JP2013182447A - 固有変形データの計算システム、計算プログラム及び計算方法 - Google Patents

固有変形データの計算システム、計算プログラム及び計算方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的簡単で容易に、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを算出する。
【解決手段】固有変形データの計算システムは、第1、第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用し溶接変形を算出するFEM解析手段と、前記溶接変形に基づき計測点ペアの位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出手段と、該算出手段で算出した計測点ペアの位置データの変化量と固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスを算出する固有変形応答マトリクス算出手段と、第1、第2部材の計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出手段と、該算出手段で算出した計測点ペアの位置データの変化量と固有変形応答マトリクスとから固有変形データを算出する固有変形データ算出手段とを有する。
【選択図】図16

Description

本発明は、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる各溶接線についての固有変形データの計算システム、計算プログラム及び計算方法に関し、コンピュータを用いた計算の技術分野に属する。
複数の板状部材を溶接して構造体を製造する場合、溶接時の熱により該構造体が全体としてどのように変形するかを予め予測しておくことが重要であり、これをコンピュータを用いて行おうとする試みがなされている。コンピュータを用いて構造体の溶接変形を予測するものとして、構造体の各溶接線についての固有変形データを利用し、有限要素法を用いた解析(FEM解析)によって構造体の溶接変形を予測するものが知られている。
固有変形データについては、例えば日本溶接協会から溶接継手の溶接タイプや被溶接部材の材料物性等に応じた固有変形データを収録したデータベースが公開されている。また、例えば特許文献1には、溶接部近傍に仮想的に設けた基準図形について、所定溶接条件下で溶接前後の実測座標に基づいて固有変形の理論値を算出し、この理論値に基づいて算出した理論変形と実測座標を用いて算出した実測変形との差が所定範囲内のときに、固有変形の理論値を溶接条件での固有変形データとする方法が開示されている。
ここで、固有変形について、溶接タイプが突合せ溶接である場合を例に説明する。
複数の板状部材を溶接する際には溶接時の熱で溶接線近傍の所定の領域に固有ひずみが生じることとなるが、固有変形とは、この固有ひずみを固有ひずみが生じる領域で積分したものであり、固有縦収縮、固有横収縮、固有縦曲げ、固有横曲げの4つの基本変形によって規定することができる。
図1は、突合せ溶接時の固有変形を説明するための説明図であり、図1では、板厚t1の第1部材M11と板厚t2の第2部材M12とを突合せ溶接によって接合した状態を示している。なお、図1では、溶接線方向をX方向とし、溶接線方向と直交する幅方向をY方向とし、板厚方向をZ方向として表している。
図1に示すように、第1部材M11と第2部材M12の端面どうしを突き合わせて接合する突合せ溶接では、第1部材M11と第2部材M12の間に溶接線L11が形成されるとともに溶接線L11及び溶接線L11近傍の所定の領域(固有ひずみ領域)に固有ひずみが生じ、この固有ひずみにおいては、溶接線方向の固有ひずみ成分εxと溶接線方向と直交する幅方向の固有ひずみ成分εyとが支配的である。
固有ひずみ成分εxの溶接線方向と直交する断面(yz断面)における分布をεx(y,z)と表し、固有ひずみ成分εyの溶接線方向と直交する断面(yz断面)における分布をεy(y,z)と表すと、固有ひずみ領域では、εx(y,z)とεy(y,z)はそれぞれ、図1に示すような幅方向及び板厚方向のひずみ分布を有している。
一般には、固有ひずみ成分の分布εx(y,z)とεy(y,z)は、幅方向において第1部材M11と第2部材M12の溶接線L11で大きく溶接線L11から離れるにつれて小さくなるような分布を示すとともに、板厚方向において溶接時の熱が入力される側(図1では上側)で大きく反対側(図1では下側)に向かうにつれて小さくなるような分布を示す。
固有ひずみを固有ひずみ領域で積分した固有変形は、固有縦収縮、固有横収縮、固有縦曲げ、固有横曲げの4つの基本変形によって規定することができ、第1部材M11の固有縦収縮量Dx、固有横収縮量Dy、固有縦曲げ量Rx、固有横曲げ量Ryはそれぞれ以下の数1から数4で示す式で定義され、第2部材M12の固有縦収縮量Dx、固有横収縮量Dy、固有縦曲げ量Rx、固有横曲げ量Ryはそれぞれ以下の数5から数8で示す式で定義される。
なお、固有ひずみ領域は、溶接線L11の中心をゼロとして第1部材M11側にb1の大きさを有するとともに第2部材M12側にb2の大きさを有するものとし、第1部材M11の固有ひずみ成分の分布をεx(y,z)、εy(y,z)とし、第2部材M12の固有ひずみ成分の分布をεx(y,z)、εy(y,z)として表している。
図2は、突合せ溶接時の固有変形を模式的に示した図であり、図2では、固有変形ひずみ領域の溶接線方向に単位長さを有する部分を部分的に取り出して示している。第1部材M11と第2部材M12を溶接線L11で突合せ溶接によって接合する場合、図2(a)に定性的に示すように、固有ひずみ領域において溶接線方向に収縮されることとなるが、固有縦収縮とは、この溶接線方向の収縮を表すものであり、第1部材M11の固有縦収縮量Dxは前記数1で示す式によって定義され、第2部材M12の固有縦収縮量Dxは前記数5で示す式によって定義される。
また、第1部材M11と第2部材M12の突合せ溶接時には、図2(b)に示すように、固有ひずみ領域において溶接線方向と直交する幅方向に収縮されることとなるが、固有横収縮とは、この溶接線方向と直交する幅方向の収縮をいうものであり、第1部材M11の固有横収縮量Dyは前記数2で示す式によって定義され、第2部材M12の固有横収縮量Dyは前記数6で示す式によって定義される。
さらに、第1部材M11と第2部材M12の突合せ溶接時には、図2(c)に定性的に示すように、固有ひずみ領域において溶接線方向に湾曲して変形されることとなるが、固有縦曲げとは、この溶接線方向の曲げを表すものであり、第1部材M11の固有縦曲げ量Rxは前記数3で示す式によって定義され、第2部材M12の固有縦曲げ量Rxは前記数7で示す式によって定義される。
また、第1部材M11と第2部材M12の突合せ溶接時には、図2(d)に示すように、固有ひずみ領域において溶接線方向と直交する方向に湾曲して変形されることとなるが、固有横曲げとは、この溶接線方向と直交する方向の曲げをいうものであり、第1部材M11の固有横曲げ量Ryは前記数4で示す式によって定義され、第2部材M12の固有横曲げ量Ryは前記数8で示す式によって定義される。
なお、片側隅肉溶接、両側隅肉溶接及び重ね隅肉溶接などの他の溶接タイプにおける固有変形についても、突合せ溶接と同様に、固有縦収縮、固有横収縮、固有縦曲げ、固有横曲げの4つの基本変形によって規定することができる。
特開2005−201677号公報
前記のように、構造体の各溶接線についての固有変形データを利用して、FEM解析によって構造体の溶接変形の予測を行うことが可能であるが、前記データベースに収録された既存の固有変形データは、特定の条件に限られるもので、今回、溶接変形を予測しようとする構造体の各溶接線についてそのまま適用できる場合は少なく、構造体の各溶接線に応じて固有変形データを作成することが必要となる。また、種々の溶接継手に対して事前に各溶接線についての固有変形データを作成しておくことで、溶接変形の予測を有効に行うことができるものと考えられる。
そこで、本発明は、比較的簡単で容易に、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを算出することができる固有変形データの計算システム、計算プログラム及び計算方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる固有変形データの計算システムであって、互いに溶接される第1部材と第2部材に設定された互いに離間する計測点ペアを複数取得する計測点ペア取得手段と、該計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように前記第1部材と前記第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成し、該モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値を適用し、弾性FEM解析によって前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出するFEM解析手段と、該FEM解析手段の解析によって得られた前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出手段と、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出する固有変形応答マトリクス算出手段と、前記第1部材と前記第2部材について前記計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置と溶接後に実測された位置とを取得する計測点位置取得手段と、該計測点位置取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出手段と、該第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する固有変形データ算出手段とを有している、ことを特徴とする。
(式1)
[G]{A0}={ΔD0}
(式2)
[G]{A}={ΔD}
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記FEM解析手段は、前記解析モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値として第j行の成分が1であり他の成分が0である固有変形データを適用し、弾性FEM解析によって前記固有変形データの所定値における前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出し、前記第1の位置データ変化量算出手段は、前記FEM解析手段の解析によって得られた前記固有変形データの所定値における前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、前記固有変形データの所定値における各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出し、前記固有変形応答マトリクス算出手段は、前記固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した前記固有変形データの所定値における各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]の第j列の成分を算出する、ことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出し、前記固有変形応答マトリクス算出手段は、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、前記第2の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出し、前記固有変形データ算出手段は、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、ことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項2に記載の発明において、前記第1の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出し、前記固有変形応答マトリクス算出手段は、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、前記第2の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出し、前記固有変形データ算出手段は、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、ことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記固有変形データ算出手段は、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データとして、前記第1部材と前記第2部材の溶接線方向と直交する少なくとも1つの断面における前記第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と前記第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量を算出する、ことを特徴とする。
