JP2021089547A - 溶接鋼管における逆歪み算出方法およびそのプログラム - Google Patents

溶接鋼管における逆歪み算出方法およびそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】適切な逆歪みの量および範囲を得ることが可能な溶接鋼管の逆歪み算出方法およびそのプログラムを提供する。【解決手段】逆歪み算出方法は、第1溶接歪み算出工程S10、逆歪み算出工程S20、第2溶接歪み算出工程S30、積分工程S40および最適化手法利用工程S50を備える。第1溶接歪み算出工程S10は、逆歪みが与えられず溶接された後の溶接鋼管の形状をデータベースから算出する。逆歪み算出工程S20は、変数として設定された量δおよび範囲θで逆歪みが与えられた形状を算出する。第2溶接歪み算出工程S30は、第1溶接歪み算出工程S10での形状に逆歪み算出工程S20での形状を加える。積分工程S40は、溶接による歪みが生じない形状に対する第2溶接歪み算出工程S30での形状の積分値を算出する。最適化手法利用工程S50は、最適化手法を利用し、積分値が閾値以下となる逆歪みの量δおよび範囲θの各固定値を算出する。【選択図】図8

Description

本発明は、溶接鋼管における逆歪み算出方法およびそのプログラムに関するものである。
溶接鋼管は、継ぎ目が溶接されることにより形成される鋼管である。この溶接による歪みで、溶接鋼管の内周および外周の形状は、真円(溶接される前の形状の一例)から外れた形状になる。この傾向は、大径の溶接鋼管で特に大きくなる。
溶接による歪みを低減するために、すなわち、溶接された後の形状が真円に近づくために、溶接する前の溶接鋼管に逆歪みを与えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された方法では、逆歪みが与えられた鋼構造物の溶接による変形を推定することができる。
特開2011−101900号公報
ところで、前記特許文献1に記載された方法では、溶接による歪みが生じる全範囲に、逆歪みが与えられることを前提としている。この方法を溶接鋼管に適用した場合、溶接鋼管の全周に逆歪みを与えることになるので、机上では理想的であるが、現実的ではない。なぜなら、全周に逆歪みが与えられた溶接鋼管の内周および外周は楕円形または長円形であり、このような形状になるように溶接鋼管(具体的には溶接鋼管の構成部材)を変形させることは、施工上、困難だからである。
一方で、溶接鋼管の全周ではなく一定の範囲に逆歪みを与えることは、現実的ではあるものの、適切な逆歪みの量および範囲を推定することが困難である。
そこで、本発明は、適切な逆歪みの量および範囲を得ることが可能な溶接鋼管の逆歪み算出方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法は、軸心方向の継ぎ目を溶接することで形成される溶接鋼管において、当該溶接による歪みを低減するための逆歪みを与える量および範囲を算出する、溶接鋼管における逆歪み算出方法であって、
前記溶接鋼管の鋼種、板厚および内径、並びに、前記溶接の開先形状に対応する当該溶接による歪みの形状を、準備されたデータベースに基づいて算出する第1溶接歪み算出工程と、
前記逆歪みの量および範囲を変数として設定し、当該量および範囲での逆歪みの形状を算出する逆歪み算出工程と、
前記第1溶接歪み算出工程で算出された形状に前記逆歪み算出工程で算出された形状を加えることで、前記逆歪みを考慮した溶接による歪みの形状を算出する第2溶接歪み算出工程と、
溶接による歪みが生じない形状に対する、前記第2溶接歪み算出工程で算出された形状の積分値を算出する積分工程と、
互いに独立した第1変数および第2変数の関数から得られる目的値が閾値以下となる場合の当該第1変数および第2変数の各固定値を算出する最適化手法を利用して、前記第1変数および第2変数を前記逆歪みの量および範囲とするとともに、前記目的値を前記積分値とした上で、当該積分値が閾値以下となる場合の前記逆歪みの量および範囲の各固定値を算出し、算出された各固定値のいずれかを正式な逆歪みの量および範囲とする、最適化手法利用工程とを備える方法である。
また、第2の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法は、第1の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法において、最適化手法利用工程での閾値が、積分工程での積分値の最小値である方法である。
さらに、第3の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法は、第1または第2の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法において、第1溶接歪み算出工程で準備されたデータベースが、格納したデータの補間により溶接による歪みの形状を算出する方法である。
