさε
My1 、最大値の存在領域YH 、固有ひずみ全体の存在領
域b1 の3種類の定数で表わすことができる。その時、
SUS309鋼の固有ひずみ分布は、固有ひずみの最大
値の大きさεMy2 、最大値の存在領域YH 、固有ひずみ
全体の存在領域b2 となる。固有ひずみの最大値の大き
さεMy2 と固有ひずみ全体の存在領域b2 は次式で表わ
される。
【0034】εMy2 =(σH2/σH1)εMy12 =(M2 /M1 )b1 ここで、σH1、M1 はそれぞれ13Cr−5Ni鋼の降
伏応力、T型溶接継手3の断面の中性軸と溶接部の不つ
りあいから発生する曲げモーメント(断面二次モーメン
ト)であり、σH2、M2 はそれぞれSUS309鋼の降
伏応力、T型溶接継手3の断面の中性軸と溶接部の不つ
りあいから発生する曲げモーメントである。このよう
に、寸法、形状、溶接条件とも溶接構造物1と同じで、
鋼種がSUS309鋼の場合の固有ひずみ分布が求める
ことができる。このパラメータ解析によって求められた
SUS309鋼のT型溶接継手3の固有ひずみ分布を用
いて溶接構造物1と寸法、形状、溶接条件とも同じで、
鋼種がSUS309鋼である溶接構造物の残留応力分布
を弾性解析により求めることができる。
【0035】以上のように、一つの基本溶接継手T型溶
接継手3の固有ひずみ分布をデータベースとして持って
おけば、その基本溶接継手と、基本溶接継手からパラメ
ータ解析することにより求めることができる類似の基本
溶接継手の組み合わせとして形成される種々の寸法、形
状、溶接条件、鋼種の溶接構造物に適用することが可能
になる。
【0036】図5は、5枚の正方形の平板を溶接するこ
とにより構成された容器型の溶接構造物5である。溶接
構造物5のような構造物では、溶接現象そのものによる
残留応力分布のほかに、部材相互間の拘束による構造物
全体での残留応力の影響が大きい。この溶接構造物5
は、8個の基本溶接継手6の組み合わせと考えることが
できる。そこで、基本溶接継手6の固有ひずみ分布を溶
接構造物5の各溶接部に重ねあわせて分布させることに
より、溶接構造物5での拘束状態を考慮した上での残留
応力分布を求めることができる。
【0037】図6は、パイプ構造の溶接構造物7であ
る。2枚のフランジ板、2本の円筒と、1本の直角に曲
がった円筒から構成される。溶接構造物7を製作する
際、2枚のフランジ板の位置関係が変化しないように周
囲を拘束した状態で溶接する必要がある。そこで、溶接
構造物7についても、基本溶接継手8と基本溶接継手9
の組合せとして考え、基本溶接継手8、基本溶接継手9
のそれぞれの固有ひずみ分布を溶接構造物7の各溶接部
に分布させることにより、残留応力分布を求めることが
できる。
【0038】図7には、T型溶接継手の溶接の手順の二
つの例(手順A、手順B)を示す。溶接による残留応力
と変形は、その溶接順序によって異なる。そのため、溶
接順序の異なるものは形状、寸法、溶接条件が同じであ
っても、別の溶接継手として取り扱う。また、溶接途
中、すなわち溶接順序A−1、A−2、A−3または、
B−1、B−2、B−3での固有ひずみ分布を求めてお
けば溶接構造物に適用する際に溶接順序の違いによる残
留応力及び変形を求めることができる。
【0039】図8は、T型溶接継手3を基本溶接継手と
する溶接構造物10である。この溶接構造物10は溶接
構造物1と同様の寸法で、同様の条件(溶接電流、電
圧、パス、層盛り)で製作される。溶接箇所4か所を1
箇所ずつ順に溶接順序a、b、c、dの順番で、それぞ
れの溶接部は図7に示す溶接順序Bで、溶接する。基本
溶接継手としての固有ひずみ分布を、手順Bで作った基
本溶接継手に前述の様な操作を実施して求める。最初の
溶接箇所aが溶接された後、その溶接箇所aの周辺に基
本溶接継手の固有ひずみ分布を与える。この状態で、溶
接構造物1の最初の溶接箇所aのみが溶接された後の残
留応力分布、変形を求めることができる。この状態を初
期状態として、2番目の溶接箇所bにもう1枚のウェブ
板が付加された状態で次の固有ひずみ分布を与える。以
下、同様にして3番目、4番目の溶接箇所に対応する箇
所に固有ひずみ分布を与え、順次線形解析することによ
り、溶接順序を考慮した状態での、溶接構造物10の残
留応力、変形を求めることができる。
【0040】図9は、T型溶接継手3を基本溶接継手と
する溶接構造物11である。この溶接構造物11は、仮
止めの状態までは溶接構造物1と同様の寸法、同様の手
順で製作される。その後、4か所の溶接箇所をまず、図
7の溶接順序B−1にて同時に溶接する。4か所の溶接
が終了した後、同様に4か所の溶接箇所を図7の溶接順
序B−2にて同時に溶接する。以下、同様に溶接順序B
−3、B−4と溶接する。この溶接構造物11に対して
も、まず、溶接B−1が終了した時点での固有ひずみ分
布を、基本溶接継手に対応するように分布させ、線形解
析することにより溶接B−1が終了した時点での残留応
力、変形を求める。以下に、同様にして、溶接B−2、
B−3、B−4が終了した時点での残留応力、変形を溶
接肉盛が順次大きくなっていくとして求めることができ
る。
【0041】図10は、固有ひずみ及び固有変形のデー