さらに、請求項6に記載の発明は、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる固有変形データの計算プログラムであって、コンピュータを、互いに溶接される第1部材と第2部材に設定された互いに離間する計測点ペアを複数取得する計測点ペア取得手段、該計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように前記第1部材と前記第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成し、該モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値を適用し、弾性FEM解析によって前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出するFEM解析手段、該FEM解析手段の解析によって得られた前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出手段、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出する固有変形応答マトリクス算出手段、前記第1部材と前記第2部材について前記計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置と溶接後に実測された位置とを取得する計測点位置取得手段、該計測点位置取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出手段、及び、該第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する固有変形データ算出手段として機能させる、ことを特徴とする。
(式1)
[G]{A0}={ΔD0}
(式2)
[G]{A}={ΔD}
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、コンピュータを、前記第1の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出するように機能させ、前記固有変形応答マトリクス算出手段として機能させるときは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出するように機能させ、前記第2の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出するように機能させ、前記固有変形データ算出手段として機能させるときは、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出するように機能させる、ことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、コンピュータを、前記第1の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出するように機能させ、前記固有変形応答マトリクス算出手段として機能させるときは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出するように機能させ、前記第2の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出するように機能させ、前記固有変形データ算出手段として機能させるときは、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出するように機能させる、ことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、コンピュータとそのコンピュータで稼働するプログラムとで実行され、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる固有変形データの計算方法であって、計測点ペア取得手段が、互いに溶接される第1部材と第2部材に設定された互いに離間する計測点ペアを複数取得する計測点ペア取得ステップを有し、FEM解析手段が、該計測点ペア取得ステップで取得した各計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように前記第1部材と前記第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成し、該モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値を適用し、弾性FEM解析によって前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出するFEM解析ステップを有し、第1の位置データ変化量算出手段が、該FEM解析ステップの解析によって得られた前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出ステップを有し、固有変形応答マトリクス算出手段が、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出する固有変形応答マトリクス算出ステップを有し、計測点位置取得手段が、前記第1部材と前記第2部材について前記計測点ペア取得ステップで取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置と溶接後に実測された位置とを取得する計測点位置取得ステップを有し、第2の位置データ変化量算出手段が、前記計測点位置取得ステップで取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出ステップを有し、固有変形データ算出手段が、前記第2の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出ステップで算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する固有変形データ算出ステップを有している、ことを特徴とする。
(式1)
[G]{A0}={ΔD0}
(式2)
[G]{A}={ΔD}
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記第1の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出し、前記固有変形応答マトリクス算出ステップでは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、前記第2の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出し、前記固有変形データ算出ステップでは、前記第2の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出ステップで算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、ことを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記第1の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出し、前記固有変形応答マトリクス算出ステップでは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、前記第2の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出し、前記固有変形データ算出ステップでは、前記第2の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出ステップで算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、ことを特徴とする。
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
まず、本願の請求項1に記載の発明によれば、第1部材と第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスが算出されることとなる。そして、第1部材と第2部材について各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と固有変形応答マトリクスとから、固有変形データが算出されることとなる。これにより、比較的簡単で容易に、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを算出することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、固有変形データの所定値として第j行の成分が1であり他の成分が0である固有変形データを適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と前記固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスの第j列の成分が算出されるので、固有変形応答マトリクスを比較的容易に算出することができ、前記効果を具体的に得ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量が算出され、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量が算出されることにより、前記効果を具体的に実現することができる。第1部材と第2部材において各計測点ペアの溶接前後の位置を測定する際に、溶接前後において異なる座標系を用いることができ、各計測点ペアの溶接前後の位置の測定を容易に行うことができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量が算出され、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量が算出されることにより、前記効果を具体的に実現することができる。1つの計測点ペアから各座標軸における相対座標の変化量を算出することができるので、各計測点ペアの距離の変化量が算出される場合に比して、固有変形データの算出に用いる計測点ペアのペア数を少なくすることができ、固有変形データの算出を容易に行うことができる。
そして、請求項5に記載の発明によれば、第1部材と第2部材の固有変形データとして、第1部材と第2部材の溶接線方向と直交する少なくとも1つの断面における第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量が算出されるので、第1部材と第2部材の材料物性が異なる場合においても少なくとも1つの断面について第1部材と第2部材のそれぞれの固有変形データを算出することができ、種々の固有変形データを取り揃えることができる。複数の断面における固有変形データを算出した場合は、1つの断面における固有変形データを算出した場合に比して、溶接線方向に固有変形データを精度良く算出することができる。構造体の溶接変形をFEM解析で予測する際、1つの断面における固有変形データを算出した場合は溶接線方向に均一な固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われ、複数の断面における固有変形データを算出した場合は溶接線方向に複数の断面間の固有変形データはそれぞれ線形補間法を用いて算出された固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われるので、複数の断面における固有変形データを用いて構造体の溶接変形をFEM解析で予測する際に、構造体の溶接変形を精度良く予測することができる。
また、請求項6、7、8に記載の固有変形データの計算プログラムに関する発明によれば、これをコンピュータで実行することにより、固有変形データの計算システムに関する請求項1、3、4に記載の発明と同様の効果を奏する。
さらに、請求項9、10、11に記載の固有変形データの計算方法に関する発明によれば、固有変形データの計算システムに関する請求項1、3、4に記載の発明と同様の効果を奏する。
突合せ溶接時の固有変形を説明するための説明図である。 固有ひずみ領域のみを切出した突合せ溶接時の固有変形を模式的に示した図である。 複数の板状部材が溶接されてなる構造体モデルを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。 図4に示す記憶装置の構成を示す図である。 溶接継手の図形データを示す図である。 溶接継手の第1の条件データを示す図である。 溶接継手の計測点設定データを示す図である。 溶接継手の計測点ペア設定データを示す図である。 溶接継手の第2の条件データを示す図である。 溶接継手の溶接前の計測点座標データを示す図である。 溶接継手の溶接前の計測点ペアデータを示す図である。 溶接継手の溶接後の計測点座標データを示す図である。 溶接継手の溶接後の計測点ペアデータを示す図である。 固有変形データを示す図である。 固有変形データを計算する動作を示すフローチャートである。 固有変形応答マトリクスを算出する動作を示すフローチャートである。 溶接継手の条件を設定する画面を示す図である。 溶接継手の計測点を設定する画面を示す図である。 溶接継手の計測点ペアを設定する画面を示す図である。 溶接継手の溶接前の計測点座標を入力する画面を示す図である。 溶接継手の溶接後の計測点座標を入力する画面を示す図である。 固有変形データの計算結果画面を示す図である。 断面設定がある場合の溶接継手の第2の条件データを示す図である。 断面設定がある場合の固有変形データを示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける溶接継手の溶接前の計測点ペアデータを示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける溶接継手の溶接後の計測点ペアデータを示す図である。 前記システムにおいて固有変形データを計算する動作を示すフローチャートである。 前記システムにおいて固有変形応答マトリクスを算出する動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図3は、複数の板状部材が溶接されてなる構造体モデルを示す図である。図3に示す構造体モデル1は、第1部材M1と第2部材M2を溶接線L1で溶接し、第1部材M1と第3部材M3を溶接線L2で溶接し、第1部材M1と第4部材M4を溶接線L3で溶接するなど、複数の板状部材を溶接して製造するように設計されている。