加えて、第4の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法は、第1乃至第3のいずれかの発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法において、逆歪み算出工程で算出される逆歪みの形状が、溶接鋼管よりも小径の円における円弧である方法である。
また、第5の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法は、第1乃至第4のいずれかの発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法において、逆歪み算出工程で変数として設定された逆歪みの範囲が、溶接鋼管の継ぎ目を含む方法である。
また、第6の発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法は、第1乃至第5のいずれかの発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法において、溶接鋼管の継ぎ目が、当該溶接鋼管を複数に等分するものであり、
逆歪み算出工程で変数として設定された逆歪みの範囲が、前記溶接鋼管の隣り合う継ぎ目の中間を含む方法である。
また、第7の発明に係るプログラムは、第1乃至第6のいずれかの発明に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
前記溶接鋼管における逆歪み算出方法およびそのプログラムによると、溶接鋼管の全周ではなく一定の範囲のみ逆歪みを与えればよく、さらに、溶接による歪みが低減される逆歪みの量および範囲が算出されるので、適切な逆歪みの量および範囲を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る逆歪み算出方法が使用される溶接鋼管を示す斜視図であり、溶接される前の状態を示す。 同溶接鋼管を示す斜視図であり、溶接された後の状態を示す。 同溶接鋼管をその軸心に垂直な断面で示す二次元の直交座標系である。 同直交座標系の第1象限であり、溶接部を含む範囲で逆歪みが与えられた溶接鋼管を示す。 同直交座標系の第1象限であり、隣り合う溶接部の中間部を含む範囲で逆歪みが与えられた溶接鋼管を示す。 図4の場合において逆歪みが与えられず且つ溶接される前の形状からの変形量を示すグラフである。 図5の場合において逆歪みが与えられず且つ溶接される前の形状からの変形量を示すグラフである。 同溶接鋼管における逆歪み算出方法の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態に係る溶接鋼管における逆歪み算出方法について説明する。
まず、前記逆歪み算出方法が使用される溶接鋼管について簡単に説明する。
図1および図2に示すように、前記溶接鋼管1は、軸心O方向の継ぎ目2を溶接することで形成される鋼管である。この溶接鋼管1は、鋼製のパイプまたはチューブに限られず、円筒などの筒形状の鋼材であれば、どのような径および長さであってもよい。図1は溶接する前の状態を示し、図2は溶接した後の状態を示す。図1および図2は、前記継ぎ目2が上下の各位置にある2つの例を示すが、当該継ぎ目2は、1つでもよく、3つ以上でもよい。前記継ぎ目2が複数である場合、溶接鋼管1の構造上、隣り合う継ぎ目2が等間隔であることが好ましい。前記継ぎ目2の溶接は、前記溶接鋼管1の内周側に施工された例(開先3が溶接鋼管1の内周側に形成された例)を図示するが、前記溶接鋼管1の外周側に施工されてもよい。なお、以下では、溶接された部分を溶接部4と称する。
図2では、溶接した後の溶接鋼管1を実線で示し、溶接する前の溶接鋼管1における手前側端部を仮想線で示す。図2で実線および仮想線を比較すると明らかなように、溶接した後(実線)の溶接鋼管1は、溶接する前(仮想線)の形状から、溶接部4のある上下の各位置で拡径し、隣り合う溶接部4の中間にある左右の各位置で縮径する。このような拡径および縮径による変形は、前記溶接が原因であるから、溶接歪みと称される。
前記軸心O方向に垂直な方向での断面を、図3では二次元の直交座標系で示す。この二次元の直交座標系では、溶接する前の前記溶接鋼管1の内周を仮想線で示し、溶接した後の前記内周を実線(細線)で示す。溶接歪みにより、前記内周は、仮想線から実線(細線)の形状に変化する。すなわち、仮想線に比べて、実線(細線)では、溶接部4のある上下の各位置で拡径し(つまりy軸方向では拡がり)、隣り合う溶接部4の中間にある左右の各位置で縮径する(つまりx軸方向では縮む)。溶接した後の前記内周の形状が、図3の実線(細線)で示す形状ではなく、図3の仮想線で示す形状になるためには、溶接する前の前記内周の形状から、溶接歪みの分だけ逆方向に歪ませる、つまり全周に亘って逆歪みを与えることが理想的である。この理想的な逆歪みが与えられた前記内周の形状を、図3では太線で示す。すなわち、仮想線に比べて、太線では、溶接により拡径する上下の各位置(y軸方向)で縮径させ、溶接により縮径する左右の各位置(x軸方向)で拡径させる。