タベース化の具体的な一例である。種々の溶接構造物を
基本的な形状の溶接継手の集合体とみなし、それぞれの
基本的な形状の溶接継手に対して、その形状、拘束条
件、溶接条件、固有ひずみ、固有変形をデータベースと
して保存する。そのデータベースから、実際の溶接構造
物に適した基本的な形状の溶接継手を選定し、実際の溶
接構造物に固有ひずみ分布、固有変形分布を与えること
により、実際の溶接構造物に対する弾性応答マトリクス
を用いて残留応力及び変形を求める。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、現在の大形計算機の能
力及び固有ひずみによる測定理論からすれば不可能であ
った溶接構造物の残留応力及び変形を簡易的に、かつ、
精度良く求めることができる。
【0043】本発明の考え方を述べると、溶接構造物全
体を基本的溶接構造物に仮想的に分けたとき、全体の固
有歪分布は基本溶接構造物の固有歪分布の和として計算
できるので、よって、基本溶接構造物の固有歪を測定に
よって求めておけば、全体の固有歪はその和として計算
でき、その計算結果から全体の残留応力を計算できる、
ということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の残留応力及び変形の予測法の手順を示
す図。
【図2】実際に溶接構造物の残留応力を求めるための手
順を示す図。
【図3】図2の溶接構造物1とウェブの寸法のみが異な
る溶接構造物の残留応力を求めるための手順を示す図。
【図4】材料の種類が異なる際の固有ひずみを決定する
手順を示す図。
【図5】容器型の溶接構造物とその構造物を構成する基
本溶接継手の図。
【図6】パイプ構造の溶接構造物とその構造物を構成す
る基本溶接継手の図。
【図7】T型溶接継手の溶接順序の例を示す図。
【図8】溶接順序を考慮した残留応力、変形を求める手
順を示す図。
【図9】溶接順序を考慮した残留応力、変形を求める手
順を示す図。
【図10】固有ひずみ及び固有変形のデータベース化の
具体的な一例を示す図。
【符号の説明】
1…溶接構造物 2…溶接構造物1を仮想的に分割したT型溶接継手 3…固有ひずみを求めるための基本溶接継手となるT型
溶接継手 4…固有ひずみ分布の一例 5…溶接構造物 6…基本溶接継手 7…溶接構造物 8…基本溶接継手 9…基本溶接継
手 10…溶接構造物 11…溶接構造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本邦夫 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 坂田信二 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 上田幸雄 茨木市美穂ケ丘11−1 大阪大学 溶接工 学研究所内 (72)発明者 村川英一 茨木市美穂ケ丘11−1 大阪大学 溶接工 学研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接構造物を基本的な形状の溶接継手の
    集合体として、溶接構造物内の仮想的に分割した各々の
    基本的な形状の溶接継手に対応する固有ひずみと固有変
    形をそれぞれ溶接順序の順にその時点での構造体に与え
    ることにより、溶接構造物全体の残留応力分布と変形を
    推定することを特徴とする残留応力と変形の予測法。
  2. 【請求項2】 固有ひずみ及び固有変形を有する構造物
    に対して、その構造物への加工によって発生する固有ひ
    ずみと固有変形を加工の順序にしたがって与え、最終的
    な構造物の残留応力分布と変形を推定することを特徴と
    する残留応力と変形の予測法。
  3. 【請求項3】 基本的な形状の溶接継手の固有ひずみ及
    び固有変形に対して、寸法、形状、溶接条件をパラメー
    タ化することにより、類似の基本的な形状の溶接継手に
    適用することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    残留応力と変形の予測法。
  4. 【請求項4】 材料の力学的挙動を逐一追跡していく熱
    粘弾塑性解析により求めた残留応力、変形の値から逆算
    することにより求めた固有ひずみ及び固有変形を用いる
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の残留応力
    と変形の予測法。
  5. 【請求項5】 基本的な形状の溶接継手に対して、その
    形状、拘束条件、溶接条件、材質、固有ひずみ値分布、
    固有変形値分布をデータベース化することを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の残留応力と変形の予測法。
JP33466092A 1992-12-15 1992-12-15 残留応力と変形の予測法 Pending JPH06180271A (ja)

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