本実施形態は、図3に示すような複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる各溶接線についての固有変形データを計算するものであり、溶接継手を構成する互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを計算するものである。ここで、前記板状部材には、平面状のものの他、曲面状、球面状等のものも含まれる。
本願発明者等は、種々の試験研究を重ねた結果、突合せ溶接、片側隅肉溶接、両側隅肉溶接及び重ね隅肉溶接などの何れの溶接タイプにおいても、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データと、第1部材と第2部材に設定された互いに離間する複数の計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量とが、第1部材と第2部材の固有変形データを{A}とし、各計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量を{ΔD}とし、固有変形応答マトリクスを[G]とすると、以下の数9で示す式で表されることを見出した。
第1部材と第2部材の固有変形データは、第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量とによって規定され、第1部材の固有縦収縮量Dx、固有横収縮量Dy、固有縦曲げ量Rx、固有横曲げ量Ryと第2部材の固有縦収縮量Dx、固有横収縮量Dy、固有縦曲げ量Rx、固有横曲げ量RyをそれぞれA、A、A、A、A、A、A、Aとして表示すると、第1部材と第2部材の固有変形データ{A}は、以下の数10で示す式で表すことできる。
また、第1部材と第2部材に設定する計測点ペアのペア数をm個とし、各計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量をそれぞれΔD、ΔD、・・・、ΔDとして表示すると、各計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量{ΔD}は、以下の数11で示す式で表すことができ、固有変形応答マトリクス[G]は、m行q列のマトリクスとして以下の数12で示す式で表すことができる。なお、計測点ペアのペア数mは、固有変形データの成分の数qと同一若しくはそれ以上に設定される。
前記数10〜12で示す式を用いると、前記数9で示す式は、以下の数13で示す式で表すことができる。
かかる知見に基づいて、本実施形態では、第1部材と第2部材の固有変形データを計算するに際し、先ず、第1部材と第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用して既知の弾性FEM解析によって第1部材と第2部材の溶接変形を算出し、算出した第1部材と第2部材の溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出し、算出した各計測点ペアについての溶接変形前後における位置データの変化量と前記固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスを算出する。
各計測点ペアについての溶接変形前後における位置データの変化量は、該位置データの変化量を{ΔD0}とし、第1部材と第2部材の固有変形データの所定値を{A0}とし、固有変形応答マトリクスを[G]とすると、以下の数14で示す式で表すことができ、かかる式に従って、固有変形データの所定値{A0}と各計測点ペアについての溶接変形前後における位置データの変化量{ΔD0}とから固有変形応答マトリクス[G]を算出する。
次に、第1部材と第2部材を実際に溶接させた溶接変形に基づき、第1部材と第2部材について前記各計測点ペアと同位置に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出し、算出した各計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量と算出した固有変形応答マトリクスとから第1部材と第2部材の固有変形データを算出する。
各計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量は、該位置データの変化量を{ΔD}とすると、第1部材と第2部材の固有変形データ{A}と固有変形応答マトリクス[G]とを用いて前記数9で示す式で表され、かかる式に従って、算出した各計測点ペアについての溶接前後における位置データの変化量{ΔD}と算出した固有変形応答マトリクス[G]とから第1部材と第2部材の固有変形データ{A}を算出する。
本実施形態では、固有変形データを計算するために、第1部材と第2部材に各計測点ペアを設定し、第1部材と第2部材の弾性FEM解析による溶接変形前後又は実際の溶接前後における各計測点ペアの位置データの変化量を算出するが、この各計測点ペアについての位置データとしては、各計測点ペアについての距離や相対座標が用いられる。
(第1の実施形態)
各計測点ペアについての位置データとして各計測点ペアの距離を用いた場合の固有変形データの計算について説明する。
先ず、固有変形データを計算する溶接継手について、該溶接継手を構成する第1部材と第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成する。この解析モデルは、第1部材と第2部材に設定した複数の互いに離間する計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように作成する。
そして、前記解析モデルに、固有変形データの所定値として第j行の成分が「1」であり他の成分が「0」である固有変形データを適用し、既知の弾性FEM解析を用いて前記固有変形データの所定値における第1部材と第2部材の溶接変形を算出し、算出した前記固有変形データの所定値における第1部材と第2部材の溶接変形に基づき、各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出する。
第j行の成分が「1」であり他の成分が「0」である固有変形データの所定値{A0}は、以下の数15で示す式で表すことができ、固有変形データの所定値を適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき算出される各計測点ペアの溶接変形前後における距離の変化量をそれぞれΔD0、ΔD0、・・・、ΔD0として表示すると、各計測点ペアの溶接変形前後における距離の変化量{ΔD0}は、以下の数16で示す式で表すことができる。以下の数15及び数16で示す式を用い、固有変形応答マトリクス[G]についても成分で表示すると、前記数14で示す式は、以下の数17で示す式で表すことができる。なお、計測点ペアのペア数mは、固有変形データの成分の数qと同一若しくはそれ以上に設定される。
前記数17で示す式はまた、以下の数18で示す式で表すことができ、固有変形データの所定値として第j行の成分が「1」であり他の成分が「0」である固有変形データを適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前後における距離の変化量から、固有変形応答マトリクスの第j列を算出する。
このようにして固有変形応答マトリクスの第j行が算出されることを、固有変形データの成分の数q、すなわち固有変形応答マトリクスの列数qに対応する回数繰り返すことで、固有変形応答マトリクスの全ての成分を算出する。
固有変形応答マトリクスの算出において、各計測点ペアについての距離の変化量{ΔD0}は、第1の計測点ペアの距離の変化量を第1行の成分とし、第2の計測点ペアの距離の変化量を第2行の成分とし、第iの計測点ペアの距離の変化量を第i行の成分とするようにして行われる。
また、各計測点ペアの溶接変形前後における距離の変化量について、第1の計測点ペアが第1計測点Q1と第2計測点Q2とから構成され、弾性FEM解析による溶接変形前の第1計測点Q1の位置を(Q1x,Q1y,Q1z)とし第2計測点Q2の位置を(Q2x,Q2y,Q2z)とすると、第1の計測点ペアの溶接変形前の距離は、該距離をD0とすると、以下の数19で示す式を用いて算出することができる。
一方、弾性FEM解析による溶接変形後の第1計測点Q1の位置を(Q1x’,Q1y’,Q1z’)とし第2計測点Q2の位置を(Q2x’,Q2y’,Q2z’)とすると、第1の計測点ペアの溶接変形後の距離は、該距離をDとすると、以下の数20で示す式を用いて算出することができる。
そして、第1の計測点ペアの弾性FEM解析による溶接変形前後の距離の変化量は、該距離の変化量をΔD0とすると、以下の数21で示す式を用いて算出することができる。なお、その他の計測点ペアの距離の変化量についても、弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前後の距離の変化量を算出することができる。
固有変形応答マトリクスを算出すると次に、第1部材と第2部材を実際に溶接させた溶接変形に基づき、第1部材と第2部材について前記各計測点ペアと同位置に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量を算出する。
第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から算出される各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量をそれぞれΔD、ΔD、・・・、ΔDとして表示すると、各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量{ΔD}は、前記数11で示す式で表すことができ、固有変形データ{A}は、前記数10で示す式で表すことができるので、算出した固有変形応答マトリクス[G]を用いて、前記数9で示す式に従って、具体的には前記数13で示す式に従って、既知の算出方法によって固有変形データ{A}を算出する。
第1部材と第2部材に設定する計測点ペアのペア数mは、固有変形データの成分の数qと同一若しくはそれ以上に設定され、計測点ペアのペア数mが固有変形データの成分の数qよりも多く設定される場合は、既知の最小二乗法を用いて固有変形データの各成分の算出が行われる。
固有変形データの算出において、第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から算出される各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量{ΔD}は、第1の計測点ペアの距離の変化量を第1行の成分とし、第2の計測点ペアの距離の変化量を第2行の成分とし、第iの計測点ペアの距離の変化量を第i行の成分とするようにして行われる。
また、各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量について、第1の計測点ペアが第1計測点P1と第2計測点P2とから構成され、第1部材と第2部材の溶接前に実測された第1計測点P1の位置を(P1x,P1y,P1z)とし第2計測点P2の位置を(P2x,P2y,P2z)とすると、第1の計測点ペアの溶接前の距離は、該距離をd0とすると、以下の数22で示す式を用いて算出することができる。
一方、溶接後に実測された第1計測点P1の位置を(P1x’,P1y’,P1z’)とし第2計測点P2の位置を(P2x’,P2y’,P2z’)とすると、第1の計測点ペアの溶接後の距離は、該距離をdとすると、以下の数23で示す式を用いて算出することができる。
そして、第1の計測点ペアの溶接前後の距離の変化量は、該距離の変化量をΔDとすると、以下の数23で示す式を用いて算出することができる。なお、その他の計測点ペアの距離の変化量についても、各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出することができる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る固有変形データの計算システムについて具体的に説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。図4に示すように、本発明の第1の実施形態に係るシステムは、コンピュータ10を中心として構成され、コンピュータ10は、中央処理装置11と、固有変形データの計算に必要なデータなどを入力するためのキーボートなどの入力装置12と、固有変形データの計算結果などを表示するためのディスプレイなどの表示装置13と、固有変形データを計算するためのプログラムなどを記憶するメモリなどの記憶装置14と、固有変形データの計算結果などを出力するプリンタなどの出力装置15とを有し、固有変形データを保存するための固有変形データベース20に接続されている。
中央処理装置11は、入力装置12、表示装置13及び出力装置15を制御するとともに、記憶装置14及び固有変形データベース20にアクセス可能に構成され、入力装置12を介して入力された情報と記憶装置14に記録されているプログラムやデータを用いて、固有変形データの計算をすると共に、計算された固有変形データを固有変形データベース20に保存するように構成されている。
図5は、図4に示す記憶装置の構成を示す図である。図5に示すように、記憶装置14は、プログラム記憶部とデータ記憶部を有しており、プログラム記憶部には、溶接継手を構成する第1部材と第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成するための解析モデル作成プログラムと、解析モデルに固有変形データを適用して弾性FEM解析によって溶接変形を算出するための既知のFEM解析プログラムと、第1部材と第2部材の固有変形データを計算するための固有変形データ計算プログラムとが記憶されている。
FEM解析プログラムは、第1部材と第2部材の固有変形データとして第1部材と第2部材の溶接線方向と直交する1つの断面における第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量が算出される場合は溶接線方向に均一な固有変形データを有するものとしてFEM解析を行い、第1部材と第2部材の溶接線方向と直交する複数の断面における第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量が算出される場合は溶接線方向に複数の断面間の固有変形データはそれぞれ線形補間法を用いて算出された固有変形データを有するものとしてFEM解析を行うようになっている。