図3に示すように、理想的な逆歪みが与えられた前記内周の形状(太線)にするには、逆歪みが与えられる前の形状(仮想線)から、溶接鋼管1の全周に亘って逆歪みを与える必要がある。このような施工は、現実的に困難であり、特に溶接鋼管1が大径(内径が1800mm以上)では極めて困難である。このため、逆歪みは、全周でなく、一定の範囲で与えられるのが現実的である。
ところで、図3に示すように、理想的な逆歪みが与えられた前記内周の形状(太線)は、溶接歪みにより、逆歪みが与えられる前の形状(仮想線)になるか、当該形状(仮想線)に極めて近くなる。これに対して、一定の範囲で逆歪みが与えられた前記内周の形状は、溶接歪みにより、逆歪みが与えられる前の形状(仮想線)にはならない。本実施の形態において、溶接による歪みを低減するとは、溶接歪み自体を低減するのではなく、逆歪みが与えられて且つ溶接された後の前記内周の形状が、逆歪みが与えられず且つ溶接される前の前記内周の形状(仮想線)に近いことを意味する。
図3に示すように、第1象限(xが正、yが正)と第2象限(xが負、yが正)とは、y軸に対して線対称であり、第1象限(xが正、yが正)と第3象限(xが負、yが負)とは、原点に対して点対称であり、第1象限(xが正、yが正)と第4象限(xが正、yが負)とは、x軸に対して線対称である。このため、第1象限の形状を把握できれば、第2象限〜第4象限の形状まで把握が可能である。したがって、図4および図5には、第1象限(xが正、yが正)のみを示し、第2象限〜第4象限を省略する。
図4および図5では、いずれも、溶接する前の前記内周の形状を示し、逆歪みが与えられる前の形状を仮想線で示し、逆歪みが一定の範囲(中心角θの円弧)で与えられた後の形状を太線で示す。すなわち、逆歪みは、一定の範囲(中心角θの円弧)のみで与えられ、一定の範囲(中心角θの円弧)以外では与えられない。逆歪みが与えられる量δは、逆歪みが与えられる前の形状(仮想線)と、逆歪みが与えられた後の形状(太線)との差の最大値である。図4は、溶接部4(x>0のx軸から90°近傍の位置)が前記範囲に入る場合を示し、図5は、隣り合う溶接部4の中間部(x>0のx軸から0°近傍の位置)が前記範囲に入る場合を示す。なお、逆歪みが与えられる一定の範囲は、中心角θの円弧としたが、この円弧は中心角θに比例するので、便宜上、以下では前記範囲を中心角θ(角度)として説明する。
図4および図5に示すように、溶接鋼管1に与えられる逆歪みは、例えば、当該逆歪みが与えられる前の溶接鋼管1の内径r1よりも小さい径r2の円弧である。前記溶接鋼管1に与える逆歪みの量δおよび範囲θが定まれば、前記円弧を形成する円(以下、小円と称する)の中心座標(α,β)および半径r2が算出される。具体的には、図4および図5に示す場合のいずれも、範囲θにおいて逆歪みが与えられる前と後とで前記内周が同一長さである、という条件が加わることで、前記小円の中心座標(α,β)および半径r2が算出される。
図6および図7に示すグラフは、横軸を角度とし、縦軸を逆歪みが与えられず且つ溶接される前の前記内周からの変形量(正が拡径、負が縮径)とする。図6および図7では、逆歪みが与えられて且つ溶接される前の前記内周を太線で示し、逆歪みが与えられず且つ溶接された後の前記内周を実線(細線)で示し、逆歪みが与えられて且つ溶接された後の前記内周を太破線で示す。すなわち、太線と実線とを加算したものが、太破線となる。図6は、図4(溶接部4が逆歪みの範囲θに入る)に対応するグラフであり、図7は、図5(隣り合う溶接部4の中間部が前記範囲θに入る)に対応するグラフである。
図6および図7において、太線(逆歪みが与えられて且つ溶接される前の前記内周)は、逆歪みの量δおよび範囲θにより定まるので、逆歪みの量δおよび範囲θの関数である。また、実線(逆歪みが与えられず且つ溶接された後の前記内周)はデータベースから呼び出される既定値なので、太線と実線とを加算した太破線も、逆歪みの量δおよび範囲θの関数である。このため、太破線の積分値も、逆歪みの量δおよび範囲θの関数であるから、以下ではS(δ,θ)で表記する。この積分値S(δ,θ)は、逆歪みが与えられず且つ溶接される前の前記内周(横軸上)に対する、逆歪みが与えられて且つ溶接された後の前記内周(太破線)の積分値である。このため、この積分値S(δ、θ)が小さいほど、逆歪みが与えられて且つ溶接された後の前記内周(太破線)が、逆歪みが与えられず且つ溶接される前の前記内周(横軸上)に、全体的に近いと言える。すなわち、積分値S(δ、θ)が小さいほど、溶接による歪みが低減された状態である。したがって、溶接による歪みが低減される場合とは、前記関数S(δ,θ)が閾値以下の場合である。すなわち、前記関数S(δ,θ)が閾値以下の場合であれば、その量δおよび範囲θで逆歪みが与えられて且つ溶接された後の前記内周(太破線)が、逆歪みが与えられず且つ溶接される前の前記内周(横軸上)に、全体的に近いと言える。
前記関数S(δ,θ)が閾値以下となる逆歪みの量δおよび範囲θの算出には、最適化手法が採用される。この最適化手法は、互いに独立した第1変数および第2変数の関数から得られる目的値が閾値以下となる場合の、当該第1変数および第2変数の各固定値を算出する手法である。採用される最適化手法は、特に限定されないが、例えば、ソルバーを使用する方法、遺伝的アルゴリズムを使用する方法、または、数学的な解法を使用する方法などである。このような方法として、具体的には、マイクロソフト社の表計算ソフトウェアであるExcel(登録商標)のソルバー機能、マスワ―クス社の数値解析ソフトウェアであるMATLAB(登録商標)の最適化アプリケーション、Python(登録商標)のライブラリー関数、または、R言語のライブラリー関数などを使用してもよい。前記方法として、前述した既存の機能を使用するのではなく、前記方法が組み込まれたサブルーチンを作成して使用してもよい。前記数学的な解法を使用する方法は、前記目的値を独立2変数(第1変数および第2変数)N次方程式(Nは偶数)に近似し、この独立2変数N次方程式が閾値以下とある場合の第1変数および第2変数を解として数学的に求める方法である。
前記最適化手法では、互いに独立した前記第1変数および第2変数がそれぞれ逆歪みの量δおよび範囲θとされ、前記目的値が関数S(δ,θ)とされる。すなわち、この最適化手法により、関数S(δ,θ)が閾値以下となる場合の、逆歪みの量δおよび範囲θの各固定値が算出される。前記関数S(δ,θ)が小さいほど好ましいので、前記閾値が関数S(δ,θ)の最小値であることが好ましい。言い換えれば、前記関数S(δ,θ)が最小値となる場合の、逆歪みの量δおよび範囲θの各固定値を算出することが好ましい。
前述したように、本発明の実施の形態に係る溶接鋼管1における逆歪み算出方法は、関数S(δ,θ)が閾値以下となる場合の、すなわち、所定の量δおよび範囲θで逆歪みが与えられて且つ溶接された後の前記内周が、逆歪みが与えられず且つ溶接される前の前記内周に全体的に近くなる場合の、当該逆歪みの量δおよび範囲θを算出する方法である。言い換えれば、前記溶接鋼管1における逆歪み算出方法は、溶接による歪みを低減するための逆歪みを与える量δおよび範囲θを算出する方法である。以下、当該方法を各工程に分けて図8に基づき説明する。
図8に示すように、前記溶接鋼管1における逆歪み算出方法は、第1溶接歪み算出工程S10、逆歪み算出工程S20、第2溶接歪み算出工程S30、積分工程S40および最適化手法利用工程S50を備える。
第1溶接歪み算出工程S10は、前記溶接鋼管1の鋼種、板厚および内径r1、並びに、前記溶接の開先形状に対応する当該溶接による歪みの形状を、準備されたデータベースに基づいて算出する工程である。この工程は、溶接鋼管1の鋼種、板厚および内径r1、並びに、前記溶接の開先形状が条件として入力されるステップS11と、入力された条件に対応する溶接歪みをデータベースに基づいて算出するステップS12とに分けられる。データベースには、図3、図6および図7において実線(細線)で示すデータ、すなわち、逆歪みが与えられず且つ溶接された後の溶接鋼管1の内周の形状のデータが格納されている。当該データは、様々な、溶接鋼管1の鋼種、板厚および内径(逆歪みが与えられず且つ溶接される前)、並びに、前記溶接の開先形状に対応するものである。前記データベースに格納されているデータは、予め、解析手法により得られたデータであり、例えば、有限要素法(FEM)による熱弾塑性により得られるデータ、または、固有歪み法により得られるデータなどである。前記データベースは、格納しているデータが入力された条件に対応しなければ、格納しているデータから、入力された条件に対応するデータを補間により算出する。この補間は、例えば、当該算出のための時間を短縮するために、線形補間であることが好ましい。
前記逆歪み算出工程S20は、前記逆歪みの量δおよび範囲θを変数として設定し、当該量δおよび範囲θでの逆歪みの形状を算出する工程である。すなわち、前記逆歪み算出工程S20は、図4〜図7において太線で示す形状を、逆歪みの量δおよび範囲θの関数として算出する工程である。