固有変形データ計算プログラムは、第1部材と第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用した弾性FEM解析によって得られた第1部材と第2部材の溶接変形に基づき、第1部材と第2部材に設定した各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出し、各計測点ペアの溶接変形前後における距離の変化量と前記固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスを算出する固有変形応答マトリクス算出プログラムと、第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前の距離と溶接後の距離の変化量を算出し、各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量と固有変形応答マトリクスとから第1部材と第2部材の固有変形データを算出する固有変形データ算出プログラムとを有している。
一方、データ記憶部には、溶接継手の条件、具体的には溶接継手を構成する互いに溶接される第1部材と第2部材の図形データ、溶接線番号、溶接方法、溶接タイプ、溶接条件及び第1部材と第2部材の材料物性が記録されるとともに、固有変形データを複数の断面について計算する際に断面位置が記録される条件データファイルと、第1部材と第2部材に設定する計測点が記録される計測点設定データテーブルと、第1部材と第2部材に設定する互いに離間する計測点ペアが記録される計測点ペア設定データテーブルとが備えられている。
データ記憶部にはまた、第1部材と第2部材に前記計測点と同位置に付された計測点の溶接前に実測された位置が記録される計測点座標(溶接前)データテーブルと、第1部材と第2部材において前記計測点ペアと同様に設定された計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく距離が記録される計測点ペア(溶接前)データテーブルと、第1部材と第2部材に付された計測点の溶接後に実測された位置が記録される計測点座標(溶接後)データテーブルと、第1部材と第2部材において前記計測点ペアと同様に設定された計測点ペアの溶接後に実測された位置に基づく距離が記録される計測点ペア(溶接後)データテーブルとが備えられている。
図6は、溶接継手の図形データを示す図であり、図6(a)は、溶接継手の平面図、図6(b)は、図6(a)におけるY6b−Y6b線に沿った断面図である。図6に示すように、条件データファイルには、溶接継手を構成する第1部材M1と第2部材M2の図形データが登録される。本実施形態では、図6に示すように、板厚が異なる第1部材M1と第2部材M2とを突合せ溶接によって接合し、第1部材M1と第2部材M2の間に溶接線L1が形成される第1部材M1と第2部材M2の固有変形データの計算について説明する。
図6では、溶接線方向をX方向とし、溶接線方向と直交する第1部材M1と第2部材M2の幅方向をY方向とし、溶接線方向と直交する第1部材M1と第2部材M2の板厚方向をZ方向として表している。また、図6では、第1部材M1と第2部材M2に設定する各計測点について計測点IDをそれぞれ示し、図6(a)では、第1部材M1と第2部材M2の裏面に設定する各計測点については括弧に入れて示している。
図7は、溶接継手の第1の条件データを示す図である。溶接継手について、溶接線番号、溶接方法、溶接タイプ、溶接条件及び第1部材と第2部材の材料物性が入力装置12を介して入力され、図7に示すように、条件データファイルの条件データテーブル1に、溶接線番号、溶接方法、溶接タイプ、溶接条件として電流、電圧、速度及び熱効率、並びに第1部材及び第2部材の材料物性としてそれぞれ材料、長さ、幅、板厚、ヤング率及びポアソン比が記録される。
図8は、溶接継手の計測点設定データを示す図である。溶接継手を構成する第1部材と第2部材に設定する計測点が入力装置12を介して入力され、図8に示すように、計測点設定データテーブルに、各計測点についてそれぞれ、計測点ID、計測点のX座標、計測点のY座標、計測点のZ座標、及び属性として表面又は裏面が記録される。本実施形態では、計測点として45個の計測点が設定される。なお、計測点の座標は、図6に示すXYZ座標系において計測点ID「8」を付した位置近傍を基準として表している。
図9は、溶接継手の計測点ペア設定データを示す図である。溶接継手を構成する第1部材と第2部材に設定する計測点ペアが入力装置12を介して入力され、図9に示すように、計測点ペア設定データテーブルに、各計測点ペアについてそれぞれ、第1計測点の計測点ID及び属性として表面又は裏面と、第2計測点の計測点ID及び属性として表面又は裏面とが記録される。第1計測点及び第2計測点は、計測点設定データテーブルに記録した異なる計測点が設定される。本実施形態では、計測点ペアのペア数は、4つの断面について第1部材と第2部材の固有変形データを計算することができるように少なくとも32個以上設定される。
また、図10は、溶接継手の第2の条件データを示す図である。本実施形態では、溶接継手を構成する第1部材と第2部材の固有変形データとして、溶接線方向と直交する少なくとも1つの断面について、具体的には4つまでの断面について第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量を算出することができるようになっている。
断面設定の有無が入力装置12を介して入力され、図10に示すように、条件データファイルの条件データテーブル2には、断面設定の有無が記録される。1つの断面について固有変形データを算出する場合には断面設定として「無」が設定され、複数の断面について固有変形データを算出する場合には断面設定として「有」が設定される。後述する図24に示すように、断面設定として「有」が設定される場合は複数の断面について断面位置が記録される。
前述したように、解析モデルに固有変形データの所定値を適用して弾性FEM解析によって溶接変形を算出する際には、固有変形データの所定値として1つの断面における固有変形データを算出する場合は溶接線方向に均一な固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われ、固有変形データの所定値として複数の断面における固有変形データを算出する場合は溶接線方向に複数の断面間の固有変形データはそれぞれ線形補間法を用いて算出された固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われる。
図11は、溶接継手の溶接前の計測点座標データを示す図である。本実施形態では、固有変形データを計算するために、第1部材と第2部材の図形データと同一形状を有する実際の第1部材と第2部材についても溶接して溶接変形させる。前記図形データに設定した各計測点と同位置に第1部材と第2部材に計測点が付され、第1部材と第2部材に付された計測点の溶接前に実測された位置が入力装置12を介して入力され、図11に示すように、計測点座標(溶接前)データテーブルに、各計測点について溶接前に実測された計測点の座標が記録される。各計測点の溶接前の座標は、計測器のXYZ座標系を用いて所定位置を基準として表されたものが記録される。
図12は、溶接継手の溶接前の計測点ペアデータを示す図である。図12に示すように、計測点ペア(溶接前)データテーブルには、計測点ペア設定テーブルに記録した計測点ペアが記録されると共に、計測点座標(溶接前)データテーブルに記録した計測点の溶接前に実測された位置から各計測点ペアの溶接前の距離が算出された際に各計測点ペアの溶接前の距離が記録される。なお、図12では、図11に示す計測点座標(溶接前)データテーブルに記録したデータに基づいて算出された各計測点ペアの溶接前の距離が示されている。
図13は、溶接継手の溶接後の計測点座標データを示す図である。第1部材と第2部材に付された計測点の溶接後に実測された位置が入力装置12を介して入力され、図13に示すように、計測点座標(溶接後)データテーブルに、各計測点について溶接後に実測された計測点の座標が記録される。各計測点の溶接後の座標についても、計測器のXYZ座標系を用いて所定位置を基準として表されたものが記録される。
図14は、溶接継手の溶接後の計測点ペアデータを示す図である。図14に示すように、計測点ペア(溶接後)データテーブルには、計測点ペア設定テーブルに記録した計測点ペアが記録され、計測点座標(溶接後)データテーブルに記録した計測点の溶接後に実測された位置から各計測点ペアの溶接後の距離が算出された際に各計測点ペアの溶接後の距離が記録される。
また、計測点ペア(溶接後)データテーブルには、各計測点ペアの溶接前の距離と各計測点ペアの溶接後の距離の変化量が算出された際に各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量が記録される。なお、図14では、図13に示す計測点座標(溶接後)データテーブルに記録したデータに基づいて算出された各計測点ペアの溶接後の距離が示されるとともに、図11に示す計測点座標(溶接前)データテーブルに記録したデータと図13に示す計測点座標(溶接後)データテーブルに記録したデータに基づいて算出された各計測点ペアの溶接前後における距離の変化量が示されている。
図15は、固有変形データを示す図である。本実施形態では、解析モデルに固有変形データの所定値を適用して弾性FEM解析によって算出した溶接変形に基づき固有変形応答マトリクスを算出し、算出した固有変形応答マトリクスと第1部材と第2部材の実際の溶接変形とに基づき固有変形データを算出することにより、図15に示すような固有変形データ、具体的には第1部材及び第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量が算出される。図15では、断面設定として「無」が設定された場合、すなわち1つの断面における固有変形データが示されているが、断面設定として「有」が設定された場合、すなわち複数の断面における固有変形データがそれぞれ算出される。そして、算出した固有変形データは、溶接継手の条件とともに固有変形データベース20に保存される。
次に、溶接継手を構成する第1部材と第2部材の固有変形データを計算する動作について説明する。
図16は、固有変形データを計算する動作を示すフローチャートである。溶接継手を構成する第1部材と第2部材の固有変形データを計算する前に、コンピュータ10には、先ず、ユーザーによって入力装置12を介して溶接継手を構成する第1部材と第2部材の図形データ、例えば図6に示すような図形データが登録され、データ記憶部の条件データファイルに登録される。また、コンピュータ10には、ユーザーによって入力装置12を介して溶接継手の条件、すなわち溶接線番号、溶接方法、溶接タイプ、溶接条件、第1部材及び第2部材の材料物性並びに断面設定が登録される。
図18は、溶接継手の条件を設定する画面を示す図である。図18に示すように、溶接継手の条件を設定する際には、表示装置13に条件設定画面20が表示され、該条件設定画面20には、溶接線番号入力部21と、溶接条件入力部22と、第1部材入力部23と、第2部材入力部24と、断面設定入力部25とが設けられるとともに、登録ボタン27が設けられている。
溶接線番号入力部21には、溶接線番号を入力することができるとともに、溶接方法をアーク溶接及びレーザ溶接などからなるプルダウンリストから選択することができ、且つ、溶接タイプを突合せ溶接、片側隅肉溶接、両側隅肉溶接及び重ね隅肉溶接からなるプルダウンリストから選択することができるようになっている。
溶接条件入力部22には、電流、電圧、速度及び熱効率を入力することができ、第1部材入力部23には、第1部材の材料を鋼板及びアルミニウム板などからなるプルダウンリストから選択することができるとともに長さ、幅、板厚、ヤング率及びポアソン比を入力することができ、第2部材入力部24には、第2部材の材料を鋼板及びアルミニウム板などからなるプルダウンリストから選択することができるとともに長さ、幅、板厚、ヤング率及びポアソン比を入力することができるようになっている。
また、断面設定部25には、断面設定の有無をプルダウンリストから選択することができ、断面設定として「有」が選択された場合は、第1断面、第2断面、第3断面及び第4断面の4つの断面位置を入力することができるようになっている。なお、断面位置は、4つの断面全て入力するようにしてもよいが、第1断面及び第2断面のみ、あるいは第1断面、第2断面及び第3断面のみを入力するようにしてもよい。
そして、条件設定画面20において、溶接継手の条件が入力された後にユーザーによって登録ボタン27が押されると、溶接継手の条件が、データ記憶部の条件データテーブル1及び条件データテーブル2に記録される。
このようにして溶接継手の条件が登録されると、コンピュータ10には次に、ユーザーによって入力装置12を介して溶接継手を構成する第1部材と第2部材について計測点が登録され、第1部材と第2部材の固有変形データを計算するために用いる計測点ペアを構成する計測点が登録される。
図19は、溶接継手の計測点を設定する画面を示す図である。図19に示すように、計測点を設定する際には、表示装置13に計測点設定画面30が表示され、該計測点設定画面30には、計測点入力部31が設けられるとともに、登録ボタン37が設けられている。
計測点入力部31には、第1部材と第2部材に設定する計測点について計測点ID、X座標、Y座標及びZ座標を入力することができるとともに、属性を表面及び裏面からなるプルダウンリストから選択することができるようになっている。本実施形態では、第1部材と第2部材に設定する計測点は、図6に示すXYZ座標系において計測点ID「8」を付した位置近傍を基準として表されたX座標、Y座標及びZ座標が入力され、第1部材と第2部材が略面一になる面を裏面とし該裏面の反対側を表面として属性が選択される。
そして、計測点設定画面30において、計測点入力部31に複数の、本実施形態では45個の計測点がそれぞれ設定された後にユーザーによって登録ボタン37が押されると、
計測点の設定データが、データ記憶部の計測点設定データテーブルに記録される。
このようにして計測点の設定データが登録されると、コンピュータ10には次に、ユーザーによって入力装置12を介して互いに離間する計測点からなる計測点ペアが登録され、第1部材と第2部材の固有変形データを計算するために用いる計測点ペアが登録される。
図20は、溶接継手の計測点ペアを設定する画面を示す図である。図20に示すように、計測点ペアを設定する際には、表示装置13に計測点ペア設定画面40が表示され、該計測点ペア設定画面40には、計測点ペア入力部41が設けられるとともに、登録ボタン47が設けられている。
計測点ペア入力部41には、計測点ペアを構成する第1計測点と第2計測点を入力することができるようになっている。第1計測点と第2計測点は、計測点設定画面30において設定した異なる計測点を設定することができ、計測点の計測点IDを入力すると計測点IDの属性、具体的には表面又は裏面が表示されるようになっている。
そして、計測点ペア設定画面40において、計測点ペア入力部41に複数の計測点ペアがそれぞれ設定された後にユーザーによって登録ボタン47が押されると、計測点ペアの設定データが、データ記憶部の計測点ペア設定データテーブルに記録される。計測点ペアのペア数は、本実施形態では、4つの断面について第1部材と第2部材の固有変形データを計算することができるように少なくとも32個以上に設定される。
本実施形態ではまた、第1部材と第2部材の固有変形データを計算するために、第1部材と第2部材を実際に用意するとともに、第1部材と第2部材に前記計測点設定データテーブルに記録した計測点と同位置に計測点を付する。そして、第1部材と第2部材を実際に溶接して溶接変形させ、第1部材と第2部材に付された計測点の位置を溶接前後に実測し、溶接前後に実測された計測点の位置が、ユーザーによって入力装置12を介して入力される。
図21は、溶接継手の溶接前の計測点座標を入力する画面を示す図である。図21に示すように、溶接継手を構成する第1部材と第2部材に付された計測点の溶接前に実測された位置を入力する際には、表示装置13に計測点座標(溶接前)入力画面50が表示され、該計測点座標(溶接前)入力画面50には、計測点座標(溶接前)入力部51が設けられるとともに、登録ボタン57が設けられている。
計測点座標(溶接前)入力部51には、第1部材と第2部材に付された各計測点について、計測点IDと、溶接前に実測された座標、具体的にはX座標、Y座標及びZ座標を入力することができるようになっている。各計測点の溶接前の座標は、計測器のXYZ座標系を用いて所定位置を基準として表されたものを入力することができる。
そして、計測点座標(溶接前)入力画面50において、計測点座標(溶接前)入力部51に複数の、本実施形態では45個の計測点の溶接前の座標がそれぞれ入力された後にユーザーによって登録ボタン57が押されると、計測点の溶接前の座標が、データ記憶部の計測点座標(溶接前)データテーブルに記録される。
図22は、溶接継手の溶接後の計測点座標を入力する画面を示す図である。図22に示すように、計測点の溶接後に実測された位置を入力する際には、表示装置13に計測点座標(溶接後)入力画面60が表示され、該計測点座標(溶接後)入力画面60には、計測点座標(溶接後)入力部61が設けられるとともに、登録ボタン67及びOKボタン68が設けられている。
計測点座標(溶接後)入力部61には、第1部材と第2部材に付された各計測点について、計測点IDと、溶接後に実測された座標、具体的にはX座標、Y座標及びZ座標を入力することができるようになっている。各計測点の溶接後の座標は、計測器のXYZ座標系を用いて所定位置を基準として表されたものを入力することができる。
そして、計測点座標(溶接後)入力画面60において、計測点座標(溶接後)入力部61に複数の、本実施形態では45個の計測点の溶接後の座標がそれぞれ入力された後にユーザーによって登録ボタン67が押されると、計測点の溶接後の座標が、データ記憶部の計測点座標(溶接後)データテーブルに記録される。
このようにして、固有変形データを計算するための各種データ、具体的には溶接継手の条件データ、計測点設定データ、計測点ペア設定データ、溶接前計測点座標データ及び溶接後計測点座標データが登録された状態で、図22に示す計測点座標(溶接後)入力画面60においてOKボタン68が押されると、固有変形データの計算が行われる。
固有変形データの計算では先ず、図16に示すように、各種データの読込、具体的には溶接継手の条件データの読込(ステップS1)、計測点設定データの読込(ステップS2)、計測点ペア設定データの読込(ステップS3)、溶接前計測点座標データの読込(ステップS4)及び溶接後計測点座標データの読込(ステップS5)が行われ、各種データが取得される。
次に、ステップS1において読み込まれた溶接継手の条件データに含まれる溶接継手を構成する第1部材と第2部材の図形データが有限要素分割されて解析モデルが作成される(ステップS6)。該解析モデルは、ステップS2及びS3において読み込まれた計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように作成される。そして、作成された解析モデルを用いて、固有変形応答マトリクス[G]が算出される(ステップS7)。
図17は、固有変形応答マトリクスを算出する動作を示すフローチャートである。ステップS7における固有変形応答マトリクス[G]の算出について、図17に示すように、具体的には、ステップS1において読み込まれた溶接継手の条件データとステップS3において読み込まれた計測点ペア設定データとから、固有変形応答マトリクスの行数mと列数qが設定される(ステップS21)。
固有変形応答マトリクスの行数mは、計測点ペアのペア数と同一に設定され、固有変形応答マトリクスの列数qは、固有変形データの成分の数と同一に設定される。なお、固有変形データの成分の数は、断面設定として「無」が選択された場合は8個に設定され、断面設定として「有」が設定された場合は入力された断面数の8倍に設定されるが、ここでは断面設定として「無」が選択された場合について説明する。
そして、固有変形データにおける何行目の成分であるかに相当するカウンタ値jが「0」に設定される(ステップS22)。次に、前記カウンタ値に「1」を加えたものが新たなカウンタ値jとして設定され(ステップS23)、かかるカウンタ値jを用いて、固有変形データの所定値として第j行の成分が「1」であり他の行の成分が「0」である前記数15で示す式で表される固有変形データの所定値{A0}が設定される(ステップS24)。先ずは、第1行の成分が「1」であり他の行の成分、具体的には第2行から第8行の成分が「0」である固有変形データの所定値が設定される。
固有変形データの所定値{A0}が設定されると、前記解析モデルに固有変形データの所定値{A0}を適用して溶接継手の溶接変形が既知の弾性FEM解析によって解析される(ステップS25)。先ずは、第1行の成分が「1」であり他の行の成分が「0」である固有変形データの所定値{A0}を適用して溶接継手の溶接変形が弾性FEM解析によって解析される。弾性FEM解析によって溶接変形を解析する際には、固有変形データの第1行、第2行、第3行、第4行、第5行、第6行、第7行、第8行の成分がそれぞれ第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量、第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量として用いられ、溶接線方向に均一な固有変形データを有するものとして解析される。
そして、ステップS25において解析された弾性FEM解析結果から溶接変形前後の各計測点ペアの距離の変化量{ΔD0}が算出される(ステップS26)。各計測点ペアの弾性FEM解析による溶接変形前の距離が各計測点ペアを構成する計測点の位置から算出され、各計測点ペアの弾性FEM解析による溶接変形後の距離が各計測点ペアを構成する計測点の位置から算出され、各計測点ペアの溶接変形前後の距離から各計測点ペアの溶接変形前後の距離の変化量が算出される。本実施形態では、45個の計測点ペアの溶接変形前後の距離の変化量が算出される。
ステップS26において各計測点ペアの溶接変形前後の距離の変化量{ΔD0}が算出されると、ステップS24において設定された固有変形データの所定値{A0}とステップS26において算出された各計測点ペアの溶接変形前後の距離の変化量{ΔD0}とから、固有変形応答マトリクス[G]の第j列が算出される(ステップS27)。先ずは、固有変形応答マトリクス[G]の第1列が算出される。
次に、カウンタ値jが、固有変形応答マトリクスの列数qであるか否かが判定される(ステップS28)。ステップS28での判定結果がノー(NO)の場合、すなわちカウンタ値jがqでない場合、ステップS23において前記カウンタ値に「1」を加えたものが新たなカウンタ値jとして設定され、ステップS23からステップS28が繰り返される。
そして、ステップS28での判定結果がイエス(YES)になると、すなわちカウンタ値jが固有変形応答マトリクスの列数qになると、固有変形応答マトリクス[G]の全ての成分が算出され、固有変形応答マトリクスの算出が終了される。
このようにして固有変形応答マトリクスが算出されると、次に、ステップS3において読み込まれた計測点ペア設定データとステップS4において読み込まれた溶接前計測点座標データとから、溶接前の各計測点ペアの距離{d0}が算出される(ステップS8)。溶接前の各計測点ペアの距離は、各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置から算出される。また、算出した溶接前の各計測点ペアの距離は、計測点ペア(溶接前)データテーブルに記録される。
次に、ステップS3において読み込まれた計測点ペア設定データとステップS5において読み込まれた溶接後計測点座標データとから、溶接後の各計測点ペアの距離{d}が算出される(ステップS9)。溶接後の各計測点ペアの距離は、各計測点ペアを構成する計測点の溶接後に実測された位置から算出される。また、算出した溶接後の各計測点ペアの距離は、計測点ペア(溶接後)データテーブルに記録される。
そして、ステップS8において算出された溶接前の各計測点ペアの距離{d0}とステップS9において算出された溶接後の各計測点ペアの距離{d}とに基づいて、以下の数25で示す式から、溶接前後の各計測点ペアの距離の変化量{ΔD}が算出される(ステップS10)。本実施形態では、45個の溶接前後の各計測点ペアの距離の変化量が算出される。また、算出した溶接前後の各計測点ペアの距離の変化量は、計測点ペア(溶接後)データテーブルに記録される。
ステップS10において溶接前後の各計測点ペアの距離の変化量{ΔD}が算出されると、ステップS7において算出された固有変形応答マトリクス[G]とステップS10において算出された溶接前後の各計測点ペアの距離の変化量{ΔD}とに基づいて、前記数9で示す式から、既知の算出方法によって第1部材と第2部材の固有変形データ{A}が算出される(ステップS11)。計測点ペアのペア数が固有変形データの成分の数よりも多く設定される場合は、既知の最小二乗法を用いて固有変形データの算出が行われる。
このようにして、第1部材と第2部材の固有変形データが算出されると、算出された固有変形データ{A}が固有変形データベース20に保存される(ステップS12)。また、ユーザーが固有変形データの計算結果を確認できるように表示装置13には固有変形データの計算結果を示す画面が表示される。
図23は、固有変形データの計算結果画面を示す図である。図23に示すように、固有変形データの計算結果画面70には、固有変形データ表示部71が設けられ、固有変形データ表示部71には、溶接継手の溶接線番号と、第1部材と第2部材の固有変形データ、具体的には第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量とが表示されるようになっている。
固有変形データの計算結果画面70にはまた、次の溶接線ボタン77及び終了ボタン78が設けられ、次の溶接線ボタン77が押されると、次の溶接線の固有変形データを計算するための画面が表示され、終了ボタン78が押されると、固有変形データの計算結果画面70が閉じられるようになっている。
なお、固有変形データの計算では、第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量とをそれぞれ固有変形データの第1行、第2行、第3行、第4行、第5行、第6行、第7行、第8行の成分として表し、計測点ペアの距離の変化量は、計測点ペアのID番号に応じて第1行から順に表すようにして行われる。
前述したように、断面設定として「無」が選択された場合、固有変形データとして、第1部材と第2部材の溶接線方向と直交する1つの断面における第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量とがそれぞれ計算されるが、断面設定として「有」が選択された場合は、それぞれの断面における固有変形データが計算される。
図24は、断面設定がある場合の溶接継手の第2の条件データを示す図である。図24に示すように、条件データテーブル2には、断面設定として「有」が選択された場合は異なる複数の断面位置を記録することができ、例えば第1断面、第2断面、第3断面及び第4断面の4つの断面位置が記録された場合はそれぞれの断面における固有変形データが計算される。なお、図24に示す断面位置は、図6に示すXYZ座標系のX座標として記録される。
このように、4つの断面位置が設定された場合、第1部材と第2部材の固有変形データ{A}は、第1断面の固有変形データを第1行から第8行の成分とし、第2断面の固有変形データを第9行から第16行の成分とし、第3断面の固有変形データを第17行から第24行の成分とし、第4断面の固有変形データを第25行から第32行の成分とし、各断面における第1部材と第2部材の固有変形データは、第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量、第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量の順に表すとすると、第1部材と第2部材の固有変形データ{A}は、以下の数26で表すことができる。