前記第2溶接歪み算出工程S30は、前記第1溶接歪み算出工程S10で算出された形状に前記逆歪み算出工程S20で算出された形状を加えることで、前記逆歪みを考慮した溶接による歪みの形状を算出する工程である。すなわち、前記第2溶接歪み算出工程S30は、図6および図7において実線で示す形状に太線で示す形状を加えることで、図6および図7において太破線で示す形状を、逆歪みの量δおよび範囲θの関数として算出する工程である。
前記積分工程S40は、溶接による歪みが生じない形状に対する、前記第2溶接歪み算出工程S30で算出された形状の積分値を算出する工程である。すなわち、前記積分工程S40は、図6および図7において太破線で示す関数の積分値S(δ,θ)を、逆歪みの量δおよび範囲θの関数として算出する工程である。
前記最適化手法利用工程S50は、互いに独立した第1変数および第2変数の関数から得られる目的値が閾値以下となる場合の当該第1変数および第2変数の各固定値を算出する最適化手法を利用して、前記第1変数および第2変数を変数として設定された逆歪みの量δおよび範囲θとするとともに、前記目的値を積分値S(δ,θ)とした上で、当該積分値S(δ,θ)が閾値以下となる場合の前記逆歪みの量δおよび範囲θの各固定値を算出し、算出された各固定値のいずれかを正式な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixとする工程である。すなわち、前記最適化手法利用工程S50は、関数S(δ,θ)が閾値以下となる場合の逆歪みの量δおよび範囲θの固定値を、最適化手法の利用により算出する工程である。
前述した、第1溶接歪み算出工程S10、逆歪み算出工程S20、第2溶接歪み算出工程S30、積分工程S40および最適化手法利用工程S50を、プログラムにより、コンピュータに実行させてもよい。この場合、第1溶接歪み算出工程S10で入力される溶接鋼管1の鋼種、板厚および内径、並びに、前記溶接の開先形状は、例えば、キーボードおよび/またはマウスなどの入力手段により入力されることが好ましい。また、最適化手法利用工程S50で算出された正式な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixは、例えば、ディスプレイなどの表示手段により表示されることが好ましい。
このように、前記溶接鋼管1における逆歪み算出方法によると、溶接鋼管1の全周ではなく一定の範囲θのみ逆歪みを与えればよく、さらに、溶接による歪みが低減される逆歪みの量δfixおよび範囲θfixが算出されるので、適切な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを得ることができる。
また、最適化手法利用工程S50での閾値が、積分工程S40での積分値の最小値であることにより、逆歪みの最も適切な量δfixおよび範囲θfixがそれぞれ1つに定まるので、一層適切な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを得ることができる。
さらに、第1溶接歪み算出工程S10で準備されたデータベースが、格納したデータの補間により溶接による歪みの形状を算出することにより、より適切な溶接による歪みの形状が算出されるので、一層適切な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを得ることができる。
加えて、逆歪み算出工程S20で算出される逆歪みの形状が、溶接鋼管1よりも小径の円における円弧であることにより、溶接鋼管1に逆歪みを与えやすくなるので、一層適切な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを得ることができる。
また、逆歪み算出工程S20で変数として設定された逆歪みの範囲θが、溶接鋼管1の継ぎ目2を含むことにより、溶接鋼管1に逆歪みを与えやすくなるので、一層適切な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを得ることができる。
また、溶接鋼管1の継ぎ目2が、当該溶接鋼管1を複数に等分するものであるから、溶接された後の溶接鋼管1を構造的に安定させることができる。さらに、逆歪みの範囲θが、前記溶接鋼管1の隣り合う継ぎ目2の中間を含むことにより、溶接部4を含まない。これにより、一層適切な逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを得ることができる。
ところで、前記実施の形態では、図6および図7に示すように、溶接部4が2つで且つ隣り合う溶接部4が等間隔の場合、角度が0°〜90°までの範囲でのみ積分値S(δ,θ)を算出するとして説明したが、他の角度である90°〜180°、180°〜270°および270°〜360°も、それぞれ積分値が同一であるから、他の角度での積分値まで算出する必要は無い。すなわち、溶接部4が2つで隣り合う溶接部4が等間隔の場合、積分値S(δ,θ)を算出する角度は0°〜90°までの範囲で足りるので、前記逆歪みの量δfixおよび範囲θfixを短時間で算出することができる。なお、溶接部4の数がM(Mは正数)の場合、積分値S(δ,θ)を算出する角度は、180°/Mの範囲で足りる。但し、Mが2以上なら、隣り合う溶接部4が等間隔であることを前提とする。