また、固有変形応答マトリクス[G]は、m行q列のマトリクスとして以下の数27で示す式で表すことができる。
前記数26及び数27で示す式から分かるように、固有変形データの成分の数と固有変形応答マトリクスの列数が固有変形データを計算する断面数に応じて多くなっているが、断面設定として「有」が選択された場合についても、第1部材と第2部材の固有変形データの計算については、断面設定として「無」が選択された場合と同様にして固有変形データの計算が行われる。
前述したように、断面設定として「無」が選択された場合、解析モデルに固有変形データの所定値を適用して弾性FEM解析によって溶接変形を算出する際に、溶接線方向に均一な固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われるが、断面設定として「有」が選択される場合は、溶接線方向に複数の断面における固有変形データが算出され、溶接線方向に複数の断面間の固有変形データはそれぞれ線形補間法を用いて算出された固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われる。
図25は、断面設定がある場合の固有変形データを示す図である。断面設定として「有」が選択され複数の断面位置が設定された場合、図24に示すように4つの断面位置が設定された場合、図25に示すような固有変形データ、具体的には第1断面、第2断面、第3断面及び第4断面についてそれぞれ第1部材及び第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量が算出される。前述したように、第1部材と第2部材の固有変形データ{A}について、第1断面の固有変形データが第1行から第8行の成分として算出され、第2断面の固有変形データが第9行から第16行の成分として算出され、第3断面の固有変形データが第17行から第24行の成分として算出され、第4断面の固有変形データが第25行から第32行の成分として算出され、各断面における固有変形データは、第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量の順の成分として算出される。
なお、本実施形態では、4つの断面についてそれぞれ第1部材及び第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量を算出しているが、同様にして2つの断面や3つの断面についてそれぞれ第1部材及び第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量を算出することができる。また、5つ以上の断面について第1部材及び第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量を算出することも可能である。
このように、本実施形態によれば、第1部材と第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスが算出されることとなる。そして、第1部材と第2部材について各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と固有変形応答マトリクスとから、固有変形データが算出されることとなる。これにより、比較的簡単で容易に、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを算出することができる。
また、固有変形データの所定値として第j行の成分が1であり他の成分が0である固有変形データを適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と前記固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスの第j列の成分が算出されるので、固有変形応答マトリクスを比較的容易に算出することができ、前記効果を具体的に得ることができる。
さらに、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量が算出され、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量が算出されることにより、前記効果を具体的に実現することができる。第1部材と第2部材において各計測点ペアの溶接前後の位置を測定する際に、溶接前後において異なる座標系を用いることができ、各計測点ペアの溶接前後の位置の測定を容易に行うことができる。
また、第1部材と第2部材の固有変形データとして、第1部材と第2部材の溶接線方向と直交する少なくとも1つの断面における第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量が算出されるので、第1部材と第2部材の材料物性が異なる場合においても少なくとも1つの断面について第1部材と第2部材のそれぞれの固有変形データを算出することができ、種々の固有変形データを取り揃えることができる。複数の断面における固有変形データを算出した場合は、1つの断面における固有変形データを算出した場合に比して、溶接線方向に固有変形データを精度良く算出することができる。構造体の溶接変形をFEM解析で予測する際、1つの断面における固有変形データを算出した場合は溶接線方向に均一な固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われ、複数の断面における固有変形データを算出した場合は溶接線方向に複数の断面間の固有変形データはそれぞれ補間法を用いて算出された固有変形データを有するものとしてFEM解析が行われるので、複数の断面における固有変形データを用いて構造体の溶接変形をFEM解析で予測する際に、構造体の溶接変形を精度良く予測することができる。
(第2の実施形態)
各計測点ペアについての位置データとして各計測点ペアの相対座標を用いた場合の固有変形データの計算について説明する。
各計測点ペアについての位置データとして各計測点ペアの相対座標を用いた場合の固有変形データの計算については、第1の実施形態において、各計測点ペアの距離に代えて各計測点ペアの相対座標を用いること以外は同様にして行われる。
第1の実施形態と同様に、前記解析モデルに、固有変形データの所定値として第j行の成分が「1」であり他の成分が「0」である固有変形データを適用し、既知の弾性FEM解析を用いて前記固有変形データの所定値における第1部材と第2部材の溶接変形を算出する。
そして、算出した前記固有変形データの所定値における第1部材と第2部材の溶接変形に基づき、各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出する。具体的には、各計測点ペアの溶接変形前のX方向、Y方向及びZ方向の相対座標と溶接変形後のX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量をそれぞれ算出する。
第j行の成分が「1」であり他の成分が「0」である固有変形データの所定値{A0}は、以下の数28で示す式で表すことができる。固有変形データの成分の数qは、設定された断面数nの8倍に設定され、本実施形態では4つまでの断面について計算するように設定される。
また、固有変形データの所定値を適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき算出される各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量をそれぞれΔD0、ΔD0、・・・、ΔD03mとして表示すると、各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量{ΔD0}は、以下の数29で示す式で表すことができる。計測点ペアのペア数をmとすると、1つの計測点ペアからX方向、Y方向及びZ方向の3つの相対座標の変化量が算出されるので、計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量が3m算出される。
固有変形データの所定値{A0}と各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量{ΔD0}は、固有変形応答マトリクスを[G]とすると、以下の数30で示す式で表すことができ、かかる式に従って、固有変形データの所定値{A0}と各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量、具体的にはX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量{ΔD0}とから固有変形応答マトリクス[G]を算出する。
前記数28及び数29で示す式を用い、固有変形応答マトリクス[G]についても成分で表示すると、前記数30で示す式は、以下の数31で示す式で表すことができる。なお、計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の数3mは、固有変形データの成分の数qと同一若しくはそれ以上に設定される。
(i=1〜3m、j=1〜q、q=8n、n=1〜4)
前記数31で示す式から分かるように、固有変形データの所定値として第j行の成分が「1」であり他の成分が「0」である固有変形データを適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき算出される各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量から固有変形応答マトリクスの第j列を算出する。このようにして固有変形応答マトリクスの第j列が算出されることを、固有変形データの成分の数q、固有変形応答マトリクスの列数qに対応する回数繰り返すことで、固有変形応答マトリクスの全ての成分を算出する。
各計測点ペアについての相対座標の変化量{ΔD0}は、第1の計測点ペアのX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量を第1行、第2行及び第3行の成分とし、第2の計測点ペアのX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量を第4行、第5行及び第6行の成分とし、第iの計測点ペアのX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量を第(3i−2)行、第(3i−1)行及び第(3i)行の成分とするようにして行われる。
また、各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量について、第1の計測点ペアが第1計測点Q1と第2計測点Q2とから構成され、弾性FEM解析による溶接変形前の第1計測点Q1の位置を(Q1x,Q1y,Q1z)とし第2計測点Q2の位置を(Q2x,Q2y,Q2z)とすると、第1の計測点ペアの溶接変形前の相対座標は、具体的にはX方向、Y方向、Z方向の相対座標は、該相対座標をそれぞれD0、D0、D0とすると、以下の数32、数33、数34で示す式を用いて算出することができる。
一方、弾性FEM解析による溶接変形後の第1計測点Q1の位置を(Q1x’,Q1y’,Q1z’)とし第2計測点Q2の位置を(Q2x’,Q2y’,Q2z’)とすると、第1の計測点ペアの溶接変形後の相対座標は、具体的にはX方向、Y方向、Z方向の相対座標は、該相対座標をそれぞれD、D、Dとすると、以下の数35、数36、数37で示す式を用いて算出することができる。
そして、第1の計測点ペアの弾性FEM解析による溶接変形前後の相対座標の変化量は、具体的にはX方向、Y方向、Z方向の相対座標の変化量は、該X方向、Y方向、Z方向の相対座標の変化量をそれぞれΔD0、ΔD0、ΔD0とすると、以下の数38、数39、数40で示す式を用いて算出することができる。なお、その他の計測点ペアの相対座標の変化量についても、弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前後の相対座標の変化量を算出することができる。
固有変形応答マトリクスを算出すると次に、第1部材と第2部材を実際に溶接させた溶接変形に基づき、第1部材と第2部材について前記各計測点ペアと同位置に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量を算出する。
第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から算出される各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量をそれぞれΔD、ΔD、・・・、ΔD3mとして表示すると、各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量{ΔD}は、以下の数41で示す式で表すことができる。計測点ペアのペア数をmとすると、計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量が3m算出される。
また、固有変形データの成分の数qは、設定された断面数nの8倍に設定され、本実施形態では4つまでの断面について計算するように設定されるので、第1部材と第2部材の固有変形データ{A}は、以下の数42で示す式で表すことができる。
第1部材と第2部材の固有変形データ{A}は、第1断面の固有変形データ、第2断面の固有変形データ、・・・、第n断面の固有変形データの順に第1行から表すととともに、各断面における固有変形データは、第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量、第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量の順に表すものとして固有変形データの計算が行われる。
前記数41及び数42で示す式を用い、固有変形応答マトリクス[G]についても成分で表示すると、前記数9で示す式は、以下の数43で示す式で表すことができ、第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から算出される各計測点ペアの相対座標の変化量{ΔD}と算出した固有変形応答マトリクス[G]を用いて、前記数9で示す式に従って、具体的には下記数43で示す式に従って、既知の算出方法によって固有変形応答マトリクスを算出する。