また、前記実施の形態では、データベースに格納されるデータについて溶接部4が2つ以外の場合を説明しなかったが、前記データベースに格納されるデータとして、溶接部4の数に応じたものを準備する。
さらに、前記実施の形態では、溶接鋼管1の形状として、溶接鋼管1の内周を基準に説明したが、溶接鋼管1の外周(または内周と外周との中間)を基準にしてもよい。
加えて、前記実施の形態では、継ぎ目2に開先3が形成されたとして説明したが、開先3が形成されず、継ぎ目2が溶接により直接接合されてもよい。
また、前記実施の形態では、図4および図6に示す溶接部4が逆歪みの範囲θに入る場合と、図5および図7に示す隣り合う溶接部4の中間部が逆歪みの範囲θに入る場合とを別々に説明したが、前記溶接部4および前記中間部がそれぞれ異なる逆歪みの範囲に入るようにしてもよい。勿論、溶接部4および中間部のいずれも逆歪みの範囲に入らないようにしてもよい。
また、前記実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記実施の形態で説明した構成のうち「課題を解決するための手段」での第1の発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。
O 軸心
δ 逆歪みの量
θ 逆歪みの範囲
1 溶接鋼管
2 継ぎ目
3 開先
4 溶接部

Claims (7)

  1. 軸心方向の継ぎ目を溶接することで形成される溶接鋼管において、当該溶接による歪みを低減するための逆歪みを与える量および範囲を算出する、溶接鋼管における逆歪み算出方法であって、
    前記溶接鋼管の鋼種、板厚および内径、並びに、前記溶接の開先形状に対応する当該溶接による歪みの形状を、準備されたデータベースに基づいて算出する第1溶接歪み算出工程と、
    前記逆歪みの量および範囲を変数として設定し、当該量および範囲での逆歪みの形状を算出する逆歪み算出工程と、
    前記第1溶接歪み算出工程で算出された形状に前記逆歪み算出工程で算出された形状を加えることで、前記逆歪みを考慮した溶接による歪みの形状を算出する第2溶接歪み算出工程と、
    溶接による歪みが生じない形状に対する、前記第2溶接歪み算出工程で算出された形状の積分値を算出する積分工程と、
    互いに独立した第1変数および第2変数の関数から得られる目的値が閾値以下となる場合の当該第1変数および第2変数の各固定値を算出する最適化手法を利用して、前記第1変数および第2変数を前記逆歪みの量および範囲とするとともに、前記目的値を前記積分値とした上で、当該積分値が閾値以下となる場合の前記逆歪みの量および範囲の各固定値を算出し、算出された各固定値のいずれかを正式な逆歪みの量および範囲とする、最適化手法利用工程とを備えることを特徴とする溶接鋼管における逆歪み算出方法。
  2. 最適化手法利用工程での閾値が、積分工程での積分値の最小値であることを特徴とする請求項1に記載の溶接鋼管における逆歪み算出方法。
  3. 第1溶接歪み算出工程で準備されたデータベースが、格納したデータの補間により溶接による歪みの形状を算出するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶接鋼管における逆歪み算出方法。
  4. 逆歪み算出工程で算出される逆歪みの形状が、溶接鋼管よりも小径の円における円弧であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の溶接鋼管における逆歪み算出方法。
  5. 逆歪み算出工程で変数として設定された逆歪みの範囲が、溶接鋼管の継ぎ目を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の溶接鋼管における逆歪み算出方法。
  6. 溶接鋼管の継ぎ目が、当該溶接鋼管を複数に等分するものであり、
    逆歪み算出工程で変数として設定された逆歪みの範囲が、前記溶接鋼管の隣り合う継ぎ目の中間を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の溶接鋼管における逆歪み算出方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の溶接鋼管における逆歪み算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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