(i=1〜3m、j=1〜q、q=8n、n=1〜4)
計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量の数3mは、固有変形データの成分の数qと同一若しくはそれ以上に設定され、計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量の数3mが固有変形データの成分の数qよりも多く設定される場合は、既知の最小二乗法を用いて固有変形データの各成分の算出が行われる。
固有変形データの算出において、第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から算出される各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量{ΔD}は、第1の計測点ペアのX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量を第1行、第2行及び第3行の成分とし、第2の計測点ペアのX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量を第4行、第5行及び第6行の成分とし、第iの計測点ペアのX方向、Y方向及びZ方向の相対座標の変化量を第(3i−2)行、第(3i−1)行及び第(3i)行の成分とするようにして行われる。
また、各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量について、第1の計測点ペアが第1計測点P1と第2計測点P2とから構成され、第1部材と第2部材の溶接前に実測された第1計測点P1の位置を(P1x,P1y,P1z)とし第2計測点P2の位置を(P2x,P2y,P2z)とすると、第1の計測点ペアの溶接前の相対座標は、具体的にはX方向、Y方向及びZ方向の相対座標は、該相対座標をそれぞれd0、d0、d0とすると、以下の数44、数45、数46で示す式を用いて算出することができる。
一方、溶接後に実測された第1計測点P1の位置を(P1x’,P1y’,P1z’)とし第2計測点P2の位置を(P2x’,P2y’,P2z’)とすると、第1の計測点ペアの溶接後の相対座標は、具体的にはX方向、Y方向、Z方向の相対座標は、該相対座標をそれぞれd、d、dとすると、以下の数47、数48、数49で示す式を用いて算出することができる。
そして、第1の計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量は、具体的にはX方向、Y方向、Z方向の相対座標の変化量は、該X方向、Y方向、Z方向の相対座標の変化量をそれぞれΔD、ΔD、ΔDとすると、以下の数50、数51、数52で示す式を用いて算出することができる。なお、その他の計測点ペアの相対座標の変化量についても、各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る固有変形データの計算システムについて説明する。
第2の実施形態に係る固有変形データの計算システムは、第1の実施形態に係る固有変形データの計算システムにおいて、各計測点ペアの距離を用いることに代えて各計測点ペアの相対座標を用いること以外は同様であるので、各計測点ペアの相対座標を用いることに関連する部分についてのみ説明する。
第2の実施形態に係る固有変形データの計算システムでは、固有変形応答マトリクス算出プログラムは、第1部材と第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用した弾性FEM解析によって得られた第1部材と第2部材の溶接変形に基づき、第1部材と第2部材に設定した各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出し、各計測点ペアの溶接変形前後における相対座標の変化量と固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスを算出するようになっており、固有変形データ算出プログラムは、第1部材と第2部材に付された各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前の相対座標と溶接後の相対座標の変化量を算出し、各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量と固有変形応答マトリクスとから第1部材と第2部材の固有変形データを算出するようになっている。
また、データ記憶部において、計測点ペア(溶接前)データテーブルには、第1部材と第2部材において前記計測点ペアと同様に設定された計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく相対座標が記録されるようになっており、計測点ペア(溶接後)データテーブルには、第1部材と第2部材において前記計測点ペアと同様に設定された計測点ペアの溶接後に実測された位置に基づく相対座標が記録されるようになっている。
図26は、本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける溶接継手の溶接前の計測点ペアデータを示す図である。図26に示すように、計測点ペア(溶接前)データテーブルには、計測点ペア設定テーブルに記録した計測点ペアが記録されると共に、計測点座標(溶接前)データテーブルに記録した計測点の溶接前に実測された位置から各計測点ペアの溶接前の相対座標が算出された際に各計測点ペアの溶接前の相対座標が記録される。なお、図26では、図11に示す計測点座標(溶接前)データテーブルに記録したデータに基づいて算出された各計測点ペアの溶接前の相対座標が示されている。
図27は、本発明の第2の実施形態に係るシステムにおける溶接継手の溶接後の計測点ペアデータを示す図である。図27に示すように、計測点ペア(溶接後)データテーブルには、計測点ペア設定テーブルに記録した計測点ペアが記録され、計測点座標(溶接後)データテーブルに記録した計測点の溶接後に実測された位置から各計測点ペアの溶接後の相対座標が算出された際に各計測点ペアの溶接後の相対座標が記録される。
また、計測点ペア(溶接後)データテーブルには、各計測点ペアの溶接前の相対座標と各計測点ペアの溶接後の相対座標の変化量が算出された際に各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量が記録される。なお、図27では、図13に示す計測点座標(溶接後)データテーブルに記録したデータに基づいて算出された各計測点ペアの溶接後の相対座標が示されるとともに、図11に示す計測点座標(溶接前)データテーブルに記録したデータと図13に示す計測点座標(溶接後)データテーブルに記録したデータに基づいて算出された各計測点ペアの溶接前後における相対座標の変化量が示されている。
第2の実施形態に係る固有変形データの計算システムにおいても、固有変形データを計算するための各種データが登録された状態で固有変形データの計算が行われ、コンピュータ10では、各計測点ペアの距離に代えて各計測点ペアの相対座標を用いて固有変形データの計算が行われる。
図28は、前記システムにおいて固有変形データを計算する動作を示すフローチャートであり、図29は、前記システムにおいて固有変形応答マトリクスを算出する動作を示すフローチャートである。図28及び図29では、第1の実施形態に係る固有変形データの計算システムと同様の動作については同一符号を付して説明を省略する。
図28に示すように、第2の実施形態に係る固有変形データの計算においても、各種データの読込が行われて各種データが取得され(ステップS1〜S5)、解析モデルが作成された後に(ステップS6)、固有変形応答マトリクス[G]が算出される(ステップS7)。
図29に示すように、固有変形応答マトリクスの算出では、固有変形応答マトリクスの行数mと列数qが設定された後に(ステップS21)、固有変形データの所定値が設定され(ステップS22〜S24)、前記解析モデルに固有変形データの所定値{A0}を適用して溶接継手の溶接変形が既知の弾性FEM解析によって解析されるが(ステップS25)、第2の実施形態では次に、ステップS25において解析された弾性FEM解析結果から溶接変形前後の各計測点ペアの相対座標の変化量{ΔD0}が算出される(ステップS56)。
そして、ステップS24において設定された固有変形データの所定値{A0}とステップS56において算出された各計測点ペアの溶接変形前後の相対座標の変化量{ΔD0}とから、固有変形応答マトリクス[G]の第j列が算出され(ステップS27)、固有変形応答マトリクス[G]の全ての成分が算出されるまで、ステップS23〜S25、S56、S27、S28が繰り返される。
固有変形応答マトリクス[G]の全ての成分が算出され、固有変形応答マトリクスの算出が終了されると、ステップS3において読み込まれた計測点ペア設定データとステップS4において読み込まれた溶接前計測点座標データとから、溶接前の各計測点ペアの相対座標{d0}が算出される(ステップS38)。溶接前の各計測点ペアの相対座標は、各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置から算出される。また、算出した溶接前の各計測点ペアの相対座標は、計測点ペア(溶接前)データテーブルに記録される。
次に、ステップS3において読み込まれた計測点ペア設定データとステップS5において読み込まれた溶接前計測点座標データとから、溶接後の各計測点ペアの相対座標{d}が算出される(ステップS39)。溶接後の各計測点ペアの距離は、各計測点ペアを構成する計測点の溶接後に実測された位置から算出される。また、算出した溶接後の各計測点ペアの相対座標は、計測点ペア(溶接後)データテーブルに記録される。
そして、ステップS38において算出された溶接前の各計測点ペアの相対座標{d0}とステップS39において算出された溶接後の各計測点ペアの相対座標{d}とに基づいて、以下の数53で示す式から、溶接前後の各計測点ペアの相対座標の変化量{ΔD}が算出される(ステップS50)。また、算出した溶接前後の各計測点ペアの相対座標の変化量は、計測点ペア(溶接後)データテーブルに記録される。
次に、ステップS7において算出された固有変形応答マトリクス[G]とステップS40において算出された溶接前後の各計測点ペアの相対座標の変化量{ΔD}とに基づいて、前記数9で示す式から、既知の算出方法によって第1部材と第2部材の固有変形データ{A}が算出される(ステップS41)。計測点ペアの相対座標の変化量の数が固有変形データの成分の数よりも多く設定される場合は、既知の最小二乗法を用いて固有変形データの算出が行われる。そして、算出された固有変形データ{A}が固有変形データベース20に保存される(ステップS12)。
このように、本実施形態においても、第1部材と第2部材の解析モデルに固有変形データの所定値を適用して算出した弾性FEM解析による溶接変形に基づき、各計測点ペアの溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と固有変形データの所定値とから固有変形応答マトリクスが算出されることとなる。そして、第1部材と第2部材について各計測点ペアの溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量が算出され、各計測点ペアについての位置データの変化量と固有変形応答マトリクスとから、固有変形データが算出されることとなる。これにより、比較的簡単で容易に、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを算出することができる。
また、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量が算出され、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量が算出されることにより、前記効果を具体的に実現することができる。1つの計測点ペアから各座標軸における相対座標の変化量を算出することができるので、各計測点ペアの距離の変化量が算出される場合に比して、固有変形データの算出に用いる計測点ペアのペア数を少なくすることができ、固有変形データの算出を容易に行うことができる。
なお、第1の実施形態では、各計測点ペアについての位置データとして各計測点ペアの距離を用い、第2の実施形態では、各計測点ペアについての位置データとして各計測点ペアの相対座標を用い、固有変形データの計算を行っているが、各計測点ペアについての位置データとして各計測点ペアの距離と各計測点ペアの相対座標とを組み合わせて用い、固有変形データの計算を行うようにすることも可能である。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明によれば、比較的簡単で容易に、互いに溶接される第1部材と第2部材の固有変形データを算出することができ、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる各溶接線についての固有変形データを作成する場合に、好適に利用される可能性がある。
10 コンピュータ
11 中央処理装置
12 入力装置
13 表示装置
14 記憶装置
15 出力装置
20 固有変形データベース

Claims (11)

  1. 複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる固有変形データの計算システムであって、
    互いに溶接される第1部材と第2部材に設定された互いに離間する計測点ペアを複数取得する計測点ペア取得手段と、
    該計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように前記第1部材と前記第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成し、該モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値を適用し、弾性FEM解析によって前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出するFEM解析手段と、
    該FEM解析手段の解析によって得られた前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出手段と、
    固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出する固有変形応答マトリクス算出手段と、
    前記第1部材と前記第2部材について前記計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置と溶接後に実測された位置とを取得する計測点位置取得手段と、
    該計測点位置取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出手段と、
    該第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する固有変形データ算出手段と、
    を有していることを特徴とする固有変形データの計算システム。
    (式1)
    [G]{A0}={ΔD0}
    (式2)
    [G]{A}={ΔD}
  2. 前記FEM解析手段は、前記解析モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値として第j行の成分が1であり他の成分が0である固有変形データを適用し、弾性FEM解析によって前記固有変形データの所定値における前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出し、
    前記第1の位置データ変化量算出手段は、前記FEM解析手段の解析によって得られた前記固有変形データの所定値における前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、前記固有変形データの所定値における各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出し、
    前記固有変形応答マトリクス算出手段は、前記固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した前記固有変形データの所定値における各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]の第j列の成分を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の固有変形データの計算システム。
  3. 前記第1の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出し、
    前記固有変形応答マトリクス算出手段は、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、
    前記第2の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出し、
    前記固有変形データ算出手段は、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固有変形データの計算システム。
  4. 前記第1の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出し、
    前記固有変形応答マトリクス算出手段は、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、
    前記第2の位置データ変化量算出手段は、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出し、
    前記固有変形データ算出手段は、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固有変形データの計算システム。
  5. 前記固有変形データ算出手段は、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データとして、前記第1部材と前記第2部材の溶接線方向と直交する少なくとも1つの断面における前記第1部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量と前記第2部材の固有縦収縮量、固有横収縮量、固有縦曲げ量、固有横曲げ量を算出する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の固有変形データの計算システム。
  6. 複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる固有変形データの計算プログラムであって、
    コンピュータを、互いに溶接される第1部材と第2部材に設定された互いに離間する計測点ペアを複数取得する計測点ペア取得手段、
    該計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように前記第1部材と前記第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成し、該モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値を適用し、弾性FEM解析によって前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出するFEM解析手段、
    該FEM解析手段の解析によって得られた前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出手段、
    固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出する固有変形応答マトリクス算出手段、
    前記第1部材と前記第2部材について前記計測点ペア取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置と溶接後に実測された位置とを取得する計測点位置取得手段、
    該計測点位置取得手段で取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出手段、及び、
    該第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する固有変形データ算出手段として機能させる、
    ことを特徴とする固有変形データの計算プログラム。
    (式1)
    [G]{A0}={ΔD0}
    (式2)
    [G]{A}={ΔD}
  7. コンピュータを、
    前記第1の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出するように機能させ、
    前記固有変形応答マトリクス算出手段として機能させるときは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出するように機能させ、
    前記第2の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出するように機能させ、
    前記固有変形データ算出手段として機能させるときは、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出するように機能させる、
    ことを特徴とする請求項6に記載の固有変形データの計算プログラム。
  8. コンピュータを、
    前記第1の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出するように機能させ、
    前記固有変形応答マトリクス算出手段として機能させるときは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出するように機能させ、
    前記第2の位置データ変化量算出手段として機能させるときは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出するように機能させ、
    前記固有変形データ算出手段として機能させるときは、前記第2の位置データ変化量算出手段で算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出手段で算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出するように機能させる、
    ことを特徴とする請求項6に記載の固有変形データの計算プログラム。
  9. コンピュータとそのコンピュータで稼働するプログラムとで実行され、複数の板状部材を溶接してなる構造体の溶接変形の予測に用いる固有変形データの計算方法であって、
    計測点ペア取得手段が、互いに溶接される第1部材と第2部材に設定された互いに離間する計測点ペアを複数取得する計測点ペア取得ステップを有し、
    FEM解析手段が、該計測点ペア取得ステップで取得した各計測点ペアを構成する計測点を節点として含むように前記第1部材と前記第2部材の図形データを有限要素分割して解析モデルを作成し、該モデルに前記第1部材と前記第2部材の固有変形データの所定値を適用し、弾性FEM解析によって前記第1部材と前記第2部材の溶接変形を算出するFEM解析ステップを有し、
    第1の位置データ変化量算出手段が、該FEM解析ステップの解析によって得られた前記第1部材と前記第2部材の溶接変形に基づき、前記各計測点ペアを構成する計測点の溶接変形前の位置と溶接変形後の位置とから、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量を算出する第1の位置データ変化量算出ステップを有し、
    固有変形応答マトリクス算出手段が、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出する固有変形応答マトリクス算出ステップを有し、
    計測点位置取得手段が、前記第1部材と前記第2部材について前記計測点ペア取得ステップで取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前に実測された位置と溶接後に実測された位置とを取得する計測点位置取得ステップを有し、
    第2の位置データ変化量算出手段が、前記計測点位置取得ステップで取得した各計測点ペアを構成する計測点の溶接前後に実測された位置から、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量を算出する第2の位置データ変化量算出ステップを有し、
    固有変形データ算出手段が、前記第2の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての位置データの変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出ステップで算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する固有変形データ算出ステップを有している、
    ことを特徴とする固有変形データの計算方法。
    (式1)
    [G]{A0}={ΔD0}
    (式2)
    [G]{A}={ΔD}
  10. 前記第1の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の距離と溶接変形後の距離の変化量を算出し、
    前記固有変形応答マトリクス算出ステップでは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、
    前記第2の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の距離の変化量を算出し、
    前記固有変形データ算出ステップでは、前記第2の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての距離の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出ステップで算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の固有変形データの計算方法。
  11. 前記第1の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接変形前の位置に基づく位置データと溶接変形後の位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接変形前の相対座標と溶接変形後の相対座標の変化量を算出し、
    前記固有変形応答マトリクス算出ステップでは、固有変形データの所定値を{A0}とし、前記第1の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD0}とし、式(1)に従って、固有変形応答マトリクス[G]を算出し、
    前記第2の位置データ変化量算出ステップでは、各計測点ペアの溶接前に実測された位置に基づく位置データと溶接後に実測された位置に基づく位置データの変化量として各計測点ペアの溶接前後に実測された位置に基づく各計測点ペアの溶接前後の相対座標の変化量を算出し、
    前記固有変形データ算出ステップでは、前記第2の位置データ変化量算出ステップで算出した各計測点ペアについての相対座標の変化量を{ΔD}とし、前記固有変形応答マトリクス算出ステップで算出した固有変形応答マトリクス[G]を用い、式(2)に従って、前記第1部材と前記第2部材の固有変形データ{A}を算出する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の固有変形データの計算方法。
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